(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102806
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】軽量BES近似
(51)【国際特許分類】
G11C 16/08 20060101AFI20240724BHJP
G11C 11/56 20060101ALI20240724BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
G11C16/08 120
G11C11/56 600
G06F12/00 597U
G06F12/00 550Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195580
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】63/440,006
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/218,845
(32)【優先日】2023-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロズマン
(72)【発明者】
【氏名】アリエル ナボン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バザルスキー
(72)【発明者】
【氏名】アロン エヤル
【テーマコード(参考)】
5B160
5B225
【Fターム(参考)】
5B160NA02
5B225BA19
5B225CA13
5B225CA14
5B225CA19
5B225CA27
5B225CA28
5B225DA03
5B225DA10
5B225DD01
5B225EA05
5B225EG11
5B225FA01
5B225FA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】データ記憶装置の読み出し閾値の校正動作を提供する。
【解決手段】記憶システム100において、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラと、を含むデータ記憶装置は、読み出し閾値校正動作が発生すると、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページを検知し、その結果、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページの読み出し閾値を取得し、取得した読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件は、検知されなかった代表的なワードラインの残りのページの他の読み出し閾値を取得するためにモデルに提供される。モデルは、代表的なワードラインのあるページの読み出し閾値を同一の代表的なワードラインの別のページと相関させ、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を考慮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ装置と、
前記メモリ装置に結合されたコントローラとを備え、前記コントローラは、
前記メモリ装置の代表的なワードラインの複数のページのうちの第1ページに対して読み出し閾値校正動作を実行して、前記代表的なワードラインの前記第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を取得し、
前記代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を決定し、
機械学習モデルを使用して、前記代表的なワードラインの前記第1ページに関連付けられた前記1つ以上のセル状態の前記読み出し閾値及び前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件に基づいて、前記代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値を生成するように構成される、
データ記憶装置。
【請求項2】
前記読み出し閾値校正動作は、前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに対して実行されない、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項3】
前記機械学習モデルは、前記代表的なワードラインの前記第1ページに関連付けられた前記1つ以上のセル状態の前記読み出し閾値を、前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに関連付けられた前記1つ以上の他のセル状態の前記1つ以上の他の読み出し閾値と相関させる、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項4】
前記生成は、前記代表的なワードラインの前記第1ページに関連付けられた前記1つ以上のセル状態の前記読み出し閾値及び前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件を前記機械学習モデルに入力することを含む、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項5】
前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件は、
温度、
プログラム/消去サイクル数、及び
ビット誤り率を含む、
請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項6】
前記代表的なワードラインは、マルチレベルセル(MLC)メモリ、トリプルレベルセル(TLC)メモリ、又はクワッドレベルセル(QLC)メモリである、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項7】
前記機械学習モデルは、教師ありトレーニングを使用してオフラインでトレーニングされる、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項8】
前記機械学習モデルは、クラスタリング方法を使用した読み出し閾値レベルの教師なしクラスタリングに基づいてトレーニングされる、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項9】
前記コントローラは、さらに、生成された前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに関連付けられた前記1つ以上の他のセル状態の前記1つ以上の他の読み出し閾値を、前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに関連付けられた前記1つ以上の他のセル状態に適用するように構成される、請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項10】
前記コントローラは、さらに、
前記代表的なワードラインに関連付けられたワークロードを決定し、
前記代表的なワードラインに関連付けられた前記ワークロード又は前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件のいずれかが前記機械学習モデルに適合していないと決定し、
