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特開2024-102797基板処理装置、および、基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102797
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】基板処理装置、および、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
H01L21/304 648F
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150861
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2023006434
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 通矩
(72)【発明者】
【氏名】加門 宏章
(72)【発明者】
【氏名】岩畑 翔太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB44
5F157AB90
5F157BE12
5F157BE43
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB37
5F157DB41
5F157DC84
5F157DC85
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】電解硫酸を用いて均一な基板処理を行う。
【解決手段】基板処理装置は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、基板処理部へ供給する処理液を貯留するための供給タンクと、電気分解によって処理液を生成し、生成された処理液を供給タンクへ供給するための生成部と、基板処理部に供給された処理液である供給後液を回収して、生成部へ供給するための回収部と、供給タンクから供給される処理液を供給タンクへ戻すための循環経路と、循環経路から分岐して基板処理部へ処理液を供給するための第1の分岐経路と、供給後液を昇温させるための昇温部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、
前記基板処理部へ供給する前記処理液を貯留するための供給タンクと、
電気分解によって前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給するための生成部と、
前記基板処理部に供給された前記処理液である供給後液を回収して、前記生成部へ供給するための回収部と、
前記供給タンクから供給される前記処理液を前記供給タンクへ戻すための循環経路と、
前記循環経路から分岐して前記基板処理部へ前記処理液を供給するための第1の分岐経路と、
前記供給後液を昇温させるための昇温部とを備える、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記昇温部が、前記第1の分岐経路に設けられる、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であり、
前記第1の分岐経路から分岐して前記回収部へ前記供給後液を供給するための第2の分岐経路をさらに備え、
前記昇温部が、前記第1の分岐経路における前記第2の分岐経路との分岐点よりも上流に設けられる、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の基板処理装置であり、
前記生成部が、前記供給後液および生成された前記処理液を、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度に調整するための第1の温度調整部を備える、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であり、
前記循環経路において、前記電解温度よりも高い温度である循環温度に前記処理液の温度を調整するための第2の温度調整部をさらに備え、
前記昇温部が、前記循環温度よりも高い温度に前記供給後液を昇温させる、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記循環経路において、電気分解によって前記処理液を生成するための電解セルをさらに備える、
基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記基板処理部が、前記基板を保持するための基板保持部を備え、
前記昇温部が、前記基板保持部に設けられる、
基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記回収部が、前記昇温部によって昇温される前の前記処理液を回収する、
基板処理装置。
【請求項9】
電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理方法であり、
供給タンクに貯留されている前記処理液を、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部へ供給する工程と、
前記基板処理部に供給された前記処理液である供給後液を昇温させる工程と、
前記供給後液を回収して生成部へ供給する工程と、
前記生成部において電気分解によって前記供給後液を含む液から前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給する工程とを備え、
前記処理液を前記基板処理部へ供給する工程が、前記供給タンクから供給される前記処理液を前記供給タンクへ戻すための循環経路と、前記循環経路から分岐して前記基板処理部へ前記処理液を供給するための第1の分岐経路とに前記処理液を供給することによって、前記処理液を前記基板処理部へ供給する工程である、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板処理には硫酸と過酸化水素水との混合溶液(SPM)などが処理液として用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。SPMは、硫酸に過酸化水素水を混合させることによって酸化力を生じさせる処理液であり、主に、基板の上面に形成されたレジストの除去などの基板処理に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-163977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、多量の排液が生じるSPMを処理液として用いる代わりに、電解硫酸を基板処理の処理液として用いることができる。
【0005】
しかしながら、順次生成される電解硫酸をそのまま基板処理に用いる場合、基板処理の中断時には電解硫酸の流れが滞り、電解硫酸の液温または濃度の不均一を招く場合がある。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、電解硫酸を用いて均一な基板処理を行うための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板処理装置は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、前記基板処理部へ供給する前記処理液を貯留するための供給タンクと、電気分解によって前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給するための生成部と、前記基板処理部に供給された前記処理液である供給後液を回収して、前記生成部へ供給するための回収部と、前記供給タンクから供給される前記処理液を前記供給タンクへ戻すための循環経路と、前記循環経路から分岐して前記基板処理部へ前記処理液を供給するための第1の分岐経路と、前記供給後液を昇温させるための昇温部とを備える。
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板処理装置は、第1の態様である基板処理装置に関連し、前記昇温部が、前記第1の分岐経路に設けられる。
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板処理装置は、第2の態様である基板処理装置に関連し、前記第1の分岐経路から分岐して前記回収部へ前記供給後液を供給するための第2の分岐経路をさらに備え、前記昇温部が、前記第1の分岐経路における前記第2の分岐経路との分岐点よりも上流に設けられる。
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板処理装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記生成部が、前記供給後液および生成された前記処理液を、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度に調整するための第1の温度調整部を備える。
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板処理装置は、第4の態様である基板処理装置に関連し、前記循環経路において、前記電解温度よりも高い温度である循環温度に前記処理液の温度を調整するための第2の温度調整部をさらに備え、前記昇温部が、前記循環温度よりも高い温度に前記供給後液を昇温させる。
