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特開2024-102705車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102705
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240724BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006776
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 理敬
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雅大
(72)【発明者】
【氏名】澤山 純也
(72)【発明者】
【氏名】森田 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄大
(72)【発明者】
【氏名】外園 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌平
(72)【発明者】
【氏名】牧野 達哉
(72)【発明者】
【氏名】羽田 昌敏
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】取得部50が、車両情報と、該車両情報に同期した生体情報を取得し、DB42に蓄積する。構築部44が、DB42に蓄積された車両情報及び生体情報を用いてビックデータ解析を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを機械学習により構築し、車両制御を決定する制御関数を導出する。予測部52が、状態予測モデルと、取得部50が取得した車両情報及び生体情報を用いて乗員の状態を予測する。制御部54は、予測した乗員の状態に対応して車両をセッティングする制御関数を取得し、制御関数に従って車両の制御項目を決定し、決定した制御項目を変更して車両の制御を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築する構築部と、
対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記構築部によって構築された前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測する予測部と、
前記予測部によって予測された前記対象者の状態に応じて車両を制御する制御部と、
を含む車両制御システム。
【請求項2】
前記構築部は、前記車両情報及び前記生体情報を取得するたびに前記状態予測モデルを更新する請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
対象者が乗車した車両の車両情報及び生体情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報を、複数の車両の車両情報と該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより構築された状態予測モデルに入力して、前記対象者の状態を予測する予測部と、
前記予測部によって予測された前記対象者の状態に応じて車両を制御する制御部と、
を含む車両制御装置。
【請求項4】
コンピュータが、
複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築し、
対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得し、
取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測し、
予測した前記対象者の状態に応じて車両を制御する車両制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築し、
対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得し、
取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測し、
予測した前記対象者の状態に応じて車両を制御する処理を実行させるための車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者が運転する度にその嗜好データを生成すると共にサーバに蓄積することで、シェアカーの利用開始にあたり、利用者個人の嗜好に合った運転制御、車室空間環境制御、ナビ等を行うように設定し、徐々に個人の嗜好により適するようになるカーシェアリングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/039994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許得文献1の技術では、嗜好を反映するのが、次回の乗車時となり、リアルタイムの制御ができない。また、本人以外の嗜好を考慮していないため、本人が気付かない嗜好までは反映されないため、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る車両制御システムは、複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築する構築部と、対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記構築部によって構築された前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測する予測部と、前記予測部によって予測された前記対象者の状態に応じて車両を制御する制御部と、を含む。
