(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010279
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】建築用ルーバー
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111522
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】芦名 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡村 信
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA04
2E105FF06
2E105FF36
2E105GG01
(57)【要約】
【課題】ルーバーの各化粧面(前面や側面)を異なる色や模様にしたい場合でも、容易かつ短時間で作業することができる建築用ルーバーを提供する。
【解決手段】躯体50の壁面または天井面から突出するように取り付けられる建築用ルーバー10であって、前記建築用ルーバー10の突出方向を前方としたときに、一対の側壁部21を備えた第2ルーバー材20と、前記第2ルーバー材20の前記一対の側壁部21の内側に固定される第1ルーバー材11と、を備え、前記第1ルーバー材11の前面12aによって、前記建築用ルーバー10の化粧前面10aを構成し、前記第2ルーバー材20の前記一対の側壁部21によって、前記建築用ルーバー10の化粧側面10bを構成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体の壁面または天井面から突出するように取り付けられる建築用ルーバーであって、
前記建築用ルーバーの突出方向を前方としたときに、
一対の側壁部を備えた第2ルーバー材と、
前記第2ルーバー材の前記一対の側壁部の内側に固定される第1ルーバー材と、
を備え、
前記第1ルーバー材の前面によって、前記建築用ルーバーの化粧前面を構成し、
前記第2ルーバー材の前記一対の側壁部によって、前記建築用ルーバーの化粧側面を構成した、
建築用ルーバー。
【請求項2】
前記化粧前面と前記化粧側面とを、異なる色または模様とした、
請求項1に記載の建築用ルーバー。
【請求項3】
前記第1ルーバー材は、前記一対の側壁部の前端に当接する突き当て部を備え、
前記一対の側壁部の前端と前記突き当て部とが、傾斜面で当接している、
請求項1に記載の建築用ルーバー。
【請求項4】
前記第1ルーバー材の前記前面と前記突き当て部とを連続的に覆う化粧シートを備える、
請求項3に記載の建築用ルーバー。
【請求項5】
前記第2ルーバー材の側壁部の外側面と前端とを連続的に覆う化粧シートを備える、
請求項3に記載の建築用ルーバー。
【請求項6】
前記第2ルーバー材の一対の側壁部は、外側面で前記化粧側面を構成し、内側面に前記第1ルーバー材と係合させるための係合部が形成されている、
請求項1に記載の建築用ルーバー。
【請求項7】
前記第2ルーバー材は、施工面に直接固定されている、
請求項1に記載の建築用ルーバー。
【請求項8】
施工面に直接固定される受部材を備え、
前記第2ルーバー材は、前記受部材に固定されている、
請求項1に記載の建築用ルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、躯体の壁面または天井面から突出するように取り付けられる建築用ルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物の壁躯体に直接固定した受部材と、押出形材からなるルーバー材とを備えた建築用ルーバーが開示されている。この発明においては、予め壁躯体に固定した受部材に対し、断面略コ字形のルーバー材をかぶせるように取り付けることで、建築用ルーバーを容易に施工することができる。また、ルーバーの色などを変えて意匠性を高めたい場合には、ルーバー材の表面に化粧シート(例えば木目模様のシート)を貼着してもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来のルーバーでは、ルーバーの各化粧面(前面や側面)を異なる色や模様にするには技術が必要であり、時間もかかっていた。例えば、ルーバーの各化粧面に異なる化粧シートを貼り付ける場合、角部の境界をはみ出さないように、かつ隙間が生まれないように化粧シートを貼り付ける必要があり、技術も手間も必要であった。また、各化粧面を異なる色や模様に塗装する場合、塗装がはみ出さないように角部の境界をマスキングテープなどで養生してから作業する必要があり、作業性が悪く、時間もかかっていた。
