(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102685
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】圧縮スリーブホルダ
(51)【国際特許分類】
B65D 83/02 20060101AFI20240724BHJP
B25H 3/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B65D83/02 A
B25H3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006745
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 龍之助
(72)【発明者】
【氏名】原田 大誠
【テーマコード(参考)】
3C012
【Fターム(参考)】
3C012BG01
(57)【要約】
【課題】複数の圧縮スリーブを収納することが可能であり、手袋をした状態でも片手でその取り出し操作を容易に行うことができるとともに、暗い場所でも使用が可能であって、しかも安価に製造することができる圧縮スリーブホルダを提供する。
【解決手段】圧縮スリーブホルダ1は、外周面2aにクリップ部8、発光部9及びストラップ連結部10が設けられた第2の円筒体2と、この第2の円筒体2に対して長手方向へ摺動自在に挿設される第1の円筒体3と、ノック体5と蓋体6からなり、第2の円筒体2の基端2bに対して着脱可能に取り付けられるキャップ4と、第2の円筒体2の外周面2aに設置されるマグネット7を備えている。第1の円筒体3は、先端側から長手方向と平行に4つのスリット14aが設けられており、このスリット14aによって同形の4つのチャック片14bが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に第1の係止部を有し、圧縮スリーブが収納される第1の円筒体と、
内周面に第2の係止部を有し、前記第1の円筒体が軸方向へ移動可能に挿通される第2の円筒体と、
一端に突起部を有し、前記第2の円筒体の内部へ他端が挿入可能に設置されるノック体と、
貫通孔を有し、前記第2の円筒体の基端に対して着脱可能に取り付けられて、前記突起部を前記貫通孔から出没自在に前記ノック体を保持する蓋体と、
前記ノック体の前記他端に取り付けられ前記第1の円筒体の内部に配置された状態で前記圧縮スリーブを前記第2の円筒体の先端に向かって付勢する第1の圧縮コイルバネと、
前記第1の係止部と前記第2の係止部の間に設置されて前記第1の円筒体を前記第2の円筒体の前記基端に向かって付勢する第2の圧縮コイルバネと、を備え、
前記第1の円筒体は、
弾性力を有する部材によって形成され、
前記第1の係止部が前記外周面に設けられるとともに前記第2の圧縮コイルバネが外挿される本体部と、
この本体部から延設されたチャック部によって構成され、
前記チャック部は、
先端側に向かうに従って窄まるように形成されて外観視円錐台状をなす縮径部と、
この縮径部から延設され、先端側に向かうに従って拡がるとともに最大外径が前記第2の円筒体の内径よりも大きくなるように形成された拡径部と、からなり、
前記チャック部には、前記拡径部の前記先端側から長手方向と平行に設けられた複数のスリットによって複数のチャック片が形成されていることを特徴とする圧縮スリーブホルダ。
【請求項2】
前記縮径部の内周面に滑り止め部材が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮スリーブホルダ。
【請求項3】
前記第2の円筒体の外周面に発光部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮スリーブホルダ。
【請求項4】
前記第2の円筒体の外周面にマグネットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮スリーブホルダ。
【請求項5】
ストラップホールを有するストラップ連結部が前記第2の円筒体の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮スリーブホルダ。
【請求項6】