【0007】
第1態様によれば、複数の車両の車両情報及び生体情報を用いて機械学習した状態予測モデルを用いて予測した乗員の状態に応じて車両を制御するので、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能となる。
【0008】
第2態様に係る車両制御システムは、第1態様に係る車両制御システムにおいて、前記構築部は、前記車両情報及び前記生体情報を取得するたびに前記状態予測モデルを更新する。
【0009】
第2態様によれば、状態予測モデルの予測精度を向上し、最新の状態予測モデルを用いて車両を制御することができる。
【0010】
第3態様に係る車両制御装置は、対象者が乗車した車両の車両情報及び生体情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報を、複数の車両の車両情報と該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより構築された状態予測モデルに入力して、前記対象者の状態を予測する予測部と、前記予測部によって予測された前記対象者の状態に応じて車両を制御する制御部と、を含む。
【0011】
第3態様によれば、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御装置を提供できる。
【0012】
第4態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築し、対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得し、取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測し、予測した前記対象者の状態に応じて車両を制御する。
【0013】
第4態様によれば、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御方法を提供できる。
【0014】
第5態様に係る車両制御プログラムは、コンピュータに、複数の車両の車両情報と、該車両情報の検出タイミングに検出した乗員の生体情報とを用いて機械学習を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを構築し、対象者の前記車両情報及び前記生体情報を取得し、取得した前記対象者の前記車両情報及び前記生体情報、並びに、前記状態予測モデルに基づいて、前記対象者の状態を予測し、予測した前記対象者の状態に応じて車両を制御する処理を実行させる。
【0015】
第5態様によれば、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御プログラムを提供できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能な車両制御システム、車両制御装置、車両制御方法、及び車両制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る車両制御システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る車両制御システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係る車両制御システムの車載器で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る車両制御システムのサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係る車両制御システムで行われる具体的な制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る車両制御システムの概略構成を示す図である。また、図2は、本実施形態に係る車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態に係る車両制御システム10は、図1に示すように、車両に搭載された車載器12と、サーバ14とがネットワーク16に接続された、所謂サーバネットワークシステムとされている。なお、図1では、車載器12は2つのみを示すが、2つに限るではなく、3以上の車載器12がネットワーク16に接続されている。
【0020】
車載器12は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、及びI/O(入出力インターフェース)18Dがバス18Eに接続されたコンピュータで構成された車両制御装置の一例としての制御部18を備えている。
【0021】
ROM18Bには、車両を制御するための車両制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。ROM18Bに記憶されたプログラムをRAM18Cに展開してCPU18Aが実行することにより、車両の制御が行われる。
【0022】
I/O18Dには、車両情報検出部20、生体情報検出部22、ストレージ24、及び通信制御部34が接続されている。なお、I/O18Dと各部の接続はCAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークを介して接続される形態でもよい。
【0023】
