(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102779
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】乗員の管理システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240724BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240724BHJP
G07C 9/20 20200101ALI20240724BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/00 U
G07C9/20
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038032
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2023006538
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511012123
【氏名又は名称】トーキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516024578
【氏名又は名称】株式会社オー・エス・シー
(71)【出願人】
【識別番号】520215337
【氏名又は名称】横井 直
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】足立 満起
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 猛
(72)【発明者】
【氏名】横井 直
【テーマコード(参考)】
3E138
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA03
3E138JB14
3E138JC13
3E138JC19
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA06
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA11
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA42
5C087BB20
5C087BB73
5C087DD06
5C087DD14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF17
5C087GG08
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】本願発明は、乗員を広範囲に亘って管理することを解決することが可能な乗員の管理システムを提供することにある。
【解決手段】車両内に設置し無線通信により外部報知装置9に信号を送信する主制御装置2と、車両のエンジンの停止を検出して所定時間経過することによって始動し、車両内での乗員が残っていないかの確認を促すための報知をする車内報知処理(S6のY、S7)と、車両内に設けられるスイッチ11の作動によって車内報知処理を停止する信号を主制御装置に送信する確認装置7と、車両の外部に設置し主制御装置から無線送信により送信する信号を受信する外部報知装置と、を備え、車内報知処理が行われた後から更に所定時間経過後に、確認装置からの信号を受信しない場合に、外部報知装置に無線通信によって外部報知装置を作動させる信号を送信する主制御装置2と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭乗する人員の降車を確認するための乗員の管理システムであって、
前記車両内に設置し無線通信により外部報知装置に信号を送信する主制御装置と、
前記車両のエンジンの停止を検出して所定時間経過することによって始動し、前記車両内での乗員が残っていないかの確認を促すための報知をする車内報知処理と、
前記車両内に設けられるスイッチの作動によって前記車内報知処理を停止する信号を前記主制御装置に送信する確認装置と、
前記車両の外部に設置し前記主制御装置から無線送信により送信する信号を受信する前記外部報知装置と、を備え、
前記車内報知処理が行われた後から更に所定時間経過後に、前記確認装置からの信号を受信しない場合に、前記外部報知装置に無線通信によって前記外部報知装置を作動させる信号を送信する前記主制御装置と、
を備えたことを特徴とする乗員の管理システム。
【請求項2】
前記乗員が保有する無線IDダグを備え、
前記車内報知処理が行われた後に、前記確認装置からの信号を受信し、前記車内報知処理の停止後に、前記無線IDダグからの無線信号を受信した場合に、前記外部報知装置に無線通信によって前記外部報知装置を作動させる信号を送信する前記主制御装置と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の乗員の管理システム。
【請求項3】