前記代表的なワードラインに関連付けられた前記ワークロード又は前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件のいずれかが前記機械学習モデルに適合していないとの決定に応答して、前記読み出し閾値校正を実行するように構成され、前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに関連付けられた前記1つ以上の他のセル状態の前記1つ以上の他の読み出し閾値、
前記機械学習モデルを使用して、前記代表的なワードラインの前記1つ以上の他のページに関連付けられた前記1つ以上の他のセル状態の前記1つ以上の他の読み出し閾値を生成することは、前記代表的なワードラインに関連付けられた前記ワークロード及び前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件の両方が前記機械学習モデルに適合しているときに発生する、
請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項11】
メモリ装置と、
前記メモリ装置に結合されたコントローラとを備え、前記コントローラは、
代表的なワードラインの第1ページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を前記代表的なワードラインの第2ページの1つ以上の他のセル状態の読み出し閾値と相関させるモデルを生成及び更新すること、
前記モデルに基づいて、前記代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測することであって、読み出し閾値校正動作が前記代表的なワードラインの前記ページに対して実行されない、予測すること、
前記代表的なワードラインの前記ページの前記セル状態の予測された前記校正済みの読み出し閾値を、前記代表的なワードラインの前記ページの前記セル状態の対応する読み出し閾値と関連付けること、を実行するように構成される、
データ記憶装置。
【請求項12】
前記モデルは機械学習モデルである、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記代表的なワードラインの前記ページの前記セル状態の予測された前記校正済みの読み出し閾値は、前記読み出し閾値校正を用いて取得された、前記代表的なワードラインの別のページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を利用して予測される、請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
前記予測は、前記代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件をさらに利用し、
前記代表的なワードラインの前記1つ以上の物理的条件は、
温度、
プログラム/消去サイクル数、及び
ビット誤り率を含む、
請求項13に記載のデータ記憶装置。
【請求項15】
クワッドレベルセル(QLC)メモリの場合において、前記予測は、前記読み出し閾値校正を用いて取得された、前記代表的なワードラインの別のページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値をさらに利用する、請求項13に記載のデータ記憶装置。
【請求項16】
前記コントローラは、さらに、
前記モデルを利用して前記代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測する成功率の記録を保持し、そして
前記モデルを使用して、前記代表的なワードラインの前記ページの前記セル状態の前記校正済みの読み出し閾値を予測するか、又は
前記読み出し校正動作を実行して、前記ページの前記セル状態の前記校正済みの読み出し閾値を取得するように構成される、
請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項17】
前記予測は、前記成功率が閾値以上である場合に発生し、
前記読み出し校正動作の前記実行は、前記成功率が前記閾値未満である場合に発生する、
請求項16に記載のデータ記憶装置。
【請求項18】
メモリ手段と、
前記メモリ手段に結合されたコントローラとを備え、前記コントローラは、
代表的なワードラインの複数のページのうちの総ページ数の全部よりも少ないページに対して読み出し閾値校正動作を実行し、
前記代表的なワードラインの前記複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測するように構成され、前記読み出し閾値校正動作は、前記代表的なワードラインの前記複数のページのうちの前記残りのページに対して実行されない、
データ記憶装置。
【請求項19】
前記コントローラは、さらに、前記代表的なワードラインの前記複数のページのうちの前記残りのページの前記1つ以上のセル状態の予測された前記読み出し閾値を、前記代表的なワードラインの前記複数のページのうちの前記残りのページの前記1つ以上のセル状態の校正済みの読み出し閾値として利用するように構成される、請求項18に記載のデータ記憶装置。
【請求項20】
前記予測は、代表的なワードラインの複数のページのうちの総ページ数の全部よりも少ない前記ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を、前記代表的なワードラインの前記複数のページのうちの前記残りのページの前記1つ以上のセル状態の前記読み出し閾値と相関させる機械学習モデルを利用する、請求項18に記載のデータ記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年1月19日に出願された米国仮特許出願第63/440,006号の利益を主張し、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、ソリッドステートドライブ(SSD)及びiNAND記憶装置などのデータ記憶装置に関し、より具体的には、データ記憶装置のメモリ装置の読み出し閾値の校正に関する。
【背景技術】
【0003】
データ記憶装置の動作中に、当該データ記憶装置のメモリ装置のメモリセルのセル状態に関連付けられた読み出し閾値がシフトすることがある。読み出し閾値のシフトは、読み出しディスターブエフェクト、読み出し温度、前回の書き込み温度、温度変動、メモリセルの物理的劣化、プログラム/消去サイクルの数、メモリ装置のダイ間の変動などによって引き起こされ得る。読み出し閾値がシフトすると、例えば読み出し要求に応答して無効なデータ又は破損したデータを返すことにより、データ記憶装置のサービス品質(QoS)を低下させる可能性がある。
【0004】
読み出し閾値校正動作は、メモリセルの最適化された読み出し閾値を決定するために実行される。読み出し閾値校正動作は、バレー探索及びビット誤り率(BER)推定スキャン(BES)を含み得る。バレー探索は、異なる電圧点間の導通セルの差を測定することによってセル電圧分布(CVD)内のバレーを探索するプロセスにより実行され得る。換言すれば、バレー探索は、セル状態間で最小値を探す。しかしながら、バレー探索動作の探索パラメーターによっては、この最小値が絶対的最小値ではなく局所的最小値になる場合がある。BES動作は、代表的なワードラインのページに多数のセンスを適用した後、BERの推定値としてシンドロームウェイト(SW)を順次算出するプロセスにより実行され得る。換言すれば、BES動作は、代表的なワードラインの論理ページごとにシフトされた読み出し値を有する複数のセンス動作を適用する。BES動作は、分析アルゴリズムを適用して、代表的なワードラインのページについての各読み出し閾値の最適シフトを計算する。読み出し閾値校正は、レイテンシに重大な影響を与える可能性があり、アイドル時に実行されるか又は読み出し不良が発生したときに実行され得る、高価で時間のかかる動作である。
