(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102767
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】こんろ用ガスバーナ及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F23D 14/76 20060101AFI20240724BHJP
F23D 14/06 20060101ALI20240724BHJP
F23D 14/84 20060101ALI20240724BHJP
F24C 3/08 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
F23D14/76
F23D14/06 A
F23D14/84 F
F24C3/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006880
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷野 涼
(72)【発明者】
【氏名】冨川 裕徳
(72)【発明者】
【氏名】横山 敬仁
(72)【発明者】
【氏名】平田 健
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA00
3K017AB05
3K017AB09
3K017AD12
3K017AD14
(57)【要約】
【課題】こんろ用ガスバーナの使用に伴うバーナキャップの温度上昇を抑制する。
【解決手段】こんろ用ガスバーナ1は、筒状のバーナキャップ11と、環状の鍔部12と、通気路4と、を備える。バーナキャップ11は、上下に貫通した貫通孔110を中心部に有し、かつ複数の炎孔115を外周部に有する。鍔部12は、バーナキャップ11の上方に設けられている。通気路4は、バーナキャップ11と鍔部12との間において、径方向の内外に通気可能に形成されている。鍔部12の外径は、バーナキャップ11の外径よりも大きい。鍔部12のうちバーナキャップ11よりも径方向外側に張り出して位置する外周部分122の下面1225は、バーナキャップ11の上面118よりも、下方に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に貫通した貫通孔を中心部に有し、かつ複数の炎孔を外周部に有する筒状のバーナキャップと、
前記バーナキャップの上方に設けられた環状の鍔部と、
前記バーナキャップと前記鍔部との間において、径方向の内外に通気可能に形成された通気路と、を備え、
前記鍔部の外径は、前記バーナキャップの外径よりも大きく、
前記鍔部のうち前記バーナキャップよりも径方向外側に張り出して位置する外周部分の下面は、前記バーナキャップの上面よりも、下方に位置する、
こんろ用ガスバーナ。
【請求項2】
前記通気路は、前記バーナキャップの上端部と、前記鍔部の前記外周部分の下端部と、の間において開口する開口部を有し、
前記開口部において、前記バーナキャップの上面と、前記鍔部の前記外周部分の下面と、の間の距離は、0.5mm以上かつ2.5mm以内の距離である、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項3】
前記鍔部は、前記外周部分と、前記鍔部のうち前記外周部分よりも径方向内側の部分である内周部分と、を含み、
前記外周部分は、前記内周部分よりも上下方向において厚く形成されている、
請求項1又は2のこんろ用ガスバーナ。
【請求項4】
前記外周部分は、径方向内側へと折り返すヘミング加工によって成形されている、
請求項3のこんろ用ガスバーナ。
【請求項5】
前記バーナキャップの前記貫通孔に挿通された鍋底温度センサを更に備え、
前記バーナキャップの外径寸法をXとし、前記鍔部のうち前記バーナキャップから径方向外側に張り出す寸法をYとしたとき、前記バーナキャップ及び前記鍔部は、Y≧X/10の関係を満たすように設けられている、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項6】
前記バーナキャップの前記貫通孔に挿通された鍋底温度センサを更に備え、
前記鍔部は、前記バーナキャップから径方向外側に4mm以上張り出すように設けられている、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項7】
請求項1のこんろ用ガスバーナと、
前記こんろ用ガスバーナが装着された調理器本体と、を備えた、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、こんろ用ガスバーナと、これを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスバーナ及びこれを備えた加熱調理器が開示されている。ガスバーナは、上下に貫通した貫通孔を有するバーナキャップを備え、バーナキャップの外周部には、バーナキャップの周方向に並ぶように複数の炎孔が設けられている。ガスバーナの炎は、バーナキャップの各炎孔から噴出する混合気体によって生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したガスバーナにおいては、各炎孔から噴出する混合気体によって生成される炎の影響で、バーナキャップの温度が上昇し、場合によっては、温度上昇に起因してバーナキャップの劣化が進行することがある。バーナキャップの劣化を抑制するためには、バーナキャップの温度上昇を抑制することが望ましい。