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板処理装置は、第1から5のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記循環経路において、電気分解によって前記処理液を生成するための電解セルをさらに備える。
本願明細書に開示される技術の第7の態様である基板処理装置は、第1から6のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記基板処理部が、前記基板を保持するための基板保持部を備え、前記昇温部が、前記基板保持部に設けられる。
本願明細書に開示される技術の第8の態様である基板処理装置は、第1から7のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記回収部が、前記昇温部によって昇温される前の前記処理液を回収する。
本願明細書に開示される技術の第9の態様である基板処理方法は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理方法であり、供給タンクに貯留されている前記処理液を、前記処理液を用いて前記基板を処理するための基板処理部へ供給する工程と、前記基板処理部に供給された前記処理液である供給後液を昇温させる工程と、前記供給後液を回収して生成部へ供給する工程と、前記生成部において電気分解によって前記供給後液を含む液から前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給する工程とを備え、前記処理液を前記基板処理部へ供給する工程が、前記供給タンクから供給される前記処理液を前記供給タンクへ戻すための循環経路と、前記循環経路から分岐して前記基板処理部へ前記処理液を供給するための第1の分岐経路とに前記処理液を供給することによって、前記処理液を前記基板処理部へ供給する工程である。
【発明の効果】
【0008】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、9の態様によれば、処理液を循環経路で循環させつつ基板処理の際に分岐経路から基板処理部へ供給することで、処理液を均一な状態で維持しつつ、必要なタイミングで基板処理に用いることができる。そのため、均一な基板処理を行うことができる。
【0009】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。
図2図1に例が示された制御部の構成の例を概念的に示す図である。
図3】実施の形態に関する基板処理装置における、処理ユニットおよび関連する構成の例を概略的に示す図である。
図4】吐出ノズルの内部構造の例を示す断面図である。
図5】吐出ノズルの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図6】吐出ノズルの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図7】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。
図8】吐出ノズルの循環状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図9】吐出ノズルの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図10】吐出ノズルの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるために、それらのすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0012】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされる。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0013】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0014】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0015】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0016】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0017】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0018】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置、および、基板処理方法について説明する。
【0019】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。図1に例が示されるように、基板処理装置1は、複数の処理ユニット600と、供給タンク10と、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bと、電解セル21Aおよび電解セル21Bと、回収タンク30Aおよび回収タンク30Bと、処理液などを排液する排液タンク40と、制御部90とを備える。
【0020】
処理ユニット600は、供給された処理液を用いて基板を処理する。処理ユニット600の詳細な構成については、後述する。なお、処理ユニット600の個数は図1に示される個数に限られるものではない。
【0021】
供給タンク10は、供給配管100を介して生成タンク20Aまたは生成タンク20Bから供給される処理液を貯留する。そして、供給タンク10は、当該処理液を処理ユニット600へ供給する。また、供給タンク10には、純水供給源12から純水(DIW)、過酸化水素水またはオゾン水が供給される。純水供給源12から供給される純水などの流量は、バルブ12Aを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、純水供給源12は備えられていなくてもよい。
【0022】
供給タンク10から処理液を供給するための配管には、供給タンク10に接続され、かつ、供給タンク10を介して処理液を循環させる循環配管102と、循環配管102から分岐して供給タンク10へ処理液を戻す計測配管104と、循環配管102から分岐してそれぞれの処理ユニット600へ処理液を供給する供給配管106と、それぞれの供給配管106の下流側の端部(ヒーター106Cよりも下流)で分岐して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bへ処理液を供給する回収配管108とが含まれる。なお、図1においては、回収配管108は排液配管122に合流するように設けられているが、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bへ直接接続されるものであってもよい。
【0023】
循環配管102の、計測配管104で分岐する位置よりも上流側には、処理液の流量を計測する流量計112と、処理液を流すポンプ114と、処理液を加熱するヒーター116と、処理液の温度を計測する温度計117と、処理液を電気分解する電解セル118とが設けられる。なお、電解セル118は、処理液の自己分解が十分に抑えられている場合には設けられていなくてもよい。また、ヒーターは冷却を含め温度調整可能な機構に置き換えられてもよく、加熱する場合に限られるものではない。以下に示されるヒーターでも同様である。
【0024】
計測配管104には、計測配管104に流れる処理液の濃度を計測するための濃度計120が設けられる。濃度計120によって計測される処理液の濃度が所望の濃度よりも高い場合、制御部90の制御によって、純水供給源12から純水などが供給タンク10へ供給されることで、処理液の濃度を低下させることができる。また、濃度計120によって計測される処理液の濃度が所望の濃度よりも低い場合、制御部90の制御によって、電解セル118で処理液を電気分解し、その際に同時に水を電気分解することで、処理液の濃度を上昇させることができる。
【0025】
循環配管102の、計測配管104で分岐する位置よりも下流側には、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター119と、循環配管102で循環する処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ102Aとが設けられる。
【0026】
供給配管106には、循環配管102から供給配管106に供給された処理液である供給後液(基板処理に使われなかった処理液を含む)を加熱するヒーター106Cと、供給配管106に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ106Aが設けられる。供給配管106には、循環配管102を流れる処理液の一部の流量の供給後液が流れる。なお、図1に示されるヒーター106Cは、処理ユニット600内に設けられているが、ヒーター106Cが、処理ユニット600外部の流体ボックスなどに収容されていてもよい。
【0027】
