(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102814
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】検体処理装置およびそれを備えた核酸検出一体機
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206167
(22)【出願日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】202310101094.0
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518344542
【氏名又は名称】シェンチェン・ニュー・インダストリーズ・バイオメディカル・エンジニアリング・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン・リー
(72)【発明者】
【氏名】タン・ジュンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュー・リアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・イーシエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】ホー・グオヤオ
(72)【発明者】
【氏名】シアオ・ハオ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029FA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検体処理装置およびそれを備えた核酸検出一体機を提供する。
【解決手段】検体処理装置は、サンプル処理プラットフォーム11を有する枠体10と、分析物を抽出するための抽出機構30と、サンプル処理プラットフォームの上方に移動可能に設けられる掴み取り部40と、サンプル処理プラットフォームに移動可能に設けられる転移部材50と、サンプル処理プラットフォームの上方に可動的に設けられる液体移送部と、を含み、転移部材は、第1の転移位置を有する抽出プレート転移部材53を含み、掴み取り部は、第1の掴み取り位置と第2の掴み取り位置とを有し、抽出プレート転移部材が第1の転移位置に位置する場合、掴み取り部は、第1と第2の掴み取り位置との間で移動することができ、抽出プレート転移部材は、サンプル添加位置をさらに有し、抽出プレート転移部材がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送部は、第1の液体移送位置をさらに有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル処理プラットフォーム(11)を有する枠体(10)と、
検体における分析物を抽出するための抽出機構(30)と、
前記サンプル処理プラットフォーム(11)の上方に縦方向および第1の水平方向に沿って移動可能に設けられる掴み取り部(40)と、
前記サンプル処理プラットフォーム(11)に前記第1の水平方向に垂直な第2の水平方向に沿って移動可能に設けられる転移部材(50)と、
前記サンプル処理プラットフォーム(11)の上方に可動的に設けられる液体移送部(60)と、を含み、
前記転移部材(50)は、前記掴み取り部(40)の下方に対応して移動する第1の転移位置を有する抽出プレート転移部材(53)を含み、
前記掴み取り部(40)は、前記抽出プレート転移部材(53)の上方に位置する第1の掴み取り位置と、前記抽出機構(30)の上方に位置する第2の掴み取り位置とを有し、
前記抽出プレート転移部材(53)が前記第1の転移位置に位置する場合、前記掴み取り部(40)は、抽出プレートを前記抽出プレート転移部材(53)と前記抽出機構(30)との間で移動させるように、前記第1の掴み取り位置と前記第2の掴み取り位置との間で移動することができ、
前記抽出プレート転移部材(53)は、対応する前記液体移送部(60)に移動するサンプル添加位置をさらに有し、
前記抽出プレート転移部材(53)が前記サンプル添加位置に位置する場合、前記液体移送部(60)は、前記抽出プレート転移部材(53)の上方に移動する第1の液体移送位置をさらに有する、ことを特徴とする検体処理装置。
【請求項2】
前記転移部材(50)は、増幅プレート転移部材(54)をさらに含み、
前記抽出プレート転移部材(53)および前記増幅プレート転移部材(54)は、いずれも前記第2の水平方向に沿って移動し、
前記増幅プレート転移部材(54)は、前記抽出プレート転移部材(53)と面一になる核酸添加位置を有し、
前記液体移送部(60)は、前記増幅プレート転移部材(54)の上方に対応する第2の液体移送位置をさらに有し、
前記抽出プレート転移部材(53)が前記サンプル添加位置に位置するとともに、前記増幅プレート転移部材(54)が前記核酸添加位置に位置する場合、前記液体移送部(60)は、前記第1の液体移送位置と前記第2の液体移送位置との間で切り替えることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記抽出機構(30)は、抽出部材(31)と、前記抽出部材(31)に前記第2の水平方向に沿って移動可能に穿設される転送部材(32)とを含み、
前記転送部材(32)は、前記掴み取り部(40)の下方に対応して位置する転送位置と、前記抽出部材(31)の下方に位置する抽出位置とを有し、
前記抽出プレート転移部材(53)が前記第1の転移位置に位置するとともに、前記転送部材(32)が前記転送位置に位置する場合、前記掴み取り部(40)は、前記抽出プレートを前記抽出プレート転移部材(53)と前記転送部材(32)との間で移動させることができる、ことを特徴とする請求項2に記載の検体処理装置。
【請求項4】
増幅プレートを封止するためのフィルム封止機構(70)をさらに含み、
前記フィルム封止機構(70)は、載置部材(72)と、増幅プレートを封止するための熱プレス部材(71)とを含み、
