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特開2024-102662検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102662
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G01N21/956 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006703
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕行
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB01
2G051AB02
2G051CA04
2G051CD02
2G051EA14
2G051EA16
2G051EB01
(57)【要約】
【課題】半透明異物を検知することができ、また、対象物表面の変質の検知能力が向上する検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】ワーク上の異物や欠陥の異常の有無を検知する検知装置である。焦点の異なるワークの画像を複数撮像する撮像手段と、撮像した夫々の画素において、画像の画素毎に合焦度に基づく合焦度特徴量の演算を行う合焦度演算手段と、異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲を設定する異常合焦度設定手段と、異常合焦度設定手段にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定する異常合焦度面積設定手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク上の異物や欠陥の異常の有無を検知する検知装置において、
焦点の異なるワークの画像を複数撮像する撮像手段と、
撮像した夫々の画素において、画像の画素毎に合焦度に基づく合焦度特徴量の演算を行う合焦度演算手段と、
異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲を設定する異常合焦度設定手段と、
前記異常合焦度設定手段にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定する異常合焦度面積設定手段とを備えたことを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記異常合焦度設定手段にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、前記異常合焦度面積設定手段にて設定された閾値を超えた場合に異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記異常合焦度設定手段にて設定された異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、前記異常合焦度面積設定手段の閾値を超えた場合に異常有りと判定する判定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項4】
前記合焦度演算手段により演算された合焦度特徴量に基づいて合焦度特徴量画像を作成する合焦度特徴量画像作成手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記合焦度特徴量は、夫々の画素における、合焦度の最大値、合焦度の最大値÷最小値、又はQ値であることを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項6】
ワーク上の異物や欠陥の異常の有無を検知する検知方法において、
焦点の異なるワークの画像を複数撮像し、
撮像した夫々の画素において、画像の画素毎に合焦度に基づく合焦度特徴量の演算を行い、
異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲を設定し、
設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定し、
設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、設定された閾値を超えた場合に異常を検知することを特徴とする検知方法。
【請求項7】
基板の所定位置にワイヤをボンディングした後、
焦点の異なるワークの画像を複数撮像し、
撮像した夫々の画素において、画像の画素毎に合焦度に基づく合焦度特徴量の演算を行い、
異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲を設定し、
設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定し、
