(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102817
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】検体抽出装置およびそれを備えた核酸検出一体機
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211189
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】202310090475.3
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518344542
【氏名又は名称】シェンチェン・ニュー・インダストリーズ・バイオメディカル・エンジニアリング・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ・ジエ
(72)【発明者】
【氏名】イン・リー
(72)【発明者】
【氏名】タン・ジュンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュー・リエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン・イーシエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】ホー・グオヤオ
(72)【発明者】
【氏名】シアオ・ハオ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検体抽出装置およびそれを備えた核酸検出一体機を提供する。
【解決手段】検体抽出装置は、検体管に対して処理を行うための検体ロード部が設けられる検体ロード領域10と、核酸を抽出するためのサンプル反応部が設けられるサンプル反応領域20と、検体を検体ロード部から第1の反応容器に転移するとともに、核酸を第2の反応容器に添加するためのサンプル添加部が設けられるサンプル添加領域30と、第1の反応容器をサンプル添加部からサンプル反応部に移動させるとともに、第1の反応容器をサンプル反応部からサンプル添加部に移動させるための掴み取り部が設けられる掴み取り領域40と、を含み、検体ロード領域、サンプル添加領域および掴み取り領域は、いずれもサンプル反応領域の外側に周設され、掴み取り領域は、検体ロード領域、サンプル反応領域およびサンプル添加領域の同じ側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体管に対して格納および処理を行うための検体ロード部(11)が設けられる検体ロード領域(10)と、
検体から核酸を抽出するためのサンプル反応部(21)が設けられるサンプル反応領域(20)と、
検体を前記検体ロード部(11)から第1の反応容器に転移するとともに、前記サンプル反応部(21)で抽出された核酸を第2の反応容器に添加するためのサンプル添加部(31)が設けられるサンプル添加領域(30)と、
検体を添加した後の第1の反応容器を前記サンプル添加部(31)から前記サンプル反応部(21)に移動させるとともに、検体から核酸を抽出した後の第1の反応容器を前記サンプル反応部(21)から前記サンプル添加部(31)に移動させるための掴み取り部(41)が設けられる掴み取り領域(40)と、を含み、
前記検体ロード領域(10)、前記サンプル添加領域(30)および前記掴み取り領域(40)は、いずれも前記サンプル反応領域(20)の外側に周設され、前記掴み取り領域(40)は、前記検体ロード領域(10)、前記サンプル反応領域(20)および前記サンプル添加領域(30)の同じ側に位置する、ことを特徴とする検体抽出装置。
【請求項2】
検体管転移部材(50)と、反応容器転移部材と、抽出機構転移部材(80)とをさらに含み、
前記検体管転移部材(50)は、前記検体ロード領域(10)における検体管を前記サンプル添加領域(30)に移動させるように、前記検体ロード領域(10)と前記サンプル添加領域(30)との間に移動可能に設けられ、
前記反応容器転移部材は、前記サンプル添加領域(30)における第1の反応容器および第2の反応容器を前記サンプル添加領域(30)と前記掴み取り領域(40)との間で移動させるように、前記サンプル添加領域(30)と前記掴み取り領域(40)との間に移動可能に設けられ、
