IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特開-物品搬送設備 図1
  • 特開-物品搬送設備 図2
  • 特開-物品搬送設備 図3
  • 特開-物品搬送設備 図4
  • 特開-物品搬送設備 図5
  • 特開-物品搬送設備 図6
  • 特開-物品搬送設備 図7
  • 特開-物品搬送設備 図8
  • 特開-物品搬送設備 図9
  • 特開-物品搬送設備 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102671
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006717
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】吉永 和治
(72)【発明者】
【氏名】高木 大樹
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022HH05
3F022JJ11
3F022JJ19
3F022LL12
3F022LL16
3F022MM17
(57)【要約】
【課題】物品搬送設備の平面的な拡大を抑制しつつ、搬送車によって搬送される物品の受け入れ先を増加させる。
【解決手段】物品搬送設備100は、搬送車に対して物品を供給する物品供給部2と、搬送車によって搬送された物品を受け入れる物品受入部3と、を備えている。第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とのそれぞれに、第1リフタL1と第2リフタL2とを繋ぐリフタ間経路Rbが設けられている。第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とのそれぞれにおいて、リフタ間経路Rbに隣接するように、物品受入部3が配置されている。第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との少なくとも一方に、物品供給部2が配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車と、それぞれに前記搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えた物品搬送設備であって、
第1階層の前記走行フロアである第1走行フロアと、第2階層の前記走行フロアである第2走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第1リフタ及び第2リフタと、
前記搬送車に対して前記物品を供給する物品供給部と、
前記搬送車によって搬送された前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれに、前記第1リフタと前記第2リフタとを繋ぐリフタ間経路が設けられ、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれにおいて、前記リフタ間経路に隣接するように、前記物品受入部が配置され、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとの少なくとも一方に、前記物品供給部が配置されている、物品搬送設備。
【請求項2】
前記物品受入部が配置された前記走行フロアの数は、前記物品供給部が配置された前記走行フロアの数よりも多い、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記物品供給部と前記物品受入部とが、同一階層の前記走行フロアに配置されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記物品受入部で受け入れられた前記物品の仕分け作業が行われる仕分けエリアが設けられ、
前記物品供給部からの前記物品は、当該物品のまま、或いは容器に収容された状態で前記搬送車に供給され、
前記搬送車は、前記物品供給部にて受け取った前記物品又は前記物品が収容された前記容器を前記仕分けエリアに搬送し、
前記仕分け作業には、前記搬送車によって搬送された前記容器から前記物品を取り出す取出作業が含まれ、
前記取出作業によって発生した空の前記容器を回収する空容器回収装置が、前記物品受入部が配置された前記走行フロアに設けられている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記リフタ間経路が延在する方向を経路延在方向とし、前記経路延在方向に対して上下方向視で直交する方向を経路幅方向として、
前記第1階層と前記第2階層とが上下方向に互いに隣接する階層であり、
前記第1階層と前記第2階層とのそれぞれに前記仕分けエリアが設けられ、
前記第1走行フロアの前記リフタ間経路と前記第1階層の前記仕分けエリアとの前記経路幅方向の距離と、前記第2走行フロアの前記リフタ間経路と前記第2階層の前記仕分けエリアとの前記経路幅方向の距離と、が異なっている、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記リフタ間経路が延在する方向を経路延在方向とし、前記経路延在方向に対して上下方向視で直交する方向を経路幅方向として、
前記第1リフタと前記第2リフタと前記第1走行フロアの前記リフタ間経路と前記第2走行フロアの前記リフタ間経路とが、搬送ユニットを構成し、
前記搬送ユニットが、前記経路幅方向に並んで複数配置され、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとの少なくとも一方に、複数の前記搬送ユニットの前記リフタ間経路を前記経路幅方向に接続する接続経路が設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
設備全体における前記物品の搬送を制御する制御装置が設けられ、
前記制御装置は、複数の前記搬送ユニットのうち稼働させる前記搬送ユニットを一部に限定する稼働ユニット限定モードを実行可能に構成されている、請求項6に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車と、それぞれに前記搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備は、物流システムに用いられることが多い。例えば特開2016-113291号公報(特許文献1)には、物流システムにおいて物品を仕分けるための仕分け装置が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された仕分け装置(10)は、上位のエリア(A)と下位のエリア(B)とを備えている。上位のエリア(A)には、平面的に広がる走行路(4)と、走行路(4)を自動走行する搬送車(12)と、物品供給部(6)と、複数の開口(8a)と、が設けられている。上位のエリア(A)では、搬送車(12)が、物品供給部(6)から供給された物品を、指定の開口(8a)まで搬送して投下する。開口(8a)に投下された物品は、下位のエリア(B)に配置された出荷用コンテナ(20)に収容されて仕分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-113291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今の物流システムでは、単位時間あたりにハンドリング可能な物品数の増大が求められている。これに応えるための方法の1つとして、搬送車によって搬送される物品の受け入れ先(特許文献1の発明でいう「開口8a」)を増加させることが挙げられる。しかしながら、特許文献1に記載された発明では、搬送車(12)によって搬送される物品の受け入れ先としての開口(8a)の数を増加させるには、増加分の開口(8a)が設けられるスペースを確保するために、上位のエリア(A)及び下位のエリア(B)を平面的に拡大させる必要がある。