【0005】
本開示は、使用に伴うバーナキャップの温度上昇を抑制することができるこんろ用ガスバーナ、及びこれを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るこんろ用ガスバーナは、上下に貫通した貫通孔を中心部に有し、かつ複数の炎孔を外周部に有する筒状のバーナキャップと、前記バーナキャップの上方に設けられた環状の鍔部と、前記バーナキャップと前記鍔部との間において、径方向の内外に通気可能に形成された通気路と、を備える。前記鍔部の外径は、前記バーナキャップの外径よりも大きい。前記鍔部のうち前記バーナキャップよりも径方向外側に張り出して位置する外周部分の下面は、前記バーナキャップの上面よりも、下方に位置する。
【0007】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、前記こんろ用ガスバーナと、前記こんろ用ガスバーナが装着された調理器本体と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、こんろ用ガスバーナの使用に伴うバーナキャップの温度上昇を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の加熱調理器の平面図である。
【
図2】
図2は、同上の加熱調理器に設置された高火力のこんろ用ガスバーナの平面図である。
【
図5】
図5は、同上のこんろ用ガスバーナの正面図である。
【
図7】
図7は、同上のこんろ用ガスバーナが備える鍔部及びバーナキャップの分解斜視図である。
【
図9】
図9Aは、同上のこんろ用ガスバーナにおいて鍋を弱火で加熱する様子を示した要部断面図である。
図9Bは、比較例1のこんろ用ガスバーナにおいて鍋を弱火で加熱する様子を示した要部断面図である。
図9Cは、比較例2のこんろ用ガスバーナにおいて鍋を弱火で加熱する様子を示した要部断面図である。
【
図10】
図10は、同上の加熱調理器に設置された小火力のこんろ用ガスバーナの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態
図1には、一実施形態の加熱調理器9を示している。一実施形態の加熱調理器9は、ガスこんろであって、詳しくは、図示略のキッチンカウンターに設置されるドロップイン型のガスこんろである。以下の文中で用いる方向は、加熱調理器9が設置された状態を基準とする。
【0011】
(1.1)加熱調理器
一実施形態の加熱調理器9は、こんろ用ガスバーナ1(以下、単に「ガスバーナ1」という。)と、ガスバーナ1が装着された調理器本体7とを備えている。
【0012】
調理器本体7は、ケーシング72と天板74とを有している。調理器本体7の箱型の外殻は、ケーシング72と天板74とで構成されている。ケーシング72は、上方に開放された開口を有する矩形箱型のケーシングである。天板74は、ケーシング72の開口を覆うように、ケーシング72上に設置されている。
【0013】
天板74には複数の孔76が上下に貫通形成されており、各孔76を通じて、各孔76と対応するガスバーナ1の一部が上方に突出している。一実施形態の加熱調理器9においては、ガスバーナ1が左右に2つ設置され、これら左右のガスバーナ1の後ろに、別のガスバーナ1が1つ設置されている。
【0014】
左右のガスバーナ1は、後ろのガスバーナ1に比較して高火力のガスバーナである。換言すると、左右のガスバーナ1は高火力のガスバーナであり、後ろのガスバーナ1は小火力のガスバーナである。
【0015】
調理器本体7は、複数の操作部78を更に有している。一実施形態の加熱調理器9においては、複数の操作部78のうち少なくとも1つが操作されることで、対応するガスバーナ1の点火と消火の切換えや、対応するガスバーナ1の火力調整が行われる。
【0016】
更に、一実施形態の加熱調理器9は、調理器本体7の上面に設置される複数の五徳8を備えている。複数の五徳8は、3つガスバーナ1に一対一で対応する3つの五徳8である。各五徳8は、各五徳8と対応するガスバーナ1の一部(後述のバーナキャップ11や鍔部12)を囲んで位置するように、天板74の上面に設置されている。
【0017】
(1.2)こんろ用ガスバーナ
図2から
図9には、左右に並んだ高火力のガスバーナ1の1つを示している。以下においては、
図2から
図9に示す高火力のガスバーナ1に基づいて、本実施形態のガスバーナ1の詳細な構造を説明する。
【0018】
ガスバーナ1は、筒状のバーナキャップ11と、環状の鍔部12と、鍋底温度センサ13と、バーナ本体14と、点火プラグ15と、を備えている。鍔部12は、バーナカバー2及び下部材3で構成されている。
図4に示されるように、バーナキャップ11と、鍔部12(すなわちバーナカバー2及び下部材3)と、の間には通気路4が形成されている。
【0019】
(1.2.1)バーナキャップ
図3等に示されるように、バーナキャップ11は、上下に貫通した円筒状の部材である。バーナキャップ11は、例えばアルミニウム合金で形成されている。筒状であるバーナキャップ11は、上下に貫通した貫通孔110を自身の中心部分に有し、かつ複数の炎孔115を自身の外周部分に有している(
図5及び
図7等を参照)。
【0020】
バーナキャップ11は、貫通孔110が設けられた円筒状の内筒部111と、内筒部111よりも径方向外側に位置する円筒状の外筒部113と、内筒部111及び外筒部113の互いの上部をつなぐ連結部117と、を備えている。本明細書において単に「径方向」というときは、バーナキャップ11の径方向を意味する。
