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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102690
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】乳化日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/87 20060101AFI20240724BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20240724BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240724BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/894
A61Q17/04
A61K8/27
A61K8/37
A61K8/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006752
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕章
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋一
(72)【発明者】
【氏名】美淋(佐藤) 桂子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB332
4C083AB432
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC512
4C083AC532
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD532
4C083BB01
4C083BB13
4C083BB23
4C083BB25
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE05
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、高い紫外線防御効果を長時間維持でき、使用感が良好で、経時安定性の良好な乳化日焼け止め組成物を得ることを課題とする。さらに詳しくは、高い紫外線防御効果があり、化粧持ちがよく、二次付着防止効果があり、使用感が良好な組成物である。加えて高温安定性がよく市場での保管時の課題も解決できる乳化日焼け止め組成物が求められていた。
【解決手段】乳化日焼け止め組成物であり、
(A-1)ポリウレタン-79及び(A-2)液状油剤からなる(A)ポリウレタン-79ゲル化組成物
(B)シリコーン系界面活性剤
(C)紫外線防御剤
を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C)
(A-1)ポリウレタン-79及び(A-2)液状油剤からなる(A)ポリウレタン-79ゲル化組成物
(B)シリコーン系界面活性剤
(C)紫外線防御剤
を含有する乳化日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記(C)紫外線防御剤が、疎水化処理微粒子金属酸化物である請求項1に記載の乳化日焼け止め組成物。
【請求項3】
前記(B)シリコーン系界面活性剤が、ポリグリセリン変性シリコーンである請求項1に記載の乳化日焼け止め組成物。
【請求項4】
前記(A-1)と前記(B)との含有比率が質量比で、(A-1)/(B)=0.05~5である請求項1~3いずれかに記載の乳化日焼け止め組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化日焼け止め組成物に関し、更に詳細には、特定成分を含むことにより、高い紫外線防御効果を長時間維持でき、高温安定性など経時安定性の良好で、化粧持ちがよく、二次付着防止効果があり、使用感が良好な組成物である。
【背景技術】
【0002】
紫外線から皮膚を守ることはスキンケア、ボディケアにおける重要な課題であり、紫外線が皮膚に与える悪影響を最小限に抑えるために様々な日焼け止め組成物が開発されている。日焼け止め組成物は、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤といった紫外線防御剤を配合することで、皮膚に有害なUVA及びUVBから皮膚を守る。近年では、野外活動における過酷な紫外線条件に限らず、日常生活においても紫外線から皮膚を守ることが重要であると考えられている。日焼け止め組成物に求められる性能としては、高い紫外線防御効果だけでなく、その効果を長時間維持することが重要である。さらに良好な使用感と市場での十分な保管安定性も求められている。
【0003】
紫外線防御剤として配合される紫外線吸収剤はUVA、UVB領域に最大吸収波長を持つもので、一般に皮膚刺激性を有する等、皮膚への安全性において好ましくない面を有している。紫外線散乱剤は反射もしくは散乱により紫外線を物理的に遮断する粉体で皮膚刺激が少ない反面、塗布時の白さや特有のきしみ感が問題になることがあった。
【0004】
高い紫外線防御効果を発揮するために紫外線吸収剤と表面処理された紫外線散乱剤を併用することで優れたUV防御能を有する日焼け止め化粧料が報告されている(特許文献1)。しかし、紫外線防御剤自体の配合量が多いため、上記記載の通り、皮膚刺激性や塗布時の白さや特有のきしみ感が課題であった。
【0005】