【0005】
したがって、本技術分野では、データ記憶装置のレイテンシを短縮し、データ記憶装置のサービス品質を向上させるために、改良された読み出し閾値校正動作が求められる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一般に、ソリッドステートドライブ(SSD)及びiNAND記憶装置などのデータ記憶装置に関し、より具体的には、データ記憶装置のメモリ装置の読み出し閾値の校正に関する。データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。読み出し閾値校正動作が発生すると、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページが検知され、その結果、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページの読み出し閾値が取得される。取得された読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件は、検知されなかった代表的なワードラインの残りのページの他の読み出し閾値を取得するためにモデルに提供される。このモデルは、代表的なワードラインのあるページの読み出し閾値を同一の代表的なワードラインの別のページと相関させ、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を考慮する。
【0007】
一実施形態では、データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、メモリ装置の代表的なワードラインの複数のページの第1ページに対して読み出し閾値校正動作を実行して、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を取得し、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を決定し、機械学習モデルを使用して、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件に基づいて、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値を生成するように構成される。
【0008】
別の実施形態では、データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、代表的なワードラインの第1ページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を代表的なワードラインの第2ページの1つ以上の他のセル状態の読み出し閾値と相関させるモデルを生成及び更新すること、このモデルに基づいて、代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測することであって、読み出し閾値校正動作が代表的なワードラインのページに対して実行されない、予測すること、代表的なワードラインのページのセル状態の予測された校正済みの読み出し閾値を、代表的なワードラインのページのセル状態の対応する読み出し閾値と関連付けること、を実行するように構成される。
【0009】
さらに別の実施形態では、データ記憶装置は、メモリ手段と、メモリ手段に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、代表的なワードラインの複数のページのうちの総ページ数の全部よりも少ないページに対して読み出し閾値校正動作を実行し、代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測するように構成される。読み出し閾値校正動作は、代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページに対して実行されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明は、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって理解され得る。しかしながら、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって本開示は他の同様に効果的な実施形態を許容し得るため、本開示の範囲を限定するものとみなされないことに留意されたい。
【0011】
【
図1】特定の実施形態による、データ記憶装置がホスト装置用の記憶装置として機能し得る記憶システムを示す概略ブロック図である。
【0012】
【
図2】特定の実施形態による、トリプルレベルセル(TLC)メモリの閾値電圧を示すグラフである。
【0013】
【
図3】特定の実施形態による、代表的なワードラインについての読み出し閾値校正動作の簡略化された概略図である。
【0014】
【
図4】特定の実施形態による、TLCメモリのセル状態間の相関を示すグラフである。
【0015】
【
図5】特定の実施形態による、機械学習(ML)モデルを利用して、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに対応する1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測する動作の概略図である。
【0016】
【
図6】特定の実施形態による、MLトレーニング動作を示す図である。
【0017】
【
図7A】特定の実施形態による、代表的なワードラインの読み出し閾値を校正する従来の方法を示すフロー図である。
【0018】
【
図7B】特定の実施形態による、代表的なワードラインのセル状態の読み出し閾値間の相関を活用することによって読み出し閾値を校正する方法を示すフロー図である。
【0019】
理解を容易にするために、可能であれば、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照符号が使用されている。一実施形態で開示された要素は、特に言及することなく他の実施形態でも有益に利用できることが考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について言及する。しかしながら、本開示は、具体的に説明された実施形態に限定されないことを理解されたい。その代わりに、以下の特徴及び要素の任意の組み合わせが、異なる実施形態に関連するか否かに関わらず、本開示を実施及び実践するために企図される。さらに、本開示の実施形態は、他の可能な解決策及び/又は従来技術を上回る利点を達成することができるが、所与の実施形態によって特定の利点が達成されるか否かは、本開示を限定するものではない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態、及び利点は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素又は制限とはみなされない。同様に、「本開示」への言及は、本明細書に開示される発明の主題を一般化したものとして解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に明示的に記載されている場合を除き、添付の特許請求の範囲の要素又は制限とはみなされない。