【0021】
内筒部111及び外筒部113は、平面視において同心円状に位置する。本明細書において単に「平面視」というときは、貫通孔110の軸線に沿った向きで見たときを意味する。
【0022】
内筒部111の下部は、外筒部113よりも下方に位置している。外筒部113の上部は、内筒部111よりも上方に位置している。外筒部113の上面が、バーナキャップ11の上面118を構成している。上面118からは、鍔部12(すなわちバーナカバー2及び下部材3)を支持するための複数の支持部119と、複数の支持部119よりも背が低い複数の突部112と、が上方に突出している。
【0023】
図7に示されるように、複数の支持部119は、周方向に互いに距離をあけて並んでいる。本明細書において単に「周方向」というときは、バーナキャップ11の周方向を意味する。複数の支持部119は、それぞれ柱状であり、平坦な上面を有している。複数の支持部119の上面は、同一の高さに位置している。各支持部119の上面に、鍔部12の一部を構成する下部材3が載置される。
【0024】
複数の突部112はそれぞれ、複数の支持部119のうち周方向に隣接して位置する2つの支持部119の間に、配されている。支持部119及び突部112は、周方向において交互に位置している。
【0025】
複数の突部112は、上面に凹部114が設けられた複数の突部112Aと、上面に凹部114が設けられていない複数の突部112Bと、を含む。一実施形態のガスバーナ1では、6つの突部112Aの上面に、それぞれ凹部114が設けられている。都合6つの凹部114は、周方向に互いに距離をあけて並んでいる。各凹部114は、下部材3が有する後述の突起31が挿し込まれる凹部である。
【0026】
突部112A及び突部112Bは、周方向において交互に位置している。凹部114が設けられていない平坦な上面を有する突部120Bが、隣接する2つの支持部119の間に位置することで、この2つの支持部119の間に下部材3の突起31が間違って挿し込まれることを防止している。
【0027】
一実施形態のガスバーナ1では、各突部112(112A,112B)の上面が、各支持部119の上面よりも低く(例えば0.1mm低く)設けられているので、各突部112と下部材3との接触が抑えられ、バーナカバー2からバーナキャップ11への熱の流れが抑制される。
【0028】
複数の炎孔115は、バーナキャップ11の外筒部113に形成されている。複数の炎孔115は、周方向に互いに距離をあけて並ぶように形成されている。各炎孔115は、径方向外側に向けて開口し、径方向内側に向けて開口し、かつ下側に向けて開口している。バーナキャップ11がバーナ本体14に載置された状態で、各炎孔115の下側の開口は、バーナ本体14によって塞がれる。
【0029】
バーナキャップ11の連結部117は、上側の部分ほど径方向外側に位置するように、全体が傾斜している。連結部117は、上側の部分ほど漸次的に勾配が小さくなるように形成されている。換言すると、径方向外側の部分ほど漸次的に勾配が小さくなるように形成されている。
【0030】
(1.2.2)鍔部
鍔部12は、バーナキャップ11の上面118を覆うように、バーナキャップ11の上方に設けられている。上記したように、一実施形態のガスバーナ1において、鍔部12は、バーナカバー2及び下部材3で構成されている。バーナカバー2及び下部材3は、互いに別体である。鍔部12の全体の構成について、まず説明する。
【0031】
鍔部12は、バーナキャップ11の上に位置するように、バーナキャップ11の上端部分に固定されている。鍔部12とバーナキャップ11とは、互いの係合によって固定されているが、ビス止め等の他の手段で固定されてもよい。
【0032】
図3等に示されるように、鍔部12は、鍔部12のうちバーナキャップ11よりも径方向外側に張り出して位置する外周部分122と、この外周部分122よりも径方向内側の部分である内周部分121と、鍔部12のうち最も径方向内側に位置する内筒部123と、を含む。内筒部123は、上下に貫通した貫通孔を有する円筒状の部分であり、この貫通孔は、下方に位置するバーナキャップ11の貫通孔110と連通する。
【0033】
図4に示されるように、鍔部12の外周部分122の上下方向の厚みT2は、鍔部12の内周部分121の上下方向の厚みT1よりも厚く設けられている。換言すると、鍔部12の外周部分122は、鍔部12の内周部分121よりも上下方向において厚く形成されている。
【0034】
鍔部12の内筒部123の上下方向の厚みT3は、内周部分121の上下方向の厚みT1よりも厚く、また、外周部分122の上下方向の厚みT2よりも厚く設けられている。換言すると、鍔部12の内筒部123は、内周部分121及び外周部分122よりも上下方向において厚く形成されている。
【0035】
(1.2.3)バーナカバー
バーナカバー2は、バーナキャップ11とは別体に形成された環状の部材であり、鍔部12の主体部を構成している。バーナカバー2は、バーナキャップ11の上面118を覆うように、バーナキャップ11の上方に設けられている。バーナカバー2は、バーナキャップ11の上に位置するように、下部材3を介してバーナキャップ11の上端部分に固定されている。
【0036】
バーナカバー2は、バーナカバー2のうちバーナキャップ11よりも径方向外側に張り出して位置する外周部分22と、この外周部分22よりも径方向内側の部分である内周部分21と、バーナカバー2のうち最も径方向内側に位置する内筒部23と、を含む。
【0037】
