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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102764
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G06K7/10 268
G06K7/10 288
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006877
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 卓丸
(57)【要約】
【課題】移動中の無線タグを漏れなく読み取るとともにその移動方向を判別可能な読取装置を提供する。
【解決手段】読取装置は、水平方向を含む所定の範囲に放射した電波で無線タグと信号の送受信を行う第1送受信部と、前記第1送受信部と横並びに配置され前記第1送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で前記無線タグと信号の送受信を行う第2送受信部と、前記第1送受信部および前記第2送受信部が前記無線タグから受信した信号を読み取る読取部と、前記読取部による読み取り結果から、前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方で検知された後の前記無線タグが、前記第1送受信部および前記第2送受信部の他方で検知された場合に、前記無線タグの移動方向は前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方から他方へ向かう方向であると判別する判別部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向を含む所定の範囲に放射した電波で無線タグと信号の送受信を行う第1送受信部と、
前記第1送受信部と横並びに配置され前記第1送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で前記無線タグと信号の送受信を行う第2送受信部と、
前記第1送受信部および前記第2送受信部が前記無線タグから受信した信号を読み取る読取部と、
前記読取部による読み取り結果から、前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方で検知された後の前記無線タグが、前記第1送受信部および前記第2送受信部の他方で検知された場合に、前記無線タグの移動方向は前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方から他方へ向かう方向であると判別する判別部と、
を備える読取装置。
【請求項2】
前記第1送受信部および前記第2送受信部は、円偏波を発する平面型のアンテナであって、前記第1送受信部および前記第2送受信部の円偏波を発する側の面の裏面がなす角は、鈍角である
請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第1送受信部と高さが異なる位置に配置され前記第1送受信部による電波の放射範囲と高さが異なる範囲に放射した電波で前記無線タグと信号の送受信を行う第3送受信部と、
前記第3送受信部と横並びに配置され前記第3送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で前記無線タグと信号の送受信を行う第4送受信部と、
をさらに備え、
前記読取部は、前記第3送受信部および前記第4送受信部が前記無線タグから受信した信号をも読み取り、
前記判別部は、前記読取部による読み取り結果から、前記第3送受信部および前記第4送受信部の一方で検知された後の前記無線タグが、前記第3送受信部および前記第4送受信部の他方で検知された場合に、前記無線タグの移動方向は前記第3送受信部および前記第4送受信部の一方から他方へ向かう方向であると判別する
請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記第1送受信部および前記第2送受信部を収納する第1筐体と、
前記第3送受信部および前記第4送受信部を収納する第2筐体と、
前記第1筐体および前記第2筐体を異なる高さに支持するスタンドと、
を備える請求項3に記載の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料品店等において、RFタグなどの無線タグを使用した商品管理が普及している。無線タグによる在庫管理については、各種技術が提案されている(例えば特許文献1)。なお、RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)技術に対応し、電波等を用いた非接触での読み取りが可能に構成されたICを含んだタグである。
【0003】