前記第2の円筒体の前記基端には、雄ネジが前記外周面に形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジに螺合する雌ネジが形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の圧縮スリーブホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧引込線に取り付けられる圧縮スリーブを収納するためのホルダに係り、特に、複数の圧縮スリーブを収納可能であって、かつ、圧縮スリーブの取り出し作業を片手で簡単に行うことができる圧縮スリーブホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱と家屋などを繋ぐ引込線には、過負荷や短絡から保護する目的で電線ヒューズが設置されており、家屋と電線ヒューズの間に圧縮スリーブが取り付けられている。電線ヒューズはケッチホルダと呼ばれる専用の容器に収納されており、電線ヒューズが溶断した場合には、ケッチホルダだけでなく、圧縮スリーブも一緒に交換する必要がある。一般に、圧縮スリーブは工具袋や腰袋などに収納されているが、圧縮スリーブは非常に小さいため、低圧ゴム手袋をした状態で工具袋や腰袋から圧縮スリーブを取り出すことは容易でない。また、夜間などのように周りが暗い場合には、その作業を行うことが極めて困難であった。
【0003】
圧縮スリーブを収納するためのものではないが、棒状物を収納するための容器としては、例えば、特許文献1に「棒状物繰り出し容器」という名称で、歯間洗浄用歯ブラシなどの複数の棒状物が収容される容器に関する発明が開示されている。
特許文献1の図面に用いられている符号を用いて説明すると、特許文献1に開示された発明は、一端にホルダ3を保持可能な開口14を有するとともに前部側面に縦孔11が設けられた外筒1と、外筒1に軸方向へ移動可能に嵌挿されるとともに、外筒1の開口14と反対方向に付勢される中筒2と、縦孔11に摺動可能に嵌合するように中筒2の前部に形成された可撓性を有する押出片21と、押出片21を前下方へ誘導する下向き斜行縁12Aを後部に有し、押出片21を後上方へ誘導する上向き斜行縁12Bを前部に有するとともに、縦孔11の側面に軸方向へ形成された案内突起12を備えたことを特徴とする。
上記構造の棒状物繰り出し容器において、中筒2を外筒1の開口14と反対方向に付勢する力に抗して前方へ移動させると、中筒2の前部に形成され、外筒1の縦孔11に嵌合した状態の押出片21が前方へ移動する。このとき、縦孔11の側面に形成された案内突起12の下向き斜行縁12Aによって押出片21が前下方へ誘導され、そのまま案内突起12の下側を通って前方へ移動する。これにより、中筒2に収容されている棒状物が外筒1の開口14まで押し出され、開口14によって保持される。このように、特許文献1に開示された発明では、中筒2を前方へ移動するだけで棒状物を簡単に交換することができる。
【0004】
また、特許文献2には「ノック式ホルダー」という名称で、チョークなどのような棒状の筆記具を収納するための容器に関する発明が開示されている。
特許文献2の図面に用いられている符号を用いて説明すると、特許文献2に開示された発明は、使用者が把持する外筒10と、軸方向へ移動可能に外筒10の内部に挿通されるとともに拡開可能な弾性力を有する係止片26が先端に設けられた内筒20と、内筒20の後端に接続されるノック体30と、内筒20の外周部分に周設されるようにして外筒10と内筒20の間に介在されるスプリング50と、外筒10の後端に設けられるカバー体40を備えた構造となっている。
このような構造によれば、ノック操作を繰り返すことで、内筒20の係止片26の先端部分が外筒10の内部の突条部12dと拡開部15を往復して係止片26の先端の径を拡径及び縮径する結果、チョークが挟持されたり、解放されたりする。すなわち、チョークの繰り出し操作が外筒10と内筒20という簡単な構造によって実現されるため、特許文献2に開示された発明は、組み立て作業が容易であるだけでなく、ホルダー自体が太くないため、握り易く、取り扱いも容易である。
【0005】
さらに、特許文献3には「棒状物繰り出し容器」という名称で、棒状消しゴム等の棒状物を繰り出したり、引っ込めたりすることができる容器に関する発明が開示されている。
