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  • 特開-実装基板および電子部品実装構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102772
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】実装基板および電子部品実装構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/24 20060101AFI20240724BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20240724BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H05K3/24 Z
H01G2/06 500
H01G2/06 C
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006896
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】黒須 勇太
【テーマコード(参考)】
4E351
5E343
【Fターム(参考)】
4E351CC11
4E351GG15
5E343AA38
5E343BB60
5E343GG18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】曲がりや捻じれが発生しても、電子部品の本体にクラックが発生したり、電子部品が実装基板から外れたりすることが抑制された実装基板を提供する。
【解決手段】実装基板100は、基板1と、基板1の少なくとも一方の主面に形成された、少なくとも1対のランド電極2、3と、ランド電極2、3の表面に形成され、ランド電極と電気的に接続されている導電性樹脂層5、6と、を備えたものとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の少なくとも一方の主面に形成された、少なくとも1対のランド電極と、
前記ランド電極の表面に形成された導電性樹脂層と、を備えた、
実装基板。
【請求項2】
前記ランド電極が銅箔層を含む、
請求項1に記載された実装基板。
【請求項3】
前記導電性樹脂層のヤング係数が、前記銅箔層のヤング係数よりも小さい、
請求項2に記載された実装基板。
【請求項4】
前記ランド電極が、前記銅箔層の表面に形成されためっき層を含む、
請求項2に記載された実装基板。
【請求項5】
前記めっき層が、Niめっき層と、前記Niめっき層の表面に形成されたAuめっき層を含む、
請求項4に記載された実装基板。
【請求項6】
前記ランド電極が形成された前記基板の前記主面に、はんだレジスト層が形成され、
前記はんだレジスト層は、前記ランド電極を外部に露出させる開口を有し、
前記導電性樹脂層は、前記ランド電極の前記表面に形成されるとともに、外縁が前記はんだレジスト層の表面に形成された、
請求項1に記載された実装基板。
【請求項7】
前記ランド電極が形成され、前記ランド電極の表面に前記導電性樹脂層が形成された前記基板の前記主面に、はんだレジスト層が形成され、
前記はんだレジスト層は、開口を有し、
前記開口から、前記導電性樹脂層が外部に露出された、
請求項1に記載された実装基板。
【請求項8】
前記導電性樹脂層の厚さが、10μm以上、40μm以下である、
請求項1に記載された実装基板。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載された実装基板と、
前記実装基板に実装された電子部品と、を含む電子部品実装構造であって、
前記電子部品は、少なくとも1対の外部電極を有し、
前記外部電極が、接合材によって、前記ランド電極に形成された前記導電性樹脂層に接合された、
電子部品実装構造。
【請求項10】
前記接合材が、はんだである、
請求項9に記載された電子部品実装構造。
【請求項11】
前記接合材が、導電性樹脂である、
請求項9に記載された電子部品実装構造。
【請求項12】
前記電子部品の前記外部電極が、導電性樹脂で形成された樹脂外部電極層を含む、
請求項9に記載された電子部品実装構造。
【請求項13】