【0021】
本開示は、一般に、ソリッドステートドライブ(SSD)及びiNAND記憶装置などのデータ記憶装置に関し、より具体的には、データ記憶装置のメモリ装置の読み出し閾値の校正に関する。データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。読み出し閾値校正動作が発生すると、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページが検知され、その結果、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページの読み出し閾値が取得される。取得された読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件は、検知されなかった代表的なワードラインの残りのページの他の読み出し閾値を取得するためにモデルに提供される。このモデルは、代表的なワードラインのあるページの読み出し閾値を同一の代表的なワードラインの別のページと相関させ、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を考慮する。
【0022】
図1は、特定の実施形態による、ホスト装置104用の記憶装置として機能し得るデータ記憶装置106を有する記憶システム100を示す概略ブロック図である。例えば、ホスト装置104は、データ記憶装置106に含まれる不揮発性メモリ(NVM)110を利用して、データを記憶及び検索し得る。ホスト装置104はホストDRAM138を含む。いくつかの例では、記憶システム100は、ストレージアレイとして動作し得る、データ記憶装置106などの複数の記憶装置を含み得る。例えば、記憶システム100は、ホスト装置104用の大容量記憶装置として集合的に機能するレイド(RAID,Redundant Array of Inexpensive/Independent Disks)として構成された複数のデータ記憶装置106を含み得る。
【0023】
ホスト装置104は、データ記憶装置106などの1つ以上の記憶装置へのデータの記憶及び/又は記憶装置からのデータの検索を実行し得る。
図1に示すように、ホスト装置104は、インターフェース114を介してデータ記憶装置106と通信し得る。ホスト装置104は、コンピュータサーバ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)ユニット、デスクトップコンピュータ、ノートブック(即ち、ラップトップ)コンピュータ、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、いわゆる「スマート」フォンなどの電話ハンドセット、いわゆる「スマート」パッド、テレビ、カメラ、ディスプレイ装置、デジタルメディアプレーヤー、ビデオゲームコンソール、ビデオストリーミング装置、又はデータ記憶装置からデータを送受信できるその他の装置などを含む種々の装置のいずれかを含み得る。
【0024】
ホストDRAM138は、任意選択でホストメモリバッファ(HMB)150を含み得る。HMB150は、データ記憶装置106のコントローラ108により排他的に使用されるためにデータ記憶装置106に割り当てられるホストDRAM138の一部である。例えば、コントローラ108は、マッピングデータ、バッファされたコマンド、論理対物理(L2P)テーブル、メタデータなどをHMB150に記憶し得る。換言すれば、HMB150は、通常は揮発性メモリ112、バッファ116、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などのコントローラ108の内部メモリなどに記憶されるデータを記憶するためにコントローラ108によって使用され得る。データ記憶装置106がDRAM(即ち、オプションのDRAM118)を含まない例では、コントローラ108は、HMB150をデータ記憶装置106のDRAMとして利用し得る。
【0025】
データ記憶装置106は、コントローラ108、NVM110、電源111、揮発性メモリ112、インターフェース114、書き込みバッファ116、及びオプションのDRAM118を含む。いくつかの例では、データ記憶装置106は、明確にするために
図1に図示されていない追加のコンポーネントを含み得る。例えば、データ記憶装置106は、データ記憶装置106のコンポーネントが機械的に取り付けられ、データ記憶装置106のコンポーネントなどを電気的に相互接続する導電性トレースを含むプリント回路基板(PCB)を含み得る。いくつかの例では、データ記憶装置106の物理的寸法及びコネクタ構成は、1つ以上の標準フォームファクタに適合し得る。標準フォームファクタのいくつかの例は、3.5インチデータ記憶装置(例えば、HDD又はSSD)、2.5インチデータ記憶装置、1.8インチデータ記憶装置、周辺機器相互接続(PCI)、PCI拡張(PCI-X)、PCI Express(PCIe)(例えば、PCIe x1、x4、x8、x16、PCIe Mini Card、MiniPCIなど)を含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、データ記憶装置106は、ホスト装置104のマザーボードに直接結合され得る(例えば、コネクタに直接はんだ付けされ又は差し込まれ得る)。
【0026】
インターフェース114は、ホスト装置104とデータを交換するためのデータバス、及びホスト装置104とコマンドを交換するための制御バスの一方又は両方を含み得る。インターフェース114は、任意の適切なプロトコルに従って動作し得る。例えば、インターフェース114は、アドバンストテクノロジーアタッチメント(ATA)(例えば、シリアルATA(SATA)及びパラレルATA(PATA))、ファイバーチャネルプロトコル(FCP)、小型コンピューターシステムインターフェース(SCSI)、シリアル接続SCSI(SAS)、PCI、及びPCIe、不揮発性メモリエクスプレス(NVMe)、OpenCAPI、GenZ、キャッシュ・コヒーレント・インターフェース・アクセラレータ(CCIX)、オープンチャネルSSD(OCSSD)などのプロトコルのうちの1つ以上に従って動作し得る。インターフェース114(例えば、データバス、制御バス、又はその両方)は、コントローラ108に電気的に接続され、ホスト装置104とコントローラ108との間に電気接続を提供し、ホスト装置104とコントローラ108との間でデータを交換できるようにする。いくつかの例では、インターフェース114の電気接続により、データ記憶装置106がホスト装置104から電力を受け取ることも可能になり得る。例えば、
図1に示すように、電源111は、インターフェース114を介してホスト装置104から電力を受け取り得る。
【0027】
NVM110は、複数のメモリ装置又はメモリユニットを含み得る。NVM110は、データを記憶及び/又は検索するように構成され得る。例えば、NVM110のメモリユニットは、データと、メモリユニットにデータを記憶するように指示するメッセージとをコントローラ108から受信し得る。同様に、メモリユニットは、メモリユニットにデータを検索するように指示するメッセージをコントローラ108から受信し得る。いくつかの例では、メモリユニットのそれぞれはダイと呼ばれることがある。いくつかの例では、NVM110は複数のダイ(即ち、複数のメモリユニット)を含み得る。いくつかの例では、各メモリユニットは、比較的大量のデータ(例えば、128MB、256MB、512MB、1GB、2GB、4GB、8GB、16GB、32GB、64GB、128GB、256GB、512GB、1TBなど)を記憶するように構成され得る。
