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  • 特開-シフト装置 図1
  • 特開-シフト装置 図2
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  • 特開-シフト装置 図4
  • 特開-シフト装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102765
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006878
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若園 拓也
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC04
3D040AC17
3D040AC36
3D040AC65
3D040AD04
(57)【要約】
【課題】部品点数を低減する。
【解決手段】シフト装置のレバー14では、ノブ18のノブ本体26がレバー本体16に組付けられており、ノブ18内に回路基板40が配置されている。ここで、接続ピン36が回路基板40をレバー本体16に電気的に接続している。このため、部品点数を低減できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が把持する把持部及び前記把持部が組付けられる本体部が設けられ、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記把持部に配置される回路基板と、
前記把持部に一体に設けられ、前記回路基板を前記本体部に電気的に接続する接続部と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記接続部が剛性を有する請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記接続部が前記回路基板を保持する請求項1記載のシフト装置。
【請求項4】
前記接続部が挿入されて前記本体部に電気的に接続される挿入孔が前記本体部に設けられると共に、前記挿入孔の周面に前記接続部の周面が嵌合されない請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記把持部に一体に設けられ、前記シフト体の移動方向に延出される延出部を備える請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体の把持部に配置される回路基板がシフト体の本体部に電気的に接続されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフタでは、キャップとカバーとの間に回路基板が配置されている。
【0003】
ここで、このシフタでは、回路基板が他の回路基板及びピンを介してボックスに電気的に接続されていると解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第111457087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、部品点数を低減できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、乗員が把持する把持部及び前記把持部が組付けられる本体部が設けられ、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記把持部に配置される回路基板と、前記把持部に一体に設けられ、前記回路基板を前記本体部に電気的に接続する接続部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記接続部が剛性を有する。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記接続部が前記回路基板を保持する。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記接続部が挿入されて前記本体部に電気的に接続される挿入孔が前記本体部に設けられると共に、前記挿入孔の周面に前記接続部の周面が嵌合されない。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記把持部に一体に設けられ、前記シフト体の移動方向に延出される延出部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体では、把持部が本体部に組付けられており、乗員が把持部を把持する。さらに、把持部に回路基板が配置される。
【0012】
ここで、把持部に接続部が一体に設けられており、接続部が回路基板を本体部に電気的に接続する。このため、部品点数を低減できる。
【0013】
本発明の第2態様のシフト装置では、接続部が剛性を有する。このため、接続部の把持部に対する位置が変化することを制限できる。
【0014】
本発明の第3態様のシフト装置では、接続部が回路基板を保持する。このため、簡単な構成で回路基板を保持できる。
【0015】
本発明の第4態様のシフト装置では、接続部が、本体部の挿入孔に挿入されて、本体部に電気的に接続される。ここで、挿入孔の周面に接続部の周面が嵌合されない。このため、挿入孔の位置と接続部の位置との間に誤差がある場合でも、接続部を、挿入孔に挿入できて、本体部に電気的に接続できる。
【0016】
本発明の第5態様のシフト装置では、把持部の延出部がシフト体の移動方向に延出される。ここで、把持部に延出部が一体に設けられる。このため、部品点数を一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す後斜め右方から見た斜視図である。
図2】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のノブを示す後斜め右方から見た斜視図であり、(B)は、当該ノブの内部を示す後斜め右方から見た斜視図である。
図3】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のノブ本体等を示す図であり、(A)は、後斜め右方から見た斜視図であり、(B)は、前斜め右方から見た斜視図である。
