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特開2024-102804放射線治療に用いる患者位置決めシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102804
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】放射線治療に用いる患者位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191123
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】112102560
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.PYTHON
3.THUNDERBOLT
4.MAC OS
(71)【出願人】
【識別番号】518296517
【氏名又は名称】禾榮科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HERON NEUTRON MEDICAL CORP.
【住所又は居所原語表記】No.66-2, Shengyi 5th Rd., Zhubei City, Hsinchu County, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】林 宗逸
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC07
4C082AJ01
4C082AJ13
4C082AJ16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放射線治療に用いる患者位置決めシステムを提供する。
【解決手段】システムは処理装置および記憶装置を含む。処理装置は記憶装置からプログラムをロードして、制御モジュール、位置決め室モジュール、および治療室モジュールを実行する。制御モジュールは治療計画データを得る。位置決め室モジュールは、傾斜角度、回転角度、ターゲット変位、元のターゲットポイントクラウド、および基準変位に基づいて、画像位置合わせ(image registration)により支点の第2の支持点変位を算出する。治療室モジュールは、機械装置を駆動して治療室の台を、支点がビーム出射口に対して第2の支持点変位となるように移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療に用いる患者位置決めシステムであって、処理装置および記憶装置を含み、前記処理装置が前記記憶装置からプログラムをロードして、
傾斜角度、回転角度、ターゲット変位、および照射ターゲットの元のターゲットポイントクラウドを含む治療計画データを得る制御モジュールと、
前記傾斜角度、前記回転角度、前記ターゲット変位、前記元のターゲットポイントクラウド、および基準変位に基づいて、画像位置合わせ(image registration)により支点の第2の支持点変位を算出する位置決め室モジュールであって、前記第2の支持点変位は、治療室の台の配置が前記治療計画データと合致したときの前記支点のビーム出射口に対する変位であり、前記治療室の台および機械装置は前記支点にて接続される、位置決め室モジュールと、
前記機械装置を駆動して前記治療室の台を、前記支点が前記ビーム出射口に対して前記第2の支持点変位となるように移動させる治療室モジュールと、
を実行し、
前記治療室の台の前記配置が前記治療計画データに合致したとき、前記治療室の台は前記傾斜角度で傾斜すると共に前記回転角度で回転し、かつ前記治療室の台上の前記照射ターゲットが、前記ビーム出射口に対して前記ターゲット変位となる、
システム。
【請求項2】
前記位置決め室モジュールが、
前記傾斜角度および前記元のターゲットポイントクラウドに基づいて傾斜ターゲットポイントクラウドを算出するステップと、
前記位置決め室の台上の前記照射ターゲットの第1の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第1の撮像ポイントクラウドは、前記位置決め室の台が前記傾斜角度で傾斜したときに第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記傾斜ターゲットポイントクラウドおよび前記第1の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことにより第1のオフセットを決定するステップと、
前記第1のオフセット、前記ターゲット変位、および前記基準変位に基づいて、前記支点の第1の支持点変位を算出するステップであって、前記第1の支持点変位は、前記治療室の台が前記傾斜角度で傾斜して回転はしないときの前記ビーム出射口に対する前記支点の変位である、ステップと、
前記回転角度および前記第1の支持点変位に基づいて前記第2の支持点変位を算出するステップと、
をさらに実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記治療室モジュールが、
前記機械装置を駆動して前記治療室の台を、前記支点が前記ビーム出射口に対し前記第1の支持点変位となるように移動させるステップと、
前記治療室の台上の前記照射ターゲットの第2の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第2の撮像ポイントクラウドは、前記治療室の台が前記傾斜角度で傾斜したときに第2の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記傾斜ターゲットポイントクラウドおよび前記第2の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第2のオフセットを決定するステップと、
前記回転角度および前記第2のオフセットに基づいて前記第2の支持点変位を校正するステップと、
をさらに実行する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療室モジュールが、
