(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102735
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】頭部装着型表示装置及び光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240724BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240724BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240724BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240724BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02B5/02 B
G02B3/08
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006825
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】武田 高司
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA04
2H042AA15
2H042AA20
2H042AA26
2H042BA03
2H042BA13
2H042BA20
2H088EA10
2H088EA42
2H088HA02
2H088HA14
2H088HA18
2H088HA21
2H088MA06
2H149AA17
2H149AB23
2H149BA04
2H149BA23
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA43
2H199CA45
2H199CA63
2H199CA70
2H199CA74
2H199CA85
2H199CA86
2H199CA87
(57)【要約】
【課題】光学系全体が大型化してしまうことを回避しつつ画角を広くする。
【解決手段】頭部装着型表示装置200は、右眼用の第1散乱領域40aと、左眼用の第2散乱領域40bとを有する散乱部材22と、第1散乱領域40aに映像光MLを照射する第1投射光学系10aと、第2散乱領域40bに映像光MLを照射する第2投射光学系10bと、散乱部材22の顔側に配置され、第1散乱領域40a及び第2散乱領域40bに対応して設けられ散乱部材22で散乱された映像光MLを第1偏光方向に制限する第1偏光領域23bを有する第1偏光部材61と、第1偏光部材61の位置から外界側に配置され、外界光OLを第2偏光方向に制限する第2偏光領域25cを有する第2偏光部材62と、第1偏光部材61の顔側に配置され、映像光MLの偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子150a,150bと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用の映像光を散乱させる第1散乱領域と、左眼用の映像光を散乱させる第2散乱領域とを有する散乱部材と、
前記第1散乱領域に前記映像光を照射する第1投射光学系と、
前記第2散乱領域に前記映像光を照射する第2投射光学系と、
前記散乱部材の外界側に配置され、前記第1散乱領域及び前記第2散乱領域への外界光の入射を抑制する遮光部材と、
前記散乱部材の顔側に配置され、前記第1散乱領域及び前記第2散乱領域に対応して設けられ前記散乱部材で散乱された前記映像光を第1偏光方向に制限する第1偏光領域を有する第1偏光部材と、
前記第1偏光部材の位置から外界側に配置され、前記外界光を前記第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域を有する第2偏光部材と、
前記第1偏光部材の顔側に配置され、前記映像光の偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子と、
を備える、頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記散乱部材は、前記第1散乱領域と、前記第2散乱領域と、外界を視認可能にする光透過領域とを有する、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項3】
前記散乱部材は、互いに部分的に重複する右眼用の第1観察領域と左眼用の第2観察領域とを有し、
重複する共通観察領域で、前記第1散乱領域と前記第2散乱領域とは、相互に割り込むように配置されている、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記共通観察領域で、前記第1散乱領域と前記第2散乱領域とがそれぞれ正方格子状又は長方格子状に配置され、全体として面心格子状に配列されている、請求項3に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項5】
前記第1散乱領域と前記第2散乱領域とは、視線方向に合わせた角度特性を有する、請求項3に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項6】
前記第1偏光領域は、前記散乱領域に対応して離散的に設けられる、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項7】
前記遮光部材は、前記外界光の入射を抑制する遮光層を有し、
前記遮光層は、前記第1散乱領域及び前記第2散乱領域に対応する大きさを有する、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項8】
前記偏光分離レンズ素子は、複数の画素を包括的に結像させる偏光分離液晶レンズである、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項9】
前記第1投射光学系は、画像を表示する第1画像表示パネルを有し、前記第1画像表示パネルの発光領域からの射出光を前記映像光として前記第1散乱領域に投影し、
前記第2投射光学系は、画像を表示する第2画像表示パネルを有し、前記第2画像表示パネルの発光領域からの射出光を前記映像光として前記第2散乱領域に投影する、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項10】
前記第1投射光学系は、走査のために駆動される微小ミラーにより、レーザー光源からの変調光を前記映像光として前記第1散乱領域に投影し、
前記第2投射光学系は、走査のために駆動される微小ミラーにより、レーザー光源からの変調光を前記映像光として前記第2散乱領域に投影する、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項11】
前記遮光部材と、前記散乱部材と、前記第1偏光部材とが一体化されている、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項12】
散乱部材は、赤色用の散乱領域と、緑色用の散乱領域と、青色用の散乱領域とを有し、前記散乱領域が配置されない領域に前記外界光を透過させる光透過領域を有する、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項13】
右眼用の映像光を散乱させる第1散乱領域と、左眼用の映像光を散乱させる第2散乱領域とを有する散乱部材と、
前記第1散乱領域に前記映像光を照射する第1投射光学系と、
前記第2散乱領域に前記映像光を照射する第2投射光学系と、
前記散乱部材の外界側に配置され、前記第1散乱領域及び前記第2散乱領域への外界光の入射を抑制する遮光部材と、
前記散乱部材の顔側に配置され、前記第1散乱領域及び前記第2散乱領域に対応して設けられ前記散乱部材で散乱された前記映像光を第1偏光方向に制限する第1偏光領域を有する第1偏光部材と、
前記第1偏光部材の位置から外界側に配置され、前記外界光を前記第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域を有する第2偏光部材と、
前記第1偏光部材の顔側に配置され、前記映像光の偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子と、
を備える、光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像の観察を可能にする頭部装着型表示装置及び光学ユニットに関し、特に外界像を視認可能にするシースルー型の頭部装着型表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
