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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102637
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A01C11/02 350M
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006658
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】景浦 宏一
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】堀田 直岐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】村上 徹司
(72)【発明者】
【氏名】東 靖之
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064AC01
2B064DB07
2B064DB11
(57)【要約】
【課題】使用する苗マット数をより正確に検出すること。
【解決手段】実施形態に係る苗移植機は、圃場内を走行しながら圃場に苗を植え付ける苗移植機であって、走行車体と、苗タンクと、苗植付部と、電極と、制御部とを備える。走行車体は、圃場内を走行可能である。苗タンクは、走行車体に設けられ、苗マットを貯留する。苗植付部は、苗タンクにおいて搬送されてきた苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を植え付ける。電極は、苗タンクに設けられ、抵抗値を測定する。制御部は、電極によって測定された抵抗値に基づいて、苗タンクにおいて搬送される苗マットを検出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内を走行しながら該圃場に苗を植え付ける苗移植機であって、
圃場内を走行可能な走行車体と、
前記走行車体に設けられ、苗マットを貯留する苗タンクと、
前記苗タンクにおいて搬送されてきた苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を植え付ける苗植付部と、
前記苗タンクに設けられ、抵抗値を測定する電極と、
前記電極によって測定された抵抗値に基づいて、前記苗タンクにおいて搬送される苗マットを検出する制御部と
を備える、苗移植機。
【請求項2】
前記制御部は、前記電極によって測定された抵抗値の変化によって、前記苗タンクにおける苗マットと苗マットとの継ぎ目を検出する、請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
前記電極は、前記苗タンクにおいて苗マットの搬送路となる底面に設けられ、
前記苗タンクは、前記底面に段差を有する、請求項2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記苗タンクは、前記底面における前記段差の下方に、苗マットに押下されるスイッチをさらに有する、請求項3に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記苗タンクは、苗マットの搬送路となる底面に沿って延びており、前記底面において上方から苗マットを抑える苗抑え棒を有し、
前記苗抑え棒は、苗マットの搬送方向の上流側および下流側に分割され、
前記電極は、前記搬送方向の上流側および下流側の前記苗抑え棒とする、請求項1に記載の苗移植機。
【請求項6】
前記搬送方向の下流側の前記苗抑え棒は、前記搬送方向の上流側の端部が上方へ向けて屈曲形成される、請求項5に記載の苗移植機。
【請求項7】
前記苗タンクは、苗マットの搬送路となる底面と、側面とを有し、
前記電極は、複数の電極板であり、前記側面において苗マットの搬送方向に沿って間をあけて設けられ、
前記制御部は、前記電極板によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットが前記搬送方向のいずれの位置にあるかを検出する、請求項1に記載の苗移植機。
【請求項8】
前記苗タンクは、苗マットの搬送方向における圧縮率を示す目盛を有し、
前記制御部は、前記苗植付部を制御するとともに、前記目盛の値に基づいた前記圧縮率が入力されると、入力された前記圧縮率に応じて前記苗植付部による苗の植付量を補正する、請求項1~7のいずれか一つに記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場内を走行しながら圃場の土壌面に苗を植え付ける苗移植機において、所望の苗マット数で適切に苗の植え付け作業を行うために、植え付け作業を行う圃場面積と圃場面積に使用する苗マット数とから基準苗取量を算出し、算出した基準苗取量に基づいて苗取量を調節する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-122311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術は、使用する苗マット数をより正確に検出する点について改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、使用する苗マット数をより正確に検出することができる苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る苗移植機(1)は、圃場内を走行しながら該圃場に苗を植え付ける苗移植機(1)であって、圃場内を走行可能な走行車体(2)と、前記走行車体(2)に設けられ、苗マット(MPL)を貯留する苗タンク(35)と、前記苗タンク(35)において搬送されてきた苗マット(MPL)から苗を掻き取り、掻き取った苗を植え付ける苗植付部(3)と、前記苗タンク(35)に設けられ、抵抗値を測定する電極(90)と、前記電極(90)によって測定された抵抗値に基づいて、前記苗タンク(35)において搬送される苗マット(MPL)を検出する制御部(100)とを備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態に係る苗移植機によれば、使用する苗マット数をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る苗移植機を示す概略側面図である。
図2図2は、実施形態に係る苗移植機の制御系の一例を示すブロック図である。
図3図3は、苗マット検出のための制御系の一例を示すブロック図である。
図4図4は、苗マット検出構成の第1例の説明図(その1)である。
図5図5は、苗マット検出構成の第1例の説明図(その2)である。
図6図6は、苗マット検出構成の第2例の説明図である。
図7図7は、苗マット検出構成の第3例の説明図(その1)である。
図8図8は、苗マット検出構成の第3例の説明図(その2)である。
図9図9は、苗マット検出構成の第4例の説明図(その1)である。
図10図10は、苗マット検出構成の第4例の説明図(その2)である。
図11図11は、苗マット検出構成の第5例の説明図である。
図12図12は、苗マット検出構成の第6例の説明図である。
図13図13は、苗マット検出構成の第7例の説明図である。
図14図14は、苗マット検出構成の第8例の説明図(その1)である。
図15図15は、苗マット検出構成の第8例の説明図(その2)である。
図16図16は、苗マット圧縮率検出構成の説明図である。
図17図17は、苗植付量補正のための制御系の一例を示すブロック図である。
図18図18は、EVモードの駆動系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する苗移植機の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<苗移植機の概要>
図1を参照して実施形態に係る苗移植機1の概要について説明する。図1は、実施形態に係る苗移植機1を示す概略側面図である。
【0011】
なお、図1には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している場合がある。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という。
【0012】
また、以下では、苗移植機1や後述する走行車体2を指して「機体」という場合がある。苗移植機1は、圃場内を走行しながら圃場の土壌面に苗を植え付ける作業を行う。
【0013】