前記熱プレス部材(71)は、前記載置部材(72)の上方に位置し、
前記載置部材(72)は、前記サンプル処理プラットフォーム(11)に前記第2の水平方向に沿って移動可能に設けられており、
前記載置部材(72)は、増幅プレートを載置するための増幅プレート載置位置(722)を有し、
前記増幅プレート転移部材(54)は、前記掴み取り部(40)の下方に位置する第2の転移位置を有し、
前記掴み取り部(40)は、前記載置部材(72)の上方に位置する第3の掴み取り位置と、前記増幅プレート転移部材(54)の上方に位置する第4の掴み取り位置とをさらに有し、
前記増幅プレート転移部材(54)が前記第2の転移位置に位置する場合、前記掴み取り部(40)は、前記増幅プレートを前記増幅プレート転移部材(54)から前記増幅プレート載置位置(722)に移動させるように、前記第3の掴み取り位置と前記第4の掴み取り位置との間で移動することができる、ことを特徴とする請求項2に記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記載置部材(72)は、蓋体を載置するための蓋体載置位置(721)をさらに有し、
前記掴み取り部(40)が前記第3の掴み取り位置に位置する場合、前記載置部材(72)は、前記蓋体載置位置(721)が前記掴み取り部(40)の下方に移動して前記掴み取り部(40)が前記蓋体を掴み取る分離位置と、前記増幅プレート載置位置(722)が前記掴み取り部(40)の下方に移動して前記掴み取り部(40)が前記蓋体を前記増幅プレートに放出する放出位置と、前記増幅プレート載置位置(722)が前記熱プレス部材(71)の下方に移動する封止位置とを有する、ことを特徴とする請求項4に記載の検体処理装置。
【請求項6】
前記フィルム封止機構(70)は、フィルム封止枠(73)と検出部材とを含み、
前記フィルム封止枠(73)は、前記サンプル処理プラットフォーム(11)に設けられており、
前記熱プレス部材(71)および前記検出部材は、いずれも前記フィルム封止枠(73)に固定して設置され、
前記載置部材(72)は、前記フィルム封止枠(73)に前記第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記検出部材は、前記載置部材(72)の載置状態を検出することができる、ことを特徴とする請求項5に記載の検体処理装置。
【請求項7】
前記蓋体載置位置(721)は、蓋体を位置制限する第1の位置制限突起を有し、および/または、
前記増幅プレート載置位置(722)は、増幅プレートを位置制限する第2の位置制限突起を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の検体処理装置。
【請求項8】
液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビン(80)をさらに含み、
前記液体移送部(60)は、前記消耗品格納ビン(80)の上方に移動して液体移送ヘッドをロードするロード位置を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項9】
前記液体移送部(60)は、サンプルアーム(61)と液体移送針(62)とを含み、
前記サンプルアーム(61)は、前記枠体(10)に水平移動可能に設けられるとともに、前記サンプル処理プラットフォーム(11)の上方に位置しており、
前記液体移送針(62)は、前記サンプルアーム(61)に縦方向に移動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項10】
前記枠体(10)は、前記サンプル処理プラットフォーム(11)の上方に位置する第1のガイドレール(12)および第2のガイドレール(13)をさらに含み、
前記第1のガイドレール(12)は、前記第1の水平方向に延伸し、前記第2のガイドレール(13)は、前記第2の水平方向に延伸し、
前記第1のガイドレール(12)は、前記第2のガイドレール(13)の下方に前記第2のガイドレール(13)の延伸方向に沿って移動可能に設けられ、
前記サンプルアーム(61)は、前記第1のガイドレール(12)に前記第1のガイドレール(12)の延伸方向に沿って移動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項9に記載の検体処理装置。
【請求項11】
前記掴み取り部(40)は、掴み取り枠と、前記掴み取り枠に縦方向に移動可能に設けられるグリッパーとを有し、
前記掴み取り枠は、前記枠体(10)に前記第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記グリッパーは、前記第1の掴み取り位置と前記第2の掴み取り位置とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項12】
抽出試薬および増幅試薬を調製するための試薬調製装置と、
測定混合物に対して分析物検出測定を行って検体を分析するための増幅検出装置と、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の検体処理装置と、を含む、ことを特徴とする核酸検出一体機。
【請求項13】
前記試薬調製装置、前記検体処理装置および前記増幅検出装置は、互いに隔離され、
前記試薬調製装置および前記増幅検出装置は、それぞれ前記検体処理装置の両側に位置し、
前記試薬調製装置と前記検体処理装置との間に第1の通路が設けられ、前記検体処理装置と前記増幅検出装置との間に第2の通路が設けられ、前記第1の通路および前記第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有し、および/または、
前記試薬調製装置と前記検体処理装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、
前記受け渡し機構は、前記第1の通路を通って抽出試薬を調製する抽出プレート、増幅試薬を調製する増幅プレートおよび蓋体を前記検体処理装置に移動させることができ、