一実施形態のガスバーナ1では、バーナカバー2の外周部分22によって、鍔部12の外周部分122が構成されており、バーナカバー2の内周部分21及び下部材3によって、鍔部12の内周部分121が構成されている。また、バーナカバー2の内筒部23によって、鍔部12の内筒部123が構成されている。バーナカバー2の外径寸法Wは、すなわち鍔部12の外径寸法Wである。バーナカバー2がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは、すなわち鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yである。
【0038】
バーナカバー2は、例えばステンレス製である環状の原板材に曲げ加工を施すことで成形されている。バーナカバー2の外周部分22は、環状の原板材の外周縁部に対して径方向内側へと折り返すヘミング加工を施すことで成形されている。
【0039】
詳細に述べると、バーナカバー2の外周部分22は、内周部分21から径方向外側に延長された上部分221と、上部分221の径方向外側の端縁部から下方に延びた垂下部分223と、垂下部分223の下端縁部から径方向内側に延びた下部分225と、を含む垂直断面コ字状の部分である。上部分221と下部分225との間には、上下方向に距離があけられている。一実施形態のガスバーナ1では、下部分225の下面によって、鍔部12の外周部分122の下面1225が構成されている。
【0040】
バーナカバー2の内筒部23は、原板材の内周縁の部分に曲げ加工を施すことで、90度折り返して下方に突出した円筒状に成形されている。
【0041】
バーナカバー2の外周部分22の下面228(つまり外周部分22の下部分225の下面)は、バーナキャップ11の上面118よりも下方に位置している。
【0042】
図3に示されるように、バーナカバー2の外径寸法Wは、バーナキャップ11の外径寸法Xよりも大きく設定されている。なお、バーナキャップ11の外径寸法Xの測定において、バーナキャップ11が有する後述の点火ターゲット部116は含まない。バーナカバー2は、その全周に亘ってバーナキャップ11よりも径方向外側に張り出している。換言すると、バーナカバー2は、その全周に亘って複数の炎孔115よりも径方向外側に張り出している。
【0043】
バーナカバー2がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは、Y≧X/10の関係を満たすように設けられている。また、バーナカバー2は、バーナキャップ11から径方向外側に4mm以上張り出すように設けられている。
【0044】
図3及び
図4に示されるように、バーナカバー2の外周部分22の上下方向の厚みT2は、バーナカバー2の内周部分21の上下方向の厚みT4よりも厚く設けられている。換言すると、バーナカバー2の外周部分22は、バーナカバー2の内周部分21よりも上下方向において厚く形成されている。
【0045】
バーナカバー2の内筒部23の上下方向の厚みT3は、バーナカバー2の内周部分21の上下方向の厚みT4よりも厚く、また、バーナカバー2の外周部分22の上下方向の厚みT2よりも厚く設けられている。換言すると、バーナカバー2の内筒部23は、バーナカバー2の内周部分21及び外周部分22よりも上下方向において厚く形成されている。
【0046】
(1.2.4)下部材
下部材3は、バーナキャップ11とは別体に形成された環状の部材である。一実施形態のガスバーナ1では、バーナカバー2の内周部分21と、内周部分21の下側に固着された下部材3とで、鍔部12の内周部分121が構成されている。下部材3は、溶接によってバーナカバー2に固着されている。
【0047】
図7及び
図8等に示されるように、下部材3の外周縁部には、下方に突出した複数の突起31が設けられている。複数の突起31は、下部材3の周方向に並ぶように設けられた6つの突起31である。6つの突起31は、下部材3の原部材の一部に曲げ加工を施すことで、それぞれ突片状に成形されている。
【0048】
6つの突起31は、バーナキャップ11の上面118に設けられた6つの凹部114に対して、一対一で差し込まれる。各突起31が、対応する1つの凹部114に圧入されることで、下部材3はバーナキャップ11に固定される。
【0049】
下部材3の内周縁部には、径方向内側に突出した複数の突起32が設けられている。複数の突起32は、下部材3の周方向に並ぶように設けられた3つの突起32である。3つの突起32は、下部材3の原部材の一部に曲げ加工を施すことで、それぞれクランク型の突片状に成形されている。
図8に示されるように、3つの突起32が、バーナカバー2の内筒部23の外周面に当たることで、バーナカバー2に対する下部材3の位置決めがなされる。
【0050】
下部材3の上下方向の厚みT5は、バーナカバー2の内周部分21の上下方向の厚みT4と同程度である。バーナカバー2の内周部分21の上下方向の厚みT4と、これの下方に重なる下部材3の上下方向の厚みT5と、の合計が、鍔部12の内周部分121の上下方向の厚みT1である。
【0051】
(1.2.5)鍋底用温度センサ
鍋底温度センサ13は、ガスバーナ1で加熱される調理用の容器6の底面に当接して、温度を検出するように構成されている(
図9A参照)。
【0052】
鍋底温度センサ13は、バーナキャップ11よりも上方に突出するように、バーナキャップ11の貫通孔110に挿通されている。鍋底温度センサ13のうち容器6に当接するように構成された面130は、バーナキャップ11及びバーナカバー2よりも上方に位置している。すなわち、鍋底温度センサ13の面130は、鍔部12よりも上方に位置している。