図1に示すように、苗移植機1は、走行車体2と、苗植付部3とを備える。走行車体2は、圃場内を走行可能なものである。苗植付部3は、苗移植機1における作業機であり、走行車体2に設けられる。苗植付部3は、圃場の土壌面に苗を植え付ける。苗移植機1は、操縦者(「作業者」ともいう)が搭乗して操縦する乗用型である一方、予め設定された作業経路に沿って自律走行しながら自動で苗の植え付け作業を行う機能を有する。
【0014】
走行車体2は、左右一対の前輪11と、左右一対の後輪12とを備える。走行車体2においては、たとえば、左右一対の前輪11が操舵輪であり、左右一対の後輪12が駆動輪である。なお、たとえば、4WDモードの場合は、左右一対の前輪11および左右一対の後輪12が駆動輪となる。
【0015】
また、走行車体2の車体骨格を形成するメインフレーム13の前部には、後述する苗植付部3などへ駆動力を伝達するミッションケース14と、エンジンE(図2参照)やモータなどの駆動源から供給される駆動力、すなわち、駆動源(たとえば、エンジンE)の回転をミッションケース14へ出力する油圧式の無段変速装置80(図18参照)とが設けられる。無段変速装置は、たとえば、HST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。なお、以下では、無段変速装置を「HST」という。
【0016】
ミッションケース14内には、路上走行時や苗の植え付け時などにおける走行モードを切り替える副変速機構(図示せず)が設けられる。走行車体2では、ミッションケース14の左右側方に前輪ファイナルケース15が設けられ、左右の前輪ファイナルケース15の操向方向を変更可能な支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸に、前輪11がそれぞれ取り付けられる。
【0017】
また、メインフレーム13の後部には、左右方向に延設された後部フレームの左右側方に後輪ギヤケース16が設けられ、後輪ギヤケース16からそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸に、後輪12がそれぞれ取り付けられる。
【0018】
また、後部フレームの上部には、後述する昇降リンク17を支持する左右のリンク支持フレーム18が上方へ向けて延設される。左右のリンク支持フレーム18の間には、左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20が設けられる。左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20の左右方向の間には、油圧によって駆動される昇降シリンダ21が設けられる。
【0019】
左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20は、平行リンク機構である昇降リンク17を形成する。なお、左右のアッパリンク19、左右のロワリンクアーム20および昇降シリンダ21は、それぞれの一端が走行車体2側に連結され、それぞれの他端が苗植付部3側に連結される。
【0020】
また、メインフレーム13上には、駆動源であるエンジンが搭載される。エンジンの回転動力が、ベルト伝動装置(図示せず)およびHST80を介して、ミッションケース14へ伝達される。ミッションケース14へ伝達された回転動力は、ミッションケース14内の副変速機構によって変速された後、走行動力と外部取り出し動力とに分けられる。
【0021】
また、エンジンの回転動力は、油圧ポンプ(図示せず)へ伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HST80や、ステアリングハンドル22のパワステ機構23(図2参照)や昇降シリンダ21などへ供給される。
【0022】
ミッションケース14へ伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチ24(図2参照)へ伝達され、植付クラッチ24から植付伝動軸(図示せず)を介して苗植付部3へ伝達される。ミッションケース14の後部には、左右のドライブシャフト(図示せず)が設けられる。エンジンEからの回転動力は、ミッションケース14およびドライブシャフトを介して、左右の後輪ギヤケース16へ伝動される。
【0023】
なお、左右のドライブシャフトよりも動力伝達上流側には、左右のドライブシャフトに対する動力伝達を入切するサイドクラッチ25(図2参照)が設けられる。図1に示すように、たとえば、操縦席26の前方下部、かつ、左右側方には、左右のサイドクラッチ25を入切操作するサイドクラッチペダル(図示せず)が設けられる。
【0024】
左右のサイドクラッチペダルのうち、旋回内側のサイドクラッチペダルを踏み込んでサイドクラッチ25を切状態としてからステアリングハンドル22を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪12の駆動回転を遮断することができる。
【0025】
走行車体2におけるフロアステップ27の前方には、エンジンEを収容するボンネット28が設けられる。ボンネット28の後部には、操縦パネル29が設けられる。操縦パネル29には、メータパネルや、スイッチなどの各種操作具などが設けられる。また、ボンネット28の後部には、ステアリングハンドル22が設けられる。
【0026】
また、ボンネット28には、前輪11の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドル(以下、「ハンドル」という)22、HST80や苗植付部3を操作する主変速レバー30、副変速機構を操作する副変速レバー31(図2参照)などが設けられる。
【0027】
また、ボンネット28内には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル22の操作に応じて左右の前輪11および左右の前輪ファイナルケース15の下部側を回動させる連動機構が設けられる。ボンネット28の前部は、開閉可能なフロントカバー28aによって覆われている。
【0028】
操縦席26の後方であって、メインフレーム13の後部には、後述する施肥装置40が設けられる。施肥装置40の駆動力は、左右の後輪ギヤケース16の左右の一側方から施肥装置40へ臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
【0029】
ボンネット28の下部における左右側方には、フロアステップ27が形成される。フロアステップ27は、略水平であるとともに一部格子状であり、フロアステップ27上を歩く操縦者(作業者)などの靴などについた泥がフロアステップ27に落ちても、落ちた泥などが圃場へ落下するようになる。
【0030】
また、走行車体2の前部、かつ、左右側方には、苗枠支柱32に複数の予備苗載せ台33を上下方向に間隔をあけて配置する予備苗枠34が設けられる。予備苗枠34は、苗植付部3に補給される苗マットMPL図4参照)や肥料袋などの資材が載置可能である。
【0031】
また、昇降リンク17の後端部には、圃場に植え付ける苗を含む苗マットMPLを積載・貯留する苗タンク35が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に連結される。苗タンク35には、苗タンク35の底面(苗マットMPLが積載される面であり、苗マットMPLの搬送路となる面)351(図4参照)を左右方向において複数に仕切るための側面352(図4参照)が設けられる。苗タンク35の下方には、積載された苗マットMPLから苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付ける植付爪38を含む植付装置36が設けられる。
【0032】
植付装置36は、側面352によって仕切られた植付条数と同数の苗を同時に植え付けるものである。植付装置36は、植付伝動ケース37と、植付爪38と、植付ロータリ39とを備える。植付装置36では、植付伝動ケース37が苗タンク35の下方に間隔をあけて設けられ、植付伝動ケース37の左右側方において植付爪38を回転させる植付ロータリ39が設けられる。植付装置36では、植付爪38が、回転しながら苗マットMPLから苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付ける。
【0033】
このように、苗植付部3では、走行車体2(苗移植機1)の走行中に、苗マットMPLを貯留する苗タンク35において搬送されてきた苗マットMPLから植付爪38で掻き取った苗を圃場に植え付ける。なお、植付爪38による苗の掻き取り量(苗取量)は、後述する制御部100(図2参照)によってを変更可能に制御される。
【0034】