外界を視認可能にするシースルー型の虚像表示装置として、画像表示領域と、該画像表示領域を囲むように形成された透明表示領域とを有する液晶パネルと、光源から端部に入射されたバックライト光を導光する導光板とを備え、導光板が液晶パネルの画像表示領域にバックライト光を照射する発光領域と環境光を透過させる光透過領域とを備えるものが公知となっている(特許文献1)。この表示装置は、導光板の光透過領域及び液晶パネルの透明表示領域から環境光が観察者に到達するとともに、画像表示領域にバックライト光を照射しない期間に環境光が導光板の発光領域と液晶パネルの画像表示領域とを透過して観察者に到達するように構成されている。このような構成により、映像光と環境光とが重ね合わされたシースルー表示が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置では、導光板の発光領域にドットの形成、散乱材の塗布等の加工がなされており、液晶パネルの画像表示領域を通過する環境光が、加工がなされた発光領域を通過することになるので、画像表示領域に対応する視野の中央付近でのシースルー透過率が低下する。視野の中央付近において高いシースルー透過率のシースルー表示を実現するためには、別途、シースルー透過率の高い光学系等が必要となり、大型化に繋がる。また、上記装置では、小型化のため液晶パネルを両眼に近づけつつ両眼に共通する映像を表示することは容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における頭部装着型表示装置は、右眼用の映像光を散乱させる第1散乱領域と、左眼用の映像光を散乱させる第2散乱領域とを有する散乱部材と、第1散乱領域に映像光を照射する第1投射光学系と、第2散乱領域に映像光を照射する第2投射光学系と、散乱部材の外界側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域への外界光の入射を抑制する遮光部材と、散乱部材の顔側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域に対応して設けられ散乱部材で散乱された映像光を第1偏光方向に制限する第1偏光領域を有する第1偏光部材と、第1偏光部材の位置から外界側に配置され、外界光を第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域を有する第2偏光部材と、第1偏光部材の顔側に配置され、映像光の偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の頭部装着型表示装置の装着状態を説明する外観斜視図である。
【
図2】頭部装着型表示装置の光学的構造を説明する概念的な平面視図である。
【
図3】表示光学系の光学的構造を説明する概念的な斜視図である。
【
図4】表示光学系の光学的構造を説明する概念的な側面図である。
【
図5】複合表示部材の繰返単位又はサブ画素を説明する概念的な拡大斜視図である。
【
図6C】パターン偏光部材を説明する平面図である。
【
図7】画素区画でのサブ画素スポットの照射状態の例を説明する図である。
【
図8】第1散乱領域及び第2散乱領域を説明する拡大概念図である。
【
図9A】遮光部材、散乱部材、及びパターン偏光部材を重ねて示した図である。
【
図9B】共通観察領域において散乱部材等を重ねて示した図である。
【
図11】投射光学系で形成される画素又はサブ画素を説明する図である。
【
図12】偏光分離レンズ素子の構造及び機能を説明する概念的な斜視図である。
【
図13A】頭部装着型表示装置の片眼の動作を説明する概念図である。
【
図13B】頭部装着型表示装置の片眼の動作を説明する概念図である。
【
図14】頭部装着型表示装置のうち両眼に共通する部分での動作を説明する図である。
【
図15】第2実施形態の頭部装着型表示装置を説明する概念図である。
【
図16A】第3実施形態の頭部装着型表示装置を説明する概念図である。
【
図16B】第3実施形態のパターン偏光部材を説明する平面図である。
【
図17A】第4実施形態の頭部装着型表示装置を説明する概念図である。
【
図17B】第4実施形態の頭部装着型表示装置の変形例を説明する概念図である。
【
図18】第5実施形態の頭部装着型表示装置を説明する概念図である。
【
図19】第5実施形態の複合表示部材の具体的構造の一例を示す。
【
図20】頭部装着型表示装置のうち両眼に共通する部分での動作を説明する図である。
【
図21】第6実施形態の複合表示部材を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔第1実施形態〕
以下、
図1~14を参照して、本発明の第1実施形態に係る頭部装着型表示装置等について説明する。
【0008】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ、すなわち頭部装着型表示装置200の装着状態を説明する斜視図である。頭部装着型表示装置(以下、HMDとも称する。)200は、双眼型表示装置201であり、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。
図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、HMD200を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に対応し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
【0009】
HMD200は、外観的な部分として、駆動装置102と、シェード状部材104と、一対のテンプル100Cと、情報端末であるユーザー端末90とを備える。HMD200は、光学的な部分として、右眼用の第1虚像表示装置100Aと、左眼用の第2虚像表示装置100Bとを備える。第1虚像表示装置100Aは、駆動装置102のうち右眼の前方上方に配置される第1表示駆動部102aと、全体として眼前を覆う第1表示光学系103aとで構成される。第2虚像表示装置100Bは、駆動装置102のうち左眼の前方上方に配置される第2表示駆動部102bと、全体として眼前を覆う第2表示光学系103bとで構成される。ここで、第1表示光学系103aは、シェード状部材104のうち右側の第1部分104a、中央の第3部分104c、第1部分104aの背後に配置された第1偏光分離レンズ素子150a等を構成要素とする。第2表示光学系103bは、シェード状部材104のうち左側の第2部分104b、中央の第3部分104c、第2部分104bの背後に配置された第2偏光分離レンズ素子150b等を構成要素とする。つまり、中央の第3部分104cは、第1虚像表示装置100Aと第2虚像表示装置100Bとに共通の部分となっている。第1虚像表示装置100Aと第2虚像表示装置100Bとを組み合わせたHMD200は、広義の虚像表示装置でもある。一対のテンプル100Cは、装着者USの頭部に装着される装着部材又は支持装置106である。テンプル100Cは、外観上一体化されている表示駆動部102a,102bを介してシェード状部材104の上端側と、一対の偏光分離レンズ素子150a,150bの上端側とを支持している。
【0010】
図2は、第1表示光学系103a及び第2表示光学系103bの構造を説明する概念的な平面図である。第1表示光学系103aは、第1投射光学系10aと、複合表示部材120aと、第1偏光分離レンズ素子150aとを備える。第2表示光学系103bは、第2投射光学系10bと、複合表示部材120bと、第2偏光分離レンズ素子150bとを備える。右眼用の複合表示部材120aは、シェード状部材104の第1部分104a及び第3部分104cに相当し、第1投射光学系10aから右眼用の映像光MLが照射される。左眼用の複合表示部材120aは、シェード状部材104の第2部分104b及び第3部分104cに相当し、第2投射光学系10bから左眼用の映像光MLが照射される。
【0011】
図3は、第1表示光学系103aの構造を説明する概念的な斜視図である。第1表示光学系103aにおいて、第1投射光学系10aは、複合表示部材120aの散乱部材22に映像光MLが照射されるように、複合表示部材120aの斜め上方向に配置されている。散乱部材22は、第1投射光学系10aからの投影光又は映像光MLのスクリーンとして機能する受動的な画像表示部材である。複合表示部材120aと第1偏光分離レンズ素子150aとは、光軸AX方向に離間して配置されている。第1表示光学系103aにおいて、眼EYと第1偏光分離レンズ素子150aとの間の距離は、例えば10mm~20mm程度、具体的には、14mmである。眼EYと複合表示部材120aとの間の距離は、例えば50mm~120mm程度、具体的には、80mmである。
【0012】
図2に示す第2表示光学系103bは、第1表示光学系103aを左右反転させたものであり、第2表示光学系103bについては、詳細な説明を省略する。第1表示光学系103a及び第2表示光学系103bを組み合わせたものであって、投射光学系10a,10bを除いたもの、或いは後述する画像表示パネル11a,11cのような表示画像源やその駆動回路を除いたものを、光学ユニットOUと呼ぶ。
【0013】
図3及び
図4に示すように、第1表示光学系103aにおいて、複合表示部材120aは、第1投射光学系10aから射出された映像光MLを装着者USの眼EY、すなわち装着者USの瞳位置に導くものである。複合表示部材120aは、光軸AXに垂直なXY面に対して平行に近い状態から傾いた状態で配置される板状の部材である。複合表示部材120aは、外光偏光部材25と、遮光部材21と、散乱部材22と、パターン偏光部材23とを積層し、不図示の枠体によって一体化した構造を有する。図示の例では、複合表示部材120aの散乱部材22に映像光MLのスポットを形成するため、第1投射光学系10aから入射する映像光MLは、パターン偏光部材23を経て散乱部材22に入射する配置となっている。
【0014】
複合表示部材120aは、XY面に沿ってマトリクス状に配列された複数の繰返単位20aで構成される。繰返単位20aは、画像を形成する単位である画素PEに対応する画素区画22tを含む。外光偏光部材25と、遮光部材21と、散乱部材22と、パターン偏光部材23とは、所定の間隔を設けて近傍に配置された状態で接合され、固定されている。これにより、装置を比較的薄くすることができる。なお、外光偏光部材25と、遮光部材21と、散乱部材22と、パターン偏光部材23とは、密着してもよい。散乱部材22とパターン偏光部材23とは、パターン偏光部材23を経て散乱部材22に入射する第1投射光学系10aからの映像光MLの偏光方向と、散乱部材22の散乱領域22eで散乱してパターン偏光部材23を通過する映像光MLの偏光方向とが同一となるように配置を調整する。なお、パターン偏光部材23を散乱部材22から光軸AX方向に離して、第1投射光学系10aから散乱部材22に映像光MLを直接入射させてもよい。
【0015】