【0005】
そこで、本発明は、ルーバーの各化粧面(前面や側面)を異なる色や模様にしたい場合でも、容易かつ短時間で作業することができる建築用ルーバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明は、躯体の壁面または天井面から突出するように取り付けられる建築用ルーバーであって、前記建築用ルーバーの突出方向を前方としたときに、一対の側壁部を備えた第2ルーバー材と、前記第2ルーバー材の前記一対の側壁部の内側に固定される第1ルーバー材と、を備え、前記第1ルーバー材の前面によって、前記建築用ルーバーの化粧前面を構成し、前記第2ルーバー材の前記一対の側壁部によって、前記建築用ルーバーの化粧側面を構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、第1ルーバー材の前面によって、建築用ルーバーの化粧前面を構成し、第2ルーバー材の一対の側壁部によって、建築用ルーバーの化粧側面を構成している。すなわち、化粧前面と化粧側面とを異なる部材で構成するようにしている。このような構成によれば、第1ルーバー材と第2ルーバー材とを組み合わせる前に、化粧前面と化粧側面とに対して別々に、化粧シートを貼り付けたり、陽極酸化皮膜処理や塗装を行ったりすることができる。よって、ルーバーの各化粧面(前面や側面)を異なる色や模様にしたい場合でも、特別な技術や大きな手間が必要なく、容易かつ短時間で作業することができる。
【0008】
また、このように別々に色や模様を付けた第1ルーバー材と第2ルーバー材とを施工時に組み合わせるだけで建築用ルーバーが完成するため、組み付け作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】第1ルーバー材と第2ルーバー材とを組み合わせる前の図である。
【
図4】(a)第1ルーバー材と第2ルーバー材とを組み合わせた後の図、(b)A部拡大図である。
【
図5】(a)第1ルーバー材に貼り付ける化粧シートの一例を示す図、(b)第2ルーバー材に貼り付ける化粧シートの一例を示す図である。
【
図6】変形例に係る建築用ルーバーを小口側から見た図である。
【
図7】変形例に係る建築用ルーバーの構成部品を説明する分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、建築用ルーバー10の突出方向(施工面に対して垂直な方向。
図2における左方向)を前方とし、その反対方向(
図2における右方向)を後方とする。
【0011】
本実施形態に係る建築用ルーバー10は、躯体50の壁面または天井面から突出するように取り付けられる長尺の部材である。例えば、
図1および
図2に示すように、躯体50の表面に互いに平行に複数の建築用ルーバー10を取り付けることができる。この建築用ルーバー10は、中空の長尺部材である。建築用ルーバー10は、四角柱状に形成されており、長手方向に4つの面を備えている。このうち後側の面は、躯体50に当接しており、躯体50に固定されている。また、前側の面は、外部に露出した化粧前面10aとなっている。また、残りの2つの側面(長手方向の側面)は、外部に露出した化粧側面10bとなっている。なお、短手方向の側面は建築用ルーバー10の小口面である。特に図示しないが、この小口面に蓋などを取り付けてもよい。また、上記した化粧前面10aと化粧側面10bとは、互いに直角となっており、角部10cにおいて連続している。この建築用ルーバー10は、構成部品として、第1ルーバー材11と、第2ルーバー材20と、を備えている。
【0012】
第1ルーバー材11は、金属製の長尺材であり、例えばアルミニウム製の押出形材である。この第1ルーバー材11は、全長に渡って同一形状であり、
図3に示す断面形状で形成されている。この第1ルーバー材11は、断面が略コ字形であり、前側の前片12と、前片12の両端から後方に延びる挿入片13と、を備える。
【0013】
前片12の前面12a(表面)は、建築用ルーバー10の化粧前面10aを構成している。本実施形態に係る前面12aは凹凸のない平坦面である。また、前片12の両端部は、側方にやや張り出した形状となっており、この張り出した部分の後面に突き当て部12bが形成されている。この突き当て部12bは、後述する側壁部21の前端22aに当接する部位である。突き当て部12bは、前面12aに対して約45度傾斜した傾斜面であり、言い換えると、前面12aと約45度の鋭角を成すように形成されている。