前記検体処理装置の掴み取り部(40)は、前記抽出プレートを前記検体処理装置の抽出プレート転移部材(53)に移動させるとともに、前記増幅プレートを前記検体処理装置の増幅プレート転移部材(54)に移動させることができる、ことを特徴とする請求項12に記載の核酸検出一体機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物検出の技術分野に関し、具体的には検体処理装置およびそれを備えた核酸検出一体機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、核酸検出は、臨床診断、農業監視、食品安全などの分野で広く使用されており、特に、大規模な感染性疾患が発生した場合、核酸検出は、疾患の確診判断のゴールドスタンダードとすることができる。現在ではよく使用されている核酸検出方法は、PCR検出である。PCR検出の一般的な原理は、DNAポリメラーゼの触媒作用により、親鎖DNAをテンプレートとし、特定のプライマーを伸長開始点として、体外で親鎖DNAに相補的な子鎖DNAを複製する過程である。
【0003】
関連技術において、核酸検出一体機は、母鎖DNAの抽出を行うには、その複数のモジュールが互いに協働して完成する必要があり、各モジュールの間で消耗品の転移を可動的なグリッパーで行うことで、抽出試薬を利用してサンプルから母鎖DNAを抽出することを実現する。
【0004】
しかしながら、異なるモジュールの間の消耗品の転移は、異なるグリッパーによって実現する必要がある。あるいは、グリッパーの動作領域を十分に大きくする必要がある。上記の2つの解決策はいずれも大きなスペースを必要とし、装置の体積の増大を招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、関連技術における核酸検出一体機の体積が大きいという問題を解決するために、検体処理装置およびそれを備えた核酸検出一体機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一方面によれば、サンプル処理プラットフォームを有する枠体と、検体における分析物を抽出するための抽出機構と、サンプル処理プラットフォームの上方に縦方向および第1の水平方向に沿って移動可能に設けられる掴み取り部と、サンプル処理プラットフォームに第1の水平方向に垂直な第2の水平方向に沿って移動可能に設けられる転移部材と、サンプル処理プラットフォームの上方に可動的に設けられる液体移送部と、を含み、転移部材は、掴み取り部の下方に対応して移動する第1の転移位置を有する抽出プレート転移部材を含み、掴み取り部は、抽出プレート転移部材の上方に位置する第1の掴み取り位置と、抽出機構の上方に位置する第2の掴み取り位置とを有し、抽出プレート転移部材が第1の転移位置に位置する場合、掴み取り部は、抽出プレートを抽出プレート転移部材と抽出機構との間で移動させるように、第1の掴み取り位置と第2の掴み取り位置との間で移動することができ、そのうち、抽出プレート転移部材は、対応する液体移送部に移動するサンプル添加位置をさらに有し、抽出プレート転移部材がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送部は、抽出プレート転移部材の上方に移動する第1の液体移送位置をさらに有する、検体処理装置を提供する。
【0007】
さらに、転移部材は、増幅プレート転移部材をさらに含み、抽出プレート転移部材および増幅プレート転移部材は、いずれも第2の水平方向に沿って移動し、増幅プレート転移部材は、抽出プレート転移部材と面一になる核酸添加位置を有し、液体移送部は、増幅プレート転移部材の上方に対応する第2の液体移送位置をさらに有し、抽出プレート転移部材がサンプル添加位置に位置するとともに、増幅プレート転移部材が核酸添加位置に位置する場合、液体移送部は、第1の液体移送位置と第2の液体移送位置との間で切り替えることができる。
【0008】
さらに、抽出機構は、抽出部材と、抽出部材に第2の水平方向に沿って移動可能に穿設される転送部材とを含み、転送部材は、掴み取り部の下方に対応して位置する転送位置と、抽出部材の下方に位置する抽出位置とを有し、抽出プレート転移部材が第1の転移位置に位置するとともに、転送部材が転送位置に位置する場合、掴み取り部は、抽出プレートを抽出プレート転移部材と転送部材との間で移動させることができる。
【0009】
さらに、検体処理装置は、増幅プレートを封止するためのフィルム封止機構をさらに含み、フィルム封止機構は、載置部材と、増幅プレートを封止するための熱プレス部材とを含み、熱プレス部材は、載置部材の上方に位置し、載置部材は、サンプル処理プラットフォームに第2の水平方向に沿って移動可能に設けられており、載置部材は、増幅プレートを放置するための増幅プレート載置位置を有し、増幅プレート転移部材は、掴み取り部の下方に位置する第2の転移位置を有し、掴み取り部は、載置部材の上方に位置する第3の掴み取り位置と、増幅プレート転移部材の上方に位置する第4の掴み取り位置とをさらに有し、増幅プレート転移部材が第2の転移位置に位置する場合、掴み取り部は、増幅プレートを増幅プレート転移部材から増幅プレート載置位置に移動させるように、第3の掴み取り位置と第4の掴み取り位置との間で移動することができる。
【0010】
さらに、載置部材は、蓋体を放置するための蓋体載置位置をさらに有し、掴み取り部が第3の掴み取り位置に位置する場合、載置部材は、蓋体載置位置が掴み取り部の下方に移動して掴み取り部が蓋体を掴み取る分離位置と、増幅プレート載置位置が掴み取り部の下方に移動して掴み取り部が蓋体を増幅プレートに放出する放出位置と、増幅プレート載置位置が熱プレス部材の下方に移動する封止位置とを有する。
【0011】
さらに、フィルム封止機構は、フィルム封止枠と検出部材とを含み、フィルム封止枠は、サンプル処理プラットフォームに設けられており、熱プレス部材および検出部材は、いずれもフィルム封止枠に固定して設置され、載置部材は、フィルム封止枠に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、検出部材は、載置部材の載置状態を検出することができる。
