(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102747
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】出力増幅機構
(51)【国際特許分類】
F03G 3/06 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
F03G3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006845
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】518111829
【氏名又は名称】有限会社ヨシモト機工
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】吉本 良介
(72)【発明者】
【氏名】吉本 武比古
(57)【要約】
【課題】入力エネルギーをそのまま増幅して出力エネルギーとする発想ではなく入力エネルギーに一定の振り子の自然発生エネルギーを付加して入力エネルギーを増幅した出力エネルギーとして取り出せる出力増幅機構を提供する。
【解決手段】互いに噛合する左側ギア体及び右側ギア体と、左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与され回転する入力軸と、基端部を左右側ギア軸基部に連設し、先端部に左右側重錘を設けた左右側回動アームと、上部フレームを機枠に枢支し下部フレームを振り子原理で左右揺動自在に構成した揺動フレームと、揺動フレームの下部フレームを左右側ギア体に一体に連設した連動機構とより構成してなることとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛合する左側ギア体及び右側ギア体と、
左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与され回転する入力軸と、
基端部を左右側ギア軸基部に連設し、先端部に左右側重錘を設けた左右側回動アームと、
上部フレームを機枠に枢支し下部フレームを振り子原理で左右揺動自在に構成した揺動フレームと、
揺動フレームの下部フレームに一体に連設した連動機構と、より構成し、
重錘の回転重力に伴う左右側回動アームの回動によって左右側ギア体が振り子状の揺動を行い左右側ギア体に一体に連設した揺動フレームも同期して振り子原理に基づき揺動して左右揺動エネルギーを生起し、
左右揺動エネルギーを出力変換機構を介して取り出すべく構成したことを特徴とする出力増幅機構。
【請求項2】
左右側ギア軸の一方に回転入力する入力軸と左右側の一方のギア軸とはユニバーサルジョイントを介して連動連結することにより、
左右側ギア軸の左右に揺動にかかわらず確実に入力軸から左右側ギア軸の一方に回転動力を伝達することができるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の出力増幅機構。
【請求項3】
左右側ギア軸の後方突出端部は、揺動フレームの下部フレームに回転自在に連設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力増幅機構。
【請求項4】
出力変換機構は、揺動フレームの一部に生起する左右揺動エネルギーを回転動力や水平動力に変換して取り出す機構としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力増幅機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力エネルギーを増加して出力することができる出力増幅機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力エネルギーを数倍に増幅して出力することができる出力増幅機構としては、入力機構と出力変換機構との間に出力速度を増幅するための速度変換機構を介在して、変速目的を達するようにしたメカニズムが一般的な機構として通常用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、出力軸と、出力軸に設けられた伝動モジュールと、増速モジュールとを有し、増速モジュールは出力軸に枢設される連結ギアと、出力軸に固設される増速ギアと、連結ギアと増速ギアの間に設けられる回転変速車輪ユニットを備え、増速モジュールを介して速度を変更可能とする技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、車輪のホイールの内径側に組み込まれた電動モータと摩擦ローラ式変速機とを備え、摩擦ローラ式変速機は、車輪と共に回転自在に設けられた外輪と、回転駆動軸と外輪との間に存在しガイドローラ及び可動ローラとで構成され、速度を変更可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3234796号公報
【特許文献2】特開2006-117003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの機構はいずれも変速するための機構であり、出力エネルギーを入力エネルギーよりも増大するエネルギー増幅を行うものではない。かかるエネルギー増幅技術は人類の宿命的な願望である。
【0007】
一般的にエネルギー不変の法則により入力エネルギーは出力エネルギーと同等となるものであり、旧来永久運動のように一旦入力したエネルギーは永久に出力して運動を行うことができるという理論が議論され、物理的に実現できない技術とされている。その理由は、運動の空気抵抗と摩擦抵抗により時間の経過に伴い運動エネルギーが減衰して永久運動はできないとされている。
【0008】
本発明では、入力エネルギーをそのまま増幅して出力エネルギーとする発想ではなく入力エネルギーに一定の振り子の自然発生エネルギーを付加して入力エネルギーを増幅した出力エネルギーとして取り出せるように構成した出力増幅機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の要旨は、互いに噛合する左側ギア体及び右側ギア体と、左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与され回転する入力軸と、基端部を左右側ギア軸基部に連設し、先端部に左右側重錘を設けた左右側回動アームと、上部フレームを機枠に枢支し下部フレームを振り子原理で左右揺動自在に構成した揺動フレームと、揺動フレームの下部フレームを左右側ギア体に一体に連設した連動機構とより構成し、重錘の回転重力に伴う左右側回動アームの回動によって左右側ギア体が振り子状の揺動を行い左右側ギア体に一体に連設した揺動フレームも同期して振り子原理に基づき揺動して左右揺動エネルギーを生起し、左右揺動エネルギーを出力変換機構を介して取り出すべく構成したことを特徴とする。
【0010】
また、左右側ギア軸の一方に回転入力する入力軸と左右側の一方のギア軸とはユニバーサルジョイントを介して連動連結することにより、左右側ギア軸の左右揺動にかかわらず確実に入力軸から左右側ギア軸の一方に回転動力を伝達することができるように構成したことを特徴とする。
【0011】
また、左右側ギア軸の後方突出端部は、揺動フレームの下部フレームに回転自在に連設したことを特徴とする。
【0012】
