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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102682
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006739
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】小野木 健二
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB07
5C062AB32
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】画像データ転送に係る準備が転送すべき時機に間に合わなくなる可能性の有無に応じて、画像読み取りのモードを切り替える。
【解決手段】原稿を搬送する原稿搬送部と、画像を読み取る画像読取部と、画像データを格納する画像メモリと処理プログラムを格納するシステムメモリとを含むメインメモリと、画像読取部から画像メモリへの画像データ転送を行うデータ転送回路と、処理プログラムに従いデータ転送回路の設定を行う制御部と、を備え、制御部は、原稿の前頁を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定し、第1読取モードで読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにする画像処理装置。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の頁からなる原稿を搬送する原稿搬送部と、
搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部と、
読み取られた各頁の画像データを格納する画像メモリと処理プログラムを格納するシステムメモリとを含むメインメモリと、
前記画像読取部から前記画像メモリへの画像データ転送を行うデータ転送回路と、
前記処理プログラムに従い前記画像の読み取りを制御し前記画像データ転送に係る前記データ転送回路の設定を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の頁からなる原稿の画像を頁毎に読み取る際、前頁の画像を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁の原稿を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れのモードで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定し、前記第1読取モードでの読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、前記第1読取モードを前記第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにする画像処理装置。
【請求項2】
前記メインメモリは、動的に前記画像メモリおよび前記システムメモリを確保するようにメモリ管理がなされ、
前記第1読取モードは、転送に必要な前記画像メモリが確保されたら次原稿の搬送を開始するモードであり、
前記第2読取モードは転送に必要な前記画像メモリが確保されかつ前記データ転送回路の設定が完了してから次原稿の搬送を開始するモードであり、
前記制御部は、次原稿の搬送開始前に、前記メインメモリに所定以上の空き領域があるか否かを判定し、所定以上の空き領域がある場合は前記第1読取モードで、所定以上の空き領域がない場合は前記第2読取モードで、次頁の画像を読み取るようにする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記メインメモリは、動的に前記画像メモリおよび前記システムメモリを確保するようにメモリ管理がなされ、
前記第1読取モードは、転送に必要な前記画像メモリが確保されたら次原稿の搬送を開始するモードであり、
前記第2読取モードは転送に必要な前記画像メモリが確保されかつ前記データ転送回路の設定が完了してから次原稿の搬送を開始するモードであり、
前記制御部は、次原稿の搬送開始前に、前記メインメモリにメモリスワップが発生しているか否かを判定し、メモリスワップが発生していない場合は前記第1読取モードで、メモリスワップが発生している場合は前記第2読取モードで、次頁の画像を読み取るようにする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記メモリスワップは、前記制御部がウィルススキャンを実行することにより発生したものである請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記メモリスワップは、前記制御部が読み取った画像に対する文字認識処理を実行することにより発生したものである請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
外部の機器から取得した印刷データを画像データに展開して印刷を行う印刷部をさらに備え、