【0014】
挿入片13は、後述する一対の側壁部21の内側に固定される部位である。この挿入片13は、左右一対で設けられており、前片12に対して直交する方向に突出している。この挿入片13は、突き当て部12bから連続するように形成されている。本実施形態に係る挿入片13は、前方から一対の側壁部21の間に挿入され、第2ルーバー材20と係合して固定される。
【0015】
この挿入片13の外側面13aには、長手方向に延びる突条14が形成されている。この突条14は、後述する係合部22を係合させるためのものである。突条14は、挿入片13の外側面13aから側方に突出して形成されており、垂直面14aと、係合面14bと、案内面14cとを備える。垂直面14aは、突条14の前側の面であり、外側面13aに対して垂直な面となっている。係合面14bは、垂直面14aの端部から連続する面であり、外側面13aに対して平行な面となっている。案内面14cは、係合面14bの端部から連続する面であり、係合面14bの端部と外側面13aとをつなぐ傾斜した面である。なお、この突条14の前側には、垂直面14aと突き当て部12bとで挟まれた係合溝15が凹設されている。この係合溝15は、後述する突起22cを嵌合させるための凹部である。係合溝15に突起22cが嵌合することで、側壁部21と挿入片13とが脱落しないように固定される。また、挿入片13の内側面13bには、ビスホール16が形成されている。このビスホール16を使用して、建築用ルーバー10の小口を塞ぐ蓋を取り付けることができる。
【0016】
第2ルーバー材20は、金属製の長尺材であり、例えばアルミニウム製の押出形材である。この第2ルーバー材20は、全長に渡って同一形状であり、
図3に示すような断面形状である。この第2ルーバー材20は、断面が略コ字形であり、側壁部21と、取付部23と、を備える。
【0017】
側壁部21は、取付部23の両端部から前方に突出するように形成されており、左右一対で形成されている。この一対の側壁部21の間の間隔は、第1ルーバー材11の一対の挿入片13を挿入できる幅に設定されている。この一対の側壁部21は、内側面21bで第1ルーバー材11の一対の挿入片13と係合し、外側面21aが化粧面となるように構成されている。すなわち、この側壁部21の長手方向の外側面21aは、建築用ルーバー10の化粧側面10bを構成している。本実施形態に係る外側面21aは凹凸のない平坦面である。
【0018】
側壁部21の内側の先端付近には、係合部22が形成されている。この係合部22は、第1ルーバー材11と係合させるための部位であり、側壁部21の内側面21bに形成されている。この係合部22は、側壁部21の内側面21bよりも内側に膨出しており、内側面21bと平行な当接面22bを備えている。この当接面22bは、
図4に示すように、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを組み合わせたときに、第1ルーバー材11の係合面14bと当接する。また、この当接面22bからは、突起22cが突出形成されている。この突起22cは、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを組み合わせたときに、第1ルーバー材11の係合溝15に入り込み、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とが容易に脱落しないように嵌合する。
【0019】
また、この係合部22の前端22a(すなわち側壁部21の前端)は、外側面21aに対して約45度に傾斜した傾斜面となっている。言い換えると、この前端22aは、外側面21aと約45度の鋭角を成すように形成されている。この係合部22の前端22aは、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを組み合わせたときに、突き当て部12bと当接する。
【0020】
取付部23は、躯体50の施工面に直接固定される部位である。特に図示しないが、この取付部23は、ボルトなどで施工面に固定することができる。なお、ここでいう施工面は、実質的に躯体50の表面であればよく、壁面であってもよいし、天井面であってもよい。また、下地材で平坦な施工面を形成してもよい。
