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特開2024-102762バックボード取付構造及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102762
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】バックボード取付構造及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/40 20060101AFI20240724BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240724BHJP
【FI】
A47C7/40
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006871
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高蔵 実
(72)【発明者】
【氏名】高月 涼太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利春
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084EC02
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】バックボードの着脱が容易で且つ構成が簡素なバックボード取付構造を得る。
【解決手段】本バックボード取付構造では、背部に開口26が形成されたシートバックパッド20と、開口26に嵌合し、開口26を閉塞するバックボード24と、バックボード24をシートバックパッド20に係止するヘッドレストブッシュ44と、を備えている。シートバックパッド20及びバックボード24には、開口26に対するバックボード24の嵌合方向と交差する方向に貫通した貫通孔40、32が形成されており、これらの貫通孔40、32にヘッドレストブッシュ44が挿入される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部に開口が形成されたシートバックパッドと、
前記開口に嵌合し、前記開口を閉塞するバックボードと、
前記バックボードを前記シートバックパッドに係止する係止具と、
を備え、
前記シートバックパッド及び前記バックボードには、前記開口に対する前記バックボードの嵌合方向と交差する方向に貫通した貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記係止具が挿入されるバックボード取付構造。
【請求項2】
前記係止具は、ヘッドレストの脚部をシートバックに支持させるためのヘッドレストブッシュである請求項1に記載のバックボード取付構造。
【請求項3】
前記係止具は、前記シートバックパッドを構成する樹脂と同じ種類の樹脂によって構成されている請求項1又は請求項2に記載のバックボード取付構造。
【請求項4】
前記シートバックパッドの前記開口の内周部には、凹部が形成され、
前記バックボードの外周部には、前記凹部に嵌入する凸部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のバックボード取付構造。
【請求項5】
乗員が着座するシートクッションと、
前記乗員の背部を支持すると共に、請求項1又は請求項2に記載のバックボード取付構造によってバックボードがシートバックパッドに取り付けられたシートバックと、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関し、特にシートバックのバックボード取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートバックが背部の開口を覆うバックボードを有し、バックボードが内面上下部に設けられた取付手段をバックフレーム側に係止してバック背部に添設される車両用シートバックのバックボード取付構造が開示されている。この構造では、取付手段は、バックボードの上側に設けられてバックフレーム側の対応部に掛け止める上フックと、バックボードの下側に設けられて、表皮材の内、下端末部に付設されバックフレーム側の対応部に掛け止められるリテーナに対し係止される下フックとからなる。
【0003】
下記特許文献2には、バックボードがバックフレーム側の対応部に取り付けられ、バック背部の開口を覆った状態に添設される車両用シートバックのバックボード取付構造が開示されている。この構造では、バックフレーム側には後方向へ向けて張り出した掛止め部が設けられる一方、バックボードの内面には該バックボードの押し力により掛止め部を本体部内に受け入れて係止し、かつ該係止状態を操作部の引き操作により解除可能なロック手段を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-142913号公報
【特許文献2】特開2002-142914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された先行技術では、バックフレーム側の対応部にリテーナを掛け止める際や、上記対応部からリテーナを離脱させる際に、棒状の操作片を用いる必要があるため、バックボードの取付作業性および易解体性を向上させる観点で改善の余地がある。
【0006】
