IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社CREATIVE21の特許一覧

<>
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図1
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図2
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図3
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図4
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図5
  • 特開-空圧ディスペンサ及びカートリッジ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102731
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】空圧ディスペンサ及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240724BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006819
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】522052118
【氏名又は名称】株式会社CREATIVE21
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(74)【代理人】
【識別番号】100214488
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩久
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA04
4F041BA12
4F041BA32
4F042AB00
4F042BA07
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB10
(57)【要約】
【課題】空圧ディスペンサの重量の増加を抑制することができる技術を提案する。
【解決手段】空圧ディスペンサは、カートリッジと、カートリッジを保持する保持部と、を備える。カートリッジは、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び上記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、上記シリンダ内で軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、上記シリンダに設けられる結合部と、を備える。保持部は、上記結合部と結合して上記結合部を当該保持部に固定する固定部と、プランジャを押圧するためのエアを上記カートリッジに導入するための導入口と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧ディスペンサであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、前記シリンダに設けられる結合部と、を備えるカートリッジと、
前記カートリッジを保持する保持部であって、前記結合部と結合して前記結合部を当該保持部に固定する固定部と、前記プランジャを押圧するためのエアを前記カートリッジに導入するための導入口と、を備える保持部と、
を備える空圧ディスペンサ。
【請求項2】
請求項1に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部は、前記シリンダに形成されたネジ山を有し、
前記固定部は、前記結合部のネジ山と嵌め合わせることができるネジ山を有する、空圧ディスペンサ。
【請求項3】
請求項2に記載の空圧ディスペンサであって、
前記導入口は、前記結合部のネジ山と前記固定部のネジ山とを嵌め合わせたときに、前記プランジャを押圧するように前記エアを前記カートリッジに導入可能な位置に形成されている、空圧ディスペンサ。
【請求項4】
請求項1に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部は、前記シリンダから突出する突出片を有し、
前記固定部は、前記突出片と係合する溝である溝部を有する、空圧ディスペンサ。
【請求項5】
請求項1に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部と前記固定部とが接触した状態で、前記結合部と前記固定部との隔離を抑制するクリップを備える、空圧ディスペンサ。
【請求項6】
カートリッジと、当該カートリッジを保持する保持部と、を有する空圧ディスペンサにおいて用いられるカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、
前記シリンダに設けられ、前記保持部に設けられる固定部に対して固定可能に構成された結合部と、を備え、
前記固定部に対して前記結合部が固定されることで、前記カートリッジが前記保持部に保持された状態となる、カートリッジ。
【請求項7】
空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、を備え、