前記治療室の台上の校正対象の第4の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第4の撮像ポイントクラウドは前記第2の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記第4の撮像ポイントクラウドおよび校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって前記第2の組のカメラ装置のパラメーター設定を校正するステップと、
をさらに実行し、
前記第2の組のカメラ装置には第2の組のレーザー発光器が取り付けられており、
前記第2の組のカメラ装置が前記第4の撮像ポイントクラウドを撮像したとき、前記第2の組のレーザー発光器から発せられるレーザービームが、前記校正対象における対応するマークに位置合わせされる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置決め室モジュールが、
前記傾斜角度、前記回転角度および前記元のターゲットポイントクラウドに基づいて変換ターゲットポイントクラウドを算出するステップと、
前記位置決め室の台上の前記照射ターゲットの第3の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第3の撮像ポイントクラウドは、前記位置決め室の台が前記傾斜角度で傾斜すると共に前記回転角度で回転したときに前記第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記変換ターゲットポイントクラウドおよび前記第3の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第3のオフセットを決定するステップと、
前記第3のオフセット、前記ターゲット変位、および前記基準変位に基づいて前記第2の支持点変位を算出するステップと、
をさらに実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置決め室モジュールが、
前記位置決め室の台上の校正対象の第5の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第5の撮像ポイントクラウドは前記第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記第5の撮像ポイントクラウドおよび前記校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって前記第1の組のカメラ装置のパラメーター設定を校正するステップと、
をさらに実行し、
前記第1の組のカメラ装置には第1の組のレーザー発光器が取り付けられており、
前記第1の組のカメラ装置が前記第5の撮像ポイントクラウドを撮像したとき、前記第1の組のレーザー発光器から発せられるレーザービームが、前記校正対象における対応する十字線に位置合わせされる、
請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記治療室モジュールが、
前記機械装置を駆動して前記治療室の台を、前記治療室の台上の前記校正対象が前記ビーム出射口に対して前記ターゲット変位となるように移動させるステップと、
前記ビーム出射口に対する前記支点の第3の支持点変位を得るステップと、
前記第3の支持点変位および前記ターゲット変位に基づいて、前記校正対象に対する前記支点の前記基準変位を算出するステップと
をさらに実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記治療室モジュールがさらに、照射装置を駆動して前記治療室の台上の前記照射ターゲットを照射させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記位置決め室モジュールが、
前記位置決め室の台上の校正対象の第5の撮像ポイントクラウドを得るステップであって、前記第5の撮像ポイントクラウドは前記第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである、ステップと、
前記第5の撮像ポイントクラウドおよび前記校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、前記第1の組のカメラ装置のパラメーター設定を校正するステップと、
をさらに実行し、
前記第1の組のカメラ装置には第1の組のレーザー発光器が取り付けられており、
前記第1の組のカメラ装置が前記第5の撮像ポイントクラウドを撮像したとき、前記第1の組のレーザー発光器から発せられるレーザービームが、前記校正対象における対応する十字線に位置合わせされる、
請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年1月19日に出願された台湾特許出願第112102560号の優先権を主張し、その全体が参照することによりここに組み込まれる。
【0002】
本開示は主に放射線治療の分野に関し、より詳細には放射線治療に用いる患者位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療の分野(ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のような治療法を含む)では、患者は様々な姿勢で照射されることが必要とされ得る。よって、かかる放射線治療中に患者が横たわる台は、水平面において回転できるだけでなく、垂直方向に傾斜することもできる。現在、放射線治療に用いる患者位置決めシステムは、放射線治療に先立ち、仰臥姿勢の患者から取得したコンピュータ断層撮影(CT)画像を入力データとして使用する。これに基づき、患者の表面特徴の画像監視および分析を行って、患者の患部の位置を決定する(つまり、照射ターゲットの相対空間位置を知る)。患者が別の姿勢になって照射されることが要される場合、患者を正確に照射するために患者台は様々な傾斜角度または回転角度をとり得るので、患者の患部の位置(つまり、照射ターゲット)は仰臥姿勢に対して必然的に変わる。