上記特許文献2に開示された先行技術では、バックフレームの掛止め部にバックボードを係止するロック手段が引き操作される操作部を有するため、ロック手段の構成が複雑になっている。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、バックボードの着脱が容易で且つ構成が簡素なバックボード取付構造及びこれを備えた車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様のバックボード取付構造は、背部に開口が形成されたシートバックパッドと、前記開口に嵌合し、前記開口を閉塞するバックボードと、前記バックボードを前記シートバックパッドに係止する係止具と、を備え、前記シートバックパッド及び前記バックボードには、前記開口に対する前記バックボードの嵌合方向と交差する方向に貫通した貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記係止具が挿入される。
【0009】
第1の態様のバックボード取付構造では、シートバックの背部に形成された開口にバックボードが嵌合し、開口が閉塞される。シートバックパッド及びバックボードには、シートバックパッドの開口に対するバックボードの嵌合方向と交差する方向に貫通した貫通孔が形成されており、当該貫通孔に係止具が挿入され、バックボードがシートバックパッドに係止される。これにより、バックボードを容易にシートバックパッドに取り付けることができる。しかも、上記の係止具を貫通孔から抜去することで、上記の係止が解除されるので、シートバックパッドからのバックボードの離脱が容易になる。さらに、引き操作される操作部を有するロック手段等が不要であるため、簡素な構成にすることができる。
【0010】
第2の態様のバックボード取付構造は、第1の態様において、前記係止具は、ヘッドレストの脚部をシートバックに支持させるためのヘッドレストブッシュである。
【0011】
第2の態様のバックボード取付構造では、ヘッドレストの脚部をシートバックに支持させるためのヘッドレストブッシュが係止具として兼用されるため、一層簡素な構成にすることができる。
【0012】
第3の態様のバックボード取付構造は、第1の態様又は第2の態様において、前記係止具は、前記シートバックパッドを構成する樹脂と同じ種類の樹脂によって構成されている。
【0013】
第3の態様のバックボード取付構造では、シートバックパッドを構成する樹脂と同じ種類の樹脂によって係止具が構成されるので、リサイクルが容易になる。
【0014】
第4の態様のバックボード取付構造は、第1の態様~第3の態様の何れか1つの態様において、前記シートバックパッドの前記開口の内周部には、凹部が形成され、前記バックボードの外周部には、前記凹部に嵌入する凸部が形成されている。
【0015】
第4の態様のバックボード取付構造では、バックボードの外周部に形成された凸部が、シートバックパッドの開口の内周部に形成された凹部に嵌入する。この嵌入によってもバックボードがシートバックパッドに保持されるので、前述した貫通孔及び係止具の数を少なくすることができる。
【0016】
第5の態様の車両用シートは、乗員が着座するシートクッションと、前記乗員の背部を支持すると共に、第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様のバックボード取付構造によってバックボードがシートバックパッドに取り付けられたシートバックと、を備えている。
【0017】
第5の態様の車両用シートでは、シートクッションに着座する乗員の背部がシートバックによって支持される。このシートバックでは、第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様のバックボード取付構造によってバックボードがシートバックパッドに取り付けられている。よって、第1の態様~第4の態様の何れか1つの態様と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、バックボードの着脱が容易で且つ構成が簡素になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る車両用シートを示す側面図である。
図2】第1実施形態に係るバックボード取付構造が備えるシートバックパッド及びバックボードを示す斜視図である。
図3】第1実施形態におけるシートバックパッド及びバックボードの右半部を示す斜視図である。
図4】第1実施形態におけるシートバックパッド及びバックボードを示す分解斜視図である。
図5】第1実施形態におけるバックボードの取付方法を説明するための第1の説明図である。
図6】第1実施形態におけるバックボードの取付方法を説明するための第2の説明図である。
図7】第2実施形態に係るバックボード取付構造が備えるシートバックパッド及びバックボードを示す斜視図である。
図8】第2実施形態におけるシートバックパッド及びバックボードの右半部を示す断面図である。
図9】第2実施形態におけるシートバックパッド及びバックボードを示す分解斜視図である。
図10】第2実施形態におけるバックボードの取付方法を説明するための説明図である。
図11】第2実施形態におけるバックボードの取付途中の状態を示す斜視図である。
図12】第3実施形態におけるシートバックパッド及びバックボードを示す分解斜視図である。
図13】第3実施形態におけるバックボードの取付方法を説明するための説明図である。