前記車両のエンジンが稼働しているときに、前記乗員の無線IDダグのデータを受信し、前記乗員のIDと関連付けた搭乗記録を記憶し、前記搭乗記録に基づいて前記乗員が残っているかを判定する前記主制御装置と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の乗員の管理システム。
【請求項4】
前記無線IDダグの電波強度の閾値を調整可能な電波閾値調整器を備えたことを特徴とする請求項2に記載の乗員の管理システム。
【請求項5】
前記所定時間の時間を可変することが可能な時間調整器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の乗員の管理システム。
【請求項6】
前記車両のエンジンが停止しているときに、前記乗員の無線IDダグのデータを受信し、前記乗員のIDと関連付けた搭乗記録を消去し、前記搭乗記録に基づいて前記乗員が残っているかを判定する前記主制御装置と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の乗員の管理システム。
【請求項7】
前記搭乗記録に基づいて乗員の乗車人数を表示する表示装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載の乗員の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車両内の乗車した乗員を監視し又はその車両内に人物が閉じ込められることを防止するための管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
夏の暑い日等は車内の温度が40℃以上になり、子供やお年寄りが車両内に閉じ込められてしまうと危険な状態に陥ってしまう。そのために、従来から様々な工夫により車内に閉じ込められた乗員を発見し外部への報知するシステムが考えられていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者の第1の無線機器と、見守られるべき対象に装着されている第2の無線機器を検出すること、前記第1の無線機器および前記第2の無線機器の位置を決定すること、車両に対する前記第1の無線機器および前記第2の無線機器の相対的な位置を認識すること、前記車両に対する前記第1の無線機器の相対的な位置 、および前記車両に対する前記第2の無線機器の相対的な位置の固有の組み合わせに対応している予め設定された状態宣言に対する、認識された前記第1の無線機器の位置 、および認識された前記第2の無線機器の位置を分析すること、および前記予め設定された状態宣言の充足に応じて応答を活性化することを含む、車両に搭載されたシステムを通して対象を見守る見守り方法が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、存否判定システムは、車内に設置された超音波送信機から送信された超音波を、車内にて受信する第1の受信手段と、車内にて可聴周波数帯の音波を受信する第2の受信手段と、第1の受信手段にて受信された超音波と、第2の受信手段にて受信された可聴周波数帯の音波とに基づき、車内に人および飼育動物の少なくとも一方が存在するか否かを判定する判定手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6269676号公報
【特許文献2】特開2022-76593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来からある技術は乗用車に設置される発明が主になっている。そのため、多くの人を乗せる幼稚園等の送迎用バスにおいては特許文献1のようなシステムを適用した場合に、一人一人を監視する場合に煩雑なシステムとなってしまい乗員の管理が大変である。また、バス等は乗用車に比べて車内が広いのでセンサー等を使用する場合には障害物を避けながら広範囲に乗員を検知する必要がある。更に、センサー等による検知範囲が広くなればそれだけセンサーの数や配線数が多くなり機器の設置作業が煩雑となってしまう。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、運転手や添乗員の負担が軽減可能であって乗員を広範囲に亘って管理すること、一人一人の乗員を的確に捉えて管理すること及び機器の設置場所や設置方法が容易なことの何れかの課題を解決することが可能な乗員の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車両に搭乗する人員の降車を確認するための乗員の管理システムであって、
前記車両内に設置し無線通信により外部報知装置に信号を送信する主制御装置と、
前記車両のエンジンの停止を検出して所定時間経過することによって始動し、前記車両内での乗員が残っていないかの確認を促すための報知をする車内報知処理と、
前記車両内に設けられるスイッチの作動によって前記車内報知処理を停止する信号を前記主制御装置に送信する確認装置と、
前記車両の外部に設置し前記主制御装置から無線送信により送信する信号を受信する前記外部報知装置と、を備え、