しかし、各種姿勢の患者を位置決めするのに適した解決法は今のところない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題に鑑みて、照射ターゲットをより正確に位置決めできるよう、患者台の回転角度および傾斜角度を考慮に入れた放射線治療に用いる患者位置決めシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、放射線治療に用いる患者位置決めシステムを提供する。本システムは処理装置および記憶装置を含む。処理装置は記憶装置からプログラムをロードして制御モジュール、位置決め室モジュール、および治療室モジュールを実行する。制御モジュールは治療計画データを得る。治療計画データは、傾斜角度、回転角度、ターゲット変位、および照射ターゲットの元のターゲットポイントクラウドを含む。位置決め室モジュールは、傾斜角度、回転角度、ターゲット変位、元のターゲットポイントクラウド、および基準変位に基づいて、画像位置合わせ(image registration)により支点の第2の支持点変位を算出する。治療室の台の配置が治療計画データに合致したときに、第2の支持点変位は、支点のビーム出射口に対する支点の変位となる。治療室の台と機械装置とは支点にて接続される。治療室モジュールは、機械装置を駆動して治療室の台を、支点がビーム出射口に対して第2の支持点変位となるように移動させる。治療室の台の配置が治療計画データに合致すると、治療室の台は傾斜角度で傾くと共に回転角度で回転し、かつ治療室の台上の照射ターゲットはビーム出射口に対してターゲット変位となる。
【0006】
一実施形態において、位置決め室モジュールはさらに、傾斜角度および元のターゲットポイントクラウドに基づいて傾斜ターゲットポイントクラウドを算出する。位置決め室モジュールはさらに、位置決め室の台上の照射ターゲットの第1の撮像ポイントクラウドを得る。第1の撮像ポイントクラウドは、位置決め室の台が傾斜角度で傾斜したときに、第1の組のカメラ装置により撮像される。位置決め室モジュールはさらに、傾斜ターゲットポイントクラウドおよび第1の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第1のオフセットを決定する。位置決め室モジュールはさらに、第1のオフセット、ターゲット変位、および基準変位に基づいて、支点の第1の支持点変位を算出する。第1の支持点変位は、治療室の台が傾斜角度で傾斜して回転はしないときの、ビーム出射口に対する支点の変位である。位置決め室モジュールはさらに、回転角度および第1の支持点変位に基づいて、第2の支持点変位を算出する。
【0007】
一実施形態において、治療室モジュールはさらに、機械装置を駆動して治療室の台を、支点がビーム出射口に対し第1の支持点変位になるように移動させる。治療室モジュールはさらに、治療室の台上の照射ターゲットの第2の撮像ポイントクラウドを得る。第2の撮像ポイントクラウドは、治療室の台が傾斜角度で傾斜したときに第2の組のカメラ装置によって撮像されるものである。治療室モジュールはさらに、傾斜ターゲットポイントクラウドおよび第2の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第2のオフセットを決定する。治療室モジュールはさらに、回転角度および第2のオフセットに基づいて第2の支持点変位を校正する。
【0008】
一実施形態において、治療室モジュールはさらに、治療室の台上の校正対象の第4の撮像ポイントクラウドを得る。第4の撮像ポイントクラウドは、第2の組のカメラ装置によって撮像されるものである。治療室モジュールはさらに、第4の撮像ポイントクラウドおよび校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第2の組のカメラ装置のパラメーター設定を校正する。第2の組のカメラ装置には第2の組のレーザー発光器が取り付けられている。第2の組のカメラ装置が第4の撮像ポイントクラウドを撮像したとき、第2の組のレーザー発光器から発せられるレーザービームは、校正対象における対応する十字線に位置合わせされる。
【0009】
一実施形態において、位置決め室モジュールはさらに、傾斜角度、回転角度 および元のターゲットポイントクラウドに基づいて変換ターゲットポイントクラウドを算出する。位置決め室モジュールはさらに、位置決め室の台上の照射ターゲットの第3の撮像ポイントクラウドを得る。第3の撮像ポイントクラウドは、位置決め室の台が傾斜角度で傾斜すると共に回転角度で回転したときに第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである。位置決め室モジュールはさらに、変換ターゲットポイントクラウドおよび第3の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第3のオフセットを決定する。位置決め室モジュールはさらに、第3のオフセット、ターゲット変位、および基準変位に基づいて第2の支持点変位を算出する。
【0010】
一実施形態において、位置決め室モジュールはさらに、位置決め室の台上の校正対象の第5の撮像ポイントクラウドを得る。第5の撮像ポイントクラウドは第1の組のカメラ装置によって撮像されるものである。位置決め室モジュールはさらに、第5の撮像ポイントクラウドおよび校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって第1の組のカメラ装置のパラメーター設定を校正する。第1の組のカメラ装置には第1の組のレーザー発光器が取り付けられている。第1の組のカメラ装置が第5の撮像ポイントクラウドを撮像したとき、第1の組のレーザー発光器から発せられるレーザービームは、校正対象における対応する十字線に位置合わせされる。
【0011】
一実施形態において、治療室モジュールはさらに、機械装置を駆動して治療室の台を、治療室の台上の校正対象がビーム出射口に対してターゲット変位になるよう移動させる。治療室モジュールはさらに、ビーム出射口に対する支点の第3の支持点変位を得る。治療室モジュールはさらに、第3の支持点変位およびターゲット変位に基づいて、校正対象に対する支点の基準変位を算出する。
【0012】