施肥装置40は、施肥ホッパ41と、繰出装置42と、ダクト43と、施肥ホース(図示せず)と、ブロア(図示せず)とを備える。施肥ホッパ41は、肥料を貯留する。施肥ホッパ41は、苗植付部3の作業条数と同数に仕切られている。なお、施肥ホッパ41は、たとえば、左右方向に長いと肥料の投入や着脱の利便性が低下することがあるため、全条の半分ずつ(たとえば、8条の場合は4条ずつ)に仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
【0035】
繰出装置42は、施肥ホッパ41の下部に1条ごとに設けられ、肥料を設定量ずつ供給する。ダクト43は、繰出装置42の下方に設けられ、肥料を移動させる搬送風を通過させる。施肥ホースは、繰出装置42の下方に設けられ、苗植付部3の苗植付位置の近傍へ肥料を案内する。ブロアは、ダクト43の一側端部に設けられ、ブロア用電動モータ(図示せず)の駆動力で搬送風を発生させる。
【0036】
苗植付部3の下方には、フロート44が設けられる。フロート44は、中央のセンタフロート44aと、左右のサイドフロート44bとを備える。センタフロート44aおよび左右のサイドフロート44bは、圃場の土壌面に接地して、走行車体2の進行(前進)に伴い、土壌面上を滑走する。
【0037】
また、苗植付部3は、フロート44よりも前方に設けられ、土壌面を均すための整地ロータ45を備える。なお、整地ロータ45は、センタフロート44aの前方および左右のサイドフロート44bの前方のそれぞれに設けられる。苗植付部3は、整地ロータ45で均した土壌面に苗を植え付ける。整地ロータ45には、ロータ伝動シャフト(図示せず)を介して駆動力が伝達される。
【0038】
また、苗植付部3の左右側方には、左右のいずれか一方が圃場の土壌面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝(ガイド線)を形成する線引きマーカがそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカは、左右のいずれか一方が下降して接地すると他方が上昇する。また、左右の線引きマーカは、機体旋回時に苗植付部3を上昇させたときには左右共に上昇し、機体旋回後に苗植付部3が下降すると、左右のいずれか一方が上昇して他方が下降(接地)する。
【0039】
また、走行車体2の左右方向の中央であり、かつ、ボンネット28の前方には、センタマスコット46が上方へ延伸するように立設される。センタマスコット46を、左右の線引きマーカによって圃場の土壌面に形成されたガイド線に合わせることで、直前の作業条の作業位置にあわせた走行が可能となり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
【0040】
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカによって形成したガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカよりも前方に設けられた左右のサイドマーカを用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカを外側へ移動させ、前工程で植え付けた苗の上方にサイドマーカを位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能となる。
【0041】
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置情報取得装置50を備える。位置情報取得装置50は、走行車体2(苗移植機1)の現在の自己位置P(位置情報)を取得する。位置情報取得装置50は、たとえば、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛生測位システムを利用して苗移植機1の現在の位置情報を取得する。なお、位置情報取得装置50は、複数の装置で構成されてもよい。
【0042】
位置情報取得装置50は、たとえば、アンテナフレーム51に支持され、走行車体2の上方に配置される。
【0043】
また、位置情報取得装置50からの位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置情報取得装置50内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)に格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット28に収容された旋回制御用ECUに格納される。直進制御用ECUおよび旋回制御用ECUは、後述する制御部100(図2参照)に含まれる。なお、直進制御用ECUおよび旋回制御用ECUは、同一のECUであってもよい。
【0044】
<苗移植機の制御系>
次に、図2を参照して苗移植機1(図1参照)の制御系について説明する。図2は、実施形態に係る苗移植機1の制御系を示す機能ブロック図である。なお、図2には、制御部100を中心とする制御系の一例を示している。苗移植機1は、図2に示すように、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御部100を備える。
【0045】
制御部100は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部を有し、これらが互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能なものである。なお、記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。制御部100は、記憶部などに格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
【0046】
制御部100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ60、油圧制御弁61,62、植付クラッチ作動ソレノイド63、サイドクラッチ作動ソレノイド64、HSTモータ65、ステアリングモータ66、線引きマーカ昇降モータ67、デフロック切替モータ68などが接続される。
【0047】
スロットルモータ60は、エンジンEの吸気量を調節するスロットルを作動させることで、エンジンEの出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁61は、昇降シリンダ21の伸縮動作を制御する。油圧制御弁62は、パワステ機構23を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド63は、植付クラッチ24を作動させる。
【0048】
サイドクラッチ作動ソレノイド64は、後輪12(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ25を作動させる。HSTモータ65は、HSTのトラニオンの回動角度を変更することで、HST80(図18参照)の斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ66は、操舵輪である前輪11(図1参照)を操舵駆動する。ステアリングモータ66は、前輪11の操舵量(操舵角または切れ角ともいう)を調整するハンドル22を駆動するモータである。線引きマーカ昇降モータ67は、線引きマーカを昇降させる。
【0049】
デフロック切替モータ68は、左右の走行車輪(たとえば、左右の前輪11)を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構(以下、デフロック機構という)69の作動および作動停止を切り替えるモータである。デフロック機構69が入状態になることで、強制的に四輪駆動(4WDモード)とすることができ、左右の走行車輪が同じ回転速度で回転する。
【0050】
また、制御部100には、後輪回転数センサ70、操舵量センサ71、傾斜センサ72などが接続される。後輪回転数センサ70は、左右の後輪12に対応して2つ設けられ、左右の後輪12の回転数をそれぞれ検出する。
【0051】
操舵量センサ71は、ハンドル22の回転、すなわち、前輪11(図1参照)の操舵量を検出する。操舵量センサ71は、たとえば、ピットマンアームに連結する軸上に設けられる。
【0052】
傾斜センサ72は、苗移植機1(走行車体2)の傾きである傾斜角(たとえば、ロール角、ピッチ角)を検出する。
【0053】
また、制御部100には、操作信号として、たとえば、主変速レバー30、副変速レバー31、苗植付部昇降スイッチ73、線引きマーカ自動昇降スイッチ74、自動旋回切替スイッチ75、モード切替スイッチ76などから信号が入力される。
【0054】
