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特開2024-102667会計管理装置、会計管理方法、および会計管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102667
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】会計管理装置、会計管理方法、および会計管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240724BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240724BHJP
【FI】
G06Q40/12
G06Q30/0601
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006712
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古橋 歩
【テーマコード(参考)】
5L030
5L040
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L030BB54
5L040BB63
5L049BB54
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】発注業務の進捗率を自動で算出し、進行基準仕入金額を速やかに計上することができる会計管理装置等を提供する。
【解決手段】発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における発注元の仕入金額を算出する制御部を備える会計管理装置であって、発注業務の工期と発注金額と含む発注データと、日付と日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、にアクセス可能であり、制御部は、発注データの工期およびカレンダーデータに基づいて、工期における全営業日の日数と、工期の開始日から所定の日付まで経過したときの経過期間における営業日の日数と、を取得し、全営業日の日数に対する経過期間における営業日の日数の割合を、発注業務の進捗率として算出し、算出した進捗率および発注データの発注金額に基づいて、進捗率に応じた仕入金額である進行基準仕入金額を算出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する制御部を備える会計管理装置であって、
前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、
前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、
算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出する会計管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記工期が決算期を跨ぐか否かを判定し、
前記工期が決算期を跨ぐと判定した場合、前記仕入先から提供される、決算時における前記進捗率である決算時進捗率を取得し、
前記決算時進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、決算時における前記進行基準仕入金額である決算時進行基準仕入金額を算出し、
算出した前記決算時進行基準仕入金額と、決算後に算出された前記進行基準仕入金額と、を比較し、
前記進行基準仕入金額が前記決算時進行基準仕入金額よりも低くなる場合、前記進行基準仕入金額が、前記決算時進行基準仕入金額以上となるように、前記進捗率を補正する請求項1に記載の会計管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記進捗率の補正において、
前記発注金額から前記決算時進行基準仕入金額を減算して残発注金額を算出し、
決算直後の日付から前記工期の終了日までの残工期における全営業日の日数と、決算直後の日付から所定の日付まで経過したときの残経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、
残工期における前記全営業日の日数に対する前記残経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記残経過期間における前記進捗率として算出し、
前記残発注金額に、前記残経過期間における前記進捗率を乗算して、前記残経過期間における前記進行基準仕入金額を算出し、
前記決算時進行基準仕入金額に、算出した前記残経過期間における前記進行基準仕入金額を加算して、決算後における前記進行基準仕入金額である決算後進行基準仕入金額を算出し、
前記発注金額に対する前記決算後進行基準仕入金額の割合を、補正後となる前記進捗率として算出する請求項2に記載の会計管理装置。
【請求項4】
発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する会計管理方法であって、
前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、が用いられ、
前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、
前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、
算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出することを、制御部を備える会計管理装置が実行する会計管理方法。
【請求項5】
発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する会計管理方法を、制御部を備える会計管理装置に実行させる会計管理プログラムであって、
前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、が用いられ、
前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、
前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、