一実施形態において、治療室モジュールはさらに、照射装置を駆動して、患者台上の照射ターゲットを照射する。
【発明の効果】
【0013】
本開示において提供される患者位置決めシステムは、患者台/椅子の傾斜および回転角度ならびに照射方向について考慮および調整を取り入れることで、放射線治療の状況において患者の患部への照射がより効率的かつ正確にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面を参照とし、以下の詳細な説明および例を読むことによって、本開示をより十分に理解することができる。加えて、本開示のフロー図において、各ブロックの実行の順序は変更することができる、および/またはブロックのいくつかは変更する、消去する、もしくは結合させることができる、という点が理解されなければならない。
【0015】
図1】本開示の一実施形態による放射線治療に用いる患者位置決めシステムのハードウェアアーキテクチャ図である。
図2】本開示の一実施形態による患者位置決めシステムのソフトウェアアーキテクチャ図である。
図3】本開示の一実施形態による位置決め室の例示的なハードウェア構成の概略図である。
図4】本開示の一実施形態による治療室の例示的なハードウェア構成の概略図である。
図5】本開示の一実施形態による位置決め室校正プロセスおよび治療室校正プロセスに関する校正対象の上面図である。
図6】本開示の一実施形態による第1の態様の位置決め室の位置決めプロセスのフロー図である。
図7】本開示の一実施形態による治療室の位置決めプロセスのフロー図である。
図8】本開示の別の実施形態による第2の態様の位置決め室の位置決めプロセスのフロー図である。
図9】本開示の一実施形態によるカメラパラメーター校正プロセスのフロー図である。
図10】本開示の一実施形態による位置決め室校正プロセスのフロー図である。
図11】本開示の一実施形態による空間校正プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記載は本発明の概略的な原理を説明する目的でなされたもので、限定の意味に解されてはならない。本発明の範囲は、添付のクレームを参照することにより判断される。
【0017】
以下の各実施形態において、同じ参照番号は同一または類似する構成要素またはコンポーネントを表すものとする。
【0018】
クレームにおいて使用される順序を示す用語、例えば「第1」、「第2」、「第3」等は、説明の便宜のために用いるに過ぎず、相互間のいかなる先行関係をも示唆しない。
【0019】
先ず、放射線治療のための本開示で提供される患者位置決めシステムに必要な位置決め室、治療室および制御室について概略的に紹介する。本明細書において、例えば「位置決め室」、「治療室」および「制御室」のような用語は、必ずしも特定のスペースを指すものでなくてもよく、ハードウェア構成およびソフトウェア構成の組み合わせを指す場合もあるという点に留意されたい。これらの組み合わせが位置するスペースを限定することは意図されていない。各種実施形態において、位置決め室、治療室、および制御室は、同じ部屋にあっても、または異なる部屋にあってもよい。一実施形態において、位置決め室および治療室は、同じスペースにおいてハードウェア構成を共有するが、異なるソフトウェア構成を有するようにすることができる。
【0020】
治療室におけるリソースの利用をより効率的にするため、放射線治療に先立って要される前処理工程(患者の患部のスペース中における相対位置を位置決めることを含む)は通常、治療室がより放射線治療の実施に集中できるよう、先ずは位置決め室において行われる。一方、制御室は、治療計画を受け取ること、および位置決め室と治療室間の通信について管理する。詳細には、放射線治療により治療されるべき患者は、先ず位置決め室における前処理工程を経て、治療計画中のアイソセンター(iso-center)(つまり、照射ターゲット、または患者の患部)の位置のシミュレートが行われる。カメラ装置および十字線レーザー(crosshair laser)のハードウェア構成を用い、照射ターゲットの表面と同じ空間座標位置を確認するために、患者の体表面の弯曲の変化(tortuous changes)が検出される。これら2つの空間位置に差異がある場合、カメラ装置の位置が調整される。これら2つの空間位置の差異が許容範囲内のレベルになるまで、上述の動作を繰り返す。このとき、十字線レーザーは照射ターゲットのアイソセンターの位置を通過するはずであり、よって位置決め室内のオペレーターは、患者に対してマスク(mask)を作製し、そのマスクにマーカーを描くことができる。次いで、照射ターゲットの相対位置が制御室から治療室に転送され、これにより治療室中の照射装置が照射ターゲットを照射できるようになる。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態による放射線治療に用いる患者位置決めシステム100のハードウェアアーキテクチャ図である。図1に示されるように、患者位置決めシステム100は、互いに接続している処理装置101および記憶装置102を含み得る。さらに、位置決め室モジュール111、制御モジュール112および治療室モジュール113は記憶装置102中に保存されている。
【0022】
患者位置決めシステム100は、オペレーティングシステム(例えば、Windows、Mac OS、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)等)を実行するパーソナルコンピューター(例えばデスクトップあるいはラップトップ)もしくはサーバーコンピューター、またはタブレットコンピューターもしくはスマートフォンのようなモバイル装置であってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0023】
処理装置101は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、または状態機械のような、命令を実行する任意の装置であってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0024】