第1偏光分離レンズ素子150aは、映像光MLに対してレンズとして機能する。第1偏光分離レンズ素子150aは、複合表示部材120aのパターン偏光部材23の顔側つまり-Z側に配置されて眼前を覆う。第1偏光分離レンズ素子150aは、複数の画素PEを包括的に結像させる単独レンズである。つまり、第1偏光分離レンズ素子150aは、各画素PEに対応する光をまとめて結像させる。第1偏光分離レンズ素子150aを単独レンズとすることにより、アイボックスを広くすることが容易になる。第1偏光分離レンズ素子150aは、XY面に平行に延びる板状の部材である。第1偏光分離レンズ素子150aは、具体的には液晶レンズ51であり、屈折率の状態が異なる複数の円形の輪帯部分RAを含む。一群の輪帯部分RAは、光軸AXの周りに対称的に同心で配置されている。一群の輪帯部分RAのうち、光軸AXから離れた周辺の輪帯部分RAは、光軸AXが通る中央の輪帯部分RAよりも、光軸AXを中心とする径方向の幅が狭くなっている。つまり、輪帯部分RAの径方向の幅は、周辺にあるものほど狭くなっている。
【0016】
第1偏光分離レンズ素子150aは、水平方向の偏光に作用し、垂直方向又は鉛直方向の偏光には作用しない。水平方向の偏光に作用する第1偏光分離レンズ素子150aは、散乱面DS又はこれに近い位置に焦点があり、或いはそれに近い屈折力を有するため、映像光MLは眼EYに略平行になって射出する。これにより、眼EYの網膜上に画像と外界像が重なり、AR表示することができる。
【0017】
図5は、複合表示部材120aの繰返単位20aを説明する部分拡大斜視図である。
図5では、繰返単位20aのうち1つのサブ画素PEaに対応する領域を示している。ここで、軸AXaは、
図2に示す光軸AXに平行な軸である。
【0018】
外光偏光部材25は、第2偏光部材62であり、最も外界側に配置されており、外界光OLを第2偏光方向、具体的には、垂直方向の偏光である縦偏光に制限し、第2偏光方向に直交する第1偏光方向の偏光、具体的には、水平方向の偏光である横偏光を遮断する。図示された実施形態では、横偏光が左右の±X方向に平行な偏光面を有する偏光であり、縦偏光が上下の±Y方向に平行な偏光面を有する偏光である。
図5及び他の図において、横偏光が「P1」、縦偏光が「P2」で示されている。外光偏光部材25は、例えば光透過性を有する平板25a上に吸収型の偏光膜25bを貼り付けたものである。偏光膜25bは、例えばヨウ素吸着させたポリビニルアルコール(PVA)を特定方向に延伸した樹脂シートであってもよい。図示の例では、偏光膜25bは、左右の±X方向に平行な偏光面を有する第1偏光P1を吸収によって遮断するが、偏光膜25bは、第1偏光P1を反射によって遮断するものであってもよい。反射によって偏光を遮断する偏光膜25bは、例えばワイヤーグリッド型の偏光板であり、ガラス等の平板23a上にアルミニウム等の金属による微細なグリッドが形成されている。偏光膜25bは、外界光OLを第2偏光方向に制限するものであり、第2偏光領域25cとも呼ぶ。
【0019】
遮光部材21は、散乱部材22の散乱領域22eへの外界光OLの入射を抑制する。遮光部材21は、光透過性を有する平板21a上に四角形の遮光層21bを設けたものである。
図6Aに示すように、全体の遮光部材21には、多数の遮光層21bが、XY面に沿ってマトリクス状に配列されている。つまり、遮光部材21を構成する全遮光層21bは、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元配列されている。各遮光層21bは、各繰返単位20aにおける画素区画22tのサブ画素PEaに対応する領域に形成されている。なお、遮光層21bは、後述する共通観察領域でなければ、4つのサブ画素PEaを含む画素区画22tの一部(例えば、4つのサブ画素PEaを囲む最小の矩形枠内)に対応する領域に形成されてもよい。遮光層21bは、画素PEを構成するサブ画素PEaと同等又はサブ画素PEaより広い範囲を遮光する。遮光層21bは、散乱領域22eに対応する大きさを有する。これにより、外界光OLが散乱領域22eに入射することを抑制することができる。遮光部材21のうち遮光層21bが設けられていない光透過領域A1は、外界光OLを透過させるが、遮光層21bは、外界光OLの通過を抑制する。
【0020】
遮光層21bは、吸光性を有する塗料その他の物質で形成され、例えばインクジェット方式で目的の個所に塗布することができる。遮光層21bは、平板21a上において遮光層21bを形成しない位置に事前に離型剤からなる離型パターンを記録し、吸光物質のスプレーを全体に塗布し、離型パターンの箇所で吸光物質を除去することで、残った吸光物質層からなるものであってもよい。遮光層21bは、光吸収作用又は光反射作用を有する物質であれば、黒以外の色の塗料を用いてもよい。さらに、遮光層21bは、フォトレジスト技術等を用いて平板21a上において遮光層21bを形成すべき箇所に金属パターンを形成し、金属パターンを酸化して吸収性を高めたものであってもよい。遮光層21bは、金属膜のような反射性を有する物質で形成されたミラーであってもよい。なお、遮光層21bは、平板21aの顔に形成されるものに限らず、平板21aの外界側に形成されてもよい。
【0021】
図5等に示す散乱部材22は、遮光部材21の顔側に配置されている。散乱部材22は、
図4に示す第1投射光学系10aから照射される映像光MLのうち一部の光を装着者USの眼EYに向けて散乱させるものであり、複合表示部材120aにおいて、画像表示部材として機能する。散乱部材22は、光透過性を有する平板22a上に、赤色、緑色、及び青色に対応する散乱領域22eを有している。散乱部材22は、散乱面DSにおいて、第1画像表示パネル11aからのサブ画素スポットSPが照射される画素表示領域22pを有する。画素表示領域22pは、画素PEを構成するサブ画素PEaを含み、映像光ML又はサブ画素スポットSPが入射する領域である。散乱領域22eは、画素表示領域22pよりも狭い範囲に形成される。
【0022】
散乱領域22eは、光を眼EY側に散乱させるナノ構造等の構造体である。散乱領域22eは、平面視において多角形又は円形の輪郭を有する。散乱領域22eのナノ構造は、ナノインプリントリソグラフィ、フォトリソグラフィ等で形成される。
【0023】
画素表示領域22pに照射された光のうち、散乱領域22eに入射した光は、眼EY側、すなわち前方に散乱し、散乱領域22e以外の光透過領域A2に入射した光は、透過又は反射されるため、眼EY側に進まない。
【0024】
散乱領域22eを設けた基板である平板22aは、光透過性を有するガラスやプラスチックで形成されている。平板22a上には、画素表示領域22pに1つのサブ画素PEaに対応する散乱領域22eが形成されている。散乱領域22eは、サブ画素PEaと1対1の関係にあり、1つの散乱領域22eに対して1つのサブ画素PEaに対応するサブ画素スポットSPが照射される。散乱領域22eは、画素区画22tのうち、遮光層21bと同等又は遮光層21bより小さい領域となっている。サブ画素スポットSPは、散乱領域22eより大きく、隣の散乱領域22eに入射しない大きさとなっている。第1投射光学系10aからの各サブ画素PEaに対応する光の照射状態(角度方向や範囲)を制御することにより、散乱領域22eでの映像光MLの選択的な散乱が可能になる。
【0025】
図6Bに示すように、散乱部材22は、四角形の輪郭を有する繰返区画22sをX方向とY方向とに配列したものである。各繰返区画22sは、画素区画22t又は画素PEを有し、画素区画22tは、複数のサブ画素区画22uを有する。サブ画素区画22uにおいて、サブ画素PEaに対応する散乱領域22eの周囲には、光透過領域A2が形成されている。画素区画22tは、画像を表示する画素表示領域22pである。画素区画22tは、2×2で配列された4つの散乱領域22eを含む。第1表示光学系103aの散乱部材22において、画素PEが形成される領域の大きさは、数十mm×百数十mm程度であり、画素数は、2K~4K程度である。サブ画素PEaを含むサブ画素区画22uの大きさは、例えば10μm角~30μm角程度である。散乱領域22eの大きさは、例えば5μm角~20μm角程度である。シースルー光を確保するため、(散乱領域面積)/(サブ画素区画面積)は、例えば0.3~0.8程度となっている。例えば、画素区画22tが24μm角、つまり、サブ画素区画22uが12μm角である場合、散乱領域22eは8μm角である。
【0026】
図7に示すように、散乱部材22において、例えば1画素の画素表示領域22pには、各色用の散乱領域22e、具体的には、赤色用の散乱領域22r、一対の緑色用の散乱領域22g、青色用の散乱領域22bが設けられている。赤色用の散乱領域22rは、第1投射光学系10aからの光照射又はサブ画素スポットSPに応じて赤色の映像光MLrを表示に必要なタイミング及び輝度で射出する。一対の緑色用の散乱領域22gは、第1投射光学系10aからの光照射又はサブ画素スポットSPに応じて緑色の映像光MLgを表示に必要なタイミング及び輝度で射出する。青色用の散乱領域22bは、第1投射光学系10aからの光照射又はサブ画素スポットSPに応じて青色の映像光MLbを表示に必要なタイミング及び輝度で射出する。
図6Bに示すように、全体の散乱部材22には、4つの散乱領域22r,22g,22bを一組とする多数の画素PEが、XY面に沿ってマトリクス状に配列されている。つまり、散乱部材22を構成する全画素PE、又は全組の散乱領域22r,22g,22bは、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元配列されている。散乱部材22のうち散乱領域22r,22g,22bが設けられていない光透過領域A2は、外界光OLを透過させる。
【0027】
図8を参照して、
