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特開2024-102770アクティビティ分析システム及びアクティビティ表の作成方法
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  • 特開-アクティビティ分析システム及びアクティビティ表の作成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102770
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】アクティビティ分析システム及びアクティビティ表の作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240724BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006891
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】501221120
【氏名又は名称】明豊ファシリティワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】大貫 美
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】現状の働き方を分析するための一助となるアウトプットを生み出すシステムを提供すること。
【解決手段】記憶手段と、制御手段と、表示手段とを有するアクティビティ分析システムであって、少なくとも個人を特定する事項、前記個人の行うアクティビティ、前記アクティビティに費やす時間を含む管理項目を記録する前記記憶手段と、前記個人を特定する事項、前記アクティビティ、前記時間の各データに基づいてクラスター分析する前記制御手段と、前記制御手段によって作成されたクラスターを図表形式に出力する前記表示手段と、を有し、前記個人を特定する事項をクラスター分析してその結果を表示するアクティビティ分析システムである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも個人を特定する事項、前記個人の行うアクティビティ、前記アクティビティに費やす時間、を含む管理項目を記録する記憶手段と、
前記個人を特定する事項、前記アクティビティ、前記時間の各データに基づいてクラスター分析を実行する制御手段と、
前記制御手段によって作成されたクラスターを図表形式に出力する表示手段と、を有し、
前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してその結果を表示するアクティビティ分析システム。
【請求項2】
前記クラスター分析の結果をアクティビティ表として出力する請求項1記載のアクティビティ分析システム。
【請求項3】
前記クラスター分析は、ウォード法及びユークリッド距離を用いるものである請求項1記載のアクティビティ分析システム。
【請求項4】
さらに前記アクティビティのクラスター分析を実行する請求項1記載のアクティビティ分析システム。
【請求項5】
請求項1~請求項4何れか1項記載のアクティビティ分析システムを用い、
前記アクティビティのクラスター分析を実行した後、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してアクティビティ表を作成するアクティビティ表の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジネス活動を行う法人をはじめ、社会の様々な活動を行うその他の団体、グループ等における各個人の働き方や活動状態を検証し、各個人のメリット及びその個人の属する団体等のメリットを最大限に生かすべく開発されたマンアワーシステムに属し、その中でも仕事内容や行動内容について分析するアクティビティ分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では世界の多くの国々において出生率の低下や少子高齢化が進み労働力の確保は大きな社会問題となっている。特に日本は最も少子高齢化が進んだ国であり、また長時間労働が常態化し、女性の社会進出においても遅れていると言われている。そうした状況下にあって、労働環境を改善することは急務であり、個々の企業においても働き方改革を進めるための取り組みがなされている。例えば、社員の労働と対象業務に関する効率化を図ったシステムは数多く特許出願されており、特開2004-310530号公報(特許文献1)に記載された技術もその一つである。
【0003】
あるいはまた、個人の働き方に対して分析を行い、より効率的、生産性の高い働き方を見出すためのシステムについても特許出願されており、例えば特開2004-038234号公報(特許文献2)に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-310530号公報
【特許文献2】特開2004-038234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした近年の働き方改革の流れの中で企業等の団体とそこで働く個人の双方の利益に、よりかなうシステムの実現が求められてきた。