設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、設定された閾値を超えた場合に異常を検知することを特徴とする電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(例えばワイヤボンディングが施されているもの)において、異物や欠陥などの異常の有無を検査する場合がある。例えば特許文献1に記載された欠陥の検出方法は、ピント計算部やピント合わせ部によって、ピンボケ補正を施した基準画像(正解パターン画像)と検査対象画像を用意する。そして、正解パターン画像と、検査対象画像との比較結果に基づいて、検査対象パターンの欠陥を検出する。
【0003】
特許文献2のものは、合焦点法により、全焦点画像及び高さ画像を得て、異物検査やその他の検査を行う。すなわち、ワイヤ及び被検査部を、被検査部からワイヤまで段階的に合焦するように撮像して高さ方向に焦点の異なる画像を取得して、画像の画素毎に合焦度を演算し、各画像における合焦度の分布情報に基づいて、被検査部を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-192358号公報
【特許文献2】特開2018-98249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の方法は、輝度画像(濃淡画像)の差分を取る方法である。このため、例えば半透明の異物が付着した場合は、輝度に差が生じにくく、その結果、輝度画像に明確な差が出ない異物や欠陥を検知しにくい。特許文献2に記載の方法は、輝度画像に加え、高さ画像も使用するものであるが、輝度画像に明確な差が出にくい異物や欠陥を検知しにくい。また、異物に高さが無い場合は、高さ画像で異物や欠陥を検知できない。すなわち、従来の異物・欠陥の外観検査方法では、明暗や色、高さ変化のある異物や欠陥の検知に限定され、半透明異物を検知することができず、また、ミラー面など正常時にテクスチャが存在しない面上において、輝度では見えにくい異物を検知することができなかった。
【0006】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、半透明異物を検知することができ、また、対象物表面の変質の検知能力が向上する検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検知装置は、ワーク上の異物や欠陥の異常の有無を検知する検知装置において、焦点の異なるワークの画像を複数撮像する撮像手段と、撮像した夫々の画素において、画像の画素毎に合焦度に基づく合焦度特徴量の演算を行う合焦度演算手段と、異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲を設定する異常合焦度設定手段と、前記異常合焦度設定手段にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定する異常合焦度面積設定手段とを備えたものである。
【0008】
本発明の検知装置によれば、ワーク上の外観検査として合焦度に基づく合焦度特徴量をパラメータとして用いる。このように、合焦度をパラメータとして用いることで、輝度や高さ情報では検知できない異常まで検知することができる。さらに、ユーザは、異常とする合焦度特徴量の数値範囲の設定、及び異常があると判断されるための面積の閾値の設定を行うだけでよく、簡単に検査設定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の検知装置、検知方法、及び電子部品の製造方法は、半透明異物を検知することができ、また、対象物表面の変質の検知能力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の検知装置を示すブロック図である。
図2】本発明の検知装置を示す概念図である。
図3】本発明の検知装置により作成された画像であり、(a)は全焦点画像、(b)は距離画像、(c)は合焦度特徴量画像を示す図である。
図4】本発明の検知装置の設定部表示手段を示す図である。
図5】本発明の検知方法の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1図5に基づいて説明する。
【0012】
本発明の検知装置は、ワークの異物又は欠陥の異常を検知するものである。本実施形態では、ワークの一例として、半導体チップ同士ないしは半導体チップとリードフレーム等の電極基板との間をワイヤボンディングによって接続した電子部品(半導体装置)において、特に、ワイヤ部分以外の表面を検知する場合について説明する。
【0013】
本発明の検知装置100は、図1に示すように、画像作成部1と設定部2と検知部3と表示手段4とを備える。
【0014】
画像作成部1は、ワークの表示用画像データを作成する手段であり、ワークの画像を撮像する撮像手段5と、画像において合焦度の演算を行う合焦度演算手段6と、撮像手段5にて撮像された焦点の異なる複数の画像から、全焦点画像を作成する全焦点画像作成手段7と、距離画像を作成する距離画像作成手段8と、合焦度特徴量画像を作成する合焦度特徴量画像作成手段9とを備える。
【0015】
