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特開2024-102659サンドスプレー装置およびサンドスプレー方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102659
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】サンドスプレー装置およびサンドスプレー方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 7/00 20060101AFI20240724BHJP
   E01C 19/20 20060101ALI20240724BHJP
   B24C 5/06 20060101ALI20240724BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B24C7/00 F
E01C19/20
B24C7/00 A
B24C7/00 Z
B24C5/06 Z
B24C11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006698
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】503068428
【氏名又は名称】ニッシンキカイサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 卓
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA06
2D052AD13
2D052BA20
2D052DA14
(57)【要約】
【課題】噴射する砂を貯蔵する容器の重量が軽く、構造も簡単で、安価であり、取り扱いも便利で、加圧装置の圧力調整も容易であり、砂のスプレー量にバラツキを生じることが少なく、均一化しやすく、効率よく作業することができるサンドスプレー装置および方法を提供すること。
【解決手段】サンドスプレー本体と、砂吸引部と、スプレー部とにより構成されたサンドスプレー装置であって、サンドスプレー本体は、加圧空気と砂を圧送する圧送管と、圧送管の後端近傍に設けられ、加圧装置に接続される圧力調整部と、圧力調整部の下流側に設けられた加圧用ニードルにより負圧を発生させる負圧発生部と、負圧発生部に接続された砂供給管とにより構成されているサンドスプレー装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンドスプレー本体と、砂吸引部と、スプレー部とにより構成されたサンドスプレー装置であって、
前記サンドスプレー本体は、加圧空気と砂を圧送する圧送管と、前記圧送管の後端近傍に設けられ、加圧装置に接続される圧力調整部と、前記圧力調整部の下流側に設けられた加圧用ニードルにより負圧を発生させる負圧発生部と、前記負圧発生部に接続された砂供給管とにより構成され、
前記砂吸引部は、前記砂供給管に接続された砂移送用ホースと、前記砂移送用ホースに接続された砂取込用管と、砂を貯蔵する砂貯蔵容器とにより構成され、
前記スプレー部は、前記圧送管の先端に接続されたスプレー用ホースにより構成され、
前記加圧装置から送り込まれ、前記負圧発生部により急速化した空気により形成された負圧により、前記砂取込用管から吸入された砂が、前記砂移送用ホースおよび前記砂供給管を通じて前記圧送管に流入し、前記急速化した空気により急速状態で前記スプレー用ホースからスプレーされるように構成されていることを特徴とするサンドスプレー装置。
【請求項2】
前記砂取込用管の側面に負圧吸引用エアホース接続管が取り付けられ、前記負圧吸引用エアホース接続管の先端に負圧吸引用エアホースが取り付けられており、前記負圧吸引用エアホースの先端が、空気中に開放されていることを特徴とする請求項1に記載のサンドスプレー装置。
【請求項3】
前記負圧吸引用エアホースの内径が6~12mmであることを特徴とする請求項2に記載のサンドスプレー装置。
【請求項4】
前記スプレー用ホース、前記砂移送用ホース、および前記負圧吸引用エアホースが合成樹脂製であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のサンドスプレー装置。
【請求項5】
前記砂取込用管の先端近傍の側面に、砂吸引孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置。