特許文献3の図面に用いられている符号を用いて説明すると、特許文献3に開示された発明に係る棒状物繰り出し容器10は、外周面と内周面の横断面が三角形をなす外筒12及び内筒14と、内筒14と外筒12の間に設置されて内筒14を後方へ付勢するコイルバネ16と、クリップ14bが一体的に形成されるとともに外筒12の後端から突出した内筒14の後端部に設けられたノック部14aを備えており、内筒14の先端部には3本のチャック片18、18、18が設けられるとともに、チャック片18と外筒12の間にチャックリング20が嵌挿された構造となっている。
このような構造の棒状物繰り出し容器10において、ノック部14aをノックすると、チャック片18及び棒状物24が前進し、チャックリング20の係止部20bが外筒12に対して摺動する長さに対応する長さ分だけ、棒状物24が繰り出される。
【0006】
そして、特許文献4には「ホルダー、並びに、ホルダー付き棒状体」という名称で、消しゴム等の棒状体を繰り出すことができるように保持するホルダーや、それを用いたホルダー付き棒状体に関する発明が開示されている。
特許文献4の図面に用いられている符号を用いて説明すると、特許文献4に開示された発明に係る棒状体繰り出しホルダー1は、外筒部材10と、外筒部材10の内部に配置される内筒部材11と、外筒部材10と内筒部材11の間に配置されて外筒部材10に対して内筒部材11を所定の方向へ付勢する付勢部材13と、チャック筒12と、クリップ部60を有する操作部材15を備えており、内筒部材11の先端領域33にスリット55が設けられることによって、4つの係止片が形成された構造となっている。
このような構造によれば、全体形状を大きくしなくとも、棒状体を確実にチャックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-223685号公報
【特許文献2】特開2013-119211号公報
【特許文献3】特開2008-254273号公報
【特許文献4】特許第4777245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された発明は、中筒2を外筒1の開口14と反対方向に付勢する力に抗して前方へ移動させるには、後端キャップ7を操作する必要があるが、低圧ゴム手袋をした状態で後端キャップ7を操作することは困難であるため、特許文献1に開示された発明は、低圧引込線に取り付けられる圧縮スリーブの収納容器として用いることができないという課題があった。
特許文献2に開示された発明は、チョークなどのような棒状の筆記具を収納するための容器であり、暗い場所での作業を想定したものではないため、屋外での夜間作業には使用できないという課題があった。また、構造が複雑なため、製造コストが高くなってしまうという課題があった。
【0009】
特許文献3に開示された発明は、構造が複雑なため、安価に製造できないという課題があった。また、棒状消しゴム等を収納するものであり、夜間の使用を想定していないため、周囲が暗い場所では使用できないという課題があった。
特許文献4に開示された発明は、消しゴム等の棒状体を繰り出すことができるように保持するものであり、夜間の使用を想定したものではないため、夜間作業には使用できないという課題があった。また、構造が複雑で部品点数が多いため、製造コストが嵩んでしまうという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、複数の圧縮スリーブを収納することが可能であり、手袋をした状態でも片手でその取り出し操作を容易に行うことができるとともに、暗い場所でも使用が可能であって、しかも安価に製造することができる圧縮スリーブホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、第1の発明は、外周面に第1の係止部を有し、圧縮スリーブが収納される第1の円筒体と、内周面に第2の係止部を有し、第1の円筒体が軸方向へ移動可能に挿通される第2の円筒体と、一端に突起部を有し、第2の円筒体の内部へ他端が挿入可能に設置されるノック体と、貫通孔を有し、第2の円筒体の基端に対して着脱可能に取り付けられて、突起部を貫通孔から出没自在に前記ノック体を保持する蓋体と、ノック体の他端に取り付けられ第1の円筒体の内部に配置された状態で圧縮スリーブを第2の円筒体の先端に向かって付勢する第1の圧縮コイルバネと、第1の係止部と第2の係止部の間に設置されて第1の円筒体を第2の円筒体の基端に向かって付勢する第2の圧縮コイルバネと