前記メモリスワップは、前記印刷データを画像データに展開するレンダリング処理を実行することにより発生したものである請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
仮想サーバとしての機能をさらに備え、
前記メモリスワップは、前記制御部が前記仮想サーバとしての機能を実行することにより発生したものである請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理装置の制御部が、
原稿搬送部を用いて1以上の頁からなる原稿を搬送するステップと、
画像読取部を用いて搬送される原稿の画像の読み取りを制御するステップと、
読み取られた各頁の画像データを格納する画像メモリの領域を準備するステップと、
前記画像読取部から前記画像メモリへの画像データ転送を行うデータ転送回路との設定を行うステップと、
複数の頁からなる原稿の画像を頁毎に読み取る際、前頁の画像を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁の原稿を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れのモードで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定するステップと、を備え、
前記第1読取モードでの読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、前記第1読取モードを前記第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の頁からなる原稿の画像を頁毎に順次読み取ることのできる画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を搬送し画像を読み取る画像処理装置は、搬送される原稿の画像をイメージセンサで走査して画素の集まりからなる画像データとして読み取り、読み取られた画像データをメモリへ転送する処理が行われる。
画像データのメモリへの転送は、通常DMA(Direct Memory Access)コントローラが用いられる。DMAコントローラは、プロセッサ(中央演算処理部、CPU)を介在させずにデータを転送するものであり、DMAコントローラを用いたデータ転送は、DMA転送と呼ばれる。
【0003】
プロセッサは、DMA転送先のメモリに転送に必要な空き領域を確保し、DMAや周辺回路に対して必要な設定を行い、DMAコントローラを起動してデータの転送を開始する。画像データの転送に必要な空き領域の確保は、原稿の画像を読み取る画像処理装置においてメモリ管理の必須の要素といえる。
【0004】
画像処理装置では、ページ分のデータを蓄積するメモリ(ページメモリ)として読み書きが高速のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等が使用される。また、大量の画像データを格納するためにSDRAMよりも読み書きが低速のHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)が使用されることが多い。上述のメモリ管理は、一般にページメモリのメモリ管理に関するものといえるが、大容量のHDDやSDDについてもメモリ管理は必要である。
【0005】
画像の読み取りに係るメモリの空き領域確保に関して、例えば以下のようなものが提案されている。読み取った画像データを順次可変長に符号化(圧縮処理)した符号データをメモリに記憶するものである。圧縮処理後の符号データのデータ量(符号量)を所定の基準値と比較する。原稿の先端から終了までの符号量を逐次監視して、符号量が基準値を超えていると判定された場合は、スキャナの駆動を停止させる。そして、メモリに記憶した符号データを復号化してより高い圧縮率(少ない符号量)で符号化が行われるためのパラメータを適用して符号化を行う。これの動作を、予め設定された符号量以下となるまで繰り返す。予め設定された符号量以下となったら、原稿の読取動作を再開する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-167841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原稿を搬送しながら、例えばA4サイズ原稿を30~100頁/分といったような高速読み取りを行う画像処理装置の場合、搬送される原稿の画像を乱すことなく読み取りを途中で一旦停止させて再開させるといったことは困難である。従って、原稿毎(頁毎)の読み取りを確実に終了させる必要がある。
【0008】
特許文献1のものは、圧縮処理を前提として画像を読み取りながら符号データのデータ量、言い換えるとメモリの空き容量の推移を逐次監視するものである。しかし、特許文献1にも記載されているように、正確な符号量は符号化後でなければ把握することが不可能である。よって、頁の途中で読み取りを停止させられない高速の画像読み取りでは、まったく圧縮がされない最悪の場合でも1頁分の読み取りが終了するようにメモリの空き容量を確保せざるを得ない。言い換えると、使用する記憶容量を低減しつつ原稿の再読取りを不要とするその手法は、比較的遅い画像読み取りには適しているが、速い画像読み取りには適しているといえない側面がある。