【0006】
上記実情に鑑みて、物品搬送設備の平面的な拡大を抑制しつつ、搬送車によって搬送される物品の受け入れ先を増加させることが可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品を搬送する搬送車と、それぞれに前記搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えた物品搬送設備であって、
第1階層の前記走行フロアである第1走行フロアと、第2階層の前記走行フロアである第2走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第1リフタ及び第2リフタと、
前記搬送車に対して前記物品を供給する物品供給部と、
前記搬送車によって搬送された前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれに、前記第1リフタと前記第2リフタとを繋ぐリフタ間経路が設けられ、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれにおいて、前記リフタ間経路に隣接するように、前記物品受入部が配置され、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとの少なくとも一方に、前記物品供給部が配置されている。
【0008】
本構成によれば、第1走行フロアと第2走行フロアとのそれぞれに物品受入部が配置されている。そのため、互いに階層の異なる第1走行フロアと第2走行フロアとの双方において、搬送車によって搬送された物品を受け入れることができる。従って、物品搬送設備を平面的に拡大させることなく、搬送車によって搬送される物品の受け入れ先を増加させることができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送設備の第1走行フロア及び第2走行フロアを示す平面図
図2】物品搬送設備の概略平面図
図3】物品搬送設備の概略側面図
図4】仕分けエリア周辺を示す側面図
図5】稼働ユニット限定モードの一例を示す平面図
図6】受入限定モードの一例を示す平面図
図7】第2実施形態に係る物品搬送設備を示す平面図
図8】第2実施形態に係る仕分けエリア周辺を示す側面図
図9】第3実施形態に係る物品搬送設備を示す平面図
図10】第3実施形態に係る物品搬送設備の概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品搬送設備は、物品を搬送する搬送車と、それぞれに搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えている。以下、物品搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、物品搬送設備100は、第1階層の走行フロアFである第1走行フロアF1と、第2階層の走行フロアFである第2走行フロアF2との間で搬送車1(図2参照)を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第1リフタL1及び第2リフタL2と、を備えている。図1に示す例では、「1階」が第1階層に相当し、「2階」が第2階層に相当する。
【0013】
本実施形態では、第1階層と第2階層とは、上下方向に互いに隣接する階層である。第1階層よりも上側に第2階層が配置されている。
【0014】
物品搬送設備100は、搬送車1に対して物品G(図2参照)を供給する物品供給部2と、搬送車1によって搬送された物品Gを受け入れる物品受入部3と、を備えている。本実施形態では、物品搬送設備100には、物品供給部2から供給された物品Gを搬送車1に引き渡す作業が行われる作業エリアWAが設けられている。物品供給部2は、作業エリアWAに隣接して配置されている。また、物品搬送設備100には、物品受入部3で受け入れられた物品Gの仕分け作業が行われる仕分けエリアSAが設けられている。物品受入部3は、仕分けエリアSAに隣接して配置されている。
【0015】
本実施形態では、第1階層のみに、作業エリアWAが配置されている。そして、第1階層と第2階層とのそれぞれに、仕分けエリアSAが設けられている。すなわち本例では、第1階層のみに、物品供給部2が設けられていると共に、第1階層と第2階層とのそれぞれに、物品受入部3が設けられている。
【0016】
第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とのそれぞれに、第1リフタL1と第2リフタL2とを繋ぐリフタ間経路Rbが設けられている。搬送車1は、リフタ間経路Rbを走行することにより、第1リフタL1と第2リフタL2との間を移動することができる。
【0017】
以下では、リフタ間経路Rbが延在する方向を「経路延在方向X」とし、経路延在方向Xに対して上下方向視で直交する方向を「経路幅方向Y」とする。また、経路延在方向Xにおける一方側を「経路延在方向第1側X1」とし、他方側を「経路延在方向第2側X2」とする。
【0018】
本実施形態では、リフタ間経路Rbにおける経路延在方向第1側X1の端部に、第1リフタL1が配置されている。リフタ間経路Rbにおける経路延在方向第2側X2の端部に、第2リフタL2が配置されている。
【0019】
本実施形態では、第1リフタL1と第2リフタL2と第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbとが、搬送ユニットUを構成している。すなわち、第1リフタL1及び第2リフタL2と、各走行フロアFにおいてこれらの各リフタ(L1,L2)を繋ぐリフタ間経路Rbとが、搬送ユニットUを構成している。
【0020】
本実施形態では、搬送ユニットUが、経路幅方向Yに並んで複数配置されている。図1に示す例では、3つの搬送ユニットUが、経路幅方向Yに並んで配置されている。但し、搬送ユニットUの数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0021】