【請求項6】
前記砂取込用管の先端近傍の側面に設けられた前記砂吸引孔と、前記負圧吸引用エアホース接続管の取付部の距離が50~100mmであることを特徴とする請求項5に記載のサンドスプレー装置。
【請求項7】
前記圧送管の内径、前記砂供給管の内径、前記砂移送用ホースの内径、および、前記砂取込用管の内径が、6~12mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置。
【請求項8】
前記スプレー用ホースの先端にスプレーガンが接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたサンドスプレー装置を用いて、砂をスプレーするサンドスプレー方法であって、
前記加圧装置から前記圧力調整部に送り込まれる空気の圧力が、0.5~0.7MPaであることを特徴とするサンドスプレー方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたサンドスプレー装置を用いて、砂をスプレーするサンドスプレー方法であって、
前記圧力調整部により圧力調整され、前記加圧用ニードルに送り込まれる空気の圧力が、0.5~0.7MPaになるように、前記圧力調整部により圧力調整することを特徴とするサンドスプレー方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドスプレー装置およびサンドスプレー方法に関し、より詳しくは、駐車場、道路の路面上、建屋屋上等での滑り止め、防水等の目的のために、コンクリートもしくは樹脂塗工面等に所定粒度の砂(例えば、珪砂4号、珪砂5号などの砂)を効率よくほぼ均一に噴射・散布するためのサンドスプレー装置およびサンドスプレー方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記した駐車場、道路の路面上、建屋屋上等での滑り止めや防水等の目的のためのサンドスプレー装置として、加圧式スプレーマシンやサンドブラスト装置が用いられている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-240763公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した装置の場合、種々の問題点があった。
【0005】
まず、加圧式スプレーマシンの場合、噴射する砂を専用の密閉系耐圧容器に貯蔵しておかなければならず、そのため必然的に容器その物の重量が増し、その取り扱いに種々の不便を来すのみならず高価なものとなっていた。
【0006】
図5は、従来の加圧式スプレーマシンを示す図であり、加圧式スプレーマシン5は、ホッパー51の下側に連結された密閉系耐圧容器52を備えている。そして、密閉系耐圧容器52は、上端に砂の投入口、下端に放出口を備えており、ホッパー51から投入された砂が、投入口から密閉系耐圧容器52内部に投入され、投入後、投入口が閉じられ、放出口が開けられて砂が放出される。
【0007】
具体的には、図外のエア加圧装置に接続されたエア導入部53から導入されたエアが、途中で分岐し、一方は、エア導入管54を通って密閉系耐圧容器52内に送られ、密閉系耐圧容器52内に収容された砂を下方の放出口に向けて加圧する。他方は、エア導入管55を通ってエア噴出部56に送られ、放出口から放出された砂が、エア噴出部56でエアと混ざり合い、スプレー用ホース57を通じてスプレーされる。
【0008】
しかし、上記した通り、密閉系耐圧容器52は、大型で重量があり、台車59に載置しておく必要があり、その取り扱いに種々の不便を来すのみならず高価なものとなっていた。
【0009】
次に、サンドブラスト装置の場合、剥離剤や磨き剤を強力に噴射しなければならないため、強力なコンプレッサー等の加圧装置が用いられており、加圧式スプレーマシン同様に、重量が増し、その取り扱いに種々の不便を来すのみならず高価なものとなっていた。さらに、サンドスプレーとして用いる場合には、加圧装置の圧力調整が難しく、時間と手間を要していた。
【0010】
図6は、サンドブラスト装置6を示す図であり、強力なコンプレッサー等の加圧装置に接続されているため、加圧式スプレーマシン同様、ホッパー61の下側に連結された耐圧容器62も、図面に示される通り、大型で重量があり、頑丈な脚柱68が必要であり、その取り扱いに種々の不便を来すのみならず高価なものとなっていた。そして、強力なコンプレッサー等の加圧装置に接続されているため、サンドスプレーとして用いる場合には、加圧装置の圧力調整が難しく、時間と手間を要していた。