例えば衣類を掛けたハンガーラックを移動させる際に、移動とともに、衣類に付された無線タグの読み取りや、移動先の正誤判定等を行うことができたら便利である。そういった運用を考えたとき、移動する無線タグを漏れなく読み取りつつ移動方向を判別することが求められるが、現在そういった用途に適した読取装置は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、移動中の無線タグを漏れなく読み取るとともにその移動方向を判別可能な読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の読取装置は、水平方向を含む所定の範囲に放射した電波で無線タグと信号の送受信を行う第1送受信部と、前記第1送受信部と横並びに配置され前記第1送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で前記無線タグと信号の送受信を行う第2送受信部と、前記第1送受信部および前記第2送受信部が前記無線タグから受信した信号を読み取る読取部と、前記読取部による読み取り結果から、前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方で検知された後の前記無線タグが、前記第1送受信部および前記第2送受信部の他方で検知された場合に、前記無線タグの移動方向は前記第1送受信部および前記第2送受信部の一方から他方へ向かう方向であると判別する判別部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の読取装置の外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、読取装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1アンテナおよび第2アンテナがなす角の一例を示す図である。
図4図4は、第1アンテナおよび第2アンテナが放射する電波が届く範囲の一例を示す図である。
図5図5は、読取装置の使用状態を説明する図である。
図6図6は、読取装置の他の使用状態を説明する図である。
図7図7は、図3に示す角θの値(角度)を変えた場合の検知率(平均値)を説明する図である。
図8図8は、読取装置による読み取り結果のまとめ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態の読取装置1の外観の一例を示す斜視図である。ここで、説明の便宜のため、図面には三次元座標系を併せて示した。三次元座標系は、読取装置1幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行方向(前後方向)をY軸方向、高さ方向(上下方向)をZ軸方向とした。なお、Z軸の正方向は下から上へ向かう方向である。また、Y軸の正方向は、読取装置1の背面側から正面側へ向かう方向であって、Y軸の正方向を「前方」とする。そしてX軸の正方向は、前(Y軸の正方向)を向いた状態での右から左へ向かう方向である。
【0008】
読取装置1は、第1筐体11、第2筐体12、柱部21、足部22、および二対のアンテナ(第1アンテナ31、第2アンテナ32、第3アンテナ33、および第4アンテナ34)を備えている。
【0009】
柱部21および足部22は、第1筐体11および第2筐体12を異なる高さに支持するスタンドの一例である。柱部21は、長手方向が略鉛直に沿うように、足部22によって立てて支えられている。第1筐体11および第2筐体12は、柱部21の高さが異なる位置に取り付けられ、柱部21で支持されている。
【0010】
二対のアンテナのうちの一対目は、第1アンテナ31および第2アンテナ32である。二対のアンテナのうちの二対目は、第3アンテナ33および第4アンテナ34である。各対は、高さが異なる位置に設けられている。具体的には、第1アンテナ31および第2アンテナ32は第1筐体11に収納され、第3アンテナ33および第4アンテナ34は第2筐体12に収納されている。
【0011】
第1アンテナ31は、水平方向を含む所定の範囲に放射した電波で、無線タグと信号の送受信を行う第1送受信部の一例である。
【0012】
第2アンテナ32は、第1送受信部(第1アンテナ31)と対をなす第2送受信部の一例である。第2アンテナ32は、第1送受信部と横並びに配置され、第1送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で、無線タグと信号の送受信を行う。
【0013】
第3アンテナ33は、第1送受信部(第1アンテナ31)と高さが異なる位置に配置され、第1送受信部による電波の放射範囲と高さが異なる範囲に放射した電波で、無線タグと信号の送受信を行う第3送受信部の一例である。
【0014】
第4アンテナ34は、第3送受信部(第3アンテナ33)と対をなす第4送受信部の一例である。第4アンテナ34は、第3送受信部と横並びに配置され、第3送受信部による電波の放射範囲と少なくとも部分的にずれた範囲に放射した電波で、無線タグと信号の送受信を行う。
【0015】
このように、読取装置1は、第1アンテナ31および第2アンテナ32の一対と、第3アンテナ33および第4アンテナ34の一対との、二対のアンテナを備えている。
【0016】
なお、読取装置1の高さは、例えば130cm程度である。また、第1筐体11および第2筐体12の寸法は、例えば、幅が45cm、高さが25cmである。ここで例示した各種寸法は、読取装置1の大体の大きさを想像しやすくするためのものであって、実施時の寸法がこの通りでなくとも構わない。
【0017】
図2は、読取装置1の構成の一例を示すブロック図である。読取装置1は、さらに、制御部51や記憶部52、リーダ55を備えている。
【0018】
リーダ55は、読取部の一例であって、第1~第4アンテナ31~34による電波の送受信を制御し、無線タグから受信した信号を読み取り、読み取った結果を制御部51に出力する。また、リーダ55は、第1~第4アンテナ31~34を同時にではなく順に駆動させるよう制御する。これにより、リーダ55が取得する信号がどのアンテナが受信したものであるかを対応付け可能である。