また、出力変換機構は、揺動フレームの下部フレームに生起する左右揺動エネルギーを回転動力や水平動力に変換して取り出す機構としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、互いに噛合する左側ギア体及び右側ギア体と、左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与して回転する入力軸と、基端部を左右側ギア軸基部に連設し、先端部に左右側重錘を設けた左右側回動アームと、上部フレームを機枠に枢支し下部フレームを振り子原理で左右揺動自在に構成した揺動フレームと、揺動フレームの下部フレームを左右側ギア体に一体に連設した連動機構とより構成したことにより、本来左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与して回転する入力軸には新たに振り子原理で左右揺動自在に構成した揺動フレームの揺動エネルギーが付加されることになり、その分新たな振り子原理の揺動フレームの揺動エネルギーが付加され基本的な動力源からの基礎エネルギーに対して付加エネルギーの分だけ出力が増幅される効果があり、特別に人工エネルギーのみを使用することに比較してエネルギーのロスを可及的に減少することができる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、左右側ギア軸の一方に回転入力する入力軸と左右側の一方のギア軸とはユニバーサルジョイントを介して連動連結して、左右側ギア軸の左右揺動にかかわらず確実に入力軸から左右側ギア軸の一方に回転動力を伝達することができるように構成したことにより、本来の基礎エネルギーの出力連動機構がユニバーサルジョイントを介して自在にエネルギーの伝達が行え入力エネルギーの増幅を行うことができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、左右側ギア軸の後方突出端部は揺動フレームの下部フレームに回転自在に連設したことにより、左右側ギア軸の後方突出端部の振り子運動を直接的に揺動フレームの揺動運動に伝達揺動させて振り子運動エネルギーを有効に取り出すことができる。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、出力変換機構は、揺動フレームの下部フレームに生起する左右揺動エネルギーを回転動力や水平動力に変換して取り出す機構としたことにより、増幅エネルギーを有効に取り出してエネルギー不変の法則、エネルギー保存の法則に反しない出力エネルギーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施例に係る出力増幅機構の全体構成を示す正面側斜視図である。
【
図2】第1の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す正面側斜視図である。
【
図3】第1の実施例に係る出力増幅機構の全体構成を示す背面側斜視図である。
【
図4】第1の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す正面図である。
【
図5】第1の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的正面図である。
【
図6】第1の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的正面図である。
【
図7】第1の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的正面図である。
【
図8】第1の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的正面図である。
【
図9】第2の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図である。
【
図10】第3の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図である。
【
図11】第4の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図である。
【
図12】第5の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図である。
【
図13】第6の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図である。
【
図14】第6の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的平面図である。
【
図15】第7の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的斜視図である。
【
図16】第8の実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的斜視図である。
【
図17】第8の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的背面図である。
【
図18】第8の実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の要旨は、互いに噛合する左側ギア体及び右側ギア体と、左右側ギア軸の一方に一定の回転動力源から回転エネルギーを付与して回転する入力軸と、左右側ギア軸の基端部を連設し先端部に左右側重錘を設けた左右側回動アームと、上部フレームを機枠に枢支し枢支部を中心に下部フレームを左右揺動自在とした揺動フレームと、同フレームの下部フレームと左右側ギア体とを一体に連動連設した連設機構とより構成し、左右側回動アームの回動に伴う左右側ギア体の揺動を介して揺動フレームの下部フレームに上部フレームの枢支部を中心とした振り子形態の左右揺動エネルギーを生起させ、左右揺動エネルギーを揺動フレームの一部に連設した出力変換機構を介して取り出すべく構成したことを特徴とする。
【0019】
また、左右側ギア軸の一方に回転入力する入力軸と左右側の一方のギア軸とはユニバーサルジョイントを介して連動連結することにより、左右側ギア軸の左右の揺動にかかわらず確実に入力軸から左右側ギア軸の一方に回転動力を伝達することができるように構成したことを特徴とする。
【0020】
また、左右側ギア軸の後方突出端部は揺動フレームの下部フレームに回転自在に連設したことを特徴とする。
【0021】
また、出力変換機構は、揺動フレームの下部フレームに生起する左右揺動エネルギーを回転動力や水平動力に変換して取り出す機構としたことを特徴とする。
【0022】
<第1の実施例>
以下、この発明の第1の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本実施例に係る出力増幅機構の全体構成を示す正面側斜視図、
図2は本実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す正面側斜視図、
図3は本実施例に係る出力増幅機構の全体構成を示す背面側斜視図、
図4(a)及び
図4(b)は本実施例に係る出力増幅機構の構成を示す模式的正面図、
図5(a)から
図6(b)はそれぞれ本実施例に係る出力増幅機構の稼働状態を示す模式的正面図である。
【0023】
本発明の出力増幅機構Aは、基本的には入力軸1からの入力エネルギーに対して左右側回動アーム2,3の回動によって発生する重力の左右変動に基づく揺動フレーム4の振り子運動のエネルギーを付加して入力エネルギーを振り子エネルギーの分だけ増幅して取り出すように構成したものであり、エネルギー保存の法則や不変の法則に反することなく重力振り子エネルギーの付加分だけ増幅エネルギーとして取り出し効率的な省エネに貢献するように構成したものである。
【0024】
出力増幅機構Aは、
図1から