【0009】
ところで、DMA転送は、プロセッサがデータ転送前にDMAコントローラにアクセスし、DMA転送に必要な設定(例えば転送すべきデータ量に係る設定)を行った後にDMAコントローラを起動してデータの転送を開始する。
画像処理装置では、プロセッサが実行する処理プログラムを格納しまたその処理に係るデータを格納するメモリ領域と画像データを格納するメモリ領域とは、用途が異なる。よって、プロセッサの処理に係るメモリ(システムメモリ)と、画像データを格納するメモリ(画像メモリ)とが異なるハードウェア資源で構成されることがある。あるいは、両者が共通のメモリを使用する場合も、システムメモリとして使用する領域と画像メモリとして使用する領域とは、両者が重複することのないよう排他的に管理される。
【0010】
その場合、画像メモリが確保できても、メインメモリ全体、より詳細には画像メモリと資源を共有するシステムメモリが枯渇することが起こり得る。例えばオペレーティングシステムにより仮想メモリの仕組みが提供される環境であれば、物理空間上のシステムメモリは枯渇した状況であっても仮想空間上のシステムメモリは確保され得る。しかし、プロセッサの処理速度はシステムメモリのメモリスワップのために低下する。メモリスワップがDMA転送の処理に係る部分で生じた場合、メモリスワップによるオーバーヘッドによってDMAコントローラの設定がDMA転送すべき時機に間に合わない事態が生じ得る。
本開示は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、画像データ転送に係る準備が転送すべき時機に間に合わなくなる可能性の有無に応じて、画像読み取りのモードを切り替えることのできる画像処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、1以上の頁からなる原稿を搬送する原稿搬送部と、搬送される原稿の画像を読み取る画像読取部と、読み取られた各頁の画像データを格納する画像メモリと処理プログラムを格納するシステムメモリとを含むメインメモリと、前記画像読取部から前記画像メモリへの画像データ転送を行うデータ転送回路と、前記処理プログラムに従い前記画像の読み取りを制御し前記画像データ転送に係る前記データ転送回路の設定を行う制御部と、を備え、前記制御部は、複数の頁からなる原稿の画像を頁毎に読み取る際、前頁の画像を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁の原稿を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れのモードで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定し、前記第1読取モードでの読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、前記第1読取モードを前記第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにする画像処理装置を提供する。
【0012】
また、異なる観点から本開示は、画像処理装置の制御部が、画像読取部を用いて1以上の頁からなる原稿を搬送し画像を読み取る処理を制御するステップと、読み取られた各頁の画像データを格納する画像メモリの領域を準備するステップと、前記画像読取部から前記画像メモリへの画像データ転送を行うデータ転送回路との設定を行うステップと、複数の頁からなる原稿の画像を頁毎に読み取る際、前頁の画像を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁の原稿を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れのモードで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定するステップと、を備え、前記第1読取モードでの読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、前記第1読取モードを前記第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにする画像処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示による画像処理装置において、制御部は、複数の頁を読み取る際、前頁の画像を読み取り終える前に次原稿の搬送を開始する第1読取モードと、前頁の原稿を読み取り終えてから次原稿の搬送を開始する第2読取モードの何れのモードで各頁の画像を読み取るかを次原稿の搬送開始前に判定し、前記第1読取モードでの読み取り中に次頁の画像データ転送に係る準備が完了しない可能性が生じた場合、前記第1読取モードを前記第2読取モードに切り替えて次頁の画像を読み取るようにするので、画像データ転送に係る準備が転送すべき時機に間に合わなくなる可能性の有無に応じて、画像読み取りのモードを切り替えることができる。
本開示による画像処理方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示における画像処理装置の一態様として、複合機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示す複合機のスキャナ部および原稿送り装置の概略構成を示す説明図である。