前記シリンダは、外側表面に設けられたネジ山を有する、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空圧ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
シール材等、粘性の高い粘性材料を塗布、あるいは充填するに際し、空圧ディスペンサが用いられることがある。例えば特許文献1には、このような空圧ディスペンサとして、筒状のシリンダと、シリンダ内で進退可能に設けられるプランジャと、を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7154550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空圧ディスペンサは、カートリッジを保持するために、カートリッジを覆う筒状のカートリッジ収容部を用いている。カートリッジ収容部はカートリッジと同程度の長さを有する部材であるため、カートリッジ収容部を用いることによって空圧ディスペンサ全体の重量が大きくなりやすいという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、空圧ディスペンサの重量の増加を抑制することができる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、空圧ディスペンサであって、カートリッジと、カートリッジを保持する保持部と、を備える。カートリッジは、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び上記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、上記シリンダ内で軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、上記シリンダに設けられる結合部と、を備える。保持部は、上記結合部と結合して上記結合部を当該保持部に固定する固定部と、プランジャを押圧するためのエアを上記カートリッジに導入するための導入口と、を備える。
【0007】
このような構成であれば、カートリッジに設けられた結合部を用いてカートリッジを保持部に対して固定することができる。そのため、カートリッジを保持部に固定するためにカートリッジを覆うような形状の部品を用いる必要がなくなり、空圧ディスペンサの重量の増加を抑制することができる。
【0008】
上述した空圧ディスペンサにおいて、上記結合部は、上記シリンダに形成されたネジ山を有していてもよい。また、上記固定部は、上記結合部のネジ山と嵌め合わせることができるネジ山を有していてもよい。
【0009】
このような構成であれば、結合部のネジ山と固定部とのネジ山とを嵌め合わせることでカートリッジと保持部とが固定されるため、カートリッジと保持部の固定を強固なものとすることができる。
【0010】
また上述した空圧ディスペンサにおいて、上記導入口は、上記結合部のネジ山と上記固定部のネジ山とを嵌め合わせたときに、上記プランジャを押圧するように上記エアを上記カートリッジに導入可能な位置に形成されていてもよい。
【0011】
このような構成であれば、結合部と固定部とを結合させる操作を行うことで、カートリッジがエアを導入するための適切な位置に配置される。そのため、エアを導入するための保持部のエア供給経路とカートリッジのエア導入部とを接続するための操作を簡便なものとすることができる。
【0012】
また上述した空圧ディスペンサにおいて、上記結合部は、上記シリンダから突出する突出片を有し、上記固定部は、上記突出片と係合する溝である溝部を有していてもよい。このような構成であれば、シリンダの突出片と固定部とを係合させることでカートリッジを保持部に固定させることができる。
【0013】
また上述した空圧ディスペンサにおいて、上記結合部と上記固定部とが接触した状態で、上記結合部と上記固定部との隔離を抑制するクリップを備えていてもよい。このような構成であれば、クリップを用いて結合部と固定部とを強固に固定することができる。
【0014】
本開示の別の一態様は、カートリッジと、当該カートリッジを保持する保持部と、を有する空圧ディスペンサにおいて用いられるカートリッジである。このカートリッジは、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び上記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、上記シリンダ内で上記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、上記シリンダに設けられ、上記保持部に設けられる固定部に対して固定可能に構成された結合部と、を備える。そして、上記固定部に対して上記結合部が固定されることで、上記カートリッジが上記保持部に保持された状態となる。
【0015】
このような構成であれば、カートリッジに設けられた結合部を用いてカートリッジを保持部に対して固定することができる。そのため、カートリッジを保持部に固定するためにカートリッジを覆うような形状の部品を用いる必要がなくなり、空圧ディスペンサの重量の増加を抑制することができる。
【0016】
また本開示の別の一態様は、空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジである。このカートリッジは、軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び上記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、上記シリンダ内で上記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、を備え、上記シリンダは、外側表面に設けられたネジ山を有する。
