IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ガオチャオエンジニアリングの特許一覧

特開2024-102773莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置
<>
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図1
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図2
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図3
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図4
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図5
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図6
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図7
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図8
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図9
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図10
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図11
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図12
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図13
  • 特開-莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102773
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
G01N21/85 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006897
(22)【出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】514091644
【氏名又は名称】株式会社ガオチャオエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】高 橋 史 夫
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA04
2G051AB20
2G051BA20
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB02
2G051CD01
2G051DA06
2G051DA13
2G051EA11
2G051EA17
2G051EC01
(57)【要約】
【課題】 品種毎に莢の厚さが異なる莢果をより鮮明に撮影し、莢果の多岐にわたる検査項目を自動化可能とし、莢果の選別を行う現場でより有効に利用できる莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置を提供する。
【解決手段】 莢果Wを透光可能に搬送する透光搬送手段21と、莢果Wの莢W1を半透過し、子実W2を不透過とするよう照明する発光手段3と、莢果Wの透光画像を撮影する撮影手段4と、該撮影手段4の露出制御手段ECと、透光画像を解析する画像解析手段6とを備え、該露出制御手段ECは、絞り値を変更可能な絞り部と、絞り制御部とを有し、該絞り制御部は、ハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該絞り部を、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得る如く絞り値を制御する絞り制御ソフトである莢果選別システム1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
莢果を透光可能に搭載、搬送する透光搬送手段と、
該透光搬送手段の上に搭載された莢果を上下何れか一方から、同莢果の莢を半透過し、子実を不透過とするよう一定の光量で照明する発光手段と、
該発光手段に対し、当該透光性搬送手段の上下何れか他方にあって対峙するよう配され、当該莢果の透光画像を撮影する撮影手段と、
該撮影手段が撮影した透光画像を解析する画像解析手段と、
を備え、
前記撮影手段は、シャッター部のシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御部を備えており、当該シャッタースピード制御部でシャッタースピードを制御することにより、透過光による前記莢果の撮影画像を調整することを特徴とする莢果選別システム。
【請求項2】
更に、前記撮影手段の露出制御手段を備え、
該露出制御手段は、当該撮影手段の絞り値を変更可能な絞り部と、
該絞り部を制御し絞り値を調節する絞り制御部と、を有し、
該絞り制御部は、当該絞り部に接続されたハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該絞り部を、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得る如く絞り値に制御する絞り制御ソフトである、請求項1に記載の莢果選別システム。
【請求項3】
前記露出制御手段は、
前記撮影手段のシャッター部と、
該シャッター部のシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御部と、
を有し、
該シャッタースピード制御部は、当該撮影手段のシャッター部に接続されたハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該シャッタースピードを、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードに制御するシャッタースピード制御ソフトである、請求項2に記載の莢果選別システム。
【請求項4】
シャッタースピード制御ソフトは、シャッタースピードを1/100秒ないし1/1900秒の範囲内で、莢の厚い品種の莢果を撮影する場合にシャッタースピードを遅くし、莢の薄い品種の莢果を撮影する場合にシャッタースピードを速くするよう制御する、請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システム。
【請求項5】
透光搬送手段は、透光性のベルトを有するベルトコンベアとされ、
発光手段は、複数のLED素子が、当該ベルトコンベアのベルトの下がわの復路がわではなく、往路がわとなる上がわを移動する搬送域の上下何れか一方に配され、
撮影手段が、当該ベルトの復路がわとなる上がわを移動する搬送域の上下何れか他方に配されてなる、請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システム。
【請求項6】
画像解析手段は、
撮影手段が撮影した透光画像について、RGB及びHSV情報に分解し、該RGB及びHSV情報に基づき解析するものとされた、請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システム。
【請求項7】
画像解析手段は、撮影手段が撮影した透光画像について、RGB及びHSV情報に分解し、該RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに基づき解析するものとされた、請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システム。
【請求項8】
画像解析手段は、撮影手段が取得した透光画像について、RGB及びHSV情報に分解し、
該RGB及びHSV情報何れかまたは複数の組み合わせに基づき、個々の莢果の莢に対する子実の面積比を算出し、検査対象の品種及び/又は莢の状態に応じて設定した面積比の範囲によって、2粒以上の完全莢の良品、3粒莢中1粒欠けの完全莢に次ぐ良品、2粒莢中1粒欠けの規格外品、およびその他の規格外品と判断し、
規格外品として指定された莢果を除外し、
良品と判断された莢果を除外せず残すよう判断するものとされた、請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システム。
【請求項9】
前記発光手段、撮影手段および画像解析手段からなる莢果選別ユニットと、
該莢果選別ユニットが出力した選別結果を表示する選別結果表示手段と、
