(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010268
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】物品棚等におけるキャスタ取付ベース具
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20240117BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B60B33/00 G
A47B91/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111499
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】398019464
【氏名又は名称】サンケイ鋼器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】一丸 和夫
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069CA03
(57)【要約】
【課題】例えば物品棚における柱材の下端に、物品棚を移動させるキャスタ(車輪)をしっかりと固定でき、しかも安全で安定的に使用できるようにする。
【解決手段】柱材Pの下端面に当接するプレート本体2に、柱材Pに挿入する相対峙した連結片3を起立形成し、この連結片3と連結片3に形成した補助連結片4とに柱材Pの下端部内側面に当接させてねじ止めする柱止め孔5を開穿し、プレート本体2にはキャスタ10のキャスタベース11をねじ止めさせるキャスタ止め孔6を開穿する。柱止め孔5は、互いに異ならしめた高さ位置に設定調整し、連結片3の基部の幅員は、この連結片3の上端側の幅員に比し小さくしてあり、補助連結片4は、相対峙状の連結片3における同一縁側に、突合せ状に折曲延設する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品棚における柱材の下端にキャスタを連結固定するベース具であって、柱材の下端面に当接されるプレート本体に、柱材に挿入される相対峙した連結片を起立形成し、この連結片と連結片に形成した補助連結片とに柱材の下端部内側面に当接させてねじ止めする柱止め孔を開穿し、プレート本体にはキャスタのキャスタベースをねじ止めさせるキャスタ止め孔を開穿して成ることを特徴とする物品棚等におけるキャスタ取付ベース具。
【請求項2】
連結片、補助連結片それぞれに開穿した柱止め孔は、互いに異ならしめた高さ位置に設定調整されている請求項1に記載の物品棚等におけるキャスタ取付ベース具。
【請求項3】
連結片の基部の幅員は、この連結片の上端側の幅員に比し小さくしてある請求項1に記載の物品棚等におけるキャスタ取付ベース具。
【請求項4】
補助連結片は、相対峙状の連結片における同一縁側に、突合せ状に折曲延設してある請求項1に記載の物品棚等におけるキャスタ取付ベース具。
【請求項5】
キャスタ止め孔は、プレート本体の隅部に放射状に配列してある請求項1に記載の物品棚等におけるキャスタ取付ベース具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばL字型、U字型等の適宜断面を呈する鋼材等によって組み立て使用される、いわゆる物品棚が移動可能なものとしてキャスタ(車輪)が取り付けられるとき、キャスタをガタつかせずにしっかりと固定でき、しかも安全で安定的に使用できるようにした物品棚等におけるキャスタ取付ベース具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、適宜断面の強度性を備えた鋼材等を使用して、適数段の棚板を有する各種の物品棚が提供されており、またその移動その他が容易に行えるように、キャスタ(車輪)を備えた移動式物品棚も提供されている。この移動式物品棚において、キャスタを物品棚本体と安定した固定状態とすることで、移動面における凹凸その他があっても安全に移動させることができる。
【0003】
ところで、物品棚自体は、設置場所等に安定させて設置できるように、
図5に示すように、例えば物品棚を構成している四隅に立脚配置した柱材Pの下端にプレート状のベース部材101を溶接固着してあって、設置面と安定した状態で立てられるようにしている。こうした物品棚においては、その移動のためにキャスタ110等を取り付ける場合、従来は