次に、上記した第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを組み合わせて建築用ルーバー10を施工する手順について説明する。
まず、取付部23を躯体50の施工面に固定する。これにより、躯体50に第2ルーバー材20が固定され、一対の側壁部21が前方に突出した状態となる。
【0021】
次に、
図3に示すように、前方から第1ルーバー材11を取り付ける。具体的には、第1ルーバー材11の挿入片13を、第2ルーバー材20の側壁部21の間に挿入する。なお、第1ルーバー材11を挿入する過程で突起22cが突条14に当たるが、そのまま第1ルーバー材11を圧入する。これにより、突起22cが案内面14cに案内され、挿入片13および側壁部21が弾性変形することで突起22cが突条14を乗り越える。
【0022】
第1ルーバー材11を奥まで挿入すると、
図4に示すように、突起22cが係合溝15に入り込んで嵌合する。これにより、第1ルーバー材11が第2ルーバー材20から容易に脱落しないようになっている。また、係合面14bと当接面22bとが面で接触しているため、ぐらつきなく安定して両者が結合される。また、挿入片13の先端が取付部23の内側に当接しているため、挿入片13が奥に入り込んでしまうことを防止している。
【0023】
なお、突き当て部12bと側壁部21の前端22aとは、傾斜面で当接している。すなわち、建築用ルーバー10の前端の角部10cは、約45度に形成した先端面を互いに接合した、いわゆる「トメ形状」となっている。このようにしているのは、化粧前面10aと化粧側面10bとを異なる色または模様とするためである。
【0024】
すなわち、
図1に示すように、本実施形態に係る建築用ルーバー10は、化粧前面10aと化粧側面10bとを異なる色または模様としている。具体的には、化粧前面10aと化粧側面10bとに、異なる化粧シート28を貼付している。
【0025】
ここで、本実施形態に係る建築用ルーバー10は、第1ルーバー材11が化粧前面10aを有し、第2ルーバー材20が化粧側面10bを有しているため、化粧前面10aと化粧側面10bとに異なる化粧シート28を貼付することは容易である。そして、角部10cをトメ形状としており、すなわち、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20との境界が角部10cに設定されているため、両者の境界が目立ちにくくなっている。言い換えると、化粧前面10aを前方から見たときに第2ルーバー材20が見えにくく、また、化粧側面10bを側方から見たときに第1ルーバー材11が見えにくくなっている。このように、突き当て部12bと側壁部21の前端22aとを傾斜面で当接させることで、化粧前面10aは第1ルーバー材11のみで構成され、化粧側面10bは第2ルーバー材20のみで構成されるようになっている。また、両者の境界が目立ちにくいので、化粧前面10aと化粧側面10bとを異なる色または模様とした場合の意匠性を高めることができる。
【0026】
なお、角部10cの境界をきれいに仕上げるために、
図5に示すような方法で化粧シート28を貼付してもよい。すなわち、第1ルーバー材11に化粧シート28を貼付するときに、
図5(a)に示すように、前面12aと突き当て部12bとを連続的に覆うように化粧シート28を貼付してもよい。また、第2ルーバー材20に化粧シート28を貼付するときに、
図5(b)に示すように、外側面21aと前端22aとを連続的に覆うように化粧シート28を貼付してもよい。このとき、2つの外側面21aに連続する1枚の化粧シート28を貼り付けてもよいし、外側面21aごとに別の化粧シート28を使用してもよい。このように貼付すれば、角部10cにおいて化粧シート28の境界にムラが出ることなく貼付することができる。
【0027】
なお、上記した実施形態においては、化粧シート28を使用して化粧面の色や模様を変えるようにしているが、これに限らず、陽極酸化皮膜処理や塗装などにより化粧面の色や模様を変えてもよい。
【0028】