本出願人は近年の社会の要請とも合致し、より使い易く、より合目的的なシステムを生み出してきたが、そうしたシステムの一部ではあるが、個人の働き方を分析し、個人と団体双方の働き方をより良く改革するために、現状の働き方を分析するための一助となるアウトプットを生み出すシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも個人を特定する事項、前記個人の行うアクティビティ、前記アクティビティに費やす時間、を含む管理項目を記録する記憶手段と、前記個人を特定する事項、前記アクティビティ、前記時間の各データに基づいてクラスター分析を実行する制御手段と、前記制御手段によって作成されたクラスターを図表形式に出力する表示手段と、を有し、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してその結果を表示するアクティビティ分析システムである。
【0007】
本開示の一態様は、記憶手段と、制御手段と、表示手段とを有するアクティビティ分析システムであるため、必要な管理項目を記録し、必要な演算を行い、その結果をアウトプットすることができる。そして、少なくとも個人を特定する事項、前記個人の行うアクティビティ、前記アクティビティに費やす時間を含む管理項目を記録する前記記憶手段を備えるため、団体等に所属する個人とそのアクティビティ及びそのアクティビティに費やす時間を記録することで、これらを保持し、個人の働き方を分析するためのデータとすることができる。
【0008】
そしてまた、前記個人を特定する事項、前記アクティビティ、前記時間の各データに基づいてクラスター分析を実行する前記制御手段を有するため、個人を特定する事項又はアクティビティをいつくかのクラスターに分類することができる。さらに前記制御手段によって作成されたクラスターを図表形式に出力する前記表示手段を有するため、分類結果を視覚により認識し易い。加えて、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してその結果を表示するため、複数の個人をアクティビティ及びそのアクティビティに費やした時間からいくつかのクラスターに分類でき、その分類された各クラスターからそこに含まれる個人の働き方の特徴を見出し、個人の働き方改革の方向性を見出すための一助とすることができる。
【0009】
本開示の一態様は、前記クラスター分析の結果をアクティビティ表として出力するアクティビティ分析システムとすることができる。
本開示の一態様を、前記クラスター分析の結果をアクティビティ表として出力するアクティビティ分析システムとしたため、働き方が似たもの同士(個人)を一つのアクティビティ表に示されるため、そこに含まれる個人に共通した働き方を見出す一助が得られる。
【0010】
本開示の一態様は、前記クラスター分析が、ウォード法及びユークリッド距離を用いるものであるアクティビティ分析システムとすることができる。
本開示の一態様を、前記クラスター分析が、ウォード法及びユークリッド距離を用いるものであるアクティビティ分析システムとしたため、前記クラスター分析が、ウォード法を用いることから精度の高い結果を得ることができ、ユークリッド距離が仕事時間という単一の単位を分析するには直線距離という最も遠近に則した値を得ることができる。
【0011】
本開示の一態様は、さらに前記アクティビティのクラスター分析を実行するアクティビティ分析システムとすることができる。
本開示の一態様を、さらに前記アクティビティのクラスター分析を実行するアクティビティ分析システムとしたため、特異なアクティビティを予め排除し、残ったアクティビティ間の関係をより強く反映させた結果を導くことができる。
【0012】
本開示の一態様は、前記何れかのアクティビティ分析システムを用い、前記アクティビティのクラスター分析を実行した後、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してアクティビティ表を作成するアクティビティ表の作成方法とすることができる。
本開示の一態様を、前記何れかのアクティビティ分析システムを用い、前記アクティビティのクラスター分析を実行した後、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してアクティビティ表を作成するアクティビティ表の作成方法としたため、特異なアクティビティを予め排除し、残ったアクティビティ間の関係をより強く反映させたアクティビティ表を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、個人の働き方改革を実践するために、個人の働き方の特徴を分析するための一助を提供し、個人及び団体の行う仕事の改善を図る礎とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アクティビティ分析システムのシステム構成図である。
図2】管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
図3】アクティビティ表を簡易化して示す説明図である。