記憶装置102は、任意の不揮発性メモリ(例として、読み取り専用メモリ、電気的消去書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM))を含む装置、例えばハードディスク(HDD)、固体ディスク(SSD)または光ディスクであってよいが、これに限定されない。
【0025】
位置決め室モジュール111、制御モジュール112、および治療室モジュール113はソフトウェアモジュールである。各種実施形態において、処理装置101は記憶装置102からプログラムをロードして、これらソフトウェアモジュールを実行する。プログラムは、Java(登録商標)、C、C#、C++、Python、または任意の周知のプログラミング言語で書かれていてよく、本開示において限定されることはない。
【0026】
一実施形態において、患者位置決めシステム100は通信インターフェイス(ただし、図1に図示されていない)をさらに含んでいてよく、これによりコンピューターシステムが他のデバイスと通信し、必要なデータを取得できるようになる。通信インターフェイスは、有線通信インターフェイス、例えば高解像度マルチメディアインタフェース(High Definition Multimedia Interface,HDMI(登録商標))、ディスプレイポート(DisplayPort,DP)インターフェイス、埋め込み型ディスプレイポート(embedded DisplayPort,eDP)インターフェイス、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイス、USB Type-Cインターフェイス、サンダーボルト(Thunderbolt)インターフェイス、デジタルビデオインターフェース(DVI)、およびこれらの組み合わせであってよい。通信インターフェイスはまた、無線通信インターフェイス、第5世代(5G)無線システム、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)、WiFi、ニアフィールドコミュニケーション(Near Field Communication,NFC)インターフェイス等でもあってよいが、本開示はこれに限定されない。
【0027】
図2は、本開示の一実施形態による患者位置決めシステム100のソフトウェアアーキテクチャ図である。図2に示されるように、位置決め室モジュール111は位置決め室の位置決めプロセス203および位置決め室の校正プロセス201を含んでいてよく、治療室モジュール113は治療室の位置決めプロセス204および治療室の校正プロセス202を含んでいてよい。さらに、治療室校正プロセス202は空間校正プロセス205およびカメラパラメーター校正プロセス206を含んでいてよい。プロセス201~206の各々は複数のステップまたは動作の命令を含んでいてよく、その詳細については、図6~11と共に後段にて説明する。加えて、図2に示される位置決め室モジュール111治療室モジュール113は、単に好ましい実施形態に過ぎず、本開示は、患者位置決めシステム100のソフトウェアアーキテクチャを、プロセス201~206の全てを含むものに限定しない、という点に留意されたい。
【0028】
一実施形態において、患者位置決めシステム100は、有線または無線の方式で上述した通信インターフェイスを介して治療計画システム210に接続することができ、これにより制御モジュール112が治療計画データを治療計画システム210から取得できるようになる。別の実施形態では、患者位置決めシステム100は、記憶媒体、例えばモバイルハードディスクまたはクラウドストレージスペースを介して治療計画システム210より出力された治療計画データを間接的に取得することができる。治療計画情報を得ることに加え、制御モジュールは、位置決め室モジュール111と治療室モジュール113間の通信も管理する。
【0029】
各種実施形態において、治療計画データは、限定はされないが、傾斜角度、回転角度、ターゲット変位、および照射ターゲットの元のターゲットポイントクラウドを含む。傾斜角度は、患者が照射治療を受けるときに、治療室中の台(以下、「治療室の台」と称する)を上方に傾斜させる予定の角度である。回転角度は、患者が照射治療を受けるときに、治療室の台の台表面を、地面と平行な平面において反時計回り(または時計周り)に回転させる予定の角度である。元のターゲットポイントクラウドは、照射ターゲットのマルチフレーム断面のコンピュータ断層撮影(CT)画像の表面輪郭を抽出することにより得られる三次元画像データであり、それは、照射ターゲットの表面輪郭情報を含む。
【0030】
図3は、本開示の一実施形態による位置決め室300の例示的なハードウェア構成を説明する概略図である。図3に示されるように、位置決め室300のハードウェア構成は、位置決め室の台(つまり、位置決め室内の台)301、1組のカメラ装置305A~305C(以下、「第1の組のカメラ装置」と称する)およびスライドレール304A~304Cの構成を含み得る。
【0031】
位置決め室の台301は基柱303により支持されていてよく、これにより、位置決め室の台301に載せられた患者302が地面から一定の高さとなるようになる。さらに、位置決め室の台301は折り畳み可能であるため、上方に傾けることができ、患者302は座位にもなれる。一実施形態において、位置決め室の台301は傾斜できるが、回転はできない。別の実施形態では、位置決め室の台301は傾斜および回転が可能である。
【0032】
カメラ装置305A、305B、および305Cは任意のタイプの深度カメラであってよく、それぞれ位置決め室の台301の右側、上側、および左側に取り付けられて、患者302の患部の画像をそれぞれ異なる角度から撮像する。これら患部の画像を再構成することによって、照射ターゲットのポイントクラウド情報が得られる。
【0033】