算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出することを、前記会計管理装置に実行させる会計管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計管理装置、会計管理方法、および会計管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入出金される金額を管理する資金繰予定管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の資金繰予定管理装置では、業務進捗と資金繰りとを紐づけることにより資金の管理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-117401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、発注された業務を請け負う仕入先に対して、毎月の月次決算において、業務進捗に応じた仕入金額である進行基準仕入金額を計上する場合がある。業務進捗は、仕入先から提供される情報となっていることから、仕入先から業務進捗を入手しようとすると、情報を取得するまでに時間を要することがある。このため、毎月の月次決算において、進行基準仕入金額を計上する場合、月次決算に遅れが生じてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、発注業務の進捗率を自動で算出し、進行基準仕入金額を速やかに計上することができる会計管理装置、会計管理方法、および会計管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る会計管理装置は、発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する制御部を備える会計管理装置であって、前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出する。
【0007】
なお、本発明に係る会計管理装置において、前記制御部は、前記工期が決算期を跨ぐか否かを判定し、前記工期が決算期を跨ぐと判定した場合、前記仕入先から提供される、決算時における前記進捗率である決算時進捗率を取得し、前記決算時進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、決算時における前記進行基準仕入金額である決算時進行基準仕入金額を算出し、算出した前記決算時進行基準仕入金額と、決算後に算出された前記進行基準仕入金額と、を比較し、前記進行基準仕入金額が前記決算時進行基準仕入金額よりも低くなる場合、前記進行基準仕入金額が、前記決算時進行基準仕入金額以上となるように、前記進捗率を補正してもよい。
【0008】
また、本発明に係る会計管理装置において、前記制御部は、前記進捗率の補正において、前記発注金額から前記決算時進行基準仕入金額を減算して残発注金額を算出し、決算直後の日付から前記工期の終了日までの残工期における全営業日の日数と、決算直後の日付から所定の日付まで経過したときの残経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、残工期における前記全営業日の日数に対する前記残経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記残経過期間における前記進捗率として算出し、前記残発注金額に、前記残経過期間における前記進捗率を乗算して、前記残経過期間における前記進行基準仕入金額を算出し、前記決算時進行基準仕入金額に、算出した前記残経過期間における前記進行基準仕入金額を加算して、決算後における前記進行基準仕入金額である決算後進行基準仕入金額を算出し、前記発注金額に対する前記決算後進行基準仕入金額の割合を、補正後となる前記進捗率として算出してもよい。
【0009】
また、本発明に係る会計管理方法は、発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する会計管理方法であって、前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、が用いられ、前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出することを、制御部を備える会計管理装置が実行する。
【0010】
また、本発明に係る会計管理プログラムは、発注元から仕入先に発注した発注業務の進捗に応じて、前記発注業務に対応付けられる発注金額から、所定の経過期間における前記発注元の仕入金額を算出する会計管理方法を、制御部を備える会計管理装置に実行させる会計管理プログラムであって、前記発注業務の工期と前記発注金額と含む発注データと、日付と前記日付に割り付けられた営業日とを含むカレンダーデータと、が用いられ、前記発注データの前記工期および前記カレンダーデータに基づいて、前記工期における全営業日の日数と、前記工期の開始日から所定の日付まで経過したときの前記経過期間における前記営業日の日数と、を取得し、前記全営業日の日数に対する前記経過期間における前記営業日の日数の割合を、前記発注業務の進捗率として算出し、算出した前記進捗率および前記発注データの前記発注金額に基づいて、前記進捗率に応じた前記仕入金額である進行基準仕入金額を算出することを、前記会計管理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、発注業務の進捗率を自動で算出し、進行基準仕入金額を速やかに計上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、会計管理装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、発注データの一例を示す図である。
図3図3は、カレンダーデータの一例を示す図である。
図4図4は、進捗データの一例を示す図である。
図5図5は、進行基準仕入データの一例を示す図である。
図6図6は、会計管理方法に関するフローチャートの一例を示す図である。
図7図7は、外注進捗登録画面の一例を示す図である。
図8図8は、発注データの一例を示す図である。
図9図9は、進捗データの一例を示す図である。
