(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102647
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】チューブ用移動具、移動ユニット及びチューブ設置方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61M16/00 305Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006674
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】521223623
【氏名又は名称】松▲崎▼ 悟
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 悟
(57)【要約】
【課題】 使用者が長尺のチューブを使用しながら移動するためのチューブ用移動具を提供する。
【解決手段】 長尺のチューブに用いられるチューブ用移動具であって、移動経路の上方に配置され、移動をガイドする長尺の線状体と、前記線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能な複数の移動ユニットと、を備え、チューブの一端側が移動すると、複数の前記移動ユニットの少なくとも一部が追従して、前記移動経路の上方においてチューブの一端側と他端側の間の少なくとも一部を保持して移動する、チューブ用移動具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のチューブに用いられるチューブ用移動具であって、
移動経路の上方に配置され、移動をガイドする長尺の線状体と、
前記線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能な複数の移動ユニットと、を備え、
チューブの一端側が移動すると、複数の前記移動ユニットの少なくとも一部が追従して、前記移動経路の上方においてチューブの一端側と他端側の間の少なくとも一部を保持して移動する
ことを特徴とする、チューブ用移動具。
【請求項2】
前記移動ユニットは、
前記線状体が挿通する係合体と、
前記係合体に連結され、チューブを挟持する挟持体と、を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ用移動具。
【請求項3】
前記移動ユニットは、チューブを長手方向が前記線状体の長手方向に沿うように保持できる
ことを特徴とする、請求項1に記載のチューブ用移動具。
【請求項4】
前記係合体は、開閉可能に構成される
ことを特徴とする、請求項2に記載のチューブ用移動具。
【請求項5】
前記係合体は、正円リング状である
ことを特徴とする、請求項2または4に記載のチューブ用移動具。
【請求項6】
前記挟持体は、
前記係合体が挿通する挿通部と、
チューブを着脱可能に挟持する挟持部と、を有する
ことを特徴とする、請求項2に記載のチューブ用移動具。
【請求項7】
前記挿通部は、正円リング状である
ことを特徴とする、請求項6に記載のチューブ用移動具。
【請求項8】
長尺のチューブに用いられる移動ユニットであって、
移動経路の上方に配置される長尺の線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能であり、チューブの一端側が移動すると、追従して、前記移動経路の上方においてチューブの所定箇所を保持して移動でき、
前記線状体が挿通する係合体と、
前記係合体に連結され、チューブを挟持する挟持体と、を備える
ことを特徴とする、移動ユニット。
【請求項9】
長尺のチューブを移動させるためのチューブ設置方法であって、
移動経路の上方に、移動をガイドする長尺の線状体を配置するステップと、
前記線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能な複数の移動ユニットを、前記線状体に設置するステップと、
複数の前記移動ユニットのそれぞれに、チューブの所定箇所を固定するステップと、を含み、
チューブの一端側が移動すると、複数の前記移動ユニットの少なくとも一部が追従して、前記移動経路の上方においてチューブの一端側と他端側の間の少なくとも一部を保持して移動する
ことを特徴とする、チューブ設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のチューブに用いられるチューブ用移動具、移動ユニット及びチューブ設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内で長尺のチューブを一端側が他端側から離れるまたは接近するように移動させることがある。例えば、在宅酸素療法(体の中に酸素を十分に取り込めないため長期に亘り自宅で酸素を吸入する療法)を行いながら生活する使用者は、長尺のチューブをこのように移動させながら使用する。酸素を吸入する長尺のチューブは、カニューラといい、一端側に使用者の鼻孔に挿入される吸入部が設けられ、他端側が酸素濃縮器等の供給装置(以下酸素濃縮器を例に説明する)に接続される。
