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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102706
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】送り装置及び流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61M5/145 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006778
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝平
(72)【発明者】
【氏名】國分 友隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
(57)【要約】
【課題】送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ること。
【解決手段】送り装置3は、対象物を送り方向に向けて移動させる可動体30と、弾性復元力を利用して送り方向に向けて可動体に推力を付与するばね部材31と、可動体を送り方向に向けて所定の速度で移動するように可動体の移動を制御する制御機構32とを備える。制御機構は、送り軸線O1回りの回転によって可動体を送り方向に向けて移動させる送りねじ60と、回転軸線O2回りに所定の回転角度範囲内で往復回転可能に配置された揺動体70と、揺動体を回転軸線回りに往復回転させるアクチュエータ80と、揺動体の往復回転に伴って一歯分ずつ回転する駆動歯車90を有し、アクチュエータからの動力を送りねじに伝達する伝達機構100と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、
弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、
前記可動体を前記送り方向に向けて所定の速度で移動するように、前記可動体の移動を制御する制御機構と、を備え、
前記制御機構は、
前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記送り軸線回りの回転によって前記可動体を前記送り方向に向けて移動させる送りねじと、
前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに所定の回転角度範囲内で往復回転可能に配置された揺動体と、
前記揺動体を前記回転軸線回りに往復回転させるアクチュエータと、
前記揺動体の往復回転に伴って一歯分ずつ回転する駆動歯車を有し、前記アクチュエータからの動力を前記送りねじに伝達する伝達機構と、を備えていることを特徴とする送り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送り装置において、
前記ばね部材は、
帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、
前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備え、
前記引出部は、前記可動体に連結され、
前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与する、送り装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送り装置において、
前記揺動体は、第1爪部及び第2爪部を有し、前記回転軸線回りの往復回転によって前記第1爪部及び前記第2爪部を前記駆動歯車に交互に係合させて、前記駆動歯車を一歯分ずつ回転させる、送り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の送り装置において、
前記揺動体は、前記第1爪部及び前記第2爪部を有するアンクルとされ、
前記駆動歯車は、前記第1爪部及び前記第2爪部によって一歯分ずつ歯送りされるがんぎ歯を有するがんぎ車とされている、送り装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、
前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記可動軸の往復移動に伴って前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
前記揺動体を挟んで向かい合うように配置された第1電磁石及び第2電磁石と、
前記第1電磁石及び前記第2電磁石が交互に磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力によって吸着されることで、前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
前記揺動体に連結された第1形状記憶合金ワイヤと、
前記揺動体を挟んで前記第1形状記憶合金ワイヤに向かい合うように配置され、前記揺動体に連結された第2形状記憶合金ワイヤと、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して交互に通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長し、
前記揺動体は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、
前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の送り装置と、
内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備え、
前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されていることを特徴とする流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送り装置及び流体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の分野において薬液を送り出す薬液ポンプが使用されている。例えば、理化学分野、医療分野において薬液を注入する場合や、水処理分野において酸、アルカリ等の薬液を注入する場合や、畜産分野において栄養剤等の薬液を注入する場合等に薬液ポンプが使用されている。
【0003】
この種の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献1に示されるように、薬液が充填されたシリンジの外筒を保持する保持体と、シリンジのプランジャを押圧する押圧部材と、押圧部材を付勢する渦巻きばねと、を具備する薬液ポンプが知られている。
渦巻きばねは、帯状の弾性体が渦巻き状に巻回されることで構成されている。渦巻きばねは、弾性体の外端部が保持体に固定されると共に、外端部から引き伸ばされた状態で弾性体の内端部を含む巻回部分が押圧部材に収納されている。
【0004】
この薬液ポンプによれば、渦巻きばねが自身の弾性復元力によって、引き伸ばされた部分を巻き取るように弾性復元変形する。これにより、押圧部材を移動させてプランジャを押圧することができ、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を排出することができ、薬液を外部に供給することができる。
【0005】
同様の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献2に示される薬液ポンプが知られている。この薬液ポンプは、薬液が充填されたシリンジと、シリンジのプランジャ(押し子)と、プランジャに固定されたナット部材に螺着された送りねじと、複数の歯車を介して送りねじに動力を伝達する駆動モータと、を備えている。
この薬液ポンプによれば、駆動モータからの動力を利用して送りねじを回転させることで、ナット部材を介してプランジャを移動させることができ、プランジャを押圧することができる。これにより、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を排出することができ、薬液を外部に供給することができる。
【0006】
さらに同様の薬液ポンプとして、例えば下記特許文献3に示される薬液ポンプが知られている。
この薬液ポンプは、プランジャの移動に伴って薬液が吐出されるシリンジを保持する保持部材と、所定の駆動力でプランジャを押圧して、プランジャをシリンジ内に向かう第1方向に移動させる駆動部と、プランジャの移動を調整する調整機構と、を備えている。調整機構は、シリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、プランジャに対して第1方向と同じ方向に補助力を付与、或いはプランジャに対して第1方向とは反対の第2方向に反力を付与する。
この薬液ポンプによれば、調整機構がシリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、補助力或いは反力をプランジャに付与するので、一定の移動量でプランジャを移動させることができる。これにより、シリンジ内に向けてプランジャを送り込むことができる。その結果、シリンジ内から薬液を一定の吐出量で吐出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-194069号公報
【特許文献2】特許第6442480号公報
【特許文献3】特許第6937397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の薬液ポンプでは、渦巻きばねによる動力(渦巻きばねの弾性復元力)を利用してプランジャを押圧している。そのため、プランジャを押圧するための推力が渦巻きばねの巻取りに伴って変動する可能性がある。従って、プランジャの速度制御が不十分となり、該プランジャを所望の速度で安定に送り移動させることが難しい。従って、安定した薬液供給に繋げることが難しい。
【0009】