【0017】
このような構成であれば、カートリッジの外側表面に設けられたネジ山を用いて、ねじの嵌め合いによってカートリッジを保持部に対して固定することができる。そのため、カートリッジを保持部に固定するためにカートリッジを覆うような形状の部品を用いる必要がなくなり、空圧ディスペンサの重量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aが実施形態の空圧ディスペンサの保持部とカートリッジを組みつけた状態を示す模式的な側面図であり、図1Bがカートリッジの模式的な断面図であり、図1Cが保持部の模式的な断面図である。
図2図2Aが実施形態のカートリッジを示す右側面図であり、図2Bが正面図である。
図3図3Aが実施形態の保持部を示す正面図であり、図3Bが右側面図であり、図3Cが底面図である。
図4図4Aが変形例のカートリッジを示す右側面図であり、図4Bが正面図であり、図4Cが斜視図であり、図4Dが突出片周辺の拡大斜視図である。
図5図5Aが変形例の保持部を示す斜視図であり、図5Bが正面図であり、図5Cが右側面図である。
図6】変形例の空圧ディスペンサを示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.空圧ディスペンサの構成]
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。図1A-1Cに示すように、空圧ディスペンサ1は、保持部2と、保持部2に着脱可能に保持されるカートリッジ3と、を有している。
【0020】
保持部2には、空圧供給部11が接続可能である。空圧供給部11は、後述する固定部22に固定された状態のカートリッジ3のシリンダ4内にエアを供給する。ここでいうエアとは、装置を駆動させるための圧縮空気である。空圧供給部11は、圧縮空気を供給する圧縮機等の供給源12と、供給源12に接続された供給配管13と、を備えている。供給配管13は、保持部2に接続され、保持部2を介してカートリッジ3に空気を供給する。空圧供給部11として、例えば工場エアを用いるようにしてもよい。
【0021】
またカートリッジ3は、保持部2に保持された状態でエアにより駆動し、吐出ノズル14から内容物を吐出する。カートリッジ3は、吐出ノズル14を接続可能に構成されている。
【0022】
[1-2.カートリッジの構成]
図1A、1B、図2A、2Bに示されるように、カートリッジ3は、シリンダ4と、プランジャ5と、結合部6と、を備えている。
シリンダ4は、筒状部41と、端壁部42と、を一体に有している。筒状部41は、軸方向Daに延びる筒状に形成されている。本実施形態において筒状部41は、軸方向Daにおいて、一定の内径寸法を有した円筒状に形成されている。
【0023】
端壁部42は、筒状部41の軸方向Daの第一側Da1の端部に形成されている。端壁部42は、第一側Da1に向かって徐々に内径寸法が小さくなる。端壁部42の第一側Da1の端部には、第一側Da1に突出し、筒状部41よりも小さい筒状のノズル取付部43が形成されている。
【0024】
ノズル取付部43には、軸方向Daに延びる吐出口44が形成されている。吐出口44は、シリンダ4の筒状部41の内部と、シリンダ4の外部とを連通している。吐出ノズル14は、ノズル取付部43の先端に装着可能に構成されている。
カートリッジ3の第一側Da1とは反対の第二側Da2の端部は、端部開口45が形成されている。
【0025】
このようなカートリッジ3は、例えば、PE(ポリエチレン)やPOM等の合成樹脂材料によって形成されていてもよい。またカートリッジ3は、上述した各部が一体に形成されていてもよい。
【0026】
シリンダ4の筒状部41の内部には、粘性材料Sが収容可能とされている。粘性材料Sは、例えば、吐出口44を通して筒状部41内に充填される。シリンダ4に充填する粘性材料Sとしては、例えば、シーラント材、絶縁材、接着剤等が挙げられる。
【0027】
プランジャ5は、シリンダ4内で、軸方向Daに進退可能に設けられている。プランジャ5は、軸方向に延びる円筒状をなしている。このようなプランジャ5は、例えば、PE(ポリエチレン)やPOM等の合成樹脂材料によって形成されていてもよい。プランジャ5は、内部に空間が形成された中空であってもよいが、本実施形態では、プランジャ5は、内部に空間を有さない中実に形成されている。プランジャ5の外面は、凹凸のない滑らかな湾曲面によって形成されている。
【0028】
結合部6は、シリンダ4の外側表面に設けられたネジ山6aを有している。ネジ山6aは、筒状部41を軸とするおねじとなるように形成されている。ネジ山6aは、筒状部41における第二側Da2の端部近傍に形成されている。ただし、第二側Da2の端部からは一定の距離を空けて配置されている。言い換えると、シリンダ4の第二側Da2の端部には、ネジ山6aまでの間に、ネジ山の形成されない案内部6bが形成される。
【0029】
[1-3.保持部の構成]
図1A、1C、図3A-3Cに示されるように、保持部2は、基部21と、固定部22と、トリガー23と、を主に備えている。基部21は、供給経路24、弁機構25を内部に備え、トリガー23を操作可能に保持している。なお図3A-3Cでは、トリガー23等の一部の部品の記載を省略している。
【0030】
固定部22は、結合部6と結合して結合部6を当該保持部2に固定する。固定部22は、基部21と一体に設けられている。固定部22は、軸方向Daに延びる円筒状に形成された部分であり、その内周面には、結合部6のネジ山6aと嵌め合うネジ山26が形成されている。固定部22は、カートリッジ3の外径よりも僅かに大きい内径を有している。