、を備え、第1の円筒体は、弾性力を有する部材によって形成され、第1の係止部が外周面に設けられるとともに第2の圧縮コイルバネが外挿される本体部と、この本体部から延設されたチャック部によって構成され、チャック部は、先端側に向かうに従って窄まるように形成されて外観視円錐台状をなす縮径部と、この縮径部から延設され、先端側に向かうに従って拡がるとともに最大外径が第2の円筒体の内径よりも大きくなるように形成された拡径部と、からなり、チャック部には、拡径部の先端側から長手方向と平行に設けられた複数のスリットによって複数のチャック片が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第1の発明においては、圧縮された状態で第1の係止部と第2の係止部の間に配置されている第2の圧縮コイルバネが第1の円筒体を第2の円筒体の基端に向かって付勢するという作用を有する。また、チャック部の拡径部が第2の円筒体の先端の縁に当接することで、第1の円筒体が第2の円筒体の内部へ完全に入り込んでしまうことが防止されるという作用を有する。
【0013】
なお、圧縮スリーブは第1の圧縮コイルバネによって、第2の円筒体の先端に向かって付勢されているが、第1の円筒体はチャック部の先端側が窄まっているため、圧縮スリーブは第2の円筒体の内部を移動することができない。しかし、ノック体の突起部を押し込むと、第1の円筒体が第2の円筒体の内部を先端に向かって移動することにより、チャック部は先端が第2の円筒体の先端から外に押し出されて、複数のチャック片は拡開可能な状態となる。その結果、圧縮スリーブは、第1の圧縮コイルバネによって第1の円筒体のチャック部から外に押し出される。一方、ノック体の突起部を押し込む力を緩めると、第1の円筒体は第2の圧縮コイルバネによって第2の円筒体の基端側に押し戻される。これにより、複数のチャック片は弾性変形が回復し、チャック部の先端は再び窄まった状態となるため、圧縮スリーブは再び第1の円筒体の内部から取り出せない状態になる。
すなわち、第1の発明においては、ノック体の突起部を押し込むという簡単な操作によって、第1の円筒体の内部に収納された圧縮スリーブが外に押し出されるとともに、ノック体の突起部を押し込む力を緩めると、再び圧縮スリーブが取り出し不能な状態になるという作用を有する。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、縮径部の内周面に滑り止め部材が設置されていることを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明の作用に加え、チャック部の縮径部の内周面に設置された滑り止め部材と圧縮スリーブとの間に大きな摩擦力が生じるため、第1の圧縮コイルバネによって付勢されている圧縮スリーブが第1の円筒体から外に勢いよく飛び出すおそれがないという作用を有する。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、第2の円筒体の外周面に発光部が設けられていることを特徴とする。
第3の発明においては、第1の発明の作用に加え、発光部を発光させることで周囲が明るくなるという作用を有する。
【0016】
第4の発明は、第1の発明において、第2の円筒体の外周面にマグネットが設けられていることを特徴とする。
第4の発明においては、第1の発明の作用に加え、電柱の腕金などの金属部分にマグネットを付けることにより、その金属部分によって圧縮スリーブホルダ全体が一時的に保持されるという作用を有する。
【0017】
第5の発明は、第1の発明において、ストラップホールを有するストラップ連結部が第2の円筒体の外周面に設けられていることを特徴とする。
第5の発明においては、第1の発明の作用に加え、ストラップホールにストラップを連結することにより、不用意に落下させてしまうという事態が起こり難くなるという作用を有する。
【0018】
第6の発明は、第3の発明乃至第5の発明のいずれかにおいて、第2の円筒体の基端には、雄ネジが外周面に形成され、蓋体の内周面には、雄ネジに螺合する雌ネジが形成されていることを特徴とする。