さらに上記特許文献2に記載の薬液ポンプでは、駆動モータからの動力を利用して送りねじを回転させることで、ナット部材を介してプランジャを送り移動させている。そのため、例えば引用文献1に記載の発明に比べれば、プランジャを所望の速度で送り移動させ易い。しかしながら、プランジャを押圧するための推力が、駆動モータの動力(回転トルク)によって決定されてしまう。従って、薬液の粘性やプランジャの摺動抵抗等の影響を受けることなく、安定した推力でプランジャを押圧するためには、例えば駆動モータを大型化する等して、大きな回転トルクを確保する必要がある。そのため、省電力化を図り難くなってしまううえ、駆動モータに費やすコストが高くなってしまう。
【0010】
さらに上記特許文献3に記載の発明では、シリンジ内でのプランジャの移動に起因して生じる抵抗力と駆動力との差分に応じて、補助力或いは反力をプランジャに付与している。しかしながら、ぜんまいの巻き解けによる動力を利用して、調整機構が補助力を付与している。そのため、ぜんまいの巻取りに伴って補助力が変動する可能性があり、プランジャを一定の推力で押圧することや、所望の速度で安定に送り移動させることが難しい。従って、安定した薬液供給に繋げることが難しい。
【0011】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる送り装置及び流体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明に係る送り装置は、対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、前記可動体を前記送り方向に向けて所定の速度で移動するように、前記可動体の移動を制御する制御機構と、を備える。前記制御機構は、前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記送り軸線回りの回転によって前記可動体を前記送り方向に向けて移動させる送りねじと、前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに所定の回転角度範囲内で往復回転可能に配置された揺動体と、前記揺動体を前記回転軸線回りに往復回転させるアクチュエータと、前記揺動体の往復回転に伴って一歯分ずつ回転する駆動歯車を有し、前記アクチュエータからの動力を前記送りねじに伝達する伝達機構と、を備えている。
【0013】
本発明に係る送り装置によれば、ばね部材による弾性復元力を利用して可動体に推力を付与できるので、可動体を送り方向に向けて押圧することができる。この際、可動体には送りねじが組み合わされているので、送りねじを利用して可動体の移動速度を制御することができる。
可動体を移動させる場合には、アクチュエータを作動させて、揺動体を所定の回転角度範囲内で回転軸線回りに往復回転させる。これにより、揺動体の往復回転に伴って駆動歯車を一歯分ずつ回転させることができる。そして、駆動歯車の回転力を、伝達機構を介して送りねじに伝達することができる。このように、アクチュエータで発生した動力を、揺動体の往復回転に変換した後、さらに駆動歯車の回転に変換することができ、最終的には伝達機構を介して送りねじに伝達することができる。これにより、送りねじを送り軸線回りに回転させることができ、送りねじの回転に伴って可動体を送り方向に移動(送り移動)させることができる。そのため、可動体を利用して、対象物を送り方向に向けて移動させることができる。
【0014】
特に、揺動体を利用して駆動歯車を一歯分ずつ回転させることができるので、可動体の移動速度を制御することが可能である。従って、ばね部材による弾性復元力によって押圧された可動体を、速度制御しながら送り方向に向けて移動させることができる。その結果、対象物を速度制御しながら移動させることができる。さらに、アクチュエータによって、揺動体を往復移動させるタイミングを変化させることができるので、一歯分ずつ回転する駆動歯車の回転を変化させることができる。そのため、可動体を一定速度で移動させることに加えて、可動体の移動速度を任意に変化させることもできる。さらにはアクチュエータの制御によって、可動体の移動を任意のタイミングで停止させることもできる。
【0015】
さらにアクチュエータを利用しつつも、ばね部材による弾性復元力を主な推力として可動体を移動させている。そのため、例えば渦巻きばね、板ばね、コイルばね、トーションばね、皿ばね等の各種のばね部材を利用するだけの簡便な構成で可動体に推力を付与できるので、低コスト化及び構成の簡略化を図り易い。さらには電池等の電力が不要であるので、この点においても低コスト化を図り易いうえ、安全性が向上することができる。
さらに、アクチュエータを、可動体に推力を付与するために利用するのではなく、可動体の移動を制御する制御機構の一部として利用している。そのため、例えば動力の小さいアクチュエータを利用することができるので、省電力化及び低コスト化に繋げることができる。
【0016】
(2)(1)に記載の送り装置において、前記ばね部材は、帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備えても良い。前記引出部は、前記可動体に連結される。前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与する。
【0017】
この場合には、ばね部材が、引き伸ばされた引出部を巻回部に巻回するように弾性復元変形する。これにより、ばね部材による弾性復元力を利用して、引出部を巻回部側に引っ張ることができ、引出部に連結された可動体を送り方向に向けて押圧することができる。特にばね部材を、渦巻きばねとして利用することができ、例えばコイルばね等に比べて、伸びた状態から巻回によって元の状態に復元する間の弾性復元力がほぼ一定となる特性を有する、いわゆる定荷重ばねとして利用できる。従って、予め決められた一定の推力で可動体を押圧することが可能となる。
【0018】
さらにばね部材における巻回部の位置を変化させることなく、弾性復元変形によって引出部を引っ張って巻回することが可能となる。従って、巻回部を移動させることなく、可動体を移動させることができるので、巻回部の移動スペースが不要となり、その分、省スペース化を図ることができる。特に巻回部は、引出部を巻回するにつれてサイズが大きくなるため、有効に省スペース化を図ることができる。そのため、送り装置全体の小型化、薄型化に繋げることができる。
【0019】
(3)(1)又は(2)に記載の送り装置において、前記揺動体は、第1爪部及び第2爪部を有し、前記回転軸線回りの往復回転によって前記第1爪部及び前記第2爪部を前記駆動歯車に交互に係合させて、前記駆動歯車を一歯分ずつ回転させても良い。
【0020】
この場合には、回転軸線回りに揺動体を往復回転させることで、第1爪部及び第2爪部を交互に駆動歯車に係合させて、駆動歯車を一歯分ずつ適切に回転させることができる。従って、送りねじの回転制御及び可動体の移動制御を、さらに確実に行うことができる。
【0021】
(4)(3)に記載の送り装置において、前記揺動体は、前記第1爪部及び前記第2爪部を有するアンクルとされても良い。前記駆動歯車は、前記第1爪部及び前記第2爪部によって一歯分ずつ歯送りされるがんぎ歯を有するがんぎ車とされても良い。
【0022】
この場合には、例えば機械式時計に一般的に用いられる調速機構及び脱進機を構成するアンクル及びがんぎ車を利用することができるので、さらに精度良く駆動歯車を一歯分ずつ適切に回転させることができ、送りねじの回転制御及び可動体の移動制御の確実性の向上に繋げることができる。
【0023】
(5)(1)又は(2)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記揺動体は、前記可動軸の往復移動に伴って前記回転軸線回りを往復回転する。
【0024】
この場合には、ソレノイドの可動軸を直線的に往復移動させるだけの簡便な方法で、揺動体を回転軸線回りに往復回転させることができ、送りねじの回転制御及び可動体の移動制御を適切に行うことができる。
【0025】
(6)(1)又は(2)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、前記揺動体を挟んで向かい合うように配置された第1電磁石及び第2電磁石と、前記第1電磁石及び前記第2電磁石が交互に磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記揺動体は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力によって吸着されることで、前記回転軸線回りを往復回転する。
【0026】
この場合には、第1電磁石及び第2電磁石に交互に磁力を発生させるだけの簡便な方法で、揺動体を回転軸線回りに往復回転させることができ、送りねじの回転制御及び可動体の移動制御を適切に行うことができる。
【0027】
(7)(1)又は(2)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、前記揺動体に連結された第1形状記憶合金ワイヤと、前記揺動体を挟んで前記第1形状記憶合金ワイヤに向かい合うように配置され、前記揺動体に連結された第2形状記憶合金ワイヤと、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して交互に通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長する。前記揺動体は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転軸線回りを往復回転する。
【0028】
この場合には、第1形状記憶合金ワイヤ及び第2形状記憶合金ワイヤに交互に通電を行って、それぞれのワイヤの長さを瞬間的に収縮させるだけの簡便な方法で、揺動体を回転軸線回りに往復回転させることができる。これにより、送りねじの回転制御及び可動体の移動制御を適切に行うことができる。
【0029】
(8)(1)又は(2)に記載の送り装置において、前記アクチュエータは、通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備えても良い。前記揺動体は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転軸線回りを往復回転する。