前記電子部品が積層セラミックコンデンサである、
請求項9に記載された電子部品実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装するための実装基板に関する。また、本発明は、実装基板に電子部品を実装した電子部品実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器、電子機器などに、電子部品を実装するための実装基板が広く使用されている。実装基板は、たとえば、エポキシなどの樹脂や、アルミナなどのセラミックスによって作製され、主面にランド電極が形成されている。そして、ランド電極に、電子部品の外部電極を、はんだや導電性樹脂などの接合材によって接合することによって、電子部品実装構造が構成されている。
【0003】
このような従来の電子部品実装構造には、実装基板に曲がり(反り)や、捻じれなどが発生すると、その応力が、外部電極を経由して、電子部品の本体に伝わり、電子部品の本体にクラックが発生する場合があった。あるいは、実装された電子部品が、実装基板から外れてしまう場合があった。
【0004】
このような不具合を防止するために、外部電極に工夫を施した電子部品が知られている。たとえば、特許文献1には、電子部品の本体の両端に形成された外部電極に、導電性樹脂で形成された樹脂外部電極層を設けた電子部品(積層セラミック電子部品)が開示されている。特許文献1の電子部品の外部電極は、たとえば、導電性金属とガラス成分とを含む下地電極層と、下地電極層の上に形成された樹脂外部電極層と、樹脂外部電極層の上に形成された複数のめっき層とで構成されている。
【0005】
特許文献1の電子部品は、実装基板に実装されたのちに、実装基板に曲がりや捻じれなどが発生しても、その応力を、外部電極の樹脂外部電極層で吸収することができるため、電子部品の本体にクラックが発生したり、電子部品が実装基板から外れたりすることが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-93198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の電子部品は、外部電極の樹脂外部電極層によって、実装基板に発生した曲がりや捻じれなどに起因する応力を吸収(緩和)することができるが、外部電極に樹脂外部電極層を設けたことによって、外部電極の厚さ寸法が大きくなり、外部電極を含めた電子部品全体としての長さ寸法が大きくなってしまうという問題があった。また、特許文献1の電子部品を実装基板に実装した電子部品実装構造も、大型化してしまうという問題があった。なお、近年の電気機器や電子機器は、一般的に、小型化が重要な課題となっており、そこに使用される電子部品にも、僅かな寸法であっても小さくすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様にかかる実装基板は、上述した従来の課題を解決するために、基板と、基板の少なくとも一方の主面に形成された、少なくとも1対のランド電極と、ランド電極の表面に形成された導電性樹脂層と、を備えたものとする。
【0009】
また、本発明の一実施態様にかかる電子部品実装構造は、本発明の実装基板と、実装基板に実装された電子部品と、を含み、電子部品は、少なくとも1対の外部電極を有し、外部電極が、接合材によって、ランド電極に形成された導電性樹脂層に接合されたものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施態様にかかる実装基板や電子部品実装構造は、電子部品を実装した後に、曲がりや捻じれなどが発生しても、その応力を導電性樹脂層で吸収(緩和)することができるため、電子部品の本体にクラックが発生したり、電子部品が実装基板から外れたりすることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)は、実装基板100の斜視図である。図1(B)、(C)は、それぞれ、実装基板100の分解斜視図である。
図2】実装基板100の断面図である。
図3】電子部品実装構造200の斜視図である。
図4】電子部品実装構造200の断面図である。
図5】実装基板300の斜視図である。