苗植付部昇降スイッチ73は、苗植付部3を昇降を切り替えるスイッチである。苗植付部昇降スイッチ73は、「上昇」および「下降」位置に変更可能である。苗植付部昇降スイッチ73が「上昇」位置にあるときは、苗植付部3は、所定の非作業位置まで上昇し、植付装置36(図1参照)が停止する非作業状態(苗植付部3の「切」状態)となる。苗植付部昇降スイッチ73が「下降」位置にあるときは、苗植付部3は、所定の作業位置まで下降し、植付装置36が作動する作業状態(苗植付部3の「入」状態)となる。すなわち、苗植付部昇降スイッチ73は、苗植付部3の作業状態が検出可能なスイッチである。
【0055】
線引きマーカ自動昇降スイッチ74は、ハンドル22の操舵量(すなわち、前輪11の操舵量)に連動して線引きマーカを自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ74が「ON」のときは、操舵量に連動して線引きマーカを自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ74が「OFF」のときは、操舵量に連動して線引きマーカを自動的に昇降させる制御は実行されない。
【0056】
自動旋回切替スイッチ75は、操縦者が苗移植機1を手動で操縦する場合において自動旋回の実行を可とするか不可とするかを切り替えるスイッチである。なお、自動旋回切替スイッチ75が「ON」のときは、自動旋回の実行を可とする。自動旋回切替スイッチ75が「OFF」のときは、自動旋回の実行を不可とする。モード切替スイッチ76は、苗移植機1(走行車体2)の自律走行を実行するか否かを切り替えるスイッチである。
【0057】
なお、制御部100には、方位センサ(図示せず)などが接続されてもよい。方位センサは、たとえば、機体(走行車体2)の進行方向の絶対方位角(たとえば、「北」を0°(360°)、「東」を90°、「南」を180°、「西」を270°)を検出する。方位センサは、一定時間ごとに絶対方位角を検出し、検出した絶対方位角を制御部100へ送信する。
【0058】
制御部100は、操舵量センサ71の検出結果に基づいて、ステアリングモータ66を介してハンドル22を制御する。制御部100は、ハンドル22を制御しつつ、位置情報取得装置50によって取得された走行車体2の位置情報(走行車体2の自己位置)などにに基づいて、走行車体2の直進制御および旋回制御を行う。
【0059】
また、制御部100は、苗植付部3を制御する。具体的には、制御部100は、苗タンク35の苗送りローラ353を駆動制御する。苗送りローラ353は、苗タンク35における苗マットMPLの各搬送路となる各底面351(図4参照)に設けられ、回転駆動されることで、苗送りベルト354(図4参照)を、苗マットMPLの搬送方向D(すなわち、苗タンク35における上方から下方)へ回転させる。
【0060】
また、制御部100は、植付爪38を駆動制御する。植付爪38は、苗マットMPLからを掻き取り、掻き取った苗を圃場の土壌面に植え付ける。このように、制御部100は、苗植付部3の苗送りローラ353や植付爪38を駆動制御することで、苗の植付量(苗植付量)を調整する。
【0061】
<苗マット検出のための制御系>
次に、図3を参照して苗マットMPL検出のための制御系について説明する。図3は、苗マットMPL検出のための制御系の一例を示すブロック図である。
【0062】
図3に示すように、苗移植機1(図1参照)は、苗タンク35(図1参照)において搬送される各苗マットMPL図4参照)を検出するために抵抗値を測定する電極90を備える。電極90は、測定した抵抗値を制御部100へと出力する。
【0063】
制御部100は、たとえば、抵抗値取得部111と、継ぎ目判定部112と、苗マット検出部113と、苗マット計数部114と、苗マット数記憶部115とを備える。抵抗値取得部111は、電極90から出力された抵抗値を取得する。継ぎ目判定部112は、抵抗値が変化した場合に、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目S(図5参照)として判定する。
【0064】
苗マット検出部113は、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが判定されると、たとえば、前回の継ぎ目Sと今回の継ぎ目Sとの間を苗マットMPLとして検出する。苗マット計数部114は、苗マットMPLが検出されると、1枚の苗マットMPLとしてカウントする。苗マット数記憶部115は、苗マットMPLがカウントされると、苗マットMPLがカウントされるたびに苗マットMPL数を記憶する。
【0065】
このように、制御部100は、電極90によって測定された抵抗値に基づいて、苗タンク35において搬送される苗マットMPLを検出する。電極90によって測定された抵抗値に基づいて苗マットMPLを検出することで、苗マットMPLをカウントすることができる。これにより、使用する苗マットMPL数をより正確に検出することができる。そして、使用する苗マットMPL数を正確に検出することで、苗マットMPLの計画的な使用が可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0066】
また、電極90によって測定された抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sを検出するため、苗タンク35において連なって搬送される苗マットMPLに対して、苗マットMPLを1枚ずつ検出することができる。
【0067】
また、苗マット計数部114は、苗マットMPLをカウントする場合に、モニタ120へ出力する。モニタ120は、たとえば、苗マットMPLがカウントされるたびに、苗マットMPLをカウントアップするように表示する。モニタ120は、たとえば、メータパネルに設けられる。モニタ120は、たとえば、苗移植機1との間で通信可能な携帯端末に設けられてもよい。
【0068】
また、苗マット数記憶部115は、苗マットMPL数を記憶する場合に、モニタ120へ出力する。モニタ120は、たとえば、苗マットMPLのカウントアップ表示とは別に、苗マットMPL数(たとえば、苗マットMPLの単一の圃場における数量や複数の圃場における数量)を表示する。
【0069】
<苗マット検出構成>
次に、図4~15を参照して、第1~8例に係る苗マットMPL検出構成について説明する。図4および5は、苗マットMPL検出構成の第1例の説明図である。なお、図4には、苗タンク35の概略斜視(一部)を示しており、図5には、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの搬送状態を模式的に示している。
【0070】
図4に示すように、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(91)が設けられる。電極91の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第1例において、電極91は、苗タンク35における苗マットMPLの搬送路となる側面352に設けられる。また、電極91は、複数(たとえば、2つ)の電極板であり、側面352において、苗マットMPLの搬送方向Dに沿って設けられる。複数の電極91は、所定の間隔をあけて設けられる。
【0071】
第1例では、複数の電極91で抵抗値を測定することで、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出することができる。この場合、制御部100(図3参照)は、各電極(電極板)91によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出する。
【0072】
図5に示すように、電極91は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極91は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目Sが存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極91による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0073】
このような第1例によれば、搬送方向Dに沿って間欠的に配置された複数の電極(電極板)91による抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの位置を検出することができる。これにより、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができるとともに、苗マットMPLの搬送状況の把握も可能となる。
【0074】
図6は、苗マットMPL検出構成の第2例の説明図である。なお、図6には、苗タンク35の概略斜視(一部)を示している。
【0075】