【0019】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)で構成され、ROM等が記憶するプログラムをCPUが実行することで各種機能を実現する。記憶部52は、例えばSSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリなどであって、リーダ55が出力する情報や制御部51の処理結果などを記憶する。
【0020】
制御部51は、プログラムの実行により、「判別部」として機能する。判別部は、読取部(リーダ55)による読み取り結果から、無線タグの移動方向を判別する。より詳細には、例えば、第1アンテナ31で検知された後の無線タグが、第2アンテナ32で検知された場合、無線タグの移動方向は第1アンテナ31から第2アンテナ32へ向かう方向であると判別する。検知順が逆の場合には、移動方向が逆であると判別する。第3アンテナ33および第4アンテナ34についても同様である。
【0021】
図3は、第1アンテナ31および第2アンテナ32がなす角θの一例を示す図である。なお、第3アンテナ33および第4アンテナ34がなす角も、図3と同様である。
【0022】
第1アンテナ31および第2アンテナ32は、電波を放射する面を、X軸(幅方向)に対して傾けている。傾ける向きは、Y軸を挟んで線対称である。各アンテナ31,32の電波を放射する面とX軸とがなす角θは、20°程度である。この場合、第1アンテナ31および第2アンテナ32の両者の円偏波を発する側の面の裏面がなす角(第1アンテナ31と第2アンテナ32との挟角)は、140°程度の鈍角である。角θの角度が17.5~27.5°(上記挟角が125~145°)の場合の実験結果について、後に説明する。
【0023】
図4は、第1アンテナ31および第2アンテナ32が放射する電波が届く範囲の一例を示す図である。なお、第3アンテナ33および第4アンテナ34が放射する電波が届く範囲も、平面視(Z軸の負方向に見下ろした状態)においては図4と同様である。
【0024】
第1~第4アンテナ31~34は、指向性のあるアンテナの方が好ましく、例えば、円偏波を発する平面型のアンテナである。円偏波は、螺旋を描いて進むので、読取対象である無線タグの向きが一定でない場合の読み取りに適する。
【0025】
円偏波を発する平面型のアンテナで無線タグの読み取りが可能な範囲(読取範囲)は、アンテナの正面から数メートル程度までである。本実施形態では、確実に読取可能な範囲を、第1~第4アンテナ31~34の正面から1m程度までと想定している。また、本実施形態では、一対のアンテナで読取可能な横方向(X軸方向)の範囲を、2m程度と想定している。
【0026】
図4に、第1アンテナ31の読取範囲41および第2アンテナ32の読取範囲42を、点線の楕円形で示す。本実施形態では、読取範囲41と読取範囲42とが一部重複するように第1アンテナ31と第2アンテナ32とを配置しているが、読取範囲41と読取範囲42とは離れていてもよい。
【0027】
読取範囲41,42内に無線タグ9があるとき、第1,第2アンテナ31,32により、無線タグ9が記憶する情報が読み取られる。ここで、無線タグ9は、例えばRFタグである。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)技術に対応し、電波等を用いた非接触での読み取りが可能に構成されたICを含んだタグである。
【0028】
図5は、読取装置1の使用状態を説明する図である。読取装置1は、衣類などの商品61,62が掛けられたハンガーラック60の移動経路に設置される。読取装置1は、読取装置1の正面を通過する商品61,62に付された無線タグ91,92が、読取範囲41,43にあるときに、無線タグ91,92が記憶する情報を読み取る。ここで、読取範囲43は、第3アンテナ33により読み取りが可能な範囲である。
【0029】
例えば、棚卸中の衣料品店の店員が、ハンガーラック60に商品61,62を掛けて、バックヤードから店頭に商品を移動させるとする。商品61には無線タグ91が付され、商品62には無線タグ92が付されている。無線タグ91は衣類である商品61の袖口に下げられ、また、無線タグ92は衣類である商品62の腰のあたりに下げられている。この場合、無線タグ91の高さと無線タグ92の高さとには、高さ方向に1台のアンテナであると読みこぼすおそれがある程度に大きな差が生じることがある。
【0030】
そのような場合でも、本実施形態の読取装置1は、上段に第1アンテナ31および第2アンテナ32、下段に第3アンテナ33および第4アンテナ34と、上下2段にアンテナを備えているので、高さ方向に広い範囲に無線タグ91,92が存在していても、読みこぼしが生じにくい。
【0031】
読取範囲41と読取範囲42とは一部重なるので、例えば無線タグ91が第1アンテナ31および第3アンテナ33の両方に読み取られることがあり得る。これについては、第1アンテナ31で受信した信号の読み取り結果と、第3アンテナ33で受信した信号の読み取り結果とが重複した場合には、受信時の電波強度の強い方を優先したり、或いは優先する方を予め定めたりしておくことで、解決することができる。
【0032】
読取範囲41と読取範囲42との重複による第2アンテナ32および第4アンテナ34の読み取り結果の重複についても、上述と同様の手法で解決可能である。
【0033】
図6は、読取装置1の他の使用状態を説明する図である。この図に示す例のように、無線タグが収納されたコンテナ71,72を台車8に積んで運搬するような場合にも、運搬経路に読取装置1を設置することで、コンテナ71,72内の無線タグを読み取ることができる。
【0034】
なお、台車8は、台81の下に車輪82が設けられたもので、台81の高さは例えば0.16mであり、コンテナ71,72の高さは例えば0.34mである。台車8にコンテナ71,72を2~3段積んだ程度であると、本実施形態で例示した大きさの読取装置1で対応可能である。