【0031】
カートリッジ3の端部開口45は、固定部22に結合部6が嵌め込まれた状態で、基部21の閉塞面27によって覆われる。閉塞面27には、供給経路24と繋がる導入口28が形成されている。導入口28は、プランジャ5を押圧するためのエアをカートリッジ3に導入する。別の言い方をすると、導入口28は、結合部6のネジ山6aと固定部22のネジ山26とを嵌め合わせたときに、プランジャ5を押圧するようにエアをカートリッジ3に導入可能となる位置に形成されている。
【0032】
基部21には、供給配管13から導入されたエアが通過する供給経路24が形成されている。また供給経路24には、弁機構25が備えられる。トリガー23は、供給経路24に設けられた弁機構25を開閉操作するために用いられる。弁機構25を開閉することで、エアのカートリッジ3への供給の実行と停止が切り替えられる。
【0033】
[1-4.空圧ディスペンサ1の操作]
空圧ディスペンサ1においては、予め、カートリッジ3のシリンダ4内において、プランジャ5に対して軸方向Daの第一側Da1に粘性材料Sを充填しておく。空圧ディスペンサ1の使用者は、このカートリッジ3を、保持部2の固定部22に装填する。具体的には、固定部22に対して結合部6を軸方向周りに回転させることで、結合部6のネジ山6aと固定部22のネジ山26とが嵌め合わされる。これにより、固定部22に対して結合部6が固定されることで、カートリッジ3が保持部2に保持された状態となり、カートリッジ3の装填が実現される。なお上述した回転操作を行う前に案内部6bが固定部22に挿入されるため、ネジ山6aとネジ山26が適切な位置となり、スムーズに回転操作が行われる。
【0034】
トリガー23は、作業者の操作により、供給経路24を通じたエアの供給を断続する。またトリガー23は、作業者の操作によりその開度が調整されることによって、供給配管13を通じたエアの供給量を調整する。
【0035】
作業者は、ノズル取付部43に、必要に応じて、粘性材料Sを所定の対象部位に塗布又は充填するのに適した吐出ノズル14を取り付ける。作業者は、吐出ノズル14を対象部位に近接又は押し当てた状態で、トリガー23を操作する。すると、供給源12から供給されるエアが、供給配管13及び供給経路24を通してカートリッジ3のシリンダ4内に送り込まれ、その空圧により、プランジャ5がシリンダ4内で軸方向Daの第一側Da1に押し込まれる。これにより、シリンダ4内の粘性材料Sが、吐出口44を通して押し出され、所定の対象部位に塗布又は充填される。
【0036】
[1-5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の空圧ディスペンサ1では、カートリッジ3に設けられた結合部6と、保持部2に設けられた固定部22と、を結合させることで、カートリッジ3を保持部2に対して固定することができる。そのため、カートリッジ3を保持部2に固定するためにカートリッジ3を覆う部品を用いる必要がなくなり、空圧ディスペンサ1の重量の増加を抑制することができる。
【0037】
(1b)本実施形態の空圧ディスペンサ1では、結合部6は、シリンダ4に形成されたネジ山6aを有し、また固定部22は、結合部6のネジ山6aと嵌め合わせることができるネジ山26を有している。そのため、結合部6のネジ山6aと固定部22とのネジ山26とを嵌め合わせることでカートリッジ3と保持部2とが固定され、それにより、カートリッジ3と保持部2の固定を強固なものとすることができる。
【0038】
(1c)本実施形態の空圧ディスペンサ1では、結合部6のネジ山と固定部22とのネジ山26とを嵌め合わせる操作、すなわち、結合部6と固定部22とを結合させる操作を行うことで、カートリッジ3がエアを導入するための適切な位置に配置される。そのため、エアを導入するための保持部2のエア供給経路とカートリッジ3のエア導入部とを接続するための別の操作を実行する必要がなく、操作を簡便なものとすることができる。
【0039】
[2.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0040】
(2a)上記実施形態では、カートリッジの結合部、及び、保持部の固定部として、ネジ山を用いる構成を例示した。しかしながら、結合部及び固定部の具体的な構成は特に限定されない。
例えば、図4A-4D及び図5A-5Cに示されるように構成されていてもよい。
図4A-4Dに示されるカートリッジ61が備える結合部62は、シリンダの外側表面から突出する2つの突出片63を有する。2つの突出片63は、第二側Da2の端部において、シリンダ4の中心軸Aを中心として互いに反対方向に延び出している。それぞれの突出片63は、図4Dに示されるように、中心軸Aを中心とした周方向に徐々に軸方向に関する厚さが変化する。また、それぞれの突出片63の外周部分には、軸方向Daに沿った複数の係止溝64が形成されている。
【0041】
また、図5A-5Cに示される保持部71が備える固定部72は、2つの突出片63と係合する溝である2つの溝部73を有している。固定部72は、基部21と一体に設けられている。固定部72は、中心軸Bを軸に延びる部分的な円筒状に形成されており、2つの溝部73はその内周面に形成されている。2つの溝部73は、周方向に間隔を空けて配置されている。それぞれの溝部73は、突出片63に対応するように、中心軸Bの周方向に沿って徐々に中心軸Bの軸方向に関する溝の幅が変化する。また、それぞれの溝部73の底部分には、中心軸Bの軸方向に沿った複数の係止突起74が形成されている。なお図5A-5Cでは、トリガー23等の一部の構成を省略している。