当該透光搬送手段で搬送される複数個の莢果の中、当該莢果選別ユニットにおいて指定された莢果に対してエアーを吹き付け、該指定された莢果をエアーで吹き飛ばす排出手段と、
を具備している請求項1乃至3の何れか一項記載の莢果選別システムが使用されている莢果選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エダマメを始めとする莢果、特に莢が付いている莢果を選別する為の莢果選別システムに関し、特に、撮影技術によって検査対象を撮影して得た画像情報に基づいて莢果を選別する為の莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
莢果は、マメ科植物の多くに見られる果実であり、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ、アズキ、ラッカセイ、ネムノキ、ダイズ、ハナズオウ、ルピナス、クローバー、カラスノエンドウなどが含まれる。これら莢果は莢が付いた状態で収穫されることも多く、未成熟な大豆を収穫したエダマメにおいては、莢が付いた状態で食卓に提供されることも多い、さらに、インゲンマメやエンドウなどでも若い果皮ごと食用とされることがある。
【0003】
このような莢果も、他の農産物と同様に市場に流通させる際には、その品質や等級を管理する為に選別が必要である。ところが、莢果は、それぞれの莢に入っている豆の数が異なっており、また当該豆の大きさも様々である。そこで従前においては、莢付き莢果の選別を自動化するべく、カメラを利用して、エダマメを始めとする莢付きの莢果を選別する技術も幾つか提案されている。
【0004】
例えば特許文献1(特開2021-128123号公報)では、莢果に光を照射する光源と、前記莢果を透過した光によって前記莢果の画像を撮影する撮影部と、前記莢果の画像から莢の画素数を求め、求められた前記莢の画素数から前記莢に収容されているべき豆の数を設定し、前記莢果の画像から前記莢に収容されていた前記豆の画像を抽出して前記豆の数を特定し、前記設定された豆の数と前記特定された豆の数とを比較するコントローラと、を具備している莢果の検査装置を提案している。さらに、該検査装置には搬送部が設けられ、搬送部の莢果が載置される部分は、透光性を有する材料から形成され、例えば、ベルトやトレーを、透光性を有する樹脂などから形成することが示されている。
【0005】
また、当該特許文献1には、緑色系統の色を有する莢果を透過し、且つ、透過光の光量を多くするためには、350nm~780nmの波長域を有する光を照射することが好ましい。光源は、例えば、350nm~780nmの波長域を有する光を照射する発光素子(例えば、白色発光ダイオード)や、ピーク波長が540nm程度の光を照射する発光素子(例えば、緑色発光ダイオード)を備えたものとすることができるとしている。
【0006】
また、特許文献2(特開2002-62113号公報)では、光透過式計測装置を構成する光源から投光される近赤外線を蚕豆に照射して、蚕豆を透過した近赤外線を受光装置で受光する。受光装置が出力する検出情報と、比較情報記憶装置に記憶した比較情報とをCPUにより比較して、蚕豆の莢と豆とを判別する。その判定に基づいて、莢及び豆の大きさ、豆の粒数等の所定項目を計測すると共に、その判定結果に基づいて、項目別に仕分け処理する非検出物の計測方法及びその装置を提案している。この特許文献2には、透光性を有するメッシュ状の搬送コンベアを介して投光装置から投光される近赤外線を蚕豆の下面側に照射し、蚕豆を透過した近赤外線を受光装置で受光するものとした計測装置が示されている。
【0007】
さらに、受光部(レンズ部)に取付けたフィルター(干渉フィルター)は、特定の波長を有する光を透過し、その他の光を遮光する。また、フィルターを介在せずに、蚕豆を透過した近赤外線を受光装置で直接受光してもよい。或いは、ダイクロイックミラー、プリズム等の分光手段で可視光線と近赤外線とに分光する等してもよいとしている。
【0008】
また、非特許文献1(農機誌,71(3):,115-117,2009)では、(株)フジフィルム社製Light Box New5000Inverterの上に測定対象となるエダマメを載せ、(株)カシオ社製デジタルカメラでその透過画像を手動撮影する撮影方法が示されている。この撮影方法は、測定対象物の密度や厚さの違いがそのまま画像の輝度変化として表れるX線画像に似たものとなり、エダマメ子実の欠粒状況に応じて下部光源の光の透過率が変化し、欠粒がなければ輝度の低いエダマメ莢の透過画像が得られる。莢全体の画素数に示す子実の画素数の計算を行い、莢全体の画素数に占める子実の画素数の比率を子実充実度、即ちエダマメ子実の成熟度を評価する尺度として定義したことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-128123号公報
【特許文献2】特開2002-62113号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】農業機械学会誌,71(3):,115-117,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上の通り、従来において、前記特許文献1の実施形態に係る莢果の検査装置は、緑色系統の色を有する莢果を透過し、且つ、透過光の光量を多くするために光源を、白色発光ダイオードまたは緑色発光ダイオードとしている。しかしながら検査対象の莢果は、その品種の違いによって表皮(莢)の厚さが異なり、透過光量が変化する。したがって同じ条件で撮影しても、品種によって充分な透過光量が得られず、子実を確認できなくなる虞がある。また、同特許文献1の図3に示されているような、子実の数を検査することを目的として二値化された画像では、莢全体の輪郭を確認できず、莢内部のカビなどの病害、虫の検出などが困難であるという欠点を残すものであった。
【0012】
また、前記特許文献2の非検出物の計測方法及びその装置は、蚕豆の大きさや形状、長さに応じて、投光装置の投光角度や投光範囲、投光装置の配置数と、受光装置の受光角度や受光範囲、受光装置の配置数とを変更してもよいとしているが、実際にこうした細かな調整作業を、莢果の選別作業の現場で、その都度行うのは困難である。さらにまた、近赤外線を透過させて撮影した画像は、莢内の子実の個数をカウントすることは可能であるが、莢の輪郭の鮮明な画像を得るのが難しく、莢の裂皮や欠け、着色、変色などを検知するのが困難であり、より精密な検査を行うのが難しいという欠点を残すものであった。
【0013】
また、前記非特許文献1の農機誌,71(3):115-117,2009には、莢果の透過光を撮影して得られた透光画像が、エダマメ子実の成熟度を評価する尺度として有効であることが示されているが、光源の配置を含めた選別機への応用をどのように行うかが課題とされており、虫食いや変色などのより精度の高い検査を行うのには不十分なものであった。
【0014】
そこで本発明では、莢果の莢内の子実の個数検査の精度をさらに高めるのは勿論のこと、莢果の2粒莢以上の完全莢、3粒莢の1粒欠け、1粒の完全莢、1粒莢の小型莢、2粒莢の1粒欠け、瓢箪莢などの変形莢、2粒・3粒の完全莢の小型、莢割れ・欠け、莢擦れ、病害虫莢、変色莢、着色莢、シミ莢、さらには、莢内のカビなどの病害、虫の検出などの多岐にわたる検査項目を自動化可能とすることを課題とする。また、莢果の品種の違いによる莢の厚さの違いによって生じる透過光量の過不足を低減し、より鮮明な画像を抽出することを課題とする。そして、莢果の選別を行う現場でより有効に利用することができる莢果選別システム、およびそれを利用した莢果選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するべく、本発明では、莢果の透過光を撮影し、その透光画像に基づき、当該莢果の莢の輪郭およびその内部の子実をより鮮明な画像として抽出し、子実の粒数検査を始めとする各種の検査をより高精度に実行する莢果選別システムを提供する。
即ち、本発明では、莢果を透光可能に搭載、搬送する透光搬送手段と、該透光搬送手段の上に搭載された莢果を上下何れか一方から、同莢果の莢を半透過し、子実を不透過とするよう一定の光量で照明する発光手段と、該発光手段に対し、当該透光性搬送手段の上下何れか他方にあって対峙するよう配され、当該莢果の透光画像を撮影する撮影手段と、該撮影手段が撮影した透光画像を解析する画像解析手段と、を備え、前記撮影手段は、シャッター部のシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御部を備えており、当該シャッタースピード制御部でシャッタースピードを制御することにより、透過光による前記莢果の撮影画像を調整する莢果選別システムを提供する。
【0016】