図3に示すように、方形状の機枠フレームaの左右に左側ギア体5及び右側ギア体6を互いに噛合させた状態で軸支している。左側ギア体5及び右側ギア体6は、
図3及び
図4(b)に示すように、機枠フレームaに連設した揺動フレーム4に左側ステー40及び右側ステー41を介して取付けられている。なお、
図3及び
図4(b)中、符号42及び符号43は、それぞれ各左右側ギア体5,6のギア軸50,60を支持する左右側支持軸体を示す。
【0025】
左側ギア体5及び右側ギア体6は、互いに噛合した状態で同一の回転量となるものを使用する。すなわち、左側ギア体5及び右側ギア体6は、同径同大且つ同じギア比を有したものである。
【0026】
左側ギア体5及び右側ギア体6の各ギア軸50,60のうち一方のギア軸50は、
図1から
図3に示すように、電動モーターMにより回動する入力軸1に連動連設している。左側ギア軸50又は右側ギア軸60と入力軸1の間にはユニバーサルジョイント7を介在し、左側ギア体5及び右側ギア体6の揺動にかかわらず円滑に電動モーターMからの出力を左側ギア体5及び右側ギア体6に伝導可能に構成している。
【0027】
左側ギア軸50及び右側ギア軸60に軸支した左側ギア体5及び右側ギア体6は噛合して互いを反転可能に構成されていると共に、必要によってはユニバーサルジョイント7のかわりに入力軸1そのものを可撓性のフレキシブルシャフトとすることも可能である。
【0028】
左側ギア軸50及び右側ギア軸60の先端には、それぞれ左側回動アーム2及び右側回動アーム3の基端を連結している。左側回動アーム2及び右側回動アーム3はそれぞれ、左側ギア体5及び右側ギア体6と一体的に回転すると共に相対回転する。
【0029】
左側回動アーム2及び右側回動アーム3は、左側ギア体5及び右側ギア体6の径方向に沿うと共に、左側ギア体5及び右側ギア体6の周面より径方向外方へ先端を突出させている。
【0030】
左側回動アーム2及び右側回動アーム3は、一定の長さに規制し、基端を左右側ギア体5,6の円盤面に固定するとともに先端に左側重鍾20及び右側重錘30を連設している。左側回動アーム2及び右側回動アーム3は、ギア軸50、60を中心とした回動軌跡において互いに重なり合う際の干渉をさけるべく、先端に向けて前側へやや傾斜屈曲させて形成している。
【0031】
なお、各重錘20,30は、同一の重量のものであれば特に限定されることはなく、本実施例では、円柱重錘を使用している。また、左右側回動アーム2,3における各重錘20,30が設けられる位置(左右側回動アーム2,3の長さ)は、ギア軸50,60を中心とした各重錘20,30までの距離が、同一距離となる位置、すなわち同一の回動半径となる位置である。
【0032】
左右側回動アーム2,3の基端は左右側ギア体5,6の回転中心部であるギア軸50,60に連設する場合と、各ギア体5,6の中心から偏心して連設する場合とがある。左右側回動アーム2,3を各ギア体5,6の中心から偏心して連設する場合は、左右側回動アーム2,3との連設部が互いに左右、または上下の対設位置となるように回転自在に連設する。
【0033】
詳細には、左右側回動アーム2,3は、
図4(a)、
図4(b)及び
図8(b)に示すように、各ギア体5,6の相対回転に伴い、左側回動アーム2が12時方向(上方向)に位置するときには、右側回動アーム3は上下逆側の6時方向(下方向)に位置する。右側回動アーム2が12時方向(上方向)に位置するときには、
図6(b)に示すように、右側回動アーム3は上下逆側の6時方向(下方向)に位置する。
【0034】
また、左側回動アーム2が9時方向(左方向)に位置するときには、
図5(b)に示すように、左側回動アーム2と同様、右側回動アーム3も上下逆側の9時方向(左方向)に位置する。左側回動アーム2が3時方向(右方向)に位置するときには、
図7(b)に示すように、左側回動アーム2と同様、右側回動アーム3も上下逆側の3時方向(右方向)に位置する。
【0035】
すなわち、左側回動アーム2及び右側回動アーム3はそれぞれ、相対回転する左側ギア体5及び右側ギア体6に対して、互いの相対的な位置関係として、それぞれが上下方向に位置する際には互いに上下逆方向に位置し、それぞれが左右方向に位置する際には互いに左右同一方向に位置するように配設される。
【0036】
かかる構成により、左右側ギア体5,6の噛合による反転作動にともない左右側重鍾20,30の回転遠心力で左右側回動アーム2,3が逆回動し、しかも、左右側回動アーム2,3の反対方向の回動に伴う左右反対方向への遠心力起動によって左右側ギア体5,6は噛合状態で左右方向に揺動する。
【0037】
なお、左側回動アーム2及び右側回動アーム3が、上下逆位置と左右同一位置との間で回動変位する際、一方の回動アーム2の上昇回動エネルギーは、他方の回動アーム3の降下回動エネルギーにより補完される。
【0038】
詳細には、一方の回動アーム2を上昇回動させる一方のギア体5の回転力は、一方の回動アーム2の先端に設けた重錘20を上昇させる分増加し、回転速度が減少する傾向にある。
【0039】
また、他方の回動アーム3を降下回動させる他方のギア体6の回転力は、他方の回動アーム3の先端に設けた重錘30が自重降下することで他方のギア体にさらなる回転力が加わり、回転速度が増加する傾向にある。
【0040】
すなわち、他方の回動アーム3を降下回動させた際に発生した付加的な他方のギア体6の回転エネルギーを一方のギア体5が一方の回動アーム2を上昇回動させるためのエネルギーとして効果的に利用し、電動モーターMの入力軸1に無用な回転トルク負荷をかけることがなく、安定したスムーズな回動動作を実現する。
【0041】
詳細には、
図4(b)から
図6(a)に示すように、左側回動アーム2が、12時位置から6時位置に向かう降下回動に伴い先端の重錘20が自重落下(図中、一点鎖線で示す。)することで、左側ギア体5に付加的な回転力が生起する。
【0042】
左側ギア体5の付加的な回転力は、噛合する右側ギア体6に伝達され、逆位置にある右側回動アーム3が6時位置から12時位置に向かって重錘30を上昇させる相対的な回転力に利用される。
【0043】
同様に、
図6(b)から
図8(b)に示すように、右側回動アーム3が、12時位置から6時位置に向かって降下回動するに伴い重錘30が自重落下(図中、一点鎖線で示す。)することで、右側ギア体6に付加的な回転力が生起する。
【0044】
右側ギア体6に生起した付加的な回転力は、噛合する左側ギア体6に伝達されて逆位置にある左側回動アーム2が6時位置から12時位置に向かって上昇回動する相対的な回転力に利用される。
【0045】
また、左側回動アーム2及び右側回動アーム3の回動に伴い生起される回動遠心力は、
図2、
図5(b)、及び
図7(b)に示すように、左側回動アーム2及び右側回動アーム3が重なり合い、互いの先端が同一方向に向くとき、すなわち、ギア軸50、60を中心とした回動軌跡において重錘20,30が同一の位置にあるときに最大となる。
【0046】
特に、上述のように左側回動アーム2と右側回動アーム3のそれぞれの降下回動と昇降回動が互い違いに行われて各ギア体5,6の回転トルクが安定するため、回転速度が不要に減速されず、左側回動アーム2及び右側回動アーム3の重錘20,30による回動遠心力の生起が助長される。
【0047】
本実施例では、
図5(b)及び
図7(b)に示すように、左側回動アーム2及び右側回動アーム3の位置が3時位置及び9時位置にある際に、左右方向へ向かう遠心力が最大となる。これに伴い、左右側ギア体5,6に左右方向への揺動力が生起する。
【0048】
この左右側ギア体5,6の左右方向への揺動にともない、左右側ギア体5,6に連動連設した方形状の揺動フレーム4も左右に揺動することとなる。
【0049】