図6】電子部品実装構造400の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0014】
[第1実施形態]
(実装基板100)
第1実施形態にかかる実装基板100を、図1(A)~(C)、図2に示す。ただし、図1(A)は、実装基板100の斜視図である。図1(B)は、後述する導電性樹脂層5、6を省略した、実装基板100の分解斜視図である。図1(C)は、導電性樹脂層5、6と、後述するはんだレジスト層4とを省略した、実装基板100の分解斜視図である。図2は、実装基板100の断面図であり、図1(A)の一点鎖線矢印S-S部分の断面を示している。
【0015】
図面には、長さ方向X、幅方向Y、高さ方向Zを示している場合があり、以下の説明において、これらの方向に言及する場合がある。
【0016】
実装基板100は、図1(A)~(C)、図2に示すように、絶縁性の基板1を備えている。
【0017】
基板1の材質は任意であるが、たとえば、エポキシなどの樹脂や、アルミナなどのセラミックスを使用することができる。基板1は、単層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。また、基板1は、内部に、パターン導体やビア導体などからなる配線を備えていてもよい。
【0018】
基板1の一方の主面に、1対のランド電極2、3が形成されている。ランド電極2、3の構造や材質は任意であるが、本実施形態においては、ベースとなる第1層目の銅箔層2a、3aと、Niめっき層2b、3bと、Auめっき層2c、3cが積層された、多層構造からなる。
【0019】
なお、Niめっき層2b、3bは、はんだ食われから銅箔層2a、3aを防御したり、銅箔層2a、3aとAuめっき層2c、3cとの接合強度を高めたりする機能を果たしている。Auめっき層2c、3cは、ランド電極2、3の酸化を防止したり、はんだ濡れ性を高めたりする機能を果たしている。
【0020】
本実施形態では、基板1の一方の主面に、1対のランド電極2、3が形成されているが、さらに多数のランド電極が形成されていてもよい。なお、本実施形態では、1対の外部電極を備えた電子部品を実装するために、1対のランド電極2、3が形成されているが、3個以上の電子部品を実装するために、3個以上のランド電極を1つのセットとして形成してもよい。また、ランド電極は、一方の主面に形成されるのではなく、両方の主面に形成されてもよい。
【0021】
基板1のランド電極2、3が形成された主面に、はんだレジスト層4が形成されている。はんだレジスト層4は、図1(B)、図2に示すように、ランド電極2、3を露出させるための、開口4aを備えている。はんだレジスト層4の材質は任意であるが、たとえば、エポキシなどの樹脂に、無機粉体を添加したものを使用することができる。ただし、無機粉体は、省略してもよい。
【0022】
はんだレジスト層4の開口4aを塞ぐように、導電性樹脂層5、6が形成されている。導電性樹脂層5は、ランド電極2と電気的に接続されている。導電性樹脂層6は、ランド電極3と電気的に接続されている。
【0023】
本実施形態においては、導電性樹脂層5、6が、はんだレジスト層4の外側に形成され、導電性樹脂層5、6の縁部が、はんだレジスト層4の表面に形成されているが、導電性樹脂層5、6を、はんだレジスト層4の開口4aと同じ形状、同じ面積とし、導電性樹脂層5、6を、はんだレジスト層4の開口4a内に形成してもよい。あるいは、導電性樹脂層5、6を、はんだレジスト層4の内側に形成し、導電性樹脂層5、6の縁部が、開口4aの周囲のはんだレジスト層4の下に隠れるようにしてもよい。
【0024】
導電性樹脂層5、6の材質は任意であるが、エポキシなどの樹脂に、C、Au、Ag、Cu、Ni、Al、Snなどの導電性粉末を添加したものを使用することができる。導電性樹脂層5、6は、さらに、フィラーや添加剤を含んでいてもよい。導電性樹脂層5、6は、電子部品を実装した後に、実装基板100に曲がりや捻じれなどが発生した場合に、その応力を吸収(緩和)するためのものである。そのため、導電性樹脂層5、6は、ランド電極2、3よりも、柔らかい(ヤング係数が低い)ことが好ましい。本実施形態においては、導電性樹脂層5、6は、ランド電極2、3の主となる層である銅箔層2a、3aよりも、柔らかい(ヤング係数が低い)。
【0025】
