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特開2024-102699半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102699
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20240724BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20240724BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01S5/042 612
H01S5/22
H01S5/026 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006770
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA26
5F173AB13
5F173AB62
5F173AB64
5F173AB66
5F173AD30
5F173AH12
5F173AK21
5F173AR61
(57)【要約】
【課題】光の吸収およびリーク電流を抑制することが可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を具備する半導体レーザ素子。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、
前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、
前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を具備する半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記レーザ領域および前記増幅領域は、第1クラッド層、第2クラッド層を含み、
前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2クラッド層はこの順番に積層され、かつ前記レーザ領域および前記増幅領域においてメサを形成し、
前記増幅領域における前記メサの幅は、前記レーザ領域における前記メサの幅以上である請求項1に記載の半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記増幅領域は第1増幅領域と第2増幅領域とを含み、
前記レーザ領域と前記第1増幅領域とは互いに隣接し、
前記第1増幅領域と前記第2増幅領域とは互いに隣接し、
前記電極は、前記レーザ領域、前記第1増幅領域および前記第2増幅領域に設けられている請求項1または請求項2に記載の半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記第2増幅領域における前記メサの幅は、前記第1増幅領域における前記メサの幅以上であり、
前記第1増幅領域における前記メサの幅は、前記レーザ領域における前記メサの幅以上である請求項3に記載の半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記第2増幅領域の長さは、前記第1増幅領域の長さおよび前記レーザ領域の長さ以上であり、
前記レーザ領域の長さは前記第1増幅領域の長さ以上である請求項3に記載の半導体レーザ素子。
【請求項6】
半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子への電圧の印加に用いられる給電線と、を具備し、
前記半導体レーザ素子は、
活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、
前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、
前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、備え、
前記給電線は前記電極と電気的に接続されている光学装置。
【請求項7】
前記給電線と前記電極とに電気的に接続される複数の配線を具備し、
前記複数の配線のうち一部は、前記電極のうち前記レーザ領域に設けられた部分に接続され、
前記複数の配線のうち別の一部は、前記電極のうち前記増幅領域に設けられた部分に接続されている請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
半導体レーザ素子の制御方法であって、
前記半導体レーザ素子は、
活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、
前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、
前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を備え、