前記抽出機構転移部材(80)は、前記第1の反応容器を前記サンプル反応領域(20)と前記掴み取り領域(40)との間で移動させるように、前記サンプル反応領域(20)と前記掴み取り領域(40)との間に移動可能に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の検体抽出装置。
【請求項3】
前記検体管転移部材(50)は、前記検体ロード領域(10)と前記サンプル添加領域(30)との間に第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記反応容器転移部材は、前記サンプル添加領域(30)と前記掴み取り領域(40)との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記抽出機構転移部材(80)は、前記サンプル反応領域(20)と前記掴み取り領域(40)との間に前記第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記第1の水平方向と前記第2の水平方向とは、互いに垂直である、ことを特徴とする請求項2に記載の検体抽出装置。
【請求項4】
前記反応容器転移部材は、平行に設置される第1の反応容器転移部材(60)および第2の反応容器転移部材(70)を含み、
前記第1の反応容器転移部材(60)および前記第2の反応容器転移部材(70)は、いずれも前記サンプル添加領域と前記掴み取り領域との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記サンプル添加部(31)は、前記第1の反応容器転移部材(60)および前記第2の反応容器転移部材(70)の上方に移動可能に設けられる液体移送針(311)を含み、
前記第1の反応容器転移部(60)は、前記サンプル添加領域(30)に位置するサンプル添加位置を有し、
前記第1の反応容器転移部材(60)が前記サンプル添加位置に位置する場合、前記液体移送針(311)は、前記第1の反応容器転移部材(60)の上方に移動して、前記検体を前記第1の反応容器に注入することができ、
前記第2の反応容器転移部材(70)は、前記サンプル添加領域(30)に位置するとともに前記第1の反応容器転移部材(60)と面一になる核酸添加位置を有し、
前記第1の反応容器転移部材(60)が前記サンプル添加位置に位置するとともに、前記第2の反応容器転移部材(70)が前記核酸添加位置に位置する場合、前記液体移送針(311)は、前記第1の反応容器転移部材(60)の上方に移動して抽出された核酸を吸引するとともに、前記第2の反応容器転移部材(70)の上方に移動して抽出された核酸を前記第2の反応容器に転移することができる、ことを特徴とする請求項3に記載の検体抽出装置。
【請求項5】
前記検体管転移部材(50)は、前記サンプル添加領域(30)に位置する第1の作業位置を有し、
前記検体管転移部材(50)が前記第1の作業位置に位置する場合、前記液体移送針(311)は、前記検体管転移部材(50)の上方に移動して検体を吸引することができる、ことを特徴とする請求項4に記載の検体抽出装置。
【請求項6】
前記検体ロード部(11)は、検体管グリッパー(111)と、検体管を格納するための検体ビン(112)とを含み、
前記検体管グリッパー(111)は、前記検体ビン(112)および前記検体管転移部材(50)の上方に可動的に設けられ、
前記検体管転移部材(50)は、前記検体ロード領域(10)に位置する第2の作業位置をさらに有し、
前記検体管転移部材(50)が前記第2の作業位置に位置する場合、前記検体管グリッパー(111)は、前記検体管を前記検体ビン(112)から前記検体管転移部材(50)に移動させることができ、
前記掴み取り部(41)は、第1の水平方向および縦方向に移動可能に設けられる反応容器グリッパー(411)を含み、
前記抽出機構転移部材(80)は、前記掴み取り領域(40)に位置する受取位置と、前記サンプル反応領域(20)に位置する抽出位置とを有し、
前記反応容器転移部材は、前記掴み取り領域(40)に位置する第1の転移位置を有し、
前記反応容器転移部材が前記第1の転移位置に位置するとともに、前記抽出機構転移部材(80)が前記受取位置に位置する場合、前記反応容器グリッパー(411)は、前記第1の反応容器を掴み取って、前記第1の反応容器を前記反応容器転移部材と前記抽出機構転移部材(80)との間で移動させることができる、ことを特徴とする請求項2に記載の検体抽出装置。
【請求項7】
前記サンプル添加部(31)は、液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビン(312)をさらに含み、