図6に示すように、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(92)が設けられる。電極92の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第2例において、電極91は、苗タンク35における苗マットMPLの搬送路となる底面351に設けられる。また、電極92は、複数(たとえば、2つ)の電極板であり、底面351において、苗マットMPLの搬送方向Dに沿って設けられる。複数の電極92は、所定の間隔をあけて設けられる。電極92は、苗送りベルト354を挟んで、苗送りベルト354の上流側と下流側とにそれぞれ設けられる。
【0076】
第2例でも、複数の電極92で抵抗値を測定することで、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出することができる。この場合、制御部100(図3参照)は、各電極(電極板)92によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出する。
【0077】
電極92は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極92は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目Sが存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極92による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0078】
このような第2例によれば、搬送方向Dに沿って間欠的に配置された複数の電極(電極板)92による抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの位置を検出することができる。これにより、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができるとともに、苗マットMPLの搬送状況の把握も可能となる。また、電極92が底面351に設けられることで、苗マットMPLに電極92を安定して接触させることができる。
【0079】
図7および8は、苗マットMPL検出構成の第3例の説明図である。なお、図7には、苗タンク35の概略斜視(一部)を示しており、図8には、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの搬送状態を模式的に示している。
【0080】
図7に示すように、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(93)が設けられる。電極93の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第3例において、電極93は、苗タンク35における苗マットMPL図8参照)の搬送路となる底面351に設けられる。また、電極93は、複数(たとえば、2つ)の電極板であり、底面351において、苗マットMPLの搬送方向Dに沿って設けられる。複数の電極93は、所定の間隔をあけて設けられる。電極93は、苗送りベルト354を挟んで、苗送りベルト354の上流側と下流側とにそれぞれ設けられる。なお、第3例において、電極93は、苗マットMPLの搬送路となる側面352に設けられてもよい。
【0081】
底面351には、段差351aが設けられる。段差351aは、底面351が苗マットMPLの搬送方向Dの下流側へ向かうにつれて高くなることで形成される。段差351aは、たとえば、苗送りベルト354を挟んで、苗送りベルト354の左右に設けられる。
【0082】
第3例でも、複数の電極93で抵抗値を測定することで、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出することができる。この場合、制御部100(図3参照)は、各電極(電極板)93によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出する。
【0083】
電極93は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極93は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目Sが存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極93による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0084】
図8に示すように、第3例では、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとが段差351aによって搬送方向Dに離れることで、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが広がる。
【0085】
このような第3例によれば、搬送方向Dに沿って間欠的に配置された複数の電極(電極板)93による抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの位置を検出することができる。これにより、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができるとともに、苗マットMPLの搬送状況の把握も可能となる。また、電極93が底面351に設けられることで、苗マットMPLに電極93を安定して接触させることができる。
【0086】
また、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとが底面351の段差351aによって離れるため、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが広がり、電極93による抵抗値の変化がより明確となる。
【0087】
図9および10は、苗マットMPL検出構成の第4例の説明図である。なお、図9には、苗タンク35の概略斜視(一部)を示しており、図10には、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの搬送状態を模式的に示している。
【0088】
図9に示すように、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(94)が設けられる。電極94の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第4例において、電極94は、苗タンク35における苗マットMPL図10参照)の搬送路となる底面351に設けられる。また、電極94は、複数(たとえば、2つ)の電極板であり、底面351において、苗マットMPLの搬送方向Dに沿って設けられる。複数の電極94は、所定の間隔をあけて設けられる。電極94は、苗送りベルト354を挟んで、苗送りベルト354の上流側と下流側とにそれぞれ設けられる。なお、第4例において、電極94は、苗マットMPLの搬送路となる側面352に設けられてもよい。
【0089】
底面351には、段差351aが設けられる。段差351aは、底面351が苗マットMPLの搬送方向Dの下流側へ向かうにつれて高くなることで形成される。段差351aは、たとえば、苗送りベルト354を挟んで、苗送りベルト354の左右に設けられる。
【0090】
また、底面351には、スイッチ351bが設けられる。スイッチ351bは、底面351における段差351aの下方に設けられる。スイッチ351bは、段差351aを乗り越えた苗マットMPLに押下される。
【0091】
第4例でも、複数の電極94で抵抗値を測定することで、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出することができる。この場合、制御部100(図3参照)は、各電極(電極板)94によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出する。
【0092】
電極94は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極94は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目Sが存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極94による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0093】