回収配管108には、回収配管108に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ108Aが設けられる。
【0028】
また、供給配管106から回収配管108が分岐する箇所は、処理ユニット600における吐出ノズル106B内に設けられる。
【0029】
処理ユニット600から処理液を回収するための配管には、それぞれの処理ユニット600に接続され、基板処理に使われた供給後液(処理後液)を排液する排液配管122と、それぞれの排液配管122から合流する処理後液を回収タンク30Aまたは回収タンク30Bへ供給する回収配管124と、回収タンク30Aおよび回収タンク30Bに接続され、生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ処理後液を供給する回収配管126と、生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で処理液を循環させる循環配管128と、生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で処理液を循環させる循環配管130と、生成タンク20Aから供給配管100へ処理液を合流させる供給配管132と、生成タンク20Bから供給配管100へ処理液を合流させる供給配管134とが含まれる。排液配管122には、処理ユニット600からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ122Aが設けられる。回収配管124には、排液(処理後液)の回収タンク30Aへの流量を制御部90の制御で調整するバルブ124Aと、排液(処理後液)の回収タンク30Bへの流量を制御部90の制御で調整するバルブ124Bとが設けられる。
【0030】
回収配管124からの処理後液が複数の回収タンクに選択的に供給されるため、回収タンクから生成タンクへ処理後液が供給されるまでの時間を長くすることができる。ここで、回収タンクは、1つのみが設けられていてもよい。
【0031】
回収配管126には、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに貯留されている処理後液を生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ送液するためのポンプ136と、回収タンク30Aから送液される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ127Aと、回収タンク30Bから送液される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ127Bと、生成タンク20Aへ送液される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ126Aと、生成タンク20Bへ送液される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ126Bとが設けられる。
【0032】
循環配管128には、循環配管128に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ128Aと、循環配管128に流れる処理液の濃度を計測するための濃度計138と、循環配管128に流れる処理液を送液するためのポンプ140と、処理液を加熱するヒーター142と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター144とが設けられる。
【0033】
循環配管130には、循環配管130に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ130Aと、循環配管130に流れる処理液の濃度を計測するための濃度計146と、循環配管130に流れる処理液を送液するためのポンプ148と、処理液を加熱するヒーター150と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター152とが設けられる。
【0034】
供給配管132には、供給配管132に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ132Aが設けられる。
【0035】
供給配管134には、供給配管134に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ134Aが設けられる。
【0036】
供給配管100には、供給配管100に流れる処理液を送液するためのポンプ154と、処理液を加熱するヒーター156と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター158と、供給配管100に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ100Aとが設けられる。
【0037】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、純水供給源14から純水(DIW)、過酸化水素水またはオゾン水が供給される。純水供給源14から生成タンク20Aに供給される純水などの流量は、バルブ14Aを制御部90で制御することによって調整可能である。また、純水供給源14から生成タンク20Bに供給される純水などの流量は、バルブ14Bを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、純水供給源14は備えられていなくてもよい。
【0038】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、硫酸供給源16から硫酸(HSO)が供給される。硫酸供給源16から生成タンク20Aに供給される硫酸の流量は、バルブ16Aを制御部90で制御することによって調整可能である。また、硫酸供給源16から生成タンク20Bに供給される硫酸の流量は、バルブ16Bを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、硫酸供給源16は備えられていなくてもよい。
【0039】
処理液および処理後液を排液するための配管には、それぞれの処理ユニット600から排液タンク40へ処理後液を排液するための排液配管160と、供給タンク10から排液タンク40へ処理液を排液するための排液配管162と、生成タンク20A、生成タンク20B、回収タンク30Aおよび回収タンク30Bから排液タンク40へ処理液または処理後液を排液するための排液配管164とが含まれる。排液配管160には、処理ユニット600からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ160Aが設けられる。排液配管162には、供給タンク10からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ162Aが設けられる。排液配管164には、生成タンク20Aからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Aと、生成タンク20Bからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Bと、回収タンク30Aからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Cと、回収タンク30Bからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Dとが設けられる。
【0040】
図2は、図1に例が示された制御部90の構成の例を概念的に示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0041】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0042】
記憶装置94には、図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0043】
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置における、処理ユニット600および関連する構成の例を概略的に示す図である。なお、図3では、図1におけるある1つの供給配管106の下流に配置される処理ユニット600の構成の例が示されているが、他の供給配管106の下流に配置される処理ユニット600の構成も、図3に例が示される場合と同様である。
【0044】
図3に例が示されるように、処理ユニット600は、内部空間を有する箱形のチャンバ80と、チャンバ80内で1枚の基板Wを水平姿勢で保持しつつ基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック251と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック251を取り囲む筒状の処理カップ511とを備える。
【0045】
チャンバ80は、箱状の壁250Aによって囲まれている。壁250Aには、チャンバ80内に基板Wを搬出入するための開口部250Bが形成されている。
【0046】
開口部250Bは、シャッタ250Cによって開閉される。シャッタ250Cは、シャッタ昇降機構(ここでは、図示しない)によって、開口部250Bを覆う閉位置(図3において二点鎖線で示される)と、開口部250Bを開放する開位置(図3において実線で示される)との間で昇降させられる。