図5に示すように、ベース部材101にキャスタ110を固定するように、ベース部材101にキャスタベース111を当接させてネジ止めすることで、キャスタ110を固定している。
【0004】
一方、特許文献1の棚支柱のキャスタ取付装置にあるように、柱材の下端に互いに旋回可能にして組み合わせた上下の軸受板から成るキャスタ回転用軸受部を設け、車輪を取り付けたキャスタ支持枠を下部軸受板に連結することで、柱材に対して車輪を任意方向に向けて移動走行させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、
図5に示すように、ベース部材にキャスタベースをネジ止め固定してあっても、柱材の下端とベース部材とは溶接固着してあるにすぎないから、キャスタによって物品棚等を移動するとき、その移動面の凹凸、更には物品棚自体の重量その他によってキャスタがスムーズに転動しないことがあると、キャスタと柱材との間で負荷が掛かり、その溶接部分が破断されることがある。
【0007】
また、特許文献1の棚支柱のキャスタ取付装置では、柱材の下端部にキャスタ回転用軸受部を設けなければならないから、物品棚にキャスタを取り付けるには柱材そのものを交換し、新たに製作する必要がある。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、例えば物品棚における柱材にキャスタをしっかりと連結固定でき、荷重が負荷されている物品棚であっても、移動その他によってもキャスタ連結部分が破損することなく、物品棚自体を安全、安定して移動できるようにした物品棚等におけるキャスタ取付ベース具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、物品棚における柱材Pの下端にキャスタ10を連結固定するベース具であって、柱材Pの下端面に当接されるプレート本体2に、柱材Pに挿入される相対峙した連結片3を起立形成し、この連結片3と連結片3に形成した補助連結片4とに柱材Pの下端部内側面に当接させてねじ止めする柱止め孔5を開穿し、プレート本体2にはキャスタ10のキャスタベース11をねじ止めさせるキャスタ止め孔6を開穿して成ることを特徴とする。
連結片3、補助連結片4それぞれに開穿した柱止め孔5は、互いに異ならしめた高さ位置に設定調整されて構成することができる。
連結片3の基部の幅員は、この連結片3の上端側の幅員に比し小さくして構成することができる。
補助連結片4は、相対峙状の連結片3における同一縁側に、突合せ状に折曲延設して構成することができる。
キャスタ止め孔6は、プレート本体2の隅部に放射状に配列することで構成することができる。
【0010】
以上のように構成された物品棚等におけるキャスタ取付ベース具にあって、プレート本体2に立脚形成の連結片3、補助連結片4が柱材Pの内部に挿入され、その側壁内側面に当接状態で柱止め孔5によってネジ止め固定されることで、柱材Pの下端に、キャスタ10を固定させるプレート本体2を配置設定させる。
プレート本体2の隅部に放射状に配列したキャスタ止め孔6は、プレート本体2の下面に当接配置されるキャスタ10のキャスタベース11をねじ止め固定させ、プレート本体2、連結片3、補助連結片4を介してキャスタ10を柱材Pに連結固定させる。
柱材Pとプレート本体2とのねじ止め固定は、その解除によって異なる大きさのプレート本体2を有するベースプレート1との交換を可能にさせ、荷重容量が異なるキャスタ10の選択を可能にさせる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、連結片3、補助連結片4を柱材Pの内部に挿入して柱材Pにねじ止め固定することで、キャスタ10を取り付けるプレート本体2を柱材Pの下端に位置決め固定でき、キャスタ10をしっかりと支持でき、例えば物品棚自体の移動によってもその連結が破断されることはない。
【0012】
すなわちこれは本発明において、柱材Pの下端面に当接されるプレート本体2に、柱材Pに挿入される連結片3、補助連結片4を柱材Pの内側面に当接、ねじ止めする柱止め孔5を開穿し、プレート本体2にはキャスタ10をねじ止めさせるキャスタ止め孔6を開穿して成るからである。こうすることで、柱材Pとキャスタ10とをしっかりと安定的に固定連結できる。
【0013】
また、プレート本体2から相対峙状に切起こした連結片3、この連結片3の同一縁側に突合せ状に折曲延設した補助連結片4が柱材Pの側壁内側面に当接されて柱止め孔5によって柱材Pにねじ止めされることで、プレート本体2は柱材Pの下端面に安定した状態で配置固定され、外部からの衝撃その他によっても解体されることはない。