【0011】
また、従来の加圧式スプレーマシンやサンドブラスト装置を用いる場合、砂の噴出量にバラツキを生じることが多々あり、効率よく作業することができなかった。
【0012】
そこで、本発明は、噴射する砂を貯蔵する容器として専用の密閉系耐圧容器を用いる必要がなく、また強力なコンプレッサー等の加圧装置を用いる必要もなく、そのため容器の重量が軽く、構造も簡単で、安価であり、取り扱いも便利で、加圧装置の圧力調整も容易で、必要以上の時間と手間を要すことがないサンドスプレー装置および方法を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、砂のスプレー量にバラツキを生じることが少なく、均一化しやすく、
効率よく作業することができるサンドスプレー装置および方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題の解決について鋭意検討を行い、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
請求項1に記載の発明は、
サンドスプレー本体と、砂吸引部と、スプレー部とにより構成されたサンドスプレー装置であって、
前記サンドスプレー本体は、加圧空気と砂を圧送する圧送管と、前記圧送管の後端近傍に設けられ、加圧装置に接続される圧力調整部と、前記圧力調整部の下流側に設けられた加圧用ニードルにより負圧を発生させる負圧発生部と、前記負圧発生部に接続された砂供給管とにより構成され、
前記砂吸引部は、前記砂供給管に接続された砂移送用ホースと、前記砂移送用ホースに接続された砂取込用管と、砂を貯蔵する砂貯蔵容器とにより構成され、
前記スプレー部は、前記圧送管の先端に接続されたスプレー用ホースにより構成され、
前記加圧装置から送り込まれ、前記負圧発生部により急速化した空気により形成された負圧により、前記砂取込用管から吸入された砂が、前記砂移送用ホースおよび前記砂供給管を通じて前記圧送管に流入し、前記急速化した空気により急速状態で前記スプレー用ホースからスプレーされるように構成されていることを特徴とするサンドスプレー装置である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
前記砂取込用管の側面に負圧吸引用エアホース接続管が取り付けられ、前記負圧吸引用エアホース接続管の先端に負圧吸引用エアホースが取り付けられており、前記負圧吸引用エアホースの先端が、空気中に開放されていることを特徴とする請求項1に記載のサンドスプレー装置である。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
前記負圧吸引用エアホースの内径が6~12mmであることを特徴とする請求項2に記載のサンドスプレー装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、
前記スプレー用ホース、前記砂移送用ホース、および前記負圧吸引用エアホースが合成樹脂製であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のサンドスプレー装置である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、
前記砂取込用管の先端近傍の側面に、砂吸引孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置である。
【0020】
請求項6に記載の発明は
前記砂取込用管の先端近傍の側面に設けられた前記砂吸引孔と、前記負圧吸引用エアホース接続管の取付部の距離が50~100mmであることを特徴とする請求項5に記載のサンドスプレー装置である。
【0021】
請求項7に記載の発明は
前記圧送管の内径、前記砂供給管の内径、前記砂移送用ホースの内径、および、前記砂取込用管の内径が、6~12mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置である。
【0022】
請求項8に記載の発明は
前記スプレー用ホースの先端にスプレーガンが接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のサンドスプレー装置である。
【0023】