前記車内報知処理が行われた後から更に所定時間経過後に、前記確認装置からの信号を受信しない場合に、前記外部報知装置に無線通信によって前記外部報知装置を作動させる信号を送信する前記主制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の特徴によって、本発明は、無線通信を使用することによって外部への報知する装置が容易に設置することが可能であると共に、確認作業を忘れたり怠ったとしても外部への報知がスムーズに行われ管理がしやすい管理システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の乗員の管理システムを車両に設置した状態の概要図である。
【
図2】実施形態の乗員の管理システムの構成を現すブロック図である。
【
図3】実施形態の乗員の管理システムの表示装置を現す概要図である。
【
図4】実施形態の乗員の管理システムの制御を示すフロー図である。
【
図5】実施形態の乗員の管理システムの制御を示すフロー図である。
【
図6】実施形態の乗員の管理システムの制御を示すフロー図である。
【
図7】実施形態の乗員の管理システムのシーケンス図である。
【
図8】他の実施形態の乗員の管理システムの制御を示すフロー図である。
【
図9】他の実施形態の乗員の管理システムのシーケンス図である。
【
図10】他の実施形態の乗員の管理システムのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる乗員の管理システム1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0012】
先ず、
図1は、園児等の乗員を乗せるバス等の車両4に管理システム1を設置した際の概要図である。
車両4内の運手席付近には親機となるメイン制御装置2が設置されている。また、後方には運転手が操作する点検確認ボタン装置7を設置している。
【0013】
次に、
図2を参照し管理システム1について説明する。
図2は、管理システム1の構成を示すブロック図である。管理システム1は、大きく分けて親機となるメイン制御装置2と子機無線装置3と外部報知装置9と点検確認ボタン装置7との4つの装置から構成している。
【0014】
先ず、メイン制御装置2について説明する。メイン制御装置2は、バス等の車両4のバッテリーやシガライター等の車両用電源28から電力の供給を受けて作動している。電力は、マイクロコンピュータ10、親機無線装置5、表示装置30及びバックアップ電源29の電圧や電流容量に合わせて電圧変換回路23を設けている。バックアップ電源25は、バッテリーが上がった場合やシガライターからの電力を供給する場合に使用する。バックアップ電源25は、電気二重層コンデンサやリチュウムイオン電池等が考えられるが、炎天下での車両4の温度条件を考慮すると、電気二重層コンデンサが最も良い。
【0015】
メイン制御装置2は、マイクロコンピュータ10を搭載し、マイクロコンピュータ10にEEPROMやRAM等の記憶装置17を内蔵している。マイクロコンピュータ10は、アンテナ6を外部に設置した親機無線装置5とシリアル通信によって信号の送受信を行っている。
【0016】
マイクロコンピュータ10は、シリアル通信の際に容量オーバーによってプログラムが止まってしまう恐れがあるためソフトウエアの処理によって、所定時間の停止の場合にプログラムをリセットする機能を備えている。そのため、モードのデータや車員のデータはEEPROMに記憶されリセットしても消えないようにしている。
【0017】
マイクロコンピュータ10は、後述する表示装置30と車内に報知するLED表示41とリレー15を介して車内に報知するブザー19とに接続している。ブザー19は、バッテリーが上がってしまうことを考慮して予備用の電池21を介して作動させても良い。
また、車両4のエンジンの停止を確認するため、車内アクセサリーであるシガライターから電圧監視ライン27をマイクロコンピュータ10に接続している。
【0018】
マイクロコンピュータ10は、電波強度調整器12と時間調整器13とに接続している。電波強度調整器12は、可変抵抗器で構成され、車両4内に乗員として乗り込んだ園児が保有する子機無線装置3が近況にあるのか否かをマイクロコンピュータ10が判断するための閾値を設定する際の調整器である。
【0019】
この閾値を可変することが可能にすることによって車内のみの電波であることを判別することが可能である。従って、メイン制御装置2は電波の検出範囲の閾値を変化させることによっても誤処理をすることがないので、一人一人的確に捉えることが可能である。
【0020】
時間調整器13は、可変抵抗器で構成され、運転手が乗務員の手伝い等をする場合に、車内の警報が作動するまでの時間を自由に調整することが可能な調整器である。時間調整器13によって、運転手は、確認作業の他に、他の作業も考慮して時間を設定可能である。
【0021】