前記制御方法は、前記電極を用いて前記レーザ領域および前記増幅領域に同一の電圧を印加する半導体レーザ素子の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の素子を集積した半導体レーザ素子が知られている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0243074号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば分布帰還型(DFB:Distributed Feedback)レーザとして機能する領域と、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)として機能する領域とを、1つの素子に集積する。DFBレーザ領域の電極と、SOA領域の電極とは分離させる。電極の間に位置する半導体層には電流が注入されないため、光を吸収しやすくなる。光が吸収されることで、光の損失が増加する。電極の間隔を小さくすることで、光の損失を抑制することができる。しかし電極間の絶縁抵抗が低下し、リーク電流が増加する。そこで、光の吸収およびリーク電流を抑制することが可能な半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る波長可変レーザ素子は、活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を具備する半導体レーザ素子である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば光の吸収およびリーク電流を抑制することが可能な半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は第1実施形態に係る光学装置を例示する平面図である。
図2図2は半導体レーザ素子を例示する平面図である。
図3図3図2の線A-Aに沿った断面図である。
図4A図4A図2の線B-Bに沿った断面図である。
図4B図4B図2の線C-Cに沿った断面図である。
図4C図4C図2の線D-Dに沿った断面図である。
図5図5は半導体レーザ素子の制御方法を例示するフローチャートである。
図6図6は比較例に係る半導体レーザ素子を例示する平面図である。
図7A図7Aは電流を表す図である。
図7B図7Bは光出力を表す図である。
図7C図7Cは電力効率を表す図である。
図8A図8Aは電流を表す図である。
図8B図8Bは光出力を表す図である。
図8C図8Cは電力効率を表す図である。
図9A図9Aは電流を表す図である。
図9B図9Bは光出力を表す図である。
図9C図9Cは電力効率を表す図である。
図10A図10Aは電流を表す図である。
図10B図10Bは光出力を表す図である。
図10C図10Cは電力効率を表す図である。
図11A図11Aは電流を表す図である。
図11B図11Bは光出力を表す図である。
図11C図11Cは電力効率を表す図である。
図12A図12Aは電流を表す図である。
図12B図12Bは光出力を表す図である。
図12C図12Cは電力効率を表す図である。
図13A図13Aは電流を表す図である。
図13B図13Bは光出力を表す図である。
図13C図13Cは電力効率を表す図である。
図14A図14Aは電流を表す図である。
図14B図14Bは光出力を表す図である。
図14C図14Cは電力効率を表す図である。
図15図15は第2実施形態に係る半導体レーザ素子を例示する平面図である。
図16図16は第3実施形態に係る半導体レーザ素子を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0009】
本開示の一形態は、(1)活性層を含み、光を生成するレーザ領域と、前記レーザ領域に隣接し、前記活性層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を具備する半導体レーザ素子である。電極を用いてレーザ領域および増幅領域に電圧が印加され、電流が注入される。電極がレーザ領域および増幅領域の活性層を覆うため、活性層による光の吸収を抑制することができる。電極はレーザ領域および増幅領域に設けられているため、リーク電流を抑制することができる。
(2)上記(1)において、前記半導体層は、第1クラッド層、活性層、および第2クラッド層を含み、前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2クラッド層はこの順番に積層され、かつ前記レーザ領域および前記増幅領域においてメサを形成し、前記増幅領域における前記メサの幅は、前記レーザ領域における前記メサの幅以上でもよい。メサの幅に応じて電気抵抗が定まる。領域ごとにメサの幅を調整することで、電気抵抗を制御し、レーザ領域に流れる電流および増幅領域に流れる電流を適切な大きさとすることができる。
(3)上記(1)または(2)において、前記増幅領域は第1増幅領域と第2増幅領域とを含み、前記レーザ領域と前記第1増幅領域とは互いに隣接し、前記第1増幅領域と前記第2増幅領域とは互いに隣接し、前記電極は、前記レーザ領域、前記第1増幅領域および前記第2増幅領域に設けられてもよい。光の吸収およびリーク電流を抑制することができる。
(4)上記(3)において、前記第2増幅領域における前記メサの幅は、前記第1増幅領域における前記メサの幅以上であり、前記第1増幅領域における前記メサの幅は、前記レーザ領域における前記メサの幅以上でもよい。レーザ領域に流れる電流、第1増幅領域に流れる電流および第2増幅領域に流れる電流を適切な大きさとすることができる。
(5)上記(3)または(4)において、前記第2増幅領域の長さは、前記第1増幅領域の長さおよび前記レーザ領域の長さ以上であり、前記レーザ領域の長さは前記第1増幅領域の長さ以上でもよい。レーザ領域に流れる電流、第1増幅領域に流れる電流および第2増幅領域に流れる電流を適切な大きさとすることができる。