図14】第3実施形態におけるバックボードの取付途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、図1図6を参照して本発明の第1実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図中においては、図面を見易くする関係から一部の符号を省略している場合がある。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用シート10は、車両の乗員が着座するシートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16とを有している。図1に示される矢印SFR及びSUPは、車両用シート10の前方及び上方をそれぞれ示している。
【0022】
図1図6に示されるように、シートバック14は、フレームであるシートバックフレーム18と、シートバックフレームに被せられたシートバックパッド20と、シートバックパッド20の表面を覆ったシートバック表皮22(図1以外では図示省略)と、シートバック14の背部に設けられたバックボード24と、を備えている。なお、図2及び図3に示される矢印FR、LH及びUPは、シートバック14の前方、左方及び上方をそれぞれ示している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、シートバック14に対する方向を示すものとする。
【0023】
シートバックフレーム18は、例えば金属によって構成されており、シートクッション12のフレームである図示しないシートクッションフレームに連結されている。シートバックパッド20は、例えばウレタンフォーム等の発泡体からなり、シートバック14のクッション材を構成している。シートバック表皮22は、例えば布材、表皮、合成皮革からなる複数枚の表皮片が縫製されて袋状に構成されており、シートバックパッド20に被せられている。バックボード24は、例えば樹脂の射出成形によって製造されたものであり、略長尺板状をなしており、本発明の実施形態に係るバックボード取付構造によってシートバックパッド20の背部に取り付けられている。
【0024】
図3に示されるように、シートバックパッド20の背部には、開口26が形成されている。開口26は、前後方向から見て上下方向を長手とする略長尺矩形状をなしている。この開口26は、バックボード24によって閉塞されている。図4に示されるように、バックボード24は、前後方向を板厚方向とし且つ上下方向を長手方向とする長尺板状のボード本体28と、ボード本体28の外周部から前方側へ突出した周壁部30とを有している。周壁部30は、開口26の内側に嵌合しており、ボード本体28によって開口26が閉塞されている。
【0025】
上記の周壁部30は、上壁部30A、左壁部30B、右壁部30C及び下壁部30Dによって構成されている。上壁部30Aには、上壁部30Aを上下方向に貫通した左右2つの貫通孔32が左右方向に並んで形成されている。左壁部30Bには、左方側へ突出した複数(ここでは3つ)の凸部34が上下方向に並んで形成されている。同様に、右壁部30Cには、右方側へ突出した複数(ここでは3つ)の凸部34が上下方向に並んで形成されている。下壁部30Dには、下方側へ突出した凸部38が形成されている。凸部38は、左右方向に長尺に形成されており、左右方向両側の部分が左右方向中央側の部分に比して下方側へ突出している。
【0026】
上壁部30Aに対して上方側から接触した開口26の内周面(上面)には、左右2つの貫通孔32と対向する箇所に左右2つの貫通孔40(図2参照;左側の貫通孔40は図示省略)が形成されている。左右の貫通孔32は、シートバックパッド20の開口26に対するバックボード24の周壁部30の嵌合方向(前後方向)と交差する方向(ここでは上下方向)に上壁部30Aを貫通しており、左右の貫通孔40は、上記嵌合方向と交差する方向(ここでは上下方向)にシートバックパッド20の上端部を貫通している。左右の貫通孔40は、開口26の内周面(上面)で開口すると共に、シートバックパッド20の上端面で開口している。
【0027】
左右の貫通孔40の下方でシートバックフレーム18の上端部には、左右2つのヘッドレストブラケット42(図4参照)が設けられている。左右のヘッドレストブラケット42は、上下方向を軸方向とする筒状をなしている。左右の貫通孔32と、左右の貫通孔40と、左右のヘッドレストブラケット42とは、同軸上に配置されている。
【0028】
左右の貫通孔32と、左右の貫通孔40と、左右のヘッドレストブラケット42とには、ヘッドレスト16の左右の脚部(図示省略)をシートバック14に支持させるための左右2つのヘッドレストブッシュ44が挿入されている。左右のヘッドレストブッシュ44は、例えば樹脂の射出成形によって筒状に成形されたものであり、左右のヘッドレストブラケット42内に同軸的に挿入され、左右のヘッドレストブラケット42に保持されている。左右のヘッドレストブッシュ44内には、ヘッドレスト16の左右の脚部が挿入されており、左右のヘッドレストブッシュ44によって保持されている。また、左右のヘッドレストブッシュ44は、本発明における「係止具」に相当しており、シートバックパッド20の上端部に上壁部30Aを係止する機能を有している。
【0029】