【0028】
いくつかの例では、各メモリユニットは、フラッシュメモリ装置、相変化メモリ(PCM)装置、抵抗性ランダムアクセスメモリ(ReRAM)装置、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置、強誘電体ランダムアクセスメモリ(F-RAM)、ホログラフィックメモリ装置、及びその他のいかなるタイプの不揮発性メモリ装置などの任意のタイプの不揮発性メモリ装置を含み得る。
【0029】
NVM110は、複数のフラッシュメモリ装置又はメモリユニットを含み得る。NVMフラッシュメモリ装置は、NAND又はNORベースのフラッシュメモリ装置を含み得、各フラッシュメモリセルのトランジスタのフローティングゲートに含まれる電荷に基づいてデータを記憶し得る。NVMフラッシュメモリ装置では、フラッシュメモリ装置は複数のダイに分割され得、複数のダイの各々は複数の物理ブロック又は論理ブロックを含み、それらはさらに複数のページに分割され得る。特定のメモリ装置内の複数のブロックの各々は、複数のNVMセルを含み得る。複数列のNVMセルは、複数のページのうちの1ページを定義するように、ワードラインを使用して電気的に接続され得る。複数のページの各々におけるそれぞれのセルは、それぞれのビットラインに電気的に接続され得る。さらに、NVMフラッシュメモリ装置は、2D又は3D装置であってもよく、シングルレベルセル(SLC)、マルチレベルセル(MLC)、トリプルレベルセル(TLC)、又はクワッドレベルセル(QLC)であってもよい。コントローラ108は、ページレベルでNVMフラッシュメモリ装置にデータを書き込んだり、NVMフラッシュメモリ装置からデータを読み出したりブロックレベルでNVMフラッシュメモリ装置からデータを消去したりすることができる。
【0030】
電源111は、データ記憶装置106の1つ以上のコンポーネントに電力を供給し得る。標準モードで動作する場合、電源111は、ホスト装置104などの外部装置によって供給される電力を使用して、1つ以上のコンポーネントに電力を供給し得る。例えば、電源111は、インターフェース114を介してホスト装置104から受け取った電力を使用して、1つ以上のコンポーネントに電力を供給し得る。いくつかの例では、電源111は、外部装置から電力が受け取られなくなる場合など、シャットダウンモードで動作する場合に、1つ以上のコンポーネントに電力を供給するように構成された1つ以上の蓄電コンポーネントを含み得る。このようにして、電源111は、オンボードのバックアップ電源として機能し得る。1つ以上の蓄電コンポーネントのいくつかの例は、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリなどを含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、1つ以上の蓄電コンポーネントにより蓄積され得る電力量は、その1つ以上の蓄電コンポーネントのコスト及び/又はサイズ(例えば、面積/体積)の関数であり得る。換言すれば、1つ以上の蓄電コンポーネントにより蓄積される電力量が増加するにつれて、その1つ以上の蓄電コンポーネントのコスト及び/又はサイズも増加する。
【0031】
揮発性メモリ112は、情報を記憶するためにコントローラ108によって使用され得る。揮発性メモリ112は、1つ以上の揮発性メモリ装置を含み得る。いくつかの例では、コントローラ108は、揮発性メモリ112をキャッシュとして使用し得る。例えば、コントローラ108は、キャッシュされた情報がNVM110に書き込まれるまで、このキャッシュされた情報を揮発性メモリ112に記憶し得る。
図1に示すように、揮発性メモリ112は、電源111から受け取った電力を消費し得る。揮発性メモリ112の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、及び同期ダイナミックRAM(SDRAM(例えば、DDR1、DDR2、DDR3、DDR3L、LPDDR3、DDR4、LPDDR4など))を含むが、それらに限定されない。同様に、オプションのDRAM118は、マッピングデータ、バッファされたコマンド、論理対物理(L2P)テーブル、メタデータ、キャッシュされたデータなどをオプションのDRAM118に記憶するために利用され得る。いくつかの例では、データ記憶装置106は、オプションのDRAM118を含まないため、DRAMのないものである。他の例では、データ記憶装置106はオプションのDRAM118を含む。
【0032】
コントローラ108は、データ記憶装置106の1つ以上の動作を管理し得る。例えば、コントローラ108は、NVM110からのデータの読み出し及び/又はNVM110へのデータの書き込みを管理し得る。いくつかの実施形態では、データ記憶装置106がホスト装置104から書き込みコマンドを受信すると、コントローラ108は、データをNVM110に記憶するデータ記憶コマンドを開始し、データ記憶コマンドの進行を監視し得る。コントローラ108は、記憶システム100の少なくとも1つの動作特性を決定し、少なくとも1つの動作特性をNVM110に記憶し得る。いくつかの実施形態では、データ記憶装置106がホスト装置104から書き込みコマンドを受信すると、コントローラ108は、書き込みコマンドに関連付けられたデータを、データをNVM110に送信する前に、内部メモリ又は書き込みバッファ116に一時的に記憶する。
【0033】
コントローラ108は、オプションの第2の揮発性メモリ120を含み得る。オプションの第2の揮発性メモリ120は、揮発性メモリ112と同様であり得る。例えば、オプションの第2の揮発性メモリ120はSRAMであり得る。コントローラ108は、オプションの第2の揮発性メモリの一部をコントローラメモリバッファ(CMB)122としてホスト装置104に割り当て得る。CMB122は、ホスト装置104によって直接アクセスされ得る。例えば、ホスト装置104内に1つ以上のサブミッションキューを維持するのではなく、ホスト装置104は、CMB122を利用して、ホスト装置104内に通常維持される1つ以上のサブミッションキューを記憶し得る。換言すれば、ホスト装置104はコマンドを生成し、生成コマンドを関連データの有無にかかわらずCMB122に記憶し得、ここで、コントローラ108は、記憶された生成コマンド及び/又は関連データを検索するためにCMB122にアクセスする。
【0034】
図2は、特定の実施形態による、TLCメモリの閾値電圧を示すグラフ200である。TLCメモリには3ビットが含まれており、ここで、各ビットは0又は1のプログラム状態を有し得る。プログラム状態とは、メモリセルが空であるか(即ち、データが存在しない)又はプログラムされた(即ち、データが存在する)かにかかわらず、メモリセルの状態を指す。さらに、プログラム状態の一意の組み合わせの数は、(電圧レベルの合計数)=2^(メモリセルあたりのビット数)の式で解くことができる。TLCメモリの場合、2^3=8でため、電圧レベルの数は8である。
【0035】
メモリセルのビット数が増加すると、メモリセルはより多くの情報を記録できるようになり、より大きなデータストレージになり得る。さらに、プログラム状態の一意の組み合わせの式は、SLCメモリ、TLCメモリ、QLCメモリ、ペンタレイヤーセル(PLC)メモリ、及びその他のメモリ密度に適用され得る。
【0036】