車両情報検出部20は、車両に搭載された各種センサの検出結果を車両情報として検出する。車両情報検出部20の一例としては、6分力計、車両ECU、EDR(Event Data Recorder)、GPS(Global Positioning System)受信機、ドライブレコーダ等が適用される。6分力計は、例えば、車両用シートやフロア、ステアリング等に設けられて直交3分力及びそのまわりの3モーメントに分解してそれぞれに作用する力を検出する。車両ECUは、車速センサ、加速度センサ、3軸(ロール、ピッチ、ヨーの3軸)ジャイロセンサ、アクセル開度センサ、舵角センサ等の各種センサの検出結果に基づいて車両の走行に関する制御(例えば、エンジン制御等)や空調制御などを行う。本実施形態では、車両ECUに入力される各種センサ(例えば、車速センサ、アクセル開度センサ、加速度センサ等)の検出結果を車両情報として検出する。EDRは、衝突前後の運転者の操作状態や車両の挙動を記録し、本実施形態では、操作状態や車両の挙動等の検出結果を車両情報として検出する。GPS受信機は、GPS衛星から時刻情報を含むGPS信号を受信し、本実施形態では、複数のGPS信号に基づいて測位した自車位置を車両情報として検出する。ドライブレコーダは、車室内外を撮影し、事故前後の撮影画像を記録し、本実施形態では、撮影画像を車両情報として検出する。
【0024】
生体情報検出部22は、乗員の脳波、心電、筋電、顔表情、体姿勢、動的変化等を生体情報として検出する。生体情報検出部22の一例としては、カメラ、心拍センサ、筋電センサ、脳波計等が適用される。すなわち、カメラの撮影画像により顔表情、体姿勢、動的変化等を検出する。また、7心拍センサにより心電を検出し、筋電センサにより筋電を検出し、脳波計により脳波を検出する。なお、身体個人情報(例えば、身長、体重、体型、性別等)は、上記センサから導出可能である。
【0025】
ストレージ24には、車両情報検出部20の検出結果、及び生体情報検出部22の検出結果が一時的に記憶される。
【0026】
通信制御部34は、例えば、携帯電話回線網等を利用した無線通信により、ネットワーク16と通信を行うことで、サーバ14との通信を行う。
【0027】
一方、サーバ14は、CPU40A、ROM40B、RAM40C、及びI/O(入出力インターフェース)40Dがバス40Eに接続されたコンピュータで構成されたサーバ制御部40を備えている。
【0028】
サーバ14側のROM40Bには、各種プログラムが記憶されており、ROM40Bに記憶されたプログラムをRAM40Cに展開してCPU40Aが実行することにより、各種制御を行う。
【0029】
I/O40Dには、データベース(DB)42、及び通信制御部38が接続されている。
【0030】
DB42には、複数の車両から送信された、車両情報検出部20及び生体情報検出部22のそれぞれの検出結果が蓄積される。多くの様々の運転者と車両の同乗者の生体情報及び車両情報を蓄積することで、ビックデータ解析が可能となる。
【0031】
通信制御部38は、携帯電話回線網等を利用した無線通信により、ネットワーク16と通信を行うことで、ネットワーク16に接続された車載器12との通信を行う。
【0032】
続いて、本実施形態に係る車両制御システム10の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る車両制御システム10の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0033】
車載器12の制御部18は、CPU18AがROM18Bに記憶されたプログラムを実行することにより、取得部50、予測部52、及び制御部54として機能する。
【0034】
取得部50は、車両情報検出部20が検出した車両情報と、生体情報検出部22が検出した生体情報とを取得し、サーバ14に送信する。サーバ14に送信する際には、車両情報の検出タイミングと、生体情報の検出タイミングとを同期させて、同一のタイミングで検出した車両情報と生体情報を対応付けてサーバ14のDB42に送信する。
【0035】
予測部52は、サーバ14の構築部44によって構築された、乗員の状態を予測する状態予測モデルをサーバ14から取得し、取得した状態予測モデルと、取得部50が取得した車両情報及び生体情報を用いて乗員の状態を予測する。例えば、乗員の状態の一例として、運転レベル、身体状態、心理状態、及び嗜好の少なくとも1つの乗員の状態を予測する。
【0036】
制御部54は、予測した乗員の状態に対応して車両をセッティングする制御関数をサーバ14から取得し、取得した制御関数に従って車両の制御項目を決定する。すなわち、制御関数は乗員の状態に対応するので、乗員の状態に応じて車両の制御項目が決定される。また、制御部54は、決定した制御項目を変更して車両の制御を行う。すなわち、本実施形態では、生体情報と同期された車両情報のビックデータから、対象者の運転レベル、身体情報、心理状態、及び嗜好の少なくとも1つの乗員の状態を推定して車両制御を行う。車両のセッティング値は本人も気付いていない嗜好を、生体情報のビックデータから推定する。これにより、対象者には設定の難しい車両セッティングを運転中にリアルタイムで自動変更できるので、乗員状態に合わせた車両の制御が可能となり、その人にあった安心安全な心地いい快適な状態を実現できる。また、生体情報と車両情報とから異常を検知し、リアルタイムな危険回避制御も可能となる。
【0037】
一方、サーバ14のサーバ制御部40は、CPU40AがROM40Bに記憶されたプログラムを実行することにより、構築部44として機能する。
【0038】