【0047】
図3に例が示されるように、スピンチャック251は、水平姿勢の基板Wに対向して設けられる円板状のスピンベース251Aと、スピンベース251Aの上面外周部から上方に突出し、かつ、基板Wの周縁部を挟持する複数のチャックピン251Bと、スピンベース251Aの中央部から下方に延びる回転軸251Cと、回転軸251Cを回転させることによって、スピンベース251Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ251Dとを備える。
【0048】
なお、スピンチャック251は、図3に例が示された挟持式のチャックである場合に限られず、たとえば、基板Wの下面を真空吸着するスピンベースを備える、真空吸着式のチャックであってもよい。
【0049】
処理ユニット600には、他の用途の液を吐出するためのノズル(たとえば、他の薬液を吐出するノズル、または、リンス液を吐出するノズルなど)が接続されていてもよい。
【0050】
また、図3に例が示されるように、処理ユニット600に接続されている供給配管106の先端には、処理液を吐出する吐出ノズル106Bが接続されている。吐出ノズル106Bは、チャンバ80の内側の所定部位(たとえば、スピンベース251A)に向けて処理液を吐出する。
【0051】
処理カップ511は、スピンチャック251の周囲を取り囲むように設けられており、図示しない昇降機構(モータまたはシリンダーなど)によって、鉛直方向に昇降する。処理カップ511の上部は、その上端がスピンベース251Aに保持された基板Wよりも上側となる上位置と、当該基板Wよりも下側になる下位置との間で昇降する。
【0052】
基板Wの上面から外側に飛散した処理液は、処理カップ511の内側面に受け止められる。そして、処理カップ511に受け止められた処理液は、チャンバ80の底部で、かつ、処理カップ511の内側に設けられた排液配管122、排液配管160を介して、チャンバ80の外部に適宜排液される。また、図示しないカップ排気機構によって処理カップ511内の雰囲気が排気される。
【0053】
また、チャンバ80の側部には、排気口515が設けられている。排気口515を通じて、チャンバ80内の雰囲気がチャンバ80外に適宜排出される。
【0054】
図4は、吐出ノズル106Bの内部構造の例を示す断面図である。
【0055】
吐出ノズル106Bは、処理液を導く流路35が形成された本体36と、流路35を開閉する弁体37と、弁体37を軸方向X1に進退させて流路35を開閉させる空圧アクチュエータ38と、吐出口31とを備える。
【0056】
本体36は、空圧アクチュエータ38を構成するシリンダ39と、弁体37を進退させる弁室40Aと、供給配管106とジョイント48を介して連通して弁室40Aに至る流路35aと、流路35aの弁室40Aよりも上流の位置で流路35aに接続された、回収配管108とジョイント48を介して連通する流路35bと、弁室40Aから吐出口31に至る流路35cとを備える。
【0057】
シリンダ39と弁室40Aとは、軸方向X1に並んでいる。シリンダ39と弁室40Aとの間は、隔壁41によって隔てられている。流路35aおよび流路35cは、供給タンク10から供給される処理液を、吐出口31に向けて案内する供給配管106の一部に該当する。また、流路35bは、処理液を回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに供給する回収配管108の一部に該当する。
【0058】
空圧アクチュエータ38は、シリンダ39、ピストン42、バネ43およびロッド44を備える。シリンダ39は、ピストン42によって、隔壁41側の前室と、当該ピストン42を挟んで軸方向X1の反対側の後室とに隔てられている。本体36には、シリンダ39の前室および後室にそれぞれ別個に空気圧を伝達するチューブを接続するためのジョイント47が、それぞれ接続されている。ピストン42は、チューブおよびジョイント47を介して、シリンダ39の前室または後室のいずれ一方に空気圧を伝達することによって、シリンダ39内を、軸方向X1に沿って進退される。
【0059】
バネ43は、シリンダ39の後室側において、ピストン42と本体36との間に介挿されて、ピストン42を、隔壁41の方向に押圧している。
【0060】
ロッド44は、基部がピストン42に連結され、先端部が、隔壁41を貫通して弁室40Aに突出されている。弁室40Aに突出されたロッド44の先端部には、弁体37が連結されている。弁体37は円板状に形成され、ロッド44の先端部に、径方向を軸方向X1と直交させて連結されている。弁体37は、シリンダ39内で、ピストン42が軸方向X1に沿って進退されると、ロッド44を介して、弁室40A内で、軸方向X1に沿って進退される。
【0061】
弁室40Aは、隔壁41と対向し、軸方向X1と直交する円環状の弁座面46を含み、弁座面46の中心位置に、流路35aが同心状に開口されている。流路35cは、弁室40Aの、弁体37の進退方向(軸方向X1)の側方に開口されている。
【0062】
本体36は、先端に吐出口31が形成され、ノズルヘッド26の下面から下方へ突出される筒部49を含む。
【0063】
シリンダ39の前室および後室のいずれにも空気圧を作用させず、空圧アクチュエータ38を作動させない状態では、ピストン42が、バネ43によって、シリンダ39内で前進位置、つまり、図4に例が示されるように、隔壁41側に近接した位置に押圧され、それによって弁室40A内で、弁体37が弁座面46に接触されて、流路35aの開口が閉鎖される。
【0064】
そのため、流路35aと流路35cとの間が閉じられて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液は、流路35bと回収配管108とを通して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される(回収状態)。
【0065】
この回収状態において、シリンダ39の前室に空気圧を伝達して、ピストン42を、バネ43の押圧力に抗して、シリンダ39の後室方向に後退させると、弁室40A内で、弁体37が弁座面46から離れて、流路35aの開口が弁室40Aに解放される。そのため、流路35aと流路35cとが、弁室40Aを介して繋がれて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液が、流路35cを通して、吐出口31から吐出される(吐出状態)。
【0066】
この吐出状態において、シリンダ39の前室への空気圧の伝達を停止し、代わって、シリンダ39の後室に空気圧を伝達して、ピストン42を、バネ43の押圧力とともに、シリンダ39の前室方向、すなわち、隔壁41に近接する方向に前進させると、弁室40A内で、弁体37が弁座面46に接触されて、流路35aの開口が閉鎖される。そのため、流路35aと流路35cとの間が閉じられて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液が、流路35bと回収配管108とを通して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される回収状態に復帰する。
【0067】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置の動作について説明する。本実施の形態に関する基板処理装置による基板処理方法は、処理ユニット600へ搬送された基板Wに対し処理液を吐出して基板処理を行う工程と、基板処理が行われた基板Wを洗浄する工程と、洗浄された基板Wを回転させて乾燥させる工程と、乾燥された基板Wを処理ユニット600から搬出する工程とを備える。
【0068】
以下では、上記の基板処理装置の動作に含まれる基板処理について、図5および図6を参照しつつ説明する。ここで、図5は、吐出ノズル106Bの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。また、図6は、吐出ノズル106Bの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。図5および図6においては、開状態であるバルブが黒色で示されている。なお、以下に示される動作は、制御部90によって基板処理装置1におけるそれぞれの構成(ポンプ、ヒーター、バルブ、または、スピンモータなど)の動作が制御されることによって行われる。
【0069】
まず、循環配管128を介して生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。ここで、電解硫酸とは、硫酸を電気分解することで生成される過硫酸(ペルオキソ二硫酸。すなわち、H)を指す。過硫酸は、同温度でのカロ酸(HSO)よりも強い酸化力を有する。
【0070】
生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ16Aの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Aの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、後述のように、生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ126Aの制御で回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液が供給される。