図4】クラスターaに分類された個人を含むアクティビティ表である。
図5】クラスターbに分類された個人を含むアクティビティ表である。
図6】クラスターcに分類された個人を含むアクティビティ表である。
図7】クラスターdに分類された個人を含むアクティビティ表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般にマンアワーシステムは、法人等の団体を構成する各個人の働き方、動き方を分析し、個人にとっては無理なく、適正な労働を実現し、団体にとっては効率的な労働力の分配等を実現するために導入されるシステムである。こうしたシステムの中でも、ここで取り上げるシステムは、個人の働き方に対して分析を行い、より効率的、生産性の高い働き方を見出すために、個人の働き方を分析するための一助となるアウトプットを生み出すアクティビティ分析システム(以下単に「システム」ともいう)である。
【0016】
<システム構成>
図1は、アクティビティ分析システム6のシステム構成図である。このシステム6は、管理サーバ1と、日々の業務をこなす社員等の個人が用いる個人端末2(2a、2b、2c、…)と、経営者や人事部等の個人の働き方を管理する者(以下「管理者」ともいう)が用いる管理者端末3(3a、3b、3c、…)と、を有し、これらがネットワーク5を介してそれぞれ接続されている。なおシステムを管理するシステム管理者(図示せず)もまたネットワーク5を介してシステムに接続している。
【0017】
管理サーバ1は、個人端末2や管理者端末3からの指示を、ネットワーク5を介して受信し、その指示に従った処理を行う。この管理サーバ1の構成としては、演算装置や制御装置として機能する中央演算処理装置(CPU)や、RAM等の主記憶装置、ハードディスクやSSD等の外部記憶装置、モデム等の通信装置、コンピュータプログラムを有している。これらの構成要素により後述する機能ブロックを構成する。
【0018】
この管理サーバ1は、ネットワークに接続した各種端末2,3以外のコンピュータ管理サーバであって良いが、管理者端末3のコンピュータで兼用する管理サーバとすることもできる。さらにクラウドコンピューティングに用いられるクラウド管理サーバであっても良い。
【0019】
個人端末2は、企業等の団体に属する個人又はある種の許可を受けた個人が使用するコンピュータであり、一又は複数のコンピュータ2a、2b、・・であり得る。この個人端末2は、社内LAN、インターネット等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しインターネット等のネットワークに接続すると管理サーバ1に保存されたデータを取得して表示したり、入力装置を通じて入力されたデータを管理サーバ1へ送信したり、管理サーバ1からのデータを受信して出力装置を通じてプリント出力することができる。この個人端末2となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、携帯電話端末やタブレット端末などであっても良い。
【0020】
管理者端末3は、管理者が使用するコンピュータであり、一又は複数のコンピュータ3a、3b、・・であり得る。この管理者端末3は、ネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しインターネット等のネットワークに接続すると管理サーバ1に保存されたデータを取得して表示したり、入力装置を通じて入力されたデータを管理サーバ1へ送信したり、管理サーバ1からのデータを受信して出力装置を通じてメール等の形式で出力することができる。
この管理者端末3となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、携帯電話端末やタブレット端末などであっても良い。
【0021】
図2には、管理サーバ1の機能構成をブロック図として示した。図2で示すように、管理サーバ1には、制御手段11と、ID認識手段12と、記憶手段13と、表示手段14と、通信手段等のその他の手段15を有している。
【0022】
制御手段11は、以下に説明する各種手段を制御しその機能を奏するように動作させるものである。例えば、記憶手段13に記録された様々な管理項目として記録されたデータの中から必要なデータを選択して取り出し、目的に沿った演算を行ったりする。
【0023】
ID認識手段12は、システム6にアクセス可能な者を識別するための所定のID情報を識別する機能を有し、より具体的には、各種端末2,3からシステム6へのアクセス要求に対して、アクセス権を有する者であるか否か、及びアクセス権を有する場合には、その程度又は何に対するアクセス権であるか等について判断する。アクセス権の有無等をパスワードに基づいて行う態様は一例である。
【0024】
記憶手段13は、個人の氏名や社員番号、管理番号、配属等の個人を特定する事項、仕事の内容を示す様々な項目、顧客名、個人の行うアクティビティ、そのアクティビティに費やす時間、その他のマンアワーを管理していく上で必要な項目を管理項目として記録し、データベースとして備える機能を有する。ある企業の個人Aを例示すれば、例えば、その個人名、配属、個人Aの出勤日、アクティビティ(仕事内容)、各アクティビティに費やした時間(仕事時間)等々が管理項目に該当する。