図4】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のレバーを示す図であり、(A)は、前斜め右方から見た斜視図であり、(B)は、後斜め右方から見た斜視図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のノブ本体を示す上斜め右方から見た斜視図であり、(B)は、当該ノブ本体を示す下斜め左方から見た斜視図であり、(C)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のレバー本体を示す後斜め右方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が後斜め右方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0019】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。コンソールの上壁には、開放孔(図示省略)が形成されており、開放孔は、コンソール内を上側に開放している。
【0020】
図1に示す如く、シフト装置10には、収容体としての略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12は、コンソール内に固定されると共に、後側部分の上側にコンソールの開放孔が配置されている。
【0021】
プレート12の後側部分内には、シフト体としての略柱状のレバー14が収容されており、レバー14は、上下方向に長尺にされている。レバー14の上部以外の部分は、本体部としてのレバー本体16(図4の(A)及び(B)参照)にされると共に、レバー14の上部は、把持部としてのノブ18にされており、レバー本体16の上側にノブ18が組付けられている。
【0022】
レバー14の上下方向中間部(レバー本体16の上部近傍)には、被支持部としての円筒状の中心軸14Aが一対一体形成されており、一対の中心軸14Aは、左方と右方とに突出されると共に、互いに同軸上に配置されている。一対の中心軸14Aは、プレート12の左壁と右壁とに回転可能に支持されており、レバー14は、中心軸14Aを中心として、前後方向に所定範囲で回動(移動)可能にされている。レバー14は、プレート12の上壁の後側部分を回動可能に貫通しており、レバー14は、コンソールの開放孔に回動可能に貫通されている。
【0023】
レバー14のノブ18は、車室内に突出されており、車両の乗員(特に運転者)は、ノブ18を把持して、レバー14を回動操作可能にされている。レバー14は、シフト位置としてのH位置(ホーム位置)に配置されており、レバー14がH位置から前側に操作されて、レバー14がシフト位置としてのR位置(リバース位置)に配置されると共に、レバー14がH位置から後側に操作されて、レバー14がシフト位置としてのD位置(ドライブ位置)又はS位置(シーケンシャル位置)に配置される。
【0024】
レバー14のレバー本体16の上部(図5(C)参照)には、嵌合部としての断面略U字形板状の嵌合枠20が形成されており、嵌合枠20内は、上方及び後方に開放されている。嵌合枠20の前側には、係止部としての矩形板状の係止板22が形成されており、係止板22は、上方に延出されると共に、前後方向に垂直に配置されている。係止板22の後面には、三角柱状の凸部22Aが一体形成されており、凸部22Aの軸方向は、左右方向にされている。嵌合枠20の前側には、挿入部としての矩形柱状の接続柱24が一体形成されており、接続柱24は、嵌合枠20に対し上方に突出されている。接続柱24には、矩形柱状の挿入孔24Aが所定数(本実施形態では3個)形成されており、所定数の挿入孔24Aは、それぞれ上下方向に延在されて上方に開放されると共に、左右方向に並べられている。挿入孔24A内には、端子(図示省略)が設けられており、端子は、車両の制御装置(図示省略)に電気的に接続されている。
【0025】
ノブ18には、樹脂製のノブ本体26(図5の(A)及び(B)参照)が設けられている。ノブ本体26の下部には、被嵌合部としての略矩形柱状の嵌合柱28が形成されており、嵌合柱28は、下方に突出されている。嵌合柱28は、レバー本体16の嵌合枠20内に上方から挿入されて嵌合されており、嵌合柱28は、嵌合枠20によって前後方向及び左右方向への変位を係止されると共に、下方への変位を係止されている。嵌合柱28の後側には、被係止部としての矩形板状の係止片30が配置されており、係止片30の左端部及び右端部は、嵌合柱28に一体に連結されている。嵌合柱28が嵌合枠20内に上方から挿入される際には、係止片30がレバー本体16の係止板22の後側を下方に移動されることで、係止片30が係止板22の凸部22Aと係合して、係止板22が前側に弾性変形される。そして、係止片30が凸部22Aを通過して、係止板22が後側に弾性復元されることで、凸部22Aによって係止片30の上方への変位が係止される。以上により、ノブ18がレバー本体16の上側に組付けられている。
【0026】
ノブ本体26には、嵌合柱28の後側かつ上側において、被挿入部としての矩形筒状の接続筒32が形成されており、接続筒32内は、下方に開放されている。ノブ18がレバー本体16の上側に組付けられる際には、接続筒32内に下方からレバー本体16の接続柱24が挿入される。
【0027】
ノブ本体26の上側部分には、配置部としての略直方体状のケース34が形成されており、ケース34内は、上方及び後方に開放されている。ケース34の左壁及び右壁は、三角形板状にされており、ケース34の左壁及び右壁の後面は、上方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。ケース34の下壁、左壁及び右壁には、ケース34内側の部分において、正面視U字状の配置面34Aが形成されており、配置面34Aは、後側に向けられると共に、上方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。
【0028】
ケース34の前壁内には、接続部としての長尺矩形柱状の接続ピン36が所定数(本実施形態では3個)インサート成形により挿入されており、接続ピン36は、剛性を有している。接続ピン36は、上下方向に延在されており、所定数の接続ピン36は、左右方向に並べられている。接続ピン36の上端部(基端部)は、ケース34の前壁の上方に延出されており、接続ピン36の上端部は、前側に湾曲されている。接続ピン36の下端部(先端部)は、ケース34の前壁の下方に延出されており、接続ピン36は、下端部が接続筒32内に挿入されると共に、下端が四角錘状にされて縮径されている。ノブ18がレバー本体16の上側に組付けられる際には、接続ピン36の下端部が、レバー本体16の挿入孔24Aに挿入されて、挿入孔24A内の端子(レバー本体16)に電気的に接続される。接続ピン36の下端部(下端を除く)の周面と挿入孔24Aの周面との間には、周方向の少なくとも一部において隙間が形成されており、接続ピン36の下端部の周面は、挿入孔24Aの周面に嵌合されていない。