図10図10は、進行基準仕入データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る会計管理装置、会計管理方法、および会計管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.構成]
本実施形態に係る会計管理装置100の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、会計管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
会計管理装置100は、発注元から仕入先に発注した発注業務に関する会計を管理するものであり、例えば、発注業務の進捗に応じた仕入金額である進行基準仕入金額を算出している。会計管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、会計管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0016】
会計管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。会計管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0017】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、会計管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、会計管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0018】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0019】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0020】
記憶部106は、発注データ106a、カレンダーデータ106b、進捗データ106c、および進行基準仕入データ106dなどを格納する。
【0021】
図2は、発注データの一例を示す図である。なお、図2に示す発注データ106aは、例えば、2021年12月時点のデータと、2022年3月時点のデータを示している。また、図2に示す発注データ106aは、2022年2月に変更されたデータとなっている。図2に示すように、発注データ106aは、発注番号、行番号、発注業務の工期の開始日、発注業務の工期の終了日、および発注金額の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。発注番号は、発注業務の識別番号である。行番号は、行頭に付される番号であり、例えば、所定のラベルを示す番号となっている。発注業務の工期の開始日および終了日は、年月日となっている。発注金額は、発注業務に係る総額となっている。
【0022】
図3は、カレンダーデータの一例を示す図である。カレンダーデータ106bは、日付と、日付に割り付けられた営業日とを含むデータとなっている。カレンダーデータ106bは、例えば、図3に示すように、年月および営業日のカウントの項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。年月は、月ごとの日付となっている。営業日のカウントは、所定の月における営業日の日数となっている。
【0023】
図4は、進捗データの一例を示す図である。なお、図4に示す進捗データ106cは、例えば、2022年3月時点のデータとなっている。図4に示すように、進捗データ106cは、発注番号、行番号、会計年月、および進捗率の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。発注番号および行番号は、発注データ106aと同様である。会計年月は、毎月の月次決算における年月となっている。進捗率は、発注業務の進捗の割合を示す値となっており、百分率で示されている。
【0024】
図5は、進行基準仕入データの一例を示す図である。なお、図5に示す進行基準仕入データ106dも、例えば、2022年3月時点のデータとなっている。図5に示すように、進行基準仕入データ106dは、発注番号、行番号、会計年月、計上日、発注金額および進行基準仕入金額の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。発注番号、行番号および会計年月は、進捗データ106cと同様である。計上日は、後述する進行基準仕入金額を計上した日付となっている。発注金額は、発注データ106aと同様である。進行基準仕入金額は、進捗データ106cの進捗率に応じた仕入金額である。
【0025】
次に、再び図1を参照して、制御部102について説明する。制御部102は、会計管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0026】
制御部102は、情報処理として、記憶部106に記憶された各種データに基づいて会計処理を実行する。制御部102は、会計処理として、例えば、発注業務の進捗率を自動で算出する処理を実行したり、自動で算出した進捗率に応じて、所定の経過期間における発注元の進行基準仕入金額を算出する処理を実行したりしている。
【0027】
以下、制御部102が実行する処理の具体例について、以下の[2.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0028】
[2.処理の具体例]
ここでは、会計管理装置100で実行される処理の具体例を、図2から図7を参照して説明する。図6は、会計管理方法に関するフローチャートの一例を示す図であり、図7は、外注進捗登録画面の一例を示す図である。図6に示すように、会計管理装置100では、発注業務の進捗率を自動で算出するための処理が、外注進捗登録処理において実行される(ステップS1)。外注進捗登録処理は、仕入先の発注業務に関する情報を登録する処理となっている。外注進捗登録処理では、制御部102が図7に示す外注進捗登録画面Mをモニタ114に表示させている。図7に示すように、外注進捗登録画面Mにおいて登録される項目としては、契約明細番号、契約明細略名、仕入先、発注番号、発注業務の工期の開始日および終了日、発注日、前月進捗(前月までの進捗率)、当月進捗(当月の進捗率)、発注金額、計上済金額、当月概算計上額がある。制御部102は、外注進捗登録処理において、記憶部106に記憶された各種データ、および入力装置112を介して入力されたデータ等に基づいて、外注進捗登録画面Mの各項目を登録している。