前記液体移送針(311)は、前記消耗品格納ビン(312)の上方に移動して液体移送ヘッドをロードすることができる、ことを特徴とする請求項4に記載の検体抽出装置。
【請求項8】
前記掴み取り領域(40)には、前記第2の反応容器を封止するためのフィルム封止機構(43)がさらに設けられ、
前記反応容器転移部材は、前記掴み取り領域(40)に位置する第2の転移位置をさらに有し、
前記反応容器転移部材が前記第2の転移位置に位置する場合、前記反応容器グリッパー(411)は、前記反応容器転移部材の上方に移動して核酸ロード後の第2の反応容器を掴み取るとともに、前記フィルム封止機構(43)の上方に移動して前記第2の反応容器を前記フィルム封止機構(43)に放出することができる、ことを特徴とする請求項6に記載の検体抽出装置。
【請求項9】
前記フィルム封止機構(43)は、熱プレス部材(431)とフィルム封止機構転移部材(432)とを含み、
前記フィルム封止機構転移部材(432)は、前記熱プレス部材(431)の下方に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記フィルム封止機構転移部材(432)は、蓋体を載置するための蓋体載置位置(433)と、第2の反応容器を載置するための第2の反応容器載置位置(434)とを有し、
前記反応容器グリッパー(411)は、前記第2の反応容器を前記第2の反応容器載置位置(434)に放出することができ、
前記反応容器グリッパー(411)は、前記フィルム封止機構転移部材(432)の上方に位置する掴み取り位置を有し、
前記反応容器グリッパー(411)が前記掴み取り位置に位置する場合、前記フィルム封止機構転移部材(432)は、前記蓋体載置位置(433)が前記反応容器グリッパー(411)の下方に移動して前記反応容器グリッパー(411)が前記蓋体を掴み取る分離位置と、前記第2の反応容器載置位置(434)が前記反応容器グリッパー(411)の下方に移動して前記反応容器グリッパー(411)が前記蓋体を前記第2の反応容器に放出する放出位置と、前記第2の反応容器載置位置(434)が前記熱プレス部材(431)の下方に移動する封止位置とを有する、ことを特徴とする請求項8に記載の検体抽出装置。
【請求項10】
前記掴み取り領域(40)には、前記反応容器グリッパー(411)の下方に位置する廃液ステーション(42)がさらに設けられ、
前記廃液ステーション(42)は、廃液枠(421)と、トレイ(422)と、廃液回収部材(423)とを含み、
前記廃液回収部材(423)は、前記廃液枠(421)に縦方向および第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記反応容器転移部材が前記第1の転移位置に位置する場合、前記反応容器グリッパー(411)は、前記第1の反応容器転移部材(60)の上方に移動して第1の反応容器を掴み取るとともに、前記トレイ(422)の上方に移動して前記第1の反応容器を前記トレイ(422)に放出することができ、
前記廃液回収部材(423)は、前記トレイ(422)の上方に移動して磁気ロッドカバーおよび廃液を回収することができる、ことを特徴とする請求項6に記載の検体抽出装置。
【請求項11】
前記廃液ステーション(42)は、支持プレート(424)と、押し棒(425)と、回収ボックスとをさらに含み、
前記回収ボックスは、前記廃液枠(421)の下方に位置し、
前記トレイ(422)は、前記廃液枠(421)に縦方向に移動可能に設けられ、
前記押し棒(425)は、前記支持プレート(424)に前記第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、
前記支持プレート(424)は、前記トレイ(422)を退避させるための退避開口を有し、
前記トレイ(422)は、前記支持プレート(424)の下方に移動して第1の反応容器を前記支持プレート(424)に留置することができ、
前記押し棒(425)は、前記第1の反応容器を押して前記第1の反応容器を前記回収ボックスに回収することができる、ことを特徴とする請求項10に記載の検体抽出装置。
【請求項12】
抽出試薬および増幅試薬を調製するための試薬調製装置と、
測定混合物に対して分析物検出測定を行って検体を分析するための増幅装置と、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の検体抽出装置と、を含む、ことを特徴とする核酸検出一体機。