【0025】
表示手段14は、記憶手段13が記録する管理項目や、制御手段11が加工して得た事項を各種端末2,3に表示したり、レポートとして出力したり、個人を分類して得られたクラスターを図表形式に表示する機能を奏する。また、各種端末での入力画面の表示も行う。
【0026】
管理サーバ1には、その他にも異常値を観測してアラートを発するアラート生成手段、アラート情報や報告書等の種々のアウトプットを個人端末2や管理者端末3等の出力対象となる端末に対して送信する通信手段等の種々の機能(その他の手段15)を持たせることができる。
【0027】
<システムの機能>
企業やグループ、プロジェクト、その他の団体(様々な人の集合体をまとめて「団体」という)における各従業員、役員、構成員等の人々(これらの人々をまとめて「個人」ともいう)の仕事内容又は行動内容(これらをまとめて「アクティビティ」ともいう)を分析するには、そのアクティビティと、そのアクティビティに費やす時間(「仕事時間」とのいう)を的確に把握する必要がある。システムでは、個人のアクティビティをシステムに取り込むために、予め個人が属する団体に応じて決定される様々な個人が行うアクティビティを、大分類、中分類、そして小分類に分類された中にさらに細かく項目立てした選択肢で特定できるようにしている。
【0028】
例えば、建設会社とそこで働く従業員に適用可能なマンアワーシステムを例示して説明すると、大分類には、営業、企画、経理、人事、受注、設計、施工等といった管理項目が挙げられ選択肢として準備される。また、中分類には、企画立案、制度執行、人事評価、研修等参加等といった管理項目が挙げられ、小分類には会議、資料作成、移動、電話やメール、コピー等、といった管理項目が挙げられ、それぞれ選択肢として準備される。従業員等の個人は大分類、中分類、小分類の順にそれぞれの分類から適当な選択肢を選択することで自分のアクティビティを的確に登録できるようになっている。
【0029】
システムでは、各個人が行ったアクティビティは基本的には各個人が個人端末2を用いてシステムに対して入力し登録することによって行う。個人の入力作業を通じて、個人名等の個人を特定する事項、その個人が行うアクティビティ、仕事時間等の管理項目が記憶手段13に記録される。
【0030】
上記のとおりアクティビティ及び仕事時間を実績として登録する一方で、将来の仕事の予定を書き込むこともできる。予定の入力も実績を登録したのと同様の方式で入力することにより行う。即ち、個人の入力方法においては、実績も予定も変わりがなく、入力する日時が過去であれば仕事を行った実績の入力になり、日時が未来であれば今後の仕事の予定の入力となり、記憶手段13がこれを記録する。
【0031】
予定の入力に関し、個人Aの上司にあたる個人Bもまた個人Aの予定を入力することができる。例えば、個人Aが今月はある施設建設プロジェクトの仕事にかかわっているときに、管理者である個人Bは来月に別の施設建設プロジェクトへの個人Aのアサインを検討しているような場合や、○月○日に予定されるミーティングへ個人Bが個人Aの招集を行う場合等である。但し、個人A以外の者は、実績、即ち、過去のアクティビティについては入力不可能とする態様を採用することができる。また、個人Aであっても一度登録を行い個人Bの承認を得た後は再入力ができないようにすることもできる。
【0032】
<システムの機能>
システム6は、以下に説明するアクティビティ表を作成、表示、又は利用することができる。
【0033】
(1)アクティビティ表(図3
個人が一日の勤務で各アクティビティに費やした時間を月ごとなど一定の期間で平均し、アクティビティ表と呼ぶ一覧表を作成することができる。換言すれば、アクティビティ表は、個人を特定する事項と、個人の行うアクティビティと、そのアクティビティに費やす時間を示す表である。こうしたアクティビティ表の一例を図3に示す。図3では、会社Aの従業員61人全員を個人ごとに氏名、部署、そしてアクティビティとしての業務Aから業務Kについて一日にどの程度の時間を費やしたかをその時間で示したものである。
【0034】
表3で示すアクティビティ表20において、整理番号1が付いた山田徹氏は、企画部に所属し、ある月の勤務時間を平均すると、一日あたり業務Aに10.6時間、業務B~業務Hは、図上省略しているが、業務Iに0.4時間、業務Jに0時間、業務Kに0時間費やしていることがわかる。アクティビティの種類(数)、内容は会社ごとに決定すれば良く、例えば業務Aは企画立案というコア業務、業務Iには制度執行というコア業務、業務Jには電話やメール等のノンコア業務、業務Kにはコピーなどの事務作業であるノンコア業務とすることができる。
【0035】
アクティビティ表20は、予め表示手段14が作成しておいた入力フォームを通じて、個人が個人端末2からアクティビティ表20にあげられている各アクティビティにどの程度の時間を費やしたか、その労働時間を入力すると、その入力事項を管理項目として記憶手段13が記録することにより記録データベースに蓄積される。そして、管理者による管理者端末3からのアクティビティ表20の作成指示に従い、制御手段11が記憶手段13に記録されたアクティビティ毎に費やされた時間を呼び出し、必要な集計等の演算を行い、その結果を表示手段14が、例えば図3で示すような形式でアクティビティ表20を出力する。