【0053】
(1.2.6)バーナ本体
図2及び
図3等に示されるように、バーナ本体14は、円筒状の外形を有するバーナヘッド142と、バーナヘッド142と一体に成形されたスロート部146と、バーナヘッド142及びスロート部146と一体に成形されたフランジ部148と、を有している。
【0054】
バーナヘッド142は、上下に貫通した貫通孔143を中心部分に有する円筒状の部分である。貫通孔143には、鍋底温度センサ13が挿通されている。
【0055】
バーナヘッド142の上部には、バーナキャップ11が着脱可能に載置される。換言すると、バーナヘッド142の上部が、バーナキャップ11を載置するための載置部144を構成している。
【0056】
バーナヘッド142にバーナキャップ11が載置された状態で、バーナヘッド142の貫通孔143と、バーナキャップ11の貫通孔110と、が連通して位置する。鍋底温度センサ13は、バーナヘッド142の貫通孔143と、バーナキャップ11の貫通孔110と、を通じてバーナキャップ11よりも上方に突出する。
【0057】
スロート部146は、ガスバーナ1の混合管を構成する部分であり、バーナヘッド142の外周壁から水平方向に突出している。スロート部146は、バーナヘッド142の外周壁と一体に設けられている。スロート部146は、バーナヘッド142の内部空間に連通した図示略の内部流路と、この内部流路が開口した上流端部147とを有している。
【0058】
フランジ部148は、スロート部146の外周壁から水平方向に延出された、平板状の部分である。フランジ部148には、保持台17が固定されている。
【0059】
保持台17は、ガス供給管18の下流端部が嵌め込まれる凹部175を有している。ガス供給管18は、スロート部146の内部流路にガスを供給するための管である。保持台17は、図示略の取付具を介してケーシング72に固定される。
【0060】
一実施形態の加熱調理器9では、ガス供給管18を通じてスロート部146に燃料ガスが供給され、この燃料ガスと共に周囲の空気が一次空気として供給される。スロート部146に供給された燃料ガスと一次空気は、スロート部146の内部流路において混合された後に、バーナヘッド142に供給される。
【0061】
(1.2.7)点火プラグ
図5等に示されるように、点火プラグ15は、バーナヘッド142の外周面に沿って起立するように設置されている。点火プラグ15の先端部には、放電電極151が設けられている。放電電極151は、バーナキャップ11が有する点火ターゲット部116に対して上下方向に対向する位置にある。点火ターゲット部116は、バーナキャップ11の外周面から径方向外側に突出している。
【0062】
一実施形態のガスバーナ1においては、点火プラグ15の放電電極151が、点火ターゲット部116との間でスパークを生じさせる。これによって、各炎孔115から吹き出した混合気体が点火され、各炎孔115から炎が噴出する状態に至る。各炎孔115から混合気体が噴出する向きは、斜め上方の向きである。
【0063】
(1.2.8)通気路
図4に示されるように、通気路4は、鍔部12とバーナキャップ11との間を通じて、複数の炎孔115から炎が噴出する空間S1に向けて、二次空気を送り込むように構成されている。二次空気が送り込まれる空間S1は、バーナキャップ11の径方向外側に位置する空間である。より詳細に述べると、二次空気が送り込まれる空間S1は、バーナキャップ11の外筒部113の径方向外側の空間であり、また、外筒部113の外周面に開口するように設けられた複数の炎孔115の径方向外側に位置する空間である。
【0064】
通気路4は、バーナキャップ11の貫通孔110の上端部と、炎が噴出する空間S1と、を径方向の内外に通気可能につなぐ隙間で構成されている。通気路4は、径方向内側に開放された開口部41と、径方向外側に開放された開口部42と、内側及び外側の開口部41,42の間に位置する主流路40とを含む。
【0065】
通気路4の内側の開口部41は、バーナカバー2の内筒部23と、バーナキャップ11の上端部と、の間において開口している。内側の開口部41は、平面視において環状をなすように形成されている。内側の開口部41は、バーナキャップ11の貫通孔110を上昇してきた空気の一部を、二次空気として主流路40内に導入するように構成されている。
【0066】
主流路40は、鍔部12の内周部分121の下部を構成する下部材3の下面と、バーナキャップ11の上面118と、の間において径方向の内外に通気可能に形成されている。
図6に示されるように、主流路40は、周方向に並んで位置する複数の支持部119と複数の突部112(112A,112B)によって、複数の流路401に分断されている。複数の流路401は、周方向に並んで位置し、かつ各々が径方向の内外に通気可能に構成されている。主流路40内に導入された二次空気は、各流路401において整流され、径方向外側に放出される。
【0067】
通気路4の外側の開口部42は、バーナキャップ11の上端部と、バーナカバー2の外周部分22の下端部と、の間において開口している。バーナカバー2の外周部分22の下端部は、バーナキャップ11の上端部の径方向外側に位置し、また、バーナキャップ11の上端部よりも下方に位置している。
【0068】
バーナカバー2の外周部分22の下端部は、換言すると、外周部分22の下部分225である。外側の開口部42は、平面視において環状をなすように形成されている。外側の開口部42は、主流路40内を通過した二次空気を、空間S1に向けて放出するように構成されている。