図3図1に示す複合機の構成を示すブロック図である。
図4図1に示す複合機が第1読取モードで原稿を読み取る際の処理の順序を示すシーケンス図である。
図5図4のシーケンス図に対応する図であり、メモリスワップのために第2頁の読取のレジスタ設定が遅れる場合を示している。
図6図1に示す複合機が第2読取モードで原稿を読み取る際の処理の順序を示すシーケンス図である。
図7図3に示す制御部が第1読取モードと第2読取モードを切り替える処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本開示をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本開示を限定するものと解されるべきではない。
(実施の形態1)
≪画像読取装置の構成≫
まず、この実施形態における画像読取装置について述べる。
図1は、本開示の実施形態において、画像読取装置としての複合機の一部外観を示す斜視図である。原稿の読み取りに関する部分を示している。
図1に示すように、複合機100は、原稿搬送部16としての原稿送り装置(SPF、またはSingle Pass Feederともいう)を備える。原稿送り装置16は、例えばリニアCCD(Charge Coupled Device)などのイメージセンサを有するスキャナ部15と協働して原稿の読み取りを行う。後述する図3で原稿搬送部16はスキャナ部15に含まれるものとして示している。
【0016】
図2は、図1に示す複合機100のスキャナ部15および原稿送り装置16の概略構成を示す説明図である。
図2に示すように、画像読取部25は、上方に透明なガラス板で構成され、書籍等をプラテンモードで読み取る際に原稿が置かれる原稿台17を備える。また原稿台17の左端の隣にSPF読取窓18が配置されている。SPF読取窓18は、原稿台17と同様に透明なガラス板で構成されている。原稿送り装置16は、原稿台17に原稿を置く際に原稿台17が露出するように上方へ開放可能であるが、原稿送り装置16を用いて原稿を読み取るSPFモードでは閉じられ、SPF読取窓18を通過する原稿の画像を読み取る。
【0017】
SPFモードにおいて、図2に示す原稿送り装置16は、原稿セットトレイ19の所定位置にセットされた原稿束から原稿を1枚ずつ分離・給送し(図2に示す矢印INを参照)、読取位置24を経由して原稿を搬送し原稿排出トレイ20へ排出させる(図3に示す矢印OUTを参照)。
【0018】
原稿セットトレイ19は、原稿の給送方向に直交する主走査方向の幅を調整可能な原稿ガイド21と、給送方向に沿う副走査方向の複数の位置で原稿の有無を検出する原稿センサ22を有し、原稿の有無とサイズを検出する。原稿セットトレイ19から読取位置24に至る搬送路の途中に、原稿の通過を検出する搬送路センサ23が配置されている。搬送路センサ23は、その位置を原稿の先端が通過するタイミングを検出し、また通過する原稿の副走査方向のサイズを検出する。
【0019】
画像読取部25は、原稿面を照射するLEDおよび反射ミラーを搭載し読取位置24の下方に位置する第1キャリッジ31、2枚の反射ミラーを搭載する第2キャリッジ32、光学レンズ33およびイメージセンサ34を有する。そして、読取位置24を通過する原稿の像をイメージセンサ34上に結像させて原稿の画像を読み取る。イメージセンサ34を含む画像読取部25は、原稿画像に応じた画像信号(画像データ)を出力する。
なお、第1キャリッジ31は原稿台17の下方へ移動可能であり、プラテンモードでは、原稿台17に置かれた原稿を下方から走査して原稿の画像を読み取る。
【0020】
図3は、複合機100の構成を示すブロック図である。複合機100は、操作ユニット10、スキャナ部15、画像処理部40およびエンジン部50を備えてなる。
操作ユニット10は、例えば、液晶ディスプレイ装置とタッチパネル等の操作入力デバイスを含み、図1に示すように、複合機100の筐体上に設けられる。操作ユニット10は、制御部41の制御に従った画面を表示し、画面に対するユーザの操作を検出する。制御部41は、操作入力デバイスが検出する操作を認識する。
【0021】
スキャナ部15は、既に述べた原稿搬送部16、画像読取部25の他に、スキャナデータ送信部26および読取制御部27を備える。原稿搬送部16は、原稿をイメージセンサ34が原稿を読み取る読取位置24へ搬送し、排出する。画像読取部25は、イメージセンサ34で原稿の画像を光学的に読み取ってデジタルデータ(画像データ)に変換し適当な補正を施したうえで出力する。スキャナデータ送信部26は、画像読取部25から出力された画像データをFPD-LINK(Flat Panel Display Link、登録商標)などのデータ転送方式を用いて画像処理部40へ送信する回路である。読取制御部27は、原稿画像を読み取り、画像処理部40に送信するためにスキャナ部15の動作を制御する。また、原稿の給送を開始するタイミング等を制御するために制御部41と通信する。ハードウェアとして、例えばマイクロコントローラが適用される。
【0022】