【0071】
生成タンク20Aに貯留されている処理液は、バルブ128Aが開状態で、循環配管128におけるヒーター142でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター144で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ140で電解セル21Aへ送液される。処理液を60℃以下(電解温度)に温度調整することで、硫酸を電気分解した場合の電解硫酸の生成率が増加する。また、処理液を60℃以下に温度調整することで、電解硫酸がカロ酸(HSO)とOHラジカルとに自己分解することが抑制される。
【0072】
そして、電解セル21Aで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。ここで、硫酸が電気分解される際、処理液中の水分子も電気分解されるため、電気分解するほどに処理液の濃度は上昇する。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計138で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Aに送液する処理液の流量を制御する(すなわち、バルブ128Aの開閉を制御することで、計測された濃度が低い場合には処理液の流量を増加させ、計測された濃度が高い場合には処理液の流量を低下させる)。なお、電解硫酸の濃度を低くすると、過硫酸の生成効率が上昇する。
【0073】
上記の生成タンク20Aは生成タンク20Bと冗長構成となっている。よって、生成タンク20Aの場合と同様に、循環配管130を介して生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0074】
生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ16Bの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Bの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、後述のように、生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ126Bの制御で回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液が供給される。
【0075】
生成タンク20Bに貯留されている処理液は、バルブ130Aが開状態で、循環配管130におけるヒーター150で電解温度(たとえば60℃以下)に温度調整され、フィルター152で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ148で電解セル21Bへ送液される。
【0076】
そして、電解セル21Bで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計146で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Bに送液する処理液の流量をバルブ130Aの開閉を制御することで調整する。
【0077】
生成タンク20Aと生成タンク20Bとは、切り替え可能に供給タンク10へ処理液を供給可能である。たとえば、図5に例が示されるように、バルブ128Aを開いて循環配管128で処理液を循環させつつ、バルブ132Aを開いて生成タンク20Aから供給タンク10へ処理液を供給し、その間に、バルブ130Aおよびバルブ134Aを閉じて、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液を生成タンク20Bに貯めておくこともできる。または、生成タンク20Aに貯留されている電解硫酸の濃度が所望の濃度に達していない場合、バルブ128Aを開きつつバルブ132Aを閉じて循環配管128で処理液の循環を継続して硫酸の電気分解によって処理液の濃度を上昇させながら、バルブ130Aおよびバルブ134Aを開いて、循環配管130で循環する所望の濃度に達している処理液を生成タンク20Bから供給タンク10へ供給することができる。すなわち、一方の生成タンク(電解セル)において処理液を生成中であっても、他方の生成タンクから連続的に処理液を供給することができる。
【0078】
いずれかの(または双方の)生成タンクから供給される処理液は、供給配管100におけるヒーター156でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター158で適宜パーティクルなどが除去されて、開状態のバルブ100Aを介してポンプ154で供給タンク10へ送液される。
【0079】
回収タンク30Aと回収タンク30Bとは、切り替え可能に生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ供給後液を供給可能である。たとえば、図5に例が示されるように、バルブ124Aを閉じて回収タンク30Aに供給される供給後液を止めつつ、バルブ127Aを開いて供給後液を回収タンク30Aから生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ供給し、その間に、バルブ124Bを開きかつバルブ127Bを閉じて、回収タンク30Bに供給後液を貯めておくこともできる。
【0080】
供給タンク10には、供給配管100を介して生成タンクから供給された処理液が貯留される。また、供給タンク10には、純水供給源12から純水(DIW)などが適宜供給され、処理液の濃度が調整される。
【0081】
供給タンク10から循環配管102を介して送液される処理液は、循環配管102における温度計117で計測される温度がたとえば60℃以下になるようにヒーター116で温度調整され、フィルター119で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ114で再び供給タンク10に戻るように送液される。制御部90は、処理レシピを参照して処理ユニット600で行われる基板処理を把握し、流量計112で計測される処理液の流量が当該基板処理に十分な流量となるように、循環配管102で循環する処理液の流量をバルブ102Aの開閉などによって調整する。
【0082】
ここで、ヒーター116は、電解硫酸を生成するために適する温度である電解温度(60℃以下)よりも高い温度(循環温度とする)まで、処理液を昇温してもよい。そのようにすることで、さらに下流のヒーター106Cで処理液を基板処理のための温度(処理温度)まで上昇させる際の温度幅を小さくすることができるため、ヒーター106Cに高い昇温性能は不要となる。よって、ヒーター106Cの設定自由度が向上する。なお、循環温度は、電解硫酸の自己分解の速度が十分に遅いと想定される80℃などである。
【0083】
循環配管102から分岐する計測配管104には、流量を制御部90の制御で調整するバルブ104Aと、濃度計120とが設けられる。制御部90は、濃度計120で計測される処理液の濃度を参照し、バルブ12Aを開いて純水供給源12から純水などが供給タンク10へ供給する、または、電解セル118で処理液を電気分解して処理液の濃度を上昇させるなどの制御を行う。
【0084】
循環配管102の下流側では、それぞれの処理ユニット600に分岐する供給配管106が設けられる。そして、制御部90の制御によって対応するバルブ106Aを開くことによって、循環配管102で処理液を循環させつつ、処理ユニット600へ適宜処理液を供給することができる。
【0085】
吐出ノズル106Bの回収状態(図4の弁体37が弁座面46に接触している状態)では、バルブ106Aおよびバルブ108Aが開かれ、循環配管102から供給配管106、さらには回収配管108に供給された処理液が排液配管122に合流して、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される。このように、処理液が供給配管106における吐出ノズル106B内まで流れて回収されることによって、処理液を吐出して基板処理を行う際に、配管と処理液との温度差に起因する処理液の温度変化を抑制することができる。なお、回収状態において回収配管108を介して供給される処理液は、配管の温度維持のための最低限の流量に抑えられることが望ましい。
【0086】
吐出ノズル106Bの吐出状態(図4の弁体37が弁座面46から離れている状態)では、バルブ106Aが開かれる一方でバルブ108Aが閉じられ、吐出ノズル106Bの吐出口31から処理液が基板Wの上面に向けて吐出される。そして、基板処理が行われる。
【0087】
基板Wに吐出され、基板処理に使われた処理液は処理後液として、開状態のバルブ122Aを介して排液配管122へ流れ込む。処理後液は、硫酸イオン(SO 2-)を含む。そして処理後液は、回収配管124に合流して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される。
【0088】
電解硫酸は、回収して再度電気分解することによって再び基板処理に用いることができる。そのため、電解硫酸を含む処理液を用いて基板処理を行うことによって、基板処理に伴う排液を減少させることができる。