カメラ装置305A、305B、および305Cは、スライドレール304A、304Bおよび304Cにそれぞれ装着される。スライドレール304A、304B、および304Cはカメラ装置305A、305B、および305Cをその上でそれぞれ移動させることができる。さらに、患者302の患部(つまり、照射ターゲット)に照準を合わせるために、レーザー発光器(ただし、図3に図示せず)がカメラ装置305A、305B、および305Cに取り付けられており、これによって照射ターゲットと第1の組のカメラ装置間の空間的相関関係を知ることができる。加えて、スライドレール304A、304B、および304Cの位置は固定されているため、位置決め室300のスペース内における患者302の患部の相対位置を、レーザー発光器が患者302の患部に照準を合わせたときのスライドレールにおける第1の組のカメラの位置(例えば、元の位置に対して10センチメートル後方に移動)に基づいて決定することができる。
【0034】
図4は、本開示の一実施形態による治療室400の例示的なハードウェア構成を説明する概略図である。図4に示されるように、治療室400のハードウェア構成は、治療室の台401、機械装置403、1組のカメラ装置405A~405C(以下、「第2の組のカメラ装置」と称する)、スライドレール404A~404C、およびビーム出射口415を含んでいてよい。
【0035】
機械装置403はベース部403A、支持部403B、およびアーム部403Cを含んでいてよい。アーム部403Cは、治療室の台401およびその上の患者402を支えるために用いられる。支持部403Bは、アーム部403Cを支えるために用いられる。ベース部403Aは、アーム部403Cおよび支持部403Bを支えるために用いられる。ベース403Aはコントローラーを含んでいてよく(ただし、図4には図示せず)、支持部403Bおよびアーム部403Cの傾斜角度を制御することで、治療室の台401の高さを変える(高くまたは低くする)ようであってよい。
【0036】
位置決め室の台301のように、治療室の台401も折り畳み可能であるため、上方に傾けることができ、患者402は座位にもなれる。加えて、機械装置403のアーム部403Cは、回転フランジまたは類似する要素を介し支点410において治療室の台401に接続される。機械装置403を治療室の台401に接続することに加え、回転フランジによって、アーム403Cが治療室の台401を回転させられるようになる。
【0037】
カメラ装置405A、405B、および405Cは任意のタイプの深度カメラであってよく、それぞれ治療室の台401の右側、上側、および左側に取り付けられて、患者402の患部の画像をそれぞれ異なる角度から撮像する。これら患部の画像を再構成することによって、照射ターゲットのポイントクラウドが得られる。
【0038】
カメラ装置405A、405B、および405Cは、スライドレール404A、404Bおよび404Cにそれぞれ装着され、スライドレール404A、404B、および404Cはカメラ装置405A、405B、および405Cをその上でそれぞれ移動させる。さらに、患者402の患部に照準を合わせるために、レーザー発光器(ただし、図4に図示せず)がカメラ装置405A、405B、および405Cに取り付けられており、これによって、照射ターゲットと第2の組のカメラ装置間の空間的相関関係を知ることができる。
【0039】
図3および図4はそれぞれ、位置決め室の位置決めプロセス203および治療室の位置決めプロセス204の実行時のハードウェア構成となる。位置決め室の校正プロセス201および治療室の校正プロセス202時において、位置決め室の台301および治療室の台401には患者は載らないが、位置決め室および治療室内におけるカメラ装置のパラメーターおよび空間的相対位置を校正するために、校正対象(または「校正用ジグ」)が患者の患部のシミュレーションとして置かれる。
【0040】
図5は、本開示の一実施形態による位置決め室の校正プロセス201および治療室の校正プロセス202に関する校正対象500の上面図である。図5に示されるように、校正対象500は十字線501A、501B、および501Cを有する三次元オブジェクトであり、これらは、カメラ装置305A、305B、および305C(またはカメラ装置405A、405B、および405C)に取り付けられたレーザー発光器が照準を定めるためにそれぞれ用いられる。カメラの組に取り付けられたレーザー発光器が全て十字線501A、501B、および501Cに位置合わせされたときに、これらレーザー発光器から発せられるレーザービームの延伸は、校正対象500のアイソセンター502を通過することが予期される。
【0041】
なお、図5は単なる例に過ぎず、校正対象500の外観は本開示の実施形態により限定されることはないという点が理解されなければならない。
【0042】
図6は、本開示の一実施形態による第1の態様の位置決め室の位置決めプロセス203を説明するフロー図である。この態様では、位置決め室300内における位置決め室の台301は回転できない。図6に示されるように、位置決め室の位置決めプロセス203はステップ601~605を含み得る。
【0043】
ステップ601において、傾斜角度および元のターゲットポイントクラウドに基づいて傾斜ターゲットポイントクラウドが算出される。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203はステップ602に進む。
【0044】
一実施形態において、ステップ601の計算は、元のターゲットポイントクラウド上の各点座標に、傾斜角度に対応する第1の変換行列をかけることによって、傾斜ターゲットポイントクラウドを得るためにするものである。
【0045】
ステップ602において、位置決め室の台301が傾斜角度で傾斜したときの、第1のセットのカメラ装置によって撮像された位置決め室の台301上の照射ターゲットの第1の撮像ポイントクラウドが得られる。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203はステップ603に進む。
【0046】
ステップ603において、傾斜ターゲットポイントクラウドおよび第1の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第1のオフセットが決定される。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203はステップ604に進む。
【0047】