次に、子機無線装置3は、マイクロコンピュータと無線装置を内蔵し電池で稼働する無線装置である。園児等は、子機無線装置3を園児の鞄や名札等に装着して車両に乗り込むようにしている。また車両4に搭乗するときに、園児に子機無線装置3を持たせ、降車するときに子機無線装置3を回収する運用であっても良い。
【0022】
次に、外部報知装置9は、車両4から離れた事務所又は職員室等に設置し、メイン制御装置2から送られてきた報知処理によって作動する外部に設けられる警報装置である。特に、運転手や乗務員が確認を怠った際に所定時間の経過後に発動する警報装置である。
【0023】
外部報知装置9は、メイン制御装置2と同様に、無線装置である子機無線装置3と図示しないマイクロコンピュータ10、警報用のブザー19、LED表示41及び表示装置30を搭載している。尚、外部報知装置9は、メイン制御装置2との間に無線用の中継器を備えても良く、メイン制御装置2と外部報知装置9は、車両から遠く離れていたり、障害物があった場合でも無線信号を送受信することが可能となる。
【0024】
点検確認ボタン装置7は、押しボタン式の点検確認ボタン11と無線通信用の子機無線装置3を備えている。点検確認ボタン装置7は、メイン制御装置2と通信をし、警報用のブザー19、とLED表示41の報知を停止する信号を送信する。
尚、点検確認ボタン装置7は、無線通信で停止信号をメイン制御装置2に送信したが有線により信号を送信しても良い。
【0025】
これら子機無線装置3、親機無線装置5及び中継器は、近距離無線規格のIEEE802.15.4に代表される2.4GHz帯の無線規格を採用しており、その他に868MHz帯、915MHz帯及び920MHz帯等の無線規格がある。これら無線規格は、消費電力が少なくてすむため、数ヶ月から年単位での電池等により駆動が可能である。
【0026】
尚、無線規格のIEEE802.15.4に限らず、IEEE802.11やIEEE802.15.1等の無線規格であっても良い。また、子機無線装置3、親機無線装置5及び中継器は、混信を防止するためにIDとチャンネルを指定することによって混信を防止することが可能である。
【0027】
次に、
図3は、表示装置30にメイン制御装置2のデータの情報の表示例を示している。
図3(A)は、車両4の運転中の状態を示している。
図3(B)は、車両4のエンジンを停止し乗員を降車している状態を示している。
図3(C)は、
図3(A)の別例であり、乗車する予定の搭乗者を全て表示し、搭乗した搭乗者の氏名表示部32aを四角に囲った状態を示している。これによって搭乗した人員が分かりやすく表示されている。
【0028】
次に、
図3の各態様の共通する箇所を説明する。
図3は、車両4の運転中の乗員が乗車した時刻を表示する時刻表示部31と子機無線装置3のIDと関連付けられた氏名を氏名表示部32に表示している。表示装置30は、その他に表示切替スイッチ33と設定表示部34を示している。
【0029】
表示切替スイッチ33は、押下によって設定表示部34の表示を隠すことも可能である。また、設定表示部34は、乗車人数と上述した時間調整器13によって設定した時間として設定時間とを表示している。また、上述した電波強度の閾値を電波強度として表示している。更に、モードは表1に示すメイン制御装置2の作動している状態を表している。
【表1】
【0030】
表1に示す状態表示は、「モード0」がエンジンをかけた状態における運転中であることを示している。「モード1」は、エンジンを停止し、LED表示41とブザー19の報知によってと確認ボタン11を押下するのを促す状態を示している。「モード2」は、エンジンを停止し、確認ボタン11を押下した状態を示している。「モード3」は、エンジンを停止し、外部に報知をしている状態を示している。
【0031】
次に、
図4から
図7を参照し乗員の管理システム1の制御について説明する。
図4は、メイン制御を示し、
図7は各装置のシーケンス図を示している。先ず、バス等の車両4のエンジンがかけられ、マイクロコンピュータ10は、車両用電源28の電圧を絶えず監視し(S31)、また、
図3に示す表示を行っている(S32)。
また、所定値以上の電圧となったことを検出した場合に(S2のY)、マイクロコンピュータ10の記憶装置17は「モード0」に戻す(S3)。
【0032】
子機無線装置3は、省電力にするために5秒から8秒周期での定期送信を行い、シリアルID、チャンネル番号、電波強度、論理ID及び電池電圧をデータとして親機無線装置5に送信している(S33)。また親機無線装置5とメイン制御装置2は、シリアル通信を行い(S34)、メイン制御装置2は送信されたデータの解析を行っている。
【0033】
また、メイン制御装置2は、車両用電源28が所定値以下の電圧となったことを検出した場合(S2のN)、後述する降車処理(S40)を行う。その後、時間調整器13によって調整した設定時間を経過すると(S6のY)、車両4内に乗員が残っていないかの確認を促す点検表示としてLED表示41が赤色で点滅する(S7)。またメイン制御装置2は、同時に、点検警告音としてブザー19が連続音又は断続音により報知を行う(S7)。
【0034】