【0003】
カニューラは在宅使用の観点から様々な工夫がされ、例えば、特許文献1には「可撓性材料で形成され気体や液体を送るためのチューブ状の本体と、該チューブ状の本体の長さ方向に沿って設けられ、該チューブの気体や液体に引火した際の火炎電流を検出する火炎検出装置の一部となるように、該チューブ内で互いに電気的に分離されている少なくとも一対の導電金属製の線材とを具備することを特徴とする火炎検出用カニューラ」が提案されている(特許文献1の請求項1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
病状や環境にもよるが、使用者は、一般的に、屋内で、酸素濃縮器がある部屋と、トイレやリビング等の他の部屋を行き来しながら生活する。その際に、カニューラのチューブは、床に置き、引きずりながら移動する。床に置かれた長尺のチューブは、絡んだり、引っかかったりすることがある。とりわけ、使用者が車椅子で移動する場合は、車輪でチューブを踏み潰して酸素を吸入できなくなったり、チューブが破損したりすることがある。
【0006】
上記特許文献は、火炎の延焼を防止できるものの、屋内における使用者の移動のための工夫はされていない。
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのものであり、使用者が長尺のチューブを使用しながら移動するためのチューブ用移動具、移動ユニット及びチューブ設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の一態様は、長尺のチューブに用いられるチューブ用移動具であって、移動経路の上方に配置され、移動をガイドする長尺の線状体と、前記線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能な複数の移動ユニットと、を備え、チューブの一端側が移動すると、複数の前記移動ユニットの少なくとも一部が追従して、前記移動経路の上方においてチューブの一端側と他端側の間の少なくとも一部を保持して移動する。
【0009】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記移動ユニットは、前記線状体が挿通する係合体と、前記係合体に連結され、チューブを挟持する挟持体と、を備える。
【0010】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記移動ユニットは、チューブを長手方向が前記線状体の長手方向に沿うように保持できる。
【0011】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記係合体は、開閉可能に構成される。
【0012】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記係合体は、正円リング状である。
【0013】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記挟持体は、前記係合体が挿通する挿通部と、チューブを着脱可能に挟持する挟持部と、を有する。
【0014】
好ましくは、上記チューブ用移動具において、前記挿通部は、正円リング状である。
【0015】
上記の課題を解決する本発明の一態様は、長尺のチューブに用いられる移動ユニットであって、移動経路の上方に配置される長尺の線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能であり、チューブの一端側が移動すると、追従して、前記移動経路の上方においてチューブの所定箇所を保持して移動でき、前記線状体が挿通する係合体と、前記係合体に連結され、チューブを挟持する挟持体と、を備える。
【0016】
上記の課題を解決する本発明の一態様は、長尺のチューブを移動させるためのチューブ設置方法であって、移動経路の上方に、移動をガイドする長尺の線状体を配置するステップと、前記線状体と係合する状態で前記線状体上を滑り移動可能な複数の移動ユニットを、前記線状体に設置するステップと、複数の前記移動ユニットのそれぞれに、チューブの所定箇所を固定するステップと、を含み、チューブの一端側が移動すると、複数の前記移動ユニットの少なくとも一部が追従して、前記移動経路の上方においてチューブの一端側と他端側の間の少なくとも一部を保持して移動する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用者が長尺のチューブを使用しながら移動するためのチューブ用移動具、移動ユニット及びチューブ設置方法を提供することができる。