【請求項13】
前記試薬調製装置、前記被測物抽出装置および前記増幅装置は、互いに隔離され、
前記試薬調製装置および前記増幅装置は、それぞれ前記検体抽出装置の両側に位置し、
前記試薬調製装置と前記検体抽出装置との間に第1の通路が設けられ、前記検体抽出装置と前記増幅装置との間に第2の通路が設けられ、前記第1の通路および前記第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有し、および/または、
前記試薬調製装置と前記検体抽出装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、
前記受け渡し機構は、前記第1の通路を通って抽出試薬を調製する第1の反応容器と増幅試薬を調製する第2の反応容器とを前記検体抽出装置に移動することができ、
前記検体抽出装置の掴み取り部(41)は、前記第1の反応容器を前記検体抽出装置の第1の反応容器配置位置に移動させるとともに、前記第2の反応容器を前記検体抽出装置の第2の反応容器配置位置に移動させることができる、ことを特徴とする請求項12に記載の核酸検出一体機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物検出の技術分野に関し、具体的には検体抽出装置およびそれを備えた核酸検出一体機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、核酸検出は、臨床診断、農業監視、食品安全などの分野で広く使用されている。現在ではよく使用されている核酸検出方法は、PCR検出である。PCR検出の一般的な原理は、DNAポリメラーゼの触媒作用により、親鎖DNAをテンプレートとし、特定のプライマーを伸長開始点として、体外で親鎖DNAに相補的な子鎖DNAを複製する過程である。
【0003】
従来技術において、核酸検出一体機は、親鎖DNAの抽出および複製を行う時に、抽出試薬を利用してサンプルから親鎖DNAを抽出し、さらに親鎖DNAを増幅試薬に移して複製することを実現するように、その複数のモジュールが互いに協働して完成する必要がある。
【0004】
しかしながら、複数のモジュールが協働すると、核酸検出一体機の敷地面積が膨大になり過ぎるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、関連技術における核酸検出一体機の敷地面積が膨大になり過ぎるという問題を解決するために、検体抽出装置およびそれを備えた核酸検出一体機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一方面によれば、検体管に対して格納および処理を行うための検体ロード部が設けられる検体ロード領域と、検体から核酸を抽出するためのサンプル反応部が設けられるサンプル反応領域と、検体を検体ロード部から第1の反応容器に転移するとともに、サンプル反応部で抽出された核酸を第2の反応容器に添加するためのサンプル添加部が設けられるサンプル添加領域と、検体を添加した後の第1の反応容器をサンプル添加部からサンプル反応部に移動させるとともに、検体から核酸を抽出した後の第1の反応容器をサンプル反応部からサンプル添加部に移動させるための掴み取り部が設けられる掴み取り領域と、を含み、そのうち、検体ロード領域、サンプル添加領域および掴み取り領域は、いずれもサンプル反応領域の外側に周設され、掴み取り領域は、検体ロード領域、サンプル反応領域およびサンプル添加領域の同じ側に位置する検体抽出装置を提供する。
【0007】
さらに、検体抽出装置は、検体管転移部材と、反応容器転移部材と、抽出機構転移部材とをさらに含み、検体管転移部材は、検体ロード領域における検体管をサンプル添加領域に移動させるように、検体ロード領域とサンプル添加領域との間に移動可能に設けられ、反応容器転移部材は、サンプル添加領域における第1の反応容器および第2の反応容器をサンプル添加領域と掴み取り領域との間で移動させるように、サンプル添加領域と掴み取り領域との間に移動可能に設けられ、抽出機構転移部材は、第1の反応容器をサンプル反応領域と掴み取り領域との間で移動させるように、サンプル反応領域と掴み取り領域との間に移動可能に設けられる。
【0008】