第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との少なくとも一方に、複数の搬送ユニットUのリフタ間経路Rbを経路幅方向Yに接続する接続経路Rcが設けられている。本実施形態では、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との双方に、接続経路Rcが設けられている。第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との双方において、接続経路Rcが各リフタ間経路Rbを接続している。搬送車1は、接続経路Rcを介して、各リフタ間経路Rbを行き来することができる。
【0022】
次に、物品搬送設備100の概略構成について、図2及び図3を主に参照して説明する。図2及び図3は、1つの搬送ユニットUを示している。なお、図2及び図3は、物品搬送設備100の概略構成を簡潔に説明するための図である。従って、図2及び図3においては、物品搬送設備100の概略構成の説明に不要な要素は省略し、或いは、説明に必要な要素であっても簡略化して示している。
【0023】
図2に示すように、物品搬送設備100は、第1階層の第1走行フロアF1と、第2階層の第2走行フロアF2と、第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2のそれぞれに形成された走行面Ffを走行する搬送車1と、を備えている。各階層の走行フロアFにおいて、複数の搬送車1が走行面Ffを走行している。
【0024】
物品搬送設備100は、床面90と架台8とを備えている。床面90は、第1走行フロアF1よりも下側に配置されている。作業者Wは、床面90に立って、第1走行フロアF1に対する作業やメンテナンスを行うことが可能となっている。架台8は、作業者Wの足場80を備えている。足場80は、第1走行フロアF1よりも上側であって第2走行フロアF2よりも下側に配置されている。作業者Wは、架台8の足場80に立って、第2走行フロアF2に対する作業やメンテナンスを行うことが可能となっている。
【0025】
本実施形態では、架台8の足場80は、上下方向視で搬送ユニットUの全体に亘って配置されている。図1に示す例では、架台8の足場80は、上下方向視で複数の搬送ユニットUの全体に亘って配置されている。換言すれば、複数の搬送ユニットUに対して、1つの架台8が設けられている。
【0026】
本実施形態では、物品搬送設備100には、設備全体における物品Gの搬送を制御する制御装置Mが設けられている。制御装置Mは、複数の搬送車1を制御するように構成されている。制御装置Mは、各搬送車1に対して、搬送指令や待機指令などを行う。搬送指令では、物品Gの搬送元と搬送先とが指定される。搬送指令を受けた搬送車1は、指定された搬送元において物品Gを受け取ると共に、指定された搬送先へ当該物品Gを搬送する。また、待機指令では、待機場所が指定される。待機指令を受けた搬送車1は、指定された待機場所まで走行して、その場で次の指令等を受けるまで待機する。
【0027】
搬送車1は、無人で走行するように構成されている。本実施形態では、搬送車1には、バッテリが搭載されており、バッテリに蓄えられた電力を駆動源として動作するように構成されている。物品搬送設備100には、充電ステーション6が設けられている(図1参照)。搬送車1は、バッテリの蓄電量が少なくなった場合には、充電ステーション6において充電することができる。
【0028】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、走行フロアFにおける複数箇所に、位置情報を保持した位置情報保持部が設けられている。位置情報保持部には、当該位置情報保持部が設けられた位置を示すアドレス情報が含まれている。搬送車1は、位置情報保持部を検出するための検出部(不図示)を備えており、この検出部によって位置情報保持部を検出することにより、検出時における自車の現在位置を把握可能となっている。搬送車1は、複数の位置情報保持部を順次読み取りながら、目的の場所に向かって走行する。例えば、位置情報保持部として、識別情報を保有した1次元コード又は2次元コードを用いることができる。或いは、位置情報保持部として、識別情報を保有したRFIDタグ(Radio Frequency Identification Tag)を用いることができる。
【0029】
上述のように、物品搬送設備100は、搬送車1に物品Gを供給する物品供給部2と、搬送車1によって搬送された物品Gを受け入れる物品受入部3と、を備えている。また、作業エリアWAが、物品供給部2に隣接して配置されている。作業エリアWAでは、物品供給部2から供給された物品Gを搬送車1に引き渡す作業が行われる。また、仕分けエリアSAが、物品受入部3に隣接して配置されている。仕分けエリアSAでは、物品受入部3に受け入れられた物品Gの仕分け作業が行われる。
【0030】
第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との少なくとも一方に、物品供給部2が配置されている。本実施形態では、第1走行フロアF1のみに、物品供給部2が配置されている。換言すれば、第1走行フロアF1のみに、作業エリアWAが配置されている。そして、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とのそれぞれにおいて、リフタ間経路Rbに隣接するように、物品受入部3が配置されている。すなわち本実施形態では、物品受入部3が配置された走行フロアF(第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2)の数は、物品供給部2が配置された走行フロアF(第1走行フロアF1)の数よりも多い。
【0031】
作業エリアWAは、第1走行フロアF1における複数のリフタ間経路Rbのそれぞれに対して、隣接するように配置されている。すなわち、第1走行フロアF1における複数のリフタ間経路Rb(図1に示す例では3つのリフタ間経路Rb)と同数の作業エリアWAが設けられている。
【0032】
物品供給部2からの物品Gは、当該物品Gのまま、或いは容器Cに収容された状態で搬送車1に供給される。本実施形態では、物品供給部2は、物品Gを、供給容器Cpに収容した状態で作業エリアWAに供給する。作業エリアWAでは、供給容器Cpに収容された物品Gを取り出して、リフタ間経路Rbで待機する搬送車1に当該物品Gを引き渡す作業が行われる。すなわち本実施形態では、搬送車1への物品Gの引き渡しは、供給容器Cpとは別の容器Cに物品Gを収容した状態で行われてもよいし、物品Gを容器Cに収容することなくそのまま引き渡す態様で行われてもよい。この引渡作業を介して、物品供給部2から搬送車1へ物品Gが供給される。本実施形態では、作業エリアWAでの上記作業が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって上記作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって上記作業が行われてもよい。
【0033】
搬送車1は、物品G又は物品Gが収容された容器Cを搬送するように構成されている。搬送車1は、物品供給部2から供給された物品G、本例では作業エリアWAにて受け取った物品G又は物品Gが収容された容器Cを、物品受入部3に搬送する。
【0034】