また本発明では、更に、前記撮影手段の露出制御手段を備え、該露出制御手段は、当該撮影手段の絞り値を変更可能な絞り部と、該絞り部を制御し絞り値を調節する絞り制御部と、を有し、該絞り制御部は、当該絞り部に接続されたハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該絞り部を、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得る如く絞り値に制御する絞り制御ソフトである、莢果選別システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、前記露出制御手段が、前記撮影手段のシャッター部と、該シャッター部のシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御部と、を有し、該シャッタースピード制御部は、当該撮影手段のシャッター部に接続されたハードウェア、および/または、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該シャッタースピードを、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御ソフトである、莢果選別システムを提供する。
【0018】
また、本発明は、シャッタースピード制御ソフトが、シャッタースピードを1/100秒ないし1/1900秒の範囲内で、莢の厚い品種の莢果を撮影する場合にシャッタースピードを遅くし、莢の薄い品種の莢果を撮影する場合にシャッタースピードを速くするよう制御するものとされた、莢果選別システムを提供する。
【0019】
また、本発明は、透光搬送手段が、透光性のベルトを有するベルトコンベアとされ、発光手段は、複数のLED素子が、当該ベルトコンベアのベルトの下がわの復路がわではなく、往路がわとなる上がわを移動する搬送域の上下何れか一方に配され、撮影手段が、当該ベルトの復路がわとなる上がわを移動する搬送域の上下何れか他方に配されてなる、莢果選別システムを提供する。
【0020】
また、本発明は、画像解析手段が、撮影手段が撮影した透光画像について、RGB(赤・緑・青、以下省略する)及びHSV(色相・彩度・明度)情報に分解し、該RGB及びHSV情報に基づき解析するものとされた、莢果選別システムを提供する。
【0021】
また、本発明は、画像解析手段が、撮影手段の撮影した透光画像について、RGB及びHSV情報に分解し、該RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに基づき解析するものとされた、莢果選別システムを提供する。
【0022】
また、本発明は、画像解析手段が、撮影手段の取得した透光画像について、RGB及びHSV情報に分解し、該RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに基づき、個々の莢果の莢に対する子実の面積比を算出し、検査対象の品種及び/又は莢の状態に応じて設定した面積比の範囲によって、2粒以上の完全莢の良品、3粒莢中1粒欠けの完全莢に次ぐ良品、2粒莢中1粒欠けの規格外品、その他の規格外品と判断することができる。規格外品として指定された莢果を除外し、良品と判断された莢果を除外せず残すよう判断するものとされた、莢果選別システムを提供する。
【0023】
また、本発明では、透光性搬送手段上に配された莢果を上下何れか一方から、同莢果の莢を半透過し、子実を不透過とするよう照明する発光手段と、該発光手段に対し、当該透光性搬送手段の上下何れか他方にあって対峙するよう配され、当該検査対象物の透光画像を撮影する撮影手段と、該撮影手段が撮影した透光画像を取得する画像取得手段と、該画像取得手段が取得した透光画像を解析する画像解析手段とを備え、該画像解析手段は、取得した検査対象物の透光画像に基づき、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせを抽出し抽出色画像を作成し、該抽出色画像から、莢果の莢内の各子実を検知する子実の粒数検査を実行する莢果選別システムを提供する。
【0024】
また、本発明では、前記発光手段が、撮影中に一定の光量で発光する光源を有し、莢果の透過光量を検知する光量センサーと、該光量センサーの検知結果に基づきシャッタースピードを調節するソフトウェアが搭載された撮影手段のシャッタースピード制御部と、該シャッタースピード制御部からの制御を受け、指定されたシャッタースピードで撮影する撮影手段のシャッター部とを備え、当該シャッタースピード制御部は、透過光量と、莢果の莢の輪郭および個々の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードと、を関連付けた相関テーブルに基づき、シャッタースピードを1/100秒ないし1/1900秒の範囲内に制御するものとされた、莢果選別システムを提供する。
【0025】
また、本発明では、更に、画像解析手段は、撮影手段から取得した透光画像について、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに分解し、その何れか又は複数の組み合わせに基づき、個々の莢果の莢および子実の面積を取得すると共に、個々の莢果の莢に対する子実の面積比率を取得し、予め準備された莢果選別基準と莢に対する子実の面積比率とを関連付けた相関テーブルと比較する等級検査を行う、莢果選別システムを提供する。
【0026】
また、本発明では、更に、画像解析手段は、撮影手段から取得した透光画像について、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに分解し、その何れか又は複数の組み合わせに基づき、個々の莢果の莢内の各子実の面積を取得し、予め準備された莢果選別基準と子実の面積とを関連付けた相関テーブルと比較する等級検査を行う、莢果選別システムを提供する。
【0027】
また、本発明では、更に、画像解析手段は、撮影手段から取得した透光画像について、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに分解し、その何れか又は複数の組み合わせに基づき、莢果の長さ方向、および、幅方向の夫々の色の変化率を算出し、予め準備された色の変化率の閾値と比較する、莢果の変色検査、着色検査またはシミ検査の少なくとも何れかの検査を行う、莢果選別システムを提供する。
【0028】
また、本発明では、更に、画像解析手段は、撮影手段から取得した透光画像について、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせに分解し、その何れか又は複数の組み合わせに基づき、各莢果の選別結果を、各莢果毎に、1色の合格表示色と、該合格表示色とは別の1色の規格外表示色との少なくとも2色に色分け表示する選別結果表示画像を出力する、莢果選別システムを提供する。
【0029】
更に、本発明では、この発明の莢果選別システムを利用した莢果選別装置を提供する。
即ち、前記発光手段、撮影手段および画像解析手段からなる莢果選別ユニットと、該莢果選別ユニットが出力した選別結果を表示する選別結果表示手段と、当該透光搬送手段で搬送される複数個の莢果の中、当該莢果選別ユニットにおいて指定された莢果に対してエアーを吹き付け、該指定された莢果をエアーで吹き飛ばす排出手段とを具備している莢果選別システムが使用されている莢果選別装置を提供する。
【0030】
また、本発明では、この発明の基本をなす莢果選別システムを利用した莢果選別装置を提供する。
即ち、更に、透光性搬送手段は、複数個の莢果を搬送する透光搬送手段とされ、前記発光手段、撮影手段、画像取得手段および画像解析手段からなる莢果選別ユニットと、該莢果選別ユニットが出力した選別結果を表示する選別結果表示手段と、当該透光搬送手段で搬送される複数個の莢果の中、当該莢果選別ユニットにおいて指定された莢果に対してエアーを吹き付け、該指定された莢果をエアーで吹き飛ばす排出手段と、を具備しており、前記莢果選別ユニットにおける画像解析手段は、透光画像から個々の莢果の長さと、個々の莢果の幅を計測するサイズ検査の結果から、長さと幅の中心を特定しており、前記排出手段は、莢果選別ユニットにおいて指定された莢果の長さと幅の中心に向かってエアーを吹き付けるものとされた、前記何れか一記載の莢果選別システムが使用されている莢果選別装置を提供する。
【0031】
更に、本発明では、この発明の莢果選別システムおよび莢果選別装置を利用した莢果選別方法を提供する。
即ち、莢付きの莢果の透過光を撮影した透光画像を解析する事で、当該莢果を検査又は選別する為の莢果選別方法であって、透光搬送手段が複数個の莢果を透光可能に搬送し、発光手段が搬送中の莢果に透光するよう発光し、撮影手段が撮影した莢果の透光画像を取得し、画像取得手段が前記取得した莢果の透光画像から、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせを抽出又は取得し、抽出または取得した何れか又は複数の組み合わせの値に基づき、個々の莢果の莢に対する子実の面積比率を算出し、品種毎や莢の種別ごとに設定した特定の面積比の範囲によって、2粒以上の完全莢の良品、3粒莢中1粒欠けの完全莢に次ぐ良品、2粒莢中1粒欠けの規格外品、その他の規格外品と判断することができる。規格外品として指定された莢果を除外し、良品と判断された莢果を除外せず残すようにする莢果選別方法を提供する。