【0012】
さらに、蓋体載置位置は、蓋体を位置制限する第1の位置制限突起を有し、および/または、増幅プレート載置位置は、増幅プレートを位置制限する第2の位置制限突起を有する。
【0013】
さらに、検体処理装置は、液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビンをさらに含み、液体移送部は、消耗品格納ビンの上方に移動して液体移送ヘッドをロードするロード位置を有する。
【0014】
さらに、液体移送部は、サンプルアームと液体移送針とを含み、サンプルアームは、枠体に水平移動可能に設けられるとともに、サンプル処理プラットフォームの上方に位置しており、液体移送針は、サンプルアームに縦方向に移動可能に設けられる。
【0015】
さらに、枠体は、サンプル処理プラットフォームの上方に位置する第1のガイドレールおよび第2のガイドレールをさらに含み、第1のガイドレールは、第1の水平方向に延伸し、第2のガイドレールは、第2の水平方向に延伸し、第1のガイドレールは、第2のガイドレールの下方に第2のガイドレールの延伸方向に沿って移動可能に設けられ、サンプルアームは、第1のガイドレールに第1のガイドレールの延伸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0016】
さらに、掴み取り部は、掴み取り枠と、掴み取り枠に縦方向に移動可能に設けられるグリッパーとを有し、掴み取り枠は、枠体に第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、グリッパーは、第1の掴み取り位置と第2の掴み取り位置とを有する。
【0017】
本発明の他方面によれば、抽出試薬および増幅試薬を調製するための試薬調製装置と、測定混合物に対して分析物検出測定を行って検体を分析するための増幅検出装置と、以上で提供する検体処理装置と、を含む、核酸検出一体機を提供する。
【0018】
さらに、試薬調製装置、検体処理装置および増幅検出装置は、互いに隔離され、試薬調製装置および増幅検出装置は、それぞれ検体処理装置の両側に位置し、試薬調製装置と検体処理装置との間に第1の通路が設けられ、検体処理装置と増幅検出装置との間に第2の通路が設けられ、第1の通路および第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有し、および/または、核酸検出一体機は、試薬調製装置と検体処理装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、受け渡し機構は、第1の通路を通って抽出試薬を調製する抽出プレート、増幅試薬を調製する増幅プレートおよび蓋体を検体処理装置に移動させることができ、検体処理装置の掴み取り部は、抽出プレートを検体処理装置の抽出プレート転移部材に移動させるとともに、増幅プレートを検体処理装置の増幅プレート転移部材に移動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の技術手段を適用すれば、検体処理装置は、枠体と、抽出機構と、掴み取り部と、転移部材と、液体移送部とを含み、検体における分析物を抽出する時に、液体移送部を利用して検体を吸引し、さらに抽出プレート転移部材をサンプル位置に移動させるとともに液体移送部を第1の液体移送位置に移動させて、液体移送部が検体を抽出プレート転移部材の抽出プレートに放出する。さらに、抽出プレート転移部材を第1の転移位置に移動させるとともに、掴み取り部を抽出プレート転移部材の上方に位置する第1の掴み取り位置に移動させて、掴み取り部を利用して抽出プレート転移部材における抽出プレートを掴み取る。さらに、掴み取り部を抽出機構の上方に位置する第2の掴み取り位置に移動させて、抽出プレートを抽出機構に放出し、さらに、抽出機構を利用して検体における分析物を抽出する。掴み取り部の縦方向および第1の水平方向に沿う移動、および抽出プレート転移部材の第2の水平方向に沿う移動のみによって、分析物の抽出が実現されるため、検体処理装置の空間の占用を大幅に減少させ、さらに検体処理装置の体積を減少させることができる。
【0020】
本願の一部を構成する図面は、本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る検体処理装置の構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る検体処理装置の別の構造を示す図である。
【
図3】
図1における抽出機構の構造を示す図である。
【
図4】
図1におけるフィルム封止機構の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例の技術手段について、本発明の実施例における図面を参照しながら明瞭かつ完全に説明するが、以下に説明する実施例は、本発明の全ての実施例ではなく、その一部の実施例に過ぎないことは言うまでもない。以下の少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は、実際には説明のためのものに過ぎず、本発明およびその応用または使用に対して何ら制限を加えるものではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働をせずに取得した他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0023】
図1~