請求項9に記載の発明は
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたサンドスプレー装置を用いて、砂をスプレーするサンドスプレー方法であって、
前記加圧装置から前記圧力調整部に送り込まれる空気の圧力が、0.5~0.7MPaであることを特徴とするサンドスプレー方法である。
【0024】
請求項10に記載の発明は
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたサンドスプレー装置を用いて、砂をスプレーするサンドスプレー方法であって、
前記圧力調整部により圧力調整され、前記加圧用ニードルに送り込まれる空気の圧力が、0.5~0.7MPaになるように、前記圧力調整部により圧力調整することを特徴とするサンドスプレー方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、噴射する砂を貯蔵する容器として専用の密閉系耐圧容器を用いる必要がなく、また強力なコンプレッサー等の加圧装置を用いる必要もなく、そのため容器の重量が軽く、構造も簡単で、安価であり、取り扱いも便利で、加圧装置の圧力調整も容易で、必要以上の時間と手間を要すことがないサンドスプレー装置および方法を提供することができる。
【0026】
また、本発明によれば、砂のスプレー量にバラツキを生じることが少なく、均一化しやすく、効率よく作業することができるサンドスプレー装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施の形態に係るサンドスプレー装置の全体図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るサンドスプレー装置のサンドスプレー本体を示す図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るサンドスプレー装置の砂取込用管と負圧吸引用エアホース接続管を示す斜視図である。
図4】砂取込用管と負圧吸引用エアホース接続管の構造を示す図である。
図5】加圧式スプレーマシンの一例を説明する図である。
図6】サンドブラスト装置の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0029】
[1]本発明の基本的な考え方
最初に、本発明の基本的な考え方について説明する。
【0030】
本発明者は、従来のサンドスプレーをする装置の場合、砂の噴出量にバラツキを生じることが多々あり、効率よく作業することができなかった原因について装置の構造、砂の供給からノズル噴出までの流れを詳細に検討した。その結果、従来のサンドスプレーをする装置の場合、砂を加圧して供給している点に問題があることが分った。具体的には、砂を加圧して供給しているため、砂が詰まりやすく、砂の噴出量にバラツキを生じることが多々あり、効率よく作業することができなかったことが分かった。
【0031】
そこで、本発明者は、砂を加圧して供給する方法を採用せずに砂を供給する方法を鋭意検討した。その結果、砂を吸引する方法に思い至った。そして、砂を吸引する具体的な方法を検討した結果、ベンチュリー効果を利用して砂を吸引することを思い付いた。
【0032】
具体的には、加圧装置により加圧された空気を加圧用ニードルにより高圧化し、急速化した空気により形成された負圧により、砂を吸入することを思い付いた。そして、吸入した砂を急速化した空気流により急速状態でスプレーすることにより、砂加圧方式ではないため、砂の噴出量にバラツキが生じることなく、効率よく作業することができ、また、急速化した空気流を利用できるため、急速状態でスプレーすることができる一方、圧力を調整することにより適度な速度でスプレーすることもできることを確認した。
【0033】
また、砂を加圧して供給する方法を採用していないため、従来のような砂を貯蔵するための専用の密閉系耐圧容器を必要とせず、強力なコンプレッサー等の加圧装置も必要としない。このため、軽量で、取り扱いも便利であり、加圧装置の圧力調整も容易で、必要以上の時間と手間を要することがない。
【0034】
また、負圧を発生させるための特別の装置を必要とせず、加圧装置により加圧された空気を加圧用ニードルにより高圧化するという簡単な構造の安価な装置で、砂の噴出量にバラツキが生じることなく、効率よく作業することができる装置を提供することができることを確認した。
【0035】
[2]具体的な実施の形態