【0029】
ノブ本体26には、延出部としての略矩形枠状のスライドカバー38が一体形成されており、スライドカバー38は、ケース34の下端部から前側、後側、左側及び右側に延出されると共に、レバー14の回動方向に沿って湾曲されている。スライドカバー38は、コンソールの開放孔の下側に配置されており、スライドカバー38は、レバー14の回動位置に拘らず、常に、ノブ18と開放孔の周面との間を下側から被覆する。
【0030】
ケース34内には、矩形板状の回路基板40(図3の(A)及び(B)、図4の(A)及び(B)参照)が配置されており、回路基板40は、前面がケース34の配置面34Aに面接触されて、上方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されると共に、上部がケース34の上側に突出されている。回路基板40の上部には、接続ピン36の上端が半田付けにより固定されており、回路基板40は、接続ピン36によって保持されると共に、接続ピン36に電気的に接続されている。回路基板40の後面には、放射部としてのLED40Aが所定数(本実施形態では9個)固定されており、LED40Aは、回路基板40、接続ピン36及びレバー本体16(挿入孔24A内の端子を含む)を介して制御装置に電気的に接続されている。これにより、LED40Aが制御装置の制御により光を放射(発光)する。
【0031】
回路基板40の前側には、案内体としての略直方体状のランプシェイド42(図2(B)参照)が設けられており、ランプシェイド42は、回路基板40の前側を被覆している。ランプシェイド42には、矩形状の案内孔42Aが所定数(本実施形態では5個)貫通形成されており、案内孔42Aは、回路基板40の対応するLED40Aを後側に露出させて、対応するLED40Aが放射した光を後側に案内する。ランプシェイド42の左端部及び右端部の前側には、略三角形板状の被覆部42Bが一体に連結されており、左側及び右側の被覆部42Bは、それぞれノブ本体26のケース34の左側及び右側を被覆している。
【0032】
ノブ本体26のケース34、回路基板40及びランプシェイド42の周囲には、被覆体としての略直方体形箱状のカバー44(図2(A)参照)が組付けられており、カバー44は、内部が下側に開放されると共に、ケース34、回路基板40及びランプシェイド42の上側、前側、後側、左側及び右側を被覆している。カバー44は、前側の前カバー44Aと後側の後カバー44Bとが組付けられて構成されており、前カバー44Aは、カバー44の上壁及び前壁を構成すると共に、後カバー44Bは、カバー44の後壁、左壁及び右壁を構成している。カバー44の左壁及び右壁には、三角形状の露出孔44Cが形成されており、露出孔44Cは、ランプシェイド42の被覆部42Bが嵌合されて、被覆部42Bを露出させている。
【0033】
カバー44の後壁には、表示46が所定数(本実施形態では5個)形成されており、表示46は、レバー14が配置されるシフト位置等を表示すると共に、光を透過可能にされている。表示46は、ランプシェイド42の対応する案内孔42Aの後側に対向されており、表示46は、対応する案内孔42Aによって後側に案内された光により照明表示される。
【0034】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0035】
以上の構成のシフト装置10では、レバー14において、ノブ18のノブ本体26がレバー本体16に組付けられており、ノブ18内に回路基板40が配置されている。
【0036】
ここで、接続ピン36が回路基板40をレバー本体16に電気的に接続している。このため、回路基板40をレバー本体16に電気的に接続するための他の回路基板を不要にでき、部品点数を低減できる。
【0037】
また、ノブ本体26に接続ピン36が一体に設けられており、接続ピン36が剛性を有している。このため、接続ピン36のノブ本体26における位置の精度を高くできると共に、接続ピン36のノブ本体26に対する位置が変化することを制限できる。
【0038】
さらに、回路基板40の上部に接続ピン36の上端が半田付けにより固定されて、接続ピン36が回路基板40を保持している。このため、回路基板40を保持するための別部品を設ける必要をなくすことができ、簡単な構成で回路基板40を保持できる。
【0039】
また、ノブ18がレバー本体16に組付けられる際には、ノブ本体26の接続ピン36の下端部がレバー本体16の挿入孔24A内に挿入されて、接続ピン36がレバー本体16に電気的に接続される。このため、接続ピン36をレバー本体16に容易に電気的に接続できると共に、ノブ18をレバー本体16に容易に組付けることができる。
【0040】
さらに、レバー本体16の挿入孔24Aの周面にノブ本体26の接続ピン36下端部の周面が嵌合されていない。このため、レバー本体16とノブ本体26との位置誤差等により挿入孔24Aの位置と接続ピン36の位置との間に誤差がある場合でも、接続ピン36を、挿入孔24Aに挿入できて、レバー本体16に電気的に接続できる。
【0041】
また、ノブ本体26にスライドカバー38が一体に設けられている。このため、部品点数を一層低減できる。
【0042】
なお、本実施形態では、ノブ本体26にスライドカバー38が一体に設けられる。しかしながら、ノブ本体26に対しスライドカバー38が別体にされてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、レバー14(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体がスライド(移動)又は中心軸線周りに回転(移動)されてもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、シフト装置10が車両のコンソールに設置される。しかしながら、シフト装置10が車両の他の部分(インストルメントパネル又はステアリングコラム等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10・・・シフト装置、14・・・レバー(シフト体)、16・・・レバー本体(本体部)、18・・・ノブ(把持部)、24A・・・挿入孔、36・・・接続ピン、38・・・スライドカバー(延出部)、40・・・回路基板
図1
図2
図3
図4
図5