【0069】
図4に示されるような垂直断面において、バーナキャップ11の上面118と、バーナカバー2の外周部分22の下面228(つまり下部分225の下面)と、の間には距離D1があけられている。距離D1は、より詳細には、バーナキャップ11の上面118における径方向外側の端縁と、バーナカバー2の外周部分22の下面228における径方向内側の端縁と、の間の距離である。
【0070】
一実施形態のガスバーナ1においては、距離D1が、例えば0.5mmから2.5mmの範囲内で設定されていることが好ましい。特に、高火力のガスバーナ1では、距離D1が1.5mmから2.5mmの範囲内(例えば2mm程度)で設定されていることが好ましい。
【0071】
一実施形態のガスバーナ1では、鍔部12とバーナキャップ11との間に上記の通気路4が形成されているので、ガスバーナの使用中に高温となる鍔部12からの熱がバーナキャップ11に伝わることが、抑えられる。つまり、高温となるバーナカバー2とバーナキャップ11との間には、下部材3を介して通気路4が形成されているので、バーナカバー2の熱がバーナキャップ11に伝わることが抑えられ、バーナキャップ11の温度上昇は抑制される。したがって、バーナキャップ11の温度上昇に伴って生じる劣化の進行は、効果的に抑制される。ここでの劣化の進行は、例えば、バーナキャップ11にブリスタが生じることによる劣化の進行や、バーナキャップ11に変形が生じることによる劣化の進行である。
【0072】
加えて、一実施形態のガスバーナ1では、上記の通気路4を通じて空間S1に二次空気が供給されることで、炎の燃焼速度が高まり、良好な燃焼が得られやすくなる。これにより、炎がリフトを生じること(つまり炎が炎孔115から大きく離れること)が抑えられる。
【0073】
ここにおいて、鍔部12の外周部分122の下面1225(つまりバーナカバー2の外周部分22の下面228)は、バーナキャップ11の上面118よりも下方に位置しているので、通気路4の外側の開口部42を通じて空間S1に供給される二次空気は、斜め下方に向けて放出される(
図4参照)。この二次空気の流れによって、各炎孔115から噴出する炎の立ち上がりを抑え、炎を外側に広がるように形成することができる。二次空気は、各炎孔115の直近で供給されるのではなく、各炎孔115から径方向外側にある程度離れた位置で供給される。これにより、発熱反応が生じる位置を各炎孔115から径方向外側に離すことができるので、炎の影響で鍔部12に温度上昇が生じることを抑制し、ひいてはバーナキャップ11の温度上昇を抑制することができる。
【0074】
更に、一実施形態のガスバーナ1では、鍔部12の外周部分122の下面1225が、バーナキャップ11の上面118よりも下方に位置しているので、鍔部12に滴下した煮こぼれ等の液体が通気路4を伝って内部に浸入することについても、効果的に抑えられる。
【0075】
(1.2.9)バーナキャップと鍔部との寸法関係
上記したように、バーナキャップ11の上に位置する鍔部12の外径寸法W(すなわちバーナカバー2の外径寸法W)は、バーナキャップ11の外径寸法Xよりも大きく設定されている。高火力のガスバーナ1では、バーナキャップ11の外径寸法Xが47mmであり、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは5mmである。一実施形態のガスバーナ1においては、鍔部12の全周に亘ってY=5mmで設定されている。
【0076】
一実施形態のガスバーナ1においては、鍔部12の全周に亘って、XとYの寸法比がY≧X/10の関係を満たすように設けられている。また、鍔部12がバーナキャップ11から(換言すると複数の炎孔115から)径方向外側に5mm張り出すように、つまり4mm以上張り出すように設けられている。
【0077】
一実施形態のガスバーナ1では、バーナキャップ11の外径を、従来は高火力であれば60mmから70mmの範囲内で設定されることが一般的であるのに対して、47mmと大幅に小さく設定することで、熱効率の向上や熱分布の改善を図っている。
【0078】
加えて、一実施形態のガスバーナ1では、鍔部12を、バーナキャップ11から径方向外側に5mm張り出すように設けているので、
図9Aに示すようにガスバーナ1が弱火に設定されたときでも、各炎孔115から噴出する炎と鍋底温度センサ13との間には距離が確保される。そのため、弱火のときでも鍋底温度センサ13に炎の影響が及びにくく、鍋底温度を鍋底温度センサ13で正確に検出しやすいという効果が得られる。
【0079】
なお、鍋底温度センサ13に及ぶ炎の影響は、バーナキャップ11の貫通孔110を通じて流れる高温の空気の流れ(
図9Aの矢印参照)に拠り、また、炎からの熱放射に拠ると考えられる。
【0080】
図9Bには比較例1として、ガスバーナ1に鍔部12が設けられていない例を示している。この例では、ガスバーナ1が弱火に設定されたときに、鍋底温度センサ13の近くに炎が立ち上がる。そのため、バーナキャップ11が温度上昇を生じやすくなり、また、鍋底温度センサ13が鍋底温度を正確に検出しにくくなる。
【0081】
図9Cには比較例2として、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法を、2mmに設定した例を示している。この例では、ガスバーナ1が弱火に設定されたときに、やはり鍋底温度センサ13の近くで炎が立ち上がりやすい。そのため、バーナキャップ11が温度上昇を生じやすくなり、また、鍋底温度センサ13が鍋底温度を正確に検出しにくくなる。発明者等は実験によって、上記の寸法を2mmに設定した場合には効果が十分に得られず、上記寸法を5mmに設定した場合に効果が得られることを、明らかにしている。