(6)半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子への電圧の印加に用いられる給電線と、を具備し、前記半導体レーザ素子は、半導体層を含み、光を生成するレーザ領域と、前記レーザ領域に隣接し、前記レーザ領域の半導体層と共通する半導体層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、備え、前記給電線は前記電極と電気的に接続されている光学装置である。給電線から電極を通じて、レーザ領域および増幅領域に電圧が印加され、電流が注入される。電極がレーザ領域および増幅領域の活性層を覆うため、活性層による光の吸収を抑制することができる。電極はレーザ領域および増幅領域に設けられているため、リーク電流を抑制することができる。
(7)上記(6)において、前記給電線と前記電極とに電気的に接続される複数の配線を具備し、前記複数の配線のうち一部は、前記電極のうち前記レーザ領域に設けられた部分に接続され、前記複数の配線のうち別の一部は、前記電極のうち前記増幅領域に設けられた部分に接続されてもよい。複数の配線を用いることで、電流および電圧を高くすることができる。
(8)半導体レーザ素子の制御方法であって、前記半導体レーザ素子は、半導体層を含み、光を生成するレーザ領域と、前記レーザ領域に隣接し、前記レーザ領域の半導体層と共通する半導体層を含み、前記光を増幅する増幅領域と、前記レーザ領域から前記増幅領域にかけて設けられた電極と、を備え、前記制御方法は、前記電極を用いて前記レーザ領域および前記増幅領域に同一の電圧を印加する半導体レーザ素子の制御方法である。電極を用いてレーザ領域および増幅領域に電圧が印加され、電流が注入される。電極がレーザ領域および増幅領域の活性層を覆うため、活性層による光の吸収を抑制することができる。電極はレーザ領域および増幅領域に設けられているため、リーク電流を抑制することができる。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る半導体レーザ素子、光学装置、および半導体レーザ素子の制御方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る光学装置100を例示する平面図である。光学装置100は外壁10、ピン12、サブマウント14、および半導体レーザ素子110を備える。
【0012】
図1に示すように、外壁10はサブマウント14を囲み、サブマウント14を内側に収納する。外壁10の上に蓋を設けてもよい。複数のピン12は外壁10に挿入されている。ピン12の一部は外壁10の外に突出し、別の一部は外壁10の内部に突出する。複数のピン12は互いに離間している。
【0013】
サブマウント14の上面には給電線20および給電線22が設けられている。給電線20および給電線22は、面状の電極であり、互いに離間している。給電線20は例えばアノードである。給電線22は例えばカソードである。給電線20と、複数のピン12のうち1つとは、ボンディングワイヤ23によって電気的に接続されている。給電線22と、複数のピン12のうち別の1つとは、ボンディングワイヤ24によって電気的に接続されている。
【0014】
給電線22の上面に半導体レーザ素子110が設けられている。半導体レーザ素子110の電極と、給電線20とは、複数のボンディングワイヤ26(配線)によって電気的に接続されている。
【0015】
外壁10とサブマウント14との間に、光学部品27が配置されている。光学部品27は例えばアイソレータおよびレンズを含む。外壁10に光学部品28が設けられている。光学部品28は例えばレンズである。光学部品27は、光学部品28と半導体レーザ素子110との間に位置し、光学部品28および半導体レーザ素子110に対向する。半導体レーザ素子110の出射光は、光学部品27および光学部品28に入射する。
【0016】
図2は半導体レーザ素子110を例示する平面図である。X軸方向は半導体レーザ素子110を横断する方向である。Y軸方向は、光が伝搬する方向である。Z軸方向は、半導体層が積層される方向である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する。
【0017】
図2に示すように、半導体レーザ素子110は、レーザ領域30、SOA領域32(第1増幅領域)およびSOA領域34(第2増幅領域)を有する。レーザ領域30はDFBレーザ素子として機能する。SOA領域32およびSOA領域34は、半導体光増幅器として機能する。レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34はこの順番に並ぶ。Y軸方向におけるレーザ領域30の長さをL1とする。SOA領域32の長さをL2とする。SOA領域34の長さをL3とする。
【0018】
半導体レーザ素子110はメサ39を有する。メサ39は、Y軸方向に沿って、レーザ領域30からSOA領域32およびSOA領域34まで延伸する。メサ39はY軸方向において、半導体レーザ素子110の1つの端部からもう1つの端部まで延伸する。
【0019】
電極36は、半導体レーザ素子110の上面の全体に形成されており、レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に設けられている。1つの電極36が、レーザ領域30からSOA領域34まで設けられており、Y軸方向における半導体レーザ素子110の1つの端部からもう1つの端部まで延伸する。レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34が、共通の電極36に電気的に接続されている。電極36のうちレーザ領域30に設けられた部分、SOA領域32に設けられた部分、SOA領域34に設けられた部分のそれぞれに、ボンディングワイヤ26が接続されている。