点検表示と点検警告音は、運転手又は添乗員が点検確認ボタン装置7の点検確認ボタン11を押下する迄の間継続し(S8のN)、メイン制御装置2は、「モード1」として記憶装置17に記憶する。運転手又は添乗員が点検確認ボタン11を押下すれば(S8のY)、LED表示41及びブザー19が停止し、点検表示と点検警告音はOFFとなり(S9)、メイン制御装置2は、「モード2」として記憶装置17に記憶する。
【0035】
点検確認ボタン装置7は、点検確認ボタン11の押下に応じてシリアルID、チャンネル番号、電波強度、論理ID及び電池電圧をデータとして親機無線装置5に送信している(S8(
図6))。また親機無線装置5とメイン制御装置2とは、シリアル通信を行い(S34)、メイン制御装置2は送信されたデータの解析を行い、確認ボタン装置からの信号であると判断し点検表示と点検警告音をOFFにする処理を行っている(S9)。
【0036】
その後、何らかの原因で運転手と添乗員が車両4内の確認を行い、確認ボタン11を押下したのにもかかわらず、車両4内に子機無線装置3が存在したため、メイン制御装置2が電波を受信し、エンジンが稼働している状態において記憶したIDと同じIDを検出した場合には(S10のY)、メイン制御装置2は、親機無線装置5を介して(S41)、外部報知装置9に信号を送信する(S11)。
【0037】
事務所や職員室に設置した外部報知装置9は、報知信号を受信すると(S42)、LED表示及びブザーを稼働し、報知処理を行う(S43)。メイン制御装置2は、「モード3」として記憶装置17に記憶する。
車両4のエンジンが稼働している状態において記憶装置17に記憶したIDと同じIDを検出した場合には(S10のY)、外部報知装置9に信号を送信することによって(S11)、車両4が複数台並んで時間をおいて降車させる場合や園内の既に降車した園児等に持たせた子機無線装置3の電波を拾い、誤処理を防ぐことが可能である。また、メイン制御装置2は電波範囲を広げても誤処理をすることがないので、一人一人的確に捉えることが可能である。
【0038】
また、上述のようにメイン制御装置2は、車両4のエンジンの始動にともなってマイクロコンピュータ10の記憶装置17のモードを「モード0」に戻す(S3)。このモード変更の動作によって、メイン制御装置2は外部報知装置9への報知処理の送信を停止し、外部報知装置9に設けられる停止ボタン等によって外部報知装置9の報知処理は停止する。
【0039】
次に、
図5及び
図7を参照し乗車処理20を説明する。
メイン制御装置2は、車両4のエンジンの稼働中に(S2のY)、メイン制御装置2は、定期送信によって子機無線装置3の電波を受信した場合には(S21のY)、子機無線装置3の固有の識別番号であるIDを取得する(S21)。メイン制御装置2は、送られてきたデータを解析し電波強度を計算する(S23)。メイン制御装置2は、電波強度が閾値以上であれば(S24のY)、IDに対応した乗車したことを示すデータを記憶する(S26)。最後に、メイン制御装置2は、IDに対応した氏名や乗車人数を表示装置30に表示をする(S27)。
【0040】
次に、
図6及び
図7を参照し降車処理40を説明する。
メイン制御装置2は、車両4のエンジンの停止中に(S2のN)、メイン制御装置2は、定期送信によって子機無線装置3の電波を受信した場合には(S21のY)、子機無線装置3の固有の識別番号であるIDを取得する(S21)。メイン制御装置2は、送られてきたデータを解析し電波強度を計算する(S23)。メイン制御装置2は、電波強度が閾値よりも小さければ(S24のN)、IDに対応した乗車したことを示すデータを消去する(S42)。最後に、メイン制御装置2は、IDに対応した氏名や乗車人数を表示装置30に表示をする(S27)。
【0041】
以上のように、メイン制御装置2は、電波強度に閾値を設け判定することによって、他の車両4の電波を拾うことなく、またメイン制御装置2は、広範囲にデータを拾うことが可能である。
また、エンジンの始動中(S2のN)に、IDに対応した乗車したことを示すデータを記憶することによって間違って他の車両に乗車する乗員を記憶することはなくなる。更にエンジンの停止中(S2のN)に電波強度に閾値を設け判定することによって、メイン制御装置2から離れていると電波強度は弱くなる。電波強度が弱い場合に、乗員が降車したことを確認することが可能である。
【0042】
尚、メイン制御装置2は、所定時間(S6のY)の経過後に報知処理が開始され、更にS6のYからS8のNの動作が所定時間経過する場合、例えばS6のYから5分以上確認ボタン11が押下されていない場合には、上述のようにメイン制御装置2は、親機無線装置5を介して(S41)、外部報知装置9に信号を送信する(S11)処理を行っても良い。
【0043】
(他の実施形態)
次に、他の実施形態として、
図8から
図10を参照し、子機無線装置3を乗員に持たせずに管理する管理システム1の制御について説明する。上述した構成と同じ箇所に同じ符号を付しており説明を省略する。
【0044】
図8は、メイン制御を示し、
図9は各装置のシーケンス図を示している。先ず、バス等の車両4のエンジンがかけられ(S51のY)、マイクロコンピュータ10は、車両用電源28の電圧を絶えず監視し(S31)、また、