【0030】
この場合には、ガルバノモータの可動軸を180°未満の角度範囲内で揺動回転させるだけの簡便な方法で、揺動体を回転軸線回りに往復回転させることができ、送りねじ及び可動体の移動制御を適切に行うことができる。
【0031】
(9)本発明に係る流体供給装置は、(1)又は(2)に記載の送り装置と、内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備える。前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されている。
【0032】
本発明に係る流体供給装置によれば、送りねじの回転によって可動体を送り方向に向けて移動させることで、収容筒内にプランジャを押し込むことができる。これにより、収容筒内に充填された流体を押し出すことができ、流体を外部に供給することができる。
特に上述した送り装置を具備しているので、可動体及びプランジャを速度制御しながら移動させることができるので、流体を精度良く外部に供給することができる。さらに、アクチュエータによって、可動体及びプランジャの移動速度を変化させることもできるので、外部への流体の供給量を任意に変化させることもできる。その結果、流体を所望の供給態様で外部に供給することができる。
【0033】
さらに、プランジャの抵抗が変化した場合であっても、アクチュエータによって送りねじを安定して回転させることができるので、プランジャの移動速度を維持することが可能である。これにより、安定的な流体の供給を行える。なお、例えばプランジャの抵抗が過度に大きくなった場合には、ばね部材からの弾性復元力に加えて、アクチュエータからの動力を推力として利用することができる。従って、プランジャを押圧する推力を増幅することができ、安定的な流体の供給を行える。従って、流体供給装置を、患者の体内に薬液を投入する薬液供給装置等として好適に利用することが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、送りねじの速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係る送り装置及び流体供給装置(薬液投与装置)の第1実施形態を示す図であって、薬液投与装置全体の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す本体ケースを取り外した状態を示す薬液投与装置の上面図である。
図3図2に示す薬液投与装置を後方から見た背面図である。
図4図2に示す薬液投与装置における伝達機構の周辺の斜視図である。
図5】本発明に係る送り装置の第2実施形態を示す図であって、薬液投与装置の上面図である。
図6図5に示すアクチュエータ及びアンクルの周辺の側面図である。
図7】本発明に係る送り装置の第3実施形態を示す図であって、アクチュエータ及びアンクルの周辺の側面図である。
図8】本発明に係る送り装置の第4実施形態を示す図であって、アクチュエータ及びアンクルの周辺の斜視図である。
図9】本発明に係る変形例を示す図であって、揺動体及び駆動歯車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る送り装置及び流体供給装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、流体供給装置を、薬液を使用者の体内に投与する薬液投与装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
(薬液投与装置)
図1及び図2に示すように、本実施形態の薬液投与装置(本発明に係る流体供給装置)1は、薬液(本発明に係る流体)Wが充填されたシリンジ(本発明に係る流体収容器)2と、シリンジ2のプランジャ21を移動(送り移動)させる送り装置3と、シリンジ2及び送り装置3を収容する本体ケース4と、を備えている。なお、図1以外の各図面では、本体ケース4の図示を省略している。
なお、薬液Wとしては特に限定されるものではないが、例えばインスリンが挙げられる。この場合、薬液投与装置1はインスリン投与装置として機能する。
【0038】
(本体ケース)
本体ケース4は、例えばケース本体及び蓋部材が組み合わされた構成とされ、ユーザの予め決められた体表面Sの装着箇所(例えば腹部周辺)に装着することが可能とされている。本実施形態では、図示を簡略化するために、本体ケース4を箱型の直方体状に形成しているが、本体ケース4の形状はこの場合に限定されるものではない。例えば、本体ケース4を平面視円形状、楕円状、多角形状等に形成しても構わない。
【0039】
本体ケース4をユーザの体表面Sに装着する装着方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用して構わない。例えば、粘着テープ等を利用して本体ケース4を体表面Sに貼着しても構わないし、クリップや装着ベルト等の図示しない装着部材を本体ケース4に組み合わせ、装着部材を介して本体ケース4を体表面Sに装着しても構わない。
【0040】
なお、本体ケース4内には、薬液投与装置1を構成する各種の図示しない構成品が収容されている。本実施形態では、本体ケース4の厚さ方向を上下方向といい、ユーザの体表面Sから本体ケース4に向かう方向を上方、その反対方向を下方という。さらに上下方向に直交する一方向を前後方向L1といい、上下方向及び前後方向L1に直交する方向を左右方向L2という。さらに前後方向L1のうちの一方側を前方FWといい、その反対方向を後方BKという。さらに左右方向L2のうちの一方側を右側RHといい、その反対方向を左側LHという。
【0041】
(注入セット)
図1に示すように、本実施形態の薬液投与装置1は、シリンジ2に接続される注入セット10を備えている。
注入セット10は、使用者の体表面Sに例えば貼着等によって取り付け可能とされた注入パッチ11と、シリンジ2と注入パッチ11との間に接続された中継チューブ12と、を備えている。
【0042】
注入パッチ11は、図示しない内針と共に体内に穿刺可能とされ、内針の引き抜きによって体表面Sに留置されるプラスチック製のカニューレ型の留置針13を備えている。これにより、シリンジ2内から供給された薬液Wを、中継チューブ12及び留置針13を通じて使用者の体内に投与することが可能とされている。なお、留置針13は、本体ケース4を体表面Sに装着している間、使用者に穿刺された状態で体表面Sに留置可能とされている。
【0043】
なお、注入セット10は必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、本体ケース4に、押し込み操作可能な図示しない操作部材によって、体内側に向けて飛び出し可能な留置針を直接取り付けても構わない。この場合、例えば可撓性を有するチューブ等を通じて、留置針とシリンジ2とを接続すれば良い。
【0044】
(シリンジ)
薬液投与装置1にセットされるシリンジ2について説明する。
図1及び図2に示すように、シリンジ2は、例えばリザーババレル等と称される薬液容器であって、内部に薬液Wが充填されるシリンジ本体(本発明に係る収容筒)20と、シリンジ本体20の内部に摺動移動可能に配置され、送り方向である前方FWに向けた移動によって薬液Wを外部に供給するプランジャ21と、を備えている。
【0045】
シリンジ本体20は、前後方向L1に沿って延びる送り軸線O1を中心とした楕円状に形成されている。なお、送り軸線O1は、送り方向に対して平行に配置されている。具体的には、シリンジ本体20は、前端部側が閉塞し、且つ後端部側が開口した有頂筒状に形成されている。なお、シリンジ本体20の形状は、特に限定されるものではなく、例えば円筒状に形成しても構わない。
なお、例えば予め薬液Wが充填された図示しないバイアル(またはアンプルともいう)から薬液Wを移し替えて或いは吸い上げることで、シリンジ本体20内に薬液Wを充填することが可能とされている。
【0046】
シリンジ本体20の前端部には、図示しない流体供給口が形成されている。そして図1に示す中継チューブ12が流体供給口に接続される。これにより、シリンジ本体20内の薬液Wを、流体供給口を通じて中継チューブ12内に供給することが可能とされている。
【0047】
プランジャ21は、後方BKからシリンジ本体20内に挿入され、送り軸線O1に沿って摺動移動可能とされている。プランジャ21は、前後方向L1に沿って延びる第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23と、第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23の前端部に一体に形成された円柱状のガスケット部24と、を備えている。
ガスケット部24は、送り軸線O1に沿ってシリンジ本体20内を前後摺動可能とされている。ガスケット部24の外周面には、Oリング等の図示しないシール部材が固定されている。これにより、ガスケット部24とシリンジ本体20との間は、密(液密、気密)にシールされている。
【0048】
第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23は、送り軸線O1を挟んで左右方向L2に向かい合うように配置されている。第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23は、前端部がガスケット部24に連結され、後端部が後述するスライダ30に一体的に連結されている。
【0049】
上述のように構成されたシリンジ2は、図示しない保持台によって保持されることで、前後方向L1及び左右方向L2に位置決めされた状態で本体ケース4に取り外し可能に組み合わされている。
なお、プランジャ21を後方BKから前方FWに向けて移動させることで、シリンジ本体20内にプランジャ21を押込むことができる。従って、本実施形態では、前方FWがプランジャ21の押込み方向となる。
【0050】
(送り装置)