【0020】
図3図2の線A-Aに沿った断面図であり、半導体レーザ素子110のXZ断面を図示している。半導体レーザ素子110は、基板40、回折格子層42、クラッド層44、光閉じ込め層46、活性層48、光閉じ込め層50、クラッド層52(第2クラッド層)、インジウムガリウム砒素リン(GaInAsP)層54、コンタクト層56を有する。これらの半導体層は、レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に連続して設けられている。
【0021】
基板40の上に回折格子層42およびクラッド層44がこの順番で積層されている。基板40とクラッド層44とは第1クラッド層として機能する。クラッド層44の上に、光閉じ込め層46、活性層48、光閉じ込め層50、およびクラッド層52がこの順番で積層されている。クラッド層52の上に、GaInAsP層54、およびコンタクト層56がこの順番で積層されている。
【0022】
回折格子層42は、GaInAsP層42aとインジウムリン(InP)層42bとを含む。SOA領域32およびSOA領域34にはGaInAsP層42aが設けられ、InP層42bは設けられていない。レーザ領域30においては、複数のGaInAsP層42aと複数のInP層42bとが、Y軸方向に沿って、周期的に交互に並ぶ。GaInAsP層42aの屈折率は、InP層42bの屈折率とは異なる。複数のGaInAsP層42aと複数のInP層42bとが並ぶ部分は回折格子43として機能する。
【0023】
コンタクト層56の上面に、電極36が設けられている。電極36は、3つの金属層60、62および64を含む。金属層60はコンタクト層56の上面に接触している。金属層60の上に、金属層62および金属層64がこの順番で積層されている。基板40の下面に電極37が設けられている。電極37は、基板40に電気的に接続され、図1の給電線22に電気的に接続されている。
【0024】
図4Aから図4Cは半導体レーザ素子110を例示する断面図である。図4A図2の線B-Bに沿った断面図であり、レーザ領域30における断面を図示している。図4B図2の線C-Cに沿った断面図であり、SOA領域32における断面を図示している。図4C図2の線D-Dに沿った断面図であり、SOA領域34における断面を図示している。
【0025】
図4Aから図4Cに示すように、基板40、回折格子層42、クラッド層44、光閉じ込め層46、活性層48、光閉じ込め層50は、メサ39を形成する。基板40のうちX軸方向における中央の部分が、基板40のうち他の部分よりも上に突出する。突出部分にクラッド層44、光閉じ込め層46、活性層48、光閉じ込め層50が積層され、メサ39が形成される。メサ39は、X軸方向において半導体レーザ素子110の中央に位置する。
【0026】
半導体層70は、X軸方向におけるメサ39の両側であって、基板40の上に設けられ、メサ39の上には設けられていない。半導体層72は、半導体層70の上であって、メサ39の両側に設けられ、メサ39の上には設けられていない。クラッド層52は、メサ39の上、および半導体層72の上に設けられている。
【0027】
電極36の金属層60は、コンタクト層56の上面であって、メサ39の上に設けられており、コンタクト層56に電気的に接続されている。絶縁膜59は、コンタクト層56の上面、および金属層60の上面の一部に設けられている。絶縁膜59は金属層60の中央部に開口部を有する。金属層60の中央部は絶縁膜59に覆われていない。金属層62は絶縁膜59の上面および金属層60の上面に設けられている。
【0028】
基板40およびクラッド層44は例えばn型のインジウムリン(n-InP)で形成されている。n型の半導体層には、ドーパントとしてシリコン(Si)が添加されている。
【0029】
半導体層70は例えばp型のインジウムリン(p-InP)で形成されている。p型の半導体層には、ドーパントとして亜鉛(Zn)が添加されている。半導体層70は、例えば2つのp-InP層が積層されることで形成される。2つのp-InP層のうち下に位置する層においては、例えばZn濃度が1×1018cm-3、厚さが200nmである。上に積層されたp-InP層においては、Zn濃度が5×1017cm-3、厚さは1100nmである。半導体層70のうち上に位置するp-InP層は塩素(Cl)を添加して成長される。
【0030】
半導体層72は、例えば2つのn-InP層が積層されることで形成される。2つのn-InP層のうち下に位置する層においては、例えばSi濃度が1×1019cm-3、厚さが200nmである。もう1つのn-InP層においては、Si濃度が1×1019cm-3、厚さが300nmである。半導体層72のうち下に位置するn-InP層はClを添加して成長される。
【0031】
活性層48、光閉じ込め層46および光閉じ込め層50は、SCH構造(Separate Confinement Heterostructure)を形成する。活性層48は、多重量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)を有し、複数の井戸層および複数のバリア層を含む。複数の井戸層および複数のバリア層は交互に積層されている。井戸層およびバリア層は、例えばガリウムインジウム砒素リン(GaInAsP)で形成されている。光閉じ込め層46および光閉じ込め層50は、例えばGaInAsPで形成されている。光閉じ込め層46および光閉じ込め層50の屈折率は、活性層48の屈折率より低く、クラッド層44およびクラッド層52の屈折率より高い。