右壁部30Cに対して右方側から接触した開口26の内周面(右面)には、複数の凸部34が嵌入した複数(ここでは3つ)の凹部46が形成されている。これにより、右壁部30Cがシートバックパッド20の右端部に保持されている。同様に、図示は省略するが、左壁部30Bに対して左方側から接触した開口26の内周面(左面)には、複数の凸部34が嵌入した複数(ここでは3つ)の凹部46が形成されている。これにより、左壁部30Bがシートバックパッド20の左端部に保持されている。下壁部30Dに対して下方側から接触した開口26の内周面(下面)には、凸部38が嵌入した凹部48が形成されている。これにより、下壁部30Dがシートバックパッド20の下端部に保持されている。凹部46、48は、開口26の内周面に形成されている。
【0030】
図5に示されるように、バックボード24がシートバックパッド20に取り付けられる際には、先ずバックボード24の下壁部30Dの凸部38がシートバックパッド20の下端部の凹部48に嵌入される。その後、バックボード24の周壁部30がシートバックパッド20の開口26に嵌合され、左壁部30Bの凸部34及び右壁部30Cの凸部34がシートバックパッド20の左端部及び右端部の凹部46に嵌入される。本手順で組付しやすいように、バックボード24の側面の凸部34よりも下面の凸部38の方が前方側に位置している。次いで、図6に示されるように、左右2つのヘッドレストブッシュ44が、シートバックパッド20の上端部の左右の貫通孔32と、バックボード24の上壁部30Aの左右の貫通孔40と、シートバックフレーム18の左右のヘッドレストブラケット42とに挿入される。これにより、シートバックパッド20に対するバックボード24の取り付けが完了する。
【0031】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用シート10では、シートクッション12に着座する乗員の背部がシートバック14によって支持される。このシートバック14では、背部に形成された開口26にバックボード24が嵌合しており、当該バックボード24によって開口26が閉塞される。シートバックパッド20及びバックボード24には、シートバックパッド20の開口26に対するバックボード24の嵌合方向(前後方向)と交差する上下方向に貫通した貫通孔40、32が形成されており、これらの貫通孔40、32にヘッドレストブッシュ44が挿入され、バックボード24がシートバックパッド20に係止されている。
【0032】
上記のように構成されているため、バックボード24を容易にシートバックパッド20に取り付けることができる。しかも、ヘッドレストブッシュ44を貫通孔40、32から抜去することで、上記の係止が解除されるので、シートバックパッド20からのバックボード24の離脱が容易になる。その結果、シートバック14の解体が容易になる。さらに、背景技術の欄で説明したような操作部を有するロック手段等が不要であるため、簡素な構成にすることができる。また、ヘッドレスト16の脚部をシートバック14に支持させるためのヘッドレストブッシュ44が係止具として兼用されているため、一層簡素な構成にすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、シートバックパッド20の開口26の内周部には、凹部46、48が形成され、バックボードの外周部には、凹部46、48に嵌入する凸部34、38が形成されている。この嵌入によってもバックボード24がシートバックパッド20に保持されるので、シートバックパッド及びバックボードに形成される貫通孔の数と係止具の数を少なくすることができる。
【0034】
<第2の実施形態>
次に、図7図11を参照して本発明の第2実施形態に係るバックボード取付構造について説明する。なお、説明済みの実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、説明済みの実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
【0035】
第2実施形態に係るバックボード取付構造では、図9に示されるように、バックボード24の下壁部30Dには、凸部38の代わりに左右2つの貫通孔50が形成されており、シートバックパッド20の下端部には、凹部48の代わりに左右2つの貫通孔52が形成されている。左右の貫通孔52は、開口26の内周面(下面)及びシートバックパッド20の下端面で開口しており、左右の貫通孔50に対して下方側から対向している。左右の貫通孔50は、開口26に対するバックボード24の周壁部30の嵌合方向(前後方向)と交差する方向に下壁部30Dを貫通しており、左右の貫通孔52は、上記嵌合方向と交差する方向にシートバックパッド20の下端部を貫通している。
【0036】
図8に示されるように、左右の貫通孔50及び左右の貫通孔52には、それぞれ係止具54が挿入(圧入)されている。各係止具54は、シートバックパッド20を構成する樹脂と同じ種類の樹脂(ここではウレタン系の樹脂)によって構成されている。各係止具54は、一例として、貫通孔50、52に圧入される軸部54Aと、軸部54Aよりも大径な頭部54Bと、頭部54Bにおける軸部54Aとは反対側に設けられた取っ手部54Cとによって構成されている。各係止具54の軸部54Aは、貫通孔50、52よりも若干大径に形成されており、貫通孔50、52に対して下方側から圧入される。軸部54Aには、周方向に延びる多数の溝が軸方向に並んで形成されることで、多数の返し形状が形成されており、貫通孔50、52から軸部54Aが抜けにくく構成されている。
【0037】