図1及び図2に示すように、送り装置3は、後述する送りねじ60を回転させることでプランジャ21を前方FWに向けて押し込み、シリンジ2内から外部に向けて薬液Wを供給する役割を果たしている。
送り装置3は、シリンジ2のプランジャ(本発明に係る対象物)21を送り方向である前方FWに向けて移動させるスライダ(本発明に係る可動体)30と、弾性復元力を利用して、前方FWに向けてスライダ30に推力を付与する渦巻きばね(本発明に係るばね部材)31と、スライダ30を前方FWに向けて所定の速度で移動するように、該スライダ30の移動を制御する制御機構32と、を備えている。
【0051】
(スライダ)
スライダ30は、送り軸線O1に沿って前後方向L1に移動可能に配置されると共に、プランジャ21を押圧して、該プランジャ21を押込み方向である前方FWに向けて移動させる役割を果たしている。
【0052】
スライダ30は、前後方向L1に所定の厚みを有すると共に、前後方向L1から見て外形が四角形状となるように形成されている。ただし、スライダ30の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。さらにスライダ30は、プランジャ21よりも後方BK側に配置されている。
なお、スライダ30には、第1プランジャ軸22及び第2プランジャ軸23の後端部が一体的に組み合わされている。
【0053】
スライダ30の下面には、下方に向けて突出すると共に、本体ケース4の底壁に形成された図示しない案内レールに沿って前後方向L1に案内される図示しない案内片が形成されている。これにより、スライダ30は、送り軸線O1に沿ってがたつき少なく直線的に移動可能とされている。
スライダ30の中央部には、該スライダ30を前後方向L1に貫通すると共に、後述するナット部材61が組み込まれるナット用開口部30aが形成されている。
【0054】
(渦巻きばね)
渦巻きばね31は、スライダ30を前方FWに向けて押圧する役割を果たしている。本実施形態では、2つの渦巻きばね31を有している。このうち一方の渦巻きばね31を第1渦巻きばね35といい、他方の渦巻きばね31を第2渦巻きばね36という。
【0055】
第1渦巻きばね35は、本体ケース4の底壁上に配置された円筒状の第1ボビン40を主に利用して本体ケース4内に配置されている。同様に第2渦巻きばね36は、本体ケース4の底壁上に配置された円筒状の第2ボビン41を主に利用して本体ケース4内に配置されている。
【0056】
第1ボビン40の内側には、本体ケース4に取り付けられた円柱状の第1軸部42が差し込まれている。これにより、第1ボビン40は、本体ケース4内で位置決めされた状態で、第1軸部42の中心軸線を中心として回転可能とされている。
同様に第2ボビン41の内側には、本体ケース4に取り付けられた円柱状の第2軸部43が差し込まれている。これにより、第2ボビン41は、本体ケース4内で位置決めされた状態で、第2軸部43の中心軸線を中心として回転可能とされている。
【0057】
第1渦巻きばね35は、厚みが薄く、且つ所定の幅を有する長尺な帯状の弾性体50を渦巻き状に巻回することで構成されている。なお、弾性体50の材質としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス等の金属製としても構わないし、合成樹脂製であっても構わない。
【0058】
第1渦巻きばね35は、弾性体50が渦巻き状に巻回され、第1ボビン40に外装された巻回部51と、スライダ30に連結されると共に、弾性体50のうち巻回部51から引き伸ばされた部分である引出部52と、を備えている。
巻回部51は、第1ボビン40を囲むように外装され、第1ボビン40に対して相対移動可能とされている。これにより、巻回部51は、例えば第1軸部42の中心軸線回りに回転しながら引出部52を効率良く巻き取ることが可能とされている。
【0059】
巻回部51は、第1ボビン40を囲むように外装されることで本体ケース4によって保持されている。特に巻回部51は、シリンジ本体20よりも押込み方向側(前方FW側)に配置されている。
引出部52は、巻回部51から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、シリンジ2の右側RHに隣接するように配置されている。引出部52の端部は、スライダ30に連結されている。
【0060】
このように構成された第1渦巻きばね35は、引出部52が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、スライダ30を前方FWに押圧するように、スライダ30に推力を付与している。これにより、スライダ30を前方FWに向けて移動させることができ、第1渦巻きばね35の弾性復元力に起因する推力によって、プランジャ21を押込み方向(前方FW)に向けて移動させることができる。そのため、プランジャ21をシリンジ本体20内に押し込むことが可能とされている。
【0061】
なお、第1渦巻きばね35は、いわゆる定荷重ばねとされ、例えばコイルばね等に比べて、伸びた状態から巻回によって元の状態に復元する間の弾性復元力がほぼ一定となる特性を有している。従って、予め決められた一定の推力でプランジャ21を押圧可能とされている。
【0062】
第2渦巻きばね36は、上述した第1渦巻きばね35と同様に構成されている。従って、第2渦巻きばね36に関し、第1渦巻きばね35と同一の構成部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
つまり、第2渦巻きばね36は、巻回部51及び引出部52を備えている。なお、巻回部51は、第2ボビン41を囲むように外装されることで、本体ケース4によって保持されている。これにより、第2渦巻きばね36の巻回部51についても、シリンジ本体20よりも押込み方向側(前方FW側)に配置されている。
さらに引出部52は、巻回部51から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、シリンジ2の左側LHに隣接するように配置されている。そして引出部52の端部は、スライダ30に連結されている。
【0063】
上述のように配置された第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36は、図2に示すように、上方から見た平面視で、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されている。これにより、第1渦巻きばね35の引出部52及び第2渦巻きばね36の引出部52は、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されると共に、シリンジ2を挟んで左右方向L2に配置された状態でスライダ30にそれぞれ連結されている。さらに、第1渦巻きばね35の引出部52及び第2渦巻きばね36の引出部52は、送り軸線O1に平行に配置され、シリンジ2の左右両側に配置されている。
なお、図2では、第1渦巻きばね35の引出部52及び第2渦巻きばね36の引出部52がシリンジ2の左右両側に接した状態を図示しているが、この場合に限定されるものではない。第1渦巻きばね35の引出部52及び第2渦巻きばね36の引出部52は、シリンジ2の左右両側に、シリンジ2との間に隙間をあけた状態で配置されても構わない。この点は、他の実施形態においても同様である。
【0064】
(制御機構)
図1図4に示すように、制御機構32は、スライダ30を送り方向である前方FWに向けて所定の速度で移動するようにスライダ30の移動を制御する。
制御機構32は、送り軸線O1と同軸に配置されていると共に、送り軸線O1回りに回転可能な状態でスライダ30に組み合わされた送りねじ60と、送り軸線O1に対して非同軸に配置された回転軸線O2回りに所定の回転角度範囲内で往復回転可能に配置されたアンクル(本発明に係る揺動体)70と、アンクル70を回転軸線O2回りに往復回転させるアクチュエータ80と、アンクル70の往復回転に伴って一歯分ずつ回転するがんぎ車90(本発明に係る駆動歯車)を有し、アクチュエータ80からの動力を送りねじ60に伝達する伝達機構100と、を備えている。
【0065】
(送りねじ)
図1及び図2に示すように、送りねじ60は、前後方向L1に沿って延びる螺軸(リードスクリュー)であって、送り軸線O1と同軸に配置されている。具体的には、送りねじ60は、第1プランジャ軸22と第2プランジャ軸23との間に位置した状態で、シリンジ本体20よりも後方BKに配置されている。送りねじ60は、スライダ30に形成されたナット用開口部30a内を通じて、スライダ30よりもさらに後方BKに突出している。送りねじ60の外周面には、送りねじ60の全長に亘って雄ねじ部が形成されている。
【0066】
本実施形態の送りねじ60は、ナット部材61を介してスライダ30に一体的に組み合わされている。ナット部材61は、送りねじ60に螺着された状態で、スライダ30に形成されたナット用開口部30aの内側に組み込まれている。ナット部材61の内周面には、送りねじ60の雄ねじ部に螺合する図示しない雌ねじ部が形成されている。ナット部材61は、回り止めがされた状態でナット用開口部30aの内側に組み込まれている。これにより、ナット部材61は、送り軸線O1回りの回転が規制された状態で送りねじ60に螺着されている。
【0067】
従って、送りねじ60を送り軸線O1回りに回転させることで、送りねじ60の回転運動をスライダ30の直線運動に変換することができ、スライダ30の全体を送り軸線O1に沿って前後方向L1に移動させることが可能とされている。これにより、送り軸線O1回りに送りねじ60を回転させることで、スライダ30を前方FWに向けて移動させることが可能とされている。
【0068】
送りねじ60のうちスライダ30よりも後方BKに位置する後端部には、第2中間歯車62が取り付けられている。
なお、ナット部材61は必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、スライダ30に送りねじ60が挿通される挿通孔を形成し、挿通孔の内周面に送りねじ60の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成しても構わない。この場合であっても、送り軸線O1回りに送りねじ60を回転させることで、スライダ30を前方FWに向けて移動させることが可能となる。