【0018】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態のチューブ用移動具の使用状態の例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態のチューブ用移動具の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態のチューブ用移動具の一例を示す概略図で、側方から観察した図である。
【
図4】移動ユニットの一例を示す概略図で、後方から観察した図である。
【
図5】チューブ用移動具の他の一例を示す概略図で、側方から観察した図である。
【
図6】移動ユニットの他の一例を示す概略図で、後方から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態のチューブ用移動具の使用状態の例を示す斜視図である。本実施形態のチューブ用移動具1は、長尺のチューブTをスムーズに移動させるためのものである。
【0022】
本実施形態のチューブ用移動具1は、移動経路の上方に配置され、移動をガイドする長尺の線状体2と、線状体2と係合する状態で線状体2上を滑り移動可能な複数の移動ユニット5とを備える。チューブTの一端側T1が移動すると、複数の移動ユニット5の少なくとも一部が追従して、移動経路の上方においてチューブTの一端側T1と他端側T2の間の少なくとも一部を保持して移動する。
【0023】
日常生活において、酸素濃縮器は、例えば寝室に置かれる。使用者は、寝室と他の部屋(例えばトイレやリビング、玄関、サンルーム等)を行き来するが、その際に、チューブTは、床に置かれ、使用者はこれを引きずりながら移動する。チューブTは、最長の移動経路を想定して長めに設定されるため、長尺であり、絡んだり、引っかかったりすることがある。とりわけ、車椅子で移動する場合は、車輪でチューブを踏み潰して酸素を吸入できなくなったり、チューブが破損したりすることがあり、安全面(健康面)や経済面で好ましくない。
【0024】
本実施形態のチューブ用移動具1は、線状体2と連結している複数の移動ユニット5が、移動経路の上方でチューブTを保持し、且つ保持している状態で移動できるため、チューブTが絡んだり、車輪で踏み潰されたりすることを回避できる。図示例では、チューブTは、天井に近い位置において、複数の移動ユニット5に保持されている状態で、右奥の部屋Aから、手前の部屋Bまで移動している。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態のチューブ用移動具の一例を示す斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態のチューブ用移動具の一例を示す概略図で、側方から観察した図である。
図4は、移動ユニットの一例を示す概略図で、後方から観察した図である。
図3及び
図4において、Xは前後方向、Yは上下方向(鉛直方向)、Zは左右方向を示す。以下、本実施形態の構成の一例を、後方(-X方向)から前方(+X方向)へ移動して前進し、前方から後方へ移動して戻る前後方向の移動経路を例に説明する。
【0026】
線状体2は、長尺の部材で、移動経路の上方に前後方向に延びるように配置される。線状体2は、例えば、一端が酸素濃縮器のある部屋の対象物(壁や柱状物等)の天井に近い位置に固定され、他端が移動目的地の部屋の対象物(壁や柱状物等)の天井に近い位置に固定されて、移動経路の上方の天井近くに張られる。
【0027】
線状体2には、一例として針金が用いられる。カーテンレールのような面で受け止められる(支えられる)ガイド部材があるが、一面の壁に固定されるため、移動範囲が制限される。また、壁に衝突する恐れがあるため、車椅子による移動には向いていない。天井にカーテンレールのようなものを固定することも考えられるが、部屋を跨ぐ移動はできない。また、使用者やその家族が自らこのような部材を設置することは難しい。一方、本例の針金は、両端を壁の突起物や部屋内の柱状物に固定するだけでよいので設置が簡便である。また、針金は、長さも調整しやすく、部屋を跨ぐ移動にも好適である。
【0028】
線状体2には、より好ましくは、柔軟性を有し且つ強靭な部材が用いられる。このような部材として、線状体2には、例えば釣り糸が用いられる。釣り糸は、針金の長所を有する上、設置がよりしやすく、移動ユニット5の滑りがよりよくなる。
【0029】