以下、具体的な実施の形態を挙げて、詳しく説明する。
【0036】
1.サンドスプレー装置
図1は、本発明の一実施の形態に係るサンドスプレー装置の全体図であり、本実施の形態に係るサンドスプレー装置は、サンドスプレー本体2と、砂吸引部30と、スプレー部4とにより構成されている。
【0037】
(1)サンドスプレー本体
図2は、本発明の一実施の形態に係るサンドスプレー装置1のサンドスプレー本体2を示す図であり、(a)は側面図、(b)は内部構造を示す断面図である。サンドスプレー本体2は、加圧空気と砂を圧送する圧送管21と、圧送管21の後端近傍に設けられ、加圧装置に接続される圧力調整部22aと、圧力調整部22aの下流側に設けられた加圧用ニードル22bにより負圧を発生させる負圧発生部22と、負圧発生部22に接続された砂供給管23とにより構成されている。
【0038】
(a)圧送管
圧送管21は、図外の加圧装置から送り込まれてきた高圧の空気を、スプレー部4に送り込む管であり、途中より空気流に乗せて砂を送り込む管である。圧送管21には、通常、高圧に耐えられる鉄管が用いられ、内径は6~12mmであることが好ましい。
【0039】
(b)圧力調整部
圧送管21の後端近傍には、圧力調整バルブなどの圧力調整部22aが設けられており、圧力調整部22aは、加圧装置に接続されている。これにより、加圧装置により加圧された空気が、圧力調整部22aにより圧力調整されてスプレー部4に送り込まれる。
【0040】
(c)負圧発生部
本実施の形態に係るサンドスプレー装置1においては、砂を加圧して取り込むのではなく、砂を吸引して取り込むため、圧力調整部22aの下流側に負圧発生部22が設けられている。具体的には、圧力調整部22aが圧力調整バルブ(ニードルバルブなど)により構成され、圧送管21の内部に加圧用ニードル22bが設けられている。加圧用ニードル22bを圧送管21に設けると、圧送管21を通過中の空気は、加圧用ニードル22bの中心部の細い流路から圧送されるため、空気流が急速になる。このように急速化した空気が流れる圧送管21の側面に管、本実施の形態においては砂供給管23を接続すると、ベンチェリー効果により、砂供給管23には負圧が発生する。
【0041】
加圧用ニードル22bの中心部の細い流路の径は、1.0~3.5mmが好ましく、より好ましくは1.5~3.0mmである。また、加圧装置から圧力調整部22aに送り込まれる空気の圧力は、0.5~0.7MPaであることが好ましい。これにより、ベンチュリー効果により砂を吸収するための好適な負圧を発生させることができる。
【0042】
(d)砂供給管
上記した通り、本実施の形態においては、ベンチェリー効果により負圧が発生する管として、砂供給管23が圧送管21の側面に接続されている。
【0043】
砂供給管23を圧送管21の側面に接続する位置は、加圧用ニードル22bにより空気流が急速になっている部分であり、通常は、加圧用ニードル22bの先端近傍である。
【0044】
砂供給管23は、圧送管21同様、一般的には鉄管が用いられ、内径は6~12mmであることが好ましい。
【0045】
(2)砂吸引部
砂吸引部30は、砂供給管23に接続された砂移送用ホース35と、砂移送用ホース35に接続された砂取込用管32と、砂を貯蔵する砂貯蔵容器36とにより構成されている。
【0046】
(a)砂移送用ホース
砂移送用ホース35は、砂取込用管32により取込まれた砂を、砂供給管23に移送するホースである。砂移送用ホース35は、合成樹脂製であることが好ましく、内径が6~12mm、長さが100~200cmであることが好ましい。砂移送用ホースは作業環境に応じて適宜、交換することが可能である。
【0047】
(b)砂取込用管
砂取込用管32は、砂貯蔵容器36に貯蔵された砂の集積部から、砂を直接取り込む管である。内径は6~12mmであることが好ましく、特に好ましくは9mmである。砂取込用管32の先端を砂の集積部に埋設することにより、加圧用ニードル22bによるベンチェリー効果により、発生した負圧により砂取込用管32の先端から砂が吸い込まれる。
【0048】
この場合において、砂を円滑に吸い込むため、本実施の形態に係るサンドスプレー装置1においては、2つの工夫がなされている。
【0049】
1つは、砂取込用管32の側面に設けられた砂吸引孔32b、32cである。残りの1つは、砂取込用管32の側面に設けられた負圧吸引用エアホース接続管33に接続された負圧吸引用エアホース34である。
【0050】