【0089】
回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに貯留されている処理後液は、回収配管126を介して、バルブ126Aを開くことで生成タンク20Aへ、バルブ126Bを開くことで生成タンク20Bへ、ポンプ136によって選択的に(すなわち、一方または双方へ)送液可能である。
【0090】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する基板処理装置、および、基板処理方法について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0091】
<基板処理装置の構成について>
図7は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。図7に例が示されるように、基板処理装置1Aは、複数の処理ユニット600Aと、供給タンク10と、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bと、電解セル21Aおよび電解セル21Bと、回収タンク30Aおよび回収タンク30Bと、処理液などを排液する排液タンク40と、制御部90とを備える。
【0092】
処理ユニット600Aは、供給された処理液を用いて基板を処理する。供給タンク10は、供給配管100を介して生成タンク20Aまたは生成タンク20Bから供給される処理液を貯留する。そして、供給タンク10は、当該処理液を処理ユニット600Aへ供給する。
【0093】
供給タンク10から処理液を供給するための配管には、循環配管102と、計測配管104と、供給配管106と、それぞれの供給配管106の下流側の端部で分岐して供給タンク10側へ処理液を戻す循環配管109と、循環配管109から分岐して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bへ処理液を供給する回収配管110とが含まれる。なお、回収配管110は備えられなくてもよい。
【0094】
循環配管102の、計測配管104で分岐する位置よりも上流側には、流量計112と、ポンプ114と、ヒーター116と、温度計117と、処理液を冷却する熱交換器116Aと、処理液の温度を計測する温度計117Aと、電解セル118とが設けられる。
【0095】
計測配管104には、濃度計120が設けられる。濃度計120によって計測される処理液の濃度が所望の濃度よりも高い場合、制御部90の制御によって、純水供給源12から純水などが供給タンク10へ供給されることで、処理液の濃度を低下させることができる。また、濃度計120によって計測される処理液の濃度が所望の濃度よりも低い場合、制御部90の制御によって、電解セル118で処理液を電気分解し、その際に同時に水を電気分解することで、処理液の濃度を上昇させることができる。
【0096】
循環配管102の、計測配管104で分岐する位置よりも下流側には、フィルター119と、バルブ102Aとが設けられる。
【0097】
供給配管106には、供給配管106に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ106Aが設けられる。供給配管106には、循環配管102を流れる処理液の一部の流量の供給後液が流れる。
【0098】
処理ユニット600Aは、チャンバ80と、スピンチャック251と、スピンチャック251の基板Wと対向する面に設けられるヒーター252と、処理カップ511とを備える。ヒーター252は、制御部90の制御で基板Wを所定の温度に加熱することで、間接的に基板Wの上面における処理液を加熱することができる。
【0099】
循環配管109には、循環配管109に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ109Aが設けられる。バルブ109Aは、回収配管110が分岐する箇所よりも下流に設けられる。また、供給配管106から循環配管109が分岐する箇所は、処理ユニット600Aにおける吐出ノズル106B内に設けられる。
【0100】
回収配管110には、回収配管110に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ110Aが設けられる。
【0101】
処理ユニット600Aから処理液を回収するための配管には、排液配管122と、回収配管124と、回収配管126と、循環配管128と、循環配管130と、供給配管132と、供給配管134とが含まれる。排液配管122には、バルブ122Aが設けられる。回収配管124には、バルブ124Aと、バルブ124Bとが設けられる。
【0102】
回収配管126には、ポンプ136と、バルブ127Aと、バルブ127Bと、バルブ126Aと、バルブ126Bとが設けられる。
【0103】
循環配管128には、バルブ128Aと、ポンプ140と、ヒーター142と、処理液の温度を計測する温度計143と、処理液を冷却する熱交換器142Aと、処理液の温度を計測する温度計143Aと、フィルター144と、濃度計138とが設けられる。
【0104】
循環配管130には、バルブ130Aと、ポンプ148と、ヒーター150と、処理液の温度を計測する温度計151と、処理液を冷却する熱交換器150Aと、処理液の温度を計測する温度計151Aと、フィルター152と、濃度計146とが設けられる。
【0105】
供給配管132には、バルブ132Aが設けられる。供給配管134には、バルブ134Aが設けられる。
【0106】
供給配管100には、ポンプ154と、ヒーター156と、フィルター158と、バルブ100Aとが設けられる。
【0107】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、純水供給源14から純水(DIW)、過酸化水素水またはオゾン水が供給される。
【0108】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、硫酸供給源16から硫酸(HSO)が供給される。
【0109】
処理液および処理後液を排液するための配管には、排液配管160と、排液配管162と、排液配管164とが含まれる。排液配管160には、バルブ160Aが設けられる。排液配管162には、バルブ162Aが設けられる。排液配管164には、バルブ164Aと、バルブ164Bと、バルブ164Cと、バルブ164Dとが設けられる。
【0110】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置の動作について説明する。本実施の形態に関する基板処理装置による基板処理方法は、処理ユニット600Aへ搬送された基板Wに対し処理液を吐出して基板処理を行う工程と、基板処理が行われた基板Wを洗浄する工程と、洗浄された基板Wを回転させて乾燥させる工程と、乾燥された基板Wを処理ユニット600Aから搬出する工程とを備える。
【0111】
以下では、上記の基板処理装置の動作に含まれる基板処理について、図8図9および図10を参照しつつ説明する。ここで、図8は、吐出ノズル106Bの循環状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。また、図9は、吐出ノズル106Bの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。また、図10は、吐出ノズル106Bの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。図8図9および図10においては、開状態であるバルブが黒色で示されている。なお、以下に示される動作は、制御部90によって基板処理装置1Aにおけるそれぞれの構成(ポンプ、ヒーター、バルブ、または、スピンモータなど)の動作が制御されることによって行われる。
【0112】
まず、循環配管128を介して生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0113】
生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ16Aの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Aの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ126Aの制御で回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液が供給される。
【0114】
生成タンク20Aに貯留されている処理液は、バルブ128Aが開状態で、循環配管128におけるヒーター142および熱交換器142Aでたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター144で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ140で電解セル21Aへ送液される。電解セル21Aにおける電解処理(電気分解)の際に熱が生じ得るため、処理液を60℃以下に温度調整するためには熱交換器142Aが備えられることが望ましい。処理液を60℃以下(電解温度)に温度調整することで、硫酸を電気分解した場合の電解硫酸の生成率が増加する。また、処理液を60℃以下に温度調整することで、電解硫酸がカロ酸(HSO)とOHラジカルとに自己分解することが抑制される。