プログラム状態0はプログラム済み状態を指し、プログラム状態1は消去済み状態を指す。TLCメモリには8つの電圧レベルがあり、そのうち、1つは消去され、7つはプログラムされた。さらに、消去された1つの電圧レベルは、プログラム状態111のビットの組み合わせを有する。どのメモリセルでも、ビットの組み合わせにはプログラム状態1のみが含まれている場合、このプログラム状態は消去済み状態である(例えば、SLCの場合は1、MLCの場合は11、QLCの場合は1111)。
図2において、X軸上のVtで表される最低閾値電圧から最高閾値電圧までリストすると、電圧レベルは、セル状態が消去済み状態である場合に111、セル状態Aの場合に110、セル状態Bの場合に100、セル状態Cの場合に000、セル状態Dの場合に010、セル状態Eの場合に011、セル状態Fの場合に001、セル状態Gの場合に101である。
【0037】
TLCメモリセルの場合、セル状態(即ち、###)の各ビットは、TLCメモリセルのアッパーページ、ミドルページ、及びロアーページのうちの1つに対応する。さらに、VA、VB、VC、VD、VE、VF、及びVGとラベル付けされた曲線間の線は、閾値又は基準電圧に関連する。その他のメモリセルの場合、閾値又は基準電圧の数は、(閾値又は基準電圧の数)=(電圧レベルの合計数)-1の式で解くことができる。データの個々のページは、1つ以上の閾値点で多数の比較を実行し、セル電圧が閾値より低いか高いかを決定することによって読み出すことができる。各電圧曲線は、それぞれのセル状態についての電圧分布を表す。セル状態分布曲線は例示的な実施形態であることを理解されたい。さらに、セル状態の電圧曲線の末尾は、隣接するセル状態の電圧曲線の先頭と重なり得ること、またその逆もあり得ることを理解されたい。
【0038】
データ記憶装置の動作中に、閾値電圧曲線がシフトし、その結果、閾値電圧がシフトする可能性がある。
図2では、A*、B*、C*、D*、E*、F*、及びG*とラベル付けされた、破線で描かれた曲線は、読み出し閾値がシフトされたメモリセルを例示する。このシフトは、読み出しディスターブエフェクト、読み出し温度、前回の書き込み温度、温度変動、メモリセルの物理的劣化、プログラム/消去サイクルの数、メモリ装置のダイ間の変動などによって引き起こされ得る。読み出し動作がかなりの数のビット誤りにより失敗しないように、シフトされた読み出し閾値を考慮するために、ワードラインに対して読み出し閾値校正動作が実行されて、各セル状態の読み出し閾値が校正される。TLCメモリは、ロアーページ(LP)、ミドルページ(MP)、及びアッパーページ(UP)を含む。各ページは、1つ以上のセル状態に対応し得る。例えば、TLCメモリのLPはセル状態A及びセル状態Eに対応し、TLCメモリのMPはセル状態B、セル状態D、及びセル状態Fに対応し、TLCメモリのUPはセル状態C及びセル状態Gに対応する。
【0039】
特定のページについての読み出し閾値を決定するために、対応するセル状態のそれぞれに1つ以上のセンス動作が実行される。例えば、TLCメモリのLPのセル状態の校正済みの読み出し閾値を決定するために、セル状態Aの各閾値境界において1つ以上のセンス動作が発生し、セル状態Eの各閾値境界において1つ以上のセンス動作が発生する。同様に、ワードライン全体に対して読み出し校正動作を実行するために、対応するセル状態のそれぞれに対して1つ以上のセンス動作が実行される。
【0040】
図3は、特定の実施形態による、代表的なワードラインについての読み出し閾値校正動作300の簡略化された概略図である。代表的なワードラインは、NVM110内のTLCメモリのワードラインであり得る。換言すれば、ワードラインは
図2に示す閾値電圧を有し得る。本明細書では、例示の目的で、
図1の記憶システム100の態様及び
図2のグラフ200の態様が参照され得る。代表的なワードラインは、読み出し不良のあるワードライン、又は時間及び温度の更新によってトリガされたワードラインであってもよく、これは周期的であってもよいし、又はそれぞれの閾値を超える時間又は温度によってトリガされてもよい。代表的なワードラインに読み出し不良がある場合、又は代表的なワードラインが時間及び温度の更新によってトリガされた場合、代表的なワードラインの各セル状態の読み出し閾値が校正されるように、代表的なワードラインに対して読み出し閾値校正動作が実行され得る。さらに、読み出し閾値校正は、非限定的な例では、BES動作であり得る。
【0041】
ステップ302において、コントローラ108は、代表的なワードラインのLPに対して読み出し閾値校正動作を実行する。代表的なワードラインのLPに対する読み出し閾値校正動作は、セル状態A(セル状態Aがシフトした場合はセル状態A*)及びセル状態E(セル状態Eがシフトした場合はセル状態E*)の閾値のために最適化された値を提供し得る。換言すれば、読み出し閾値校正動作は、各ページの対応するセル状態について最適化された読み出し閾値を検知する。ステップ304において、コントローラ108は、代表的なワードラインのMPに対して読み出し閾値校正動作を実行する。代表的なワードラインのMPに対する読み出し閾値校正動作は、セル状態B(セル状態Bがシフトした場合はセル状態B*)、セル状態D(セル状態Dがシフトした場合はセル状態D*)、及びセル状態F(セル状態Fがシフトした場合はセル状態F*)の閾値のために最適化された値を提供し得る。ステップ306において、コントローラ108は、代表的なワードラインのUPに対して読み出し閾値校正動作を実行する。代表的なワードラインのUPに対する読み出し閾値校正動作は、セル状態C(セル状態Cがシフトした場合はセル状態C*)及びセル状態G(セル状態Gがシフトした場合はセル状態G*)の閾値のために最適化された値を提供し得る。
【0042】
図4は、特定の実施形態による、TLCメモリのセル状態間の相関を示すグラフ400である。グラフ400に示される相関は、MLCメモリ、QLCメモリなどの他のメモリアーキテクチャにも適用可能であることを理解されたい。読み出し閾値間の相互相関から生成された経験値を取得し、モデルに入力して、代表的なワードラインのセル状態間の閾値電圧を相関させ得る。相関は、各マトリックスエントリの曲線の対角線に沿って見られ得、ここで、スコアが高いほど、対応するセル状態の閾値電圧間の相互相関が高くなる。スコアは、モデルによって生成された相関値であり得、このモデルが代表的なワードラインの他のセル状態の読み出し閾値の予測を可能にする機械学習(ML)モデルであり得る。
【0043】
換言すれば、代表的なワードラインの単一ページ(又は、他の実施形態では、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページ)に対して読み出し閾値校正動作を実行することによって、読み出し閾値校正に関連付けられていない代表的なワードラインの他のページの他の読み出し閾値を予測し得る。予測された読み出し閾値は、対応するセル状態に適用され、後続の読み出し動作で使用される。さらに、読み出し閾値校正動作は、代表的なワードラインの全ページよりも少ないページに対して実行されるため、代表的なワードラインの全ページに対する読み出し閾値の校正は、代表的なワードラインの全ページに適用されている以前の読み出し閾値動作よりも高速になり得る。「全ページよりも少ないページ」という表現は、総ページ数よりも少ない任意の数のページを指し得ることを理解されたい。例えば、QLCメモリでは、「全ページよりも少ないページ」は、2ページであり得る。
【0044】
図5は、特定の実施形態による、MLモデルを利用して、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに対応する1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測する動作500の概略図である。代表的なワードラインは、NVM110内のTLCメモリのワードラインであり得る。換言すれば、ワードラインは