図2等に示すシェード状部材104における散乱部材22の構造又は分布について説明する。図中において、右側は、散乱部材22の第1部分2aを拡大視したものであり、シェード状部材104の第1部分104aに対応し、左側は、散乱部材22の第2部分2bを拡大視したものであり、シェード状部材104の第2部分104bに対応し、中央は、散乱部材22の第3部分2cを拡大視したものであり、シェード状部材104の第3部分104cに対応する。散乱部材22は、互いに部分的に重複する右眼用の第1観察領域SA1と左眼用の第2観察領域SA2とを有する。第1観察領域SA1は、複合表示部材120aに相当するシェード状部材104の第1部分104a及び第3部分104cに設けられ、第2観察領域SA2は、複合表示部材120bに相当するシェード状部材104の第2部分104b及び第3部分104cに設けられている。第1観察領域SA1と第2観察領域SA2とが重複する共通観察領域SA3で、第1散乱領域40aと第2散乱領域40bとが相互に割り込むように配置されている。つまり、第1散乱領域40aと第2散乱領域40bとは、一方の散乱領域の画素パターンを維持しつつ、他方の散乱領域の画素パターンの上下及び左右の隙間に配置される。一方の散乱領域の画素パターンは、他方の散乱領域の画素パターンに対してシフトさせている。画素パターンは、第1又は第2観察領域SA1,SA2と共通観察領域SA3とで密度を変えずにシフトさせてもよいし、連続的に変化させてもよい。
【0028】
第1偏光分離レンズ素子150aや第2偏光分離レンズ素子150bを、散乱部材22を設けたシェード状部材104から十分離すことで、アイボックスを広くすることが容易になる。その一方で、散乱部材22において両眼EYに共通する映像を形成する共通観察領域SA3を設ける必要が生じる。このため、共通観察領域SA3で第1散乱領域40aと第2散乱領域40bとが相互に割り込むように配置されることで、他方の眼EYの方向へ向けての視野角確保が容易となる。つまり、右眼にとっては左方向の視野角を広げることができ、左眼にとっては右方向の視野角を広げることができる。
【0029】
第1観察領域SA1における散乱領域22e、つまり右眼用の映像光MLを散乱させる第1散乱領域40aは、マトリクス状に2次元に配置され、図示の例では正方格子の格子点上に配置されている。4つの第1散乱領域40aは、画素PEを形成し、各画素PEを構成する4つの第1散乱領域40aは、それぞれサブ画素PEaである。第2観察領域SA2における散乱領域22e、つまり左眼用の映像光MLを散乱させる第2散乱領域40bは、マトリクス状に2次元に配置され、図示の例では正方格子の格子点上に配置されている。4つの第2散乱領域40bは、画素PEを形成し、各画素PEを構成する4つの第2散乱領域40bは、それぞれサブ画素PEaである。
【0030】
共通観察領域SA3では、第1観察領域SA1に形成された第1散乱領域40aと、第2観察領域SA2に形成された第2散乱領域40bとが重畳して形成されており、相互の格子が格子間隔の1/2ずれた状態となっている。つまり、共通観察領域SA3では、第1散乱領域40aと第2散乱領域40bとがそれぞれ正方格子状又は長方格子状に配置され、全体として面心正方格子状又は面心長方格子状に配列されている。第1観察領域SA1や第2観察領域SA2において、第1散乱領域40aや第2散乱領域40bが格子点上にバランスよく配置されることで、両眼EYによって観察される画像の解像度等の品質を全体として高めることができる。特に、両眼EYの共通視線方向に対応する共通観察領域SA3において、第1散乱領域40aの格子と第2散乱領域40bの格子とが格子間隔の1/2ずれた状態となっていることにより、画素PE又はサブ画素PEa間で画素の滲みボケが発生することを抑制しやすくなる。つまり、共通観察領域SA3を観察する際の画質を確保しつつ両眼EY用の画像の表示バランスを確保することが容易となる。
【0031】
第1観察領域SA1は、異方性散乱部であり、表面に異方性散乱体が形成されている。第1観察領域SA1は、例えばナノ構造体であり、ナノ構造により眼EYの方向に散乱効率を高めた散乱特性を有する。
【0032】
図2を参照して、共通観察領域SA3では、任意の位置S31の第1散乱領域40aが、第1投射光学系10aから入射した右眼用の映像光MLを右眼が存在するアイポイントE1に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。また、共通観察領域SA3では、任意の位置S32の第2散乱領域40bが、第2投射光学系10bから入射した左眼用の映像光MLを左眼が存在するアイポイントE2に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。なお、第1観察領域SA1のうち第1部分104aに対応する単独観察領域では、任意の位置S1の第1散乱領域40aが、第1投射光学系10aから入射した右眼用の映像光MLをアイポイントE1に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。また、第2観察領域SA2のうち第2部分104bに対応する単独観察領域では、任意の位置S2の第2散乱領域40bが、第2投射光学系10bから入射した左眼用の映像光MLをアイポイントE2に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。以上のように、散乱部材22において、第1散乱領域40aと第2散乱領域40bとは、映像光MLを対応するアイポイントE1,E2に向けて射出するという視線方向に合わせた角度特性を有する。これにより、第1散乱領域40aからの映像光MLを右眼位置に向けて効率よく射出させ、第2散乱領域40bからの映像光MLを左眼位置に向けて効率よく射出させることができる。つまり、右眼用の映像光MLを第1偏光分離レンズ素子150aに効率よく入射させ、左眼用の映像光MLを第2偏光分離レンズ素子150bに効率よく入射させることができ、左右の眼用の映像が干渉することを防止できる。特に第1観察領域SA1と第2観察領域SA2とが共通する共通観察領域SA3において、第1散乱領域40aが第1投射光学系10aからの右眼用の映像光MLを右眼用の第1偏光分離レンズ素子150a又はアイポイントE1に向け、第2散乱領域40bが第2投射光学系10bからの左眼用の映像光MLを左眼用の第2偏光分離レンズ素子150b又はアイポイントE2に向けるので、左右の眼EYに独立しつつ整合した画像を提示することができる。
【0033】
以上では、散乱部材22に設けられた右眼用の第1観察領域SA1と左眼用の第2観察領域SA2とが部分的に重複するとしたが、共通観察領域SA3は必須のものではない。共通観察領域SA3を省略した場合、第1観察領域SA1と第2観察領域SA2とは空間的に分離されて独立したものとなる。
【0034】
図5等に示すパターン偏光部材23は、散乱部材22の顔側に配置されている。パターン偏光部材23は、映像光MLを第2偏光方向とは異なる第1偏光方向、具体的には、横偏光に制限する。結果的に、外界光OL及び映像光MLが外光偏光部材25及びパターン偏光部材23を通過することにより、外界光OL及び映像光MLの偏光方向が互いに異なるものとなる。
【0035】
パターン偏光部材23は、第1偏光部材61として、光透過性を有する平板23a上に四角形の第1偏光領域23bを有する。
図6Cに示すように、全体のパターン偏光部材23には、多数の第1偏光部材61又は第1偏光領域23bが、XY面に沿ってマトリクス状に配列されている。つまり、パターン偏光部材23を構成する全第1偏光部材61は、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元的に配列されている。第1偏光部材61又は第1偏光領域23bは、そのサイズ以上の間隔で互いに離間して配置されており、散乱領域22eに対応して離散的に設けられている。第1偏光部材61は、散乱部材22の散乱領域22eで散乱された映像光MLを第2偏光方向と直交する第1偏光方向の横偏光(第1偏光P1)に制限する。パターン偏光部材23において、第1偏光部材61又は第1偏光領域23b以外は、光透過領域A3となっており、光透過領域A3を通過する外界光OLは、偏光方向の制限を受けない。なお、第1偏光部材61又は第1偏光領域23bは、全てが離散的に設けられる場合に限らず、映像光MLの偏光制御に影響が生じない程度に第1偏光部材61又は第1偏光領域23bの一部が繋がっていてもよい。
【0036】
パターン偏光部材23は、例えば、ワイヤーグリッド型の偏光板であり、ガラス等の平板23a上にアルミニウム等の金属による微細なグリッドが形成されている。
【0037】
図9Aは、
図2に示す第1部分104aに対応する散乱部材22の一部について、遮光部材21とパターン偏光部材23とを透視した状態を重ねて示した図である。この場合、遮光部材21の遮光層21bは、右眼用の画素区画22taのサブ画素PEa又は第1散乱領域40aに対応する大きさを有することによってサブ画素PEaをカバーし、サブ画素PEaよりも若干外側に広がった領域に形成されているが、サブ画素PEaと一致する領域に形成されてもよい。また、遮光部材21の遮光層21bは、複数のサブ画素PEaを囲む四角形状の枠に対応して設けてもよい。パターン偏光部材23の第1偏光領域23bは、右眼用の画素区画22taのサブ画素PEaをカバーし、サブ画素PEaよりも若干外側に広がった領域に形成されているが、サブ画素PEaと一致する領域に形成されてもよい。
【0038】
図9Bは、
図2に示す第3部分104cに対応する散乱部材22の一部について、遮光部材21とパターン偏光部材23とを透視した状態を重ねて示した図である。右眼用の画素区画22taと左眼用の画素区画22tbとは、相互に部分的に重畳しているが、右眼用のサブ画素PEaに相当する第1散乱領域40aと、左眼用のサブ画素PEaに相当する第2散乱領域40bとは、格子間隔の1/2のズレで互い違いに配置されている。ただし、右眼用のサブ画素PEa及び左眼用のサブ画素PEaのいずれも、遮光部材21の遮光層21bがサブ画素PEa又は散乱領域40a,40bに対応する大きさを有することによって遮光層21bにカバーされており、かつ、パターン偏光部材23の第1偏光領域23bの方が若干広く遮光部材21にカバーされている。
【0039】
図2~
図4、及び
図10に示す第1投射光学系10aは、2次元的な画像を形成し、この画像から映像光MLを射出させる。
図4及び