画像処理部40は、制御部41、画像処理ASIC42(Application Specific Integrated Circuit)およびメインメモリ43を備える。メインメモリ43は、システムメモリ43Sおよび画像メモリ44を備える。
制御部41は、ハードウェアとしてはプロセッサを中心として入出力回路やタイマー回路などの周辺回路で構成されるものである。プロセッサがシステムメモリ43Sに格納された処理プログラムを実行することによって制御部41の機能が実現される。
画像処理ASIC42は、画像処理に係る回路を有する集積回路であって、画像メモリ44に対する画像データの転送を行うデータ転送回路を含む。スキャナデータ転送回路46Sおよび印刷データ転送回路46Pである。データ転送回路は、DMAコントローラを含む。さらに、画像処理ASIC42は、スキャナ部15のスキャナデータ送信部26から転送される画像データを受信するスキャナデータ受信部45Sを含み、エンジン部50へ画像データを送る印刷データ送信部45Pを含む。また、画像処理ASIC42は、画像メモリ44に格納された画像データに対して画像処理や圧縮処理を行う画像処理回路を含む。入力画像処理回路47Sおよび出力画像処理回路47Pである。
【0023】
システムメモリ43Sは、制御部41が実行する処理プログラム、およびその処理に必要なデータを格納するメモリであって、SDRAM等のDRAMが適用される。
画像メモリ44は、スキャナ部15から受信した原稿の画像データ、画像処理の過程で生じる中間的な画像データ、HDDやSSD等のストレージに格納するために圧縮処理された画像データなどを格納するメモリである。SDRAM等のDRAMが適用される。
システムメモリ43Sおよび画像メモリ44を含むメインメモリ43の他に、画像処理部40は、制御部41が読み書き可能な不揮発性メモリ(図3に不図示)を備え、データを格納するものとする。
【0024】
エンジン部50は、用紙搬送部51、印刷部52、印刷データ受信部53およびエンジン制御部54を備える。用紙搬送部51は、印刷用のシートを印刷部へ搬送し排出する。印刷部52は、画像処理部40でレンダリングされた画像データを受領し、可視像化して印刷シートに印刷する。画像データを可視像化する手法の一例は、半導体レーザあるいはLED(Light Emitting Device)を光源とした電子写真方式による可視像化手法である。
印刷データ受信部53は、画像メモリ44から読み出され、FPD-LINK(Flat Panel Display Link、登録商標)などのデータ転送方式を用いて転送される画像データを受信して印刷部へ渡す回路である。
【0025】
≪第1読取モードのシーケンス≫
続いて、図1乃至図3で述べた複合機が複数の片面原稿を順次読み取る際の処理の手順を述べる。まず、第1読取モードの手順を述べる。
図4は、図1に示す複合機が第1読取モードで原稿を読み取る際の処理の順序を示すシーケンス図である。
図4に示すシーケンス図には3本の縦線が示されている。その左端の縦線は、画像処理部40の側で行われる処理を示している。中央と右端の縦線は、スキャナ部15の側で行われる処理を示している。それらのうち中央の縦線は、第1枚(第1頁)の読み取りに係る処理を示し、右端の縦線は第2枚(第2頁)の読み取りに係る処理を示している。第3頁以降の処理については、第2頁と同様であるため図示を省略している。発生する事象と実行される処理を、縦線の上から下へ時間の経過順に示している。
【0026】
ユーザが原稿送り装置16の原稿セットトレイ19に読み取るべき原稿がセットされると、原稿センサ22は少なくとも1枚の原稿がセットされている状態を検出する(S11参照)。読取制御部27は、それを原稿サイズに係る情報等と共に画像処理部40の制御部41に知らせる(S13参照)。原稿がセットされたことを認識すると、制御部41は、画像の読み取りに係るジョブが開始可能であることを操作ユニット10に表示してユーザによる読み取り開始の指示を待つ。その指示を受け付けると、原稿の画像読み取りの準備に係る処理を行う。その処理の一つとして制御部41は、読取解像度等のパラメータを含む原稿読取開始要求をスキャナ部15へ送る(S17参照)。原稿読取開始要求を受信すると、読取制御部27は、スキャナ部15における画像読み取りの準備処理を行う(S19参照)。例えば、ジョブの設定や原稿サイズに応じて画像読取部25およびスキャナデータ送信部26の設定を行い、原稿セットトレイ19を給送可能な状態にする。
【0027】
画像読み取りの準備が完了したら、読取制御部27は、制御部41へデータ受信準備要求を送信し(S21参照)、スキャナデータ送信部26から転送される画像データを受信する準備をするように要求する。それに応答して制御部41は、原稿サイズに応じた画像メモリの領域を確保して第1頁の原稿の画像データの受信に備える(S23参照)。さらに、第1頁の原稿の画像データの受信に備えてスキャナデータ転送回路46Sのレジスタ設定を行う(S25参照)。画像処理部40側の準備ができたら、制御部41は給送・読取開始許可をスキャナ部15へ送信し(ステップS27)、原稿の給送、読み取りおよび画像データの送信をスキャナ部15に許可する。
読取制御部27は、制御部41からの給送・読取開始許可を受信すると、第1頁の原稿の給送(搬送)を開始する(S29参照)。
【0028】