【0082】
(1.3)小火力のガスバーナ
図10及び
図11には、小火力のガスバーナ1を示している。小火力のガスバーナ1は、高火力のガスバーナ1と同様に、筒状のバーナキャップ11と、環状の鍔部12と、鍋底温度センサ13と、バーナ本体14と、点火プラグ15とを備えている。バーナカバー2及び下部材3からなる鍔部12と、バーナキャップ11と、の間には通気路4が形成されている。小火力のガスバーナ1の構成のうち、高火力のガスバーナ1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0083】
小火力のガスバーナ1における距離D1(
図4を参照)は、0.5mmから1.5mmの範囲内(例えば1mm程度)で設定されていることが好ましい。
【0084】
小火力のガスバーナ1において、バーナキャップ11の外径寸法Xは40mmであり、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは4.3mmである。小火力のガスバーナ1においても、高火力のガスバーナ1と同様に、XとYの寸法比はY≧X/10の関係を満たしている。また、小火力のガスバーナ1においても、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に4mm以上張り出すように設けられている。
【0085】
一実施形態の加熱調理器9において、小火力のガスバーナ1の火力は1100kcal/h(1.28kW)であり、高火力である左右のガスバーナ1の火力は3010kcal/h(3.5kW)である。一実施形態の加熱調理器9は備えていないが、2550kcal/h(2.97kW)の火力を有した中火力のガスバーナ1を備えることも可能である。中火力のガスバーナ1においても、距離D1は0.5mmから2.5mmの範囲内で設定されていることが好ましく、また、XとYの寸法比はY≧X/10の関係を満たすことが好ましく、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは4mm以上であることが好ましい。
【0086】
高火力、中火力、及び小火力のいずれのガスバーナ1においても、バーナキャップ11の外径寸法Xは、40mmから50mmの範囲内で設定されることが好ましく、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yは、4mmから10mmの範囲内で設定されることが好ましい。なお、高火力のガスバーナ1では、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yが、5mmから10mmの範囲内で設定されることも好ましい。小火力のガスバーナ1では、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yが、2mm以上で設定されることも好ましく、また、10mm以下で設定されることも好ましい。
【0087】
(2)変形例
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【0088】
例えば、一実施形態のガスバーナ1において、鍔部12は、バーナキャップ11とは別体のバーナカバー2及び下部材3で構成されているが、鍔部12及びバーナキャップ11を一体に構成することも可能であるし、バーナカバー2及び下部材3を一体に構成することも可能である。一実施形態のガスバーナ1において、鍔部12とバーナキャップ11の互いの材質は相違しているが、鍔部12とバーナキャップ11を同一の材質とすることも可能である。
【0089】
一実施形態のガスバーナ1では、鍔部12(つまりバーナカバー2及び下部材3)とバーナキャップ11の外形が、それぞれ円環状に構成されているが、それぞれ別形状、例えば、全周に亘って12角形、24角形等の多角形状に構成されてもよく、また、円環状の一部が直線状に置き換わった形状に構成されてもよい。鍔部12は、バーナキャップ11の全周に亘って径方向外側に張り出していればよく、鍔部12とバーナキャップ11の具体的な外形は限定的に解釈されない。
【0090】
一実施形態のガスバーナ1では、通気路4の開口部42の大きさの基準となる距離D1が、0.5mmから2.5mmの範囲内で設定されるが、この範囲外で距離D1が設定されることも有り得る。
【0091】
一実施形態のガスバーナ1が備えるバーナカバー2の外周部分22は、ヘミング加工によって内周部分21よりも厚肉に形成されているが、これに限定されず、例えば切削加工によって外周部分22が内周部分21よりも厚肉に形成されてもよい。また、外周部分22を内周部分21よりも厚肉に形成することなく、下面1225がバーナキャップ11の上面118よりも下方に位置するように外周部分122を湾曲させる等して形成することも可能である。
【0092】
一実施形態のガスバーナ1では、バーナキャップ11及び鍔部12が、Y≧X/10の関係を満たすように設けられ、また、鍔部12が、バーナキャップ11から径方向外側に4mm以上張り出すように設けられているが、これに限定されず、Y≧X/10の関係を満たさないことや、鍔部12がバーナキャップ11から径方向外側に張り出す寸法Yが4mm未満となることも有り得る。
【0093】
一実施形態のガスバーナ1は、バーナキャップ11の貫通孔110に挿通された鍋底温度センサ13を備えるが、これに限定されず、ガスバーナ1が鍋底温度センサ13を備えないことも有り得る。