図10に示すように、第1投射光学系10aは、第1画像表示パネル11aと、第1結像光学系12aと、表示制御装置88とを有する。第1投射光学系10aは、第1画像表示パネル11aの発光領域からの射出光を映像光MLとして散乱部材22の散乱面DS、具体的には、第1散乱領域40aに投影する。つまり、第1画像表示パネル11a上の画像が対応する散乱領域22e(具体的には、複合表示部材120aの第1散乱領域40a)に投影され、散乱部材22上に表示すべき画像が形成される。
【0040】
第1投射光学系10aにおいて、第1画像表示パネル11aは、自発光型の画像光生成装置である。第1画像表示パネル11aは、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)ディスプレイであり、2次元の表示面11dにカラーの静止画又は動画を形成する。第1画像表示パネル11aは、表示制御装置88に駆動されて表示動作を行う。第1画像表示パネル11aは、有機ELディスプレイに限らず、無機EL、有機LED、LEDアレイ、レーザーアレイ、量子ドット発光型素子等を用いた表示デバイスに置き換えることができる。第1画像表示パネル11aは、自発光型の画像光生成装置に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。第1画像表示パネル11aとして、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。
【0041】
図11に示すように、第1画像表示パネル11aは、四角形の輪郭を有する繰返区画11sをx方向とy方向とに配列したものであり、各繰返区画11sは、画素区画11tを有し、画素区画11tは、複数のサブ画素区画11uを有する。画素区画11tは、画像を表示する画素表示領域PAである。画素区画11tは、サブ画素区画11uにおいて、例えば2×2で配列された4つの発光領域11m、具体的には、ベイヤー配列の発光領域11r,11g,11bを含む。すなわち、第1画像表示パネル11aには、例えば4つの発光領域11r,11g,11bを一組とする多数の画素PEが、xy面に沿ってマトリクス状に配列されている。画素区画11tは、画素PEに対応する。各発光領域11r,11g,11bは、サブ画素区画11uのうちサブ画素PEaに対応する。繰返区画11sは、
図3及び
図6Bに示す複合表示部材120aの繰返単位20aに対応する。第1画像表示パネル11aを構成する全画素PE、又は全組の発光領域11r,11g,11bは、x方向及び縦のy方向に関して周期的に2次元配列されている。図示の例では、画素PE又は発光領域11r,11g,11bは、散乱部材22の散乱面DSにおける投影に対して左右反転させた配置となっている。第1画像表示パネル11aは、表示制御装置88により、発光領域11r,11g,11bを選択的に発光させる。
【0042】
図4及び
図10に示すように、第1結像光学系12aは、投射レンズ12eと、反射ミラー12fとを有する。第1画像表示パネル11aと、第1結像光学系12aとは、
図1に示す第1表示駆動部102aの一部に対応する。第1画像表示パネル11a及び第1結像光学系12aは、相互にアライメントされた状態で不図示のケース内に固定されている。第1結像光学系12aは、散乱部材22の散乱面DSに映像光MLを結像させる。サブ画素PEaからの光は、第1結像光学系12aによって散乱部材22の画素表示領域22pにサブ画素スポットSPとして形成される。
【0043】
詳細な説明を省略するが、第2投射光学系10bも、第1投射光学系10aと同様に、画像を表示する第2画像表示パネル11cと第2結像光学系12bとを有する。第2投射光学系10bは、第2結像光学系12bにより、第2画像表示パネル11cの発光領域からの射出光を、映像光MLとして
図2及び
図9Bに示す複合表示部材120bに設けられた散乱部材22の散乱面DS、具体的には、第2散乱領域40bに投影する。つまり、第2画像表示パネル11c上の画像が対応する散乱領域22e(具体的には、複合表示部材120bの第2散乱領域40b)に投影され、散乱部材22上に表示すべき画像が形成される。
【0044】
図12は、第1偏光分離レンズ素子150a又は液晶レンズ51の構造や機能を説明する図である。
図12中で、上側α1は、液晶レンズ51の概念的な斜視図であり、下側α2は、液晶レンズ51のリタデーションの分布状態を例示するチャートである。液晶レンズ51は、特定偏光成分に対してレンズの役割をする光学素子である。液晶レンズ51は、映像光MLの偏光に対して選択的に作用する屈折力を有しその屈折力が輪帯部分RAごとに設定されている。液晶レンズ51は、縦偏光と横偏光とが入射した場合において、一方向の横偏光(第1偏光P1)に対して屈折率の分布により選択的にレンズとして作用し、他方向の縦偏光(第2偏光P2)に対して略そのまま透過させて作用を及ぼさない。ここで、一方向の偏光は具体的には水平方向に沿った偏光面を有する横偏光の映像光MLであり、他方向の偏光は具体的には鉛直方向に沿った偏光面を有する縦偏光の外界光OLである。液晶レンズ51は、固定焦点で使用することができるが、可変焦点で使用してもよい。液晶レンズ51の屈折率の分布を全体的に増減させれば、液晶レンズ51の屈折力を増減させることができ、可変焦点で使用することができる。
【0045】
偏光分離レンズ素子150aとしての液晶レンズ51は、レンズ部材51aと駆動回路51cとを備える。レンズ部材51aは、対向する2つの光透過基板53a,53bと、光透過基板53a,53bの内面側に設けられた2つの電極層54a,54bと、電極層54a,54bに挟まれた液晶層55とを備える。なお、図示を省略しているが、電極層54a,54bと液晶層55との間には、配向膜が配置され、液晶層55の初期配向状態を調整している。第1の電極層54aは、輪帯部分RAにおいて、XY面に沿って同心に配置される多数の電極57を含み、各電極57は、環状の透明電極である。多数の電極57は、互いに離間し、外側に位置する電極57ほど横幅が狭まっている。電極57の横幅は、レンズ部材51aによる屈折作用の精度に影響する。各電極57は、途中経路上では不図示の絶縁層によって絶縁された配線58を介して駆動回路51cに接続されている。第2の電極層54bは、XY面に平行に延びる共通電極であり、光透過基板53bに沿って一様に形成されている。多数の電極57には、異なる印加電圧V1~V7が印可され、複屈折又はリタデーションの分布状態を調整する。液晶レンズ51に凸レンズの効果を持たせる場合、印加電圧V1を印加電圧V7よりも高くし、印加電圧V2~V6を電圧範囲V1~V7内で徐々に変化させた値に設定する。
【0046】
散乱部材22から射出された映像光MLがパターン偏光部材23等を介して液晶レンズ51に入射する場合、つまりX方向に平行な偏光面を有する横偏光(第1偏光P1)が液晶レンズ51に入射する場合について考える。横偏光に関しては、周辺部である最も外側に配置される電極57に印可される電圧が高くなってリタデーションが減少し、この領域で屈折率が相対的に低くなるので、例えば遠方の点光源からの光を考えたとき、周辺部の電極57を経て液晶レンズ51を通過した光は、波面が相対的に進む。一方、中央部である最も内側の電極57に印可される電圧が低くなってリタデーションが元に近い状態に維持され、この領域で屈折率が相対的に高くなるので、例えば遠方の点光源からの光を考えたとき、中央部の電極57を経て液晶レンズ51を通過する光は、波面が相対的に遅れる。よって、所定の焦点面FPに設定された像RIから液晶レンズ51に入射する発散状態の映像光ML0は、横偏光であり、液晶レンズ51を通過することで凸レンズとしての作用を受け、発散角が減少した状態の映像光MLPRとなる。映像光MLPRを逆に辿った仮想的な映像光MLPIは、焦点面FPよりも遠方の虚像位置からのものとなる。液晶レンズ51の焦点距離は、点光源からの光がコリメートされる場合の点光源から液晶レンズ51までの距離である。本実施形態では、焦点距離は、散乱部材22から液晶レンズ51までの距離と略一致する。近似的には、レンズの公式により、焦点面FPから液晶レンズ51までの距離をAとし、液晶レンズ51から像面までの距離をBとし、液晶レンズ51の焦点距離をFとして
1/F=1/A+1/B
なる関係が成り立つ。ここで、焦点面FPから虚像位置までの距離Bは、液晶レンズ51から焦点面FPまでの距離Aの数倍から数10倍の距離に設定される。この距離比は、詳細な説明を省略するが、虚像の拡大率に相当するものとなる。以上において、印加電圧V1~V7の相対的比率を略維持して低電圧とした場合、中心と周辺でリタデーションの差が減少し、液晶レンズ51の正のパワーの絶対値が減少する。つまり、液晶レンズ51に高電圧VHを印可することで、パワーの絶対値を増加させることができ、液晶レンズ51に低電圧VLを印可することで、パワーの絶対値を減少させることができ、駆動回路51cによって液晶レンズ51を外部から調整可能な可変焦点レンズとして機能させることができる。
【0047】
液晶レンズ51を可変焦点レンズとして機能させる場合、焦点距離Fが変化するので、液晶レンズ51から像面位置又は虚像位置までの距離Bを自在に変更することができ、拡大率の調整が可能になる。また、装着者USの視力が近視等で偏っている場合であっても、焦点があった状態で虚像を観察するフォーカス調整が可能になる。つまり、個人の視度能力差(遠視、近視、乱視等)に合わせて像面位置又は虚像位置を微調整することができる。拡大率の調整やフォーカス調整は、装着者USが例えばユーザー端末90を操作することで実現される。つまり、虚像表示装置100A,100Bは、装着者USの操作によって拡大率やフォーカスに関するカスタマイズが可能になっている。
【0048】