【0014】
連結片3の基部側が上端縁側部分に比し幅員をやや小さくしてあることで、柱材Pへの内部挿入状態を安定させると共に、プレート本体2自体をやや大型に形成できることもあり、キャスタ10におけるキャスタベース11とのネジ止め状態の安定性を一層向上させることができる。
【0015】
更には、許容する荷重容量が異なるキャスタ10を取り付ける場合、異なる大きさであらかじめ用意したベース具と交換することで対応でき、汎用性を向上させる。
【0016】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は 、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す要部の分解斜視図である。
【
図5】従来におけるキャスタ取付状態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は例えば物品棚(図示せず)における中空状、例えば断面溝形状の柱材Pの下端に固定されるベースプレートである。
【0019】
このベースプレート1は、平面でほぼ正方形状を呈するプレート本体2に、相対峙状に起立させた対状の連結片3を設けると共に、この連結片3自体と連結片3に形成した補助連結片4とに柱材Pの下端部面に当接させてねじ止めする柱止め孔5を開穿し、プレート本体2にはキャスタ10のキャスタベース11をねじ止めさせるキャスタ止め孔6を開穿して成る。
【0020】
プレート本体2は、
図2に示すように、ほぼ正方形状の本体部分に突出部分を設けて、所定肉厚に形成されているスチール素材に、互いに逆方向から所定幅員で切起こすことで形成した前記連結片3を有する。この連結片3自体は、物品棚における断面で溝形を呈する柱材Pにおける側壁内側面に当接し、またその内法幅員にほぼ対応する幅員を有すると共に、上端部には柱材Pの側壁内側面に当接する前記補助連結片4を延設してあり、連結片3、補助連結片4それぞれには、柱材Pにねじ止めさせる柱止め孔5を開穿してある。
【0021】
そして、連結片3の起立形成前のプレート本体2は、連結片3が切込み形成されるべく相対峙している辺縁では、連結片3から設けられる補助連結片4に相当する形状・大きさで出張っている。また、連結片3を切起こし形成する切起こし切断線では、連結片3の基部側が上端縁側部分に比し幅員をやや小さくしてあることで、柱材Pへの内部挿入状態、後述するキャスタ10におけるキャスタベース11とのネジ止め状態それぞれの安定性を向上させることができる。
【0022】
図例にあって、補助連結片4は相対峙状の連結片3における同一縁側に、その自由縁が突合せ状になるように折曲延設されることで配されている。これは、断面溝形状になっている柱材Pの両側壁、奥側壁それぞれの内側面にしっくりと当接するようにしてあるがためである。また、柱止め孔5は、連結片3、補助連結片4が柱材Pの内部に挿入されたときに、これらの柱止め孔5が柱材Pに開穿されている所定位置の透孔P1と合致させる位置となしてある。また、柱止め孔5と透孔P1とのねじ止め締結が円滑に作業できるように、連結片3と補助連結片4とに設けたそれぞれの柱止め孔5は上下方向で高さ位置を異ならしめてあると共に、上下方向に沿ってやや長くした長孔状に形成してある。
【0023】
また、前記キャスタ止め孔6は、図例にあってはプレート本体2の四隅に放射状に配列されていて、それぞれは長孔状に開穿形成されている。プレート本体2には、キャスタ10がネジ止めされるもので、キャスタ10自体は、図示のように、キャスタベース11に車輪支持枠12を旋回自在に連結し、この車輪支持枠12に車輪13を支承して成り、プレート本体2の下面にあてがわれたキャスタベース11がネジ止めされることで、固定されるようにしてある。
【0024】
次に以上のように構成された本発明ベース具の使用につき説明すると、プレート本体2に起立形成した連結片3、補助連結片4を物品棚における柱材Pの下端部内に挿入し、柱止め孔5と透孔P1とを合致させてネジ止めする。その一方、プレート本体2の下面にキャスタ10のキャスタベース11をあてがい当接し、キャスタ止め孔6にキャスタベース11をねじ止めすることで、柱材Pの下端にキャスタ10を取り付ける。
【符号の説明】
【0025】
P…柱材
P1…透孔
1…ベースプレート
2…プレート本体
3…連結片
4…補助連結片
5…柱止め孔
6…キャスタ止め孔
10…キャスタ
11…キャスタベース
12…車輪支持枠
13…車輪
101…ベース部材
110…キャスタ
111…キャスタベース