【発明の効果】
【0032】
上記本発明によれば、これまで莢果の莢内の子実の個数検査の精度をさらに高めることができる。さらに、莢果の2粒莢以上の完全莢、3粒莢の1粒欠け、1粒の完全莢、1粒莢の小型莢、2粒莢の1粒欠け、瓢箪莢などの変形莢、2粒・3粒の完全莢の小型、莢割れ・欠け、莢擦れ、病害虫莢、変色莢、着色莢、シミ莢、さらには、莢内のカビなどの病害、虫の検出などの多岐にわたる検査項目を自動化可能とする。また、莢果の品種の違いによる莢の厚さの違いによって生じる透過光量の過不足を低減し、より鮮明な画像を抽出することができる。莢果の選別を行う現場でより有効に利用することができる莢果選別システム、それを利用した莢果選別装置、および、莢果選別方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施の形態に係る莢果選別システムを利用した莢果選別装置を示す正面図
図2】本実施の形態に係る莢果選別システムを利用した莢果選別装置を示す斜視図
図3】発光手段の一形態を示す斜視図
図4】本実施の形態に係るハードウェア構成を示すブロック図
図5】本実施の形態に係る莢果選別装置の基本処理を示すフローチャート
図6】本実施の形態に係る画像解析処理を示すフローチャート
図7】シャッタースピード毎の透光画像を示す写真
図8】シャッタースピード1/300秒のRGB及びHSV値を示すグラフとG値画像
図9】シャッタースピード1/500秒のRGB及びHSV値を示すグラフG値画像
図10】シャッタースピード1/700秒のRGB及びHSV値を示すグラフG値画像
図11】シャッタースピード1/900秒のRGB及びHSV値を示すグラフG値画像
図12】シャッタースピード1/1000秒のRGB及びHSV値を示すグラフG値画像
図13】G値画像、二値化画像および解析結果の表示画像を示す写真
図14】ディスプレイの表示例を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明に係る莢果選別システムの1つの実施の形態を具体的に説明する。特に本実施の形態では、エダマメを選別する莢果選別システム1およびそれを使用した莢果選別装置2について具体的に説明する。
【0035】
図1および図2は、本実施の形態に係る莢果選別システム1を用いて構成した莢果選別装置2を示す正面図および斜視図である。この莢果選別装置2は、選別対象となる莢果(エダマメ)Wを収容すると共に、選別ラインに連続的に供給する自動供給部20と、該自動供給部20から供給された複数個の莢果Wの莢W1の長さ方向を同図1および図2中に二点鎖線矢印に示す(後述する透光搬送手段21の)搬送方向に向けるよう姿勢を揃える整列手段22と、該整列手段22が姿勢を揃えた複数個の莢果Wを透光可能に搭載、同二点鎖線矢印方向に搬送する透光搬送手段21と、この透光搬送手段21で搬送される莢果Wに透光搬送手段21の上下何れか一方に配され、当該莢果Wの莢W1を半透過し、子実W2を不透過とするよう照明する発光手段3と、当該透光搬送手段21の上下何れか他方に配され、該発光手段3に対し、当該透光搬送手段21を挟んで対峙するよう配され、当該複数個の莢果Wの透光画像を撮影する撮影手段4と、該撮影手段4が撮影した透光画像を取得する画像取得手段5と、該画像取得手段5が取得した透光画像を解析する画像解析手段6と、当該透光搬送手段21の終端側における莢果Wの落下部に設けた排出手段7とで構成している。なお、前記整列手段22は必要に応じて任意に設けても良く、必須となるものではない。例えば透光搬送手段21上の莢果の姿勢に関係なく判別可能であれば、当該整列手段22は省略することができる。
【0036】
透光性搬送手段21は、水平または僅かに傾斜された姿勢に支持された硬質な透明板、または軟質な透明板とすることができ、例えば、ガラス板、透明樹脂板、合成樹脂板、金網や、枠体などに張設された合成樹脂フィルム、天然ゴムシート、金網、ネット、透光性を確保できる布地、不織布など様々な素材製のものとすることができ、撮影手段4のシャッターが閉じている間に起動する加振機または僅かな角度起伏動する起伏装置などが設けられ、その振動を受けて複数個の莢果Wを徐々に滑落または搬送するよう制御されるものとすることができる。
【0037】
透光搬送手段21は、平置き縦長姿勢の複数個の莢果Wが幅方向に複数個並ぶ幅寸法に設定されたベルトコンベア21である。該ベルトコンベア21は、透光性を有する合成樹脂、天然ゴム、繊維、不織布、網、金網、平行ワイヤー、その他の透光性の無端帯状の透光性ベルト21aが複数の水平軸間に巻き掛けられ、モーター駆動されて送り方向に回転駆動され、複数個の莢果Wを搭載し搬送する。なお、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダなどによって速度を制御して搬送してもよい。
【0038】
当該自動供給部20は、当該検査対象物である複数個の莢果Wを収容する収容空間部を有し、当該透光搬送手段21の送り方向の上流に配された整列手段22に、複数個の莢果Wを、重なり合わないよう間隔を隔てて連続供給する供給機構を備え、該供給機構は、図1および図2に示すように、収容空間部の底部に配された供給コンベア20aからなるものの他、振動による供給や、傾斜面を滑落するもの、または、円板の回転力による送り出しなど、同様の供給を可能な構造のものに置き換えることが可能である。
【0039】
当該整列手段22は、透光搬送手段21の搬送方向に直行する方向に、莢果Wの最大幅寸法を僅かに超える程度の幅寸法を隔てて、搬送方向に延びる複数枚の案内壁22および図示しない加振機が設けられ、当該自動供給部20から落下するよう供給された複数個の莢果Wが、加振された各案内壁22の間に落ち、該透光搬送手段21の搬送方向に各莢果Wの長さ方向が一致するよう姿勢を整えられ、下流側へ搬送される。
【0040】
当該発光手段3は、当該透光搬送手段21であるベルトコンベア21の、整列手段22の下流側となる透光性ベルト21aの、下がわの復路がわではなく、往路がわとなる上がわを移動する搬送域21bの上下何れか一方、例えば直下に配された、電界発光による光源である。例えば、矩形板状の白色LED(light-emitting diode、以降省略する)アレイ3とすることができる。また撮影手段は、当該透光性ベルト21aの往路がわとなる上がわを移動する搬送域21bの上下何れか他方、例えば上方に配されたものとすることができる。
【0041】
該LEDアレイ3は、例えば、最大光量で照明するものとされ、光源から100mmの位置で26000lxの照度を一定に維持するものとすることができる。また、莢果Wの通過を検知するセンサーからの信号や、撮影手段4の動作信号に連動し、莢果Wが直上を通過し、撮影手段4が透光画像を撮影する間に渡って発光し、莢果Wが直上を通過せず、撮影手段4が透光画像を撮影しない間は消灯するものとすることも可能である。
【0042】
当該発光手段3は、その光源が、放射熱によるもの(白熱電球,ハロゲン電球)、放電発光によるもの(水銀灯,蛍光灯,ストロボライトなど)、電界発光によるもの(エレクトロルミネセンス,LEDなど)、レーザー発光によるもの(各種のレーザー)、またはそれらが組み合わせられたものなどに置き換え可能である。表現を変えて示すと、赤外線・紫外線を殆どまたは全く含まない可視光線とするのが望ましく、波長が380ないし770nmの可視光線、波長が450ないし550nmの緑色ないし青色の可視光線、または、波長が500ないし550nmの緑色の可視光線の何れかを発するものとするのが良い。また、赤外線・赤色、橙色、黄色、紫色、紫外線の波長を除去するフィルターやプリズムなどの波長選択素子、波長選択フィルターなどを透過して照射するものとすることができる。
【0043】
また、当該発光手段3は、複数のLED素子3が、当該ベルトコンベア21の透光性ベルト21aの肉厚中に埋め込まれ、光源3である複数のLED素子3が、透光性ベルト21aの搭載表面(21b)に均等配置され、各LED素子3はベルト21aの幅方向の両端や中途部の各LED素子3間などに無端状に設けられた一対の電極に対し、ブラシなどの接触または電磁誘導などの非接触の送電部を介して外部電力が給電され、給電されている間に渡って発光するものに置き換えられたものとすることができる。
【0044】