図10に示すように、第4例では、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとが段差351aによって搬送方向Dに離れることで、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが広がる。また、第4例では、段差351aを乗り越えた苗マットMPLが底面351に再度着地するときに、苗マットMPLの後端部によってスイッチ351bが押下される。
【0094】
このような第4例によれば、搬送方向Dに沿って間欠的に配置された複数の電極(電極板)94による抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの位置を検出することができる。これにより、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができるとともに、苗マットMPLの搬送状況の把握も可能となる。また、電極94が底面351に設けられることで、苗マットMPLに電極94を安定して接触させることができる。
【0095】
また、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとが底面351の段差351aによって離れるため、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが広がり、電極94による抵抗値の変化がより明確となる。
【0096】
また、底面351の段差351aによって搬送方向D上流側の苗マットMPLから離れた搬送方向D下流側の苗マットMPLが底面351に再度着地するときにスイッチ351bを押下することで、苗マットMPLをカウントすることができる。このように、スイッチ351bによっても苗マットMPLをカウントすることで、使用する苗マットMPL数をさらに正確に検出することができる。
【0097】
図11は、苗マットMPL検出構成の第5例の説明図である。なお、図10には、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの搬送状態を模式的に示している。
【0098】
図11に示すように、苗タンク35には、苗抑え棒355が設けられる。苗抑え棒355は、苗マットMPLの搬送路となる底面351に沿って延びており、底面351において上方から苗マットMPLを抑える。また、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(95)が設けられる。電極95の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第5例において、電極95は、苗抑え棒355である。
【0099】
電極95としても機能する苗抑え棒355は、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割される。苗抑え棒355は、上流側および下流側のそれぞれで苗マットMPLを抑える。なお、苗抑え棒355は、搬送方向Dに沿って延びているため、苗マットMPLを苗抑え棒355に沿って摺動させる。このため、苗抑え棒355が苗マットMPLの搬送の妨げとなることはない。
【0100】
電極95(苗抑え棒355)は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極95は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目S(図5参照)が存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極95による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0101】
このような第5例によれば、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割された苗抑え棒355を電極95とすることで、電極95によって測定された抵抗値に基づいて苗マットMPLを検出することができる。これにより、電極95を別途設けることなく、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができる。
【0102】
図12は、苗マットMPL検出構成の第6例の説明図である。なお、図12には、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの搬送状態を模式的に示している。
【0103】
図12に示すように、苗タンク35には、苗抑え棒355が設けられる。苗抑え棒355は、苗マットMPLの搬送路となる底面351に沿って延びており、底面351において上方から苗マットMPLを抑える。また、苗タンク35には、抵抗値を測定する電極90(96)が設けられる。電極96の抵抗感知は、作業者などによって任意に設定することができる。第6例において、電極96は、苗抑え棒355である。
【0104】
電極96としても機能する苗抑え棒355は、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割される。苗抑え棒355は、上流側および下流側のそれぞれで苗マットMPLを抑える。なお、苗抑え棒355は、搬送方向Dに沿って延びているため、苗マットMPLを苗抑え棒355に沿って摺動させる。このため、苗抑え棒355が苗マットMPLの搬送の妨げとなることはない。
【0105】
また、苗マットMPLの搬送方向Dの下流側の苗抑え棒355は、搬送方向Dの上流側の端部(上端部)355aが上方へ向けて屈曲形成される。
【0106】
電極96(苗抑え棒355)は、1枚の苗マットMPLの場合には、たとえば、「抵抗値A」を測定する。電極96は、苗マットMPLと苗マットMPLとの間に継ぎ目S(図5参照)が存在する場合、すなわち、苗マットMPLと苗マットMPLとが離れている場合には、たとえば、「抵抗値B」を測定する。このように、制御部100は、電極96による抵抗値の変化によって、継ぎ目Sを検出し、継ぎ目Sを検出することで、苗マットMPLを検出する。
【0107】
このような第6例によれば、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割された苗抑え棒355を電極96とすることで、電極96によって測定された抵抗値に基づいて苗マットMPLを検出することができる。これにより、電極96を別途設けることなく、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができる。
【0108】
また、下流側の苗抑え棒355の搬送方向D上流側の端部(上端部)355aが上方へ向けて屈曲形成されることで、すなわち、下流側の苗抑え棒355の上端部355aに角度をつけることで、下流側の苗抑え棒355が苗マットMPLを受け入れやすくなる。これにより、下流側の苗抑え棒355が苗マットMPLの搬送を妨げるのを抑制することができる。
【0109】
図13は、苗マットMPL検出構成の第7例の説明図である。なお、図13には、苗タンク35の概略背面を示している。
【0110】
図13に示すように、苗タンク35の延長部356には、スイッチ357が設けられる。なお、苗タンク35の延長部356は、苗タンク35の上端部において上方へ伸縮可能であり、苗タンク35に積載される苗マットMPLが苗タンク35からはみ出す場合などに延伸させることで、苗マットMPLの安定した積載を可能とする部分である。
【0111】
第7例においては、作業者が苗タンク35の各搬送路となる各底面351に苗マットMPLを積載する場合に、底面351に積載される苗マットMPLによってスイッチ357が押下されることで、苗マットMPLをカウントする。
【0112】
このような第7例によれば、作業者による苗マットMPLの積載作業によって苗マットMPLがスイッチ357を押下する。そして、苗マットMPLがスイッチ357を押下することで、苗マットMPLをカウントすることができる。また、スイッチ357が全条(全搬送路)に設けられることで、各条間の苗の使用量のばらつきを検出することができ、より高精度な苗の使用量の検出が可能となる。
【0113】
図14および15は、苗マットMPL検出構成の第8例の説明図である。なお、図14には、苗移植機1(苗タンク35)の概略側面を示しており、図15には、苗タンク35の概略拡大側面を示している。
【0114】
図14および15に示すように、苗タンク35の上端部(たとえば、延長部356)には、レーザ測距センサ358が設けられる。レーザ測距センサ358は、苗マットMPLの各搬送路に設けられ、搬送路において最も上流側に配置される苗マットMPLの上端縁との距離Dを測定する。レーザ測距センサ358は、苗マットMPLまでの距離Dが急激に変化する(短縮する)と、苗マットMPLが1枚追加されたとして、苗マットMPLを検出する。すなわち、作業者によって苗マットMPLが積載されると、苗マットMPLまでの距離Dが瞬時に縮まるため、苗マットMPLの積載作業を利用して苗マットMPLを検出することができる。