第6の発明においては、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の作用に加え、蓋体が第2の円筒体に対して着脱可能になるという作用を有する。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、ノック体の突起部を押し込むという簡単な操作によって、第1の円筒体の内部に収納された圧縮スリーブが外に押し出されることから、低圧手袋などをした状態でも片手で簡単に圧縮スリーブを取り出すことができる。
【0020】
第2の発明によれば、滑り止め部材が圧縮スリーブとの間に大きな摩擦力を生じさせることで、第1の円筒体のチャック部から圧縮スリーブが外に飛び出すことを防ぐという作用を有することから、第1の発明の効果に加え、複数個の圧縮スリーブが第1の円筒体の内部に収納されている場合でも圧縮スリーブを1つずつ確実に取り出すことができるという効果を奏する。
【0021】
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加え、発光部を発光させて周囲を明るくすることで、夜間や周囲が暗い場合でも圧縮スリーブの取り換え作業を支障なく行うことができるという効果を奏する。
【0022】
第4の発明では、電柱の腕金などの金属部分にマグネットを付けることで、圧縮スリーブホルダ全体が当該部分によって一時的に保持される結果、両手が使えるようになるため、第1の発明の効果に加え、作業効率が高まるという効果を奏する。
【0023】
第5の発明によれば、第1の発明の効果に加え、不用意に落下させてしまうという事態を起こり難くして、作業時の安全性を高めることができるという効果を奏する。
【0024】
第6の発明では、蓋体とともにノック体を第2の円筒体の基端から取り外すと、第2の円筒体の基端側から圧縮スリーブを第1の円筒体の内部に入れることが可能となる。圧縮スリーブは拡径部の側からも第1の円筒体の内部に入れることが可能であるが、上述のように第2の円筒体の基端側から圧縮スリーブを第1の円筒体の内部に入れた方が作業性は格段に良い。したがって、第6の発明によれば、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の効果に加え、第1の円筒体の内部に圧縮スリーブを入れる作業の効率が高まるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)は本発明の実施の形態に係る圧縮スリーブホルダの外観図であり、(b)及び(c)はそれぞれノック体の側面図及び蓋体の斜視図であり、(d)は同図(a)におけるA方向矢視図である。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ第1の円筒体及び第2の円筒体の外観図であり、(c)は同図(b)におけるC-C線矢視断面図である。
【
図3】(a)は
図1(a)におけるB-B線矢視断面図であり、(b)は同図(a)においてノック体が押し込まれた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の圧縮スリーブホルダの構造とそれに基づいて発揮される作用及び効果について
図1乃至
図3を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では圧縮スリーブホルダが3個の圧縮スリーブを収納可能な構造となっているが、圧縮スリーブが収納される個数は、3個に限らず、適宜変更可能である。
【実施例0027】
図1(a)は本発明の実施の形態に係る圧縮スリーブホルダ1の外観図であり、
図1(b)及び
図1(c)はそれぞれノック体5の側面図及び蓋体6の斜視図であり、
図1(d)は
図1(a)におけるA方向矢視図である。
また、
図2(a)及び
図2(b)はそれぞれ第1の円筒体3及び第2の円筒体2の外観図であり、
図2(c)は
図2(b)におけるC-C線矢視断面図である。
さらに、
図3(a)は
図1(a)におけるB-B線矢視断面図であり、
図3(b)は
図3(a)においてノック体5が押し込まれた状態を示した図である。
【0028】
図1(a)に示すように、圧縮スリーブホルダ1はプラスチックなどの弾性力を有する部材によって形成されており、外周面2aにクリップ部8、発光部9及びストラップ連結部10が設けられた第2の円筒体2と、この第2の円筒体2に対して長手方向へ摺動自在に挿設される第1の円筒体3と、ノック体5と蓋体6からなり、第2の円筒体2の基端2bに対して着脱可能に取り付けられるキャップ4と、第2の円筒体2の外周面2aに設置されるマグネット7を備えている。