【0029】
ここで、制御部102は、発注データ106aおよびカレンダーデータ106bに基づいて、各月の進捗率を自動で算出している。進捗率の算出は、外注進捗登録画面M上に設けられる進捗率セットのボタンBを、入力装置112を介して入力操作されることにより実行される。制御部102は、進捗率の算出にあたり、発注データ106aおよびカレンダーデータ106bに基づいて、発注業務の工期の開始日から終了日までの全営業日の日数を取得すると共に、工期の開始日から所定の日付まで経過したときの経過期間における営業日の日数を取得する。そして、制御部102は、全営業日の日数に対する経過期間における営業日の日数の割合を、発注業務の進捗率として算出する。
【0030】
以下、図2および図3を参照して、具体的に、進捗率の算出について例示する。ここでは、2021年12月時点における発注番号「H001」の発注業務において、経過期間として、発注業務の工期の開始日(2021/12/01)から12月末日まで経過した場合を例示する。また、以下では、簡単な説明とするために、全ての日付が末日となっている。
【0031】
制御部102は、ボタンBが操作されると、発注業務の工期の開始日(2021/12/01)から終了日(2022/2/28)までの全営業日の日数を取得する。全営業日は、2021年12月の19日、2022年1月の18日、2022年2月の18日を合算した、計55日となっている。また、制御部102は、発注業務の工期の開始日(2021/12/01)から12月末日までの営業日の日数を取得する。経過期間の営業日は、2021年12月の19日となっている。制御部102は、全営業日の日数に対する経過期間における営業日の日数の割合として、19/(19+18+18)を計算し、百分率として34.545%を算出する。そして、制御部102は、算出した進捗率を、進捗データ106cの対応する月(2021/12)に登録し、外注進捗登録画面Mにおける当月進捗に表示する。
【0032】
再び図6を参照し、制御部102は、ステップS1の実行後、発注業務の工期(開始日から終了日までの期間)が決算月(決算期)を跨ぐか否かを判定する(ステップS2)。決算月は、例えば、本決算の月であり、例えば、3月である。ステップS2において、制御部102は、発注業務の工期が決算月を跨がないと判定すると(ステップS2:No)、自動計算された進捗率を採用する(ステップS3)。そして、制御部102は、ステップS3の実行後、原価計算処理を実行する(ステップS4)。
【0033】
制御部102は、原価計算処理において、発注業務に関する原価計算を実行する。原価計算処理は、発注業務において発生した原価実績を集計する処理である。
【0034】
一方で、制御部102は、ステップS2において、発注業務の工期が決算月を跨ぐと判定すると(ステップS2:Yes)、仕入先から提供された進捗率(決算時進捗率)を取得する(ステップS5)。発注業務の工期が決算月を跨ぐ場合、決算月において正確な進行基準仕入金額を計上するために、仕入先から提供された進捗率を用いる。仕入先から提供された進捗率としては、例えば、図4に示す会計年月(2022/03)であり、78%となっている。制御部102は、ステップS5において進捗率を取得すると、取得した進捗率を採用する(ステップS6)。ステップS6において、制御部102は、取得した進捗率を、進捗データ106cの対応する決算月(2021/03)に登録する。制御部102は、ステップS6の実行後、ステップS4に進み、原価計算処理を実行する(ステップS4)。
【0035】
制御部102は、ステップS4の実行後、当月の仕入金額が計上されているか否かを判定する(ステップS7)。制御部102は、当月の仕入金額が計上されていないと判定する(ステップS7:No)と、ステップS3またはステップS6において採用した進捗率に基づいて、進行基準仕入金額の算出処理を実行する(ステップS8)。
【0036】
進行基準仕入金額の算出処理では、採用した進捗率および発注データ106aの発注金額に基づいて、進捗率に応じた進行基準仕入金額を算出する。具体的に、制御部102は、進行基準仕入金額の算出処理において、発注金額に進捗率を乗算することで、進行基準仕入金額を算出している。図5の進行基準仕入データ106dにおいて例示するように、「2021/12/31」の計上日において計上した進行基準仕入金額(6,909,091)は、発注金額(20,000,000)に、進捗率(34.545%)を乗算して算出したものとなっている。そして、制御部102は、算出した進行基準仕入金額を、進行基準仕入データ106dの対応する月(2022/03)に登録する。
【0037】
一方で、制御部102は、ステップS7において、当月の仕入金額が計上されていると判定する(ステップS7:Yes)と、進行基準仕入金額の戻しが作成される(ステップS9)。なお、ステップS9の例示については後述する。
【0038】
制御部102は、ステップS8の実行後、またはステップS9の実行後、会計管理方法に関する一連の処理を終了する。
【0039】
ところで、発注業務の工期が決算月を跨ぐ場合、発注業務の工期の終了日の変更または発注金額の変更等によって、決算時の進行基準仕入金額に対して、決算後の進行基準仕入金額が下回る場合がある。この場合、制御部102は、決算後の進行基準仕入金額が下回らないように、進捗率の補正を行っている。なお、進捗率の補正は、図6のステップS1において実行される。
【0040】
以下、図2から図5、および図8から図10を参照して、進捗率の補正について説明する。図8から図10は、2022年4月時点の発注データ106a、進捗データ106cおよび進行基準仕入データ106dとなっている。図2および図8に示すように、発注番号「H002」において、2022年4月に、発注業務の工期の終了日が、「2022/04/30」から「2022/05/31」に変更され、発注金額が、「8,000,000」から「9,000,000」に変更されている。この場合、2022年4月の進捗率は、ステップS1での算出により「70.690%」となり、2022年3月に仕入先から取得した進捗率(決算時進捗率:80.000%)よりも低くなる。
【0041】