図3を参照し、当該発光手段3をより具体的に示すならば、複数個のLED素子3が、均等配置されるよう実装された透明樹脂製のフレキシブル基板3aが、各LED素子3の発光面を、当該ベルトコンベア21の搭載表面(21b)に面するよう、同ベルトコンベア21の肉厚中に埋設、一体化されている。該フレキシブル基板3aの受電電極3bが、ベルトコンベア21の幅方向端(図3)または裏面(図示せず)の無端方向の全長に渡って設けられている。撮影手段4の撮影範囲4bに相当する搬送方向の範囲の受電電極3bに電力を供給する一対の給電電極3d、および、該一対の給電電極3d間に電力を供給する電源部3eが設けられている。従って当該一対の給電電極3dは、撮影手段4の撮影範囲4bに次々に移動して来るLED素子3に電力を供給し、同撮影範囲4bの範囲に相当する照明範囲3cを照明するものとなり、それ以外の範囲を照明しないからより経済的に撮影できるものとなる。
【0045】
また、当該発光手段3は、当該透光搬送手段21であるベルトコンベア21の透光性ベルト21aの表面または裏面の少なくとも何れか一方に、柔軟性および透明性を有したエレクトロルミネセンス(Electroluminescence)や、複数個のLEDが均等間隔で搭載された柔軟性を有する透明基板などの、柔軟性且つ透明性を有するシート状の光源3が貼着されたものに置き換えられたものとすることができる。
【0046】
また、当該透光性ベルト21aそれ自体が、柔軟性および透明性を有し、外部電力の供給を受けて自発光するものや、光ファイバーを用いて外部光源からの光を搭載表面(21b)まで誘導するものなどに置き換えられたものとすることができる。
【0047】
当該撮影手段4は、当該発光手段3に対峙し、当該透光搬送手段21の、透光性ベルト21aの、上がわを移動する搬送域21bの上下何れか他方、例えば上方に配され、同ベルトコンベア21に搬送される当該莢果Wに焦点距離が合わせられた動画を撮影可能なデジタルビデオカメラか、または静止画像を撮影可能なデジタルスチルカメラかの何れか一方とするのが良い。
【0048】
当該撮影手段4となる絞り部およびシャッター部を有するデジタルカメラ4は、当該透光性ベルト21aの、上がわを移動する搬送域21bの下がわに配された場合にも、ベルトコンベア21に搬送される当該莢果Wに焦点距離を合わせて撮影するものとするのが良い。
【0049】
当該絞り部は、当該撮影手段4のレンズなどの光学系の光の通過量を調整し、絞り値を変えるものであり、例えば、光軸の中心の周囲に複数枚の絞り羽根が重ねられ、中央の開口を大きくしたり小さくしたりして絞り値を調整するものであり、ステッピングモーターなどの絞り駆動源を有している。絞り部は、水門絞り、回転絞り、虹彩絞り、US絞りまたは蓮根絞りなどに駆動源を設けたものとすることが可能である。
【0050】
絞り値は、1.0ないしF34の範囲内で撮影することが可能である。より具体的には、実用範囲を考慮し、F1,F2,F2.8,F4,F5.6,F8,F11,F16,F22,F32,F34の範囲内で調整可能なものとするのが良い。F1未満では、被写界深度が浅くなり過ぎて莢果Wの莢W1の輪郭か子実W2のどちらかにピンボケが発生したり、より大口径の光学系が必要となったりするなど、画像処理の効率性や経済性が損なわれるという欠点を生じる。F22を超えると、シャッタースピードを極度に遅くする必要があり、移動している莢果Wの画像にブレが生じたり、収差や解析現象が発生したりして画質が低下する欠点がある。
【0051】
シャッター部は、当該撮影手段4の光学系を撮影時露光時間中のみ開き、それ以外の時は光をさえぎるものであり、ステッピングモーターなどのシャッター駆動源を有している。シャッタースピードは、検査対象となる対象の品種毎や莢の種別ごとに任意に設定することができるが、例えば、1/100秒ないし1/8000秒の範囲内で撮影することが可能である。より具体的には、1/100秒、1/300秒、1/500秒、1/700秒、1/900秒、1/1000秒、1/1100秒、1/1300秒、1/1500秒、1/1700秒、1/1900秒など、およそ1/100秒ないし1/1900秒の範囲内で調節できるものが良い。1/100秒未満では、画像が暗くなり過ぎて、莢果Wの莢W1の輪郭と子実W2の輪郭との境目が不明瞭となり、画質が悪化し高精度の検査が困難なものとなっていしまし、1/1900秒を超えると、画像が明るくなり過ぎて、莢果Wの莢W1および子実W2の輪郭を確認できなくなってしまうという欠点を生じる。
【0052】
当該莢果選別システム1は、当該撮影手段4の露出を制御する露出制御手段ECを備えており、該露出制御手段ECは、該撮影手段4の当該絞り部と、該絞り部を制御し絞り値を調節する絞り制御部とを備えている。該絞り制御部は、当該絞り部に接続されたハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該絞り部を、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得る如く絞り値に制御する絞り制御ソフトである。該絞り制御部であるハードウェアおよび絞り制御ソフトは、後述するコンピュータ8およびその周辺機器に搭載されている。
【0053】
当該絞り制御部のハードウェアは、当該コンピュータ8に搭載されたCPU80、メモリ80および外部記憶装置88などとすることができ、また、当該絞り制御ソフトは、該メモリ80または外部記憶装置88に搭載されたソフトウェアということができる。
【0054】
当該絞り制御部の絞り制御ソフトは、光量センサーが測定した莢果Wの透過光量を取得し、該透過光量と、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得る絞り値とを関連付けた相関テーブルに基づき、絞り値をF1ないしF22の範囲内に制御するものとされている。
【0055】
当該露出制御手段ECは、前記撮影手段4のシャッター部と、該シャッター部のシャッタースピードを制御するシャッタースピード制御部とを有している。該シャッタースピード制御部は、当該撮影手段のシャッター部に接続されたハードウェア、および、該ハードウェアに搭載されたソフトウェアであって、該ソフトウェアが、当該一定の光量に対し、当該シャッタースピードを、莢果の莢の輪郭および同莢果内の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードに制御するシャッタースピード制御ソフトである、該シャッタースピード制御部であるハードウェアおよびシャッタースピード制御ソフトは、後述するコンピュータ8およびその周辺機器に搭載されている。
【0056】
当該シャッタースピード制御部は、当該コンピュータ8に搭載されたCPU80、メモリ80および外部記憶装置88などとすることができ、また、当該シャッタースピード制御ソフトは、該メモリ80または外部記憶装置88に搭載されたソフトウェアということができる。
【0057】
また、当該露出制御手段ECは、莢果Wの透過光量を検知する光量センサーを備え、該光量センサーの検知結果に基づきシャッタースピードを調節するソフトウェアが搭載された撮影手段4のシャッタースピード制御部と、該シャッタースピード制御部からの制御を受け、指定されたシャッタースピードで撮影する撮影手段4のシャッター部とを備えたものとすることができる。
【0058】
当該シャッタースピード制御部のシャッタースピード制御ソフトは、光量センサーが測定した莢果Wの透過光量を取得し、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードと、を関連付けた相関テーブルに基づき、シャッタースピードを1/100秒ないし1/1900秒の範囲内に制御するものとされている。該シャッタースピード制御部は莢果選別システム1とそれを利用した莢果選別装置2の統合的制御を担うコンピュータ8に搭載されたシャッタースピード制御用のソフトウェアとすることができる。
【0059】
当該撮影手段4は、当該透光搬送手段(ベルトコンベア)21の搬送域21bの搬送後半となる位置の上部に、撮影範囲を囲む無底且つ前後にゲートが開口された筐体4aが設けられ、該筐体4aの天面に当該カメラ4が下向きに設置されている。該筐体4aの内壁は任意の色であってよいが、例えば、金属色や白色とすることができる。また透過光の乱反射を防ぐよう黒色とするか、黒色のフロッキー処理がなされているか、フェルトが貼着されたものとすることができる。さらに、該筐体4aの当該ベルトコンベア21の末端に対応するゲートには、図示しないコンプレッサーに個別の電磁弁を介して接続された複数個のエアノズル7が該ベルトコンベア21の幅方向に配列され、当該コンピュータ8の制御を受け、指定された莢果Wをエアーで吹き飛ばす排出手段7をなすものとなっている。該排出手段7によって排出された莢果Wは、ベルトコンベア21の下部に設置された排出用バケット70に落下、収容されることとなる。
【0060】
図1図2および図4を参照しながら、この莢果選別装置2において搬送される莢果WであるエダマメWを検査する莢果選別システム1の構成と、その処理内容を具体的に示す。
【0061】