撮像手段5は、例えば、CCDカメラやCMOSカメラ等で構成でき、撮影対象(撮像対象)の一部に合焦した画像の焦点面を移動させることができる。
【0016】
合焦度演算手段6は、撮像手段5により撮像した焦点の異なる複数の画像に基づいて、合焦度の演算を行い、さらに、後述する合焦度特徴量の演算を行うものである。合焦度とは、焦点が合っている度合いを表す量であり、公知の種々の方法を用いて算出され、例えば特開2012―23340の[0030]に記載された方法のように演算される。すなわち、合焦度演算手段6は、図2に示すように、撮像手段5により撮像した焦点の異なる複数の画像の夫々について、画素毎に合焦度の演算を行う。これにより、ある画素位置に着目した合焦度変化について、例えば図2のA及びBのような合焦度の変化を導出することができ、これにより、合焦度の最大値と最小値が求められる。
【0017】
合焦度演算手段6は、さらに、得られた合焦度の演算値に基づいて合焦度特徴量を演算する。合焦度特徴量は、異常を検知するためのパラメータとなるものであり、例えば、夫々の画素における、合焦度の最大値、合焦度の最大値÷最小値、又はQ値等、合焦度を示す種々の指標のいずれか、又はそれらの指標の複数を組み合わせたものである。合焦度の最大値は、図2のグラフAのように、ある画素位置において、合焦度が最大となる値である。合焦度の最大値÷最小値は、合焦度の信頼度を表すものであり、物体の存在の有無について、どの程度信頼できるかを示す数値である。物体が存在する場合は、合焦度は図2のグラフAのように最大値が明確かつ最小値との差が大きいため、合焦度の信頼度は高い値を示す。一方、異物等の存在により物体の存在が曖昧な場合は、図2のグラフBのように、最大値が明確ではなく最小値の差が小さいため、合焦度の信頼度は1に近い値を示す。ここで、Q値とは、ピークの鋭さを示す指標であり、一般的には最大値÷半値幅が用いられる。半値幅は、合焦度最大の焦点面位置から、合焦度が半減する焦点面位置を、撮影対象から遠ざかる側と撮影対象へと近づく側の、2つの焦点面位置として認識し、その2つの焦点面位置間の距離となる。
【0018】
合焦度特徴量は、前記合焦度の最大値、合焦度の最大値÷最小値、Q値のいずれを採用してもよく、本実施形態において合焦度特徴量は、合焦度の最大値÷最小値としている。このため、合焦点度演算手段6は、ある画素位置における合焦度の最大値÷最小値の演算を行い、この演算を全ての画素位置において行う。
【0019】
全焦点画像作成手段7は、合焦フレームでの輝度値をピックアップし、図3(a)に示すように、全焦点画像を作成する。全焦点画像は、焦点の異なる複数の画像データ(輝度画像)に基づいて作成されるものである。ここで、全焦点画像とは、撮像系と物体との距離を連続的に変化させて(カメラをZ方向である鉛直方向にスキャンさせて)、焦点の異なる画像を複数枚撮影する。そして、局所領域ごとにフォーカス(輝度値)を評価し、フォーカスの合っている局所画像の組み合わせで再構成したものである。これにより、全焦点画像は、全てのピクセルにおいてフォーカスが合っている。すなわち、全焦点画像とは、局所領域ごとにフォーカスを評価し、フォーカスの合っている局所画像の組み合わせで再構成されて全てのピクセルにおいてフォーカスが合っている画像である。図3(a)においては、ワイヤ部分10と、ワイヤ以外の領域11の輪郭が明確なものとなっている。ただし、半透明の異物は、全焦点画像では現れない。
【0020】
距離画像作成手段8は、撮像と同時に画素ごとにフォーカス度合(合焦度)が最大となった時点における相対距離情報を記憶し、図3(b)に示すように、撮像手段5から撮像物体までの距離画像を作成するものである。ここで、距離画像とは、撮像手段5からの距離に応じて輝度(グレースケール)により表現された画像であり、距離画像により撮像した物体の高さ情報を得ることができ、例えば、高位のもの(撮像手段5からの距離が近いもの)は淡色(図3(b)におけるワイヤ部分10)で表現され、低位のもの(撮像手段5からの距離が遠いもの)は濃色(図3(b)におけるワイヤ以外の領域11)で表現される。すなわち、距離画像は、撮像手段5の撮像と同時に画素ごとにフォーカス度合が最大となった時点における相対距離情報であって、撮像手段5からの距離に応じて輝度により表現された画像である。この場合、高さがない異物については、距離画像では現れない。
【0021】
合焦度特徴量画像作成手段9は、合焦度演算手段6により演算された合焦度特徴量(本実施形態では合焦度の最大値÷最小値)の値に基づいて、図3(c)に示すように作成された画像である。この場合、ワイヤ以外の領域11に異物12がある場合、異物12の合焦度が領域11の合焦度とは異なるため、合焦度特徴量画像では、領域11と異物12とでは異なる色合いとなっている。
【0022】
設定部2は、ユーザによりワークの異常の検知を行う際に必要な設定を予め行うものであり、検知領域指定手段15と、異常合焦度設定手段16と、異常合焦度面積設定手段17とを備えている。
【0023】