そこで、自身は紫外線防御効果を示さないが、紫外線防御剤と併用することでSPF値を高める技術が、紫外線防御剤の配合量を抑え、皮膚刺激や感触を改善する目的で検討されてきた。例えばリポアミノ酸アルキルエステルを紫外線防御剤と併用して化粧品組成物を作成することで、紫外線防御効果が上昇することが報告されている(特許文献2)。さらには、同様に自身では紫外線吸収効果を持たない融点が60℃以上のアルキルシリコーンワックスを配合することによるSPF値の向上が報告されている(特許文献3)。しかしながら、これらのワックスを用いた場合には、使用感触が重くなる傾向があり、さらには紫外線散乱剤や紫外線吸収剤のきしみやべたつきを抑制できない事から感触面に課題があった。
【0006】
ポリウレタンは、その構造中にウレタン結合を有する高分子であり、その弾力性や柔軟性、密着性、耐衝撃性に優れていることが知られており、近年は各種溶媒へのゲル化能といった効果に着目され各種化粧料に配合されている。その性状は、純品に近い粉末や塊状、あらかじめ溶媒で溶解したゲル状、溶液状でなど供給される。また様々な分子構造や組成のものがあり、その性質も様々である。当然、各溶媒への溶解性やゲル化特性も異なり、水溶性から極性油、非極性油、シリコーン油への溶解性を有するものまで多種多様である。化粧料に検討されているポリウレタンとしては数十種が知られている(特許文献4)。
【0007】
油溶性ポリウレタンを乳化日焼け止め組成物に配合することで塗布時の伸び広がり、光沢感、肌への密着性、成膜後の塗膜のべたつきの無さといった使用性と使用感に優れた組成物として、油に溶解させた時に高いゲル強度を示す油溶性ポリウレタン「(i)(a)末端にイソシアネート基を持つ水添ポリブタジエンと(b)直鎖若しくは分岐のC2~C6グリコールとの反応によって得られるポリウレタン、又は、(ii)(c)末端に水酸基を持つ水添ポリブタジエンと(d)ジイソシアネート化合物と(b)HO-R-OH(直鎖若しくは分岐のC2~C6アルキレン基)で表されるグリコールとの反応によって合成された油溶性ポリウレタン」を油剤であらかじめ希釈したゲルで表面を被覆した粉体を作成して配合し、揮発性油剤、フッ素変性シリコーン系樹脂を併用した油中水型組成物が開示されている。さらにゲル強度を高めるためには、極性の低い油剤の方が望ましいことが記載されている(特許文献5)。しかし、特許文献5にかかる油溶性ポリウレタンは粉体への表面処理剤として被覆する用途で用いられている点やゲル強度が高い性質から製剤中に多く配合することができず、組成物の経時安定性を向上するために応用することが難しい問題点があった。
【0008】
日焼け止め組成物は日中の太陽光から皮膚を守るために塗り直しせず、長時間紫外線防御効果を維持することが望まれる。日常生活における物理的な接触によって、紫外線防御剤が接触物に転写されて、塗膜が維持できず、紫外線防御能が落ちてしまうことがある。そのため、日焼け止め組成物の持続性には二次付着レス効果を高めることが紫外線防御効果を維持するために有効な手段である。二次付着レス効果を高める技術としては、揮発性シリコーン油や揮発性炭化水素油、揮発性のハイドロフルオロエーテル、水などの常温で蒸発する成分を多量に配合することと、硬い転写性のないシリコーン系樹脂などの油性皮膜形成剤を組み合わせる技術が開示されている。例えば油中水型組成物に、環状シリコーン油や軽質流動イソパラフィンと揮発性のハイドロフルオロエーテルに油溶性のシリコーン系樹脂を配合することが開示されている(特許文献6)。組成物中の揮発成分が蒸散するとともに、使用されているシリコーン系樹脂が剛直な油性皮膜を形成するため硬い皮膜となり二次付着レス効果が表れるが、柔軟性がないため日中の表情変化などで、ヨレや割れが起こってしまうことにより満足いく程の効果ではない。さらに組成物中の揮発成分が蒸散するとともに保湿感も損なわれる。
以上の事からも、高い紫外線防御効果があり、化粧持ちがよく、二次付着防止効果があり、使用感が良好で経時安定性の良好な日焼け止め組成物の技術の開発は急務であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-066137号公報
【特許文献2】特開2022-091735号公報
【特許文献3】特開2020-111542号公報
【特許文献4】特開2022-152038号公報
【特許文献5】特開2020-029444号公報
【特許文献6】特開2005-225806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高い紫外線防御効果があり、化粧持ちがよく、二次付着防止効果があり、使用感が良好な組成物。加えて高温安定性がよく市場での保管時の課題も解決できる日焼け止め組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究開発を重ねた結果、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-ブタンジオール、水添ジリノレイルアルコール及び水素添加したポリブタンジオールの反応によって得られる共重合体の両末端をステアリルアルコールでブロックしたポリウレタン-79が油剤に溶解しゲル化した(A)ポリウレタン-79ゲル組成物と、(B)シリコーン系活性剤と(C)紫外線防御剤を配合することで、上記課題を解決できる乳化日焼け止め組成物を見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち本発明は次の成分(A)~(C)
〔1〕(A-1)ポリウレタン-79及び(A-2)液状油剤からなる(A)ポリウレタン-79ゲル化組成物
(B)シリコーン系界面活性剤
(C)紫外線防御剤
を含有する乳化日焼け止め組成物である。
〔2〕前記成分(C)紫外線防御剤が、疎水化処理微粒子金属酸化物
である前記〔1〕に記載の乳化日焼け止め組成物。