図4は、本実施の形態に係る莢果選別システム1を構成するコンピュータ8のハードウェア構成の例を示している。同図4のコンピュータ8は、当該莢果選別システム1の代表的な構成を示したに過ぎず、当該莢果選別システム1は、画像解析のための演算装置やメモリ及びプログラムを実行する限りにおいて、専用の装置として構成しても良い。
【0062】
当該コンピュータ8は、CPU80、メモリ81、音声出力装置82、ネットワークインタフェース83、ディスプレイコントローラ84、ディスプレイ(選別結果表示手段)85、入力機器インタフェース86、USBコンソール87、外部記憶装置88、外部記録媒体駆動装置89、およびこれらの構成要素を互いに接続するバスBSを含んで構成されている。当該コンピュータ8は、専用に製造されたマイクロコンピュータ、MCU(Micro Controller Unit)に置き換えることが可能である。
【0063】
CPU80は、コンピュータ8の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、当該莢果選別システム1の各処理の実行をコントロールし、その動作を制御する。メモリ81は通常、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、および揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成され、記憶部に相当する。ROMには、コンピュータ8の起動時に実行される莢果選別システム1で実行されるプログラム等が格納される。RAM は、CPU80で実行され、撮影手段4から取得した画像を解析し、莢果Wの大きさや粒数を算出し、また、莢果の2粒莢以上の完全莢、3粒莢の1粒欠け、1粒の完全莢、1粒莢の小型莢、2粒莢の1粒欠け、瓢箪莢などの変形莢、2粒・3粒の完全莢の小型、莢割れ・欠け、莢擦れ、病害虫莢、変色莢、着色莢、シミ莢、カビ莢、虫の検出などの多岐にわたる検査項目を実行するためのプログラムや、それらのプログラムが実行中に使用するデータが一時的に格納される。
【0064】
音声出力装置82は、スピーカー等の、音声を出力する機器であり、ネットワークインタフェース83は、各種の機器と情報交換する為のネットワークNWに接続するためのインタフェースである。ディスプレイコントローラ84は、CPU80が発する描画命令を処理するための専用コントローラであり、表示部としてのディスプレイ(選別結果表示手段)85に描画データを出力する。かかるディスプレイ85は、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示装置である。
【0065】
入力機器インタフェース86は、複数の操作ボタンを備えたUSBコンソール87から入力された信号を受信し、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU80に提供する。該USBコンソール87は、コンピュータ8に対しUSB(Universal Serial Bus)接続され、プログラムの実行や設定などの操作を行う場合に必要となる当該莢果選別装置2専用の入力デバイスである。当該入力機器インタフェース86は、当該USBコンソール87を汎用のキーボードKBやマウスMU、或いは図示しないタッチパッドなど他の入出力デバイスに置き換えることができる。
【0066】
外部記憶装置88も本明細書における記憶手段の範疇に含まれる。かかる外部記憶装置88は、たとえばハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置で構成することができる。この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ81のRAM(Random Access Memory)にロードされる。
【0067】
画像取得手段5は、撮影手段4が出力した透光画像、画像解析手段6が解析したデータなどを取得、保存し、例えば、メモリ81や外部記憶装置88などがその機能を担う。
【0068】
画像解析手段6は、撮影手段4が出力し、画像取得手段5が取得した透光画像を解析処理する。例えば、画像解析手段6は、コンピュータ8のメモリ81や外部記憶装置88なに記録されたソフトウェアあり、また、コンピュータ8に置き換えられたマイクロコンピュータに記録されたプログラムなどとすることが可能である。
【0069】
外部記録媒体駆動装置89は、CD(Compact Disc)、MO(Magnet-Optical Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型の外部記録媒体ERの記録面にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取る装置である。
【0070】
莢果選別装置2の莢果選別ユニットPSは、当該発光手段3、撮影手段4、画像取得手段5および画像解析手段6からなっている。また、選別結果表示手段85はディスプレイ85である。
【0071】
本実施の形態にかかる莢果選別システム1は、上記のように構成されるコンピュータ8を用いて形成され、以下の図5および図6に示す処理を実行する。
【0072】
≪ 基本処理≫
図5は、撮影手段4から取得した透光画像およびその画像解析を実行する基本処理の内容について示すフローチャートである。
当該基本処理を実行すると、最初に莢果選別システム1は、透光搬送手段21の透光性ベルト21aの搬送域21b上に搭載された複数個の莢果(例えばエダマメ)Wに対し、発光手段3が透過光を照射し(a)、対峙する撮影手段(デジタルカメラ)4が複数個の莢果Wが納まる透光画像を撮影(b)する。
【0073】
該透光画像を撮影(b)する際に、コンピュータ8の露出制御手段ECは、当該光量センサーが検出した莢果Wの透過光量を受信すると、当該絞り制御部が、該透過光量と、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得る絞り値とを関連付けた相関テーブルに基づき、絞り値をF1ないしF22の範囲内に制御する。該透過光量と、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得る絞り値とを関連付けた相関テーブルは、事前に行った撮影実験に基づき作成し、メモリ81や外部記憶装置88に保存したり、当該絞り制御部をなすソフトウェア(絞り制御ソフト)に組み込まれたものとしたりすることができる。
【0074】
例えば、透過光量と、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得る絞り値とを関連付けた相関テーブルは、下記表1に示すように、莢果Wの莢W1の厚さの異なる(一定の光量に対する透過光量が異なる)各品種と絞り値とを関連付けた相関テーブルとすることができる。該表1の相関テーブルは一例であり、その絞り値は、撮影手段4や発光手段3およびその設置条件などによって異なる値となるのは勿論である。さらに、該表1の相関テーブルの絞り値は、シャッタースピードを変えた場合にも、変化するから、シャッタースピードの数値毎に、絞り値の異なる表1同様の相関テーブルが準備されたものとし、当該絞り制御部が絞り優先で動作する場合に利用するものとすることができる。
【0075】
【表1】
【0076】
当該絞り制御ソフトは、莢果選別システム1および莢果選別装置2が起動されると、ディスプレイ85に莢果Wの品種を選択する画面を表示し、USBコンソール87より品種が選択、入力されると、該表1の相関テーブルを参照し、入力された品種に応じた絞り値を選択し、当該撮影手段4の絞り部を選択した絞り値に設定するよう制御する。
【0077】
また、絞り制御部は、F1ないしF34の範囲内の例えば、F1,F2,F2.8,F4,F5.6,F8,F11,F16,F22,F32,F34などの異なる絞り値で複数の透光画像を撮影し、その複数の透光画像から、最も明瞭に莢果Wの莢W1を半透過し、子実W2を不透過とする透光画像を1つ選択し、透光画像とするよう制御するものとすることができる。また、何れか1つの絞り値で撮影した画像情報を取得し、該画像情報について演算処理し、各絞り値相当の画像情報を演算処理によって取得し、その複数の透光画像から、最も明瞭に莢果Wの莢W1を半透過し、子実W2を不透過とする透光画像を1つ選択するものとすることが可能である。
【0078】
該透光画像を撮影(b)する際に、コンピュータ8の露出制御手段ECは、光量センサーが検出した莢果Wの透過光量を受信すると、シャッタースピード制御部が、透過光量と、莢果の莢の輪郭および個々の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードとを関連付けた相関テーブルに基づき、シャッタースピードを1/100秒ないし1/1900秒の範囲内に制御する。該透過光量と、莢果の莢の輪郭および個々の子実の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードとを関連付けた相関テーブルは、事前に行った撮影実験に基づき作成し、メモリ81や外部記憶装置88に保存したり、当該シャッタースピード制御部をなすソフトウェア(シャッタースピード制御ソフト)に組み込まれたものとしたりすることができる。