このバックボード取付構造では、上記以外の構成は第1実施形態と同様とされている。バックボード24がシートバックパッド20に取り付けられる際には、図10に示されるように、バックボード24の周壁部30がシートバックパッド20の開口26に嵌合された後に、左右の係止具54が左右の貫通孔50及び左右の貫通孔52に圧入されると共に、左右のヘッドレストブッシュ44が左右の貫通孔40、左右の貫通孔32及び左右のヘッドレストブラケット42に挿入される。これにより、シートバックパッド20に対するバックボード24の取り付けが完了する。
【0038】
シートバックパッド20からバックボード24が取り外される際には、左右の係止具54が左右の貫通孔50及び左右の貫通孔52から抜去されると共に、左右のヘッドレストブッシュ44が左右の貫通孔40、32及び左右のヘッドレストブラケット42から抜去され、その後にバックボード24の周壁部30がシートバックパッド20の開口26から引き抜かれる。
【0039】
この実施形態においても、第1実施形態と基本的に同様の効果が得られる。しかも、この実施形態では、シートバックパッド20を構成する樹脂と同じ種類の樹脂によって係止具54が構成されているので、リサイクルが容易になる。
【0040】
<第3の実施形態>
次に、図12図14を参照して本発明の第3実施形態に係るバックボード取付構造について説明する。なお、説明済みの実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、説明済みの実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
【0041】
第3実施形態に係るバックボード取付構造では、バックボード24の上壁部30Aには、複数(ここでは2つ)の貫通孔56が左右方向に並んで形成されており、バックボード24の左壁部30Bには、複数(ここでは3つ)の貫通孔58が上下方向に並んで形成されており、バックボード24の右壁部30Cには、複数(ここでは3つ)の貫通孔60が上下方向に並んで形成されている。左右の貫通孔56は、開口26に対するバックボード24の周壁部30の嵌合方向(前後方向)と交差する方向に上壁部30Aを貫通しており、左右の貫通孔58は、開口26に対するバックボード24の周壁部30の上記嵌合方向と交差する方向に左壁部30Bを貫通しており、左右の貫通孔60は、上記嵌合方向と交差する方向に右壁部30Cを貫通している。
【0042】
シートバックパッド20の上端部には、貫通孔56と対向する箇所に複数(ここでは2つ)の貫通孔62が左右方向に並んで形成されており、シートバックパッド20の左端部には、貫通孔58と対向する箇所に複数(ここでは3つ)の貫通孔64が上下方向に並んで形成されており、シートバックパッド20の右端部には、貫通孔60と対向する箇所に複数(ここでは3つ)の貫通孔66が上下方向に並んで形成されている。左右の貫通孔62は、上記嵌合方向と交差する方向にシートバックパッド20の上端部を貫通しており、左右の貫通孔64は、上記嵌合方向と交差する方向にシートバックパッド20の左端部を貫通しており、左右の貫通孔62は、上記嵌合方向と交差する方向にシートバックパッド20の右端部を貫通している。
【0043】
貫通孔62は、開口26の内周面(上面)で開口すると共に、シートバックパッド20の上端面で開口している。貫通孔64は、開口26の内周面(左面)で開口すると共に、シートバックパッド20の左端面で開口している。貫通孔66は、開口26の内周面(右面)で開口すると共に、シートバックパッド20の右端面で開口している。
【0044】
バックボード24がシートバックパッド20に取り付けられる際には、先ずバックボード24の周壁部30がシートバックパッド20の開口26に嵌合される。これにより、貫通孔56と貫通孔62とが同軸状に配置され、貫通孔58と貫通孔64とが同軸状に配置され、貫通孔60と貫通孔66とが同軸的に配置される。この状態で、貫通孔56、62、貫通孔58、64、貫通孔60、66にそれぞれ係止具68が挿入(圧入)される。各係止具54は、シートバックパッド20を構成する樹脂と同じ種類の樹脂(ここではウレタン系の樹脂)によって構成されている。各係止具54は、上記各貫通孔に挿入し易く且つ車両用シートの製造作業者が挿入方向を間違えにくいテーパ形状(例えば、円錐形状、円錐台形状、角錐形状、角錐台形状)をなしている。
【0045】
上記の挿入(圧入)により、バックボード24がシートバックパッド20に係止される。バックボード24がシートバックパッド20から取り外される際には、例えばラジオペンチ等の工具を用いて各係止具54が引き抜かれる。この実施形態においても、バックボード24の着脱が容易で且つ構成が簡素になり、しかもリサイクルが容易になる。
【0046】
なお、上記の第2実施形態及び第3実施形態では、係止具54、68が、シートバックパッド20を構成する樹脂と同じ種類の樹脂によって構成されたが、これに限らず、係止具の材料は適宜変更可能である。
【0047】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
20 シートバックパッド
24 バックボード
26 開口
32 貫通孔
34、38 凸部
40 貫通孔
44 ヘッドレストブッシュ(係止具)
46、48 凹部
50、52 貫通孔
54 係止具
56、58、60、62、64、66 貫通孔
68 係止具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14