物品受入部3は、作業エリアWAとは離れた場所において、リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yに隣接して設けられている。本例では、リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの両側のそれぞれに、物品受入部3が設けられている。
【0035】
本実施形態では、物品受入部3は、経路延在方向Xに沿って並んで配置された複数の搬送機構30を備えている。複数の搬送機構30のそれぞれは、搬送車1から受け入れた物品G又は物品Gが収容された容器Cを、経路幅方向Yに沿って搬送するように構成されている。本例では、搬送機構30は、コンベヤを用いて構成されている(図4も参照)。但し、搬送機構30は、例えば、経路幅方向Yの外側に向けて下方に傾斜するシュートを用いて構成されていてもよい。搬送機構30としてシュートを用いる場合、物品G又は物品Gが収容された容器Cは、自重によって経路幅方向Yの外側に向けて搬送される。
【0036】
上述のように、物品受入部3に隣接して、仕分けエリアSAが配置されている。物品受入部3における搬送機構30によって経路幅方向Yの外側へ搬送された物品G又は物品Gが収容された容器Cは、仕分けエリアSAへ搬送される。すなわち、搬送車1は、物品供給部2にて受け取った物品G又は物品Gが収容された容器Cを仕分けエリアSAに搬送するように構成されている。本例では、搬送車1は、物品受入部3の搬送機構30を介して、物品供給部2にて受け取った物品G又は物品Gが収容された容器Cを仕分けエリアSAに搬送する。
【0037】
仕分けエリアSAでは、搬送車1によって搬送された物品Gの仕分け作業が行われる。仕分け作業は、予め定められたオーダー情報に基づいて行われる。例えば、オーダー情報には、例えば、顧客情報、出荷先情報、物品種別情報などの各種情報が含まれる。
【0038】
本実施形態では、搬送車1が、容器Cに収容された物品Gを仕分けエリアSAに搬送する場合には、仕分けエリアSAでは、容器Cから物品Gを取り出す取出作業が行われる。すなわち、仕分け作業には、搬送車1によって搬送された容器Cから物品Gを取り出す取出作業が含まれる。本実施形態では、仕分けエリアSAでの仕分け作業(上記取出作業を含む)が、作業者Wによって行われる。但し、作業者Wではなく、ロボットによって仕分け作業が行われてもよいし、作業者W及びロボットの双方によって仕分け作業が行われてもよい。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、仕分けエリアSAには、仕分け作業によりオーダー情報毎に集められた単数又は複数の物品Gを収容するための集荷容器Ccと、当該集荷容器Ccを仕分けエリアSAから搬出する搬出コンベヤ5(図1も参照)と、が設けられている。物品Gを収容した集荷容器Ccは、搬出コンベヤ5によって、仕分けエリアSA外へ搬出され、例えば次の工程が行われる場所へと搬送される。
【0040】
上述した仕分けエリアSAでの取出作業により、容器Cと物品Gとが分離され、空の容器Cが発生する。図2に示すように、本実施形態では、仕分けエリアSAでの取出作業によって発生した空の容器Cを回収する空容器回収装置4が、物品受入部3が配置された走行フロアF(本例では第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2)に設けられている。上述のように本例では、第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2の双方に、物品受入部3が配置されている。従って、空容器回収装置4は、第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2の双方に設けられている。本実施形態では、第1走行フロアF1に設けられた空容器回収装置4は、第1走行フロアF1に形成された走行面Ffよりも上側に配置され、第2走行フロアF2に設けられた空容器回収装置4は、第2走行フロアF2に形成された走行面Ffよりも上側に配置されている。
【0041】
本実施形態では、空容器回収装置4によって空の容器Cが搬送される経路である回収経路R4が、作業エリアWAに隣接する位置まで延在している。本例では、回収経路R4は、作業エリアWAの内部まで延在している。空容器回収装置4によって回収された空の容器Cは、回収経路R4に沿って作業エリアWAまで搬送され、作業エリアWAでの作業に再利用される。空容器回収装置4は、例えばコンベヤを用いて構成されている。コンベヤを用いて構成される空容器回収装置4は、回収経路R4に沿って延在している。
【0042】
搬送車1は、第1走行フロアF1において物品Gを仕分けエリアSA(物品受入部3)に引き渡した後は、第2リフタL2に乗って、第2走行フロアF2へ向かう。そして、搬送車1は、第2走行フロアF2を走行して第1リフタL1に乗り、再び第1走行フロアF1へ戻る。戻った搬送車1は、上記同様に、作業エリアWA(物品供給部2)において物品Gを受け取り、当該物品Gを仕分けエリアSA(物品受入部3)へ搬送する。
【0043】
また、搬送車1は、第1走行フロアF1の作業エリアWA(物品供給部2)において供給された物品Gを、第1走行フロアF1ではなく、第2走行フロアF2の仕分けエリアSA(物品受入部3)へ搬送することもできる。この場合、搬送車1は、物品Gを保持したまま第2リフタL2に乗り、第2走行フロアF2に降りた後、第2走行フロアF2の仕分けエリアSA(物品受入部3)へ物品Gを搬送する。その後は、上記同様に、第2走行フロアF2を走行して第1リフタL1に乗り、再び第1走行フロアF1へ戻る。
【0044】
図3は、1つの搬送ユニットUにおける各階層を、搬送車1が往来する様子を示している。図3に示すように、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbとは、互いに平行であり、搬送車1の走行を許容する向きが経路延在方向Xにおいて互いに反対側を向くように設定されている。
【0045】
本実施形態では、搬送車1は、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbを経路延在方向第1側X1に向けて走行するように構成されている。また、搬送車1は、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbを経路延在方向第2側X2に向けて走行するように構成されている。
【0046】
第1リフタL1は、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第1側X1の端部と、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第1側X1の端部と、を接続するように構成されている。第1リフタL1は、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第1側X1の端部と第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第1側X1の端部との間で、搬送車1を昇降させるように構成されている。
【0047】