【0036】
(2)クラスター分析(図4図7
上記アクティビティ表20は、個人がどんなアクティビティにどの程度の時間を費やしているかを個人ごとに表示するものであるが、会社全体を通じての個人の働き方の傾向といったような全社的な特徴があってもそれを見つけ出すことは難しい。そこで、システム6では、全個人を含むアクティビティ表20を、働き方の似たもの同士の個人を集めるクラスターに分けるクラスター分析を行う。換言すれば、システム6では、各個人が各アクティビティに費やした時間をデータとして、それらのデータ間の類似度に基づいて個人をいくつかのクラスターに分類する。そして、そうしたクラスターが得られれば、それに基づいて管理者や各個人が、個人間の関連や働き方の傾向等を見出すことができ、働き方改革に利用することができる。
【0037】
アクティビティ分析システム6は、機械学習(AI)の手法の一つであるクラスター分析を行うことができる。そして、クラスター分析の手法のうち階層型の凝集法を用いることができる。
階層型とは、全てのデータ間の類似度を算出して類似度の高いものの組み合わせからまとめていく手法である。一方、非階層型の方法は、あらかじめ分類するクラスター数や初期値を決める必要があり、分析者の知識や経験に左右されるため客観的な判断がし難いというデメリットがあるため採用し難い。また、非階層型は計算量が少ないためビッグデータの分類が可能であるというメリットがあるが、個人のアクティビティ数は限られておりデータ数が多くはならないためそうしたメリットを生かす必要もない。
【0038】
また、階層型の中でも各個人が一つのグループにみに所属するようにグループ分けするハードクラスタリングと、各個人が複数のグループに所属することを許容するソフトクラスタリングとあるが、ハードクラスタリングを行うことができる。一つの個人が複数のクラスターに分類されるよりも一つのクラスターに属するようにすることで、その個人の特徴を明確に認識し易いからである。但し、必要によりソフトクラスタリングを行うことも可能である。
【0039】
クラスターを形成するには、似たもの同士を集めるためにいくつかの手法があり、例えば、最短距離法、最長距離法、群平均法、ウォード法、セントロイド法、重み付き平均法、メジアン法等があげられる。
そして、類似度をデータ間の距離として捉えると、その距離の定め方にもいくつか種類があり、例えば、ユークリッド距離、マハラノビス距離、マンハッタン距離、チェビシェフ距離等があげられる。
【0040】
一例として、各データの距離はユークリッド距離を用い、ウォード法にて類似度の計算を行う方法を採用できる。ウォード法は、計算量は少なくないものの精度が高いからであり、ユークリッド距離は、二点間の直線距離を示し、わかり易く、全てのアクティビティに費やされた時間というデータの単位だけを考慮すれば良いからである。
【0041】
ユークリッド距離を用いた具体的な個人間の距離は、アクティビティ毎に二者の労働時間の差を算出し、その差を二乗し、アクティビティ毎に得られたこの二乗した数値を全てのアクティビティについて足し算し、その値の平方根として決定される。これを全ての個人について、他の全ての個人との間の二者間で計算し算出する。そうすると、全個人について他の個人との間の距離が得られる。そして最も距離の短い二人を合併し、合併したものはひとかたまりとして扱い、別の個人や別のかたまりとの間での距離の近いものを合併し、合併したものをひとまとまりとする、といった作業を行い、最終的には一つに合併されるまでこの作業を繰り返す。こうして同時にデンドログラムが形成される。最後に、所望のクラスター数に応じて、複数のクラスター、例えば3~8種類のクラスターを出力させる。
【0042】
図3で示す全個人61名をクラスター分析し、上位4つの4種のクラスターに分類した一例を図4図7で示す。4つのクラスターをそれぞれクラスターaからクラスターdと名付けると、図4にはクラスターaを、図5にはクラスターbを、図6にはクラスターcを、図7にはクラスターdを、それぞれ示す。
【0043】
図4図7で示す各アクティビティ表21,22,23,24は、管理者が管理者端末3からクラスター分析を行わせる指示と、分析を行うアクティビティが行われた期間、そして求めるクラスター数を入力すると、制御手段11が記憶手段13に記録された、個人を特定する事項、個人の行うアクティビティ、アクティビティに費やす時間を呼び出して、クラスター分析のための演算を行う。そして、生じたクラスターの中から求めるクラスター数だけ、例えば4つであれば、図4図7で示したような4つのグラフを表示手段14が作成し出力する。
【0044】
なお、分析対象とするアクティビティや、クラスター分析で用いる似たもの同士を集める手法の選択、二者間の距離の算定方法の選択等、入力をする者に決定させるように、これらの分析に必要な項目を管理者等に対しより詳細に選択できるようにすることができる。制御手段11はこうした選択に基づいた処理を行う。
【0045】
システム6は、図4図7は作成するが、4つのクラスターに分類したことの解釈までは行わないため、管理者等がこれらの表からクラスター毎の働き方の特徴を見つけ出す必要がある。