図3に示す表示を行っている(S5)。
また、所定値以上の電圧となったことを検出した場合に(S51のY)、マイクロコンピュータ10の記憶装置17は「モード0」に戻す(S3)。
また、親機無線装置5とメイン制御装置2は、シリアル通信を行い(S34)、メイン制御装置2は送信されたデータの解析を行っている。
【0045】
また、メイン制御装置2は、車両用電源28が所定値以下の電圧となったことを検出した場合(S51のN)、時間調整器13によって調整した設定時間を経過すると(S52のY)、車両4内に乗員が残っていないかの確認を促す点検表示としてLED表示41が赤色で点滅する(S7)。また、メイン制御装置2は、同時に、点検警告音としてブザー19が連続音又は断続音により報知を行う(S7)。
【0046】
点検表示と点検警告音は、運転手又は添乗員が点検確認ボタン装置7の点検確認ボタン11を押下する迄の間継続し(S8のN)、メイン制御装置2は、「モード1」として記憶装置17に記憶する。運転手又は添乗員が点検確認ボタン11を押下すれば(S8のN)、LED表示41及びブザー19が停止し、点検表示と点検警告音はOFFとなり(S9)、メイン制御装置2は、「モード2」として記憶装置17に記憶する。
【0047】
点検確認ボタン装置7は、点検確認ボタン11の押下に応じてシリアルID、チャンネル番号、電波強度、論理ID及び電池電圧をデータとして親機無線装置5に送信している(S8(
図9))。また親機無線装置5とメイン制御装置2とは、シリアル通信を行い(S34)、メイン制御装置2は送信されたデータの解析を行い、確認ボタン装置からの信号であると判断し点検表示と点検警告音をOFFにする処理を行っている(S9)。
【0048】
その後、何らかの原因で運転手と添乗員が車両4内の確認を行わず、所定期間の間に確認ボタン11が押下したことが検出されない場合には(S54のY)、メイン制御装置2は、親機無線装置5を介して(S41)、外部報知装置9に信号を送信する(S11)。
【0049】
事務所や職員室に設置した外部報知装置9は、報知信号を受信すると(S42)、LED表示及びブザーを稼働し、報知処理を行う(S43)。メイン制御装置2は、「モード3」として記憶装置17に記憶する。
【0050】
また、上述のようにメイン制御装置2は、車両4のエンジンの始動にともなってマイクロコンピュータ10の記憶装置17のモードを「モード0」に戻す(S3)。このモード変更の動作によって、メイン制御装置2は外部報知装置9への報知処理の送信を停止し、外部報知装置9に設けられる停止ボタン等によって外部報知装置9の報知処理は停止する。
【0051】
次に、点検確認ボタン11が押されたか否かの履歴を保存するシステムについて
図10を参照し説明する。上述した構成と同じ箇所に同じ符号を付しており説明を省略する。
図10は、点検確認ボタン11が押されたことを記憶するシーケンス図である。
【0052】
点検確認ボタン装置7は、点検確認ボタン11の押下に応じてシリアルID、チャンネル番号、電波強度、論理ID及び電池電圧をデータとして親機無線装置5に送信している(S8(
図9))。また親機無線装置5とメイン制御装置2とは、シリアル通信を行い(S34)、メイン制御装置2は送信されたデータの解析を行い、確認ボタン装置からの信号であると判断し点検表示と点検警告音をOFFにする処理を行っている(S9)。
【0053】
そして、親機無線装置5は、確認ボタン記憶処理を行うために、親機無線装置5とメイン制御装置2とは、シリアル通信を行い(S51)、メイン制御装置2は確認ボタン押下信号を送信し(S52)、確認ボタン押下信号を受信した外部報知装置9は、内蔵されたSDカードやEEPROM等の記憶媒体に記憶し、押下された時間と共に車番やその運転者又は乗務員の氏名やその氏名に相当する番号の等のデータを保存する。
【0054】
このようにすることによって外部報知装置9は、複数台の上記データの記録を時間順に記録することが可能であるために後からの作業履歴の確認や日報等の作業記録を簡略化することが可能である。
尚、外部報知装置9にデータを記憶する例を示したが、メイン制御装置2や点検確認ボタン装置7にデータを記憶する方法であっても良い。
【0055】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0056】
<特徴点1>
車両(例えば、主に車両4)に搭乗する人員の降車を確認するための乗員の管理システム(例えば、主に管理システム1)であって、
前記車両内に設置し無線通信により外部報知装置(例えば、主に外部報知装置9)に信号を送信する主制御装置(例えば、主にメイン制御装置2)と、
前記車両のエンジンの停止を検出して所定時間経過することによって始動し、前記車両内での乗員が残っていないかの確認を促すための報知をする車内報知処理(例えば、主にS6のY、S7)と、
車両内に設けられるスイッチ(例えば、主に確認ボタン11)の作動によって前記車内報知処理を停止する信号を前記主制御装置に送信する確認装置(例えば、主に確認ボタン装置7)と、