さらに、検体管転移部材は、検体ロード領域とサンプル添加領域との間に第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、反応容器転移部材は、サンプル添加領域と掴み取り領域との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、抽出機構転移部材は、サンプル反応領域と掴み取り領域との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、第1の水平方向と第2の水平方向とは互いに垂直である。
【0009】
さらに、反応容器転移部材は、平行に設置される第1の反応容器転移部材および第2の反応容器転移部材を含み、第1の反応容器転移部材および第2の反応容器転移部材は、いずれもサンプル添加領域と掴み取り領域との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、サンプル添加部は、第1の反応容器転移部材および第2の反応容器転移部材の上方に移動可能に設けられる液体移送針を含み、第1の反応容器転移部は、サンプル添加領域に位置するサンプル添加位置を有し、第1の反応容器転移部材がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送針は、第1の反応容器転移部材の上方に移動して、検体を第1の反応容器に注入することができ、第2の反応容器転移部材は、サンプル添加領域に位置するとともに第1の反応容器転移部材と面一になる核酸添加位置を有し、第1の反応容器転移部材がサンプル添加位置に位置するとともに、第2の反応容器転移部材が核酸添加位置に位置する場合、液体移送針は、第1の反応容器転移部材の上方に移動して抽出された核酸を吸引するとともに、第2の反応容器転移部材の上方に移動して抽出された核酸を第2の反応容器に転移することができる。
【0010】
さらに、検体管転移部材は、サンプル添加領域に位置する第1の作業位置を有し、検体管転移部材が第1の作業位置に位置する場合、液体移送針は、検体管転移部材の上方に移動して検体を吸引することができる。
【0011】
さらに、検体ロード部は、検体管グリッパーと、検体管を格納するための検体ビンとを含み、検体管グリッパーは、検体ビンおよび検体管転移部材の上方に可動的に設けられ、検体管転移部材は、検体ロード領域に位置する第2の作業位置をさらに有し、検体管転移部材が第2の作業位置に位置する場合、検体管グリッパーは、検体管を検体ビンから検体管転移部材に移動させることができ、掴み取り部は、第1の水平方向および縦方向に移動可能に設けられる反応容器グリッパーを含み、抽出機構転移部材は、掴み取り領域に位置する受取位置と、サンプル反応領域に位置する抽出位置とを有し、反応容器転移部材は、掴み取り領域に位置する第1の転移位置を有し、反応容器転移部材が第1の転移位置に位置するとともに、抽出機構転移部材が受取位置に位置する場合、反応容器グリッパーは、第1の反応容器を掴み取って、第1の反応容器を反応容器転移部材と抽出機構転移部材との間で移動させることができる。
【0012】
さらに、サンプル添加部は、液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビンをさらに含み、液体移送針は、消耗品格納ビンの上方に移動して液体移送ヘッドをロードすることができる。
【0013】
さらに、掴み取り領域には、第2の反応容器を封止するためのフィルム封止機構がさらに設けられ、反応容器転移部材は、掴み取り領域に位置する第2の転移位置をさらに有し、反応容器転移部材が第2の転移位置に位置する場合、反応容器グリッパーは、反応容器転移部材の上方に移動して核酸ロード後の第2の反応容器を掴み取るとともに、フィルム封止機構の上方に移動して第2の反応容器をフィルム封止機構に放出することができる。
【0014】
さらに、フィルム封止機構は、熱プレス部材とフィルム封止機構転移部材とを含み、フィルム封止機構転移部材は、熱プレス部材の下方に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、フィルム封止機構転移部材は、蓋体を載置するための蓋体載置位置と、第2の反応容器を載置するための第2の反応容器載置位置とを有し、反応容器グリッパーは、第2の反応容器を第2の反応容器載置位置に放出することができ、反応容器グリッパーは、フィルム封止機構転移部材の上方に位置する掴み取り位置を有し、反応容器グリッパーが掴み取り位置に位置する場合、フィルム封止機構転移部材は、蓋体載置位置が反応容器グリッパーの下方に移動して反応容器グリッパーが蓋体を掴み取る分離位置と、第2の反応容器載置位置が反応容器グリッパーの下方に移動して反応容器グリッパーが蓋体を第2の反応容器に放出する放出位置と、第2の反応容器載置位置が熱プレス部材の下方に移動する封止位置とを有する。