図2に示す閾値電圧を有し得る。本明細書では、例示の目的で、
図1の記憶システム100の態様及び
図2のグラフ200の態様が参照され得る。
【0045】
ブロック502において、コントローラ108は、代表的なワードラインのUPに対して、BES動作であり得る読み出し閾値校正動作を実行する。ブロック504において、セル状態C及びセル状態Gについての最適化された読み出し閾値が検知される。ブロック506において、セル状態C及びセル状態Gについての最適化された読み出し閾値がMLモデルに提供され、ここで、MLモデルは、代表的なワードラインのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値の相関を利用して、代表的なワードラインの別のページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測する。さらに、モデルをより適切に校正又は調整してより正確な結果を提供するように、ブロック506において1つ以上の物理的条件をMLモデルに提供し得る。例えば、1つ以上の物理的条件は、代表的なワードラインの温度、代表的なワードラインのプログラム/消去数、代表的なワードラインのBERなどであり得る。1つ以上の物理的条件により、代表的なワードラインの様々なセル状態の読み出し閾値がシフトし得る。したがって、1つ以上の物理的条件と、ブロック502における読み出し閾値校正動作から見つかった最適化された読み出し閾値とを使用して、MLモデルは、代表的なワードラインの他のセル状態についての最適化された読み出し閾値を予測できるようになり得る。
【0046】
MLモデルは、より良好な結果を得るために、受信した1つ以上の物理的条件及び受信した最適化された読み出し閾値を利用してモデルをさらに最適化し得ることを理解されたい。MLモデルのトレーニングは、ラボデータやその他のパラメーターを使用して、教師ありトレーニングによりオフラインで完了し得る。例えば、ランダムフォレスト、XGBoost、CatBoost、及びニューラルネットワークを利用して、NVM110のメモリセルの読み出し閾値をトレーニング及びモデル化し得る。同様に、MLモデルのトレーニングは、Kmeans法やガウスクラスタリング法などのクラスタリング法を使用した読み出し閾値レベルの教師なしクラスタリングに基づいて行われ得る。非限定的な例では、2つ又は3つのグループの状態閾値をクラスタリングすることにより、BESなどの読み出し閾値校正動作を使用してどの論理ページを測定するかを決定し得る。前に参照されたトレーニング方法は限定することを意図したものではなく、可能な実施形態の一例を提供することを意図したものであることを理解されたい。さらに、コントローラ108は、MLモデルに基づいて読み出し閾値を予測するのではなく、従来の読み出し閾値校正動作を実行することを決定し得ることを理解されたい。この決定は、異なる条件におけるMLモデルの成功率の関数に基づいて行われ得る。例えば、コントローラが、十分にトレーニングされていない環境条件及びワークロードで動作している場合、より多くの従来の読み出し閾値校正動作が、代表的なワードラインの読み出し閾値を校正するように利用され得る。しかしながら、コントローラが、十分にトレーニングされた環境条件及びワークロードで動作している場合、より多くの、MLモデルを使用した予測動作が実行され得る。
【0047】
ブロック508において、MLモデルは、セル状態B、セル状態D、及びセル状態Fに対応するMPの最適化された読み出し閾値を提供する。同様に、ブロック510において、MLモデルは、セル状態A及びセル状態Eに対応するLPの最適化された読み出し閾値を提供する。コントローラ108は、代表的なワードラインを読み出すときに、校正済みの読み出し閾値が使用されるように、UP、MP、及びLPの読み出し閾値を代表的なワードラインに関連付け得る。
【0048】
図6は、特定の実施形態による、TLCメモリのMLトレーニング動作600を示す図である。MLトレーニング動作600はディシジョンツリー602を含み、ここで、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件及び代表的なワードラインの複数のページの1ページの校正済みの読み出し閾値がディシジョンツリー602に入力される。MLトレーニング動作600では、BES動作などの読み出し閾値校正動作によって取得された、代表的なワードラインのMPの校正済みの読み出し閾値がディシジョンツリー602に提供される。ディシジョンツリー602は、代表的なワードラインのページの読み出し閾値を代表的なワードラインの別のページの読み出し閾値と相関させるMLモデルを利用して、セル状態Eの最適化された読み出し閾値を予測する。
【0049】
図7Aは、特定の実施形態による、代表的なワードラインの読み出し閾値を校正する従来の方法700を示すフロー図である。本明細書では、例示の目的で、
図1の記憶システム100の態様及び
図2のグラフ200の態様が参照され得る。方法750は、コントローラ108によって実施され得る。
【0050】
ブロック702において、タイムタグの更新が開始される。別の例では、従来の方法700は、読み出し不良の発生によってトリガされ得る。読み出し閾値校正動作は、列挙されていない他の動作によってトリガされてもよいことを理解されたい。ブロック704において、代表的なワードライン(WL)のLPに対して読み出し閾値校正動作が実行され、ここで、代表的なWLはTLCメモリである。ブロック706において、代表的なWLのMPに対して読み出し閾値校正動作が実行される。ブロック708において、代表的なWLのUPに対して読み出し閾値校正動作が実行される。ブロック710において、タイムタグの更新が完了する。
【0051】
図7Bは、特定の実施形態による、代表的なワードラインのセル状態の読み出し閾値間の相関を活用することによって読み出し閾値を校正する方法750を示すフロー図である。本明細書では、例示の目的で、
図1の記憶システム100の態様及び
図2のグラフ200の態様が参照され得る。方法750は、コントローラ108によって実施され得る。
【0052】
ブロック752において、タイムタグの更新が開始される。別の例では、方法750は、読み出し不良の発生によってトリガされ得る。読み出し閾値校正動作は、列挙されていない他の動作によってトリガされてもよいことを理解されたい。ブロック754において、代表的なWLのMPに対して読み出し閾値校正動作が実行され、ここで、代表的なWLはTLCメモリである。ブロック756において、コントローラ108は、モデルを使用して他のページ(即ち、代表的なWLのLP及びUP)の読み出し閾値を予測し、ここで、このモデルはMLモデルであり得る。MP代表的なWLの読み出し閾値は、代表的なWLの1つ以上の物理的条件とともにモデルに提供される。モデルは、モデルの相関値、代表的なWLの1つ以上の物理的条件、及び代表的なWLのMPの読み出し閾値に基づいて、他のページ(即ち、代表的なWLのLP及びUP)の読み出し閾値を予測する。ブロック758において、タイムタグの更新が完了する。
【0053】
あるページの読み出し閾値を代表的なワードラインの別のページと相関させ、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を考慮するモデルを利用することによって、代表的なワードラインについての読み出し閾値校正動作の完了速度が速くなり得るため、データ記憶装置のパフォーマンスが向上し得る。