図2に示す原稿送り装置16の構成から明らかなように、原稿の給送を開始してから一定の時間が経過した後に先端が読取位置24に到達する(S31参照)。読取制御部27は、搬送路センサ23が搬送される原稿の先端を検出してから所定の時間が経過した後に先端が読取位置24に到達するものとして画像の読み取り開始を制御する(S33参照)。
イメージセンサ34が読み取りを開始すると、読み取られた画像データがスキャナデータ送信部26に入力されて、スキャナデータ受信部45Sへの画像データの転送が始まる。画像処理部40の側は、転送されてくる画像データを受信して予め確保されている画像メモリ44の領域に画像データを順次格納する。第1頁の原稿サイズに対応する領域の読み取りが終了すると、画像データの転送が終了する(S35参照)。そうなるように読取制御部27が画像読取部25の設定を予め行い、制御部41がスキャナデータ転送回路46Sのレジスタを予め設定する。
【0029】
第1頁を読み終える前に、第1頁原稿の後端通過を搬送路センサ23が検出する。その時点で、読取制御部27は原稿センサ22の検出に基づいて次頁(第2頁)の原稿が原稿セットトレイ19にあるか否かを判定する(S41参照)。読取制御部27は、判定結果を画像処理部40の制御部41に送る(S43参照)。次頁がある場合、原稿サイズに係る情報等と共に送る。次頁がある場合、制御部41は、次頁のための画像メモリ領域を確保して画像データの受信に備えると共に(S45参照)、次頁の受信に備えてスキャナデータ転送回路46Sのレジスタ設定(S47参照)を行うべきである。図4に示す例では、次頁の画像メモリには余裕があり、次頁の画像データを格納する空き領域は存在するものとしている。
【0030】
しかし、次頁の原稿に係るデータ受信準備要求を読取制御部27から受信した時点では、第1頁原稿の後端がまだ読取位置24に到達しておらず、第1頁の画像データ転送中である。画像データ転送にスキャナデータ転送回路46Sが使用されている。プロセッサである制御部41は、次頁のためにスキャナデータ転送回路46Sのレジスタを設定することができない(T1参照)。
しかし、次頁の原稿があり給送可能な状態になっている。第1読取モードの場合、制御部41は次頁の原稿を格納する画像メモリの領域が確保されると、給送・読取開始許可をスキャナ部15へ送信する(ステップS47)。即ち、原稿の給送、読み取りおよび画像データの送信をスキャナ部15に許可する。
読取制御部27は、制御部41からの給送・読取開始許可を受信すると、次頁の原稿の給送を開始する(S49参照)。
【0031】
図4に示す例では、次頁の先端が読取位置に到達する前に第1頁の後端が読取位置24を通過してデータ転送が終了する(S35参照)。第1頁のデータ転送が終了すると、制御部41は次頁のためにスキャナデータ転送回路46Sのレジスタ設定を行う(S51参照)。
やがて、次頁の先端が読取位置24に到達すると(S53参照)、読取制御部27は、画像の読み取り開始を制御し、読み取られた次頁の画像データの転送が始まる(S55参照)。制御部41は、第1頁のデータ転送終了(S35)、言い換えると第1頁の後端が読取位置24を通過してから、次頁の先端が読取位置24に到達するまでの時間的なウィンドウW1の間にスキャナデータ転送回路46Sのレジスタ設定を行う必要がある。
【0032】
以降は、第1頁のデータ転送開始(S33)からデータ転送終了(S35)の間に次項のS41からS55の事象および処理が発生する順序と同様のことが第2頁およびそれ以降の頁について繰り返される。
最終頁の原稿については、搬送路センサ23が後端の通過を検出した時点で、原稿センサ22が原稿セットトレイ19に原稿がないことを検出している。読取制御部27は、次頁の原稿がないので、搬送中の原稿が最終頁であることを認識する。最終頁のデータ転送が終了をもって読み取りが終了することを制御部41に知らせる。制御部41は、最終頁の画像データを読み取り、読み取った画像データの処理を行ってジョブを終了する。
【0033】
図5は、図4と同様に第1読取モードで原稿を読み取る際のシーケンス図である。図4に対応する事象および処理に対応する符号を付している。図4では、読取位置24を前頁の後端が通過してから次頁の先端が到達するまでのウィンドウW1の間に、制御部41がスキャナデータ転送回路46Sのレジスタ設定を行った場合を示している。それに対して図5は、読取位置24を前頁の後端が通過した時点で、レジスタ設定に係る処理プログラムがスワップアウトしており、スワップインによる時間遅延(図5に示すD1参照)が生じてウィンドウW1の間に制御部41によるレジスタ設定ができなかった場合を示している。
処理プログラムのスワップインが終了し、制御部41がスキャナデータ転送回路46Sに次頁の転送を開始するためのレジスタ設定を行っても(同S51参照)既に次頁の先端が読取位置24を通過しているため、画像データの転送を開始すべき時期を逸しており次頁の画像データの転送は開始されない。なお、頁の先端が読取位置24を通過した後でも画像データの転送を開始可能な構成もあり得る。しかし、そのような構成の場合でも、先端が読取位置24を通過(同S53参照)してから時間遅延(同D2参照)があるので、結果的に先端部の画像データが失われてしまう。
【0034】
≪第2読取モードのシーケンス≫