車両の外部に設置し前記主制御装置から無線送信により送信する信号を受信する前記外部報知装置と、を備え、
前記車内報知処理が行われた後から更に所定時間経過後に、前記確認装置からの信号を受信しない場合に、前記外部報知装置に無線通信によって前記外部報知装置を作動させる信号を送信する前記主制御装置(例えば、主にS42・S43・S54のYの処理、メイン制御装置2)と、
を備えたことを特徴とする。
【0057】
以上の特徴によって、本発明は、無線通信を使用することによって外部への報知する装置が容易に設置することが可能であると共に、確認作業を忘れたり怠ったとしても外部への報知がスムーズに行われ管理がしやすい管理システムである。車両の駐車場が人気のいない場所等の発見が遅れる場所にあっても無線による外部報知装置によって、人が多く存在する箇所に設置が可能である。
【0058】
(特徴点2)
乗員が保有する無線IDダグ(例えば、主に子機無線装置3)を備え、
前記車内報知処理が行われた後に、前記確認装置からの信号を受信し、前記車内報知処理の停止後に、前記無線IDダグからの無線信号を受信した場合に、前記外部報知装置に無線通信によって前記外部報知装置を作動させる信号を送信する前記主制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0059】
以上の特徴によって、本発明は、乗員がもし寝てしまって横になって隠れたような状態であっても乗員が保持する無線IDダグによって確実に一人一人を捉えることが可能である。また無線IDダグは無線式であるので乗員の保持は容易である。
【0060】
(特徴点3)
前記車両のエンジンが稼働しているときに、前記乗員の前記無線IDダグのデータを受信し、前記乗員のIDと関連付けた搭乗記録を記憶し、前記搭乗記録に基づいて前記乗員が残っているかを判定する前記主制御装置(例えば、主にS20の乗車処理、メイン制御装置2)と、を備えたことを特徴とする。
【0061】
以上の特徴によって、本発明は、エンジンが稼働しているときに搭乗記録が記録されるので、たとえ降車時に他の車両の無線IDダグのデータを受信しても、エンジン始動時に記録されていなければ除外されるので、他の車両の人員を誤って記録するようなことはない。そして、正確な乗員の管理が可能な管理システムとなる。
【0062】
(特徴点4)
前記無線IDダグの電波強度の閾値を調整可能な電波閾値調整器(例えば、主に電波強度調整器12)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、車両内に限っての無線IDダグを検出することが可能である。そのため他の車両と混信することはなく確実に一人一人を捉えることが可能である。
【0063】
(特徴点5)
前記所定時間の時間を可変することが可能な時間調整器(例えば、主に時間調整器13)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、運転手が添乗員の作業等を手伝うことも可能であり、また他の作業を考慮して時間調整することが可能となるので添乗員や運転手の負担が軽減される。
【0064】
(特徴点6)
前記車両のエンジンが停止しているときに、前記乗員の無線IDダグのデータを受信し、前記乗員のIDと関連付けた搭乗記録を消去し、前記搭乗記録に基づいて乗員が残っているかを判定する前記主制御装置(例えば、主にS40の乗車処理、メイン制御装置2)と、を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、本発明は、エンジンが停止しているときに搭乗記録が消去されるので、たとえ降車時に他の車両の無線IDダグのデータを受信しても、エンジン始動時に記録されていなければ除外されるので、他の車両の人員を誤って記録するようなことはない。そして、正確な乗員の管理が可能な管理システムとなる。
【0065】
(特徴点7)
前記搭乗記録に基づいて乗員の乗車人数を表示する表示装置(例えば、主に表示装置30)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、乗車人数は自動でカウントされ表示装置に表示されるので添乗員や運転手の負担が軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の車両内だけでなく幼稚園や学校等の園児や生徒を校内や屋外での人員管理としても利用が可能である。また老人ホームや病院等の徘徊する人の管理にも利用が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…管理システム、2…メイン制御装置、3…子機無線装置、5…親機無線装置、
6…アンテナ、7…点検確認ボタン装置、9…外部報知装置、
10…マイクロコンピュータ、11…点検確認ボタン、12…電波強度調整器、
13…時間調整器、15…リレー、17…記憶装置、19…ブザー、21…電池、
23…電圧変換回路、27…電圧監視ライン、25…バックアップ電源、
28…車内電源、30…表示装置、31…時刻表示部、32…氏名表示部、
33…表示切替スイッチ、34…設定表示部。