換言すれば、本実施例の出力増幅機構Aは、揺動フレーム4において揺動する下部フレームとしての下辺杆44の伸延方向(揺動方向)と、左側回動アーム2及び右側回動アーム3の先端方向とが、同じ方位に向くように左側回動アーム2及び右側回動アーム3を左側ギア体5及び右側ギア体6に取り付けている。
【0050】
方形状の揺動フレーム4の上部フレームとしての仮想上辺杆45の左右端部は、左右側揺動ステー8,9の上端と共に機枠フレームaに左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90により連設されると共に、下部フレームとしての下辺杆44の左右端部は左右側揺動ステー8,9の下端でそれぞれ左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91により軸支し連設されている。
【0051】
すなわち、揺動フレーム4は、仮想上辺杆45の左右端部における機枠フレームaとの左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90と、下辺杆44の左右端部における左右側揺動ステー8,9との左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91と、により仮想平行四辺形を形成し、左右側揺動ステー8,9の各揺動軸80,90,81,91を介して回動し、方形状の平行四辺形から左右傾斜状の平行四辺形の揺動フレーム4に変形する。
【0052】
かかる作動変形する揺動フレーム4は、左右側揺動ステー8,9の上下端部に設けた各揺動軸80,90,81,91を中心に左右方向へ揺動することにより、かかる揺動エネルギーを連動機構を介して外部に取出すように構成している。なお、図中、符号80a,90aは、左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90を機枠フレームaの上辺左右側で回転可能に軸支する軸受部である。
【0053】
かかる揺動フレーム4の左右方向への揺動エネルギーを電動モーターMからの出力エネルギーに付加することにより本発明の出力増幅機構を構成するようにしたことが本発明の技術の要旨である。出力増幅機構Aから取り出した増幅エネルギーは前後ピストン運動を行うような連動機構を介して外部に取出し他の運動エネルギーに応用する。
【0054】
<第2の実施例>
図9は、第2の実施例としての出力増幅機構A2を示す。本実施例では、左右側ギア体5,6に連動連設した平行四辺形たる揺動フレーム4の代わりに三角フレーム4aを使用する。
【0055】
三角フレーム4aは、頂部4a’を機枠フレームaに枢支し、同頂部4a’を中心に左右に揺動するように構成している。三角フレーム4aは、左側揺動ステー8と、右側揺動ステー9と、下部フレームとしての下辺杆44と、により下二等辺三角形に形成される。
【0056】
また、三角フレーム4aは、三つの角部に、それぞれ上側揺動軸80’と左下側揺動軸81と右下側揺動軸91との3つの揺動軸を有する。上側揺動軸80’は、左側揺動ステー8の上端と右側揺動ステー9の上端との交差部分、すなわち三角フレーム4aの頂部4a’に設けられ、機枠フレームaに三角フレーム4aを枢支する。
【0057】
左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91は、それぞれ下辺杆44の左右端部と左側揺動ステー8の下端及び下端右側揺動ステー9の下端との交差部分に設けられ、三角フレーム4aを変形可能とする。
【0058】
三角フレーム4aの左右下端部は前述の平行四辺形の揺動フレームの実施例と同様に左右側ギア体5,6に連動連設して左右側回動アーム2,3の回動による左右側ギア体5,6の左右揺動を行う。この三角フレーム4aの揺動エネルギーの発生は平行四辺形のフレームの実施例と同様であり、平行四辺形の揺動フレームの代わりに三角フレーム4aによって揺動エネルギーを発生させるものである。
【0059】
<第3の実施例>
図10は、第3実施例としての出力増幅機構A3を示す。本実施例の出力増幅機構A3としての基本的な技術構造は前の実施例と異なるところはなく、いづれも左右側回動アーム2,3の回転遠心力から発生するエネルギーを入力エネルギーに付加してエネルギーの増幅を行うものである。
【0060】
第3実施例に係る出力増幅機構A3は、互いに噛合する左側ギア体5及び右側ギア体6と、左側ギア軸50及び右側ギア軸60の基端部に連設し先端部に左側重錘20左側重錘30を設けた左側回動アーム2及び右側回動アーム3と、より構成している。すなわち、出力増幅機構A3は、左右側回動アーム2,3の回動に伴って左右側ギア体5,6のギア取付けフレーム4bの揺動を生起して増幅エネルギーを生成する。
【0061】
ギア取付けフレーム4bは、下端部を機枠フレームaに回動可能に枢支した左右側揺動支持部40b、40b’と、左右側揺動支持部40b、40b’の上端部に両端部で回動可能に枢支した水平状のギアフレーム本体部41bと、よりなる。ギア取付けフレーム4bは、ギアフレーム本体部41bの所定位置に左側ギア軸50及び右側ギア軸60を回転可能に枢支し、揺動エネルギーから増幅エネルギーを出力するように構成している。
【0062】
左側ギア軸50及び右側ギア軸60のギアフレーム本体部41bへの取付位置は、ギアフレーム本体部41bの左右方向の中央部を中心に互いに左右対称となる位置である。ギアフレーム本体部41bの両端部には、それぞれ左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90が設けられている。
【0063】
また、機枠フレームaの所定位置には、左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91が設けられている。なお、機枠フレームaにおける左下側揺動軸81と右下側揺動軸91との離間距離は、ギアフレーム本体部41bの左右長さに等しい。また、左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91の機枠フレームaへの取付位置は、ギアフレーム本体部41bの左右方向の中央部を中心に互いに左右対称となる位置である。
【0064】
左側揺動支持部40b及び右側揺動支持部40b’はそれぞれ、上端部をギアフレーム本体部41bに設けた左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90に回動自在に枢支すると共に、下端部を機枠フレームaに設けた左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91に回動自在に枢支し、ギアフレーム本体部41bの下方を両端側から支持しつつ左右揺動する。
【0065】
かかるギア取付けフレーム4bの揺動が実施例の平行四辺形たる揺動フレーム4の揺動に相当し、このように基本的には増幅エネルギー発生の技術的構成は他の実施例と同様である。換言すれば、ギアフレーム本体部41bと、左右側揺動支持部40b,41b’と、左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91間の機枠フレームaの仮想底辺杆とは、揺動変位する平行四辺形を形成する。
【0066】
すなわち、ギア取付けフレーム4bにおいて、ギアフレーム本体部41bは上述した実施例1や実施例2の左右揺動する下辺杆44に相当し、揺動支持部40bは上述した実施例1や実施例2の左側揺動ステー8や右側揺動ステー9に相当し、左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91間の仮想底辺杆は機枠フレームaに固定される仮想上辺杆45に相当する。
【0067】