(c)砂吸引孔
はじめに、砂吸引孔について説明する。
【0051】
図3は砂取込用管32と負圧吸引用エアホース接続管33を示す斜視図である。また、図4は砂取込用管32と負圧吸引用エアホース接続管33の構造を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は(a)に示した砂取込用管を下方から見た図であり、(c)は(b)のA-A矢視図である。
【0052】
前記した通り、砂は、砂取込用管32の先端32aから吸い込まれる。しかし、砂取込用管32の先端32aからだけでは、効率的な吸引に限界がある。このため、砂取込用管32の側面からも砂を吸引できるように、砂取込用管の側面に砂吸引孔32b、32cが設けられている。このように、砂を吸引する孔を砂取込用管32の先端32a以外にも設けることにより、効率的に多くの砂を吸引することができる。
【0053】
また、砂取込用管32の側面に設けられる砂吸引孔32b、32cは、その大きさを調整することが可能である。砂取込用管32の先端32aからの吸引の場合、砂取込用管32の径が決まっているため、吸引できる孔の大きさに限界がある。しかし、砂取込用管32の側面の砂吸引孔32b、32cの場合、砂取込用管32の径以上の大きさの孔を形成することが可能である。
【0054】
また、砂取込用管32の側面に設けられる砂吸引孔は、複数設けることも可能である。これにより、砂の集積状態によらず、砂を効率的に取り込むことができる。本実施の形態においては、砂吸引孔32b、32cの2つの砂吸引孔が砂取込用管の側面に設けられている。そして、砂取込用管32の先端32aを含めると、3カ所から砂を吸引することが可能な構成にされている。
【0055】
(d)負圧吸引用エアホース
次に、負圧吸引用エアホース34について説明する。本実施の形態に係るサンドスプレー装置1においては、砂取込用管32の側面に、負圧吸引用エアホース34が設けられている。そして、負圧吸引用エアホース34の先端開口部が、空気中に開放されている。
【0056】
具体的には、負圧吸引用エアホース34を砂取込用管32の側面へ取り付けるために、砂取込用管32の側面に、負圧吸引用エアホース接続管33が取り付けられている。そして、負圧吸引用エアホース接続管33に負圧吸引用エアホース34が接続されている。負圧吸引用エアホース34は、軽量性とフレキシブル性に優れている観点から合成樹脂製であることが好ましい。内径は6~12mmであることが好ましく、特に好ましくは9mmである。
【0057】
砂だけの場合、砂取込用管32と砂移送用ホース35により砂が移送される時に、速度が低下しやすく、負圧の状況によっては、詰まりやすい状態になる。しかし、負圧吸引用エアホース34が設けられている場合には、砂と空気が混合され、砂の効率的な移送が可能となる。
【0058】
負圧吸引用エアホース接続管33の取付部は、砂取込用管32の先端近傍が好ましく、砂取込用管の側面に砂吸引孔32b、32cを設ける場合には、砂吸引孔32b、32cより砂移送用ホース35側で、砂吸引孔32b、32cとの距離が、50~200mmであることが好ましく、より好ましくは、50~100mmである。
【0059】
(e)砂貯蔵容器
砂貯蔵容器36は、砂取込用管32に吸引される砂を貯蔵する容器である。加圧式の場合は、重量のある金属製の耐圧容器を必要とするが、本実施の形態の場合は、そのような必要性はない。砂取込用管32の先端32aおよび砂吸引孔32b、32cが、貯蔵した砂の集積体に埋設できればよいため、紙袋やバケツであってもよい。紙袋の場合は、適宜大きな紙袋から小さい紙袋まで容易に取り換えることができるため好ましい。
【0060】
砂貯蔵容器36に貯蔵される砂は、珪砂が好ましく、散布場所、また散布の目的にもよるが、珪砂4号もしくは珪砂5号が好ましい。
【0061】
砂貯蔵容器36がタンクの場合には、砂取込用管32は、タンクの側面下部から挿入して固定されるが、紙袋の場合には、砂取込用管32の先端32aおよび砂吸引孔32b、32cが、砂の集積体に埋設できるように、紙袋の開口部から挿入される。この場合、砂取込用管32の側面に負圧吸引用エアホース34が設けられている場合には、負圧吸引用エアホース34の先端開口部が、砂の集積体に埋設されないように注意する必要がある。
【0062】
(3)スプレー部