実装基板100は、たとえば、広く市販されているランド電極2、3が形成された基板1を用意し、基板1の主面にはんだレジスト層4を形成し、さらに導電性樹脂層5、6を形成することにより製造することができる。
【0026】
(電子部品実装構造200)
次に、第1実施形態にかかる電子部品実装構造200について説明する。電子部品実装構造200は、上述した実装基板100に、電子部品として、積層セラミックコンデンサ150を実装した構造からなる。ただし、実装する電子部品の種類は一例であり、積層セラミックコンデンサには限られず、他の種類の電子部品であってもよい。
【0027】
図3図4に、電子部品実装構造200を示す。ただし、図3は、電子部品実装構造200の斜視図である。図4は、電子部品実装構造200の断面図であり、図3の一点鎖線矢印T-T部分の断面を示している。
【0028】
積層セラミックコンデンサ150は、複数のセラミック層7aが積層された積層体7を備えている。積層体7の層間に、複数の第1内部電極8と、複数の第2内部電極9が積層されている。
【0029】
積層体7(セラミック層7a)の材質は任意であるが、たとえば、BaTiOを主成分とする誘電体セラミックスを使用することができる。ただし、BaTiOに代えて、CaTiO、SrTiO、CaZrOなど、他の材質を主成分とする誘電体セラミックスを使用してもよい。
【0030】
第1内部電極8、第2内部電極9の主成分の材質は任意であるが、本実施形態においては、Niを使用した。ただし、Niに代えて、Cu、Ag、Pd、Auなど、他の金属を使用してもよい。また、NiやCu、Ag、Pd、Auなどは、他の金属との合金であってもよい。
【0031】
第1内部電極8が、積層体7の一方(図4における左側)の端面に引き出されている。第2内部電極9が、積層体7の他方(図4における右側)の端面に引き出されている。
【0032】
積層体7の一方(図4における左側)の端部に、第1外部電極10が形成されている。積層体7の他方(図4における右側)の端部に、第2外部電極11が形成されている。
【0033】
第1内部電極8が、第1外部電極10に接続されている。第2内部電極9が、第2外部電極11に接続されている。
【0034】
第1外部電極10、第2外部電極11の構造や材質は任意であるが、本実施形態においては、図4に示すように、積層体7に、導電性ペーストを焼き付けて形成されたCu下地電極層10a、11aと、Cu下地電極層10a、11aの表面に形成されたNiめっき電極層10b、11bと、Niめっき電極層10b、11bの表面に形成されたSnめっき電極層10c、11cが積層された、多層構造からなる。
【0035】
なお、Niめっき電極層10b、11bは、はんだ食われからCu下地電極層10a、11aを防御したり、Cu下地電極層10a、11aとSnめっき電極層10c、11cとの接合強度を高めたりする機能を果たしている。Snめっき電極層10c、11cは、はんだ濡れ性を高める機能を果たしている。
【0036】
積層セラミックコンデンサ150の第1外部電極10が、接合材であるはんだ12によって、実装基板100の導電性樹脂層5に接合されている。同様に、第2外部電極11が、はんだ12によって、導電性樹脂層6に接合されている。以上により、積層セラミックコンデンサ150が実装基板100に実装され、電子部品実装構造200が構成されている。
【0037】
電子部品実装構造200は、実装基板100に曲がりや捻じれなどが発生しても、その応力を導電性樹脂層5、6で吸収(緩和)することができるため、積層セラミックコンデンサ150の積層体7にクラックが発生したり、積層セラミックコンデンサ150が実装基板100から外れたりすることが抑制されている。
【0038】
(変形例にかかる電子部品実装構造250)
次に、第1実施形態の変形例にかかる電子部品実装構造250について説明する。なお、電子部品実装構造250は、電子部品実装構造200と構造が類似するので、新たな図面は示さず、電子部品実装構造200の図面である図3図4を援用して説明する。
【0039】