図10中、符号42b,42b’は、ギア取付けフレームのギアフレーム本体部41bの揺動始端と揺動終端の位置に設けた左右側の揺動ストッパ部である。左側揺動ストッパ部42bと右側揺動ストッパ部42b’とは、ギア取付けフレーム4bの左右外方且つ機枠フレームaの底辺部で立設している。
【0068】
左側揺動ストッパ部42b及び右側揺動ストッパ部42b’のそれぞれの立設位置は、ギア取付けフレーム4bの揺動エネルギーが最大となる位置である。詳細には、左側揺動ストッパ部42b及び右側揺動ストッパ部42b’のそれぞれの立設位置は、ギア取付けフレーム4bに設けられた左側回動アーム2及び右側回動アーム3が回転して互いの先端部(重錘20,30)を左右同一方向に位置付けた際、ギア取付けフレーム4bにおけるギアフレーム本体部41bが左右方へ揺動する最大変位位置に設定している。
【0069】
このようにして左側揺動ストッパ部42b及び右側揺動ストッパ部42b’の間で揺動するギア取付けフレーム4bに生起する左右揺動エネルギーを同フレーム4bの一部に連設した出力変換機構を介して取り出すべく構成している。
【0070】
なお、上記の実施例では左右側ギア軸50,60の基端部に連設して先端部に左右側重錘20,30を設けた左右側回動アーム2,3は、機枠フレームaの前後位置に離隔して配設し、互いに反対方向に回動するように構成しているが前実施例と基本的には変わらない。
【0071】
また、左右側回動アーム2,3の回動によるギア取付けフレームの揺動は前実施例の平行四辺形フレームの揺動に該当し、左右側回動アームの反対方向の相対的回動位置関係は互いに一直線に並んだ時に最も大きな揺動エネルギーが生起する位置関係であることは前実施例と同様である。
【0072】
<第4の実施例>
第4の実施例に係る出力増幅機構A4では、
図11の模式図に示すように左右側回動アームの回動にともない左右側ギア体5,6のギア取付けフレーム4bの揺動を生起して増幅エネルギーを生成する。
【0073】
ギア取付けフレーム4bは、揺動支持部40bの下端部を機枠フレームaに枢支し、ギアフレーム本体部41bは下端部の枢支部から左右に揺動自在に構成し、かかる揺動するギア取付けフレーム4bの揺動エネルギーから増幅エネルギーを出力するように構成している。かかるギア取付けフレーム4bの揺動が前実施例の平行四辺形の揺動に該当し、このように基本的には増幅エネルギー発生の技術的構成は他の実施例と同様である。
【0074】
第4の実施例では、
図11(a)に示すように、ギア取付けフレーム4bに軸支したギア体5a,6a,5b,6bが4個であり、互いに順次噛合しながらそれぞれのギア軸50a,60a,50b,60bに回動アーム2a,3a,2b,3bを設けている。
【0075】
4個のギア体5a,6a,5b,6bに軸支したそれぞれの4個の回動アーム2a,3a,2b,3bにおいて、揺動エネルギーが左右方向に最も集中するのは、
図11(b)に示すように、各アームが左右一直線に並んだ時である。すなわち、4個の回動アーム2a,3a,2b,3bが左右の一直線方向を向き、結果的に上述した第1~3実施例の2個の回動アームに比して4個の回動アーム2a,3a,2b,3bの一致した合同の揺動エネルギーを生起し、その分揺動エネルギーをより増幅することができることになる。
【0076】
すなわち、本実施例は互いに噛合する左側ギア体5a,5b及び右側ギア体6a,6bと、左右側ギア軸50a,60a,50b,60bのうちいずれかに連結して一定の回転動力源から回転エネルギーを付与して回転する入力軸1と、基端部を左右側ギア軸基部に連設し、先端部に左右側重錘20a,30a,20b,30bを設けたことと、ギア取付けフレーム4bを機枠フレームaに枢支して振り子原理で左右揺動自在に構成したことと、ギア取付けフレーム4bに一体に連設した連動機構とより構成している。
【0077】
しかも、重錘20a,30a,20b,30bの回転重力に伴う左右側回動アーム2a,3a,2b,3bの回動によって左右側ギア体が振り子状の揺動を行い左右側ギア体に一体に連設した平行四辺形フレームも同期して振り子原理に基づき揺動して左右揺動エネルギーを生起し、左右揺動エネルギーを出力変換機構を介して取り出すべく構成したことを特徴としている。
【0078】
<第5の実施例>
第5の実施例に係る出力増幅機構A5は、
図12の模式図に示すように、左右側回動アームの回動にともない左右側ギア体のギア取付けフレームの揺動を生起して増幅エネルギーを生成するものであり、基本的には第4実施例と同様のエネルギー増幅機構で構成される。
【0079】
異なる点は、上述してきた第1~4の実施例のギア構成の様に横方向に噛合させるのではなく、縦方向に5個のギア体5a,6a,5b,6b,5cを配列すると共に、全体的に90度回転して縦配列としたことに特徴がある。
【0080】
ギア取付けフレーム4bのギアフレーム本体部41bは左端部の枢支部から上下に揺動自在に構成し、かかる上下揺動するギア取付けフレーム4bの揺動エネルギーから増幅エネルギーを出力するように構成している。
【0081】
第5の実施例では、ギア取付けフレームに軸支したギア体5a,6a,5b,6b,5cが5個であり互いに上下に順次噛合すると共に、各ギア軸50a,60a,50b,60b,50cには先端に重錘20a,30a,20b,30b,20cを有する回動アーム2a,3a,2b,3b,2cを回動自在に枢支している。
【0082】
5個のギア体5a,6a,5b,6b,5cに軸支したそれぞれの5個の回動アーム2a,3a,2b,3b,2cにおいて、揺動フレーム4としてのギア取付けフレーム4bの揺動エネルギーが上下方向に集中するのは各アーム2a,3a,2b,3b,2cが上下一直線に並んだ時である。
【0083】
特に、各アーム2a,3a,2b,3b,2cの先端が下側に向いたときに、重錘20a,30a,20b,30b,20cの荷重も最大となるため、遠心力とともに最も揺動エネルギーが最大となる。
【0084】
すなわち、第1~3の実施例の2個の回動アームに比し5個の回動アーム2a,3a,2b,3b,2cの一致した合同の揺動エネルギーを生起して、その分揺動エネルギーをより増幅することができることになる。
【0085】
しかも、本実施例の出力増幅機構A5では、回動アーム2a,3a,2b,3b,2cが上下に回転することになるため上方向から下方向への回転に伴う降下重力エネルギーを更に付加することができるため増幅エネルギー機構としての効果を増進することができる効果がある。
【0086】
<第6の実施例>
第6の実施例に係る出力増幅機構A6は、
図13の模式図に示すように、左右側回動アームの回動にともない左右側ギア体のギア取付けフレームの揺動を生起して増幅エネルギーを生成するものであり、基本的には第3実施例と同様のエネルギー増幅機構で構成される。
【0087】
第6実施例に係る出力増幅機構A6は、互いに噛合する左側ギア体5及び右側ギア体6と、左側ギア軸50及び右側ギア軸60の基端部に連設し先端部に左側重錘20と右側重錘30を設けた左側回動アーム2及び右側回動アーム3と、より構成している。
【0088】
左側ギア軸50及び右側ギア軸60は、ギア取付けフレーム400bに枢支されている。ギア取付けフレーム400bは、左側ギア軸50及び右側ギア軸60を回転可能に枢支するギアフレーム本体部410bと、ギアフレーム本体部410bを下方から揺動自在に支持する左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’を有する。
【0089】
ギアフレーム本体部410bは、左側ギア体5の左側ギア軸50及び右側ギア体6の右側ギア軸60をそれぞれ回転可能に枢支している。ギアフレーム本体部410bは、上下開放の箱型に形成され、