【0115】
このような第8例によれば、作業者による苗マットMPLの積載作業によって苗マットMPLを検出することができる。また、苗マットMPLまでの距離Dを検出することで、苗の消費量をより正確に検出することも可能となり、資材の計画的な使用が可能となり、作業効率を向上させることができる。たとえば、圃場全体で使用する苗マットMPLの数量を予め設定し、苗タンク35に積載した苗マットMPLの数量を圃場全体で使用する数量とすることで、苗の消費量を調整することができる。
【0116】
また、苗タンク35の上端部(たとえば、延長部356)に、苗マットMPLを物理的にカウントするためのスイッチ357をさらに設けてもよい。スイッチ357は、作業者が苗タンク35の各搬送路となる各底面351に苗マットMPLを積載する場合に、苗マットMPLに押下されることで、苗マットMPLをカウントする。
【0117】
また、たとえば、レーザ測距センサ358による苗マットMPLまでの距離Dの測定と、スイッチ357による苗マットMPLの投入(積載)タイミングの検出と、植付爪38における苗の植付量および苗の掻き取り回数とによって、苗タンク35に積載された苗マットMPLの圧縮率を検出することができる。
【0118】
また、たとえば、レーザ測距センサ358によって検出された苗の消費量と、位置情報取得装置50によって取得された苗移植機1の自己位置の変化量(スリップ量)と、圃場に植え付けた苗の間隔(株間)とから算出された苗の使用量と比較して、苗マットMPLの圧縮率を検出することもできる。なお、苗マットMPLの圧縮率は、モニタ120(図3参照)に表示させてもよい。
【0119】
なお、第8例では、苗マットMPLまでの距離Dを測定するためにレーザ測距センサ358を用いているが、レーザ測距センサ358に代えて超音波センサを用いてもよい。超音波センサを用いても苗マットMPLまでの距離Dを測定することができる。
【0120】
<苗マット圧縮率検出構成>
次に、図16および17を参照して苗マットMPL圧縮率検出構成について説明する。図16は、苗マットMPL圧縮率検出構成の説明図である。なお、図16には、苗タンク35の概略背面(一部)を示している。図17は、苗植付量補正のための制御系の一例を示すブロック図である。
【0121】
図16に示すように、苗マットMPL圧縮率検出構成として、苗タンク35は、目盛359を有する。目盛359は、苗マットMPLの搬送路を形成する側壁352aの上面352bに配置される。側壁352aは、苗タンク35において、苗マットMPLを左右方向において規制する。なお、側壁352aの側面は、苗マットMPLの搬送路となる側面352である。
【0122】
目盛359は、苗マットMPLの搬送方向Dにおける圧縮率を示すように形成される(表記される)。目盛359は、圧縮されていない状態を「100(%)」として、上流側の苗マットMPLに押圧されて搬送方向Dに縮んだ苗マットMPLを、「99(%)」、「98(%)」、・・・のように示すことができる。
【0123】
図17に示すように、制御部100は、たとえば、圧縮率取得部121と、補正指示部122とを備える。圧縮率取得部121は、入力部130と接続され、入力部130から出力される苗マットMPLの圧縮率を取得する。入力部130は、たとえば、メータパネルに設けられ、目盛359の値を見た作業者による苗マットMPLの圧縮率の入力操作を受け付ける。入力部130は、たとえば、苗移植機1(図1参照)との間で通信可能な携帯端末に設けられてもよい。
【0124】
補正指示部122は、圧縮率取得部121で取得した圧縮率に応じて苗の植付量を補正するように、苗植付部3へ補正指示を出力する。すなわち、制御部100は、苗マットMPLの圧縮率に応じて苗の植付量を補正するように、苗植付部3において、苗マットMPLを搬送(移動)させる苗送りローラ353(図2参照)の回転速度を制御するか、または苗マットMPLから苗を掻き取る植付爪38(図2参照)の回転速度を制御することで、苗の植付量を調整(補正)する。
【0125】
このように、制御部100は、目盛359の値に基づいた圧縮率が入力されると、入力された圧縮率に応じて苗植付部3による苗の植付量を補正する。これにより、苗マットMPLの圧縮率の違いによる苗の植付量(使用量)の変動を抑制することができる。これにより、苗マットMPLを計画的に使用することができ、作業効率を向上させることができる。
【0126】
<その他の構成>
苗移植機1において、各種情報提供システムから提供されるマップデータと、リアルタイムセンシングによる土壌データとに基づいて、可変施肥を行う場合がある。この場合、各種情報提供システムから提供されるマップデータにおける、圃場における肥沃度や水分などの地力を示すマップ(地力マップ)、または育成マップのいずれも選択可能し、リアルタイムセンシングする作土深を優先する可変施肥を行う。
【0127】
これまでは、圃場の肥沃度については、ティーチングデータに対する比較値であることから、たとえば、大規模な圃場では、平均値の設定に誤りがある場合は正常な可変施肥を行うことができなかったが、作土深については、圃場を問わず安定したセンシングを行うことができるようになった。このように、AI分析に基づいたマップデータおよびリアルタイムセンシングの利点を最大限に活用できるシステムとすることで、より高精度な可変施肥を行うことができる。
【0128】
上記のような可変施肥において、地力マップ、または育成マップに基づいた可変施肥を行ううえで、作土深データに閾値を設定し、可変マップに一定の比率を乗じるようにしてもよい。
【0129】
また、上記のような可変施肥において、地力マップ、または育成マップおよび作土深に基づいた施肥結果を実績マップとして作成し、次年度の施肥計画につなげるようにしてもよい。
【0130】
また、苗移植機1において、リターンレールにスイッチを設け、空の苗箱の通過を検出する構成を備えてもよい。これにより、苗タンク35に投入(積載)する苗マットMPLの数量を把握することができる。この場合、スイッチによって検出された苗箱の数量をモニタへ累積表示する。また、累積した数量をリセットするリセットボタンを備えてもよい。
【0131】
また、苗移植機1において、図14および15に示すように、苗タンク35の上部にレーザ測距センサ358を設ける場合、苗の植付が「入」、畦クラッチ「入」、かつ走行中で苗送りを検出していても苗マットMPLまでの距離に変化がない場合には、たとえば、「苗送り不良」のような警告文をモニタに表示させてもよい。また、これと同時に機体を一時停止させてもよい。これにより、苗マットMPLの搬送不良による連続欠株の発生を抑制することができる。
【0132】
また、上記のような苗マットMPLの搬送不良の警告表示構成において、たとえば、モニタは、モードの「ON」、「OFF」を切り替える機能を備えてもよい。
【0133】
また、苗移植機1において、苗の消費量検出開始ボタンと、苗の消費量リセットボタンとを備え、苗タンク35に苗マットMPLがない状態で苗の消費量の検出またはリセットを実行するように警告表示するラベルを備えてもよい。なお、ラベルに代えて、警告表示を、モニタによって表示する構成としてもよい。
【0134】
また、苗移植機1において、苗タンク35の上部および中部にスイッチを設け、上部スイッチが押されている場合には、上部スイッチが押されなくなるまでの苗タンク35の横送り回数および苗マットMPLの縦送り回数から苗の消費量を測定し、苗タンク35の上部スイッチが押されていない場合には、中部スイッチが押されなくなるまでの苗タンク35の横送り回数および苗マットMPLの縦送り回数から苗の消費量を測定する構成としてもよい。
【0135】
また、苗移植機1において、図16に示すように、目盛359によって苗マットMPLの搬送方向Dにおける圧縮率を示す場合、作業者が苗マットMPLの圧縮率を入力すると、モニタなどに現在値から補正後の苗の植付量(植付爪38による苗の掻き取り量)を表示してもよい。また、作業者が苗マットMPLの圧縮率を入力すると、モニタなどに現在値から補正後の株間(推奨株間)および苗タンク35の横送り回数を表示してもよい。また、作業者が苗マットMPLの圧縮率を入力すると、現在値から推奨される無段階株間へ自動で変更する構成としてもよい。
【0136】
また、苗移植機1は、図18に示すように、高圧バッテリ81の電力で左右のモータ82を駆動するEVモードを備えてもよい。図18は、EVモードの駆動系を示すブロック図である。
【0137】