電子部品実装構造250は、電子部品実装構造200の構成の一部に変更を加えた。具体的には、電子部品実装構造200では、積層セラミックコンデンサ150の第1外部電極10、第2外部電極11が、接合材であるはんだ12によって、実装基板100の導電性樹脂層5、6に接合されていた。変形例にかかる電子部品実装構造250は、これを変更し、はんだ12に代えて、導電性樹脂からなる導電性接着剤(図示せず)を接合材に使用し、第1外部電極10、第2外部電極11を導電性樹脂層5、6に接合した。なお、電子部品実装構造250の他の構成は、電子部品実装構造200と同じにした。
【0040】
電子部品実装構造250は、実装基板100に曲がりや捻じれなどが発生したとき、その応力を、導電性樹脂層5、6に加えて、接合材である導電性接着剤によっても吸収(緩和)することができるため、積層セラミックコンデンサ150の積層体7にクラックが発生したり、積層セラミックコンデンサ150が実装基板100から外れたりすることが、さらに良好に抑制されている。
【0041】
[第2実施形態]
(実装基板300)
第2実施形態にかかる実装基板300を、図5に示す。ただし、図5は、実装基板300の斜視図である。
【0042】
実装基板300は、第1実施形態にかかる実装基板100の構成の一部を省略した。具体的には、実装基板100では、ランド電極2、3が形成された基板1の主面に、開口4aを備えたはんだレジスト層4を形成し、開口4aから露出したランド電極2、3の表面に導電性樹脂層5、6を形成していた。実装基板300は、これを変更し、はんだレジスト層4を省略した。
【0043】
より具体的には、実装基板300では、基板1の主面にランド電極2、3が形成され、ランド電極2、3を覆うように、導電性樹脂層5、6が形成されている。なお、実装基板300の他の構成は、実装基板100と同じにした。
【0044】
本発明の実装基板において、レジスト層は必須の構成ではなく、このように、省略することもできる。
【0045】
[第3実施形態]
(電子部品実装構造400)
第3実施形態にかかる電子部品実装構造400を、図6に示す。ただし、図6は、電子部品実装構造400の断面図である。
【0046】
電子部品実装構造400は、第1実施形態にかかる電子部品実装構造200の構成の一部を変更した。具体的には、電子部品実装構造200では、実装基板100に、電子部品として、積層セラミックコンデンサ150を実装していた。電子部品実装構造400は、これを変更し、実装基板100に、電子部品として、積層セラミックコンデンサ450を実装した。積層セラミックコンデンサ150と積層セラミックコンデンサ450とは、外部電極の構造、材料が異なっている。なお、電子部品実装構造400の他の構成は、電子部品実装構造200と同じにした。
【0047】
積層セラミックコンデンサ450は、図6に示すように、積層体7の端部に、第1外部電極40、第2外部電極41が形成されている。
【0048】
第1外部電極40、第2外部電極41は、Cu下地電極層40a、41aと、導電性樹脂で形成された樹脂外部電極層40b、41bと、Niめっき電極層40c、41cと、Snめっき電極層40c、41cが積層された、多層構造からなる。すなわち、積層セラミックコンデンサ450の第1外部電極40、第2外部電極41は、積層セラミックコンデンサ150の第1外部電極10、第2外部電極11には無かった、樹脂外部電極層40b、41bが途中の層に形成されている。
【0049】
樹脂外部電極層40b、41bの材質は任意であり、公知あるいは新規に開発された導電性樹脂から、適宜、選定することができる。
【0050】
第1外部電極40、第2外部電極41の樹脂外部電極層40b、41bは、実装基板に曲がり(反り)や、捻じれなどが発生したときに、その応力を吸収(緩和)するために設けられたものである。
【0051】
積層セラミックコンデンサ450の第1外部電極40、第2外部電極41が、接合材であるはんだ12によって、実装基板100の導電性樹脂層5に接合されている。
【0052】
電子部品実装構造400は、実装基板100に曲がりや捻じれなどが発生したとき、その応力を、導電性樹脂層5、6に加えて、積層セラミックコンデンサ450の第1外部電極40、第2外部電極41の樹脂外部電極層40b、41bによっても吸収(緩和)することができるため、積層セラミックコンデンサ450の積層体7にクラックが発生したり、積層セラミックコンデンサ450が実装基板100から外れたりすることが、さらに良好に抑制されている。
【0053】