図14に示すように、前後に一定間隔を隔てて互いに対向する前後側連結板411b,411b’と、前後側連結板411b,411b’同士の両端部で互いに対向する左右側板412b,412b’と、より構成している。
【0090】
かかるギアフレーム本体部410bには、
図13(a),(b)、および
図14に示すように、左側ギア軸50及び右側ギア軸60が回転可能に設けられている。詳細には、左側ギア軸50及び右側ギア軸60は、
図14に示すように、平面視で前後側連結板411b,411b’の間に枢設される。
【0091】
また、左側ギア軸50及び右側ギア軸60は、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、正面視で前後側連結板411b,411b’の左右方向の中央部を中心に互いに左右対称となる位置に設けられる。
【0092】
すなわち、左側ギア体5及び右側ギア体6はそれぞれ、平面視で前後側連結板411b,411b’の間に設けた左側ギア軸50及び右側ギア軸60に取り付けられて、ギア取付けフレーム400bの内側空間に配置される。すなわち、ギア取付けフレーム400bは、ギアボックスとして機能する。
【0093】
また、左側ギア軸50と右側ギア軸60はそれぞれ、
図14に示すように、平面視でギア取付けフレーム400bの前後外方へ先端部500,600を互い違いに突出させている。詳細には、左側ギア軸50は前側連結板411bの板面より前方へ先端部500を突出させると共に、右側ギア軸60は後側連結板411b’の板面より後方へ先端部600を突出させている。
【0094】
各ギア軸50,60の先端部500,600には、それぞれ左右側回動アーム2,3が一体的に取付けられている。すなわち、左側回動アーム2はギアフレーム本体部410bの前方に設けられると共に、右側回動アーム3はギアフレーム本体部410bの後方に設けられる。
【0095】
これにより、各アーム2,3が相対回転して対峙しても互いに干渉することがない。また、各アーム2,3の先端に取り付けた重錘20,30が、前後方向についてギアフレーム本体部410bを中心に、一定距離を保って前後に配置されることになるため、出力増幅機構A6の前後側の重心が安定して出力増幅機構A6の載置姿勢を保持できる。
【0096】
また、電動モーターMは、入力軸1を左下側揺動軸81と同一軸上に配置して、機枠フレームaに配設している。左側ギア軸50及び右側ギア軸60のうち、一方のギア軸50は、駆動源としての電動モーターMの入力軸1に、動力伝達部材としてのチェーン10を介して接続している。なお、入力軸1と出力軸としての左側ギア軸50とには、それぞれチェーン10に噛合するスプロケットを設けている。
【0097】
このように、上方の左側ギア軸50と下方の入力軸1との間にチェーン10やベルトワイヤ、ユニバーサルシャフト等の動力伝達部材を介設することにより、電動モーターMを固定したまま、チェーン10を右側揺動支持部420b’の左右揺動動作に同期させながら、電動モーターMの回転駆動力を左側ギア軸50に伝達できる。
【0098】
また、左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’はそれぞれ、上端部をギアフレーム本体部410bに設けた左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90に回動自在に枢支すると共に、下端部を機枠フレームaに設けた左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91に回動自在に枢支し、ギアフレーム本体部41bの下方を両端側から支持しつつ左右揺動する。
【0099】
特に本実施例の左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’の上端部は、それぞれ左側ギア軸50及び右側ギア軸60に同軸で配置した左上側揺動軸80及び右上側揺動軸90に枢支されている。
【0100】
詳細には、
図14に示すように、左側揺動支持部420bの上端部は、平面視で左側回動アーム2とギアフレーム本体部410bとの間の左側ギア軸50の先端部500を左上側揺動軸80にして枢支している。また、右側揺動支持部420b’の上端部は、平面視で右側回動アーム3とギアフレーム本体部410bとの間の右側ギア軸60の先端部600を右上側揺動軸90にして枢支している。
【0101】
また、左側揺動支持部420bの下端部は、左側回動アーム2とギアフレーム本体部410bとの間の左側ギア軸50の先端部500の直下位置で前方に突出した左下側揺動軸81に枢支している。また、右側揺動支持部420b’の下端部は、右側回動アーム3とギアフレーム本体部410bとの間の右側ギア軸60の先端部600の直下位置で前方に突出した右上側揺動軸90に枢支している。
【0102】
すなわち、左側揺動支持部420bはギアフレーム本体部410bの前方に設けられると共に、右側揺動支持部420b’はギアフレーム本体部410bの後方に設けられる。
【0103】
また、機枠フレームaの両端上部には、ギアフレーム本体部410bの揺動終端位置を規制する左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’を設けている。左側揺動ストッパ部430bは、左方へ揺動変位する左側揺動支持部420bの左上側部に当接してギア取付けフレーム400bの左方揺動位置を規定する。右側揺動支持部420b’は、右方へ揺動変位する右側揺動支持部420b’の右上側部に当接してギア取付けフレーム400bの左方揺動位置を規定する。
【0104】
なお、機枠フレームaの上面における左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’のそれぞれの配設位置は、ギア取付けフレーム400bに設けられた左側回動アーム2及び右側回動アーム3が回転して互いの先端部(重錘20,30)を左右同一方向に位置付けた際、ギア取付けフレーム4bにおけるギアフレーム本体部410bが左右方へ揺動する最揺動端位置に設定している。
【0105】
なお、左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’がそれぞれ左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’に接触する当接面は、各左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’の揺動傾斜姿勢に沿うテーパー面に形成することとしてもよい。
【0106】
このようにして左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’の間で揺動するギア取付けフレーム400bに生起する左右揺動エネルギーを同フレーム400bの一部に連設した出力変換機構Bを介して取り出すべく構成している。
【0107】
出力変換機構Bは、例えば、
図13(a)に示すように、出力増幅機構A6に接続して揺動運動を昇降運動に変換し、ワークWを上下昇降させる昇降装置として構成している。具体的には、出力変換機構Bは、一端を出力増幅機構Aの揺動変位するギアフレーム本体部410bに連結すると共に他端をワークWに連結したワイヤB10と、ワイヤB10が巻き掛られるプーリB11と、で構成している。
【0108】
このような構成の出力増幅機構A6によれば、次のようして入力軸1からの入力エネルギーに対して左右側回動アーム2,3の回動によって発生する重力の左右変動に基づく揺動フレーム4の振り子運動のエネルギーを付加し、入力エネルギーを振り子エネルギーの分だけ増幅して取り出す。
【0109】