一実施形態において、ステップ603で行われる画像位置合わせは、傾斜ターゲットポイントクラウドと第1の撮像ポイントクラウドとの類似度を計算することを含む。類似度が不十分である場合、スライドレール304A~304Cにおける第1のセットのカメラ装置の位置が(手動または電子制御で)調節され、第1の撮像ポイントクラウドが再撮像される。撮像された第1の撮像ポイントクラウドと傾斜ターゲットポイントクラウドとの類似度が許容範囲内になるまで、上記動作が繰り返される。このときの、スライドレール304A~304Cにおける第1の組のカメラ装置の現時点の位置と開始位置との差が第1のオフセットである。
【0048】
ステップ604において、第1のオフセット、ターゲット変位、および基準変位に基づき、治療室の台401が傾斜角度で傾斜するが回転はしないときの、ビーム出射口415に対する支点410の第1の支持点変位が算出される。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203はステップ605に進む。
【0049】
一実施形態において、ステップ604における計算は、第1のオフセット、ターゲット変位、および基準変位を足すことにより、第1の支持点変位を得るためにするものである。
【0050】
ステップ605において、回転角度および第1の支持点変位に基づき、第2の支持点変位が算出される。
【0051】
図7は、本開示の一実施形態による治療室の位置決めプロセス204のフロー図である。図7に示されるように、治療室の位置決めプロセス204はステップ701~705を含んでいてよい。
【0052】
ステップ701において、機械装置403が駆動されて治療室の台401を、支点410がビーム出射口415に対して第1の支持点変位になるように、移動させる。次いで、治療室位置決めプロセス204はステップ702に進む。
【0053】
ステップ702において、治療室の台401が傾斜角度で傾斜したときの、第2のセットのカメラ装置によって撮像された治療室の台401上の照射ターゲットの第2の撮像ポイントクラウドが得られる。次いで、治療室の位置決めプロセス204はステップ703に進む。
【0054】
ステップ703において、傾斜ターゲットポイントクラウドおよび第2の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第2のオフセットが決定される。次いで、治療室の位置決めプロセス204はステップ704に進む。
【0055】
一実施形態において、ステップ703で行われる画像位置合わせは、傾斜ターゲットポイントクラウドと第2の撮像ポイントクラウドとの類似度を計算することを含む。類似度が不十分である場合、機械装置403が駆動されて治療室の台401を移動させ、第2の撮像ポイントクラウドが再撮像される。第2の撮像ポイントクラウドと傾斜ターゲットポイントクラウドとの類似度が許容範囲内に入るまで、上記動作が繰り返される。このときの、支点410の現時点の位置とステップ702における支点410の位置(つまり、ビーム出射口415に対する第1の支持点変位の位置)との差異が第2のオフセットである。
【0056】
ステップ704では、第2の支持点変位が回転角度および第2のオフセットに基づいて校正される。次いで、治療室の位置決めプロセス204はステップ705に進む。
【0057】
ステップ705において、機械装置403が駆動されて治療室の台401を、治療室の台401の支点410がビーム出射口415に対して第2の支持点変位になるように、移動させる。
【0058】
図8は、本開示の別の実施形態による第2の態様における位置決め室の位置決めプロセス203Rのフロー図である。第2の態様において、位置決め室300内の位置決め室の台301は回転することができる。図8に示されるように、位置決め室の位置決めプロセス203Rはステップ801~804を含み得る。
【0059】
ステップ801において傾斜角度、回転角度、および元のターゲットポイントクラウドに基づいて、変換ターゲットポイントクラウドが算出される。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203Rはステップ802に進む。
【0060】
一実施形態において、ステップ801における計算は、元のターゲットポイントクラウドにおける各ポイントの座標に、第1の変換行列および第2の変換行列をかけることによって、変換ターゲットポイントクラウドを得るためのものである。第1の変換行列および第2の変換行列はそれぞれ傾斜角度および回転角度に対応している。
【0061】
ステップ802において、位置決め室の台301が傾斜角度で傾くと共に回転角度で回転したときに第1の組のカメラ装置により撮像された位置決め室の台301上の照射ターゲットの第3の撮像ポイントクラウドが得られる。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203Rはステップ803に進む。
【0062】
ステップ803において、変換ターゲットポイントクラウドおよび第3の撮像ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第3のオフセットが決定される。次いで、位置決め室の位置決めプロセス203Rはステップ804に進む。
【0063】
一実施形態において、ステップ803で行われる画像位置合わせは、変換ターゲットポイントクラウドと第3の撮像ポイントクラウドとの類似度を計算することを含む。類似度が不十分である場合、スライドレール304A~304Cにおける第1のセットのカメラ装置の位置が(手動または電子制御で)調節され、第3の撮像ポイントクラウドが再撮像される。第3の撮像ポイントクラウドと変換ターゲットポイントクラウドとの類似度が許容範囲内に入るまで、上記動作が繰り返される。このときの、スライドレール304A~304Cにおける第1の組のカメラ装置の現時点の位置と開始位置との差が第3のオフセットである。
【0064】
ステップ804において、第3のオフセット、ターゲット変位および基準変位に基づいて、第2の支持点変位が算出される。
【0065】
一実施形態において、ステップ804における計算は、第3のオフセット、ターゲット変位、および基準変位を足すことによって第2の支持点変位を得るためのものである。