【0032】
クラッド層52は例えばp-InPで形成されており、3つのp-InP層が積層されることで形成される。3つのp-InP層のうち下に位置するp-InP層においては、例えばZn濃度が5.0×1017cm-3、厚さは200nmである。中央に位置するp-InP層においては、例えばZn濃度が1.0×1018cm-3、厚さが500nmである。上に位置するp-InP層においては、例えばZn濃度が2.0×1018cm-3、厚さが2500nmである。
【0033】
GaInAsP層54は、2つのp-GaInAsP層が積層されることで形成される。2つのp-GaInAsP層のうち下に位置する層においては、Zn濃度が2×1018cm-3、厚さが50nm、バンドギャップ波長は1.1μmである。上に位置する層においては、Zn濃度が2×1018cm-3、厚さが100nm、バンドギャップ波長は1.2μmである。コンタクト層56は例えば、p-InGaAsで形成されている。厚さは500nmである。半導体レーザ素子110の半導体層は、上記以外の化合物半導体で形成されてもよい。
【0034】
絶縁膜59は窒化シリコン(SiN)などの絶縁体で形成されている。電極36の金属層60は、例えば金(Au)の層、Zn層、およびAu層をこの順番に積層することで形成される。金属層62は例えばチタン(Ti)層、タングステン(W)層をこの順番に積層することで形成される。金属層62の厚さは例えば0.1μmである。金属層64は例えばAuで形成されており、メッキ処理によって製造される。金属層64の厚さは例えば3μmである。電極37は例えば金属で形成されている。
【0035】
図4Aに示すように、レーザ領域30におけるメサ39のX軸方向の幅をW1とする。図4Bに示すように、SOA領域32におけるメサ39の幅をW2とする。図4Cに示すように、SOA領域34におけるメサ39の幅をW3とする。幅W1は幅W2以下である。幅W2は幅W3以下である。図2に示すように、レーザ領域30とSOA領域32との間、およびSOA領域32とSOA領域34との間で、メサ39はテーパ形状である。すなわち、メサ39の幅は連続的に変化する。
【0036】
(制御方法)
図5は半導体レーザ素子110の制御方法を例示するフローチャートである。光学装置100の給電線20および22から、半導体レーザ素子110のレーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に同一の電圧を印加する(ステップS10)。各領域に電流が流れる。レーザ領域30は発光する。SOA領域32およびSOA領域34は光を増幅する。以上で図5の処理は終了する。
【0037】
図2に示すように、給電線20はボンディングワイヤ26によって電極36に電気的に接続されている。給電線22は電極37に電気的に接続されている。給電線20から電極36に正電圧を印加する。給電線22から電極37に負電圧を印加する。半導体レーザ素子110に直流電圧が印加される。
【0038】
メサ39の両側には、p型のクラッド層52、n型の半導体層72およびp型の半導体層70が積層されている。このためメサ39の外には電流が流れにくい。活性層48の上にはp型のクラッド層52が設けられ、下にn型のクラッド層44および基板40が設けられている。電流は、メサ39両側の埋込構造によって狭窄され、メサ39に選択的に流れる。
【0039】
メサ39に電流が流れる。活性層48にキャリアが注入され、結合することで、光が発生する。回折格子43の周期に応じた波長で、光はレーザ発振する。光はレーザ領域30からSOA領域32に入射し、さらにSOA領域34に入射する。光はSOA領域32およびSOA領域34において増幅される。増幅後の光は、SOA領域34の端部から、半導体レーザ素子110の外に出射される。光は、光学装置100の光学部品27および光学部品28を透過し、出射される。
【0040】
(製造方法)
例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)により、基板40の上面に、回折格子層42、クラッド層44、光閉じ込め層46、活性層48、光閉じ込め層50を、この順番でエピタキシャル成長する。エッチングを行い、メサ39を形成する。エッチングマスクの形状を調整することで、領域ごとのメサ39の幅を制御する。
【0041】
メサ39の形成後、メサ39の両側に半導体層70および半導体層72をエピタキシャル成長する。メサ39および半導体層72の上にクラッド層52、GaInAsP層54およびコンタクト層56をエピタキシャル成長する。例えば真空蒸着によって金属層60を形成する。プラズマCVD法により絶縁膜59を形成する。真空蒸着によって金属層62を形成する。メッキ処理を行い、金属層64を形成する。基板40の下面には電極37を形成する。以上の工程で半導体レーザ素子110が形成される。
【0042】
例えば半田により半導体レーザ素子110の電極37を、光学装置100の給電線22の表面に固定する。電極36と給電線20とを、複数のボンディングワイヤ26で接続する。半導体レーザ素子110が光学装置100に実装される。
【0043】
(比較例)