【0069】
(アンクル)
図1図4に示すように、アンクル70は、スライダ30よりも後方BKに配置されていると共に、送り軸線O1よりも右側RHに位置するように配置されている。さらにアンクル70の回転軸線O2は、送り軸線O1と平行な前後方向L1に沿って延びるように配置されている。これにより、アンクル70は、図3に示す矢印の如く、回転軸線O2を中心として左右方向L2に揺動するように往復回転可能とされている。
【0070】
アンクル70は、上下方向に延びるアンクル体71を備えている。アンクル体71の下端部には、前後方向L1に延びるアンクル真72が取り付けられている。なお、回転軸線O2は、アンクル真72を前後方向L1に貫くように配置されている。そしてアンクル70は、アンクル真72を介して、本体ケース4に設けられた図示しない支持部に回転可能に支持されている。
アンクル体71の上端部には、左右方向L2に分岐した二股状の係合フォーク73が形成されている。さらにアンクル体71の下端部には、がんぎ車90のがんぎ歯91に対して係脱可能な第1爪部74及び第2爪部75を有している。
【0071】
第1爪部74及び第2爪部75は、回転軸線O2回りのアンクル70の往復回転によってがんぎ車90のがんぎ歯91に交互に係脱することで、がんぎ車90をがんぎ歯91の一歯分ずつ回転させることが可能とされている。これにより、アンクル70の回転エネルギーをがんぎ車90に伝達することが可能とされている。なお、本実施形態のアンクル70としては、機械式時計の脱進機を構成するアンクル等を採用することが可能である。
【0072】
(アクチュエータ)
アクチュエータ80は、出没可能な可動軸111を具備するソレノイド110と、ソレノイド110への通電を制御する制御部120(図3参照)と、を備えている。
ソレノイド110は、スライダ30よりも後方BKに配置されていると共に、アンクル70よりも上方に配置されている。なお、ソレノイド110は、図示しない支持部によって本体ケース4内に取り付けられている。さらにソレノイド110は、可動軸111が左右方向L2を向き、且つアンクル70の上方に配置されるように配置されている。
【0073】
ソレノイド110は、内部に固定鉄心やコイル等を有し、通電及び非通電によって、可動軸111を左右方向L2に直線的に往復移動させることが可能とされている。具体的には、ソレノイド110は、通電による電圧印加によって磁界を生じさせ、可動鉄心として機能する可動軸111を固定鉄心側に吸引する。これにより、可動軸111を内部に引き込むように移動させることができる。その反対に、ソレノイド110が非通電とされた場合には、吸引力を解消することができる。これにより、コイルばね112による付勢によって可動軸111を伸ばすように移動させることができる。
このように、通電及び非通電の切換えによって、可動軸111を左右方向L2に直線的に往復移動させることが可能とされている。
【0074】
可動軸111の先端部には、アンクル70の係合フォーク73が相対移動可能に係合している。具体的には、可動軸111の先端部には、係合ピン114が一体的に形成されている。そしてアンクル70の係合フォーク73の内側に、係合ピン114が嵌め込まれるように係合されている。これにより、アンクル70は、可動軸111の左右方向L2に沿った直線的な往復移動に伴って、回転軸線O2を中心として左右方向L2に揺動するように往復回転可能とされている。
【0075】
制御部120は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、ソレノイド110に対して制御電流を供給する。これにより、ソレノイド110は、通電、非通電が制御されている。
なお、制御部120及び総合制御部は、本体ケース4に取り付けられた図示しない制御基板に実装されている。総合制御部は、例えば薬液投与装置1全体を総合的に制御するCPU等で構成されている。さらに制御基板には、フラッシュメモリ等の各種記憶部等を含む、複数の電子部品が実装されていると共に、各種の構成品に電力を供給する電源部等が実装されている。なお電源部は、例えばボタン電池、乾電池等の交換可能な一次電池、或いは充放電可能な二次電池等、適宜採用して構わない。
【0076】
(伝達機構)
伝達機構100を構成するがんぎ車90は、アンクル70よりも下方に配置され、本体ケース4に回転可能に支持されている。がんぎ車90は、アンクル70の往復回転に伴って第1爪部74及び第2爪部75によって一歯ずつ歯送りされるがんぎ歯(本発明に係る駆動歯)91を備えている。なお、がんぎ車90としては、例えば機械式時計の脱進機を構成するがんぎ車を採用することも可能である。
【0077】
さらにスライダ30の後方BKには、がんぎ車90に噛み合う第1中間歯車63が配置されている。これにより、第1中間歯車63は、がんぎ車90の回転に伴って回転する。さらに第1中間歯車63は、送りねじ60に取り付けられた第2中間歯車62に噛み合っている。これにより、がんぎ車90の回転力を、第1中間歯車63を介して第2中間歯車62に伝えることができ、送りねじ60を送り軸線O1回りに回転させることができる。
【0078】
これらがんぎ車90、第1中間歯車63及び第2中間歯車62は、いわゆる輪列機構であり、上記伝達機構100として機能する。なお、伝達機構100は、がんぎ車90の回転を減速した状態で送りねじ60に伝達する。
【0079】
(薬液投与装置の作用)
次に、上述のように構成された薬液投与装置1を使用して、使用者の体内に薬液Wを投与する場合について説明する。
【0080】
なお、この場合の初期状態として、図1に示すように薬液投与装置1が使用者の体表面Sに装着され、留置針13が体内に穿刺された状態で体表面Sに留置されているものとする。さらに、薬液Wが充填されたシリンジ2が本体ケース4内にセットされているものとする。さらに、スライダ30がプランジャ21よりも後方BK側に位置して、プランジャ21が押し込み開始位置にセットされているものとする。
【0081】
上述の初期状態のもと、薬液投与装置1によれば、渦巻きばね31による弾性復元力を利用してスライダ30に推力を付与できるので、スライダ30を送り方向である前方FWに向けて押圧することができる。
具体的には、図1及び図2に示す第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36が、引き伸ばされた引出部52を巻回部51に巻回するように弾性復元変形する。これにより、第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36による弾性復元力を利用して、図1に示す矢印Fの如く引出部52を前方FWに向けて引っ張ることがでる。そのため、引出部52に連結されたスライダ30を送り軸線O1に沿って前方FWに向けて押圧することができる。
その結果、スライダ30を介してプランジャ21を押込み方向に向けて、一定の推力で押圧することができる。
【0082】
この際、送りねじ60に螺着されたナット部材61がスライダ30に連結されているので、送りねじ60及びナット部材61を利用してスライダ30の移動速度を制御することができる。
具体的にスライダ30を移動させる場合には、アクチュエータ80を作動させる。詳細には、制御部120がソレノイド110に対して制御電流を供給することで、ソレノイド110を通電状態及び非通電状態に交互に切り換える。これにより、図3に示すように、ソレノイド110の可動軸111を図3に示す矢印の如く、左右方向L2に沿って直線的に往復移動させることができるので、これに伴ってアンクル70を回転軸線O2回りに往復回転させることができる。そのため、アンクル70の第1爪部74及び第2爪部75をがんぎ車90のがんぎ歯91に交互に係合させて、がんぎ車90を一歯分ずつ回転させることができる。
【0083】
そしてがんぎ車90の回転によって、第1中間歯車63及び第2中間歯車62を介して送りねじ60を回転させることができる。つまり、がんぎ車90の回転力を、伝達機構100を介して送りねじ60に伝えることができる。従って、ソレノイド110で発生した動力を、アンクル70の往復回転に変換した後、さらにがんぎ車90の回転に変換することができ、最終的には伝達機構100を介して送りねじ60に伝達することができる。
これにより、送りねじ60を送り軸線O1回りに回転させることができ、送りねじ60の回転に伴ってスライダ30を前方FWに向けて移動(送り移動)させることができる。その結果、スライダ30を利用して、プランジャ21を移動させることができる。
【0084】
特に、アンクル70を利用してがんぎ車90を一歯分ずつ回転させることができるので、スライダ30の移動速度を制御することが可能である。従って、渦巻きばね31(第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36)による弾性復元力によって押圧されたスライダ30を、速度制御しながら前方FWに向けて移動させることができる。その結果、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができる。
【0085】
従って、渦巻きばね31(第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36)による弾性復元力によって一定の推力で押圧されたプランジャ21を、速度制御しながら押込み方向である前方FWに向けて移動させることができる。その結果、シリンジ本体20内に充填された薬液Wをプランジャ21で押し出すことができ、留置針13に向けて供給することができる。これにより、供給された薬液Wを、留置針13を通じて使用者に投与することができる。この際、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができるので、薬液Wを精度良く供給することができる。
【0086】
さらに、ソレノイド110の制御によって、アンクル70を往復移動させるタイミングを変化させることができるので、一歯分ずつ回転するがんぎ車90の回転を変化させることができる。そのため、スライダ30を一定速度で移動させることに加えて、スライダ30の移動速度を任意に変化させることもできる。従って、薬液Wの供給量を任意に変化させることができ、薬液Wを所望の供給態様で供給することができる。