なお、クリップ部8は作業服のポケットに係止可能な構造となっているため、圧縮スリーブホルダ1をそのようなポケットに入れた場合でもクリップ部8をポケットの縁に引っ掛けておけば、圧縮スリーブホルダ1が不用意にポケットから落ちてしまうことはない。
また、発光部9は図示しないバッテリとスイッチを備えており、スイッチを操作することで簡単に発光させることができる構造となっている。この場合、発光部9を発光させることで周囲が明るくなるため、夜間や周囲が暗い場合でも圧縮スリーブの取り換え作業を支障なく行うことができる。
【0029】
第2の円筒体2の外周面2aに設置されているマグネット7は、圧縮スリーブの取り換え作業時に、電柱に設置されている腕金などの金属部分に圧縮スリーブホルダ1を取り付けるためのものである。すなわち、圧縮スリーブホルダ1では、電柱の腕金にマグネット7を付けることで、腕金によって一時的に保持された状態になり、両手を自由に使えるようになるため、作業効率が高まる。
また、ストラップ連結部10はストラップホール10aを有しているため、圧縮スリーブホルダ1では、このストラップホール10aにストラップを連結すれば、不用意に落下させてしまうという事態が起こり難い。これにより、作業時の安全性が高まる。
【0030】
図1(b)に示すように、ノック体5は短円柱体5aの一方の平坦面の中心に円柱状の突起部5bが垂直に立設されるとともに、短円柱体5aの他方の平坦面の中心に第1の圧縮コイルバネ11aが垂直に立設された構造となっている。
図1(c)に示すように、蓋体6はノック体5の突起部5bの挿通孔6cが中心に設けられた円板6aと、この円板6aの縁から垂直に延設されて平面視円形をなすとともに内周面に雌ネジ6d(
図3(a)又は
図3(b)を参照)が形成された側板6bによって構成されている。
【0031】
図1(d)及び
図2(a)に示すように、第1の円筒体3は、外径が異なる2つの円筒部分(大径部12a及び小径部12b)からなり、段付き構造をなす本体部3aと、この本体部3aの長手方向と平行に小径部12bから延設されたチャック部3bによって構成されている。チャック部3bは、先端側に向かうに従って窄まるように形成されて外観視円錐台状をなす縮径部13aと、この縮径部13aから延設され、先端側に向かうに従って一旦拡がった後に再び窄まるように形成されている拡径部13bからなり、チャック部3bには、拡径部13bの先端側から長手方向と平行に4つのスリット14aが設けられており、このスリット14aによって同形の4つのチャック片14bが形成されている。
【0032】
すなわち、縮径部13aと拡径部13bは、4つのチャック片14bによって構成されている。なお、
図3(a)に示すように、第1の円筒体3は、本体部3aの内径が圧縮スリーブ16の外径よりも大きく、チャック部3bの内径が少なくとも縮径部13aの先端において圧縮スリーブ16の外径よりも小さくなるように形成されるとともに、本体部3aの大径部12a及び小径部12b並びにチャック部3bの縮径部13aの外径が第2の円筒体2の内径よりも小さく、かつ、チャック部3bの拡径部13bの最大外径が第2の円筒体2の内径よりも大きくなるように形成されている。なお、チャック部3bの縮径部13aの最大外径は本体部3aの小径部12bの外径と同じである。
また、第1の円筒体3の本体部3aには、内径が小径部12bの外径よりも大きく、大径部12aの外径よりも小さい第2の圧縮コイルバネ11bが小径部12bに外挿されており、チャック部3bには、縮径部13aの内周面にゴム製の滑り止め部材15が設置されている。
【0033】
一方、第2の円筒体2には、
図2(b)及び
図2(c)に示すように、キャップ4の蓋体6に形成された雌ネジ6dに螺合する雄ネジ2cが基端2bの外周面2aに形成されているとともに、内径が第1の円筒体3の小径部12bの外径よりも大きく、第2の圧縮コイルバネ11bの外径よりも小さい環状突起2dが内周面2eに設けられている。すなわち、圧縮スリーブホルダ1では、蓋体6が第2の円筒体2に対して着脱可能な構造となっているため、蓋体6とともにノック体5を第2の円筒体2の基端2bから取り外すと、第2の円筒体2の基端2bの側から圧縮スリーブ16を第1の円筒体3の内部に入れることができる。