【0094】
(3)態様
第1の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、筒状のバーナキャップ(11)と、環状の鍔部(12)と、通気路(4)と、を備える。バーナキャップ(11)は、上下に貫通した貫通孔(110)を中心部に有し、かつ複数の炎孔(115)を外周部に有する。鍔部(12)は、バーナキャップ(11)の上方に設けられている。通気路(4)は、バーナキャップ(11)と鍔部(12)との間において、径方向の内外に通気可能に形成されている。鍔部(12)の外径は、バーナキャップ(11)の外径よりも大きい。鍔部(12)のうちバーナキャップ(11)よりも径方向外側に張り出して位置する外周部分(122)の下面(1225)は、バーナキャップ(11)の上面(118)よりも、下方に位置する。
【0095】
この態様によれば、鍔部(12)とバーナキャップ(11)との間に通気路(4)が形成されていることで、鍔部(12)からの熱がバーナキャップ(11)に伝わることが抑えられる。加えて、通気路(4)を通じて斜め下方に放出される二次空気の流れによって、複数の炎孔(115)から噴出される炎の立ち上がりが抑えられるので、鍔部(12)ひいてはバーナキャップ(11)の温度上昇が抑制される。
【0096】
更に、この態様によれば、二次空気の供給によって炎のリフトが抑えられるという利点や、鍔部(12)に滴下した煮こぼれ等の液体が通気路(4)を伝って内部に浸入することが抑えられるという利点がある。
【0097】
第2の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1の態様において、通気路(4)は、バーナキャップ(11)の上端部と、鍔部(12)の外周部分(122)の下端部と、の間において開口する開口部(42)を有する。開口部(42)において、バーナキャップ(11)の上面(118)と、鍔部(12)の外周部分(122)の下面(1225)と、の間の距離(D1)は、0.5mm以上かつ2.5mm以内の距離である。
【0098】
この態様によれば、炎のリフトを効果的に抑制可能な量の二次空気が通気路(4)を通じて供給される。しかも、鍔部(12)に滴下した煮こぼれ等の液体が通気路(4)を伝って内部に浸入することは、効果的に抑えられる。
【0099】
第3の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1又は第2の態様において、鍔部(12)は、外周部分(122)と、鍔部(12)のうち外周部分(122)よりも径方向内側の部分である内周部分(121)と、を含む。外周部分(122)は、内周部分(121)よりも上下方向において厚く形成されている。
【0100】
第4の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1から第3のいずれか1つの態様において、外周部分(122)は、径方向内側へと折り返すヘミング加工によって成形されている。
【0101】
この態様によれば、原板材に対してヘミング加工を施すことによって、厚肉でありかつ高強度の外周部分(122)を有した鍔部(12)を得ることができる。
【0102】
第5の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1から第4のいずれか1つの態様において、バーナキャップ(11)の貫通孔(110)に挿通された鍋底温度センサ(13)を更に備える。バーナキャップ(11)の外径寸法をXとし、鍔部(12)のうちバーナキャップ(11)から径方向外側に張り出す寸法をYとしたとき、バーナキャップ(11)及び鍔部(12)は、Y≧X/10の関係を満たすように設けられている。
【0103】
この態様によれば、バーナキャップ(11)の外径を小さく設定して加熱調理における熱効率の向上や熱分布の改善を図ることと、弱火にしたときでも鍋底温度センサ(13)で鍋底温度を正確に検出することとが、両立される。
【0104】
第6の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1から第5のいずれか1つの態様において、バーナキャップ(11)の貫通孔(110)に挿通された鍋底温度センサ(13)を更に備える。鍔部(12)は、バーナキャップ(11)から径方向外側に4mm以上張り出すように設けられている。
【0105】
この態様によれば、バーナキャップ(11)の外径を小さく設定して加熱調理における熱効率の向上や熱分布の改善を図ることと、弱火にしたときでも鍋底温度センサ(13)で鍋底温度を正確に検出することとが、両立される。
【0106】
第7の態様の加熱調理器(9)は、第1から第6のいずれか1つの態様のこんろ用ガスバーナ(1)と、こんろ用ガスバーナ(1)が装着された調理器本体(7)と、を備える。
【0107】
この態様によれば、加熱調理器(9)のこんろ用ガスバーナ(1)が備えるバーナキャップ(11)の温度上昇が抑制される。加えて、こんろ用ガスバーナ(1)の炎がリフトを生じることが抑えられるという利点や、煮こぼれ等の液体がこんろ用ガスバーナ(1)の内部に浸入することが抑えられるという利点がある。
【符号の説明】
【0108】
1 こんろ用ガスバーナ
11 バーナキャップ
110 貫通孔
115 炎孔
118 上面
12 鍔部
121 内周部分
122 外周部分
1225 下面
13 鍋底温度センサ
4 通気路
42 開口部
7 調理器本体
9 加熱調理器
D1 距離