〔3〕前記成分(B)シリコーン系界面活性剤が、ポリグリセリン変性シリコーンである前記〔1〕に記載の乳化日焼け止め組成物。
〔4〕前記(A-1)と前記(B)との含有比率が質量比で、(A-1)/(B)=0.05~5である前記〔1〕~〔3〕いずれかに記載の乳化日焼け止め組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い紫外線防御効果があり、化粧持ちがよく、二次付着防止効果があり、使用感が良好な組成物。加えて高温安定性がよく市場での保管時の課題も解決できる乳化日焼け止め組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。なお、本明細書においては、~を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0015】
本発明の乳化日焼け止め組成物に含まれる(A)ポリウレタン-79ゲル組成物は、(A-1)ポリウレタン-79と(A-2)液状油剤からなるゲル化組成物である。
【0016】
(A-1)ポリウレタン-79は、直鎖の脂肪族ジイソシアネートである1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と直鎖の増量性2価のアルコールである1,4-ブタン2価のアルコールがウレタン結合によりポリウレタンとなったハードセグメントのブロックと、水添ジリノレイルアルコールと水素添加したポリブタン2価のアルコールのソフトセグメントのブロックを持つ共重合体の、両末端をステアリルアルコールでブロックしたポリウレタンである。ポリウレタンブロックの極性によってポリマー・ポリマーとポリマー・オイルの間の水素結合を介した会合により、オイル中で物理的なネットワークを形成する。この3次元ネットワーク構造に油剤を取り込むことでゲル化を起こすと考えられる。ポリウレタン-79は、末端に高級アルコール残基を有することで、各種油剤への溶解性を向上させたことで、乳化日焼け止め組成物の安定性を改善することができた。好適には前記本発明に用いる(A-1)ポリウレタン-79は、(A-2)液状油剤に溶解させゲル状の組成物とすることで、容易に均一に溶解することができる。
【0017】
本発明の(A)のポリウレタン-79ゲル組成物は、市販品であるOILKEMIA 5S CC(LUBRIZOL社製)を用いることができる。その組成は、(A-1)ポリウレタン-79を30%含有し、(A-2)液状油剤としてトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを70%含有する(A)ポリウレタン-79ゲル組成物である。なお、日本国内の化粧品に配合した場合、配合成分として表示する場合は、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを70%、水添ポリオレフィン(C6-20)を25%、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマーを5%として表示することが一般的である。
【0018】
(A)のポリウレタン-79ゲル組成物中の(A-1)ポリウレタン-79の含有量は、特に限定されないが好ましくは10~50質量%であり、さらに好ましくは20~40質量%である。
(A)のポリウレタン-79ゲル組成物中の(A-2)液状油剤の含有量は、特に限定されないが好ましくは50~90質量%であり、さらに好ましくは60~80質量%である。当該範囲にすることにより、製造時に均一に溶解するのが容易になり、配合濃度が調整しやすく発明の効果が顕著に得られる点から好ましい。
【0019】
(A)のポリウレタン-79ゲル組成物に用いられる(A-2)液状油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されずに用いることができる。性状としては、特に限定されないが、25℃で液状の油剤であることが好ましい。(A)のポリウレタン-79ゲル組成物に用いられる(A-2)液状油剤としては、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、例えば、炭化水素油、エステル油、脂肪酸類、シリコーン油等が挙げられる。これらから1種又は2種以上を、(A-2)液状油剤中に用いることが好ましい。
【0020】
本発明の乳化日焼け止め組成物における(A)ポリウレタン-79ゲル組成物の含有量は、特に限定されるものではない。本発明の乳化日焼け止め組成物における(A-1)ポリウレタン-79の含有量は限定されるものではないが、0.1~10.0質量%、好ましくは、0.2~5.0質量%、更に好ましくは0.3~2.0質量%であることが非常に好適である。この範囲であると、化粧持ちに優れ、二次付着防止効果が得られる点において好ましい。さらに化粧膜の均一性の点において好ましく、成分(C)との組み合わせにおいて高い紫外線防止効果が得られる。
【0021】
本発明における(B)シリコーン系界面活性剤としては、通常乳化日焼け止め組成物に用いられるものであれば、いずれのものも使用することができるが、ポリエーテル変性シリコーンが好適であり、具体的には、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン、直鎖共重合タイプポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。シリコーン主鎖としては、直鎖のタイプ、分岐鎖のタイプ、架橋型のタイプが挙げられ。さらにシリコーン主鎖から分岐したシリコーン鎖が、直鎖のものや、さらに分岐したものも挙げられる。
【0022】