第2リフタL2は、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第2側X2の端部と、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第2側X2の端部と、を接続するように構成されている。第2リフタL2は、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第2側X2の端部と第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbにおける経路延在方向第2側X2の端部との間で、搬送車1を昇降させるように構成されている。
【0048】
第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、搬送車1を載置可能な昇降台Laを備えている。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、自らが備える昇降台Laに搬送車1を載置した状態で、当該搬送車1を複数階層に亘って昇降させる。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、昇降台Laの姿勢を水平面に沿う姿勢(例えば、水平面に平行な姿勢)に維持した状態で、昇降台Laを昇降させるように構成されている。
【0049】
本実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、複数の昇降台Laを備えている。第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれは、複数の昇降台Laを予め定められた環状の経路に沿って循環させるように構成されている。
【0050】
本実施形態では、第1リフタL1は、搬送車1の上昇用に設定されている。すなわち、第1リフタL1は、第1走行フロアF1から第2走行フロアF2へ搬送車1を移動させるためのリフタである。
【0051】
本実施形態では、第2リフタL2は、搬送車1の下降用に設定されている。すなわち、第2リフタL2は、第2走行フロアF2から第1走行フロアF1へ搬送車1を移動させるためのリフタである。
【0052】
上述のように、本実施形態では、第1走行フロアF1には、搬送車1が物品Gを受け取る作業エリアWA(物品供給部2)と、搬送車1が物品Gを引き渡す仕分けエリアSA(物品受入部3)と、が設けられている。本例では、搬送車1は、下降用の第2リフタL2の出口から第1走行フロアF1に出て、作業エリアWAにおいて物品Gを受け取る。その後、搬送車1は、物品Gを保持した状態で第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbを経路延在方向第1側X1に向けて走行し、仕分けエリアSAにおいて当該物品Gを引き渡す。さらにその後、搬送車1は、第1走行フロアF1から上昇用の第1リフタL1に進入し、第2走行フロアF2へ向かう。搬送車1は、上昇用の第1リフタL1の出口から第2走行フロアF2に出て、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbを経路延在方向第2側X2に向けて走行する。そして、搬送車1は、下降用の第2リフタL2に進入し、第1走行フロアF1へ向かう。このようにして、搬送車1は、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とを循環する。なお、仕分けエリアSA(物品受入部3)は、第2走行フロアF2にも設けられている。そのため、搬送車1は、第1走行フロアF1の作業エリアWA(物品供給部2)で物品Gを受け取った後、第1走行フロアF1の仕分けエリアSA(物品受入部3)ではなく、第2走行フロアF2の仕分けエリアSA(物品受入部3)において物品Gを引き渡してもよい。
【0053】
本開示に係る物品搬送設備100では、仕分けエリアSA(物品受入部3)は、第1走行フロアF1だけでなく、第2走行フロアF2にも設けられている。そのため、互いに階層の異なる第1走行フロアF1と第2走行フロアF2との双方において、搬送車1によって搬送された物品Gを受け入れることができる。従って、物品搬送設備100を平面的に拡大させることなく、搬送車1によって搬送される物品Gの受け入れ先(物品受入部3)を増加させることが可能となっている。
【0054】
図4に示すように、物品搬送設備100には、第1走行フロアF1に対して作業を行う作業者Wが立つことができる床面90と、第2走行フロアF2に対して作業を行う作業者Wが立つことができる架台8と、が設けられている。本例では、架台8に形成された足場80が、第1走行フロアF1よりも上側に配置されている。作業者Wは、足場80に立って、第2走行フロアF2に対する作業を行うことができる。
【0055】
本実施形態では、第1走行フロアF1の物品受入部3と第2走行フロアF2の物品受入部3とが、上下方向視で重複するように配置されている。また、本例では、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第1階層の仕分けエリアSAとの経路幅方向Yの距離D1(以下、「第1距離D1」と称する。)と、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbと第2階層の仕分けエリアSAとの経路幅方向Yの距離D2(以下、「第2距離D2」と称する。)とが、同等となっている。換言すれば、第1走行フロアF1における物品受入部3の経路幅方向Yの配置領域と、第2走行フロアF2における物品受入部3の経路幅方向Yの配置領域と、が同等となっている。さらに換言すれば、搬送機構30による経路幅方向Yに沿った物品Gの搬送距離が、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とで同等となっている。これにより、第1階層の仕分けエリアSAと第2階層の仕分けエリアSAとが、上下方向視で重複するように配置されている。
【0056】
本実施形態では、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの両側に配置された一対の仕分けエリアSAのそれぞれは、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yに同等の距離離間している。すなわち、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの一方側に配置された一方の仕分けエリアSAは、当該リフタ間経路Rbに対して第1距離D1離れている。そして、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの他方側に配置された他方の仕分けエリアSAについても、当該リフタ間経路Rbに対して第1距離D1離れている。
【0057】