構築部44は、DB42に蓄積された車両情報及び生体情報を用いてビックデータ解析を行うことにより、乗員の状態を予測する状態予測モデルを機械学習により構築し、車両制御を決定する制御関数を導出する。状態予測モデルと制御関数は、車両情報及び生体情報を取得するたびに更新してDB42に格納する。例えば、運転レベル、身体状態、心理状態、及び嗜好の少なくとも1つの乗員の状態を予測する予測モデル式等の状態予測モデルを機械学習により構築する。状態予測モデルの構築は、分類器等の周知の機械学習によって構築する。例えば、心理状態、嗜好を予測する部分は、既存技術として、カメラの撮影画像から検出した表情と筋電センサの検出結果を組み合わせた感情推定技術を適用できる。一例としては、Microsoft社のクラウドサービスが提供する「Face API」等の技術を適用できる。
【0039】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両制御システム10の各部で行われる具体的な処理について説明する。
【0040】
まず、車載器12側で行われる具体的な処理について説明する。図4は、本実施形態に係る車両制御システム10の車載器12で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図4の処理は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合に開始し、終了後に予め定めた時間間隔で開始する。
【0041】
ステップ100では、CPU18Aが、車両情報及び生体情報を取得してステップ102へ移行する。すなわち、取得部50が、車両情報検出部20が検出した車両情報と、該車両情報に同期した生体情報検出部22が検出した生体情報を取得する。
【0042】
ステップ102では、CPU18Aが、サーバ14に車両情報及び生体情報を送信してステップ104へ移行する。すなわち、取得部50が取得した、車両情報と生体情報をサーバ14に送信してDB42に格納する。
【0043】
ステップ104では、CPU18Aが、状態予測モデルの取得要求をサーバ14に行ってステップ106へ移行する。すなわち、予測部52が、サーバ14の構築部44によって構築された状態予測モデルの取得要求をサーバ14に行う。
【0044】
ステップ106では、CPU18Aが、状態予測モデルをサーバ14から受信したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ108へ移行する。
【0045】
ステップ108では、CPU18Aが、乗員の状態予測を行ってステップ110へ移行する。すなわち、予測部52が、車両情報及び生体情報を状態予測モデルに入力することにより乗員の状態を予測する。
【0046】
ステップ110では、CPU18Aが、制御関数の取得要求をサーバ14に対して行ってステップ112へ移行する。すなわち、制御部54が、予測した乗員の状態に対応する制御関数の取得要求をサーバ14に行う。
【0047】
ステップ112では、CPU18Aが、制御関数をサーバ14から受信したか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ114へ移行する。
【0048】
ステップ114では、CPU18Aが、車両のセッティングを決定してステップ116へ移行する。すなわち、制御部54が、取得した制御関数に従って車両の制御項目を決定する。
【0049】
ステップ116では、CPU18Aが、車両のセッティングを変更して一連の処理を終了する。すなわち、制御部54が、制御部54によって決定した制御項目を変更して車両の制御を行うことで、乗員の状態に合わせて車両の制御を行うので、本人が気付かない嗜好まで反映してリアルタイムに車両の制御が可能となる。
【0050】
次に、サーバ14側で行われる具体的な処理について説明する。図5は、本実施形態に係る車両制御システム10のサーバ14で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図5の処理は、例えば、車載器12からサーバ14に情報が送信された場合に開始する。
【0051】
ステップ200では、CPU40Aが、車両情報及び生体情報を車載器12から受信したか否かを判定する。該判定は、上述のステップ102によって車載器12から車両情報及び生体情報が送信されたか否かを判定する。該判定が、肯定された場合にはステップ202へ移行し、否定された場合にはステップ206へ移行する。
【0052】
ステップ202では、CPU40Aが、車両情報及び生体情報をDB42に格納してステップ204へ移行する。
【0053】
ステップ204では、CPU40Aが、状態予測モデル及び制御関数を更新してステップ206へ移行する。すなわち、構築部44が、DB42に新たに格納された車両情報及び生体情報を用いて、乗員の状態を予測する状態予測モデルを機械学習により再学習して更新すると共に、制御関数を更新する。
【0054】
ステップ206では、CPU40Aが、状態予測モデルが車載器12から要求されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ208へ移行し、否定された場合にはステップ210へ移行する。
【0055】
ステップ208では、CPU40Aが、DB42に格納された状態予測モデルを要求元の車載器12に返信してステップ210へ移行する。これにより、上述のステップ106の判定が肯定される。
【0056】
ステップ210では、CPU40Aが、制御関数が車載器12から要求されたか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ212へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0057】
ステップ212では、CPU40Aが、車載器12から要求された制御関数をDB42から読み出して要求元の車載器12に返信して一連の処理を終了する。すなわち、状態予測モデルによって予測した乗員の状態に対応する制御関数をDB42から読み出して返信する。これにより、上述のステップ112の判定が肯定される。