図5に示すように、本発明の実施例は、枠体10と、抽出機構30と、掴み取り部40と、転移部材50と、液体移送部60とを含む検体処理装置を提供し、枠体10は、サンプル処理プラットフォーム11を有し、抽出機構30は、検体における分析物を抽出するためのものであり、掴み取り部40は、サンプル処理プラットフォーム11の上方に縦方向および第1の水平方向に移動可能に設けられており、転移部材50は、サンプル処理プラットフォーム11に第1の水平方向に垂直な第2の水平方向に沿って移動可能に設けられており、転移部材50は、掴み取り部40の下方に対応して移動する第1の転移位置を有する抽出プレート転移部材53を含み、掴み取り部40は、抽出プレート転移部材53の上方に位置する第1の掴み取り位置と、抽出機構30の上方に位置する第2の掴み取り位置とを有し、抽出プレート転移部材53が第1の転移位置に位置する場合、掴み取り部40は、抽出プレートを抽出プレート転移部材53と抽出機構30との間で移動させるように、第1の掴み取り位置と第2の掴み取り位置との間で移動することができ、液体移送部60は、サンプル処理プラットフォーム11の上方に可動的に設けられており、そのうち、抽出プレート転移部材53は、対応する液体移送部60に移動するサンプル添加位置をさらに有し、抽出プレート転移部材53がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送部60は、抽出プレート転移部材53の上方に移動する第1の液体移送位置をさらに有する。
【0024】
本発明の技術手段を適用すれば、検体処理装置は、枠体10と、抽出機構30と、掴み取り部40と、転移部材50と、液体移送部60とを含み、検体における分析物を抽出する際には、まず、液体移送部60を利用して検体を吸引し、次に、抽出プレート転移部材53をサンプル添加位置に移動させるとともに、液体移送部60を第1の液体移送位置に移動させて、液体移送部60が検体を抽出プレート転移部材53の抽出プレートに放出する。さらに、抽出プレート転移部材53を第1の転移位置に移動させるとともに、掴み取り部40を抽出プレート転移部材53の上方に位置する第1の掴み取り位置に移動させて、掴み取り部40を利用して抽出プレート転移部材53における抽出プレートを掴み取る。そして、掴み取り部40を抽出機構30の上方に位置する第2の掴み取り位置に移動させて、抽出プレートを抽出機構30に放出し、さらに、抽出機構30を利用して検体における分析物を抽出する。掴み取り部40の縦方向および第1の水平方向に沿う移動、および抽出プレート転移部材53の第2の水平方向に沿う移動のみによって、分析物の抽出が実現されるため、検体処理装置の空間の占用を大幅に減少させ、さらに検体処理装置の体積を減少させることができる。
【0025】
なお、検体は、装置の外部から装置内のサンプル処理プラットフォーム11に転移されてもよいし、サンプル処理プラットフォーム11に検体ロード部材20を設け、検体を検体ロード部材20に配置してもよい。
【0026】
本実施例では、検体ロード部材20は、検体を収容する検体ビンおよび開蓋機構を含み、検体は検体管に収容され、検体管は検体ビンに放置され、開蓋機構によって開蓋され、開蓋された検体管は、検体を吸引するように液体移送部60の下方に搬送される。
【0027】
なお、検体は、測定する必要があるサンプル、品質管理物またはキャリブレーション物のうちの1種または複数種を含む。
【0028】
図1および
図3に示すように、抽出機構30は、抽出部材31と、抽出部材31に第2の水平方向に沿って移動可能に穿設される転送部材32とを含み、転送部材32は、掴み取り部40の下方に対応して位置する転送位置と、抽出部材31の下方に位置する抽出位置とを有し、抽出プレート転移部材53が第1の転移位置に位置するとともに、転送部材32が転送位置に位置する場合、掴み取り部40は、抽出プレートを抽出プレート転移部材53と転送部材32との間で移動させることができる。上記のような構造を採用すれば、転送部材32を利用して抽出プレート転移部材53と抽出部材31との間での抽出プレートの転移を実現することができ、構造が簡単であるとともに実現しやすいという利点がある。
【0029】
本実施例では、抽出プレート転移部材53および転送部材32は、いずれも掴み取り部40の下方に第2の水平方向に沿って移動することができる。
図1~
図3に示すように、転移部材50は、増幅プレート転移部材54を含み、抽出プレート転移部材53および増幅プレート転移部材54は、いずれも第2の水平方向に沿って移動する。増幅プレート転移部材54は、抽出プレート転移部材53と面一になる核酸添加位置を有し、液体移送部60は、増幅プレート転移部材54の上方に対応する第2の液体移送位置をさらに有し、抽出プレート転移部材53がサンプル添加位置に位置するとともに、増幅プレート転移部材54が核酸添加位置に位置する場合、液体移送部60は、第1の液体移送位置と第2の液体移送位置との間で切り替えることができる。増幅プレート転移部材54が核酸添加位置に位置するとともに、抽出プレート転移部材53がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送部60を利用して、抽出された核酸を抽出プレート転移部材53に位置する抽出プレートから増幅プレート転移部材54に位置する増幅プレートに注入することができ、構造がコンパクトであるとともに操作しやすいという利点がある。
【0030】
本実施例では、抽出プレート転移部材53および増幅プレート転移部材54は、平行となるように設けられており、サンプル処理プラットフォーム11には、平行な2つのレールが設けられ、2つのレールはいずれも第2の水平方向に沿って延伸している。抽出プレート転移部材53および増幅プレート転移部材54は、それぞれ対応するレールに移動可能に設けられている。
【0031】
なお、抽出プレートにおける検体から、抽出機構30において分析物を抽出した後、掴み取り部40を利用して抽出プレートを掴み取って第1の転移位置に位置する抽出プレート転移部材53に放出する。さらに、抽出プレート転移部材53をサンプル添加位置に移動させ、液体移送部60を利用して第1の液体移送位置に移動させて抽出プレートにおける抽出後の分析物を吸引し、さらに液体移送部60を増幅プレート転移部材54の上方に位置する第2の液体移送位置に移動させて分析物を増幅プレートに注入することにより、分析物の転移を完了することができる。