すなわち、左右側回動アーム2,3の先端の重錘20,30は、基本的に、左右側ギア体5,6により平均を保たれる。左右側回動アーム2,3の回転に伴い、先端の重錘20,30が仮想中心線CAよりも左右方のいずれか一方に移動すると、重心が左右方のいずれか一方へ偏心してギアフレーム本体部410bも左右方のいずれか一方に移動する。
【0110】
なお、仮想中心線CAは、ギアフレーム本体部410bと、左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’と、機枠フレームaの底辺部とによりなす平行四辺形フレームたるギアフレーム400bが直角方形状となった無偏心状態の正位置となった際に重心を通る仮想縦線である。
【0111】
このようにギアフレーム本体部410bが揺動するエネルギーは、左右側の重錘20,30の重量エネルギーと回動する左右側回動アーム2,3の遠心力エネルギーとなる。すなわち、互いに噛合する2つの左右側ギア体5,6により左右側回動アーム2,3の先端の重錘20,30のバランスを取りつつ、重心移動に余分なエネルギーを消費しない。
【0112】
つまり、ギア取付けフレーム400bの揺動が前実施例の平行四辺形たる揺動フレーム4の揺動に相当し、このように基本的には増幅エネルギー発生の技術的構成は他の実施例と同様である。換言すれば、ギアフレーム本体部41bと、左右側揺動支持部40b、41b’と、左下側揺動軸81及び右下側揺動軸91間の機枠フレームaの仮想底辺杆とは、揺動変位する平行四辺形を形成する。
【0113】
なお、上記の実施例では左右側ギア軸50,60の基端部に連設し先端部に左右側重錘20,30を設けた左右側回動アーム2,3は、機枠フレームaの前後位置に離隔して配設し互いに反対方向に回動するように構成しているが前実施例と基本的には変わらない。
【0114】
また、左右側回動アーム2,3の回動によるギア取付けフレームの揺動は前実施例の平行四辺形フレームの揺動に該当し、左右側回動アームの反対方向の相対的回動位置関係は互いに一直線に並んだ時に最も大きな揺動エネルギーが生起する位置関係であることは前実施例と同様である。
【0115】
<第7の実施例>
第7の実施例に係る出力増幅機構A7は、
図15の模式図に示すように、左右側回動アーム2,3の回動にともない左右側ギア体5,6のギア取付けフレームの揺動を生起して増幅エネルギーを生成するものであり、基本的には第6実施例と同様のエネルギー増幅機構で構成される。
【0116】
異なる点は、左右に相対回転する左右側ギア体5,6がそれぞれ、前後側に一定間隔で配置されて間に介設した駆動ギア体1aに直接的に噛合して相対回転することにある。
【0117】
詳細には、左右側ギア体5,6は前後側で一定距離離隔して配置された出力ベベルギア体500,600(かさ歯車)で構成すると共に、入力軸1に連設した駆動ギア体1aは前後側従動ベベルギア体500,600の間で各ギア体に噛合する中央の入力ベベルギア体100で構成している。
【0118】
出力ベベルギア体500,600の前後側ギア軸50b,60bは、ギアフレーム本体部410bに対して互いに同軸上に配置されると共に相対回転可能に枢支される。また、入力ベベルギア体100の入力軸1は、ギアフレーム本体部410bに対して、前後側ギア軸50b,60bに直交して配置すると共に常時水平状態を保持する。なお、
図15中、符号bは、前後側ギア軸50b,60b同士を相対回転可能に連結するジョイント部である。
【0119】
また、前後側ギア軸50b,60bの前後中途部には、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の上端部が回動可能に枢支されている。前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’は、左側揺動支持部420b及び右側揺動支持部420b’に相当する支柱部分であって、下端部を機枠フレームaに回動可能に枢支している。なお、本実施例の機枠フレームaは、平板状の台座で構成している。
【0120】
また、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の左右方には、左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’が立設しており、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の揺動範囲を規定している。
【0121】
このような出力増幅機構A7によれば、機構全体を大型化した重心移動を行うことができる。すなわち、ギアフレーム本体部410bの左右揺動に伴い、入力軸1が常時水平状態を保持して底面に対して並行を保たれ、その真横に出力ベベルギア体500,600を配置して各アーム2,3の回動が安定することとなる。
【0122】
詳細には、入力ベベルギア体100により、ギア軸50,60を同一軸線上に配置した前後の出力ベベルギア体500,600のバランスが保持されるため、正面視における左右側ギア体5,6先端の重錘20,30のバランスが取りやすくなる。このため、実施例6と同様、重心の移動によって、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の先端には倒れが生じる。
【0123】
ギアフレーム本体部410bに2つの重錘20,30の重量分だけ重力がかかり、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’長さに応じて前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の倒れ幅を設定すれば、ギアフレーム本体部410bの左右揺動範囲が拡大して揺動エネルギーを増幅することができる。
【0124】
しかも、左右側の揺動範囲を規制する左側揺動ストッパ部430b及び右側揺動ストッパ部430b’に対しても、相応の圧力が生じるためその押圧エネルギーも取り出すことができる。
【0125】
例えば、重錘20,30の重量をそれぞれ2ton、各アーム2,3の長さを3m、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の長さを4m、前側揺動支持部420c及び後側揺動支持部420c’の倒れ幅を40cmに設定した場合、1回転あたりのトルクは4tonとなる。これに遠心力が加わり、さらにトルクが増大する。
【0126】
したがって、各アーム2,3の回動に伴い、遠心力が最大となる各アーム2,3同士が先端方向を同一方向にした直線形態では、重錘20,30の重量応力と遠心力がギア取付けフレーム400bに伝達されて揺動エネルギーへと増幅転換される。
なお、各アーム2,3が、先端方向を同一方向にして横並びとなった場合には、水平・平行状態となることで回転抵抗を減少させる。
【0127】
このように本実施例の出力増幅機構A7によれば、入力ベベルギア体100を介して前後の出力ベベルギア体500,600の回転運動が安定すると共に、重錘20,30のバランスが取りやすくなるため、機構そのものを大型化することができ、安定して揺動エネルギーを取り出すことができる。
【0128】
<第8の実施例>
第8の実施例に係る出力増幅機構A8は、
図16~
図18の模式図に示すように、左右側回動アームの回動にともない左右側ギア体5,6を枢支した揺動フレーム4の揺動を生起して増幅エネルギーを生成するものであり、基本的には第1の実施例と同様のエネルギー増幅機構で構成される。
【0129】