【0035】
図7は、図3に示す角θの値(角度)を変えた場合の検知率(平均値)を説明する図である。第1~第4アンテナ31~34とX軸とがなす角θの角度として、例えば図示のように、17.5°、22.5°、27.5°を採用して、比較してみた。なお、比較に用いたアンテナは、アンテナ幅が10cm、Q値が4、出力が500mWのものである。
【0036】
各角度での実験にあたって、台車8の移動速度はいずれも実際よりやや遅めで、5回測定している。各実験回において、データ総数および読取枚数を記録し、検知率および誤検知率を測定した。そして、各角度での5回の測定結果を平均し、データ総数の平均値、読取枚数の平均値、検知率の平均値、誤検知率の平均値を算出した。
【0037】
上記の結果、角θの値が22.5°の場合に、検知率の平均値が最も良好な値を示し、また、誤検知が発生していないことがわかった。これにより、少なくとも図1に示すような構造の読取装置1において、角θの値は22.5°程度が適当であると考えられる。なお、角θが22.5°の場合の第1アンテナ31と第2アンテナ32との挟角は135°である。
【0038】
図8は、読取装置1による読み取り結果のまとめ例を示す図である。図5図6に示すように読取装置1を使用した際の読み取り結果を、例えば図8に示す表のようにまとめる。この図においては、各アンテナ31~34が読み取った無線タグのIDと読み取り時刻とを、ID毎にまとめ、その結果から判別部(制御部51による機能)が判別した移動方向を沿えている。
【0039】
図示の例について説明する。IDが「1001」の無線タグが第1アンテナ31に読み取られた時刻が「10:00:00」で、同じID「1001」の無線タグが第2アンテナ32に読み取られた時刻が「10:00:01」のとき、判別部(制御部51)は、無線タグの移動方向を、矢印で示す方向つまり第1アンテナ31から第2アンテナ32へ向かう方向であると判別する。また、同じ時刻に、第3アンテナ33および第4アンテナ34で、ID「1002」の無線タグが読み取られており、移動方向は第3アンテナ33から第4アンテナ34へ向かう方向である。これらの読み取り結果から、2つのIDの無線タグの移動方向は、ともに右向きの矢印で示される通り、同じであると判別できる。
【0040】
また、IDが「5001」の無線タグが第4アンテナ34に読み取られた時刻が「20:00:00」で、同じID「5001」の無線タグが第3アンテナ33に読み取られた時刻が「20:00:01」のとき、判別部(制御部51)は、無線タグの移動方向を、矢印で示す方向つまり第4アンテナ34から第3アンテナ33へ向かう方向であると判別する。また、同じ時刻に、第2アンテナ32および第1アンテナ31で、ID「5002」の無線タグが読み取られており、移動方向は第2アンテナ32から第1アンテナ31へ向かう方向である。これらの読み取り結果から、2つのIDの無線タグの移動方向は、ともに左向きの矢印で示される通り、同じであると判別できる。
【0041】
このように、本実施形態の読取装置1によれば、横並びに設けられた対をなすアンテナ(第1アンテナ31および第2アンテナ32の対、または第3アンテナ33および第4アンテナ34の対)の読み取り時刻の差を利用して、無線タグの移動方向を判別することができる。
【0042】
また、本実施形態の読取装置1によれば、複数のアンテナを横並びに設置するにあたり、アンテナを個別に設置するよりも設置スペースを抑えることができ、また、設置に要する手間を最小限にすることができる。
【0043】
また、本実施形態の読取装置1は、1台のリーダ55が複数のアンテナ31~34をまとめて制御し、順に駆動させる構成であるので、装置価格を抑えることができる。
【0044】
以上、本実施形態によれば、移動中の無線タグを漏れなく読み取るとともにその移動方向を判別可能な読取装置1を提供することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、上下方向の読取範囲を増やすためにアンテナ対(横並びの一対のアンテナ)を複数段設けているが、読取範囲が絞られるのであれば、アンテナ対は1段であっても構わない。逆に、必要に応じて、読取装置1は、アンテナ対を上下方向に3段以上備えていてもよい。
【0046】
また、実施にあたっては、角θの値を変更可能な構成としてもよい。そのように構成すると、読取範囲を変更・調整可能な読取装置1とすることができる。
【0047】
さらに実施にあたっては、筐体11,12の位置を柱部21に対して変更可能に構成してもよい。そのように構成すると、読取範囲を高さ方向に変更・調整可能な読取装置1とすることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 …読取装置、
11…第1筐体、
12…第2筐体、
21…柱部、22…足部、
31…第1アンテナ(第1送受信部の一例)、
32…第2アンテナ(第2送受信部の一例)、
33…第3アンテナ(第3送受信部の一例)、
34…第4アンテナ(第4送受信部の一例)、
41,42,43…読取範囲、
51…制御部、52…記憶部、55…リーダ、
60…ハンガーラック、61,62…商品、
71…コンテナ、
8…台車、81…台、82…車輪、
9,91,92…無線タグ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2014-131935号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8