【0032】
そのうち、増幅プレート転移部材54は、掴み取り部40が増幅プレートをロードするように、掴み取り部40の下方に対応して移動する第2の転移位置をさらに有する。
【0033】
掴み取り部40が縦方向および第1の水平方向に沿って移動することにより、抽出プレート転移部材53と抽出機構30との間での抽出プレートの転移を実現し、抽出プレート転移部材53、増幅プレート転移部材54および転送部材32がいずれも第2の水平方向に沿って転移することにより、検体を液体移送部60で吸引した後に抽出部材31に転移して分析物の抽出を行うことと、抽出後の分析物を抽出プレートから増幅プレートに転移することとを実現することができ、各部材の配置をより一層合理的でコンパクトにし、装置の体積を小さくすることができる。
【0034】
図1および
図4に示すように、検体処理装置は、増幅プレートを封止するためのフィルム封止機構70をさらに含み、フィルム封止機構70は、載置部材72と、増幅プレートを封止するための熱プレス部材71とを含み、熱プレス部材71は、載置部材72の上方に位置し、載置部材72は、サンプル処理プラットフォーム11に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられており、載置部材72は、増幅プレートを載置するための増幅プレート載置位置722を有し、増幅プレート載置位置722は、掴み取り部40の下方に対応して移動する第3の転移位置を有する。増幅プレート転移部材54は、掴み取り部40の下方に位置する第2の転移位置を有し、掴み取り部40は、載置部材72の上方に位置する第3の掴み取り位置と、増幅プレート転移部材54の上方に位置する第4の掴み取り位置とをさらに有し、増幅プレート転移部材54が第2の転移位置に位置するとともに、増幅プレート載置位置722が第3の転移位置に位置する場合、掴み取り部40は、増幅プレートを増幅プレート転移部材54から増幅プレート載置位置722に移動させるように、第3の掴み取り位置と第4の掴み取り位置との間で移動することができる。上記のような構造を採用すれば、載置部材72を利用して増幅プレートを載置し、掴み取り部40を利用して分析物が載置される増幅プレートを載置部材72に移動させて、熱プレス部材71を利用して増幅プレートの封止を完了することができる。
【0035】
そして、抽出プレートおよび増幅プレートの転移はいずれも掴み取り部40によって行われ、抽出プレートおよび増幅プレートの転移過程において、抽出プレートおよび増幅プレートが共通の移動経路を有するため、空間の占用のさらなる減少に有利であり、検体処理装置の構造をよりコンパクトにした。
【0036】
図4に示すように、載置部材72は、蓋体を載置するための蓋体載置位置721をさらに有し、掴み取り部40が第3の掴み取り位置に位置する場合、載置部材72は、蓋体載置位置721が掴み取り部40の下方に移動して掴み取り部40が蓋体を掴み取る分離位置と、増幅プレート載置位置722が掴み取り部40の下方に移動して掴み取り部40が蓋体を増幅プレートに放出する放出位置(上記の第3の転移位置に対応する)と、増幅プレート載置位置722が熱プレス部材71の下方に移動する封止位置とを有する。掴み取り部40の運動範囲内において、載置部材72の第2の水平方向に沿う移動と掴み取り部40との協働によって、蓋体と増幅プレートの封止を実現でき、構造がコンパクトであるという利点がある。
【0037】
具体的には、掴み取り部が第4の掴み取り位置に位置する場合、載置部材72を分離位置に移動させ、さらに掴み取り部40を利用して蓋体を掴み取って蓋体載置位置721から離脱させることができる。さらに、載置部材72を第2の水平方向に沿って放出位置に移動させることにより、増幅プレート載置位置722を掴み取り部40の下方に移動させて、蓋体を増幅プレートに放出する。さらに、載置部材72を封止位置に移動させて、熱プレス部材71を利用して蓋体と増幅プレートを封止する。
【0038】
図4に示すように、フィルム封止機構70は、フィルム封止枠73と検出部材とを含み、フィルム封止枠73は、サンプル処理プラットフォーム11に設けられており、熱プレス部材71および検出部材は、いずれもフィルム封止枠73に固定して設置される。載置部材72は、フィルム封止枠73に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、検出部材は、載置部材72の載置状態を検出することができる。検出部材を利用して載置部材72に増幅プレート、蓋体または封止後の増幅プレートおよび蓋体が設けられているか否かを検出することができる。
【0039】
本実施例では、蓋体載置位置721は、蓋体を位置制限する第1の位置制限突起を有し、増幅プレート載置位置722は、増幅プレートを位置制限する第2の位置制限突起を有する。第1の位置制限突起を利用して蓋体を位置制限して、蓋体を蓋体載置位置721でより安定化させることができる。第2の位置制限突起を利用して増幅プレートを位置制限して、増幅プレートを増幅プレート載置位置722でより安定化させることができる。
【0040】
図2に示すように、検体処理装置は、液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビン80をさらに含み、液体移送部60は、消耗品格納ビン80の上方に移動して液体移送ヘッドをロードするロード位置を有する。消耗品格納ビン80を利用して液体移送ヘッドを格納することができ、さらに、液体移送部60を利用して液体移送ヘッドをロードし、かつ、抽出試薬、増幅試薬、検体および分析物の間の汚染を防止するように液体移送ヘッドが検体または分析物を吸引する前に交換することができる。
【0041】
具体的には、液体移送部60が検体管内の検体を吸引する前に、液体移送部60を消耗品格納ビン80の上方に移動させて液体移送ヘッドをロードする必要がある。さらに、液体移送ヘッドを利用して検体を吸引する。分析物の吸引過程は、これと類似するので、ここでは説明を省略する。
【0042】