【0015】
さらに、掴み取り領域には、反応容器グリッパーの下方に位置する廃液ステーションがさらに設けられ、廃液ステーションは、廃液枠と、トレイと、廃液回収部材とを含み、廃液回収部材は、廃液枠に縦方向および第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、反応容器転移部材が第1の転移位置に位置する場合、反応容器グリッパーは、第1の反応容器転移部材の上方に移動して第1の反応容器を掴み取るとともに、トレイの上方に移動して第1の反応容器をトレイに放出することができ、廃液回収部材は、トレイの上方に移動して磁気ロッドカバーおよび廃液を回収することができる。
【0016】
さらに、廃液ステーションは、支持プレートと、押し棒と、回収ボックスとをさらに含み、回収ボックスは、廃液枠の下方に位置し、トレイは、廃液枠に縦方向に移動可能に設けられ、押し棒は、支持プレートに第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、支持プレートは、トレイを退避させるための退避開口を有し、トレイは、支持プレートの下方に移動して第1の反応容器を支持プレートに留置することができ、押し棒は、第1の反応容器を押して第1の反応容器を回収ボックスに回収することができる。
【0017】
本発明の他方面によれば、抽出試薬および増幅試薬を調製するための試薬調製装置と、測定混合物に対して分析物検出測定を行って検体を分析するための増幅装置と、以上で提供する検体抽出装置と、を含む核酸検出一体機を提供する。
【0018】
さらに、試薬調製装置、被測物抽出装置および増幅装置は、互いに隔離され、試薬調製装置および増幅装置は、それぞれ検体抽出装置の両側に位置し、試薬調製装置と検体抽出装置との間に第1の通路が設けられ、検体抽出装置と増幅装置との間に第2の通路が設けられ、第1の通路および第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有し、および/または、試薬調製装置と検体抽出装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、受け渡し機構は、第1の通路を通って抽出試薬を調製する第1の反応容器と増幅試薬を調製する第2の反応容器とを検体抽出装置に移動することができ、検体抽出装置の掴み取り部は、第1の反応容器を検体抽出装置の第1の反応容器配置位置に移動させるとともに、第2の反応容器を検体抽出装置の第2の反応容器配置位置に移動させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の技術手段を適用すれば、検体抽出装置は、検体ロード領域、サンプル反応領域、サンプル添加領域および掴み取り領域を含み、検体ロード領域には、検体を収容する検体管に対してロードおよび処理を行うことが可能な検体ロード部が設けられ、サンプル添加領域には、検体を検体ロード部から第1の反応容器に転移することが可能なサンプル添加部が設けられ、掴み取り領域には、検体を添加した後の第1の反応容器をサンプル添加部からサンプル反応領域のサンプル反応部に移動させることが可能な掴み取り部が設けられ、サンプル反応部を利用して検体から核酸を抽出し、さらに掴み取り部を利用して核酸を抽出した後の第1の反応容器をサンプル反応部からサンプル添加部に移動して、サンプル反応部に抽出された核酸を第2の反応容器に添加することにより、核酸を複製することができる。検体ロード領域、サンプル添加領域および掴み取り領域はいずれもサンプル反応領域の外側に周設され、掴み取り領域は、検体ロード領域、サンプル反応領域およびサンプル添加領域の同じ側に位置する。従って、検体抽出装置の各モジュールの間の配置がよりコンパクトになり、核酸検出一体機の配置もよりコンパクトになるため、核酸検出一体機の敷地面積が小さくなる。
【0020】
本願の一部を構成する図面は、本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例およびその説明は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る検体抽出装置のパーティション図を示すものである。
【