【0042】
このような構成であれば、2つの溝部73に2つの突出片63を周方向に隣接させてからカートリッジ61と保持部71とを周方向に相対的に回転させることで、カートリッジ61と保持部71との固定を実現できる。また、上述した回転の方向に関して、突出片63は回転方向の反対側ほど中心軸Bの軸方向に厚く、溝部73は回転方向ほど中心軸Bの軸方向に狭くなっているため、回転させるほど突出片63と溝部73とが密着し、強固に固定される。また、係止溝64と係止突起74とが係合することでカートリッジ61が回転して保持部71から脱落してしまうことを抑制できる。
【0043】
また例えば、図6に示されるように、カートリッジ81はフランジ状の結合部82を備え、保持部91はフランジ状の固定部92を備えており、さらに、結合部82と固定部92とが当接した状態でそれらを固定するクリップ101を備える構成であってもよい。このような構成であれば、クリップ101を用いて結合部と固定部とを強固に固定することができる。なおクリップとしては、結合部と固定部とを固定することができる様々な構成を用いることができる。また結合部及び固定部は、クリップにて固定することができる様々な構成を用いることができる。
【0044】
また、カートリッジ3に備えられる結合部6やカートリッジ61に備えられる結合部62は、シリンダ4の内側に設けられていてもよい。結合部がシリンダ4の内側に設けられる場合には、保持部の固定部は、シリンダ4の端部開口45から挿入されて結合部と係合するように構成されていてもよい。
【0045】
(2b)カートリッジの具体的な構成は特に限定されない。例えば、吐出口44、プランジャ5、シリンダ4などの形状は特に限定されず、様々な形状を取りうる。また保持部の具体的な構成も特に限定されない。例えば、作業者が操作時に握るグリップが設けられていてもよい。また、トリガー23は、例えば供給配管13など、保持部から離れた位置に設けられていてもよい。また、カートリッジは吐出ノズルを取り付けずに用いるように構成されていてもよい。
【0046】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0047】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
空圧ディスペンサであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、前記シリンダに設けられる結合部と、を備えるカートリッジと、
前記カートリッジを保持する保持部であって、前記結合部と結合して前記結合部を当該保持部に固定する固定部と、前記プランジャを押圧するためのエアを前記カートリッジに導入するための導入口と、を備える保持部と、
を備える空圧ディスペンサ。
[項目2]
項目1に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部は、前記シリンダに形成されたネジ山を有し、
前記固定部は、前記結合部のネジ山と嵌め合わせることができるネジ山を有する、空圧ディスペンサ。
[項目3]
項目2に記載の空圧ディスペンサであって、
前記導入口は、前記結合部のネジ山と前記固定部のネジ山とを嵌め合わせたときに、前記プランジャを押圧するように前記エアを前記カートリッジに導入可能な位置に形成されている、空圧ディスペンサ。
[項目4]
項目1から項目3のいずれか1項に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部は、前記シリンダから突出する突出片を有し、
前記固定部は、前記突出片と係合する溝である溝部を有する、空圧ディスペンサ。
[項目5]
項目1から項目4のいずれか1項に記載の空圧ディスペンサであって、
前記結合部と前記固定部とが接触した状態で、前記結合部と前記固定部との隔離を抑制するクリップを備える、空圧ディスペンサ。
[項目6]
カートリッジと、当該カートリッジを保持する保持部と、を有する空圧ディスペンサにおいて用いられるカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、
前記シリンダに設けられ、前記保持部に設けられる固定部に対して固定可能に構成された結合部と、を備え、
前記固定部に対して前記結合部が固定されることで、前記カートリッジが前記保持部に保持された状態となる、カートリッジ。
[項目7]
空圧ディスペンサに装填可能なカートリッジであって、
軸方向に延びる筒状で、その内部に粘性材料が収容可能な筒状部、及び前記筒状部内の粘性材料を吐出する吐出口を有したシリンダと、
前記シリンダ内で前記軸方向に進退可能に設けられたプランジャと、を備え、
前記シリンダは、外側表面に設けられたネジ山を有する、カートリッジ。
【符号の説明】
【0048】
1…空圧ディスペンサ、2…保持部、3…カートリッジ4…シリンダ、5…プランジャ、6…結合部、6a…ネジ山、6b…案内部、11…空圧供給部、12…供給源、13…供給配管、14…吐出ノズル、21…基部、22…固定部、23…トリガー、24…供給経路、25…弁機構、26…ネジ山、27…閉塞面、28…導入口、41…筒状部、42…端壁部、43…ノズル取付部、44…吐出口、45…端部開口、61…カートリッジ、62…結合部、63…突出片、64…係止溝、71…保持部、72…固定部、73…溝部、74…係止突起、81…カートリッジ、82…結合部、91…保持部、92…固定部、101…クリップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6