以上、実施形態にかかる実装基板、電子部品実装構造について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更を加えることができる。
【0054】
たとえば、実施形態の実装基板100、300では、ランド電極2、3を、銅箔層2a、3aと、Niめっき層2b、3bと、Auめっき層2c、3cが積層された多層構造としたが、ランド電極の構造や材質は任意であり、この内容には限られない。たとえば、ランド電極のベースとなる第1層は、銅箔層に代えて、Cu、Ni、Au、Agなどを含む導電性ペーストを塗布し、焼き付けて形成したものであってもよい。また、ベースとなる第1層の表面にめっき層を形成する場合には、その層数や材質は任意であり、Niめっき層2b、3b、Auめっき層2c、3cには限られない。
【0055】
また、実施形態の電子部品実装構造200、400では、実装される電子部品として、積層セラミックコンデンサ150、450を示したが、実装される電子部品は積層セラミックコンデンサには限られず、他の種類の電子部品であってもよい。また、電子部品の外部電極の構造や材質も任意であり、上述した内容には限られない。また、電子部品は、3つ以上の外部電極を有するものであってもよい。
【0056】
また、実施形態の電子部品実装構造200、400では、実装基板100の一方の主面に1つの積層セラミックコンデンサ150、450が実装された状態を示したが、実装される電子部品は複数であってもよい。また、実装基板の両主面に、それぞれ、電子部品が実装されてもよい。
【0057】
本発明の一実施態様にかかる実装基板は、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0058】
この実装基板において、ランド電極が銅箔層を含むことも好ましい。この場合には、基板にランド電極を、高い生産性で容易に形成することができる。
【0059】
導電性樹脂層のヤング係数が、銅箔層のヤング係数よりも小さいことも好ましい。この場合には、銅箔層で吸収できなかった応力を、導電性樹脂層によって効率的に吸収することができる。
【0060】
ランド電極が、銅箔層の表面に形成されためっき層を含むことも好ましい。この場合には、ランド電極に、めっき層が備えた機能を付加することができる。
【0061】
めっき層が、Niめっき層と、Niめっき層の表面に形成されたAuめっき層を含むことも好ましい。この場合には、Niめっき層によって、ランド電極のベースとなる第1層を、はんだ食われから防御することができる。また、Niめっき層によって、ベースとなる第1層とAuめっき層との接合強度を高めることができる。また、Auめっき層によって、ランド電極の酸化を防止したり、はんだ濡れ性を高めたりすることができる。
【0062】
ランド電極が形成された基板の主面に、はんだレジスト層が形成され、はんだレジスト層は、ランド電極を外部に露出させる開口を有し、導電性樹脂層は、ランド電極の表面に形成されるとともに、外縁がはんだレジスト層の表面に形成されることも好ましい。この場合には、実装時のはんだか、基板の不要なところに付着すること、はんだレジスト層によって抑制することができる。
【0063】
ランド電極が形成され、ランド電極の表面に導電性樹脂層が形成された基板の主面に、はんだレジスト層が形成され、はんだレジスト層は、開口を有し、開口から、導電性樹脂層が外部に露出されることも好ましい。この場合にも、実装時のはんだか、基板の不要なところに付着することを、はんだレジスト層によって抑制することができる。
【0064】
導電性樹脂層の厚さが、10μm以上、40μm以下であることも好ましい。導電性樹脂層の厚さが10μm未満であると、応力を十分に吸収(抑制)できないからである。40μmを超えると、必要以上に導電性樹脂層の厚さが大きくなり、コストが上がったり、実装された電子部品の天面の位置が高くなり過ぎたりするからである。
【0065】
本発明の一実施態様にかかる電子部品実装構造は、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0066】
この電子部品実装構造において、接合材が、はんだであることも好ましい。この場合には、リフローはんだなどの方法により、容易に、電子部品を実装基板に実装し、電子部品実装構造を構成(製造)することができる。
【0067】