【0079】
例えば、透過光量と、莢果Wの莢W1の輪郭および個々の子実W2の輪郭が判別可能な透光画像を得るシャッタースピードとを関連付けた相関テーブルは、下記表2に示すように、莢果Wの莢W1の厚さの異なる(一定の光量に対する透過光量が異なる)各品種とシャッタースピードとを関連付けた相関テーブルとすることができる。該表2の相関テーブルは一例であり、そのシャッタースピードは、撮影手段4や発光手段3およびその設置条件などによって異なる値となるのは勿論である。さらに、該表2の相関テーブルのシャッタースピードは、絞り値を変えた場合にも変化するから、絞り値の数値毎に、シャッタースピードの異なる表2同様の相関テーブルが準備されたものとし、当該絞り制御部がシャッタースピード優先で動作する場合に利用するものとすることができる。
【0080】
【表2】
【0081】
当該シャッタースピード制御ソフトは、莢果選別システム1および莢果選別装置2が起動されると、ディスプレイ85に莢果Wの品種を選択する画面を表示し、USBコンソール87より品種が選択、入力されると、該表2の相関テーブルを参照し、入力された品種に応じたシャッタースピードを選択し、当該撮影手段4のシャッター部を選択したシャッタースピードに制御する。
【0082】
また、シャッタースピード制御部は、1/100秒ないし1/1900秒の範囲内の例えば、1回の撮影毎に、1/100秒、1/300秒、1/500秒、1/700秒、1/900秒、1/1000秒、1/1100秒、1/1300秒、1/1500秒、1/1700秒、1/1900秒などの異なるシャッタースピードで複数の透光画像を撮影し、その複数の透光画像から、最も明瞭に莢果の莢を半透過し、子実を不透過とする透光画像を1つ選択し、透光画像とするよう制御するものとすることができる。また、何れか1つのシャッタースピードで撮影した画像情報を演算処理し、各シャッタースピード相当の画像情報を演算処理によって取得し、その複数の透光画像から、最も明瞭に莢果Wの莢W1を半透過し、子実W2を不透過とする透光画像を1つ選択するものとすることが可能である。
【0083】
シャッタースピードの制御範囲について発光手段3が光源から100mmの位置で26000lxの条件下で実際に撮影し検討した結果、図7に示すように、1/100秒ないし1/1900秒の範囲内で撮影することが可能であることを確認した。この条件下では1/500秒ないし1/1900秒の範囲がより明瞭な透光画像を得た。
【0084】
コンピュータ8は、その画像取得手段5が、撮影手段(デジタルカメラ)4の出力した透光画像を取得し、メモリ81または外部記憶装置88に記録(c)する。例えば、図7の1/700秒の写真に示すように、該透光画像には複数個の莢果Wの莢W1の輪郭と、子実W2が鮮明に写っている。
コンピュータ8は、その画像解析手段6が、メモリ81または外部記憶装置88などに保存された画像処理プログラムのRGB(赤・緑・青)-HSV(色相・彩度・明度)分解用アルゴリズムを用い、当該透光画像に対しRGB-HSVへの分解処理(d)を行う。
【0085】
また、コンピュータ8の画像取得手段5は、RGB-HSV分解用アルゴリズムによって、RGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせの値を得るように制御することができる。図5では、RGB分解用アルゴリズム、G値分解用アルゴリズム、または、B値分解用ルゴリズムによってG値またはB値の何れか一方のみを得るように制御した例を示しているが、その他の値または値の組み合わせであってもよい。
【0086】
また、当該、透光画像の分解処理(d)は、例えば、HSV(色相・彩度・明度)分解アルゴリズムを用い、緑色ないし青色などのRGB及びHSV情報の何れかまたは複数の組み合わせを抽出するようにすることが可能であり、その一例を示せば、緑(120°)、シアン(180°)、青(240°)を抽出し、それらの中、より鮮明な画像を選択するよう制御するものとすることができる。その際、HSV(色相・彩度・明度)分解アルゴリズムを用い、緑(120°)を抽出するものとすることができる。
【0087】
図8ないし図12の各図の(A)に示すように、シャッタースピード1/300秒、1/500秒、1/700秒、1/900秒、1/1000秒の各透光画像をRGB及びHSV分解した結果、何れのシャッタースピードにおいてもG値が最も子実W2の検出が顕著であり、次いでB値が子実W2の検出に有効なものであった。さらに各図の(B)の透光画像を比較すると、シャッタースピード1/500秒および1/700秒で最も莢W1の輪郭および子実W2の輪郭が明瞭に判別できた。ただし分解・抽出するRGB及びHSVの値は、品種毎や莢の種別などに応じて、何れかまたは複数の組み合わせであってよい。
【0088】
本実施の形態において、コンピュータ8の画像取得手段5は、当該透光画像から得たRGB値の中からG値またはB値の何れか一方、例えば、より莢果Wの莢W1の輪郭および子実W2の輪郭が明瞭に判別可能なG値を抽出(e)した上、該透光G値の画像を二値化処理(f)する。
【0089】
コンピュータ8の画像取得手段5は、二値化処理画像内の夫々の莢果Wにラベリング処理(g)を行い、ラベリングされた各莢果Wの画像上の角度姿勢を揃える角度補正処理(h)を行う。該角度補正処理(h)は、ディスプレイ85に画像表示する際に見易くし、後に行う各検査で、必要な数値や場所の特定や取得を迅速に行えるようにするが、必須の工程ではなく、ピクセル数から面積のみを求める場合などには、行わなくても良い。
本実施の形態において、コンピュータ8は、各莢果Wの透光G値二値化画像を、夫々に紐付けされたラベリング情報と共にメモリ81または外部記憶装置88などに一時的に保存する。
【0090】
≪子実検査≫
コンピュータ8の画像取得手段5は、莢果W毎の透光G値二値化画像を、メモリ81または外部記憶装置88などの保存先から検査画像として取得する。この検査画像は、透光搬送手段21が搬送する全ての莢果Wについて作成される。
【0091】
莢果選別システム1は、そのコンピュータ8のCPU80および画像解析手段6が、当該検査画像に写し出されている各莢果Wの夫々の莢W1の輪郭内のピクセル数を判読すると共に、同莢W1内の全子実W2の輪郭内のピクセル数を判読した上、子実W2のピクセル数を莢W1のピクセル数で除し、面積比を求め、メモリ81または外部記憶装置88に記録された、下記表3に示す出荷規格品と出荷規格外品の同面積比の相関テーブルに基づき、各子実W2の大小を判別し、出荷規格品相当と判断された子実W2を、合格表示色として例えば青色化し、出荷規格外品と判断された子実W2を、規格外表示色として例えば赤色化(j)し、ディスプレイ85に表示(k)する。
【0092】
例えば、図13の(A)の検査画像に対し同図13の(B)に示すように、近接して配置された莢果W同士の識別をし易くするよう、近接して隣り合う莢果W同士の子実W2の色を互いに赤色RCと青色BCとに色分けして表示するものとすることができる。
【0093】
図6および下記表3に基づいて、本実施の形態の判断方法を示せば、個々の莢果Wの莢W1に対する子実W2の面積比率を算出(m)し、面積比が17%未満か判断(n)し、面積比が17%未満(yes)の場合に規格外品と判断(q)し、面積比が17%未満でない(no)場合には、面積比が17ないし25%か判断(p)し、面積比が17ないし25%(yes)の場合に2粒莢中1粒欠けの規格外品と判断(q)し、規格外品と判断(q)され、規格外品として指定された莢果Wは排出手段7によって排出(r)し、面積比が17ないし25%ではない(no)場合、面積比が36ないし38%か判断(s)し、面積比が36ないし38%(yes)の場合に3粒莢中1粒欠けの完全莢に次ぐ良品と判断(t)し、面積比が36ないし38%でない(no)場合は、完全莢の規格品とする(u)。ただしこの面積比の値は検査対象の品種や莢の状態などによって任意に変更することができる。
【0094】
【表3】
【0095】
そして、完全莢の規格品と(u)された莢果Wは除外せず残し、透光搬送手段21の末端まで搬送され、該透光搬送手段21の末端下方に配された出荷ライン用のベルトコンベア9を経て出荷用バケット90に供給される。
【0096】
当該検査画像に写し出されている各莢果Wは、例えば、図13の(A)の検査画像に対し同図12の(C)に示すように、出荷規格品相当と判断された莢果Wの全体を、合格表示色として例えば青色の枠線BFで囲み、出荷規格外品と判断された莢果Wの全体を、規格外表示色として例えば赤色の枠線RFで囲み、ディスプレイ85に表示(k)するように制御するものとすることができる。何れの出荷規格外品と判断された莢果Wも1粒の莢果Wと判断され、排出手段7による排出対象として特定される。