また、本実施形態では、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの両側に配置された一対の仕分けエリアSAのそれぞれは、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yに同等の距離離間している。すなわち、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの一方側に配置された一方の仕分けエリアSAは、当該リフタ間経路Rbに対して第2距離D2離れている。そして、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの他方側に配置された他方の仕分けエリアSAについても、当該リフタ間経路Rbに対して第2距離D2離れている。
【0058】
ここで、物品搬送設備100では、顧客のニーズ等に応じて、搬送すべき物品Gの総数が変動することがある。この場合、物品搬送設備100における搬送負荷が変動する。本実施形態に係る物品搬送設備100は、制御装置M(図2参照)が、搬送負荷に応じた複数のモードを実行可能に構成されている。これにより、物品搬送設備100における搬送負荷の変動に柔軟に対応することが可能となっている。
【0059】
図5に示すように、本実施形態では、制御装置Mは、複数の搬送ユニットUのうち稼働させる搬送ユニットUを一部に限定する稼働ユニット限定モードを実行可能に構成されている。稼働ユニット限定モードでは、複数の搬送ユニットUのうち一部を非稼働状態とし、残りを稼働状態とする。図5において、ハッチングが施された搬送ユニットU(図中、1番上と中央の搬送ユニットU)が、稼働ユニット限定モードにより非稼働状態となっている搬送ユニットUである。
【0060】
上述のように、1つの搬送ユニットUは、第1リフタL1と第2リフタL2と第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbと、を構成要素として含んでいる。本実施形態に係る稼働ユニット限定モードでは、非稼働状態とされる搬送ユニットUの各構成要素のうち、第1リフタL1及び第2リフタL2の稼働が停止されると共に、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbとにおける搬送車1の走行が禁止される。
【0061】
稼働ユニット限定モードの実行により、搬送すべき物品Gの総数が少なく搬送負荷が小さい閑散期などにおいて、物品搬送設備100で稼働する搬送ユニットUの数を抑制することができる。従って、物品搬送設備100におけるエネルギ消費を抑制することが可能となる。
【0062】
図6に示すように、本実施形態では、制御装置Mは、物品受入部3による物品Gの受け入れの数を限定する受入限定モードを実行可能に構成されている。受入限定モードでは、物品受入部3のうち一部を非稼働状態とし、残りを稼働状態とする。本実施形態に係る受入限定モードでは、稼働させる搬送ユニットUの数は多く確保しつつ、物品受入部3のうち一部を非稼働状態とする。図6において、物品受入部3のうちハッチングが施された部分が、受入限定モードにより非稼働状態となっている部分である。
【0063】
上述のように、物品受入部3は、経路延在方向Xに沿って並んで配置された複数の搬送機構30を備えている。複数の搬送機構30のそれぞれは、搬送車1から受け入れた物品G又は物品Gが収容された容器Cを、経路幅方向Yに沿って搬送するように構成されている。本実施形態に係る受入限定モードでは、複数の搬送機構30のうち一部が非稼働状態とされる。制御装置Mは、搬送車1に対して、稼働している残りの搬送機構30を物品Gの搬送先として指定する。
【0064】
受入限定モードの実行により、搬送すべき物品Gの総数が少なく搬送負荷が小さい閑散期などにおいて、物品搬送設備100におけるエネルギ消費を抑制しつつ、短期間で物品Gの仕分けを行うことができる。すなわち、受入限定モードでは、物品受入部3の一部は非稼働状態とするが、稼働させる搬送ユニットUの数は多く確保するため、搬送すべき物品Gの総数に対して稼働する搬送ユニットUの数を多くできる。このため、搬送車1は、稼働する複数の搬送ユニットUのうち何れかを利用して物品Gを搬送することができる。従って、複数の搬送車1のそれぞれの走行先を複数の搬送ユニットUに分散することができ、1つの搬送ユニットUにおいて複数の搬送車1が渋滞することを抑制できる。
【0065】
〔第2実施形態〕
次に、物品搬送設備100の第2実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態と比較して、物品受入部3及び架台8の構成が主に異なる。以下、第2実施形態について、上記第1実施形態とは異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
図7に示すように、本実施形態では、物品搬送設備100は、複数の架台8を備えている。第2走行フロアF2における複数の物品受入部3のそれぞれに対応して、各架台8が配置されている。
【0067】
架台8の足場80は、上下方向視において、対応する物品受入部3の一部及び当該物品受入部3に隣接する仕分けエリアSAに亘って配置されている。架台8の足場80は、上下方向視において、第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2のそれぞれのリフタ間経路Rbとは重複しないように配置されている。
【0068】
本実施形態では、1つの架台8が、互いに隣接する2つの搬送ユニットUで共用されている。説明を加えると、搬送ユニットUにおける第2走行フロアF2の物品受入部3と、当該搬送ユニットUに隣接配置された他の搬送ユニットUにおける第2走行フロアF2の物品受入部3とが、経路幅方向Yに隣接して配置されている。これら2つの物品受入部3に対して、1つの架台8が配置されている。すなわち、これら2つの物品受入部3に亘って、1つの架台8における足場80が配置されている。
【0069】
図8は、1つの搬送ユニットUを示している。図8に示すように、本実施形態では、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbと第1階層の仕分けエリアSAとの経路幅方向Yの距離(第1距離D1)と、第2走行フロアF2のリフタ間経路Rbと第2階層の仕分けエリアSAとの経路幅方向Yの距離(第2距離D2)と、が異なっている。換言すれば、第1走行フロアF1における物品受入部3の経路幅方向Yの配置領域と、第2走行フロアF2における物品受入部3の経路幅方向Yの配置領域と、が異なっている。さらに換言すれば、搬送機構30による経路幅方向Yに沿った物品Gの搬送距離が、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とで異なっている。
【0070】
本実施形態では、第2距離D2は、第1距離D1よりも長い。このため、同一の搬送ユニットUにおいて、第2階層の仕分けエリアSAは、第1階層の仕分けエリアSAよりも経路幅方向Yの外側に配置されている。これにより、第1階層の仕分けエリアSAと第2階層の仕分けエリアSAとを、上下方向視で重複しないように配置することができる。そのため、第1階層と第2階層とを近づけて配置し易くなり、設備全体として上下方向の小型化を図ることが可能となる。図8に示す例では、足場80の高さが、床面90に立つ作業者Wの身長(例えば、作業者Wの平均身長、又は想定される作業者Wの最大身長)よりも低くなる程度に、第1階層と第2階層とが近づけて配置されている。