接合材が、導電性樹脂(導電性接着剤)であることも好ましい。この場合には、実装基板に曲がりや捻じれなどが発生したとき、その応力を、導電性樹脂層に加えて、接合材である導電性樹脂によっても吸収することができるため、電子部品にクラックが発生したり、電子部品が実装基板から外れたりすることを、さらに良好に抑制することができる。
【0068】
電子部品の外部電極が、導電性樹脂で形成された樹脂外部電極層を含むことも好ましい。この場合には、実装基板に曲がりや捻じれなどが発生したとき、その応力を、導電性樹脂層に加えて、電子部品の外部電極の樹脂外部電極層によっても吸収することができるため、電子部品にクラックが発生したり、電子部品が実装基板から外れたりすることを、さらに良好に抑制することができる。
【0069】
実装される電子部品は、たとえば、積層セラミックコンデンサである。この場合には、実装基板に曲がりや捻じれなどが発生しても、積層セラミックコンデンサのセラミックからなる積層体にクラックが発生することを抑制することができる。
【0070】
[付記的事項]
≪1≫
基板と、
前記基板の少なくとも一方の主面に形成された、少なくとも1対のランド電極と、
前記ランド電極の表面に形成された導電性樹脂層と、を備えた、
実装基板。
≪2≫
前記ランド電極が銅箔層を含む、
≪1≫に記載された実装基板。
≪3≫
前記導電性樹脂層のヤング係数が、前記銅箔層のヤング係数よりも小さい、
≪2≫に記載された実装基板。
≪4≫
前記ランド電極が、前記銅箔層の表面に形成されためっき層を含む、
≪2≫または≪3≫に記載された実装基板。
≪5≫
前記めっき層が、Niめっき層と、前記Niめっき層の表面に形成されたAuめっき層を含む、
≪4≫に記載された実装基板。
≪6≫
前記ランド電極が形成された前記基板の前記主面に、はんだレジスト層が形成され、
前記はんだレジスト層は、前記ランド電極を外部に露出させる開口を有し、
前記導電性樹脂層は、前記ランド電極の前記表面に形成されるとともに、外縁が前記はんだレジスト層の表面に形成された、
≪1≫~≪5≫の1つに記載された実装基板。
≪7≫
前記ランド電極が形成され、前記ランド電極の表面に前記導電性樹脂層が形成された前記基板の前記主面に、はんだレジスト層が形成され、
前記はんだレジスト層は、開口を有し、
前記開口から、前記導電性樹脂層が外部に露出された、
≪1≫に記載された実装基板。
≪8≫
前記導電性樹脂層の厚さが、10μm以上、40μm以下である、
≪1≫~≪7≫の1つに記載された実装基板。
≪9≫
≪1≫~≪8≫の1つに記載された実装基板と、
前記実装基板に実装された電子部品と、を含む電子部品実装構造であって、
前記電子部品は、少なくとも1対の外部電極を有し、
前記外部電極が、接合材によって、前記ランド電極に形成された前記導電性樹脂層に接合された、
電子部品実装構造。
≪10≫
前記接合材が、はんだである、
≪9≫に記載された電子部品実装構造。
≪11≫
前記接合材が、導電性樹脂である、
≪9≫に記載された電子部品実装構造。
≪12≫
前記電子部品の前記外部電極が、導電性樹脂で形成された樹脂外部電極層を含む、
≪9≫~≪11≫の1つに記載された電子部品実装構造。
≪13≫
前記電子部品が積層セラミックコンデンサである、
≪9≫~≪12≫の1つに記載された電子部品実装構造。
【符号の説明】
【0071】
1・・・基板
2、3・・・ランド電極
2a、3a・・・銅箔層
2b、3b・・・Niめっき層
2c、3c・・・Auめっき層
4・・・はんだレジスト層
4a・・・開口
5、6・・・導電性樹脂層
7・・・積層体
7a・・・セラミック層
8・・・第1内部電極
9・・・第2内部電極
10・・・第1外部電極
11・・・第2外部電極
10a、11a・・・Cu下地電極層
10b、11b・・・Niめっき層
10c、11c・・・Snめっき層
40・・・第1外部電極
41・・・第2外部電極
40a、41a・・・Cu下地電極層
40b、41b・・・樹脂外部電極層
40c、41c・・・Niめっき層
40d、41d・・・Snめっき層
100、300・・・実装基板
150、450・・・積層セラミックコンデンサ(電子部品)
200、400・・・電子部品実装構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6