移動ユニット5は、線状体2に連結される。移動ユニット5は、係合体3と挟持体4を備える。一例として、移動ユニット5は、線状体2が挿通する係合体3と、係合体3に連結され、チューブTを挟持する挟持体4とを備える。
【0030】
係合体3は、
図2のように、閉じた枠状に構成され、好ましくは開閉可能に構成される。係合体3は、例えば、開状態にして、一端を挟持体4に通してから、線状体2に引っ掛けて係合させ、その後閉状態にする。係合体3は、一旦閉状態にすると、開操作をしない限り閉状態を維持するようになっている。係合体3を開閉可能に構成することで、移動ユニット5の設置やチューブTの吊下げ作業が容易になる。
【0031】
係合体3は、挟持体4の後述の挿通部41を開閉可能に構成して、係合体3は開閉しない構成としてもよい。この場合、線状体2の少なくとも一つの端部は、係合体3を通してから対象物に固定される。係合体3と挟持体4を、このように離脱可能に構成することで、移動ユニット5の設置が容易になる。なお、係合体3と挟持体4は離脱不能に連結されてもよい。
【0032】
係合体3は、
図3のように、静状態で、線状体2の延伸方向(長手方向)に直交する。使用者が前方へ移動すると、係合体3は、線状体2と係合する状態で、ガイドとなる線状体2上を前方に滑り移動する。使用者が後方へ移動すると、係合体3は、線状体2と係合する状態で、ガイドとなる線状体2上を後方に滑り移動して戻る。
【0033】
係合体3の滑り移動は、チューブTのT1側の移動、即ち使用者の移動に追従するものであるが、例えば、カニューラの場合は、使用者の鼻孔に挿入されている吸入部が脱落しない程度の力で行われるので、線状体2との摩擦力はできるだけ小さいほうが好ましい。このような観点から、係合体3は、線状体2と接する内周面が丸みを有する形状が好ましく、例えば、
図3の破線で示すように、断面形状が正円形状である。
【0034】
係合体3は、好ましくは、上端及び下端が丸みを有する枠形状、例えば正円リング状や楕円リング状、長円リング状である。係合体3は、
図4のように、例えば、正円リング状である。使用者は、概ね移動経路に沿って移動するが、実際の移動は直線にはならず、左に寄ったり右に寄ったりしながら進むことが予想される。係合体3をこのように円弧状に構成することで、線状体2との接触箇所が円滑に切り替えられるようにし、使用者の多様な移動に柔軟に対応できるようにする。係合体3には、一例として、いわゆるカードリングが用いられる。
【0035】
挟持体4は、係合体3が挿通する挿通部41と、チューブTを着脱可能に挟持する挟持部42とを有する。挟持体4は、挿通部41と挟持部42を連結する連結部43を有してもよい。
【0036】
挟持体4は、一例として、
図4のように、挿通部41、挟持部42及び連結部43が一体に形成される挟持片40を1対備えて構成される。両挟持片40は、共通の軸部44が挿入され、これにより接続される。挟持体4は、不図示の弾性部材が軸部44に設けられて、1対の挟持片40が弾発的に開閉できる。挟持体4には、一例として、いわゆる目玉クリップが用いられる。挟持体4は、1対の挟持片40のうちの一方により係合体3と連結する。以下、連結側の挟持片40を例に説明する。
【0037】
挿通部41は、
図3のように、係合体3を挿通させる厚み方向を貫通する貫通孔411を有する。挿通部41は、好ましくは、貫通孔411が円形に形成され、図示のように側方視正円リング状である。挿通部41は、このように構成することで、係合体3と接触可能な面を増やし、接触箇所を柔軟に切り替えて、使用者の多様な移動に柔軟に対応できる。
【0038】
挟持部42は、一例として、
図3のように側方視長尺に形成される。本例では、下方に位置する挟持部42が横長で上下端が直線状であるため、挟持体4が全体として略逆T字状である。挟持部42は、両端間の横幅(X方向の幅)や形状が、両端でチューブTが自重で折れ曲がって破損しない程度に設定される。チューブTをより円弧に近い形状に保持して屈曲の度合いを減らすという観点から、挟持部42の幅は、狭く設定するほうが好ましい。同様な観点から、挟持部42は、下端が側方視円弧状に形成されて、チューブTを円弧状に保持できるようにしてもよい。
【0039】
挟持部42は、
図4のように後方視円弧状である。挟持部42は、チューブTをしっかり保持できるように、円弧部分の長さが長いほうが好ましい。一例として、挟持体4は、1対の挟持片40の挟持部42の円弧部分によってチューブTの円周の1/2以上を囲えるように構成される。
【0040】
挟持体4は、チューブTが破損しないように、例えば樹脂製が好ましい。より好ましくは、樹脂製の挟持体4に、
図4のように、さらにゴムなどの緩衝材45が設けられる。
【0041】
移動ユニット5は、
図3及び