【0071】
〔第3実施形態〕
次に、物品搬送設備100の第3実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。第3実施形態では、上記第1実施形態と比較して、第2走行フロアF2の構成が主に異なる。以下、第3実施形態について、上記第1実施形態とは異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
【0072】
図9及び図10に示すように、物品供給部2と物品受入部3とが、同一階層の走行フロアFに配置されている。具体的には、第1走行フロアF1に物品供給部2(作業エリアWA)と物品受入部3(仕分けエリアSA)とが配置されていると共に、第2走行フロアF2に物品供給部2(作業エリアWA)と物品受入部3(仕分けエリアSA)とが配置されている。
【0073】
本実施形態では、第1走行フロアF1及び第2走行フロアF2のそれぞれにおいて、搬送車1の走行方向の上流側に物品供給部2(作業エリアWA)が配置され、当該物品供給部2よりも走行方向の下流側に物品受入部3(仕分けエリアSA)が配置されている。本例では、第1走行フロアF1では、物品供給部2(作業エリアWA)が物品受入部3(仕分けエリアSA)よりも経路延在方向第2側X2に配置されている。一方、第2走行フロアF2では、物品供給部2(作業エリアWA)が物品受入部3(仕分けエリアSA)よりも経路延在方向第1側X1に配置されている。
【0074】
例えば本実施形態では、搬送車1は、第1走行フロアF1において、物品供給部2(作業エリアWA)で供給された物品Gを物品受入部3(仕分けエリアSA)まで搬送する。そして、物品Gの搬送を終えて何も保持していない状態の搬送車1は、第1リフタL1に乗って第2走行フロアF2へ向かう。搬送車1は、第2走行フロアF2において、物品供給部2(作業エリアWA)で供給された物品Gを物品受入部3(仕分けエリアSA)まで搬送する。
【0075】
本実施形態によれば、搬送車1は、物品供給部2から供給された物品Gを、当該物品供給部2が配置された階層と同一の階層に配置された物品受入部3に搬送することができる。そのため、物品Gの供給から受け入れまでの工程を、1つの階層で完結することができる。従って、搬送車1による物品Gの搬送距離を短く抑え易い。
【0076】
上記構成は、搬送車1による物品Gの搬送距離を短く抑え易いことから、搬送時に振動を与えたくない物品G、すなわち振動に弱い物品Gを搬送するのに適している。「振動に弱い物品G」とは、搬送時の姿勢が不安定となり易いもの、例えば転がり易いものなどが挙げられる。また、リフタの構成によっては、リフタによる搬送車1の昇降中に比較的大きな振動が生じ得るが、本実施形態では、物品Gの供給から受け入れまでの工程を、リフタを介することなく1つの階層で完結することができる。この点からも、上記構成は、振動に弱い物品Gを搬送するのに適している。
【0077】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0078】
(1)上記の第1実施形態及び第2実施形態では、物品受入部3が配置された走行フロアFの数は、物品供給部2が配置された走行フロアFの数よりも多い例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品受入部3が配置された走行フロアFの数は、第3実施形態のように、物品供給部2が配置された走行フロアFの数と同数であってもよい。或いは、物品受入部3が配置された走行フロアFの数は、物品供給部2が配置された走行フロアFの数よりも少なくてもよい。
【0079】
(2)上記の実施形態では、リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの両側のそれぞれに、物品受入部3が設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品受入部3は、リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの一方側のみに設けられていてもよい。
【0080】
(3)上記の実施形態では、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yの両側に配置された一対の仕分けエリアSAのそれぞれは、当該リフタ間経路Rbに対して経路幅方向Yに同等の距離離間している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1走行フロアF1のリフタ間経路Rbに対する離間距離は、一方の仕分けエリアSAと他方の仕分けエリアSAとで異なっていてもよい。第2走行フロアF2におけるリフタ間経路Rbと一対の仕分けエリアSAとの関係についても、これと同様であってよい。
【0081】
(4)上記の実施形態では、仕分けエリアSAでの取出作業によって発生した空の容器Cを回収する空容器回収装置4が設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、空容器回収装置4は設けられていなくてもよい。この場合、仕分けエリアSAでの取出作業によって発生した空の容器Cは、例えば搬送車1によって回収するようにしてもよい。
【0082】
(5)上記の実施形態では、搬送ユニットUが、経路幅方向Yに並んで複数配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品搬送設備100は、単一の搬送ユニットUを備えた構成であってもよい。
【0083】
(6)上記の実施形態では、第1リフタL1及び第2リフタL2のそれぞれが、複数の昇降台Laを予め定められた環状の経路に沿って循環させるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1リフタL1及び第2リフタL2の少なくとも一方は、上下方向に沿う1本の経路に沿って昇降台Laを往復させるように構成されていてもよい。
【0084】
(7)上記の実施形態では、物品搬送設備100は、第1階層の第1走行フロアF1と、第2階層の第2走行フロアF2と、を備えている例について説明した。これは、物品搬送設備100は、少なくとも、第1走行フロアF1と第2走行フロアF2とを備えていることを意味するものであり、他の階層にも走行フロアFを備えていてよい。この「他の階層」は、第1階層と第2階層との間の階層であっても、第1階層及び第2階層よりも上側又は下側の階層であってもよい。また、上記の実施形態とは異なり、第2階層は、第1階層よりも下側の階層であってもよい。
【0085】
(8)上記の第2実施形態では、第2距離D2が、第1距離D1よりも長い例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2距離D2は、第1距離D1よりも短くてもよい。この場合、同一の搬送ユニットUにおいて、第2階層の仕分けエリアSAは、第1階層の仕分けエリアSAよりも経路幅方向Yの内側に配置される。この場合であっても、第1階層の仕分けエリアSAと第2階層の仕分けエリアSAとを、上下方向視で重複しないように配置することができる。そのため、第1階層と第2階層とを近づけて配置し易くなり、設備全体として上下方向の小型化を図ることが可能となる。