図18に示すように、苗移植機1は、エンジンEと、HST80と、フロントギヤケース(前輪ファイナルケースともいう)15と、高圧バッテリ81と、後輪ギヤケース16と、左右のモータ82と、作業機用モータ83と、作業機(すなわち、苗植付部)3と、ISGモータ84と、低圧バッテリ85と、DCDCコンバータ86と、ライトなどの電気機器87とを備える。
【0138】
苗移植機1は、高圧バッテリ81の電力で左右のモータ82を駆動するEVモードへ切り替え可能に構成される。EVモードでは、後輪12のみ駆動する後輪駆動となる。これにより、作業機である苗植付部3を電動で駆動することができるため、エンジンEの出力を下げることができ、燃費を向上させるとともに排ガスの排出量を抑えることができる。
【0139】
また、苗移植機1において、高圧バッテリ81の残量がなく、高圧バッテリ81の電力として必要な量がISGモータ84の発電量では満たされないと判断される状況では、左右のモータ82を駆動用から発電用として切り替える構成としてもよい。
【0140】
また、苗移植機1において、低圧バッテリ85によってライト、表示パネル、施肥装置40(図1参照)におけるブロー、苗植付部3における苗の植付深さ・苗取量などを制御するためのアクチュエータを駆動する場合、低圧バッテリ85の残量が乏しい場合には、高圧バッテリ81の電力を、DCDCコンバータ86によって変圧し、蓄電可能とする構成としてもよい。
【0141】
また、苗移植機1において、作業機である苗植付部3に大きな駆動力が必要な場合(「Lパワーモード」)は、エンジンEおよびISGモータ84、高圧バッテリ81、作業機用モータ83の順番で優先して駆動力を供給する。また、作業機である苗植付部3に駆動力が必要な場合(「Hパワーモード」)は、左右のモータ82を駆動させないとともに、エンジンEおよびISGモータ84、高圧バッテリ81、作業機用モータ83の順番で優先して駆動力を供給する。また、作業機である苗植付部3にさらに大きな駆動力が必要な場合(「Sパワーモード」)は、左右のモータ82で発電して高圧バッテリで電力を供給するとともに、エンジンEおよびISGモータ84、左右のモータ82、高圧バッテリ81、作業機用モータ83の順番で優先して駆動力を供給する。
【0142】
上述してきた実施形態により、以下の苗移植機1が実現される。
【0143】
(1)圃場内を走行しながら圃場に苗を植え付ける苗移植機1であって、圃場内を走行可能な走行車体2と、走行車体2に設けられ、苗マットMPLを貯留する苗タンク35と、苗タンク35において搬送されてきた苗マットMPLから苗を掻き取り、掻き取った苗を植え付ける苗植付部3と、苗タンク35に設けられ、抵抗値を測定する電極90と、電極90によって測定された抵抗値に基づいて、苗タンク35において搬送される苗マットMPLを検出する制御部100とを備える、苗移植機1。
【0144】
このような苗移植機1によれば、苗タンク35に設けられた電極90によって測定された抵抗値に基づいて苗マットMPLを検出することで、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができる。これにより、使用する苗マットMPL数をより正確に検出することができる。そして、使用する苗マットMPL数を正確に検出することで、苗マットMPLの計画的な使用が可能となり、作業効率を向上させることができる。
【0145】
(2)上記(1)において、制御部100は、前記電極90によって測定された抵抗値の変化によって、苗タンク35における苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sを検出する、苗移植機1。
【0146】
このような苗移植機1によれば、上記(1)の効果に加えて、電極90によって測定された抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sを検出するため、苗タンク35において連なって搬送される苗マットMPLに対して、苗マットMPLを1枚ずつ検出することができる。
【0147】
(3)上記(2)において、電極910は、苗タンク35において苗マットMPLの搬送路となる底面351に設けられ、苗タンク35は、底面351に段差351aを有する、苗移植機1。
【0148】
このような苗移植機1によれば、上記(2)の効果に加えて、苗タンク35において搬送される苗マットMPLと苗マットMPLとが底面351の段差351aによって離れるため、苗マットMPLと苗マットMPLとの継ぎ目Sが広がり、電極90による抵抗値の変化がより明確となる。また、電極90が底面351に設けられることで、苗マットMPLに電極90を安定して接触させることができる。
【0149】
(4)上記(3)において、苗タンク35は、底面351における段差351aの下方に、苗マットMPLに押下されるスイッチ351bをさらに有する、苗移植機1。
【0150】
このような苗移植機1によれば、上記(3)の効果に加えて、底面351の段差351aによって搬送方向D上流側の苗マットMPLから離れた搬送方向D下流側の苗マットMPLが底面351に再度着地するときにスイッチ351bを押下することで、苗マットMPLをカウントすることができる。このように、スイッチ351bによっても苗マットMPLをカウントすることで、使用する苗マットMPL数をさらに正確に検出することができる。
【0151】
(5)上記(1)において、苗タンク35は、苗マットMPLの搬送路となる底面351に沿って延びており、底面351において上方から苗マットMPLを抑える苗抑え棒355を有し、苗抑え棒355は、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割され、電極90は、搬送方向Dの上流側および下流側の苗抑え棒355とする、苗移植機1。
【0152】
このような苗移植機1によれば、上記(1)の効果に加えて、苗マットMPLの搬送方向Dの上流側および下流側に分割された苗抑え棒355を電極90とすることで、電極90によって測定された抵抗値に基づいて苗マットMPLを検出することができる。これにより、電極90を別途設けることなく、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができる。
【0153】
(6)上記(5)において、搬送方向Dの下流側の苗抑え棒355は、搬送方向Dの上流側の端部355aが上方へ向けて屈曲形成される、苗移植機1。
【0154】
このような苗移植機1によれば、上記(5)の効果に加えて、下流側の苗抑え棒355の搬送方向D上流側の端部(上端部)355aが上方へ向けて屈曲形成されることで、すなわち、下流側の苗抑え棒355の上端部355aに角度をつけることで、下流側の苗抑え棒355が苗マットMPLを受け入れやすくなる。これにより、下流側の苗抑え棒355が苗マットMPLの搬送を妨げるのを抑制することができる。
【0155】
(7)上記(1)において、苗タンク35は、苗マットMPLの搬送路となる底面351と、側面352とを有し、電極90は、複数の電極板であり、側面352において苗マットMPLの搬送方向Dに沿って間をあけて設けられ、制御部100は、電極板(電極)90によって測定された抵抗値の変化によって、苗マットMPLが搬送方向Dのいずれの位置にあるかを検出する、苗移植機1。
【0156】
このような苗移植機1によれば、上記(1)の効果に加えて、搬送方向Dに沿って間欠的に配置された複数の電極板(電極)90による抵抗値の変化によって、苗タンク35において搬送される苗マットMPLの位置を検出することができる。これにより、苗タンク35において搬送される苗マットMPLをカウントすることができるとともに、苗マットMPLの搬送状況の把握も可能となる。
【0157】
(8)上記(1)~(7)のいずれかにおいて、苗タンク35は、苗マットMPLの搬送方向Dにおける圧縮率を示す目盛359を有し、制御部100は、苗植付部3を制御するとともに、目盛359の値に基づいた圧縮率が入力されると、入力された圧縮率に応じて苗植付部3による苗の植付量を補正する、苗移植機1。
【0158】
このような苗移植機1によれば、上記(1)~(7)のいずれかの効果に加えて、苗マットMPLの圧縮率の違いによる苗の植付量(使用量)の変動を抑制することができる。これにより、苗マットMPLを計画的に使用することができ、作業効率を向上させることができる。
【0159】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0160】
1 苗移植機
2 走行車体
3 苗植付部
35 苗タンク
90 電極
100 制御部
351 底面
351a 段差
351b スイッチ
352 側面
355 苗抑え棒
359 目盛
PL 苗マット
S 継ぎ目
図1
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