そのため、使用者に対する薬液Wの安定的な投与や、使用者に合わせた投与量の調整等を行うことが可能とされている。さらにはソレノイド110の制御によって、アンクル70の回転を停止させることができるので、スライダ30の移動を任意のタイミングで停止させることもできる。そのため、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることが可能である。
【0087】
さらには、ソレノイド110を利用しつつも、渦巻きばね31による弾性復元力を主な推力としてスライダ30を移動させている。そのため、渦巻きばね31を利用するだけの簡便な構成でスライダ30に推力を付与できるので、低コスト化及び構成の簡略化を図り易い。さらには電池等の電力が不要であるので、この点においても低コスト化を図り易いうえ、安全性が向上することができる。
さらにソレノイド110を、スライダ30に対して推力を付与するために利用するのではなく、スライダ30の移動を制御する制御機構32の一部として利用するので、例えば動力の小さいソレノイド110を利用することができる。従って、省電力化及び低コスト化に繋げることができる。
【0088】
さらに、プランジャ21の抵抗が変化した場合であっても、ソレノイド110によって送りねじ60を安定して回転させることができるので、プランジャ21の移動速度を維持することができる。これにより、安定的な薬液Wの供給を行える。
なお、例えばプランジャ21の抵抗が過度に大きくなった場合には、渦巻きばね31(第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36)からの弾性復元力に加えて、ソレノイド110からの動力を推力として利用することができるので、プランジャ21を押圧する推力を増幅することが可能である。従って、この場合であっても、安定的な薬液Wの供給を行える。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の送り装置3によれば、送りねじ60の速度制御を行うことができると共に、省電力化及び低コスト化を図ることができる。特に、ソレノイド110の可動軸111を直線的に往復移動させるだけの簡便な方法で、アンクル70を回転軸線O2回りに往復回転させることができ、送りねじ60及びスライダ30の移動制御を適切に行うことができる。
【0090】
さらに薬液投与装置1によれば、送りねじ60を具備する送り装置3を備えているので、薬液Wを安定且つ精度良く供給することができると共に、プランジャ21の移動制御を行うことができるので、薬液Wを所望の供給態様で供給することができ、且つ省電力化を図ることができる。
これらのことから、使用者に対する安定的な薬液Wの投与を行うことができると共に、携帯し易い信頼性の高いインスリン投与装置等として好適に使用することができる。さらに使用者に合わせた最適な投与量、投与速度で薬液Wを投与することもでき、使い易く、利便性に優れたインスリン投与装置等として好適に使用することができる。
【0091】
さらに、第1渦巻きばね35の巻回部51、及び第2渦巻きばね36の巻回部51は、第1ボビン40及び第2ボビン41を介して本体ケース4に保持されている。これにより、巻回部51の位置を変化させることなく、弾性復元変形によって引出部52を引っ張って巻回することができる。従って、巻回部51を移動させることなく、スライダ30を移動させることができるので、巻回部51の移動スペースが不要となり、その分、省スペース化を図ることができる。特に、巻回部51は、引出部52を巻回するにつれてサイズが大きくなるため、有効に省スペース化を図ることができる。そのため、薬液投与装置1全体の小型化、薄型化に繋げることができる。
【0092】
さらには、第1渦巻きばね35の引出部52、及び第2渦巻きばね36の引出部52は、送り軸線O1を対称軸として線対称に配置されると共に、シリンジ2の両側に配置された状態でスライダ30に連結されている。そのため、スライダ30にモーメント荷重が発生することを抑制しながら前方FWに向けて移動させることができる。従って、プランジャ21を送り軸線O1に沿って連続的に真っすぐに移動させることができると共に、スティックスリップ現象(いわゆるびびり現象)を生じさせ難い。
従って、プランジャ21を抵抗少なくスムーズに移動させることができる。その結果、プランジャ21をより安定した移動速度で移動させることができ、薬液Wを安定且つ精度良く供給することができる。
【0093】
さらに本実施形態では、第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36の引出部52による引っ張り力を、スライダ30の左右両側に均等に作用させることができる。従って、スライダ30にモーメント荷重が発生することを適切に抑制しながら押込み方向に移動させることができ、プランジャ21をより安定に移動させることができる。
さらに2つの渦巻きばね31(第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36)を利用するので、それぞれの渦巻きばね31が有する弾性復元力を抑えたとしても、プランジャ21を押圧するため適切な推力を得ることができる。従って、例えば第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36を小型化、薄型化等した場合であっても、プランジャ21を安定して移動させることができる。そのため、プランジャ21の安定した移動を実現しつつ、薬液投与装置1全体のさらなる小型化、薄型化に繋げることができる。
【0094】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0095】
図5及び図6に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ130が第1電磁石131及び第2電磁石132と、第1電磁石131及び第2電磁石132への通電を制御する制御部133と、を備えている。
本実施形態のアンクル70は、シリンジ2よりも右側RHに配置されると共に、左右方向L2に延びる回転軸線O2を中心として、図6に示す矢印に示す如く上下方向に往復回転可能とされている。アンクル体71の先端部には、第1実施形態の係合フォーク73に代えて、永久磁石等の磁性体135が取り付けられている。
【0096】
さらにがんぎ車90は、アンクル70よりも後方BKに配置され、本体ケース4に回転可能に支持されている。がんぎ車90は、アンクル70の往復回転に伴って第1爪部74及び第2爪部75によって一歯ずつ歯送りされる。さらに、がんぎ車90の後方BKには、がんぎ車90に噛み合う第1中間歯車63が配置されている。これにより、第1中間歯車63は、がんぎ車90の回転に伴って回転する。なお、本実施形態の第1中間歯車63は、第1傘歯63aを有している。
【0097】
送りねじ60の後端部には、第2中間歯車62が取り付けられている。本実施形態の第2中間歯車62は、スライダ30の後方BKに配置されていると共に、第1傘歯63aに噛み合う第2傘歯62aを有している。これにより、がんぎ車90の回転力を、第1中間歯車63を介して第2中間歯車62に伝えることができ、送りねじ60を送り軸線O1回りに回転させることができる。
がんぎ車90、第1中間歯車63及び第2中間歯車62は、いわゆる輪列機構であり、伝達機構100として機能する。なお、伝達機構100は、がんぎ車90の回転を減速した状態で送りねじ60に伝達する。
【0098】
第1電磁石131及び第2電磁石132は、アンクル70の磁性体135を挟んで上下に向かい合うように配置されている。
第1電磁石131は、磁性材料で形成された鉄心等の第1磁性軸131aと、第1磁性軸131aに巻回された図示しないコイルを内部に収容する第1ケース131bと、を備えている。第1電磁石131は、第1磁性軸131aの端面を磁性体135に対して対向するように、磁性体135の上方に配置されている。
第2電磁石132は、磁性材料で形成された鉄心等の第2磁性軸132aと、第2磁性軸132aに巻回された図示しないコイルを内部に収容する第2ケース132bと、を備えている。第2電磁石132は、第2磁性軸132aの端面を磁性体135に対して対向するように、磁性体135の下方に配置されている。
【0099】
制御部133は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1電磁石131及び第2電磁石132のコイルに交互に通電を行っている。これにより、制御部133は、第1磁性軸131a及び第2磁性軸132aが交互に磁力を発生するように、第1電磁石131及び第2電磁石132への通電の制御を行っている。
【0100】
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部133によって第1電磁石131及び第2電磁石132のコイルに交互に通電を行うことで、第1磁性軸131a及び第2磁性軸132aに交互に磁力を発生させる。これにより、第1磁性軸131a及び第2磁性軸132aに対してアンクル70の磁性体135を交互に吸着させることができるので、回転軸線O2回りにアンクル70を往復回転させることができる。これにより、送りねじ60の回転制御及びスライダ30の移動制御を行うことができ、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができる。
【0101】
その結果、シリンジ本体20内に充填された薬液Wをプランジャ21で押し出すことができ、留置針13を通じて使用者に投与することができる。そのため、本実施形態であっても、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができ、薬液Wを精度良く供給することができる。さらに、スライダ30の移動速度を任意に変化させることもできるので、薬液Wを所望の供給態様で供給することができる。従って、使用者に対する薬液Wの安定的な投与や、使用者に合わせた投与量の調整等を行うことができる。