液晶レンズ51は、横偏光の映像光MLに対して結像作用を有するものであり、回転角度を調整することで縦偏光の映像光MLに対して結像作用を有するものであり、特定の偏光成分に対してレンズの役割をする液晶レンズということができ、特定の偏光成分に作用してレンズ機能を有する液晶レンズということもできる。液晶レンズ51を眼前に配置することで、液晶レンズ51のサイズに近いアイボックスを確保することができ、アイボックスを大きくでき画像の欠けを生じさせにくくできるだけでなく、小型ながらFOVを大きくした第1表示光学系103aを実現することができる。さらに、散乱部材22、パターン偏光部材23等を含む複合表示部材120aと、液晶レンズ51とを組み合わせることにより、小型の光学系で大画面を表示することができる。ここで、大画面の表示とは、例えば2.5m前方に70インチ以上の虚像を形成する場合を意味する。
【0049】
液晶レンズ51は、中心から周辺に向かってリタデーションが徐々に減少するものに限らず、例えば国際公開2009/072670号明細書に開示のようにフレネル型のレンズとすることもできる。液晶レンズ51は、超音波で液晶の配向方向を変更するものであってもよい。
【0050】
なお、遮光部材21等を通過した外界光OLについては、縦偏光(第2偏光P2)であり、液晶レンズ51を通過しても、印加電圧V1~V7の値に関わらずリタデーションがXY面内で一様に保たれるので、位相差が与えられず、液晶レンズ51のレンズ作用の影響を受けない。つまり、外界光OLは、複合表示部材120a及び第1偏光分離レンズ素子150aによって実質的な作用を受けることなく直進する。
【0051】
図13A及び13Bは、第1部分104aから射出される右眼単独用の映像光MLを観察する場合を説明するものである。第1表示光学系103aにおいて、散乱部材22で散乱された映像光MLは、パターン偏光部材23のうち第1偏光部材61又は第1偏光領域23bを経て第1偏光P1、具体的には、横偏光として射出される。第1偏光部材61を通過した映像光MLは、横偏光に対して凸レンズとして機能する第1偏光分離レンズ素子150aである液晶レンズ51を経て虚像を形成する。装着者USの眼EYには、第1画像表示パネル11a又は散乱部材22に形成された画像が、散乱部材22の後方に所望の拡大率の虚像として観察される。一方、外界光OLは、外光偏光部材25の第2偏光部材62又は第2偏光領域25cを経て第2偏光P2、具体的には、縦偏光として射出される。外光偏光部材25を通過した外界光OLは、遮光部材21の光透過領域A1を通過し、散乱部材22の光透過領域A2を通過し、パターン偏光部材23の光透過領域A3を通過する。この際、外界光OLは、外光偏光部材25、遮光部材21、散乱部材22、及びパターン偏光部材23によってレンズ作用を受けない。装着者USの眼EYには、通常の外界像が観察される。つまり、第1表示光学系103aを介して外界像のシースルー視が可能になる。
【0052】
詳細な説明を省略するが、第2部分104bから射出される左眼単独用の映像光MLも、第1部分104aから射出される右眼単独用の映像光MLと同様に観察される。つまり、第2表示光学系103bにより、散乱部材22に形成された画像が散乱部材22の後方に所望の拡大率の虚像として観察され、散乱部材22越しに外界像のシースルー視が可能になる。
【0053】
以上の説明では、パターン偏光部材23において、第1偏光部材61が横偏光の映像光MLのみを透過させ、第2偏光部材62が縦偏光の外界光OLを透過させるとしたが、パターン偏光部材23の第1偏光部材61が縦偏光の映像光MLを透過させ、外光偏光部材25の第2偏光部材62が横偏光の外界光OLを透過させるものであってもよい。第1偏光分離レンズ素子150aについては、パターン偏光部材23等の機能変更に伴い、レンズとして機能する偏光方向を対応するものに変更する必要がある。
【0054】
図9Aを参照して、繰返区画22sは、光透過領域A2である外光視認画素X1と、サブ画素PEaである映像光射出画素X2とを組み合わせたものとして見ることができ、シースルー画像表示画素TXとも呼ぶ。シースルー画像表示画素TXは、外界光OLが局所的に遮断された箇所で画素を形成するという観点で、背景を透視させる画素ということができる。外光偏光部材25によって偏光方向が制限され遮光部材21によって遮られなかった外界光OLは、散乱部材22のシースルー画像表示画素TXの一部である光透過領域A2を通過し、パターン偏光部材23の光透過領域A2を通過し、液晶レンズ51で光線状態を維持して通過する。一方、シースルー画像表示画素TXの一部である画素表示領域22pの散乱領域22eから射出された映像光MLは、パターン偏光部材23によって偏光方向が制限され、液晶レンズ51を集光作用又はレンズ作用を受けつつ通過し、画素表示領域22pによる表示に対応する虚像に変換される。
【0055】
図14は、第3部分104cから射出される両眼用の映像光MLを観察する場合を説明するものである。共通する散乱部材22に形成された一方の第1散乱領域40aから射出された映像光MLは、パターン偏光部材23の第1偏光部材61又は第1偏光領域23bを経て横偏光である第1偏光P1とされ、第1偏光P1に対して凸レンズとして機能する第1偏光分離レンズ素子150aを経て右眼に対して虚像を形成する。共通する散乱部材22に形成された他方の第2散乱領域40bから射出された映像光MLは、パターン偏光部材23の第1偏光部材61又は第1偏光領域23bを経て横偏光である第1偏光P1とされ、第1偏光P1に対して凸レンズとして機能する第2偏光分離レンズ素子150bを経て左眼に対して虚像を形成する。なお、第3部分104cの散乱部材22の光透過領域A2等を通過した外界光OLは、第1偏光分離レンズ素子150a又は第2偏光分離レンズ素子150bを直進し、外界像のシースルー視を可能にする。
【0056】
以上の説明では、パターン偏光部材23によって散乱部材22から射出された映像光MLを第1偏光方向の横偏光に制限しているが、散乱部材22の散乱領域22eが特定の偏光方向の偏光に対して散乱方向に選択性を持たせることができるものであれば、散乱部材22をパターン偏光部材23としても機能させることができ、パターン偏光部材23を省略することができる。
【0057】
以上で説明した第1実施形態の頭部装着型表示装置200は、右眼用の映像光MLを散乱させる第1散乱領域40aと、左眼用の映像光MLを散乱させる第2散乱領域40bとを有する散乱部材22と、第1散乱領域40aに映像光MLを照射する第1投射光学系10aと、第2散乱領域40bに映像光MLを照射する第2投射光学系10bと、散乱部材22の外界側に配置され、第1散乱領域40a及び第2散乱領域40bへの外界光OLの入射を抑制する遮光部材21と、散乱部材22の顔側に配置され、第1散乱領域40a及び第2散乱領域40bに対応して設けられ散乱部材22で散乱された映像光MLを第1偏光方向に制限する第1偏光領域23bを有する第1偏光部材61と、第1偏光部材61の位置から外界側に配置され、外界光OLを第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域25cを有する第2偏光部材62と、第1偏光部材61の顔側に配置され、映像光MLの偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子150a,150bと、を備える。
【0058】
上記頭部装着型表示装置200では、外界から遮光部材21を通過した透過光が、第2偏光部材62を経て第2偏光方向に制限され、偏光分離レンズ素子150a,150bを屈折力の作用を受けずに通過する。一方、第1散乱領域40a及び第2散乱領域40bから射出された映像光MLが、第1偏光部材61を経て第1偏光方向に制限され、偏光分離レンズ素子150a,150bを屈折力の作用を受けて通過し虚像を形成する。この場合、散乱部材22や偏光分離レンズ素子150a,150bを眼EYの近くに配置して散乱部材22の散乱領域40a,40bに形成された一対の画像に対応する一対の虚像を形成することができ、散乱部材22や偏光分離レンズ素子150a,150bを大きく離すことなく画角を広くすることができる。また、第1散乱領域40a及び第2散乱領域40bの配置を調整することにより、両眼EYに共通する映像を表示することができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の頭部装着型表示装置について説明する。なお、第2実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の頭部装着型表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0060】
図15に示すように、第1投射光学系10aは、レーザー光源13と微小ミラー14又はMEMSミラーとを有する。第1投射光学系10aは、走査のために駆動される微小ミラー14により、レーザー光源13からの変調光を映像光MLとして散乱部材22の画素表示領域22pに投影するものである。つまり、変調光が走査により散乱部材22上を移動する軌跡が表示すべき画像に相当する。第1投射光学系10aにおいて、レーザー光源13から出た映像光MLは、微小ミラー14又はMEMSミラーにより角度を振られ、複合表示部材120aに向けて射出される。第1投射光学系10aは、走査のために駆動される微小ミラー14により、レーザー光源13からの変調光を映像光MLとして第1散乱領域40a(
図8参照)に投影する。
【0061】
詳細な説明を省略するが、第2投射光学系10bも、第1投射光学系10aと同様に、レーザー光源13と微小ミラー14とを有し、レーザー光源13からの映像光MLは、微小ミラー14により角度を振られ、複合表示部材120bに向けて射出される。第2投射光学系10bは、走査のために駆動される微小ミラー14により、レーザー光源13からの変調光を映像光MLとして第2散乱領域40b(
図8参照)に投影する。
【0062】
なお、第3実施形態以降の頭部装着型表示装置200等でも第1実施形態の投射光学系10a,10bの代わりに第2実施形態の投射光学系10a,10bを用いることができる。