スプレー部4は、スプレー用ホース41を備えている。スプレー用ホース41は、圧送管21に接続されており、先端が開放されている。圧送管において急速化した気流に乗って移送された砂が、スプレー用ホース41の先端41aからスプレーされる。図1において、S1はスプレーされた砂である。
【0063】
スプレー用ホース41の内径は圧送管21の内径と同じであることが好ましい。これにより、気流の流れに対する抵抗を低く抑えることができる。スプレー用ホース41は、合成樹脂製であることが好ましい。前記のように、合成樹脂は軽量であり、またフレキシブルであるため、スプレーの向きを自由に変えることができる。スプレー用ホースの長さは、作業環境により適宜決められるが、通常は、500~2000cmである。また、スプレー用ホースは、作業環境に応じて交換することが可能である。
【0064】
また、スプレー部4は、スプレーガン42を備えていることが好ましい。スプレーガン42は、スプレー用ホース41と接続可能なスプレー材料の注入口42aを備えており、必要に応じてスプレー用ホース41の先端に取り付けて使用される。スプレーガン42を使用することにより、スプレーの噴射角度、スプレー速度などを容易に調整することができ、しかも必要により砂と一緒にウレタン系もしくはエポキシ系等所望のスプレー樹脂を同時にスプレーすることができるため、好都合である。また、スプレーガンは、開閉機構を有しているため、スプレーのON、OFFを手元で簡単に切り替えることができる。
【0065】
2.サンドスプレー方法
次に、以上により構成されたサンドスプレー装置によるサンドスプレー方法について説明する。
【0066】
はじめに、砂貯蔵容器36に適量の砂を貯蔵する。砂はスプレーの途中に適宜、追加して貯蔵することが可能である。
【0067】
次に加圧装置を始動させる。加圧装置による空気の加圧が開始されると、圧送管21に加圧空気が流れ込み、圧力調整部22aにより圧力調整され、負圧発生部22である加圧用ニードル22bにより流れが急速化する。
【0068】
これにより、圧送管21に接続された砂供給管23に負圧が生じ、砂移送用ホース35を通じて砂取込用管32に負圧が生じ、砂貯蔵容器36に貯蔵された砂が砂取込用管32に吸引される。
【0069】
吸引された砂は、砂移送用ホース35および砂供給管23を通じて圧送管21に流入され、急速化した空気により急速状態でスプレー用ホース41からスプレーされる。
【0070】
この場合において、加圧装置から圧力調整バルブなどの圧力調整部22aに送り込まれる空気の圧力は、0.5~0.7MPaであることが好ましい。
【0071】
また、圧力調整部22aにより圧力調整され、加圧用ニードル22bに送り込まれる空気の圧力が、0.5~0.7MPaになるように、圧力調整部22aにより圧力調整することが好ましい。
【0072】
上記したサンドスプレー装置およびサンドスプレー方法は、駐車場、道路の路面上、建屋屋上等での滑り止め、防水等の目的のために、コンクリートもしくは樹脂塗工面等に所定粒度の砂を効率よくほぼ均一に噴射・散布するために用いられる。
【0073】
以上のように構成されたサンドスプレー装置および方法によれば、専用の密閉系耐圧容器を用いる必要がなく、また強力なコンプレッサー等の加圧装置を用いる必要もなく、そのため容器の重量が軽く、構造も簡単で、安価であり、取り扱いも便利で、加圧装置の圧力調整も容易で、必要以上の時間と手間を要すことがないサンドスプレー装置および方法を提供することができる。
【0074】
また、砂のスプレー量にバラツキを生じることが少なく、均一化しやすく、効率よく作業することができるサンドスプレー装置および方法を提供することができる。
【0075】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 サンドスプレー装置
2 サンドスプレー本体
21 圧送管
22 負圧発生部
22a 圧力調整部
22b 加圧用ニードル
23 砂供給管
30 砂吸引部
32 砂取込用管
32a 砂取込用管の先端
32b、32c 砂吸引孔
33 負圧吸引用エアホース接続管
34 負圧吸引用エアホース
35 砂移送用ホース
36 砂貯蔵容器
4 スプレー部
41、57 スプレー用ホース
41a スプレー用ホースの先端
42 スプレーガン
42a 注入口
5 加圧式スプレーマシン
51、61 ホッパー
52 密閉系耐圧容器
53 エア導入部
54、55 エア導入管
56 エア噴出部
59 台車
6 サンドブラスト装置
62 耐圧容器
68 脚柱
S 砂
S1 スプレーされた砂
図1
図2
図3
図4
図5
図6