(B)シリコーン系界面活性剤としては、乳化性、長期貯蔵安定性、好適な粘度に調製する観点から、また、肌に塗布した時に保湿感のある良好な使用感にする観点からポリグリセリン変性シリコーン、ポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンが好ましい。シリコーン鎖は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、架橋した部分架橋型でもよい。これらは乳化性、長期貯蔵安定性を向上すると共に、優れた水分閉塞性を保持しつつ、べたつき感や違和感がない良好な使用感にする観点から1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
市販されている(B)シリコーン系界面活性剤としては、KF-6100(ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6104(ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6106(ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6105(ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6011(PEG-11メチルエーテルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6012(PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6015(PEG-3ジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6017(PEG-10ジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6028(PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6038(ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)(信越化学工業社製)、KF-6043(PEG-10ジメチコン)(信越化学工業社製)、KSG-210((ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー・ジメチコン混合物)(信越化学工業社製)、DOWSIL BY11-030(PEG/PPG-19/19 ジメチコン・シクロペンタシロキサン混合物)(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL BY25-337(PEG/PPG-19/19 ジメチコン・軽質流動イソパラフィン混合物)(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL SH 3775 M Fluid(PEG-12 ジメチコン)(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL FZ-2233(ポリシリコーン13)(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL ES-5300 Formulation Aid(ラウリルPEG-10 トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン)(東レ・ダウコーニング社製)、DOWSIL ES-5600 SiliCone Glycerol Emulsifier(セチルジグリセリル トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン)(東レ・ダウコーニング社製)等のポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【0024】
本発明の乳化日焼け止め組成物における(B)シリコーン系界面活性剤の含有量は、特に限定されないが0.5~10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~8.0質量%、さらに好ましくは2.0~6.0質量%であることが非常に好適である。この範囲であると、乳化日焼け止め組成物の安定性と乾燥を防ぐ効果及び良好な使用感の点において好ましい。
【0025】
本発明の乳化日焼け止め組成物における(A-1)と(B)の含有比率は特に限定されるものではないが、(A-1)/(B)は、(A-1)/(B)=0.05~5の質量比率で含有することが望ましい。この範囲であると、乳化日焼け止め組成物の安定性及び良好な使用感が得られる。さらに化粧持ちに優れ、二次付着防止効果を得るためにも好ましい。
【0026】
本発明における成分(C)紫外線防御剤は、(C-1)紫外線散乱剤または(C-2)紫外線吸収剤が該当し、それらのうちの1種を単独で用いても、2種以上を配合しても問題がない。
【0027】
本発明における成分(C-1)紫外線散乱剤は特に制限がなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができるが、疎水化処理金属酸化物が好適に用いられる。疎水化処理金属酸化物は、金属酸化物の表面が疎水化処理されたものである。
金属酸化物の種類は通常化粧料に用いられる範囲であれば特に限定されないが、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子金属酸化物が好適である。中でも酸化亜鉛及び酸化チタンは、紫外線を遮断する粉体であり、形状は特に限定されないが、高い日焼け止め効果を求める場合は、平均粒子径が10~100nmの微粒子であることが好ましい。