さらには第1電磁石131及び第2電磁石132への通電の制御によって、アンクル70の回転を停止させることができるので、スライダ30の移動を任意のタイミングで停止させることもできる。そのため、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることが可能である。
【0102】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0103】
図7に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ140が第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142と、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142の通電を制御する制御部143と、を備えている。
本実施形態のアンクル70は、アンクル体71の先端部にブロック状の接合部145が取り付けられている。
【0104】
第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142は、温度に応じて長さが変化する形状記憶合金ワイヤ(Shape Memory Alloys)であって、例えばニッケル-チタン合金製とされている。ただし、形状記憶合金ワイヤの材質としては、ニッケル-チタン合金に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0105】
第1形状記憶合金ワイヤ141は、アンクル70よりも上方に配置されていると共に、一端部がアンクル70の接合部145に連結され、他端部が第1通電部146に連結されている。第1通電部146は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。図示の例では、第1形状記憶合金ワイヤ141は、中間部分が本体ケース4内に固定されたサポート軸148に支持されている。
【0106】
第2形状記憶合金ワイヤ142は、アンクル70よりも下方に配置されていると共に、一端部がアンクル70の接合部145に連結され、他端部が第2通電部147に連結されている。第2通電部147は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。図示の例では、第2形状記憶合金ワイヤ142は、中間部分が本体ケース4内に固定されたサポート軸148に支持されている。
【0107】
接合部145は、例えば第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142の熱伝導率よりも熱伝導率が低い材料で形成され、第1形状記憶合金ワイヤ141の熱を、第2形状記憶合金ワイヤ142側に伝え難く、且つ第2形状記憶合金ワイヤ142の熱を、第1形状記憶合金ワイヤ141側に伝え難い構成とされている。
【0108】
制御部143は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、第1通電部146及び第2通電部147を制御している。これにより、制御部143は、第1通電部146及び第2通電部147を介して、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142に交互に通電を行っている。
第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142は、通電によって加熱されることで長さが瞬間的に収縮すると共に、放熱に伴って長さが伸長する特性を有する。なお、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142は、通電が終了したときの放熱によって、速やかに伸長して元の長さに復帰する。
【0109】
ただし、例えば第1形状記憶合金ワイヤ141への通電が終了した後、第1形状記憶合金ワイヤ141が放熱によって元の長さに復帰しても、第1形状記憶合金ワイヤ141は第1通電部146と接合部145の間で弛んだ状態となる。そのため、接合部145は上方に傾いた状態を維持する。従って、アンクル70の第1爪部74は、駆動歯車90に当接した状態が継続され、駆動歯車90は停止状態を維持する。
第2形状記憶合金142についても、第1形状記憶合金141と同様の動作となる。
【0110】
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部143によって、第1通電部146及び第2通電部147を介して、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142に交互に通電を行うことで、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142を交互に瞬間的に収縮させることができる。これにより、アンクル70の接合部145を上下方向に交互に引っ張ることができるので、回転軸線O2回りにアンクル70を往復回転させることができる。これにより、送りねじ60の回転制御及びスライダ30の移動制御を行うことができ、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができる。
【0111】
その結果、シリンジ本体20内に充填された薬液Wをプランジャ21で押し出すことができ、留置針13を通じて使用者に投与することができる。そのため、本実施形態であっても、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができ、薬液Wを精度良く供給することができる。さらに、スライダ30の移動速度を任意に変化させることもできるので、薬液Wを所望の供給態様で供給することができる。従って、使用者に対する薬液Wの安定的な投与や、使用者に合わせた投与量の調整等を行うことができる。
さらには第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142への通電の制御によって、アンクル70の回転を停止させることができるので、スライダ30の移動を任意のタイミングで停止させることもできる。そのため、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることが可能である。
【0112】
なお、本実施形態において、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142の放熱性を高めても良い。例えば第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142の熱伝導率よりも熱伝導率が高い材料で形成された放熱体を、第1形状記憶合金ワイヤ141及び第2形状記憶合金ワイヤ142に接触するように配置させても構わない。従って、サポート軸148を放熱体として機能させても構わない。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る送り装置の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、第4実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0114】
図8に示すように、本実施形態の送り装置3は、アクチュエータ150が通電及び非通電によって揺動回転する可動軸161を有するガルバノモータ160と、ガルバノモータ160への通電を制御する制御部163と、を備えている。なお、図8では、がんぎ車90等の図示を省略している。本実施形態のアンクル70は、アンクル体71の先端部に係合フォーク73を具備していない。
【0115】
ガルバノモータ160は、図示しない支持部によって本体ケース4内に固定されている。可動軸161は、揺動軸線O3を中心として、図8に示す矢印に示す如く180°未満の角度範囲内で揺動回転する。そして、アンクル70は、揺動軸線O3に対して回転軸線O2が同軸上に位置するように可動軸161に取り付けられている。これにより、アンクル70は、可動軸161の揺動回転によって揺動軸線O3回りを往復回転する。
【0116】
制御部163は、図示しない総合制御部からの指示に基づいて、ガルバノモータ160に対して制御電流を供給する。これにより、ガルバモータは、通電、非通電が制御されている。
【0117】
(送り装置の作用)
本実施形態の送り装置3の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
具体的には、制御部163によってガルバノモータ160の作動を制御することで、可動軸161を180°未満の角度範囲内で揺動回転させることができる。これにより、揺動軸線O3回りにアンクル70を往復回転させることができる。従って、送りねじ60の回転制御及びスライダ30の移動制御を行うことができ、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができる。
【0118】
その結果、シリンジ本体20内に充填された薬液Wをプランジャ21で押し出すことができ、留置針13を通じて使用者に投与することができる。そのため、本実施形態であっても、プランジャ21を速度制御しながら移動させることができ、薬液Wを精度良く供給することができる。さらに、スライダ30の移動速度を任意に変化させることもできるので、薬液Wを所望の供給態様で供給することができる。従って、使用者に対する薬液Wの安定的な投与や、使用者に合わせた投与量の調整等を行うことができる。
さらには可動軸161の回転を停止させることができるので、スライダ30の移動を任意のタイミングで停止させることもできる。そのため、薬液Wの投与を任意のタイミングで停止させることが可能である。
【0119】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0120】