図6は、第2読取モードで原稿を読み取る際のシーケンス図である。図4および図5に対応する事象および処理に対応する符号を付している。第2読取モードの場合、制御部41は、次頁の原稿を格納する画像メモリの領域が確保されるだけでなく、スキャナデータ転送回路46Sに次頁読み取りのレジスタ設定を行ってから給送・読取開始許可をスキャナ部15へ送信する(図6に示すS47参照)。
【0035】
前頁の後端が搬送路センサ23を通過し読取制御部27が次頁の原稿ありと判定した時点(同S41参照)で次頁の原稿を格納する画像メモリの領域が確保されていても(同S45参照)、その時点で次頁の原稿が給送されることはない。制御部41は、レジスタ設定の完了(同S51参照)を待って、給送・読取開始許可を送信し(同S47参照)、読取制御部27はそれに基づいて次頁の原稿を給送する(同S49参照)。従って、図5に示す第1読取モードのように、次頁読み取り用のレジスタ設定が未完了のうちに次頁の原稿先端が読取位置24に到達することいった事象は生じない。次頁読み取りのレジスタ設定が完了してから(同S51参照)、次頁が給送され(同S49参照)その先端が読取位置24に到達し(同S53参照)、次頁読み取りのデータ転送が開始される(同S55参照)。
【0036】
図4を参照して、第1読取モードでは前頁の後端が搬送路センサ23を通過して次頁の原稿ありと読取制御部27が判定し(S41参照)、次頁の画像メモリが確保されている状態であれば、間を置かずに読取制御部27が次頁の給送を開始する(S49参照)。次頁の給送開始後、前頁の後端が読取位置を通過して前頁のデータ転送が終了した時点(S35参照)で、制御部41が次頁のレジスタ設定を行う(S51参照)。
第2読取モードでは、メモリスワップ等による遅延がない場合でも次頁読み取りのレジスタ設定(図6に示すS51参照)を制御部41が行った後に読取制御部27が次頁の給送を開始する(同S49参照)。言い換えると、前頁の後端が読取位置24を通過してから次頁の給送を開始する。
よって、第1読取モードに比べると第2読取モードは次頁の給送を開始するタイミングが遅く、時間当たりの原稿の読み取り量は第1読取モードに比べて少なくなる。
そこで、制御部41は、第1読取モードと第2読取モードを状況に応じて切り替えるものとする。
【0037】
≪第1読取モードと第2読取モードの切り替え≫
図7は、制御部41が第1読取モードと第2読取モードの何れのモードで画像を読み取るかを決定する処理(読取モード決定処理)の例を示すフローチャートである。
読取モード決定処理は、例えば、図4に示す処理手順の例において制御部41がスキャナ部15から原稿状態通知(同図S13参照)を受信した際に実行してもよい。その場合、読取に係るジョブを実行する毎に、最初に読取モードが決定される。より好ましくは、制御部41はスキャナ部15からデータ受信準備要求を受信(同図のS19、S43参照)した際に読取モード決定処理を実行する。即ち、各頁の読み取りの準備を行う際に頁毎に読取モードを決定するというものである。
【0038】
図7に示すように、制御部41は、原稿送り装置16を用いた画像の読み取りであれば(ステップS60のYes)、その時点から予め定められた時間(一例で15分)遡るまでの間にメモリスワップが発生したか否かを調べる。この実施形態において、メモリスワップはOS(Operating System)が提供する仮想メモリの機能として提供されるものとする。OSは、メモリスワップが発生した場合その履歴を、例えば不揮発性メモリに記憶しておき後から制御部41が参照できるようにしており、ステップS62ではその履歴を参照して判定を行うものとする。
所定の期間内にメモリスワップが発生した履歴がなければ(ステップS62のNo)、メインメモリ43、より詳細にはシステムメモリ43Sが枯渇する状況にないと判断し、制御部41は第1読取モードで画像読み取りを行うと決定する(ステップS64)。
【0039】
一方、所定の期間内にメモリスワップが発生した履歴がある場合(ステップS62のYes)、制御部41は画像の読み取りを行う間にもメインメモリ43、より詳細にはシステムメモリ43Sが枯渇する状況が起こり得ると判断する。そして、メモリスワップが発生しても確実に画像を読み取ることのできる第2読取モードで画像読み取りを行うと決定する(ステップS66)。
以上のように、何れのモードで画像を読み取るかを決定したら、制御部41は決定したモードで原稿の読み取りに係る処理を実行する。即ち、第1読取モードで画像を読み取る場合は図4に示すように原稿の読み取りに係る処理を実行する。一方、第2読取モードで画像を読み取る場合は図6に示すように原稿の読み取りに係る処理を実行する。
なお、前述のステップS62におけるメモリスワップの発生有無の判定に代えて、制御部41は、メインメモリ43に所定以上の空き領域があるか否かを監視し、その履歴に基づいてメインメモリ43の枯渇状況を判断するようにしてもよい。
以上が読取モード決定処理の例である。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態1では、図2に示すような搬送路で原稿セットトレイ19にセットされた原稿を1枚ずつ読取位置24へ搬送し、原稿排出トレイ20に排出する。
原稿送り装置の中には、搬送路の途中には撓みを作って原稿の斜め送りを矯正するためのレジスト機構を有するものがある。