粉体粒子の粒子径又は平均粒子径は、原料メーカーから提供された値を用いる。あるいは、レーザー回析/散乱法を用いて、エタノールを分散媒として、レーザー回析散乱式粒度分布測定器(例えば、堀場製作所製、LA-920)で測定して算出することもでき、この場合の平均粒子径は粒度分布の体積分布から求めた50%径をいう。
【0028】
本発明において、疎水化処理とは疎水性有機表面処理剤で原料無機粉体の表面を処理することを意味し、疎水化処理剤としては、通常の化粧料に用いられるものであればよく、例えば、シリコーン、アルキルシラン、金属石鹸、脂肪酸、リン脂質、フッ素化合物、シリル化剤、及びアシルアミノ酸などが好適に使用できる。特にシリコーン処理及びアルキルシラン処理が、組成物の安定性、使用感の観点から好適である。シリコーン処理に用いるシリコーンとしては、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコンなどが挙げられるが、特にシリコーンの種類は限定されない。アルキルシラン処理に用いるアルキルシランとしては、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシカプリリルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等のトリアルコキシアルキルシランなどが挙げられるが、特に種類は限定されない。またシリカ、アルミナ等の無機化合物が疎水化処理と同時に被覆されていてもよい。本発明における成分(C-1)は、疎水化処理剤を用いて表面被覆処理することにより、油相中への分散性が向上する。
【0029】
本発明における成分(C-2)紫外線吸収剤は、通常化粧料に用いられるものを使用することができるが、油溶性紫外線吸収剤が好適に用いられる。
【0030】
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ)-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、オクトクリレン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルへキシル、パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2,2‘4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4‘-ジヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2‘-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4‘-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール等が挙げられる。これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
水溶性紫外線吸収剤としては、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸塩、4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、フェニレン-1,4-ビス(2-ベンズイミダジル)-3,3’-5,5’-テトラスルホン酸ビス-ナトリウム塩、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸等を用いることができる。
【0032】
成分(C)の配合量としては、求める紫外線防御効果によって異なるが、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、乳化日焼け止め組成物全量に対し40質量%以下、好ましくは0.5~30質量%の範囲で用いられる。この範囲では経時安定性及び使用感が非常に優れている。
【0033】
本発明の乳化日焼け止め組成物には、必要に応じて含有可能な成分を適宜用いることができる。例えば、固形又は半固形油剤、液状油剤、アルコール類、水、水系のゲル化剤及び増粘剤、成分(C)以外の粉体、保存剤等を含有することができる。
【0034】
固形油、半固形油等としては、天然動植物油、炭化水素油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル油等が例示される。
固形油剤又は半固形油としては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、硬化油、シア脂等の植物系油剤、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、ステアリルジメチコン、アルキル(C30-45)メチコン等のシリコーン類、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール類、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等のエステル系油剤を例示することができる。これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
界面活性剤としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、(B)シリコーン系界面活性剤以外の、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