【0115】
そして、電解セル21Aで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。ここで、硫酸が電気分解される際、処理液中の水分子も電気分解されるため、電気分解するほどに処理液の濃度は上昇する。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計138で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Aに送液する処理液の流量を制御する。
【0116】
上記の生成タンク20Aは生成タンク20Bと冗長構成となっている。よって、生成タンク20Aの場合と同様に、循環配管130を介して生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0117】
生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ16Bの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Bの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ126Bの制御で回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液が供給される。
【0118】
生成タンク20Bに貯留されている処理液は、バルブ130Aが開状態で、循環配管130におけるヒーター150および熱交換器150Aで電解温度(たとえば60℃以下)に温度調整され、フィルター152で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ148で電解セル21Bへ送液される。電解セル21Bにおける電解処理(電気分解)の際に熱が生じ得るため、処理液を60℃以下に温度調整するためには熱交換器150Aが備えられることが望ましい。
【0119】
そして、電解セル21Bで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計146で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Bに送液する処理液の流量をバルブ130Aの開閉を制御することで調整する。
【0120】
生成タンク20Aと生成タンク20Bとは、切り替え可能に供給タンク10へ処理液を供給可能である。たとえば、図8に例が示されるように、バルブ128Aを開いて循環配管128で処理液を循環させつつ、バルブ132Aを開いて生成タンク20Aから供給タンク10へ処理液を供給し、その間に、バルブ130Aおよびバルブ134Aを閉じて、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bから処理後液を生成タンク20Bに貯めておくこともできる。または、生成タンク20Aに貯留されている電解硫酸の濃度が所望の濃度に達していない場合、バルブ128Aを開きつつバルブ132Aを閉じて循環配管128で処理液の循環を継続して硫酸の電気分解によって処理液の濃度を上昇させながら、バルブ130Aおよびバルブ134Aを開いて、循環配管130で循環する所望の濃度に達している処理液を生成タンク20Bから供給タンク10へ供給することができる。すなわち、一方の生成タンク(電解セル)において処理液を生成中であっても、他方の生成タンクから連続的に処理液を供給することができる。
【0121】
いずれかの(または双方の)生成タンクから供給される処理液は、供給配管100におけるヒーター156でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター158で適宜パーティクルなどが除去されて、開状態のバルブ100Aを介してポンプ154で供給タンク10へ送液される。
【0122】
回収タンク30Aと回収タンク30Bとは、切り替え可能に生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ供給後液を供給可能である。たとえば、図8に例が示されるように、バルブ124Aを閉じて回収タンク30Aに供給される供給後液を止めつつ、バルブ127Aを開いて供給後液を回収タンク30Aから生成タンク20Aまたは生成タンク20Bへ供給し、その間に、バルブ124Bを開きかつバルブ127Bを閉じて、回収タンク30Bに供給後液を貯めておくこともできる。
【0123】
供給タンク10には、供給配管100を介して生成タンクから供給された処理液が貯留される。また、供給タンク10には、純水供給源12から純水(DIW)などが適宜供給され、処理液の濃度が調整される。
【0124】
供給タンク10から循環配管102を介して送液される処理液は、循環配管102における温度計117で計測される温度がたとえば60℃以下になるようにヒーター116および熱交換器116Aで温度調整され、フィルター119で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ114で再び供給タンク10に戻るように送液される。電解セル118における電解処理(電気分解)の際に熱が生じ得るため、処理液を60℃以下に温度調整するためには熱交換器116Aが備えられることが望ましい。制御部90は、処理レシピを参照して処理ユニット600Aで行われる基板処理を把握し、流量計112で計測される処理液の流量が当該基板処理に十分な流量となるように、循環配管102で循環する処理液の流量をバルブ102Aの開閉などによって調整する。
【0125】
ここで、ヒーター116は、電解硫酸を生成するために適する温度である電解温度(60℃以下)よりも高い温度(循環温度とする)まで、処理液を昇温してもよい。そのようにすることで、処理ユニット600Aにおいて基板Wを加熱するヒーター252で処理液の温度を基板処理のための温度(処理温度)まで間接的に上昇させる際の温度幅を小さくすることができるため、ヒーター252に高い昇温性能は不要となる。よって、ヒーター252の設定自由度が向上する。なお、循環温度は、電解硫酸の自己分解の速度が十分に遅いと想定される80℃などである。
【0126】
循環配管102から分岐する計測配管104には、バルブ104Aと、濃度計120とが設けられる。制御部90は、濃度計120で計測される処理液の濃度を参照し、バルブ12Aを開いて純水供給源12から純水などが供給タンク10へ供給する、または、電解セル118で処理液を電気分解して処理液の濃度を上昇させるなどの制御を行う。
【0127】
循環配管102の下流側では、それぞれの処理ユニット600Aに分岐する供給配管106が設けられる。そして、制御部90の制御によって対応するバルブ106Aを開くことによって、循環配管102で処理液を循環させつつ、処理ユニット600Aへ適宜処理液を供給することができる。
【0128】
吐出ノズル106Bの循環状態では、バルブ106Aおよびバルブ109Aが開かれ、バルブ110Aが閉じられ、循環配管102から供給配管106、さらには循環配管109に供給された処理液が循環配管102に戻る。このように、処理液が供給配管106における吐出ノズル106B内まで流れて循環することによって、処理液を吐出して基板処理を行う際に、配管と処理液との温度差に起因する処理液の温度変化を抑制することができる。なお、循環状態では、回収配管110が設けらなくてもよい。
【0129】
吐出ノズル106Bの回収状態では、バルブ106Aおよびバルブ110Aが開かれ、バルブ109Aが閉じられ、循環配管102から供給配管106、さらには回収配管110に供給された処理液が排液配管122に合流して、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される。このように、比較的低温(60℃以下)に維持された処理液が回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収されることによって、当該処理液が、後述の吐出状態で、基板処理によって高温となって回収された処理後液に混合して、回収タンク30Aまたは回収タンク30B内の処理液を冷却することができる。
【0130】
吐出ノズル106Bの吐出状態では、バルブ106Aが開かれる一方でバルブ109Aおよびバルブ110Aが閉じられ、吐出ノズル106Bの吐出口31から処理液が基板Wの上面に向けて吐出される。そして、基板処理が行われる。
【0131】
この際、基板Wは、ヒーター252によってあらかじめ加熱されている。そのため、基板Wの上面に吐出された処理液(電解硫酸)も加熱され、基板処理のための温度(処理温度)まで温度が上昇する。
【0132】
基板Wに吐出され、加熱された状態で基板処理に使われた処理液は処理後液として、開状態のバルブ122Aを介して排液配管122へ流れ込む。処理後液は、硫酸イオン(SO 2-)を含む。そして処理後液は、回収配管124に合流して回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収される。なお、上記のとおり、この際に吐出ノズル106Bを回収状態とすることで、比較的低温(60℃以下)に維持された処理液も回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに回収し、高温となって回収された処理後液に混合して、回収タンク30Aまたは回収タンク30B内の処理液を冷却することができる。