また、上記した実施形態においては、化粧前面10aおよび化粧側面10bを平坦な面として形成しているが、これに限らず、任意の形状とすることができる。例えば、化粧前面10aや化粧側面10bを、凹凸面や曲面で形成してもよい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1ルーバー材11の前面12aによって、建築用ルーバー10の化粧前面10aを構成し、第2ルーバー材20の一対の側壁部21(長手方向の外側面21a)によって、建築用ルーバー10の化粧側面10bを構成している。すなわち、化粧前面10aと化粧側面10bとを異なる部材で構成するようにしている。このような構成によれば、第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを組み合わせる前に、化粧前面10aと化粧側面10bとに対して別々に、化粧シート28を貼り付けたり、陽極酸化皮膜処理や塗装を行ったりすることができる。よって、ルーバーの各化粧面を異なる色や模様にしたい場合でも、特別な技術や大きな手間が必要なく、容易かつ短時間で作業することができる。
【0030】
また、このように別々に色や模様を付けた第1ルーバー材11と第2ルーバー材20とを施工時に組み合わせるだけで建築用ルーバー10が完成する(第1ルーバー材11を第2ルーバー材20に対して前方から圧入するだけで両者が嵌合する)ため、組み付け作業も容易である。
【0031】
また、第1ルーバー材11は、第2ルーバー材20の一対の側壁部21の前端22aに当接する突き当て部12bを備え、一対の側壁部21の前端22aと突き当て部12bとが、傾斜面で当接している。このため、角部10cの先端に2つの部材の境界がくるようになっており、境界が目立ちにくい。また、化粧前面10aと化粧側面10bとが完全に別部材になるので、表面仕上げの作業や異なる色で製造することが容易である。また、陽極酸化皮膜処理や塗装をする場合でも、別部材であれば境界に対して養生を施すなどの処理が不要であり、作業コストが抑制される。
【0032】
また、第1ルーバー材11の前面12aと突き当て部12bとを連続的に覆う化粧シート28を使用することもできる。すなわち、第1ルーバー材11の前面12aに貼り付けた化粧シート28の端部を折り返して裏面(突き当て部12b)にまで貼り付けることができる。このような化粧シート28を使用すれば、角部10cの境界を、容易かつムラなく仕上げることができる。
【0033】
また、第2ルーバー材20の側壁部21の外側面21aと前端22aとを連続的に覆う化粧シート28を使用することもできる。すなわち、第2ルーバー材20の側壁部21に貼り付けた化粧シート28の端部を折り返して、前端22aにまで貼り付けることができる。このような化粧シート28を使用すれば、角部10cの境界を、容易かつムラなく仕上げることができる。
【0034】
なお、第1ルーバー材11の前面12aと突き当て部12bとを連続的に覆う化粧シート28と、第2ルーバー材20の側壁部21の外側面21aと前端22aとを連続的に覆う化粧シート28とを使用し、この2枚の化粧シート28の端部が、突き当て部12bと前端22aに挟まれて当接するようにすれば、化粧シート28の境界を隠すことができるので、2枚の化粧シート28で異なる色や模様にした建築用ルーバー10を、更に容易かつムラなく仕上げることができる。
【0035】
また、第2ルーバー材20の一対の側壁部21は、外側面21aで化粧側面10bを構成し、内側面21bに第1ルーバー材11と係合させるための係合部22が形成されている。このような構成によれば、化粧前面10aと化粧側面10bとを異なる部材で構成するようにした場合でも、側壁部21の両面を過不足なく利用することで、少ない部品点数で建築用ルーバー10を製造することができる。
【0036】
また、第2ルーバー材20は、躯体50の施工面に直接固定されている。すなわち、第2ルーバー材20が、躯体50への固定手段としての機能も兼ねている。このような構成によれば、少ない部品点数で建築用ルーバー10を製造することができる。
(変形例)
上記した実施形態においては、第2ルーバー材20が施工面に直接固定されている例について説明したが、これに限らない。
【0037】
例えば、
図6および
図7に示すように、躯体50の施工面に直接固定される受部材40を設け、この受部材40に第2ルーバー材30を固定してもよい。なお、本変形例に係る第1ルーバー材11および第2ルーバー材30の基本的態様は上記した実施形態と同様であるため、以下において、上記した実施形態と大きく相違する部分のみ説明する。
【0038】
まず、この例に示す第2ルーバー材30は、躯体50に固定するための取付部23を備えておらず、代わりに、第1中間壁33、第2中間壁34、係止壁35、係止部36を備えている。
【0039】