図1に示すように、液体移送部60は、サンプルアーム61と液体移送針62とを含み、サンプルアーム61は、枠体10に水平移動可能に設けられるとともに、サンプル処理プラットフォーム11の上方に位置しており、液体移送針62は、サンプルアーム61に縦方向に移動可能に設けられている。上記のような構造の液体移送部60を採用すれば、サンプルアーム61と液体移送針62との協働によって液体移送針62の三軸運動を実現することができる。
【0043】
本実施例では、液体移送針62を利用して液体移送ヘッドをロードすることができる。もちろん、毎度液体転移操作が完成した後に、液体移送針62を洗浄し、または、サンプルアーム61に複数の液体移送針62を設け、汚染を防止するために、操作毎に異なる液体移送針62を使用するようにしてもよい。
【0044】
図1および
図5に示すように、枠体10は、サンプル処理プラットフォーム11の上方に位置する第1のガイドレール12および第2のガイドレール13をさらに含み、第1のガイドレール12は、第1の水平方向に延伸し、第2のガイドレール13は、第2の水平方向に延伸し、第1のガイドレール12は、第2のガイドレール13の上方に第2のガイドレール13の延伸方向に沿って移動可能に設けられ、サンプルアーム61は、第1のガイドレール12に第1のガイドレール12の延伸方向に沿って移動可能に設けられている。第1のガイドレール12および第2のガイドレール13を採用することにより、サンプルアーム61の水平方向の移動を実現でき、構造が簡単であるという利点がある。
【0045】
図5に示すように、掴み取り部40は、掴み取り枠と、掴み取り枠に縦方向に移動可能に設けられるグリッパーとを有し、掴み取り枠は、枠体10に第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、グリッパーは、第1の掴み取り位置と第2の掴み取り位置とを有する。上記のような構造の掴み取り部40を採用すれば、掴み取り枠を利用してグリッパーの鉛直面内での二軸運動を実現でき、構造が簡単であるという利点がある。
【0046】
以下、検体処理装置の使用過程を結合して説明し、検体における分析物を抽出する際に、まず、液体移送部60における液体移送針62を利用して検体を吸引し、次に、液体移送針62を抽出プレート転移部材53の上方に位置する第1の液体移送位置に移動させ、かつ抽出プレート転移部材53をサンプル添加位置に移動させて、液体移送針62を利用して検体を抽出プレート転移部材53の抽出プレートに放出する。さらに、抽出プレート転移部材53を掴み取り部40の下方に位置する第1の転移位置に移動するとともに、掴み取り部40を第1の掴み取り位置に移動して、掴み取り部40を利用して抽出プレート転移部材53における抽出プレートを掴み取る。さらに、掴み取り部40を第2の掴み取り位置に移動させ、転送位置にある転送部材32の上方に位置させて、抽出プレートを転送部材32に放出し、かつ転送部材32を抽出部材31に位置する抽出位置に移動させて、抽出部材31を用いて検体における分析物を抽出する。分析物を抽出した後、転送部材32を抽出位置から転送位置に移動させ、掴み取り部40を利用して抽出プレートを掴み取って第1の転移位置にある抽出プレート転移部材53に放出する。さらに、抽出プレート転移部材53をサンプル添加位置に移動させ、液体移送針62を第1の液体移送位置に移動させ、液体移送針62を利用して抽出プレートにおける抽出後の分析物を吸引する。さらに、液体移送針62を第2の液体移送位置に移動させ、核酸添加位置にある増幅プレート転移部材54の上方に位置させて、分析物を増幅プレートに放出する。さらに、増幅プレート転移部材54を第2の転移位置に移動させるとともに、掴み取り部40を第4の掴み取り位置に移動させて、掴み取り部40を利用して増幅プレートを掴み取り、さらに、掴み取り部40を載置部材72の上方に位置する第3の掴み取り位置に移動させて、増幅プレートを増幅プレート載置位置722に放出し、かつ載置部材72を分離位置に移動させて、掴み取り部40を利用して蓋体を掴み取り、さらに載置部材72を放出位置に移動させて、蓋体を増幅プレートに放出し、さらに載置部材72を封止位置に移動させて、熱プレス部材71を利用して蓋体と増幅プレートを封止する。従って、検体処理装置によって、抽出プレート、増幅プレート、蓋体の同一経路での移動、および増幅プレートと蓋体との合併を実現することができ、構造が簡単であるという特徴を有し、検体処理装置の体積を減少させた。
【0047】
本発明の別の実施例は、試薬調製装置、検体処理装置および増幅検出装置を含む核酸検出一体機を提供し、試薬調製装置は、抽出試薬および増幅試薬を調製するためのものであり、増幅検出装置は、測定混合物を分析して検出するためのものであり、検体処理装置は、以上で提供する検体処理装置である。当該核酸検出一体機を適用すれば、掴み取り部40の縦方向および第1の水平方向に沿う移動、および転移部材50の第2の水平方向に沿う移動のみによって、分析物の抽出が実現されるため、検体処理装置の空間の占用を大幅に減少させ、検体処理装置の体積を減少させることができる。
【0048】
本実施例では、試薬調製装置、検体処理装置および増幅検出装置は、互いに隔離され、試薬調製装置および増幅検出装置は、それぞれ検体処理装置の両側に位置し、試薬調製装置と検体処理装置との間に第1の通路が設けられ、検体処理装置と増幅検出装置との間に第2の通路が設けられ、第1の通路および第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有する。上記のような構造を採用すれば、第1の通路と第2の通路の遮断を利用して各装置モジュール間の隔離を実現し、相互の汚染を回避することができる。第1の通路と第2の通路の導通を利用して、各装置モジュール間の消耗品の伝達を実現する。
【0049】