【0066】
図9は、本開示の一実施形態によるカメラパラメーター校正プロセス206のフロー図である。図9に示されるように、カメラパラメーター校正プロセス206はステップ901およびステップ902を含み得る。
【0067】
ステップ901において、第2の組のカメラ装置により撮像された治療室内の台401上における校正対象500の第4の撮像ポイントクラウドが得られる。次いで、カメラパラメーター校正プロセス206はステップ902に進む。
【0068】
ステップ902において、第4の撮像ポイントクラウドおよび校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第2の組のカメラ装置のパラメーター設定が校正される。
【0069】
一実施形態において、ステップ902で行われる画像位置合わせは、校正対象ポイントクラウドと第4の撮像ポイントクラウドとの類似度を計算することを含む。類似度が不十分である場合、第2の組のカメラ装置のパラメーターが調節される。撮像された第4の撮像ポイントクラウドと校正対象ポイントクラウドとの類似度が許容範囲内に入るまで、上記動作が繰り返される。
【0070】
図10は、本開示の一実施形態による位置決め室の校正プロセス201のフロー図である。図10に示されるように、位置決め室の校正プロセス201はステップ1001およびステップ1002を含み得る。
【0071】
ステップ1001において、第1の組のカメラ装置により撮像された位置決め室の台301上の校正対象500の第5の撮像ポイントクラウドが得られる。次いで、位置決め室の校正プロセス201はステップ1002に進む。
【0072】
ステップ1002において、第5の撮像ポイントクラウドおよび校正対象ポイントクラウドに画像位置合わせ(image registration)を行うことによって、第1の組のカメラ装置のパラメーター設定が校正される。
【0073】
一実施形態において、ステップ1002で行われる画像位置合わせは、校正対象ポイントクラウドと第5の撮像ポイントクラウドとの類似度を計算することを含む。類似度が不十分である場合、第1の組のカメラ装置のパラメーターが調節される。第5の撮像ポイントクラウドと校正対象ポイントクラウドとの類似度が許容範囲内に入るまで、上記動作が繰り返される。
【0074】
図11は、本開示の一実施形態による空間校正プロセス205のフロー図である。図11に示されるように、空間校正プロセス205はステップ1101~1103を含み得る。
【0075】
ステップ1101において、機械装置403が駆動されて治療室の台401を、治療室の台401上の校正対象500がビーム出射口415に対してターゲット変位になるように、移動させる。次いで、空間校正プロセス205はステップ1102に進む。
【0076】
ステップ1102において、ビーム出射口415に対する支点410の第3の支持点変位が得られる。次いで、空間校正プロセス205はステップ1103に進む。
【0077】
ステップ1103において、第3の支持点変位およびターゲット変位に基づいて、校正対象500に対する支点410の基準変位が算出される。
【0078】
上述した位置決め室の台301および/または治療室の台401を傾斜角度で傾斜させるおよび/または回転角度で回転させる操作は、手動で操作または電子制御されるものであってよく、本開示はこれに限定されない。
【0079】
各種実施形態において、治療室の台の構成が治療計画データに合致するとき、治療室の台は傾斜角度で傾斜すると共に回転角度で回転し、かつ治療室の台上の照射ターゲットがビーム出射口に対してターゲット変位となる。
【0080】
本開示において提供される患者位置決めシステムは、患者台/椅子の傾斜および回転角度ならびに照射方向について考慮および調整を取り入れることで、放射線治療の状況において患者の患部への照射がより効率的かつ正確にできるようになる。
【0081】
上の段落は多数の態様で記述したものである。本明細書の開示が多数の方式で実施され得るということは、明らかである。実施例で開示されたいかなる構造または機能も、単に代表的なシチュエーションであるにすぎない。本明細書の開示によれば、開示されたいずれの態様もそれぞれ独立に実施できること、または2つ以上の態様を組み合わせて実施できることに、当業者は想到するはずである。
【0082】
本発明を例を用い、好ましい実施形態の観点から説明したが、本発明はこれら開示された実施形態に限定されないということが理解されなければならない。むしろ、(当業者には明らかであるような)各種変更および類似の配置をカバーするように意図されている。よって、添付のクレームの範囲は、かかる変更および類似の配置が全て包含されるよう、最も広い解釈が与えられなければならない。
【符号の説明】
【0083】
100・・・患者位置決めシステム
101・・・処理装置
102・・・記憶装置
111・・・位置決め室モジュール
112・・・制御モジュール
113・・・治療室モジュール
201・・・位置決め室の校正プロセス
202・・・治療室の校正プロセス
203・・・位置決め室の位置決めプロセス
203R・・・位置決め室の位置決めプロセス
204・・・治療室の位置決めプロセス
205・・・空間校正プロセス
206・・・撮像パラメーター校正プロセス
210・・・治療計画システム
300・・・位置決め室
301・・・位置決め室の台
302・・・患者
303・・・基柱
304A~304C・・・スライドレール
305A~305C・・・カメラ装置
401・・・治療室の台
402・・・患者
403・・・機械装置
403A・・・ベース部
403B・・・支持点
403C・・・アーム部
404A~404C・・・スライドレール
405A~405C・・・カメラ装置
410・・・支点
415・・・ビーム出射口
500・・・校正対象
501A~501C・・・十字線
502・・・アイソセンター
601~605・・・ステップ
701~705・・・ステップ
801~804・・・ステップ
901~902・・・ステップ
1001~1002・・・ステップ
1101~1103・・・ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11