第1中間壁33および第2中間壁34は、第2ルーバー材30の内部に形成された壁であり、一対の側壁部31の間に架設されている。このうち、前方に形成された第1中間壁33は、第1ルーバー材11を取り付けたときに、挿入片13の先端が突き当たるように形成されている。これにより、第1ルーバー材11を取り付けたときに、挿入片13が奥に入り込んでしまうことを防止している。
【0040】
係止壁35は、第2ルーバー材30の内側面31bから内方に突出形成されている。この係止壁35は、左右の内側面31bから互いに対向するように突出している。この係止壁35は、第2ルーバー材30を受部材40に取り付けたときに、後述する係合片42の先端が突き当たるように設定されている。
【0041】
係止部36は、側壁部31の一部であって、側壁部31の後端部である。この係止部36は、係止壁35よりも後方に突出している。また、この係止部36の内側には、爪部37が形成されている。この爪部37は、後述する逆止部43に係合させるためのものである。
【0042】
受部材40は、金属製の長尺材であり、例えばアルミニウム製の押出形材である。この受部材40は、断面が略コ字形であり、取付片41と、係合片42と、を備える。
【0043】
係合片42は、前方に突出するように形成されており、左右一対で形成されている。この係合片42は、第2ルーバー材30の一対の側壁部31(係止部36)の内側に固定される部位である。すなわち、この係合片42は、第2ルーバー材30の後方から、一対の側壁部31(係止部36)の間に挿入されて嵌合する。この係合片42の先端付近には、逆止部43が形成されている。この逆止部43は、第2ルーバー材30と係合させるための部位である。この逆止部43は、受部材40と第2ルーバー材30とを組み合わせたときに、爪部37と係合するように形成されている。
取付片41は、躯体50の施工面に直接固定される部位である。特に図示しないが、この取付片41は、ボルトなどで施工面に固定することができる。
次に、上記した建築用ルーバー10を施工する手順について説明する。
まず、受部材40を躯体50の施工面に固定する。すなわち、取付片41を躯体50に固定する。これにより、係合片42が前方に突出した状態となる。
【0044】
次に、前方から第2ルーバー材30を取り付ける。具体的には、受部材40の係合片42を、第2ルーバー材30の側壁部31(係止部36)の間に挿入する。挿入していくと、途中で爪部37と逆止部43とが干渉するが、そのまま第2ルーバー材30を圧入する。これにより、係合片42および側壁部31が弾性変形し、逆止部43が爪部37よりも奥(前方)まで移動する。これにより、爪部37と逆止部43とが互いに係合するとともに係合片42の先端が係止壁35に突き当たることで第2ルーバー材30が受部材40に取り付けられる。
【0045】
最後に、第2ルーバー材30に第1ルーバー材11を取り付ける。この手順は、
図3および
図4を参照しつつすでに説明した通りである。すなわち、
図3および
図4で示した係合部22を、
図6および
図7で示した係合部32に置き換えることで、
図3および
図4において既に説明した手順によって第2ルーバー材30に第1ルーバー材11を取り付けることができる。
【0046】
このように、施工面に直接固定される受部材40を備え、第2ルーバー材30が受部材40に固定されるようにすれば、第2ルーバー材30を変更するだけで様々な突出寸法に対応することができる。すなわち、第2ルーバー材30についてのみ、寸法違いの金型を用意するだけで、様々な種類の建築用ルーバー10を提供することができるので、製造コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 建築用ルーバー
10a 化粧前面
10b 化粧側面
10c 角部
11 第1ルーバー材
12 前片
12a 前面
12b 突き当て部
13 挿入片
13a 外側面
13b 内側面
14 突条
14a 垂直面
14b 係合面
14c 案内面
15 係合溝
16 ビスホール
20 第2ルーバー材
21 側壁部
21a 外側面
21b 内側面
22 係合部
22a 前端
22b 当接面
22c 突起
23 取付部
28 化粧シート
30 第2ルーバー材
31 側壁部
31a 外側面
31b 内側面
32 係合部
33 第1中間壁
34 第2中間壁
35 係止壁
36 係止部
37 爪部
40 受部材
41 取付片
42 係合片
43 逆止部
50 躯体