【0063】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態の頭部装着型表示装置について説明する。なお、第3実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の頭部装着型表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0064】
図16Aに示すように、パターン偏光部材23は、第1偏光部材61と第2偏光部材62とを一体的に組み込んだものでもよい。この場合、外光偏光部材25を設けない。
【0065】
第1偏光部材61と第2偏光部材62とは、同一基板上に形成される。第1偏光部材61又は第1偏光領域23bは、
図16Bに示すように格子点上に配列され、第2偏光部材62又は第2偏光領域23dは、第1偏光部材61又は第1偏光領域23bの周囲(
図6Cに示す光透過領域A3に相当する領域)に配置される。これにより、第1偏光領域23bと第2偏光領域23dとの平面的な区分が可能になり、映像光MLと外界光OLとの干渉を抑えつつ、部品点数を減らすことができる。なお、第2偏光部材62又は第2偏光領域23bは、偏光の制御に影響を与えない範囲で第1偏光部材61又は第1偏光領域23bの位置より顔側に多少離間して配置されていてもよい。この場合も、第2偏光部材62は、第1偏光部材61の位置から外界側に配置されていると考える。
【0066】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態の頭部装着型表示装置について説明する。なお、第4実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の頭部装着型表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0067】
図17Aに示すように、本実施形態の場合、複合表示部材120a,120bの各部材25,21,22,23は、同一基板SSに一体化されている。具体的には、基板SSの一方の主面である第1面SSa上に、外界側から順に、遮光部材21と、散乱部材22と、パターン偏光部材23とが配置され、基板SSの他方の主面である第2面SSb上に外光偏光部材25が配置されている。各部材21,22,23は、密着した層構造を有する。ここで、散乱部材22は、共通の基板SSに間接的に支持されるので、支持用の平板を省略した散乱領域22e又は散乱領域40a,40bとして組み込まれ、パターン偏光部材23は、支持用の平板を省略した第1偏光領域23bとして組み込まれている。基板SSの表面に散乱部材22の散乱領域22eを設けることにより、基板SSへの散乱光の侵入を抑制し、ゴーストの発生を防ぐことができる。また、各部材25,21,22,23を一体化することにより、装置の薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0068】
基板SSは、例えば、光透過性を有するガラスやプラスチックで形成されている。複合表示部材120a,120bにおいて、基板SS上に、蒸着及びエッチングにより遮光層21bを形成し、遮光層21b上に散乱領域22eを形成する。散乱領域22eは、例えば、スピンコート後にエッチングを行い、部分的に散乱構造を形成することで得られる。
【0069】
投影光MLeとして投射光学系10a,10bから投影される映像光ML又はサブ画素スポットSPは、離散的に形成されたパターン偏光部材23の第1偏光領域23bを経て散乱部材22の散乱領域22eに入射する。散乱領域22eに入射した映像光MLfは散乱され、再度第1偏光領域23bを通過し、第1偏光方向の横偏光が偏光分離レンズ素子150a,150bに入射する。
【0070】
なお、
図17Bに示すように、複合表示部材120a,120bの各部材を第3実施形態と同様の配置としてもよい。この場合、複合表示部材120aの遮光部材21、散乱部材22、及びパターン偏光部材23は、基板SSの顔側の第1面SSaに形成され、パターン偏光部材23は、第1偏光領域23bである第1偏光部材61と第2偏光領域23dである第2偏光部材62とを含む。なお、パターン偏光部材23については、不図示の支持体を設けてもよい。
【0071】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態の頭部装着型表示装置について説明する。なお、第5実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の頭部装着型表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0072】
図18に示すように、本実施形態では、散乱部材22において、散乱領域22eにマイクロミラーMMが設けられている。マイクロミラーMMは、映像光MLを眼EYの方向に導く部材である。マイクロミラーMMの傾斜角度は、画素PEの位置によって異なっている。マイクロミラーMMは、平滑面であってもよいし、散乱構造を有していてもよい。
【0073】
図19に、本実施形態の複合表示部材120a,120bの具体例を示す。
図19に示す複合表示部材120a,120bは、
図17Aに示す複合表示部材120a,120bに似た構造を有し、基板SSの顔側の第1面SSa上に、散乱部材22、遮光部材21、及びパターン偏光部材23が形成され、基板SS外界側の第2面SSb上に、外光偏光部材25が形成される。
図19では、散乱部材22の一部であるマイクロミラーMMの表面に遮光層21bが形成され、その上に散乱部材22又は散乱領域22eが設けられている。
【0074】
図20は、第3部分104cから射出される両眼用の映像光MLを観察する場合を説明するものである。共通する散乱部材22に形成された一方の第1散乱領域40aは、マイクロミラーMMによって右眼を受け持つ偏光分離レンズ素子150aに向けて射出角度を調整するものであり、他方の第2散乱領域40bは、マイクロミラーMMによって左眼を受け持つ偏光分離レンズ素子150bに向けて射出角度を調整するものである。一方の第1散乱領域40aから射出された映像光MLは、パターン偏光部材23の第1偏光部材61又は第1偏光領域23bを経て横偏光である第1偏光P1とされ、第1偏光P1に対して凸レンズとして機能する第1偏光分離レンズ素子150aを経て右眼に対して虚像を形成する。他方の第2散乱領域40bから射出された映像光MLは、パターン偏光部材23の第1偏光部材61又は第1偏光領域23bを経て横偏光である第1偏光P1とされ、第1偏光P1に対して凸レンズとして機能する第2偏光分離レンズ素子150bを経て左眼に対して虚像を形成する。なお、第3部分104cの散乱部材22の光透過領域A2等を通過した外界光OLは、第1偏光分離レンズ素子150a又は第2偏光分離レンズ素子150bを直進し、外界像のシースルー視を可能にする。
【0075】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態の頭部装着型表示装置について説明する。なお、第6実施形態の頭部装着型表示装置は、第1実施形態の頭部装着型表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の頭部装着型表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0076】
図21に示すように、本実施形態の頭部装着型表示装置200において、第1投射光学系10aとして、一対の投射光学系10aa,10abを備え、第2投射光学系10bとして、一対の投射光学系10ba,10bbを備える。一対の投射光学系10aa,10abは、それぞれ第1投射光学系10aと同様の構造を有するが、それぞれが受け持つ画角領域が異なり、かつ、互いに重複する重複表示領域を有する。一対の投射光学系10ba,10bbは、それぞれ第2投射光学系10bと同様の構造を有するが、それぞれが受け持つ画角領域が異なり、かつ、互いに重複する重複表示領域を有する。
【0077】
図2の場合と同様に、共通観察領域SA3では、図示を省略する第1散乱領域が中央右側の投射光学系10abから入射した右眼用の映像光MLを右眼が存在するアイポイントE1に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させ、図示を省略する第2散乱領域が中央左側の投射光学系10baから入射した左眼用の映像光MLを左眼が存在するアイポイントE2に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。第1観察領域SA1において、右端の投射光学系10aaから入射した右眼用の映像光MLは、右眼が存在するアイポイントE1に向かう比較的狭い角度方向に反射するように散乱される。第2観察領域SA2において、左端の投射光学系10bbから入射した左眼用の映像光MLは、左眼が存在するアイポイントE2に向かう比較的狭い角度方向に反射するように散乱される。
【0078】
第1観察領域SA1には、一対の投射光学系10aa,10abからの映像光MLが重複して入射する重畳領域がある。この重畳領域には、図示を省略するが、散乱特性が異なる2種類の散乱領域が互いに割り込むように形成され、異なる位置に配置された投射光学系10aa,10abからの映像光MLを、右眼が存在する共通のアイポイントE1に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。
【0079】
第2観察領域SA2には、一対の投射光学系10ba,10bbからの映像光MLが重複して入射する重畳領域がある。この重畳領域には、図示を省略するが、散乱特性が異なる2種類の散乱領域が互いに割り込むように形成され、異なる位置に配置された投射光学系10ba,10bbからの映像光MLを、左眼が存在する共通のアイポイントE2に向かう比較的狭い範囲内の角度方向に反射するように散乱させる。
【0080】
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
上記実施形態において、液晶レンズ51は、電極を要素とするものに限らず、フレネルレンズ状の第1基板と平板状の第2基板との間に液晶を充填し、液晶の配向をフレネルレンズ面に揃えることで屈折力を持たせたものであってもよい。