水溶性増粘剤としては、天然系高分子である寒天、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、ジェランガム等の微生物系高分子、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル等のセルロース系高分子:合成系高分子では、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、アクリル酸・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー等の水溶性ウレタンポリマー:無機系増粘剤であるベントナイト、合成ヘクトライトや、無水ケイ酸等が挙げられる。これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
油性ゲル化剤としては、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ジブチルラウロイルグルタミド等のアミノ酸誘導体、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、ジステアルジモニウムヘクトライト等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
保存剤としては、防腐剤であるフェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル等が挙げられる。酸化防止剤としては、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、クエン酸、クエン酸塩、炭酸水素ナトリウム、L-アルギニン等、キレート剤としては、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられ、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
成分C以外の粉体としては、無機粉体、有機粉体、無機顔料、有機顔料、パール顔料、天然色素等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径、粒子構造(多孔質、無孔質等)や結晶構造(結晶、非結晶)を問わず、何れのものも使用することができる。これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
本発明の乳化日焼け止め組成物の形態としては、クリーム状、ゲル状、液状、乳液状、多層分離状が挙げられ、さらに噴射剤や圧縮空気を用いる等したムース状、スプレー状等を挙げることができる。
また、本発明の乳化日焼け止め組成物は、乳液、クリーム等のスキンケア化粧料や、ファンデーション、コンシーラー、BBクリーム、化粧下地、アイカラー、チークカラー、アイブロウ、マスカラ、アイライナー等のメイクアップ化粧料、及び日焼け止め化粧料に好適に用いることができる。中でも、化粧膜の負担感がなく化粧もちが良く二次付着が無い点においてメイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料に好適である。
【0041】
本発明においてHLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性-疎水性のバランスを表す数値であり、通常用いる計算式、例えば川上式等が使用できる。
本発明では下記の川上式を採用する。
【数1】
ここで、Mwは親水基の分子量、Moは疎水基の分子量である。
また、カタログ等に記載されているHLBの数値を使用してもよい。
【実施例0042】
以下に実施例及び比較例等を挙げて本技術を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0043】
〔日焼け止め効果〕
<「SPF」測定方法>
基板HELIOPLATE HD6(Helio Screen社製)に対し、表1の乳化日焼け止め組成物を1.3mg/cmになるように均一に塗布し、室温にて30分乾燥させた。SPFアナライザーUV-2000S(Labsphere社製)を用いて、塗布面の9箇所を測定し、SPFの平均値を算出した。
【0044】
「SPF向上効果の評価方法」
SPF値の評価としては、成分(A)ポリウレタン-79ゲル組成物を配合しない参考例をSPF向上効果の基準とし、下記式を用い基準に対するSPFを算出した。
【数2】

「SPF向上効果の評価基準」
各試料について、上記数2のSPF向上効果を算出した。評価基準を下記に示す。

◎:SPF向上効果が125%以上
○:SPF向上効果が110%以上~125%未満
△:SPF向上効果が100%以上~110%未満
×:SPF向上効果が100%未満
【0045】
〔使用性〕
「官能評価方法」
調製後1日後の試料について、「のび」、「化粧膜の均一性」、「べたつきの無さ」、「保湿感」について、化粧品評価専門パネル20名が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[官能評価基準]
(評価結果) : (評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[官能判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
5.0以上 : ◎
3.5以上~5.0未満 : 〇
1.5以上~3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0046】
〔化粧移りの無さ〕
「黒色紙への二次付着評価方法」
試料を腕に塗布した10分後に、黒色の画用紙を押し当てて、黒色の画用紙に付着した試料の状態で評価した
[二次付着評価基準]