レジスト機構は、撓みを作るために搬送路の途中で原稿を一旦停止させる。レジスト機構を有する原稿送り装置の場合、図4のS29、S49に示す原稿の給送は、原稿セットトレイ19からの給送でなく、レジスト機構で一旦停止した状態からの給送を指す。
従って、搬送路中にレジスト機構を備えた原稿送り装置も本開示の範囲に含まれる。
【0041】
(実施の形態3)
実施の形態1では、片面原稿を想定して説明を行ったが、原稿の両面を読み取るためにイメージセンサ34が読み取る原稿の面(以下、第1面)と反対側の原稿面(以下、第2面)を読み取る専用のイメージセンサをさらに備えた原稿送り装置もある。
【0042】
そのような原稿送り装置の場合、単純化して説明すると画像読取部25は、第1面の画像データと並列に第2面の画像データを画像処理部40に転送する。片面原稿の各頁を読み取るのと同じ時間で各原稿の第1面と第2面とを合わせた2頁を読み取る。
しかし、第1面と第2面の読み取りを略同時に行うものの、図4乃至図6に示すシーケンス図は各原稿の第1面について同様の事象および処理といえる。
従って、原稿の両面を同時に読み取る原稿送り装置も本開示の範囲に含まれる。
【0043】
以上のように、本開示によれば、転送に必要な画像メモリが確保されても、データ転送回路の設定を行う処理プログラムがスワップアウトしておりそのスワップインが間に合わないといった事態が発生するのを回避できる。
スワップアウト、スワップインの処理は時間を要するが。搬送が開始された次原稿は任意の位置で停止できる訳でない。原稿が読取位置に達した時点でもなおデータ転送回路の設定が完了しておらず、画像データ転送が行われないまま原稿が読取位置を通り過ぎてしまうリスクがあるところ、状況に応じて、転送回路の設定が完了してから原稿の搬送を開始することによりそのリスクを回避できる。
【0044】
メモリスワップは、前記制御部がウィルススキャンを実行することにより発生したものであってもよい。
一般に、ウィルススキャンの処理には大容量のメモリ領域が必要であり、そのためにデータ転送回路の設定を行う処理プログラムがスワップアウトする可能性がある。
【0045】
また、メモリスワップは、前記制御部が読み取った画像に対する文字認識処理を実行することにより発生したものであってもよい。
一般に、文字認識の処理には大容量のメモリ領域が必要であり、そのためにデータ転送回路の設定を行う処理プログラムがスワップアウトする可能性がある。
【0046】
あるいはまた、画像処理装置が外部の機器から取得した印刷データを画像データに展開して印刷を行う印刷部を備えており、メモリスワップは、前記印刷データを画像データに展開するレンダリング処理を実行することにより発生したものであってもよい。
画像処理装置が印刷も行う複合機である場合、制御部は通信やUSBメモリ等のメディアを介して外部の機器から取得した印刷データを展開し、印刷可能な画像データを得る処理(レンダリング処理)を行う。一般に、印刷データを展開する処理には大容量のメモリ領域が必要であり、そのためにデータ転送回路の設定を行う処理プログラムがスワップアウトする可能性がある。
【0047】
画像処理装置が仮想サーバとしての機能をさらに備えており、メモリスワップは、前記制御部が前記仮想サーバとしての機能を実行することにより発生したものであってもよい。
例えば、複合機がスキャナやプリンタとしての機能に加えて、ウェブサーバやプリントサーバなど仮想的なサーバとしての機能を備える態様がある。しかし、そのような仮想サーバの機能の中には大容量のメモリ領域を必要とするものがあり、そのためにデータ転送回路の設定を行う処理プログラムがスワップアウトする可能性がある。
【0048】
本開示には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれると解されるべきである。
前述した実施の形態の他にも、本開示についての種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本開示の範囲に属さないと解されるべきものではない。本開示に係る発明には、請求の範囲と均等の意味および本開示の範囲に属するすべての変形が含まれるべきである。
【符号の説明】
【0049】
10:操作ユニット、 15:スキャナ部、 16:原稿搬送部、原稿送り装置、 17:原稿台、 18:SPF読取窓、 19:原稿セットトレイ、 20:原稿排出トレイ、 21:原稿ガイド、 22:原稿センサ、 23:搬送路センサ、 24:読取位置、 25:画像読取部、 26:スキャナデータ送信部、 27:読取制御部、 31:第1キャリッジ、 32:第2キャリッジ、 33:光学レンズ、 34:イメージセンサ、 40:画像処理部、 41:制御部、 42:画像処理ASIC、 43:メインメモリ、 43S:システムメモリ、 44:画像メモリ、 45S:スキャナデータ受信部、 45P:印刷データ送信部、 46S:スキャナデータ転送回路、 46P:印刷データ転送回路、 47S:入力画像処理回路、 47P:出力画像処理回路、 50:エンジン部、 51:用紙搬送部、 52:印刷部、 53:印刷データ受信部、 54:エンジン制御部、 100:複合機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7