【0082】
液晶レンズ51は、円形に限らず特定方向に若干長い長円状の電極を有するものであってもよい。
【0083】
偏光分離レンズ素子150aとしての液晶レンズ51は、リング状の輪帯部分RAを含むものに限らない。偏光分離レンズ素子150aとして、特定の偏光に対してレンズ作用を持つ様々な構造を採用することができる。
【0084】
以上では、HMD200が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記虚像表示装置100A,100Bは、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。つまり、本発明において、ヘッドマウントディスプレイには、ハンドヘルドディスプレイも含まれる。
【0085】
上記実施形態において、画素PE又はサブ画素PEaの配置や大きさは、1画素に十分なシースルー領域が存在するように、適宜変更することができる。
【0086】
上記実施形態において、パターン偏光部材23の顔側にマイクロレンズ等の微小光学素子を設けてもよい。
【0087】
具体的な態様における頭部装着型表示装置は、右眼用の映像光を散乱させる第1散乱領域と、左眼用の映像光を散乱させる第2散乱領域とを有する散乱部材と、第1散乱領域に映像光を照射する第1投射光学系と、第2散乱領域に映像光を照射する第2投射光学系と、散乱部材の外界側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域への外界光の入射を抑制する遮光部材と、散乱部材の顔側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域に対応して設けられ散乱部材で散乱された映像光を第1偏光方向に制限する第1偏光領域を有する第1偏光部材と、第1偏光部材の位置から外界側に配置され、外界光を第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域を有する第2偏光部材と、第1偏光部材の顔側に配置され、映像光の偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子と、を備える。
【0088】
上記頭部装着型表示装置では、外界から遮光部材を通過した透過光が、第2偏光部材を経て第2偏光方向に制限され、偏光分離レンズ素子を屈折力の作用を受けずに通過する。一方、第1散乱領域及び第2散乱領域から射出された映像光が、第1偏光部材を経て第1偏光方向に制限され、偏光分離レンズ素子を屈折力の作用を受けて通過し虚像を形成する。この場合、散乱部材や偏光分離レンズ素子を眼の近くに配置して散乱部材の第1散乱領域及び第2散乱領域に形成された一対の画像に対応する一対の虚像を形成することができ、散乱部材や偏光分離レンズ素子を大きく離すことなく画角を広くすることができる。また、第1散乱領域及び第2散乱領域の配置を調整することにより、両眼に共通する映像を表示することができる。
【0089】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、散乱部材は、第1散乱領域と、第2散乱領域と、外界を視認可能にする光透過領域とを有する。
【0090】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、散乱部材は、互いに部分的に重複する右眼用の第1観察領域と左眼用の第2観察領域とを有し、重複する共通観察領域で、第1散乱領域と第2散乱領域とは、相互に割り込むように配置されている。偏光分離レンズ素子を散乱部材から十分離すことで、アイボックスを広くすることが容易になる。その一方で、散乱部材において両眼に共通する映像を形成する共通観察領域を設ける必要が生じる。このため、共通観察領域で第1散乱領域と第2散乱領域とが相互に割り込むように配置されることで、他方の眼の方向へ向けての視野角確保が容易となる。
【0091】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、共通観察領域で、第1散乱領域と第2散乱領域とがそれぞれ正方格子状又は長方格子状に配置され、全体として面心格子状に配列されている。この場合、共通観察領域を観察する際の画質を確保しつつ両眼用の画像の表示バランスを確保することが容易となる。
【0092】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、第1散乱領域と第2散乱領域とは、視線方向に合わせた角度特性を有する。この場合、第1散乱領域からの映像光を右眼位置に向けて効率よく射出させ、第2散乱領域からの映像光を左眼位置に向けて効率よく射出させることができ、左右の眼用の映像が干渉することを防止できる。
【0093】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、第1偏光領域は、散乱領域に対応して離散的に設けられる。
【0094】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、遮光部材は、外界光の入射を抑制する遮光層を有し、遮光層は、第1散乱領域及び第2散乱領域に対応する大きさを有する。これにより、外界光が散乱領域に入射することをより抑制することができる。
【0095】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、偏光分離レンズ素子は、複数の画素を包括的に結像させる偏光分離液晶レンズである。単独レンズとすることにより、アイボックスを広くすることが容易になる。
【0096】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、第1投射光学系は、画像を表示する第1画像表示パネルを有し、第1画像表示パネルの発光領域からの射出光を映像光として第1散乱領域に投影し、第2投射光学系は、画像を表示する第2画像表示パネルを有し、第2画像表示パネルの発光領域からの射出光を映像光として第2散乱領域に投影する。つまり、第1画像表示パネル上の画像が対応する第1散乱領域に投影され、第1散乱部材上に表示すべき画像が形成され、第2画像表示パネル上の画像が対応する第2散乱領域に投影され、第2散乱部材上に表示すべき画像が形成される。
【0097】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、第1投射光学系は、走査のために駆動される微小ミラーにより、レーザー光源からの変調光を映像光として第1散乱領域に投影し、第2投射光学系は、走査のために駆動される微小ミラーにより、レーザー光源からの変調光を映像光として第2散乱領域に投影する。つまり、第1投射光学系又は第2投射光学系から射出される変調光が走査により第1散乱部材又は第2散乱部材上を移動する軌跡が表示すべき画像に相当する。
【0098】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、遮光部材と、散乱部材と、第1偏光部材とが一体化されている。これにより、装置の薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0099】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、散乱部材は、赤色用の散乱領域と、緑色用の散乱領域と、青色用の散乱領域とを有し、散乱領域が配置されない領域に外界光を透過させる光透過領域を有する。
【0100】
具体的な態様における光学ユニットは、右眼用の映像光を散乱させる第1散乱領域と、左眼用の映像光を散乱させる第2散乱領域とを有する散乱部材と、第1散乱領域に映像光を照射する第1投射光学系と、第2散乱領域に映像光を照射する第2投射光学系と、散乱部材の外界側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域への外界光の入射を抑制する遮光部材と、散乱部材の顔側に配置され、第1散乱領域及び第2散乱領域に対応して設けられ散乱部材で散乱された映像光を第1偏光方向に制限する第1偏光領域を有する第1偏光部材と、第1偏光部材の位置から外界側に配置され、外界光を第1偏光方向と異なる第2偏光方向に制限する第2偏光領域を有する第2偏光部材と、第1偏光部材の顔側に配置され、映像光の偏光に対して選択的に作用する屈折力を有する偏光分離レンズ素子とを備える。
【符号の説明】
【0101】
10a…第1投射光学系、10b…第2投射光学系、11r,11g,11b…発光領域、12e…投射レンズ、12f…反射ミラー、13…レーザー光源、14…微小ミラー、20a…繰返単位、21…遮光部材、21b…遮光層、22…散乱部材、22e…散乱領域、22b,22g,22r…散乱領域、22p…画素表示領域、22s…繰返区画、22t,22ta,22tb…画素区画、23…パターン偏光部材、23b…第1偏光領域、25…外光偏光部材、25b…偏光膜、25c…第2偏光領域、40a…第1散乱領域、40b…第2散乱領域、47…電極、51…液晶レンズ、51a…レンズ部材、51c…駆動回路、61…第1偏光部材、62…第2偏光部材、88…表示制御装置、100A,100B…虚像表示装置、102…駆動装置、102a,102b…表示駆動部、104…シェード状部材、106…支持装置、120a,120b…複合表示部材、150a,150b…偏光分離レンズ素子、200…頭部装着型表示装置、A1,A2,A3…光透過領域、AX…光軸、DS…散乱面、E1,E2…アイポイント、EY…眼、ML…映像光、MLe…投影光、MM…マイクロミラー、OL…外界光、OU…光学ユニット、P1…横偏光(第1偏光)、P2…縦偏光(第2偏光)、PA…画素表示領域、PE…画素、PEa…サブ画素、SA1…第1観察領域、SA2…第2観察領域、SA3…共通観察領域、SP…サブ画素スポット、SS…基板、TX…シースルー画像表示画素、US…装着者、X1…外光視認画素、X2…映像光射出画素