そのうち、核酸検出一体機は、試薬調製装置と検体処理装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、受け渡し機構は、第1の通路を通って抽出試薬を調製する抽出プレート、増幅試薬を調製する増幅プレートおよび蓋体を検体処理装置に移動させることができ、検体処理装置の掴み取り部40は、抽出プレートを検体処理装置の抽出プレート転移部材53に移動させるとともに、増幅プレートを検体処理装置の増幅プレート転移部材54に移動させることができる。受け渡し機構を利用して、試薬調製装置において抽出試薬の調製が完了した抽出プレートおよび増幅試薬の調製が完了した増幅プレートを検体処理装置に移動して検体の抽出を行うことができる。
【0050】
本実施例では、抽出プレート、増幅プレートおよび蓋体はいずれも受け渡し機構によって試薬調製装置から検体抽出装置に転移され、掴み取り部40を利用して抽出プレート、増幅プレートおよび蓋体をそれぞれ転移し、抽出プレートを抽出プレート転移部材53に放置し、増幅プレートを増幅プレート転移部材54に放置し、蓋体を載置部材72の蓋体載置位置721に放置することができ、受け渡し機構は、掴み取り部40の運動範囲内に設けられる。従って、掴み取り部40による、受け渡し機構から抽出プレート転移部材への抽出プレートの転移経路、受け渡し機構から増幅プレート転移部材への増幅プレートの転移経路、受け渡し機構から載置部材72への蓋体の転移経路はいずれも重ね合わせることができ、構造をよりコンパクトにした。
【0051】
そのうち、掴み取り部40の下方には、受け渡し機構の走行レール、転移部材50の走行レール、転送部材32の走行レール、載置部材72の走行レールが掴み取り部40の移動方向に沿って順に配置され、構造がよりコンパクトになる。
【0052】
なお、ここで用いた用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本願に係る例示的な実施形態を制限する意図がない。ここで使用されたように、本明細書において特に明示しない限り、単数の形態には複数の形態も含まれる。また、本明細書において「包含」および/または「含む」の用語を使用する場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、コンポーネントおよび/またはそれらの組み合わせが存在することを明示すると理解すべきである。
【0053】
特に明記しない限り、これらの実施例に記載された部材およびステップの相対的な配置、数式および数値は、本発明の範囲を限定するものではない。なお、説明の便宜上、各図に示される各部の寸法は、実際の比例関係に従って描かれているものではないことは言うまでもない。当業者にとって既知の技術、方法、およびデバイスについて、詳細的に検討しないことがあるが、適切な場合には、前記の技術、方法、およびデバイスは、明細書の一部と見なされるべきである。ここで記載および説明した全ての例示において、任意の具体的な値は、あくまでも例示であって制限的なものではないと解釈されるべきである。よって、例示的な実施例以外の例示では、異なる値を有していてもよい。なお、類似する符号およびアルファベットは、以下の図面において類似するものを示すので、いずれの1つがある図面で定義されると、その後の図面においてそれ以上の検討が不要となる。
【0054】
本発明の説明において、例えば「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」および「頂、底」などの方位用語によって示される方位または位置関係は、通常、図中に示される方位または位置関係に基づくものであって、本発明の説明の便宜上および説明の簡略化のためのものに過ぎず、逆の説明がない場合、これらの方位用語は、指示する装置または要素が特定の方位を有するかまたは特定の方位で構成および操作されなければならないことを指示および暗示するものではないため、本発明の保護範囲を制限するものとして理解されるべきではない。方位用語である「内、外」は、各部材自体の輪郭に対する内外を意味する。
【0055】
説明の便宜上、例えば「・・・の上にある」、「・・・の上方にある」、「・・・の上面にある」、「上面の」などの空間相対的な用語を用いて、図中に示す1つのデバイスまたは特徴と他のデバイスまたは特徴との空間的位置関係を説明することができる。空間相対的な用語とは、デバイスが使用または動作中に図示した方位以外の異なる方位にあることを包含することを意図している。例えば、図中においてデバイスが反転されると、「他のデバイスや構造の上方にある」や「他のデバイスや構造の上にある」と記載されるデバイスは、その後で「他のデバイスや構造の下方にある」や「他のデバイスや構造の下にある」と位置決められる。従って、例示的な用語の「・・・の上方にある」には、「・・・の上方にある」および「・・・の下方にある」の2つの方位が含まれる。当該デバイスは、他の異なる方式(90度回転または他の方位にある)で位置決めされてもよく、かつ、ここで使用される空間に対する説明について対応して解釈する。
【0056】
なお、「第1」、「第2」などの用語を用いて部品を限定することは、対応する部品の区別を容易にするためのものに過ぎず、別途説明しない限り、上記用語は特別な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはいけない。
【0057】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明に対して種々の変更や変化を加えることが可能である。本発明の精神や原則内で行われたいかなる修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0058】
10:枠体、11:サンプル処理プラットフォーム、12:第1のガイドレール、13:第2のガイドレール、20:検体ロード部材、30:抽出機構、31:抽出部材、32:転送部材、40:掴み取り部、50:転移部材、53:抽出プレート転移部材、54:増幅プレート転移部材、60:液体移送部、61:サンプルアーム、62:液体移送針、70:フィルム封止機構、71:熱プレス部材、72:載置部材、721:蓋体載置位置、722:増幅プレート載置位置、73:フィルム封止枠、80:消耗品格納ビン。