図2】本発明の実施例に係る検体抽出装置の構造を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る検体抽出装置のサンプル反応部および抽出機構転移部材の構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る検体抽出装置のフィルム封止機構の構造を示す図である。
【
図5】本発明の実施例に係る検体抽出装置の開蓋部材および検体管転移部材の構造を示す図である。
【
図6】
図2の廃液ステーションの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例の技術手段について、本発明の実施例における図面を参照しながら明瞭かつ完全に説明するが、以下に説明する実施例は、本発明の全ての実施例ではなく、その一部の実施例に過ぎないことは言うまでもない。以下の少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は、実際には説明のためのものに過ぎず、本発明およびその応用または使用に対して何ら制限を加えるものではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働をせずに取得した他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0023】
図1~
図6に示すように、本発明の実施例は、検体ロード領域10、サンプル反応領域20、サンプル添加領域30および掴み取り領域40を含む検体抽出装置を提供する。検体ロード領域10には、検体管に対して格納および処理を行うための検体ロード部11が設けられ、サンプル反応領域20には、検体から核酸を抽出するためのサンプル反応部21が設けられ、サンプル添加領域30には、検体を検体ロード部11から第1の反応容器に転移するとともに、サンプル反応部21で抽出された核酸を第2の反応容器に添加するためのサンプル添加部31が設けられ、掴み取り領域40には、検体を添加した第1の反応容器をサンプル添加部31からサンプル反応部21に移動させるとともに、検体から抽出された核酸をサンプル反応部21からサンプル添加部31に移動させるための掴み取り部41が設けられ、そのうち、検体ロード領域10、サンプル添加領域30および掴み取り領域40は、いずれもサンプル反応領域20の外側に周設され、掴み取り領域40は、検体ロード領域10、サンプル反応領域20およびサンプル添加領域30の同じ側に位置する。
【0024】
本発明の技術手段を適用すれば、検体抽出装置は、検体ロード領域10、サンプル反応領域20、サンプル添加領域30および掴み取り領域40を含む。
【0025】
検体ロード領域10には、検体を収容する検体管に対してロードおよび処理を行うことが可能な検体ロード部11が設けられ、サンプル添加領域30には、検体を検体ロード部11から第1の反応容器に転移可能なサンプル添加部31が設けられ、掴み取り領域40には、検体を添加した第1の反応容器をサンプル添加部31からサンプル反応領域20のサンプル反応部21に移動可能な掴み取り部41が設けられ、サンプル反応部21を利用して検体から核酸を抽出し、さらに掴み取り部41を利用して核酸抽出後の第1の反応容器をサンプル反応部21からサンプル添加部31に移動させて、サンプル反応部21に抽出した核酸を第2の反応容器に添加することにより、核酸を複製することができる。検体ロード領域10、サンプル添加領域30および掴み取り領域40は、いずれもサンプル反応領域20の外側に周設され、掴み取り領域40は、検体ロード領域10、サンプル反応領域20およびサンプル添加領域30の同じ側に位置する。従って、検体抽出装置の各モジュールの間の配置がよりコンパクトになり、核酸検出一体機の配置もよりコンパクトになるため、核酸検出一体機の敷地面積が小さくなる。
【0026】
本実施例では、サンプル反応部21は、抽出機構を含み、抽出機構を利用して第1の反応容器内のサンプルから核酸を抽出することができる。
【0027】
なお、検体抽出装置の各領域の間には、各領域間での消耗品および検体の転移を実現するために転移機構が設けられている。
【0028】
図1~
図3および