図4のように、静状態で、係合体3が線状体2に直交し、挟持体4が係合体3に直交するので、チューブTの挟み方向が線状体2の方向を向く。言い換えれば、移動ユニット5は、チューブTを長手方向が線状体2の長手方向に沿うように保持できる。以上に記載のように、本実施形態の移動ユニット5は、係合体3と挟持体4を備える。
【0042】
なお、移動ユニット5を係合体3のみで構成し、係合体3にチューブTを直接通すことも考えられるが、移動ユニット5に対してチューブTが固定されていないため、使用者が移動すると、チューブTが係合体3に対して滑り移動してしまい、係合体3が使用者の移動を追従しない。すなわち、このような移動ユニット5は、移動機能や保持機能を果たせず、チューブTが落ちてしまう。
【0043】
移動ユニット5を挟持体4のみで構成し、挟持体4の挿通部41に線状体2を直接通すことも考えられるが、挟持体4において、挟持部42に保持されているチューブTの延伸方向と、挿通部41を挿通する線状体2の延伸方向が直交するため、使用者が移動すると、チューブTが曲がり、挟持体4が回転して、線状体2上をうまく滑れなくなる。すなわち、このような移動ユニット5は、移動機能を果たせなくなる。
【0044】
なお、図示及び上記で述べた移動ユニット5の構成は、一例に過ぎず、同様な機能を果たせるのであれば、他の構成でもよい。
【0045】
図5は、チューブ用移動具の他の一例を示す概略図で、側方から観察した図である。
図6は、移動ユニットの他の一例を示す概略図で、後方から観察した図である。本例は、挟持体4が上記例と異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0046】
本例の挟持体4は、係合体3が挿通する挿通部41と、チューブTを挟持する挟持部42とを有し、より具体的には、一の挿通部41と、当該挿通部41に連結される1対の挟持部42を有する。
【0047】
挿通部41は、係合体3を挿通させる厚み方向を貫通する貫通孔411を有し、挟持体4は、挿通部41により係合体3に連結される。挿通部41のその他の構成は、上記例と同様である。
【0048】
1対の挟持部42は、開閉可能に構成され、開状態にしてチューブTを取り込んでから、閉状態にして使用する。1対の挟持部42は、一旦閉状態にすると、開操作をしない限り閉状態を維持するようになっている。開閉機構は特に限定されず、公知技術が適宜用いられる。
【0049】
挟持部42は、本例では、
図5のように、側方視横幅が略同幅に形成される。挟持部42は、横幅や形状が、両端でチューブTが自重で折れ曲がって破損しない程度に設定される。チューブTをより円弧に近い形状に保持して屈曲の度合いを減らす観点から、挟持部42の横幅は、狭く設定するほうが好ましく、挿通部41の幅と同幅ないしやや小さく形成されてもよい。
【0050】
挟持部42は、
図6のように後方視他の挟持部とで略滴状をなすように形成されてもよい。挟持部42は、チューブTをしっかり保持できるように、円弧部分の長さが長いほうが好ましい。一例として、1対の挟持部42の円弧部分により、チューブTの円周の1/2以上を囲えるように構成される。
【0051】
以上、本実施形態のチューブ用移動具1について説明したが、
図1のように、チューブ用移動具1は、移動ユニット5を用いてチューブTを線状体2に持たせる、チューブTのハンガーとも言える。チューブ用移動具1は、移動ユニット5を線状体2に連結し、チューブTを挟持体で挟むだけでよいので、設置及び操作が非常に簡便である。
【0052】
すなわち、長尺のチューブTは、移動経路の上方に、移動をガイドする長尺の線状体2を配置するステップ、線状体2と係合する状態で線状体2上を滑り移動可能な複数の移動ユニット5を、線状体2に設置するステップ、及び、複数の移動ユニット5のそれぞれに、チューブTの所定箇所を固定するステップで設置すれば、チューブTの一端側T1が移動すると、複数の移動ユニット5の少なくとも一部が追従して、移動経路の上方においてチューブTの一端側T1と他端側T2の間の少なくとも一部を保持して移動する。なお、設置方法は、これに限定されず、先に、複数の移動ユニット5のそれぞれにチューブTの所定箇所を固定してから、移動ユニット5を線状体2に設置してもよい。
【0053】
なお、以上の説明では、チューブ用移動具1が酸素を吸入するためのチューブに用いられる例を説明したが、同様に移動させる他のチューブに用いられてもよいことは言うまでもない。
【0054】
以上、本発明に係るチューブ用移動具の実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、以上の各実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 チューブ用移動具
2 線状体
3 係合体
4 挟持体
40 挟持片
41 挿通部
42 挟持部
5 移動ユニット