【0058】
続いて、このように処理を行うことによって実現可能な具体的な制御例について説明する。図6は、本実施形態に係る車両制御システム10で行われる具体的な制御例を示す図である。
【0059】
例1は、眩しい場面であり、一例としてカメラによる計測、すなわち、カメラによって撮影した乗員の撮影画像からターゲットとして目、瞼を検出し、判定対象を瞬き回数や時間として状態予測モデルを用いて眩しい場面を予測する。そして、目が眩しい場面が予測された場合に、サンバイザー稼働、フィルム色変化、カーテンを閉める等の制御を行う。
【0060】
例2では、乗り心地が悪い場面であり、一例としてカメラや心拍センサによる計測を行う。カメラによる計測としては撮影画像からターゲットとして乗員の頭部を検出し、判定対象を頭部の加速度や振動として状態予測モデルを用いて乗り心地が悪い場面を予測する。そして、乗り心地が悪い場面が予測された場合に、減速や、加速度変化、シート剛性の変化等の制御を行う。
【0061】
例3では、気分が悪い場面であり、一例としてカメラ、心拍センサ、温度センサによる計測を行い、撮影画像からターゲットとして乗員の顔や体を検出し、判定対象を表情や体温とし、状態予測モデル用いて気分が悪い場面を予測する。そして、気分が悪い場面が予測された場合に、窓を開ける、エアコンをオンする、リラックス音楽をオンする、アロマを発生する等の制御を行う。
【0062】
例4では、機嫌が悪い場面であり、一例として、カメラ、温度センサによる計測を行い、撮影画像からターゲットとして乗員の顔や体を検出し、判定対象を表情や体温として状態予測モデルを用いて機嫌が悪い場面を予測する。そして、機嫌が悪い場面が予測された場合に、音楽をかける、道路脇で停止する等の制御を行う。
【0063】
例5では、体がこわばった場面であり、一例として、カメラ、心拍センサ、筋電センサによる計測を行い、撮影画像からターゲットとして乗員の顔や体を検出し、判定対象を表情、筋肉の動きとして状態予測モデルを用いて体がこわばった場面を予測する。そして、体がこわばった場面が予測された場合に、マッサージ機能をオンする等の制御を行う。
【0064】
例6では、カーブを走行時の場面であり、一例として、シート面圧、6分力計による計測を行い、ターゲットを体とし、判定対象を体の動きとして状態予測モデルを用いてカーブを走行時の場面を予測する。そして、カーブを走行時の場面が予測された場合に、シートサイドサポート角度や、シート剛性を変化する等の制御を行う。
【0065】
上記例1~6では、乗員として運転者を対象としたが、例7、8のように、運転者以外の乗員を対象として乗員の状態を予測して車両を制御してもよい。
【0066】
例7では、同乗者が眠っている場面であり、一例として、カメラによる計測を行い、ターゲットとして、目、瞼、姿勢、心拍を検出し、判定対象を脳活動として状態予測モデルを用いて同乗者が眠っている場面を予測する。そして、同乗者が眠っている場面が予測された場合に、リクライニングする、後席のカーテンを閉める等の制御を行う。
【0067】
例8では、後席の子供がぐずっている場面であり、一例として、カメラによる計測を行い、ターゲットとして、姿勢、筋電を検出し、判定対象をイラつき度として状態予測モデルを用いて後席の子供がぐずっている場面を予測する。そして、後席の子供がぐずっている場面が予測された場合に、後席モニタでお気に入り動画を再生する、リラックス音楽を再生する等の制御を行う。
【0068】
なお、上記の実施形態では、車両側の車載器12において、乗員の状態の予測や、制御項目の決定等を行うものとして説明したが、これに限るものではなく、サーバ14側で乗員の状態の予測や、制御項目の決定等を行う形態としてもよい。或いは、通信状態が良好な場合はサーバ14側で行い、通信状態が悪い場合は車載器12側で行ってもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、生体情報と車両情報のビックデータによる乗員の状態予測からリアルタイムで車両制御を行う例を説明したが、これに限るものではない。例えば、生体情報と機械制御情報を同時に取得し、ビックデータによる嗜好推定から、リアルタイムで環境制御を行う仕組みに利用してもよい。例えば、工場の作業者をカメラとセンサでモニタリングしたデータと、作業環境(例えば、空調、照度等)の機械制御情報を同時に取得し、データベースに蓄積することで、リアルタイムに作業者の感情に合った作業環境制御にすることができる。或いは、オフィス環境において、カメラによる人のモニタリングしたデータと、オフィス環境(例えば、空調、照度等)の機械制御情報を同時に取得し、データベースに蓄積することで、リアルタイムにリラックスする環境制御にすることが可能となる。
【0070】
また、上記の各実施形態における車両制御システム10の各部で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ソフトウエアの処理とした場合には、プログラムを各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0071】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0072】
10 車両制御システム
12 車載器
14 サーバ
18 制御部(車両制御装置)
20 車両情報検出部
22 生体情報検出部
40 サーバ制御部
42 DB
44 構築部
50 取得部
52 予測部
54 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6