なお、圧縮スリーブ16は拡径部13bの側からも第1の円筒体3の内部に入れることができるが、作業性は第2の円筒体2の基端2bから圧縮スリーブ16を入れる方が格段に良い。
【0034】
環状突起2dは
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第1の円筒体3の本体部3aの小径部12bに外挿されて大径部12aと環状突起2dの間に配置された第2の圧縮コイルバネ11bが、更に圧縮される余地を残した状態で圧縮されるような位置に形成されている。
また、
図3(a)に示すように、第1の円筒体3の本体部3aの小径部12bに外挿された第2の圧縮コイルバネ11bは、第1の円筒体3の本体部3aにおける大径部12aと小径部12bの段差部分に一端が当接するとともに第2の円筒体2の環状突起2dに他端が当接した状態となっている。すなわち、第1の円筒体3の本体部3aにおける大径部12aと小径部12bの段差部分は第2の圧縮コイルバネ11bの一端が係止する第1の係止部を構成し、第2の円筒体2の環状突起2dは第2の圧縮コイルバネ11bの他端が係止する第2の係止部を構成している。
【0035】
このように、圧縮スリーブホルダ1では、第2の圧縮コイルバネ11bが圧縮された状態で第1の係止部と第2の係止部の間に配置されていることから、第1の円筒体3が第2の圧縮コイルバネ11bによって第2の円筒体2の基端2bに向かって付勢されている。ただし、チャック部3bの拡径部13bが第2の円筒体2の先端2fの縁に当接した時点で、第1の円筒体3は第2の円筒体2の基端2bに向かって、それ以上、移動できなくなるため、第1の円筒体3が第2の円筒体2の内部へ完全に入り込んでしまうことはない。
【0036】
なお、圧縮された状態でノック体5の短円柱体5aに取り付けられた第1の圧縮コイルバネ11aによって、圧縮スリーブ16は第2の円筒体2の先端2fに向かって付勢されているが、
図3(a)に示すように、第1の円筒体3はチャック部3bの先端が窄まっているため、圧縮スリーブ16は第2の円筒体2の内部を移動することができない。
一方、
図3(b)に示すようにノック体5の突起部5bを押し込むと、第1の円筒体3が第2の円筒体2の内部を先端2fに向かって移動する。これにより、チャック部3bは縮径部13aの先端が第2の円筒体2の先端2fから外へ押し出され、4つのチャック片14bは拡開可能な状態となる。その結果、第1の圧縮コイルバネ11aによって付勢されている圧縮スリーブ16は第1の円筒体3のチャック部3bから外に押し出される。すなわち、圧縮スリーブホルダ1では、ノック体5の突起部5bを押し込むという簡単な操作によって、第1の円筒体3の内部に収納された圧縮スリーブ16が外に押し出されることから、低圧手袋などをした状態でも片手で簡単に圧縮スリーブ16を取り出すことができる。
【0037】
ただし、チャック部3bには、縮径部13aの内周面にゴム製の滑り止め部材15が設置されており、この滑り止め部材15と圧縮スリーブ16との間に大きな摩擦力が生じるため、圧縮スリーブ16が勢いよく飛び出すことはない。すなわち、滑り止め部材15は、圧縮スリーブ16との間に大きな摩擦力を生じさせることにより、圧縮スリーブ16が第1の円筒体3のチャック部3bから外に飛び出すことを防ぐという作用を有している。これにより、圧縮スリーブホルダ1では、圧縮スリーブ16を1つずつ確実に取り出すことが可能となっている。
なお、ノック体5の突起部5bを押し込む力を緩めると、第2の圧縮コイルバネ11bによって付勢されている第1の円筒体3が第2の円筒体2の基端2bに向かって移動し、4つのチャック片14bの弾性変形が回復してチャック部3bの先端は再び窄まった状態となる。その結果、圧縮スリーブ16は再び第1の円筒体3の内部から取り出せない状態になる。
1…圧縮スリーブホルダ 2…第2の円筒体 2a…外周面 2b…基端 2c…雄ネジ 2d…環状突起 2e…内周面 2f…先端 3…第1の円筒体 3a…本体部 3b…チャック部 4…キャップ 5…ノック体 5a…短円柱体 5b…突起部 6…蓋体 6a…円板 6b…側板 6c…挿通孔 6d…雌ネジ 7…マグネット 8…クリップ部 9…発光部 10…ストラップ連結部 10a…ストラップホール 11a…第1の圧縮コイルバネ 11b…第2の圧縮コイルバネ 12a…大径部 12b…小径部 13a…縮径部 13b…拡径部 14a…スリット 14b…チャック片 15…滑り止め部材 16…圧縮スリーブ