図6は比較例に係る半導体レーザ素子110Rを例示する平面図である。半導体レーザ素子110Rは3つの電極36a、電極36bおよび電極36cを有する。電極36aはレーザ領域30に設けられている。電極36bはSOA領域32に設けられている。電極36cはSOA領域34に設けられている。電極36a、電極36bおよび電極36cは互いに離間している。メサ39のうち、電極36aと電極36bとの間、および電極36bと電極36cとの間には、電極が設けられていない。
【0044】
給電線20a、給電線20bおよび給電線20cは互いに離間している。給電線20aは電極36aに電気的に接続されている。給電線20bは電極36bに電気的に接続されている。給電線20cは電極36cに電気的に接続されている。レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34には、互いに独立に電圧が印加される。
【0045】
メサ39のうち電極が設けられている部分には、電流が注入される。メサ39のうち電極が設けられていない部分には、電流が注入されない。メサ39のうち電極が設けられていない部分において、電極が設けられた部分に比べて、活性層48が光を吸収しやすくなる。光の吸収によって、光が損失してしまう。入力する電力に対して得られる光出力が低下し、効率が低下してしまう。電極間の距離を小さくすることで、光の吸収を抑制することができる。しかし、距離を小さくすることで、電極間の絶縁抵抗は低下する。電極の間にリーク電流が流れやすくなる。リーク電流が増加することで電力が損失し、効率が低下してしまう。
【0046】
第1実施形態においては、図2および図3に示すように、レーザ領域30、SOA領域32、およびSOA領域34に1つの電極36が設けられている。メサ39の全体の上に電極36が設けられている。活性層48の全体に電流が注入されるため、活性層48は光を吸収しにくい。電極36が分割されていないため、リーク電流が流れにくい。比較例に比べて光の損失および電力の損失が抑制されるため、効率が高くなる。
【0047】
電極36を用いて、レーザ領域30、SOA領域32、およびSOA領域34に同一の電圧が印加される。一方、レーザ領域30に流れる電流、SOA領域32に流れる電流、SOA領域34に流れる電流は、互いに異ならせることが可能である。
【0048】
電流は電気抵抗に依存する。電気抵抗はメサ39の幅および領域の長さによって決まる。例えば、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は、SOA領域32における幅W2およびSOA領域34における幅W3以下である。SOA領域32における幅W2は、SOA領域34における幅W3以下である。幅および長さを調整することで、各領域に流れる電流を適切な大きさとすることができる。
【0049】
図7Aから図14Cは半導体レーザ素子110の特性を例示する図であり、電流、光出力および電力効率の計算結果を表す。図7A図8A図9A図10A図11A図12A図13Aおよび図14Aは電流を表す図である。縦軸は電流を表す。三角はレーザ領域30に流れる電流を表す。四角はSOA領域32に流れる電流を表す。白い円はSOA領域34に流れる電流を表す。黒い円は各領域に流れる電流の合計を表す。図7B図8B図9B図10B図11B図12B図13Bおよび図14Bは光出力を表す図である。縦軸は光出力を表す。図7C図8C図9C図10C図11C図12C図13Cおよび図14Cは電力効率を表す図である。縦軸は電力効率を表す。図7Aから図14Cそれぞれの横軸は半導体レーザ素子110に印加される電圧を表す。
【0050】
図7Aから図7Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。レーザ領域30に流れる電流は、SOA領域32に流れる電流より大きい。SOA領域34に流れる電流はレーザ領域30に流れる電流より大きい。電圧が1.0Vのとき、光出力は約100mWである。電圧を高くすると、光出力は800mWまで上昇する。電力効率は30%付近である。
【0051】
図8Aから図8Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は4.8μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。図8Aから図8Cの例における幅W2は、図7Aから図7Cの例に比べて大きい。SOA領域32の電気抵抗が低下する。SOA領域32に流れる電流は、レーザ領域30に流れる電流より大きい。同一の電圧においては、図8Bに示す光出力は図7Bの光出力より大きい。図8Cに示す電力効率は図7Cに示す電力効率より大きい。
【0052】
図9Aから図9Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。レーザ領域30に流れる電流は、SOA領域32に流れる電流より大きい。SOA領域34に流れる電流はレーザ領域30に流れる電流より大きい。電圧を高くすると、光出力は800mWまで上昇する。電力効率は30%付近である。
【0053】
図10Aから図10Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は1000μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。図10Aから図10Cの例における長さL2は、図9Aから図9Cの例に比べて大きい。SOA領域32の電気抵抗が低下する。SOA領域32に流れる電流は、レーザ領域30に流れる電流より大きい。光出力は100mW以下から800mWまでの間で変化する。電力効率は30%付近である。
【0054】