異なる点は、第1の実施例に記載の出力増幅機構A1において、電動モーターMの前方に機枠フレームaを配設して揺動フレーム4を機枠フレームaの左右方向に揺動可能とした構成に対して、出力増幅機構A8では電動モーターMの上方に機枠フレームaを配設して揺動フレーム4を機枠フレームaの左右方向に揺動可能に構成し、さらには、先端部に重錘200を連設したバランスアーム210を電動モーターMの近傍に設けたことにある。なお、重錘200およびバランスアーム210以外の構成は、第1の実施例と同様であるため詳細の説明を省略する。
【0130】
第8の実施例に係る出力増幅機構A8は、左右のギア体5,6を上面に設けた機枠フレームaの下方にギア体5の回動を制御するモーターMを配設し、ギア体5のギア軸50とモーターMを入力軸1で連結し、入力軸1の下端部をモーターMの下方まで伸延し、その下端部に傘歯車220を介してバランスアーム210を連設したものである。
【0131】
バランスアーム210は、入力軸1の軸方向に伸延した板状体である。バランスアーム210は、傘歯車220を介して基端部を入力軸1に係合し、先端部に重錘200を連設している。バランスアーム210は、左右の回動アーム2,3と略同一長に構成している。また、重錘200は、左右の回動アーム2,3の先端部に設けた左右の重錘20,30と略同一の重量、同一形態に形成している。
すなわち、バランスアーム210の先端部に設けた重錘200は、左右の回動アーム2,3の先端部に設けた重錘20,30と同一の回転半径となる位置に設けられている。
【0132】
このような構成の出力増幅機構A8によれば、左右側回動アーム2,3が回動した際に機枠フレームaに生起される上下動を入力軸1の下部に連設したバランスアーム210先端部の重錘200の回転動作で補助することにより、左右側回動アーム2,3の回動が滑らかとなり揺動フレーム4の左右方向の揺動を増幅することができる。詳細には、モーターMは入力軸1に連結した左側ギア軸50を介して左側のギア体5を回動させるとともに左側のギア体5に噛合した右側のギア体6を回動させる。これに伴い、左右のギア体5,6に連設した回動アーム2,3も回動させる。左右の回動アーム2,3が回動すると、左右の回動アーム2,3の先端部に設けた重錘20,30の遠心力により、左右のギア体5,6が左右に揺動する。左右のギア体5,6は、揺動フレーム4の左右側ステー40,41(
図3参照)に支持されているため、左右のギア体5,6の左右揺動に伴い揺動フレーム4が左右に揺動する。また、左右のギア体5,6の左右揺動時には、
図17(a),(b)から
図18(a),(b)に示すように、機枠フレームaがバランスアーム210の基端部に設けた回動軸210aを中心とする円弧状の反復運動により上下に変位している。
【0133】
また、モーターMは、入力軸1を介してバランスアーム210を左右の回動アーム2,3と同時に回動させる。バランスアーム210は、ギア体5に連設した回動アーム2およびギア体6に連設した回動アーム3の上下変位と逆位相となるように設けられている。すなわち、左右の回動アーム2,3が下降変位するとバランスアーム210は上昇変位し、左右の回動アーム2,3が上昇変位すると、バランスアーム210は下降変位する。このように、バランスアーム210は、重錘200を上昇変位させることにより、左右の回動アーム2,3が下降変位する際に発生したエネルギーを重錘200を上昇変位させたことによる位置エネルギーとして保存し、また、重錘200を下降変位させることにより、保存した位置エネルギーを左右の回動アーム2,3が上昇変位するために利用している。
【0134】
左右の回動アーム2,3の回動と、バランスアーム210の回動について、
図17(a),(b)から
図18(a),(b)を参照して詳細に説明する。なお、左右の回動アーム2,3が前後に位置する状態を初期位置として説明する。また、
図17(a),(b)から
図18(a),(b)には、機枠フレームaの中心部の円弧回動軌跡r1およびバランスアーム210の回動軌跡r2を二点鎖線で示している。なお、機枠フレームaの円弧回動軌跡r1は、円弧状である。
【0135】
図17(a)に示すように、回動アーム2,3が機枠フレームaの前後に位置する場合、機枠フレームaは円弧回動軌跡r1の最上部に位置し、バランスアーム210は回動軌跡r2の最下部に位置する。
【0136】
次に、
図17(b)に示すように、左右の回動アーム2,3が機枠フレームaの前後位置から左側に回動した場合、機枠フレームaは円弧回動軌跡r1の最上部から最下部に変位し、バランスアーム210は回動軌跡r2の最下部から最上部に変位する。この際、左右の回動アーム2,3が円弧回動軌跡r1の最上部から最下部に変位した際に生じたエネルギー、すなわち、重錘20,30が円弧回動軌跡r1の最上部に位置する時に有する円弧回動軌跡r1の最下部に対する位置エネルギーが、バランスアーム210の先端部に設けた重錘200を回動軌跡r2の最下部から最上部に上昇させる変位エネルギーとして利用される。
【0137】
次に、
図18(a)に示すように、回動アーム2,3が機枠フレームaの左側から前後方向に変位する場合、機枠フレームaは円弧回動軌跡r1の最下部から円弧回動軌跡r1の最上部に変位し、バランスアーム210は回動軌跡r2の最上部から回動軌跡r2の最下部に変位する。この際、バランスアーム210が回動軌跡r2の最上部から最下部に変位した際に生じたエネルギー、すなわち、重錘200が回動軌跡r2の最上部に位置する時に有する回動軌跡r2の最下部に対する位置エネルギーが、回動アーム2,3の先端部に設けた重錘20,30を円弧回動軌跡r1の最下部から最上部に上昇させる変位エネルギーとして利用される。
【0138】
次に、
図18(b)に示すように、回動アーム2,3が前後方向から右側に変位する場合、機枠フレームaは円弧回動軌跡r1の最上部から最下部に変位し、バランスアーム210は回動軌跡r2の最下部から最上部に変位する。この際、左右の回動アーム2,3が円弧回動軌跡r1の最上部から最下部に変位した際に生じたエネルギー、すなわち、重錘20,30が円弧回動軌跡r1の最上部に位置する時に有する円弧回動軌跡r1の最下部に対する位置エネルギーが、バランスアーム210の先端部に設けた重錘200を回動軌跡r2の最下部から最上部に上昇させる変位エネルギーとして利用される。
【0139】
次に、
図17(a)に示すように、回動アーム2,3が右側から前後方向に変位する場合、機枠フレームaは円弧回動軌跡r1の最下部から最上部に変位し、バランスアーム210は回動軌跡r2の最上部から最下部に変位する。この際、バランスアーム210が回動軌跡r2の最上部から最下部に変位した時に生じたエネルギー、すなわち、重錘200が回動軌跡r2の最上部に位置する時に有する回動軌跡r2の最下部に対する位置エネルギーが、機枠フレームaを円弧回動軌跡r1の最下部から最上部に上昇させる変位エネルギーとして利用されて出力増幅機構A8による一回の出力増幅動作が終了する。
【0140】
このように、第8の実施例における出力増幅機構A8は、機枠フレームaの上下変位により生起される回動アーム2,3の先端部に設けた重錘20,30の上下変位をバランスアーム210の先端部に設けた重錘200の上下変位で補う構成により、モーターMで生起される入力軸1の回動エネルギーを回動アーム2,3を回動するためだけに利用でき、揺動フレーム4の左右方向の揺動幅を増幅して出力を増幅することができる。
【0141】
なお、上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0142】
A 出力増幅機構
M 電動モーター
a 機枠フレーム
1 入力軸
2 左側回動アーム
20 左側重錘
3 右側回動アーム
30 右側重錘
4 揺動フレーム
44 下辺杆(下部フレーム)
45 仮想上辺杆(上部フレーム)
8 左側揺動ステー
80 左上側揺動軸
81 左下揺動軸
9 右側揺動ステー
90 右上側揺動軸
91 右側揺動軸