◎:16~20名が全くもしくはほとんど二次付着しないと判定。
○:11~15名が全くもしくはほとんど二次付着しないと判定。
△:6~10名が全くもしくはほとんど二次付着しないと判定。
×:0~5名が全くもしくはほとんど二次付着しないと判定。
【0047】
「化粧もち評価方法」
「試料塗布後6時間後の状態」を化粧品評価専門パネル20名が評価項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[化粧もち評価基準]
(評価結果) : (評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[化粧もち判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
5.0以上 : ◎
3.5以上~5.0未満 : 〇
1.5以上~3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0048】
[安定性]
「安定性評価方法」
試料を透明PET容器(30ml)に30g充填し、50℃インキュベーター内に一か月間静置した。
[評価基準]
分離が見られなかった。 :〇
分離が見られた :×
【0049】
参考例、実施例1~6、及び比較例1~6(油中水型日焼け止め)
表1に示す油中水型保湿クリームを、以下の製造方法により製造する。各試料について上記評価方法にて評価し、その結果も併せて表1に示した。
[製造方法]
(1):成分1~7、10~16を加熱し、均一に混合溶解する。
(2):(1)に成分8、9、17~16を添加し、均一に混合溶解する。
(3):成分20~25を均一に加熱溶解する。
(4):(2)に(3)を加え、乳化する。
(5):(4)をホモミキサーで処理する。
(6):(5)を脱泡し、油中水型日焼け止め組成物を得た。
【0050】
【表1】

*1 OILKEMIA 5S CC(ポリウレタン-79を30%含有:ルーブリゾール社製)
*2 レオパール KL2(千葉製粉社製)
*3 KSP-100(信越化学工業社製)
*4 アデカノールGT-700 (アデカ社製)
*5 KF-6105(信越化学工業社製) HLB低
*6 KF-6028(信越化学工業社製) HLB4.0
*7 MZX-304OTS(テイカ社製)
*8 MT-100TV(テイカ社製)
*9 NIKKOL DGMIS(日光ケミカルズ社製) HLB5.5
*10 SYグリスター CRS-75(阪本薬品工業社製)HLB3.3
*11 KSG-16(信越化学工業社製)
*12 ゴッドボール SF-16C(鈴木油脂工業社製)
【0051】
ポリウレタン-79ゲル組成物を配合しない参考例の油中水型日焼け止め組成物に対し、実施例1~6の油中水型日焼け止め組成物は、ポリウレタン-79ゲル組成物を配合することで、紫外線防御効果が増強した。さらには、のびがよく、均一な塗布膜で、べたつきがないのに保湿感があるため使用感が良好で安定性が良い油中水型日焼け止め組成物であった。これに対し、参考例では、「塗布膜の均一性」について良好な結果は得られず、「化粧移りのなさ」や「化粧持ち」に関しても良好な結果は得られなかった。さらに「50℃1か月」について分離が見られた。比較例1では、ポリウレタン-79ゲル組成物を代表的な油性ゲル化剤であるパルミチン酸デキストリンに置き換えたものであるが「のび」「塗布膜の均一性」について良好な結果は得られなかった。さらに、「化粧移りのなさ」に関してもポリウレタン-79ゲル組成物に比べて劣るものであった。比較例2ではポリウレタン-79ゲル組成物を、球状のシリコーン樹脂に置き換えたもので、光の乱反射によって紫外線防御効果が増強することを期待したが、日焼け止め効果の増強は得られなかった。さらに、「塗布膜の均一性」が良好な結果が得られず、「化粧移りのなさ」に関しても良好な結果は得られなかった。比較例3については、同じポリウレタンコポリマーである(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーに置き換えたものである。(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーは、水溶性のポリウレタンであるため油剤で加熱しても、溶解性が悪く均一な組成物にはならず評価ができなかった。そこで、水相の1.3ブチレングリコールに加熱溶解して水相に添加して組成物を得て評価を行っている。「50℃1か月」で分離がみられ、安定性への改善は見られず、「化粧移りのなさ」関しても良好な結果は得られなかった。比較例4ではポリウレタン-79ゲル組成物を油相の増粘効果の高いセレシンに置き換えて配合した。しかし、「SPF効果の向上」は得られなかった。さらに、「化粧移りのなさ」に関しても良好な結果は得られなかった。比較例5はシリコーン系界面活性剤を配合せず、ポリグリセリン系の界面活性剤の配合量を増やしたが、「のび」の悪化や「べたつき」が増えて、さらに50℃での分離がみられた。比較例6は紫外線防御剤を配合しなかった。そのため、日焼け止め効果を示さなかった。
【0052】
処方例1:日焼け止めジェル(水中油型日焼け止め組成物)
成分 (質量%)
1:ポリウレタン-79・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル *1 3%
2:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8%
3:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2%
4:オクトクリレン 2%
5:ベヘニルアルコール 1%
6:PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン 0.5%
7:(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル *13 1.5%
8:PEG-10ジメチコン *14 2%
9:ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3%
10:PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン *6 1%
11:シリカ *15 2%
12:微粒子酸化亜鉛/トリエトキシカプリリルシラン *7 5%
13:精製水 適量
14:(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー0.3%
15:セチルリン酸K 0.5%
16:ジプロピレングリコール 1%
17:1,3―ブチレングリコール 5%
18:グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
19:アクリレーツコポリマー *16 5%
20:エタノール 10%
21:フェノキシエタノール 0.5%
22:水酸化K 0.05%
23:ニコチン酸アミド 5%
24:アルブチン 2%
25:ベタイン 0.5%
26:ポリクオタニウム-51 0.2%
27:ヒアルロン酸ナトリウム 0.05%

合計 100%
*13 ノムコートLAH(日清オイリオグループ社製)
*14 KF-6043(信越化学工業社製) HLB14.5
*15 サンスフェア NP-100(AGCエスアイテック社製)
*16 ACULYN 33A 純分28%(東レ・ダウコーニング社製)

(製造方法)
(1):成分1~12を混合し、加熱溶解する。
(2):成分13~27を混合し、加熱溶解する。
(3):(1)に(2)を加えて乳化する。
(4):をホモミキサーで処理する。
(5):(4)を冷却脱泡し、水中油型日焼け止め組成物を得た。
【0053】
処方例1は、SPFアナライザーUV-2000Sによる計測値 SPF48と高い紫外線防御効果を持ち、「のび」「塗布膜の均一性」「べたつき」「保湿感」が良好な使用性の良い組成物だった。さらに、「化粧もち」が良く汗、皮脂に対しても落ちずにきれいな塗布状態が持続し、「二次付着防止効果」により衣服でこすれても落ちにくい「日焼け止め効果」の高い日焼け止め組成物であった。さらに安定性試験50℃1か月を実施し、分離がないことを確認した。
【0054】
処方例2:リキッドファンデーション(油中水型組成物)
成分 (質量%)
1:ポリウレタン-79・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル *1 10%
2:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン *17 0.6%
3:微粒子酸化亜鉛・デカメチルシクロペンタシロキサン分散体(ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛純分60%) *18 10%
4:微粒子酸化チタン・デカメチルシクロペンタシロキサン分散体(イソステアリン酸処理酸化チタン純分40%) *19 15%
5:疎水化処理酸化鉄 2%
6:疎水化処理酸化チタン(顔料級) 4%
7:疎水化処理酸化亜鉛(顔料級) 3%
8:セスキオレイン酸ソルビタン 2%
9:トリエチルヘキサノイン 3%
10:エチルヘキサン酸セチル 7%
11:イソノナン酸イソトリデシル 2%
12:グリチルレチン酸ステアリル 0.05%
13:ポリメチルシルセスキオキサン(粉体) 3%
14:タルク 4%
15:トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸・ジメチコン 1%
16:デカメチルシクロペンタシロキサン 8%
17:精製水 適量
18:1,3―ブチレングリコール 10%
19:ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.02%
20:アセチルヒアルロン酸Na 0.05%
21:グリセリン 3%
22:塩化Na 0.5%
23:メタリン酸Na 0.01%
24:ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル 0.05%
25:エチルヘキシルグリセリン 0.5%
26:ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル 0.01%
合計 100%

*17 KF-6038(信越化学工業社製) HLB3.0
*18 LZ-014(テイカ社製)
*19 LT-053(テイカ社製)

(製造方法)
(1):成分1~12を加熱混合し、ロールミルで分散処理する。
(2):(1)に成分13~16を加えて均一になるまで混合する。
(3):成分17~26を混合し、加熱溶解する。
(4):(2)をホモミキサーで処理する。
(5):(4)に(3)を加えて乳化する。
(6):(5)をホモミキサーで処理する。
(7):脱泡し、油中水型ファンデーションを得た。
【0055】
処方例2について、SPFアナライザーUV-2000Sによる計測値 SPF41と高い紫外線防御効果を持ち、「のび」「塗布膜の均一性」「べたつき」「保湿感」が良好な使用性の良い組成物だった。さらに、「化粧もち」が良く汗、皮脂に対しても落ちずにきれいな塗布状態が持続し、「二次付着防止効果」により衣服でこすれても落ちにくい「日焼け止め効果」の高い油中水型ファンデーションが得られた。また、さらに安定性試験50℃1か月を実施し、問題ないことを確認した。