制御部102は、仕入先から取得した進捗率(80.000%)と発注金額(8,000,000)とに基づいて、決算時(2022年3月時点)の進行基準仕入金額(6,400,000)を算出する。また、制御部102は、算出した進捗率(70.690%)と発注金額(9,000,000)とに基づいて、2022年4月時点の進行基準仕入金額(6,362,100)を算出する。そして、制御部102は、決算時の進行基準仕入金額(6,400,000)と、2022年4月時点の進行基準仕入金額(6,362,100)とを比較し、2022年4月時点の進行基準仕入金額(6,362,100)が、決算時の進行基準仕入金額(6,400,000)よりも低くなる場合、進行基準仕入金額(6,362,100)が、決算時の進行基準仕入金額(6,400,000)以上となるように、進捗率(70.690%)を補正する。
【0042】
制御部102は、進捗率を補正する場合、2022年4月時点の発注金額(9,000,000)から決算時の進行基準仕入金額(6,400,000)を減算して残発注金額(2,600,000)を算出する。この後、制御部102は、カレンダーデータ106bに基づいて、決算直後の日付(2022/04/01)から工期の終了日(2022/05/31)までの残工期における全営業日の日数(19+17=36)を取得する。また、制御部102は、決算直後の日付(2022/04/01)から2022年4月まで経過したときの残経過期間における営業日の日数(19)を取得する。そして、制御部102は、全営業日の日数に対する残経過期間における営業日の日数の割合として、19/(19+17)を計算し、百分率として52.778%を算出する。
【0043】
制御部102は、残発注金額(2,600,000)に、残経過期間における進捗率(52.778%)を乗算して、残経過期間における進行基準仕入金額(1,372,228)を算出する。この後、制御部102は、決算時の進行基準仕入金額(6,400,000)に、算出した残経過期間における進行基準仕入金額(1,372,228)を加算して、決算後の進行基準仕入金額(7,772,228:決算後進行基準仕入金額)を算出する。そして、制御部102は、発注金額(9,000,000)に対する決算後の進行基準仕入金額(7,772,228)の割合を、補正後となる進捗率(86.358%)として算出する。制御部102は、算出した補正後の進捗率を、進捗データ106cの対応する月(2022/04)に更新する。
【0044】
次に、図8から図10を参照して、図6のステップS9に関する進行基準仕入金額の戻し処理について説明する。発注番号「H001」の発注業務について、2022年4月時点において、発注業務の工期の終了日が「2022/04/30」であることから、2022年4月の仕入計上として、発注金額(22,000,000)が仕入金額として計上される。このため、ステップS9において、制御部102は、発注業務の工期の開始月(2021/12)から発注業務の工期の終了の前月(2022/03)までの進行基準仕入金額の累計額(17,160,000)が、進行基準仕入金額の戻し金(マイナス)として作成される。そして、制御部102は、作成された進行基準仕入金額の戻し金(-17,160,000)を、進行基準仕入データ106dの対応する月(2022/04)に登録する。
【0045】
以上のように、本実施形態よれば、発注業務の進捗率を自動で算出することができるため、毎月の月次決算において、進捗率に応じた進行基準仕入金額を速やかに算出し、計上することができる。
【0046】
また、本実施形態よれば、発注業務の工期が決算期を跨ぐ場合、自動で算出された進捗率に応じた進行基準仕入金額が、決算時の進行基準仕入金額以上となるため、決算時の進行基準仕入金額に対して決算後における進行基準仕入金額の整合を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態よれば、進捗率を適切に補正することができるため、決算後における進行基準仕入金額を適切な金額とすることができる。
【0048】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0051】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0052】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0053】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0054】
また、会計管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0055】
例えば、会計管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて会計管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0056】
また、このコンピュータプログラムは、会計管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0057】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0058】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0059】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0060】
また、会計管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、会計管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0061】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、仕入先に長期の作業を発注し、進捗率に応じて収益認識を行うIT業や工事業等において有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 会計管理装置
102 制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 発注データ
106b カレンダーデータ
106c 進捗データ
106d 進行基準仕入データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10