検知領域指定手段15は、ワークにおいて、ユーザが異常を検知したい領域を指定するものである。すなわち、表示部4の画像表示手段21に表示されたワークの画像から、ユーザは、例えばマウスのドラッグ、座標の指定等により、表示された画像において、異常を検知したい領域を指定する。また、ワイヤの部分を認識させ、「ワイヤ以外の部分を検知範囲とする」という領域指定の方法も採用できる。この場合、画像表示手段21に表示されるワークの画像は、画像作成部1にて作成された全焦点画像、距離画像、合焦度特徴量画像作成手段でもよいし、予め入力されたワークの画像、撮像手段5にて撮像された画像のいずれであってもよい。要は、検知したい領域の輪郭がある程度明確な画像であればよい。
【0024】
異常合焦度設定手段16は、検知領域において異常とする合焦度特徴量の数値範囲を設定するものである。すなわち、ワーク表面と撮像手段5との間に半透明異物が存在した場合、ワークがぼやけるため、合焦度が低下する。また、ミラー面など正常時にテクスチャが存在しない面上に、輝度では見えにくい異物が載った場合は、その箇所の合焦度が上昇する。このため、ワークに応じて正常である合焦度の数値範囲が異なるため、検知するワークごとに異常があるとする合焦度特徴量を設定し、合焦度特徴量を異常検知のためのパラメータとして用いる。
【0025】
異常合焦度面積設定手段17は、異常合焦度設定手段16にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定するものである。すなわち、異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲に該当する領域が、許容される(つまり、異常ではないと判断される)面積と、許容されない(つまり、異常であると判断される)面積の境界をユーザが想定し、その面積の閾値を設定する。
【0026】
検知部3は、ワークの異常の有無を判定するものであり、判定手段20を備える。すなわち、判定手段20は、異常合焦度設定手段16にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、前記異常合焦度面積設定手段17の閾値を超えた部分がある場合に異常有りと判定する。また、判定手段20は、合焦度特徴量画像と、その他画像(全焦点画像、距離画像、予め入力されたワークの画像、撮像手段5にて撮像された画像)とを比較することで画像の差分に基づいて異物があると判定してもよい。
【0027】
表示部4は、ワークごとに全体画像及び/又は使用者の指示に応じて各処理対象の画像を表示する画像表示手段21と、ユーザが予め異常とする合焦度特徴量の範囲及びその面積の設定を行うための設定部表示手段22とを備える。すなわち、図3に示すように、設定部表示手段22は、異常があるとする合焦度特徴量の数値範囲(上限及び/又は下限)を設定する合焦度設定部23と、設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が異常であるとするための閾値を設定する面積閾値設定部24とがある。また、図4では、異常があるとする輝度値の数値範囲及びその数値範囲に該当する面積の閾値と、異常があるとする高さの数値範囲及びその数値範囲に該当する面積の閾値との設定を行うものとなっており、パラメータとして輝度及び/又は高さ情報を選択できるようになっている。すなわち、合焦度特徴量による異常検知と、輝度及び/又は高さ情報による検知とを併用できるものとなっている。
【0028】
ところで、コンピュータは、基本的には、入力機能を備えた入力手段と、出力機能を備えた出力手段と、記憶機能を備えた記憶手段と、演算機能を備えた演算手段と、制御機能を備えた制御手段にて構成される。入力機能は、外部からの情報を、コンピュータに読み取るためのものであって、読み込まれたデータやプログラムは、コンピュータシステムに適した形式の信号に変換される。出力機能は、演算結果や保存されているデータなどを外部に表示するものである。記憶手段は、プログラムやデータ、処理結果などを記憶して保存するものである。演算機能は、データをプログラムの命令に随って、計算や比較して処理するものである。制御機能は、プログラムの命令を解読し、各手段に指示を出すものであり、この制御機能はコンピュータの全手段の統括をする。
【0029】
入力手段には、キーボード、マウス、タブレット、マイク、ジョイスティック、スキャナ、キャプチャーボード等がある。また、出力手段には、モニタ、スピーカー、プリンタ等がある。記憶手段には、メモリ、ハードディスク、CD・CD-R,PD・MO等がある。演算手段には、CPU等があり、制御手段には、CPUやマザーボード等がある。
このため、撮像手段のカメラ以外の手段は、1つの公知公用の既存のコンピュータで構成できる。
【0030】
前記のような検知装置を用いた検知方法を、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、撮像手段1は、ワーク20が撮影範囲となるようにして、上下方向に焦点の異なる実画像を複数枚取得する(ステップS1)。これにより、焦点の合った画素位置が夫々異なる複数の画像データがメモリに格納されるとともに、ワークの高さ情報がメモリに格納される。
【0031】