【0086】
(9)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0087】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0088】
物品を搬送する搬送車と、それぞれに前記搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えた物品搬送設備であって、
第1階層の前記走行フロアである第1走行フロアと、第2階層の前記走行フロアである第2走行フロアとの間で前記搬送車を昇降させると共に、互いに水平方向に離間して配置された第1リフタ及び第2リフタと、
前記搬送車に対して前記物品を供給する物品供給部と、
前記搬送車によって搬送された前記物品を受け入れる物品受入部と、を備え、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれに、前記第1リフタと前記第2リフタとを繋ぐリフタ間経路が設けられ、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとのそれぞれにおいて、前記リフタ間経路に隣接するように、前記物品受入部が配置され、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとの少なくとも一方に、前記物品供給部が配置されている。
【0089】
本構成によれば、第1走行フロアと第2走行フロアとのそれぞれに物品受入部が配置されている。そのため、互いに階層の異なる第1走行フロアと第2走行フロアとの双方において、搬送車によって搬送された物品を受け入れることができる。従って、物品搬送設備を平面的に拡大させることなく、搬送車によって搬送される物品の受け入れ先を増加させることができる。
【0090】
前記物品受入部が配置された前記走行フロアの数は、前記物品供給部が配置された前記走行フロアの数よりも多い、と好適である。
【0091】
本構成によれば、物品供給部の数に対して、当該物品が搬送される受け入れ先を多く確保できる。そのため、物品を多数の受け入れ先に仕分ける必要がある用途に適した物品搬送設備とし易い。
【0092】
前記物品供給部と前記物品受入部とが、同一階層の前記走行フロアに配置されている、と好適である。
【0093】
本構成によれば、搬送車は、物品供給部から供給された物品を、当該物品供給部が配置された階層と同一の階層に配置された物品受入部に搬送することができる。そのため、物品の供給から受け入れまでの工程を、1つの階層で完結することができる。従って、物品の搬送距離を短く抑え易い。
【0094】
前記物品受入部で受け入れられた前記物品の仕分け作業が行われる仕分けエリアが設けられ、
前記物品供給部からの前記物品は、当該物品のまま、或いは容器に収容された状態で前記搬送車に供給され、
前記搬送車は、前記物品供給部にて受け取った前記物品又は前記物品が収容された前記容器を前記仕分けエリアに搬送し、
前記仕分け作業には、前記搬送車によって搬送された前記容器から前記物品を取り出す取出作業が含まれ、
前記取出作業によって発生した空の前記容器を回収する空容器回収装置が、前記物品受入部が配置された前記走行フロアに設けられている、と好適である。
【0095】
本構成によれば、物品供給部において用いられた容器が、仕分けエリアでの仕分け作業(取出作業)によって空の容器となる。この空の容器は、空容器回収装置によって回収される。例えば、空容器回収装置によって回収された空の容器を物品供給部に提供することで、物品供給部において容器の再利用を図ることができる。
【0096】
前記リフタ間経路が延在する方向を経路延在方向とし、前記経路延在方向に対して上下方向視で直交する方向を経路幅方向として、
前記第1階層と前記第2階層とが上下方向に互いに隣接する階層であり、
前記第1階層と前記第2階層とのそれぞれに前記仕分けエリアが設けられ、
前記第1走行フロアの前記リフタ間経路と前記第1階層の前記仕分けエリアとの前記経路幅方向の距離と、前記第2走行フロアの前記リフタ間経路と前記第2階層の前記仕分けエリアとの前記経路幅方向の距離と、が異なっている、と好適である。
【0097】
本構成によれば、第1階層に設けられた仕分けエリアと、第2階層に設けられた仕分けエリアとを、上下方向視で重複しないように配置することができる。これにより、第1階層と第2階層とを近づけて配置し易くなり、設備全体として上下方向の小型化を図ることが可能となる。
【0098】
前記リフタ間経路が延在する方向を経路延在方向とし、前記経路延在方向に対して上下方向視で直交する方向を経路幅方向として、
前記第1リフタと前記第2リフタと前記第1走行フロアの前記リフタ間経路と前記第2走行フロアの前記リフタ間経路とが、搬送ユニットを構成し、
前記搬送ユニットが、前記経路幅方向に並んで複数配置され、
前記第1走行フロアと前記第2走行フロアとの少なくとも一方に、複数の前記搬送ユニットの前記リフタ間経路を前記経路幅方向に接続する接続経路が設けられている、と好適である。
【0099】
本構成によれば、搬送車は、接続経路を介して複数の搬送ユニット間を行き来することが可能となる。従って、複数の搬送ユニット同士で搬送負荷にばらつきがある場合であっても、搬送負荷に応じて、各搬送ユニットに搬送車を適宜移動させて物品を搬送させることができる。そのため、設備全体として物品の搬送効率を高め易い。
【0100】
設備全体における前記物品の搬送を制御する制御装置が設けられ、
前記制御装置は、複数の前記搬送ユニットのうち稼働させる前記搬送ユニットを一部に限定する稼働ユニット限定モードを実行可能に構成されている、と好適である。
【0101】
本構成によれば、物品搬送設備における搬送負荷の変動に柔軟に対応することが可能となる。例えば、搬送すべき物品の総数が少なく搬送負荷が低い閑散期などには、稼働ユニット限定モードの実行により、物品搬送設備において稼働する搬送ユニットの数を抑制することができる。これにより、物品搬送設備におけるエネルギ消費を少なく抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送車と、それぞれに前記搬送車が走行する走行面が形成された複数階層の走行フロアと、を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
100 :物品搬送設備
F :走行フロア
F1 :第1走行フロア
F2 :第2走行フロア
Ff :走行面
L1 :第1リフタ
L2 :第2リフタ
Rb :リフタ間経路
Rc :接続経路
1 :搬送車
2 :物品供給部
3 :物品受入部
4 :空容器回収装置
G :物品
C :容器
M :制御装置
SA :仕分けエリア
U :搬送ユニット
D1 :第1距離
D2 :第2距離
X :経路延在方向
Y :経路幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10