【0097】
また、粒大小検査は、画像解析手段6が、当該検査画像に基づく絶対的数値から判別することが可能であり、例えば、莢果選別システム1は、そのコンピュータ8のCPU80および画像解析手段6が、当該検査画像に写し出されている各莢果Wの莢W1内の各子実W2の直径方向に並ぶピクセル数を判読し、各子実W2の面積を演算処理する。この演算は、検査画像を実測値にする為の係数を乗算することによって算出する事ができる。子実W2の大小判断用の閾値と比較し、各子実W2の大小を判別し、出荷規格品相当と判断された子実W2を青色化し、または、莢果Wの全体を青色の枠線BFで囲み、出荷規格外品と判断された子実W2を赤色化し、または、莢果Wの全体を赤色の枠線RFで囲み(j)、図13または図14に示すようにディスプレイ85に表示(k)する。
【0098】
≪粒数検査≫
さらに、莢果選別システム1は、そのコンピュータ8の画像解析手段6が、各莢果Wの長さに基づき、各莢W1内の子実W2の粒数を算出(j)する。
この演算の結果として得られる粒数に対しては、規格外品と判断される1粒(1粒完全莢および2粒莢で1粒欠)か、それ以外かが判断され、1粒の莢果Wと判断され、排出手段7による排出対象として特定される。
【0099】
そして、画像解析手段6は、前記粒数判断において、莢W1内に収容された子実W2が2粒莢2粒以上と判断された莢果(エダマメ)Wは、瓢箪莢などの変形莢、2粒・3粒の完全莢の小型、莢W1や子実W2に割れや欠けがあるものなどは、標準の形状および面積とは異なる為、各莢果(エダマメ)Wの莢W1の長さ、幅、長さ幅比、面積、同莢W1内の子実W2の直径、面積、または、同莢W1の長さ(または面積)と、同莢W1内の子実W2の直径(または面積)との比率などを、出荷規格品の最大値ないし最小値と比較し、出荷規格相当品か、規格外品かを判断し、前述と同様に、出荷規格品相当と判断された子実W2を青色化し、出荷規格外品と判断された子実W2を赤色化し(j)、ディスプレイ85に表示(k)するものとすることができる。
【0100】
更に、莢果選別システム1は、画像解析手段6が、透光画像について、RGBに分解し、G値またはB値の少なくとも何れか一方に基づき、莢果Wの長さ方向、および、幅方向の夫々の色の変化率を算出し、予め準備された色の変化率の閾値と比較する、莢果の変色検査、着色検査またはシミ検査の少なくとも何れかの検査を行うものとすることができる。
【0101】
更に、莢果選別システム1は、画像解析手段6が、透光画像について、RGBに分解し、G値またはB値の少なくとも何れか一方に基づき、莢果Wの長さ方向に分割された複数箇所の莢の幅を算出し、莢果の長さ方向の幅の変化率を算出し、予め準備された正常な莢果の長さ方向の幅の変化率の閾値と比較する、欠け検査を行うものとすることができる。
【0102】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像の各莢果Wについてラベリング処理を行い、それぞれの莢果Wごとの画像を作成すると共に、各画像について角度補正を行い、角度補正を行った補正画像について、長軸方向となる長さと、短軸方向となる幅とを計測するものとすることができる。
【0103】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像の各莢果Wついて幅の変化量が所定の範囲である領域を検査領域として設定し、該検査領域における任意の基準位置の幅を基準幅として取得すると共に、当該基準位置から一定方向に移動した位置における幅を比較幅として取得し、基準幅と比較幅との差分を算出した値を許容値と比較する欠け検査を行うものとすることができる。
【0104】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像について、RGBに分解し、莢果Wの長さ方向に分割された複数箇所の子実W2の幅を算出し、莢果Wの長さ方向の子実W2の幅の0値から最大値を経て再び0値となる回数をカウントする子実の粒数検査を行うものとすることができる。
【0105】
更に、莢果選別システム1は、その前記画像解析手段6が、透光画像について、莢果Wの長さまたは面積を算出し、莢果選別基準の莢果Wの長さまたは面積と比較する小莢検査、または、予め準備された一粒莢果Wの長さまたは面積の統計データに基づく閾値と比較する一粒検査の少なくとも何れか一方を行うものとすることができる。
【0106】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像について、各莢果Wおよび莢W1内の子実W2に関し予め作成された基準に基づきセグメンテーション処理し、莢W1内の各子実W2を識別し子実W2の数をカウントする子実W2の個数カウント、一粒莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する一粒検査、小莢莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する小莢検査、瓢箪莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する瓢箪検査、変色莢果のについての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する変色検査、着色莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する着色検査、シミ莢果のについての所定の基準に基づきセグメンテーション処理するシミ検査、割れ莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する割れ検査、欠け莢果についての所定の基準に基づきセグメンテーション処理する欠け検査の中、少なくとも何れか一つを行うものとすることができる。ただし前記所定の基準は、ディープラーニングモデルによって構築してもよい。
【0107】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像について、RGB及びHSVに分解し、予め準備された莢果Wの標準色、および、莢果Wの標準色の濃淡の閾値と比較する着色検査を行うものとすることができる。
【0108】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像について、RGB及びHSVに分解し、莢果の長さ方向に分割された複数箇所の莢の幅を算出し、莢の基端寄りの最大幅と同先端寄りの最大幅とを比較し、何れか小さい方の最大幅と同莢の中途位置の最小幅とを比較する、瓢箪検査を行う、ものとすることができる。
【0109】
更に、莢果選別システム1は、その画像解析手段6が、透光画像について、RGB及びHSVに分解し、各莢果Wの画像データと予め準備された莢W1の割れた部分の色データと比較する、割れ検査を行うものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
上記本発明にかかる莢果選別システム、それを利用した莢果選別装置、および、莢果選別方法は、莢果の選別に係わる分野に利用するものであるが、その他の農産物、工業製品、林業製品、水産品などの品質管理など幅広い分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 莢果選別システム
2 莢果選別装置
20 同 自動供給部
20a 同 供給コンベア
21 同 透光搬送手段(ベルトコンベア)
21a 同 透光性ベルト
21b 同 搬送域
22 同 整列手段
PS 莢果選別ユニット
3 発光手段(LED素子)
3a 同 フレキシブル基板
3b 同 受電電極
3c 同 照明範囲
3d 同 給電電極
3e 同 電源部
4 撮影手段(レンズ部、絞り部、シャッター部)
4a 同 筐体
4b 同 撮影範囲
5 画像取得手段
6 画像解析手段
EC 同 露出制御手段(絞り制御部、シャッタースピード制御部)
7 排出手段(エアノズル)
70 同 排出用バケット
8 コンピュータ
80 同 CPU
81 同 メモリ
82 同 音声出力装置
83 同 ネットワークインタフェース
84 同 ディスプレイコントローラ
85 同 ディスプレイ(選別結果表示手段)
86 同 入力機器インタフェース
87 同 USBコンソール
88 同 外部記憶装置
89 同 外部記録媒体駆動装置
BS 同 バス
NW 同 ネットワーク
ER 同 外部記録媒体
KB 同 キーバード
MU 同 マウス
9 出荷ライン用のベルトコンベア
90 同 出荷用バケット
W 莢果(エダマメ)
W1 同 莢
W2 同 子実
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14