【0133】
電解硫酸は、回収して再度電気分解することによって再び基板処理に用いることができる。そのため、電解硫酸を含む処理液を用いて基板処理を行うことによって、基板処理に伴う排液を減少させることができる。
【0134】
回収タンク30Aまたは回収タンク30Bに貯留されている処理後液は、回収配管126を介して、バルブ126Aを開くことで生成タンク20Aへ、バルブ126Bを開くことで生成タンク20Bへ、ポンプ136によって選択的に(すなわち、一方または双方へ)送液可能である。
【0135】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0136】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板処理部と、供給タンク10と、生成部と、回収部と、循環経路と、第1の分岐経路とを備える。ここで、基板処理部は、たとえば、吐出ノズル106Bを含む処理ユニット600(または処理ユニット600A)などに対応するものである。また、生成部は、たとえば、電解セルと接続される生成タンク20A(または生成タンク20B)に対応するものである。また、回収部は、たとえば、回収タンク30Aまたは回収タンク30Bへ接続される回収配管124などに対応するものである。また、循環経路は、たとえば、循環配管102などに対応するものである。また、第1の分岐経路は、たとえば、供給配管106などに対応するものである。基板処理部は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板Wを処理する。供給タンク10は、基板処理部へ供給する処理液を貯留する。生成部は、電気分解によって処理液を生成する。そして、生成部は、生成された処理液を供給タンク10へ供給する。回収配管124は、基板処理部に供給された処理液である供給後液を回収して、生成部へ供給する。循環配管102は、供給タンク10から供給される処理液を供給タンク10へ戻す。供給配管106は、循環配管102から分岐して基板処理部へ処理液を供給する。
【0137】
このような構成によれば、生成された電解硫酸を含む処理液を供給タンク10に貯留し、さらに、処理液を循環経路で循環させつつ基板処理の際に分岐経路から基板処理部へ供給することで、処理液を均一な状態で維持しつつ、必要なタイミングで基板処理に用いることができる。そのため、均一な基板処理を行うことができる。
【0138】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0139】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、供給配管106に設けられる、供給後液を昇温させるための昇温部を備える。ここで、昇温部は、たとえば、ヒーター106Cまたはヒーター252などに対応するものである。このような構成によれば、ヒーター106Cが循環配管102から分岐する供給配管106に設けられるため、循環配管102を循環する処理液を比較的低温(60℃以下)に維持しつつ、処理ユニット600で基板処理に用いるために供給配管106に供給された処理液のみを、基板処理の直前に処理温度まで昇温させることができる。よって、高温で維持される処理液の流量が少なくなるため、ヒーターなどの消費電力を抑制することができる。また、昇温にともなう電解硫酸の自己分解を抑制して、電解硫酸の酸化力の低下を抑制することができる。
【0140】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、供給配管106から分岐して回収配管124へ供給後液を供給するための第2の分岐経路を備える。ここで、第2の分岐経路は、たとえば、回収配管108などに対応するものである。そして、ヒーター106Cが、供給配管106における回収配管108との分岐点(たとえば、図4における弁室40A)よりも上流に設けられる。このような構成によれば、処理液が供給配管106における吐出ノズル106B内まで流れて回収されることによって、処理液を吐出して基板処理を行う際に、配管と処理液との温度差に起因する処理液の温度変化を抑制することができる。また、昇温された状態の処理液を循環配管102に戻さないことで、循環配管102における処理液の温度上昇を防ぎ、その自己分解を抑制することができる。
【0141】
また、以上に記載された実施の形態によれば、生成部が、供給後液および生成された処理液を、電気分解によって処理液を生成するための温度である電解温度に調整するための第1の温度調整部を備える。ここで、第1の温度調整部は、たとえば、ヒーター142、熱交換器142A、ヒーター150または熱交換器150Aなどに対応するものである。このような構成によれば、電解温度に維持しつつ供給後液または処理液を電解セルに供給することができるため、電解硫酸の生成効率を高めることができる。また、電解硫酸の自己分解も抑制することができる。
【0142】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、循環配管102において、電解温度よりも高い温度である循環温度に処理液の温度を調整するための第2の温度調整部を備える。ここで、第2の温度調整部は、たとえば、ヒーター116または熱交換器116Aなどに対応するものである。そして、ヒーター106Cまたはヒーター252が、循環温度よりも高い温度に供給後液を昇温させる。このような構成によれば、ヒーター106Cまたはヒーター252で供給後液を昇温させる前にヒーター116で処理液の温度をあらかじめ循環温度まで上げておくことによって、昇温部での処理液の上昇温度を抑えることができる。そのため、昇温部における昇温性能が十分でない場合であっても、適切に供給後液の温度を基板処理に用いられる際の温度(処理温度)まで昇温させることができる。
【0143】
また、以上に記載された実施の形態によれば、処理ユニット600Aが、基板Wを保持するための基板保持部を備える。ここで、基板保持部は、たとえば、スピンチャック251などに対応するものである。そして、ヒーター252が、スピンチャック251に設けられる。このような構成によれば、基板Wの加熱に伴って基板Wの上面における処理液も加熱することができるため、処理液を昇温させるための工程を別途備える必要がない。また、基板処理の直前に処理液を昇温させることができるため、電解硫酸を低温に維持することができる時間が長くなり、電解硫酸の失活を抑制することができる。また、供給配管106から循環配管109が分岐する箇所よりも下流で処理液が昇温されるため、循環配管109へ流れる処理液を低温に維持することができる。
【0144】
また、以上に記載された実施の形態によれば、回収配管124が、ヒーター252によって昇温される前の処理液を回収する。このような構成によれば、昇温されなかった処理液を回収することによって、回収された処理後液に混合させて効果的に冷却することができる。
【0145】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、循環配管102において、電気分解によって処理液を生成するための電解セル118を備える。このような構成によれば、循環配管102においても電解セル118を備えることによって、循環中の電解硫酸の濃度を一定に維持し、均一な基板処理に寄与することができる。
【0146】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理方法において、供給タンク10に貯留されている電解硫酸を含む処理液を、処理液を用いて基板Wを処理するための基板処理部へ供給する。そして、基板処理部に供給された処理液である供給後液を回収して生成部へ供給する。そして、生成部において電気分解によって供給後液を含む液から処理液を生成し、生成された処理液を供給タンク10へ供給する。ここで、処理液を基板処理部へ供給する工程が、供給タンク10から供給される処理液を供給タンク10へ戻すための循環配管102と、循環配管102から分岐して基板処理部へ処理液を供給するための供給配管106とに処理液を供給することによって、処理液を基板処理部へ供給する工程である。
【0147】
このような構成によれば、生成された電解硫酸を含む処理液を供給タンク10に貯留し、さらに、処理液を循環経路で循環させつつ基板処理の際に分岐経路から基板処理部へ供給することで、処理液を均一な状態で維持しつつ、必要なタイミングで基板処理に用いることができる。そのため、均一な基板処理を行うことができる。
【0148】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0149】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0150】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではない。
【0151】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0152】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0153】
1 基板処理装置
10 供給タンク
21A 電解セル
21B 電解セル
118 電解セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10