例えば、上記各実施形態では、流体として薬液Wを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば流体としては、その他の液体や、ガス等の気体であっても構わない。使用される用途や目的等に応じて、内容物を適宜変更して構わない。例えば、流体としては、塗料、飲料、香料、油脂類(グリス、オイル等)等、様々なものを選択して構わない。
【0121】
さらに上記各実施形態では、第1中間歯車63及び第2中間歯車62を介して、がんぎ車90の回転を送りねじ60に伝達した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、カム部材、ベルトローラ等を利用して、がんぎ車90の回転を送りねじ60に伝達しても構わない。
【0122】
さらに上記実施形態では、2つの渦巻きばね31(第1渦巻きばね35及び第2渦巻きばね36)を利用した場合を例に挙げて説明したが、2つに限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、4つ以上の偶数個利用しても構わない。
渦巻きばね31を4つ以上の偶数個利用する場合には、例えば送り軸線O1を対称軸として線対称となるように、複数の渦巻きばね31をシリンジ2の左右両側に均等配置すれば良い。これにより、スライダ30にモーメント荷重が発生することを抑制することができる。
【0123】
さらに上記各実施形態では、揺動体の一例としてアンクル70を採用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、図9に示すように、揺動レバー171、第1押下げ部172及び第2押下げ部173を備える揺動体170を採用しても構わない。
揺動レバー171は、図示しないアクチュエータの作動によって、回転軸線O2回りに往復回転可能とされている。なお、アクチュエータとしては、各実施形態におけるアクチュエータを使用することができる。
【0124】
揺動レバー171には、回転軸線O2を間に挟むように連結ピン174が設けられている。第1押下げ部172及び第2押下げ部173のそれぞれは、連結ピン174回りに回転可能に連結されている。これにより、第1押下げ部172及び第2押下げ部173は、揺動レバー171の往復回転に伴って、連結ピン174回りに回転しつつ、上昇及び下降することが可能とされている。
【0125】
第1押下げ部172の下端部及び第2押下げ部173の下端部は、がんぎ車90のがんぎ歯91に対して上方から噛み合い可能に接触している。そして、第1押下げ部172の下端部及び第2押下げ部173は、揺動レバー171の往復回転に伴って、がんぎ車90のがんぎ歯91を一歯ずつ押下げて歯送りすると共に、がんぎ歯91を周方向に乗越えて、次のがんぎ歯91を歯送りする位置に移動することが可能とされている。
【0126】
具体的には、第1押下げ部172を押下げるように揺動レバー171を回転させた場合には、第1押下げ部172を利用してがんぎ歯91を歯送りすることができ、がんぎ車90を一歯分回転させることができる。この際、第2押下げ部173は、揺動レバー171に伴って上昇するので、がんぎ歯91を周方向に乗越えるように移動する。
次いで、第2押下げ部173を押下げるように揺動レバー171を回転させることで、第2押下げ部173を利用して、がんぎ歯91を歯送りすることができ、がんぎ車90を一歯分回転させることができる。この際、第1押下げ部172は、揺動レバー171に伴って上昇するので、がんぎ歯91を周方向に乗越えるように移動する。
このように、揺動レバー171の往復回転に伴って、第1押下げ部172及び第2押下げ部173を利用して、がんぎ車90を一歯分ずつ回転させることができる。従って、この場合であっても、各実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
なお、図9に示す態様や、各実施形態では、がんぎ歯91を有するがんぎ90を利用した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、揺動体の往復回転に伴って一歯分ずつ回転する駆動歯車であれば、種々の構成を採用することができる。
【0127】
なお、本発明は以下の態様を含む。
<1>
対象物を送り方向に向けて移動させる可動体と、
弾性復元力を利用して前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与するばね部材と、
前記可動体を前記送り方向に向けて所定の速度で移動するように、前記可動体の移動を制御する制御機構と、を備え、
前記制御機構は、
前記送り方向に平行に配置された送り軸線回りに回転可能な状態で前記可動体に組み合わされていると共に、前記送り軸線回りの回転によって前記可動体を前記送り方向に向けて移動させる送りねじと、
前記送り軸線に対して非同軸に配置された回転軸線回りに所定の回転角度範囲内で往復回転可能に配置された揺動体と、
前記揺動体を前記回転軸線回りに往復回転させるアクチュエータと、
前記揺動体の往復回転に伴って一歯分ずつ回転する駆動歯車を有し、前記アクチュエータからの動力を前記送りねじに伝達する伝達機構と、を備えていることを特徴とする送り装置。
<2>
<1>に記載の送り装置において、
前記ばね部材は、
帯状の弾性体が渦巻き状に巻回された巻回部と、
前記弾性体のうち前記巻回部から引き伸ばされた部分である引出部と、を備え、
前記引出部は、前記可動体に連結され、
前記ばね部材は、前記引出部が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、前記可動体に推力を付与する、送り装置。
<3>
<1>又は<2>に記載の送り装置において、
前記揺動体は、第1爪部及び第2爪部を有し、前記回転軸線回りの往復回転によって前記第1爪部及び前記第2爪部を前記駆動歯車に交互に係合させて、前記駆動歯車を一歯分ずつ回転させる、送り装置。
<4>
<3>に記載の送り装置において、
前記揺動体は、前記第1爪部及び前記第2爪部を有するアンクルとされ、
前記駆動歯車は、前記第1爪部及び前記第2爪部によって一歯分ずつ歯送りされるがんぎ歯を有するがんぎ車とされている、送り装置。
<5>
<1>から<4>のいずれか1つに記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって直線的に往復移動する可動軸を有するソレノイドと、
前記ソレノイドへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記可動軸の往復移動に伴って前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
<6>
<1>から<4>のいずれか1つに記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
前記揺動体を挟んで向かい合うように配置された第1電磁石及び第2電磁石と、
前記第1電磁石及び前記第2電磁石が交互に磁力を発生するように、前記第1電磁石及び前記第2電磁石への通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記第1電磁石による磁力、及び前記第2電磁石による磁力によって吸着されることで、前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
<7>
<1>から<4>のいずれか1つに記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
前記揺動体に連結された第1形状記憶合金ワイヤと、
前記揺動体を挟んで前記第1形状記憶合金ワイヤに向かい合うように配置され、前記揺動体に連結された第2形状記憶合金ワイヤと、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤに対して交互に通電を行うように、前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記第1形状記憶合金ワイヤ及び前記第2形状記憶合金ワイヤは、通電加熱に伴って長さが収縮すると共に放熱に伴って長さが伸長し、
前記揺動体は、前記第1形状記憶合金ワイヤの伸縮、及び前記第2形状記憶合金ワイヤの伸縮によって、前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
<8>
<1>から<4>のいずれか1つに記載の送り装置において、
前記アクチュエータは、
通電及び非通電によって180°未満の角度範囲内で揺動回転する可動軸を有するガルバノモータと、
前記ガルバノモータへの通電を制御する制御部と、を備え、
前記揺動体は、前記可動軸の揺動回転に伴って前記回転軸線回りを往復回転する、送り装置。
<9>
<1>から<8>のいずれか1つに記載の送り装置と、
内部に流体が充填される収容筒と、前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を有する流体収容器と、を備え、
前記可動体は、前記プランジャを前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されていることを特徴とする流体供給装置。
【符号の説明】
【0128】
FW…前方(送り方向)
O1…送り軸線
O2…回転軸線
O3…揺動軸線
W…薬液(流体)
1…薬液投与装置(流体供給装置)
2…シリンジ(流体収容器)
3…送り装置
20…シリンジ本体(収容筒)
21…プランジャ(対象物)
30…スライダ(可動体)
31…渦巻きばね(ばね部材)
32…制御機構
35…第1渦巻きばね(ばね部材)
36…第2渦巻きばね(ばね部材)
50…弾性体
51…巻回部
52…引出部
60…送りねじ
70…アンクル(揺動体)
74…第1爪部
75…第2爪部
80、130、140、150…アクチュエータ
90…がんぎ車(駆動歯車)
91…がんぎ歯(駆動歯)
100…伝達機構
110…ソレノイド
111…ソレノイドの可動軸
120、133、143、163…制御部
131…第1電磁石
132…第2電磁石
141…第1形状記憶合金ワイヤ
142…第2形状記憶合金ワイヤ
160…ガルバノモータ
161…ガルバノモータの可動軸
170…揺動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9