図11Aから図11Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は4.8μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。レーザ領域30に流れる電流は、SOA領域32に流れる電流より大きい。SOA領域34に流れる電流はレーザ領域30に流れる電流より大きい。光出力は100mW以下から約700mWまでの間で変化する。電力効率は30%付近である。
【0055】
図12Aから図12Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。図12Aから図12Cの例における幅W3は、図10Aから図10Cの例に比べて大きい。SOA領域34の電気抵抗が低下する。同一の電圧で比較すると、図12Aに示すSOA領域34に流れる電流は、図11Aに示す電流より大きい。図12Bに示す光出力は、図11Bに示す光出力より大きい。図12Cに示す電力効率は図11Cに示す電力効率より大きい。
【0056】
図13Aから図13Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1000μmである。レーザ領域30に流れる電流は、SOA領域32に流れる電流より大きい。SOA領域34に流れる電流はレーザ領域30に流れる電流より大きい。光出力は100mW以下から800mWまでの間で変化する。電力効率は20%以上であり、電圧が高くなると電力効率は30%付近となる。
【0057】
図14Aから図14Cの例では、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1は2.4μmである。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は2.4μmである。SOA領域34におけるメサ39の幅W3は9.6μmである。レーザ領域30の長さL1は800μmである。SOA領域32の長さL2は500μmである。SOA領域34の長さL3は1500μmである。図14Aから図14Cの例における長さL3は、図13Aから図13Cの例に比べて大きい。SOA領域34の電気抵抗が低下する。同一の電圧で比較すると、図14Aに示すSOA領域34に流れる電流は、図13Aに示す電流より大きい。図14Bに示す光出力は、図13Bに示す光出力より大きい。電力効率は20%以上であり、電圧が高くなると電力効率は30%付近となる。
【0058】
第1実施形態によれば、半導体レーザ素子110はレーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34を有する。SOA領域32はレーザ領域30に隣接し、光学的に結合する。SOA領域34はSOA領域32に隣接し、光学的に結合する。電極36は、レーザ領域30から、SOA領域32およびSOA領域34にかけて設けられている。電極36を用いて、レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に電圧が印加される。活性層48の全体が電極36に覆われ、電流が注入される。活性層48が光を吸収しにくいため、光の損失は抑制される。電極36がレーザ領域30からSOA領域34まで延伸しているため、電極の間に発生するリーク電流が抑制される。電力の損失が抑制される。半導体レーザ素子110の効率が向上する。
【0059】
電極36を用いて、レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に同一の電圧が印加される。メサ39の幅および長さに応じて、各領域の電気抵抗が定まり、流れる電流が変化する。レーザ領域30に流れる電流、SOA領域32に流れる電流、およびSOA領域34に流れる電流を適切な大きさとする。レーザ領域30で光を発生させることができる。SOA領域32およびSOA領域34で光を増幅することができる。
【0060】
図7Aから図14Cの例のように、SOA領域34におけるメサ39の幅W3は、SOA領域32における幅W2およびレーザ領域30における幅W1以上であり、例えば幅W1およびW2の2倍以上、3倍以上、4倍以上でもよい。単位長さ当たりのSOA領域34の電気抵抗は、SOA領域32の電気抵抗およびレーザ領域30の電気抵抗よりも低くなる。SOA領域34に流れる電流は、SOA領域32に流れる電流およびレーザ領域30に流れる電流より大きくなる。
【0061】
SOA領域32における幅W2は、レーザ領域30における幅W1以上であり、例えば幅W1の2倍以上でもよい。単位長さ当たりのSOA領域32の電気抵抗が、レーザ領域30の電気抵抗よりも低くなる。SOA領域32における幅W2は、レーザ領域30における幅W1に等しくてもよい。
【0062】
各領域の電気抵抗は、メサ39の幅に依存し、かつメサ39の長さにも依存する。SOA領域34の長さL3は、レーザ領域30の長さL1およびSOA領域32の長さL2以上であり、例えば長さL2の2倍以上、3倍以上でもよい。長さL3は長さL2に等しくてもよい。レーザ領域30の長さL1は、SOA領域32の長さL2以上でもよい。
【0063】