【0054】
一実施形態では、データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、メモリ装置の代表的なワードラインの複数のページのうちの第1ページに対して読み出し閾値校正動作を実行して、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を取得し、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を決定し、機械学習モデルを使用して、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件に基づいて、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値を生成するように構成される。
【0055】
読み出し閾値校正動作は、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに対して実行されない。機械学習モデルは、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値と相関させる。生成は、代表的なワードラインの第1ページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件を機械学習モデルに入力することを含む。代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件は、温度、プログラム/消去サイクル数、及びビット誤り率を含む。代表的なワードラインは、マルチレベルセル(MLC)メモリ、トリプルレベルセル(TLC)メモリ、又はクワッドレベルセル(QLC)メモリである。機械学習モデルは、教師ありトレーニングを使用してオフラインでトレーニングされる。機械学習モデルは、クラスタリング方法を使用した読み出し閾値レベルの教師なしクラスタリングに基づいてトレーニングされる。コントローラは、さらに、生成された代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値を、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態に適用するように構成される。コントローラは、さらに、代表的なワードラインに関連付けられたワークロードを決定し、代表的なワードラインに関連付けられたワークロード又は代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件のいずれかが機械学習モデルに適合していないと決定し、代表的なワードラインに関連付けられたワークロード又は代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件のいずれかが機械学習モデルに適合していないとの決定に応答して、読み出し閾値校正を実行するように構成され、代表的なワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値。機械学習モデルを使用して、代表ワードラインの1つ以上の他のページに関連付けられた1つ以上の他のセル状態の1つ以上の他の読み出し閾値を生成することは、代表的なワードラインに関連付けられたワークロード及び代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件の両方が機械学習モデルに適合しているときに発生する。
【0056】
別の実施形態では、データ記憶装置は、メモリ装置と、メモリ装置に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、代表的なワードラインの第1ページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を、代表的なワードラインの第2ページの1つ以上の他のセル状態の読み出し閾値と相関させるモデルを生成及び更新すること、このモデルに基づいて、代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測することであって、読み出し閾値校正動作が代表的なワードラインのページに対して実行されない、予測すること、代表的なワードラインのページのセル状態の予測された校正済みの読み出し閾値を、代表的なワードラインのページのセル状態の対応する読み出し閾値と関連付けることを、実行するように構成される。
【0057】
モデルは機械学習モデルである。予測された代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値は、読み出し閾値校正を用いて取得された、代表的なワードラインの別のページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を利用して予測される。予測は、代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件をさらに利用する。代表的なワードラインの1つ以上の物理的条件は、温度、プログラム/消去サイクル数、及びビット誤り率を含む。クワッドレベルセル(QLC)メモリの場合において、上記予測は、読み出し閾値校正を用いて取得された、代表的なワードラインの別のページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値をさらに利用する。コントローラは、さらに、モデルを利用して代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測する成功率の記録を保持し、そして、モデルを使用して、代表的なワードラインのページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を予測するか、又は読み出し校正動作を実行して、ページのセル状態の校正済みの読み出し閾値を取得するように構成される。予測は、成功率が閾値以上である場合に発生する。読み出し校正動作の実行は、成功率が閾値未満である場合に発生する。
【0058】
別の実施形態では、データ記憶装置は、メモリ手段と、メモリ手段に結合されたコントローラとを含む。コントローラは、代表的なワードラインの複数のページのうちの総ページ数の全部よりも少ないページに対して読み出し閾値校正動作を実行し、代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を予測するように構成される。読み出し閾値校正動作は、代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページに対して実行されない。
【0059】
コントローラは、さらに、予測された代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値を、代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の校正済みの読み出し閾値として利用するように構成される。予測は、代表的なワードラインの複数のページのうちの総ページ数の全部よりも少ないページに関連付けられた1つ以上のセル状態の読み出し閾値を代表的なワードラインの複数のページのうちの残りのページの1つ以上のセル状態の読み出し閾値と相関させる機械学習モデルを利用する。
【0060】
以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【外国語明細書】