管理者は図4を参照すると、クラスターaでは、業務Iと業務Jを主に行っている従業員のグループであることがわかる。即ち、クラスターaに入る従業員は、制度執行というコア業務を行いつつ、電話やメール等のノンコア業務もコア業務と同様に主な業務として行っていることがわかる。
【0046】
同様に、管理者が図5を参照すると、クラスターbでは、業務Aを主に行っている従業員のグループであることがわかる。即ち、クラスターbに入る従業員は、企画立案というコア業務を主として行っていることがわかる。
また、図6を参照すると、クラスターcでは、業務Jを主に行っている従業員のグループであることがわかる。即ち、クラスターcに入る従業員は、電話やメール等のノンコア業務を主として行っていることがわかる。
そして、図7を参照すると、クラスターdでは、業務Iを主に行っている従業員のグループであることがわかる。即ち、クラスターdに入る従業員は、制度執行というコア業務を主に行っていることがわかる。
【0047】
以上のクラスター分類に基づき、管理者は各個人の働き方や、団体における働き方の特徴等を見出し、各個人への働き方のサポートと示唆、団体における個人の働き方の改革等に結び付けることができる。
例えば、クラスターaとクラスターdが得られたことから、所属する部署によらず、制度執行というコア業務を主に行う個人と、制度執行というコア業務とともに電話やメール等のノンコア業務も主な業務として行っている個人も多いことがわかる。そうした一方で、クラスターbから企画立案というコア業務を主とする個人が多いのに対して企画立案というコア業務とともにノンコア業務を主とするグループは見つかっていない。制度執行と企画立案というそれぞれのコア業務の特性によるかもしれないけれども、制度執行をコア業務としている個人に対しては、電話やメール等のノンコア業務を減らす方向に検討する余地があるのではないかといった示唆が得られることになる。
【0048】
上記実施形態で示した例は本発明の一実施形態にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態における構成要素の変更や、公知技術の追加、その他の改変を適宜行えるものである。
例えば、求めるクラスター数は4に限らず、それ以外の数字としても良い。また、似たもの同士を集める手法としてウォード法以外の手法を用い、データ間の距離の定め方もユークリッド距離以外の距離を採用しても良い。
【0049】
また、アクティビティについては、全アクティビティ又は、管理者等により選択されたアクティビティについて用いるものとしたが、全アクティビティについてのクラスター分析を行い、互いに関連性の低いアクティビティを見出して、そうしたアクティビティを除外して、個人に対するクラスター分析を行うことができる。
【0050】
個人に対するクラスター分析は、アクティビティとそれに費やした時間に基づいて個人間の距離を導いてクラスターに分類したが、アクティビティに対するクラスター分析は、個人が費やした時間に基づいてアクティビティ間の距離を導いてクラスターに分類すれば良い。
【0051】
アクティビティに対するクラスター分析を個人に対するクラスター分析の前に行うことで、特異なアクティビティを予め排除し、残ったアクティビティ間の関係をより強く反映させた結果を導くことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 管理サーバ
2,2a,2b、2c 個人端末
3,3a,3b、3c 管理者端末
5 ネットワーク
6 アクティビティ分析システム
11 制御手段
12 ID認識手段
13 記憶手段
14 表示手段
15 その他の手段
20 アクティビティ表
21 クラスターaを示すアクティビティ表
22 クラスターbを示すアクティビティ表
23 クラスターcを示すアクティビティ表
24 クラスターdを示すアクティビティ表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも個人を特定する事項、前記個人の行うアクティビティ、前記アクティビティに費やす時間、を含む管理項目を記録する記憶手段と、
前記個人を特定する事項、前記アクティビティ、前記時間の各データに基づいてクラスター分析を実行する制御手段と、
前記制御手段によって作成されたクラスターを図表形式に出力する表示手段と、を有し、
前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してその結果を表示するアクティビティ分析システム。
【請求項2】
前記クラスター分析の結果をアクティビティ表として出力する請求項1記載のアクティビティ分析システム。
【請求項3】
前記クラスター分析は、ウォード法及びユークリッド距離を用いるものである請求項1記載のアクティビティ分析システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3何れか1項記載のアクティビティ分析システムを用い、
クティビティのクラスター分析を実行した後、前記個人を特定する事項のクラスター分析を実行してアクティビティ表を作成するアクティビティ表の作成方法。