図1に示す光学装置100は、給電線20と給電線22とを有する。給電線22は、半導体レーザ素子110の電極37に接続される。図2に示すように、給電線20は、ボンディングワイヤ26により半導体レーザ素子110の電極36に接続される。電極36は、領域に対応して分割されておらず、レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に設けられている。給電線20も、領域に対応して分割されていない。光学装置100の構造が簡単になる。1つの給電線20と1つの電極36とが接続される。レーザ領域30、SOA領域32およびSOA領域34に同一の電圧が印加される。メサ39の幅を変えることで、領域ごとに電流を最適な値とすることができる。
【0064】
複数のボンディングワイヤ26が、給電線20と電極36とに接続されている。ボンディングワイヤ26のうち少なくとも1つは、電極36のうちレーザ領域30に設けられた部分に接続されている。ボンディングワイヤ26のうち少なくとも1つは、電極36のうちSOA領域32に設けられた部分に接続されている。ボンディングワイヤ26のうち少なくとも1つは、電極36のうちSOA領域34に設けられた部分に接続されている。複数のボンディングワイヤ26を用いることで、電流および電圧を高くすることができる。例えば、電流は1A以上、電圧は1V以上としてもよい。
【0065】
<第2実施形態>
図15は第2実施形態に係る半導体レーザ素子120を例示する平面図である。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0066】
図15に示すように、半導体レーザ素子120はレーザ領域30とSOA領域32とを有する。SOA領域32はレーザ領域30に隣接する。メサ39は、レーザ領域30からSOA領域32にまで延伸する。電極36は、レーザ領域30およびSOA領域32に設けられている。給電線20は、ボンディングワイヤ26により、電極36に電気的に接続されている。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1以上である。
【0067】
第2実施形態によれば、電極36は、レーザ領域30およびSOA領域32に設けられている。半導体レーザ素子120の活性層48の全体に電流が注入される。活性層48が光を吸収しにくいため、光の損失は抑制される。電極36がレーザ領域30からSOA領域32まで延伸しているため、電極の間に発生するリーク電流が抑制される。電力の損失が抑制される。半導体レーザ素子120の効率が向上する。
【0068】
電極36を用いて、レーザ領域30およびSOA領域32に同一の電圧が印加される。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1以上である。メサ39の幅に応じて、各領域の電気抵抗が定まり、流れる電流も変化する。電流を最適な大きさとすることができる。レーザ領域30で光を発生させ、SOA領域32で光を増幅することができる。
【0069】
<第3実施形態>
図16は第3実施形態に係る半導体レーザ素子130を例示する平面図である。第1実施形態および第2実施形態のいずれかと同じ構成については説明を省略する。
【0070】
図16に示すように、半導体レーザ素子120はレーザ領域30とSOA領域32とを有する。メサ39は、レーザ領域30においてはY軸方向に平行に延伸し、SOA領域32においてはY軸方向から傾斜して延伸する。電極36は、レーザ領域30およびSOA領域32に設けられている。給電線20は、ボンディングワイヤ26により、電極36に電気的に接続されている。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1以上である。
【0071】
第3実施形態によれば、電極36は、レーザ領域30およびSOA領域32に設けられている。光の吸収およびリーク電流が抑制される。電力の損失が抑制される。半導体レーザ素子130の効率が向上する。
【0072】
電極36を用いて、レーザ領域30およびSOA領域32に同一の電圧が印加される。SOA領域32におけるメサ39の幅W2は、レーザ領域30におけるメサ39の幅W1以上である。メサ39の幅に応じて、各領域の電気抵抗が定まり、流れる電流も変化する。電流を最適な大きさとすることができる。レーザ領域30で光を発生させ、SOA領域32で光を増幅することができる。
【0073】
半導体レーザ素子は、レーザ領域30と、少なくとも1つのSOA領域とを含む。SOA領域の個数は1つでもよいし、2つ以上でもよい。電極36は、レーザ領域30およびSOA領域の上に設けられる。活性層48に電流を注入することで、レーザ領域30で光が発生する。SOA領域は光を増幅させる。レーザ領域30とSOA領域の両方において、メサ39がY軸に平行でもよい。光はY軸方向に平行にメサ39を伝搬する。レーザ領域30とSOA領域との少なくとも1つにおいて、メサ39はY軸に対して傾斜してもよい。
【0074】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 外壁
12 ピン
14 サブマウント
20、20a、20b、20c、22 給電線
23、24、26 ボンディングワイヤ
27、28 光学部品
30 レーザ領域
32、34 SOA領域
36、36a、36b、36c、37 電極
39 メサ
42 回折格子層
42a、54 GaInAsP層
42b InP層
43 回折格子
44、52 クラッド層
46、50 光閉じ込め層
48 活性層
54 GaInAsP層
56 コンタクト層
59 絶縁膜
60、62、64 金属層
70、72 半導体層
100 光学装置
110、110R、120、130 半導体レーザ素子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15
図16