合焦度演算手段6は、撮像手段により撮像した焦点の異なる複数の画像に基づいて、夫々の画素位置において、合焦度を演算する。この演算は、公知の方法にて行われ、例えば特許第6704336号の[0028]に記載された方法により演算される。さらに、合焦点度演算手段6は、夫々の画素位置において合焦度特徴量を演算する(ステップS2)。本実施形態において合焦度特徴量は、合焦度の最大値÷最小値としている。
【0032】
合焦度演算手段6の演算値に基づいて、全焦点画像作成手段7は全焦点画像を作成し、距離画像作成手段8は距離画像を作成し、合焦度特徴量画像作成手段9は、合焦度特徴量画像を作成する(ステップS3)。
【0033】
ユーザは、画像表示手段21に表示された画像(作成された全焦点画像、距離画像、合焦度特徴量画像のいずれかの画像、実画像のいずれか、又は予め設定されたワークの画像のいずれか)において、異常を検知したい領域を例えばマウスのドラッグ、座標指定等により指定する(ステップS4)。
【0034】
また、ユーザは、検知領域について、異常があるとする合焦度特徴量の範囲を設定する(ステップS5)。この場合、範囲としては、上限値及び下限値を設定する場合、上限値のみを設定する場合、下限値を設定する場合のいずれであってもよい。合焦度とは表面の粗さ加減を表すものである。すなわち、フォーカスが合って粗さがある場合は合焦度が高いことを意味し、フォーカスが合っても粗さがない場合は合焦度は低いことを意味する。例えば、粗さがある部分が正常である場合、図3に示すように「合焦度が5以下は異物」と定義すれば、合焦度が低い部分(粗さが低い部分)が異物であるとすることができる。また、輝度値や高さ情報を異常検知のためのパラメータとして選択したい場合は、輝度値及び/又は高さ情報による検知を選択することができ、合焦度特徴量による異常検知と、従来と同様の輝度値や高さ情報による異常検知を併用することができる。この場合も、異常とする輝度値の上限値及び/又は下限値を入力したり、異常とする高さ情報の上限値及び/又は下限値を入力したりする。
【0035】
さらに、ユーザは、設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常があるとするための閾値を設定する(ステップS6)。輝度値や高さ情報による異常検知を併用する場合は、異常と判定するための面積の閾値を夫々設定する。
【0036】
判定手段20は、検知領域において異常の有無を判定する(ステップS7)。すなわち、異常合焦度設定手段16にて設定された合焦度特徴量の数値範囲に該当する面積が、異常合焦度面積設定手段17にて設定された閾値を超えた部分があれば、その位置に異常があるとし(ステップS8)、超えた部分がなければ、その検知領域には異常がないものとする(ステップS9)。この場合、判定手段20は、合焦度特徴量画像と、その他画像(全焦点画像、距離画像、予め入力されたワークの画像、撮像手段5にて撮像された画像のいずれか)とを比較することで、画像の差分に基づいて異物があると判定してもよい。
【0037】
異常の検知を続ける場合は、異なるワークや同じワークでも撮像エリアを変更するときはステップS1に戻り、同じ撮像エリアで異常の検知を行うときはステップS4に戻り、異常の検知を終了する場合は、本検知方法を終了する(ステップS10)。
【0038】
本発明の検査装置及び検査方法は、合焦度特徴量をパラメータとして用いることで、輝度や高さ情報では検知できない異常、例えば半透明異物を検知することができ、また、対象物表面の変質の検知能力が向上する。さらに、ユーザは、異常とする合焦度特徴量の数値範囲の設定、及び異常があると判断されるための面積の閾値の設定を行うだけでよく、簡単に検査設定することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、撮像手段は、CCDカメラに限られず、CMOSカメラ等種々のものを採用することができる。撮影方向としては、撮像物体の上方に撮像手段が位置するものであったが、撮像物体に対して水平方向に撮像手段が位置していてもよい。また、撮像手段25を固定して、撮像物体側が撮像手段25に対して接近・離間してもよい。また、ワークはボンディングワイヤを有するものに限られず、種々の電子部品、電子部品以外のものに適用可能である。
【0040】
方法の手順として、ユーザは撮像前に設定を行っても良い。すなわち、ステップS3は、ステップS1の前に行われるものであってもよい。また、各種画像(全焦点画像、距離画像、合焦度特徴量画像)の作成は必ずしも必要ではなく、画像を用いることなく演算のみで異常を検知することも可能である。合焦度特徴量としては、合焦度の最大値としたり、Q値としたり、その他合焦度を示す指標としたり、これらから複数を組み合わせたものとしたりすることができる。この場合、合焦度特徴量を、信頼度、合焦度の最大値、Q値のいずれにするか、ユーザが検査毎に選択可能となるように設定してもよい。
【0041】
5 撮像手段
6 合焦度演算手段
9 合焦度特徴量画像作成手段
16 異常合焦度設定手段
17 異常合焦度面積設定手段
20 判定手段
図1
図2
図3
図4
図5