図5に示すように、検体抽出装置は、検体管転移部材50と、反応容器転移部材と、抽出機構転移部材80とをさらに含み、検体管転移部材50は、検体ロード領域10における検体管をサンプル添加領域30に移動させるように、検体ロード領域10とサンプル添加領域30との間に移動可能に設けられ、反応容器転移部材は、サンプル添加領域30における第1の反応容器および第2の反応容器をサンプル添加領域30と掴み取り領域40との間で移動させるように、サンプル添加領域30と掴み取り領域40との間に移動可能に設けられ、抽出機構転移部材80は、第1の反応容器をサンプル反応領域20と掴み取り領域40との間で移動させるように、サンプル反応領域20と掴み取り領域40との間に移動可能に設けられる。検体管転移部材50を利用して、検体管を検体ロード領域10からサンプル添加領域30に移動させ、さらに検体をサンプル添加領域30に転移して検体を第1の反応容器に転移することができ、反応容器転移部材を利用して、第1の反応容器をサンプル添加領域30と掴み取り領域40との間で移動させて、検体を載置する第1の反応容器をサンプル添加領域30から掴み取り領域40に移動させることができ、抽出機構転移部材80を利用して、検体を載置する第1の反応容器を掴み取り領域40からサンプル反応領域20に移動させて、サンプル反応部21を利用して検体から核酸を抽出することができる。そして、抽出機構転移部材80を利用して、核酸抽出後の第1の反応容器をサンプル反応領域20から掴み取り領域40に移動させ、さらに、反応容器転移部材を利用して、核酸抽出後の第1の反応容器を掴み取り領域40からサンプル添加領域30に移動させて、抽出された核酸を第1の反応容器から第2の反応容器に転移する。
【0029】
図1および
図5に示すように、検体管転移部材50は、検体ロード領域10とサンプル添加領域30との間に第1の水平方向に沿って移動可能に設けられ、反応容器転移部材は、サンプル添加領域30と掴み取り領域40との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、抽出機構転移部材80は、サンプル反応領域20と掴み取り領域40との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、第1の水平方向と第2の水平方向とは互いに垂直である。検体管転移部材50を第1の水平方向に沿って移動させ、反応容器転移部材および抽出機構転移部材80を第2の水平方向に沿って移動させることにより、検体管転移部材50、反応容器転移部材および抽出機構転移部材80の移動経路を短くすることができ、さらに空間の占用を減少させて、核酸一体機の敷地面積を減少させることができる。
【0030】
図1および
図2に示すように、反応容器転移部材は、平行に設置される第1の反応容器転移部材60および第2の反応容器転移部材70を含み、第1の反応容器転移部材60および第2の反応容器転移部材70は、いずれもサンプル添加領域30と掴み取り領域40との間に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、サンプル添加部31は、第1の反応容器転移部材60および第2の反応容器転移部材70の上方に可動的に設けられる液体移送針311を含み、第1の反応容器転移部60は、サンプル添加領域30に位置するサンプル添加位置を有し、第1の反応容器転移部材60がサンプル添加位置に位置する場合、液体移送針311は、第1の反応容器転移部材60の上方に移動して、検体を第1の反応容器に注入することができる。液体移送針311を利用して検体管内の検体を吸引して第1の反応容器転移部材60における第1の反応容器に放出し、第1の反応容器転移部材60を利用して検体が注入された第1の反応容器をサンプル添加領域30から掴み取り領域40に移動させることができる。
【0031】
本実施例では、検体抽出装置は、枠体を有し、検体ロード部11、サンプル反応部21、サンプル添加部31および掴み取り部41は、いずれも枠体内に設けられており、サンプル添加部31は、枠体に水平方向に沿って移動可能に設けられるサンプルアームをさらに含み、液体移送針311は、サンプルアームに縦方向に移動可能に設けられ、さらに液体移送針311の三軸運動を実現する。
【0032】
具体的には、第2の反応容器転移部材70は、サンプル添加領域30に位置するとともに第1の反応容器転移部材60と面一になる核酸添加位置を有する。第1の反応容器転移部材60がサンプル添加位置に位置するとともに、第2の反応容器転移部材70が核酸添加位置に位置する場合、液体移送針311は、第1の反応容器転移部材60の上方に移動して抽出された核酸を吸引するとともに、第2の反応容器転移部材70の上方に移動して抽出された核酸を第2の反応容器に転移することができる。液体移送針311を利用してサンプル反応部21において抽出した核酸を第2の反応容器転移部材70に位置する第2の反応容器に転移し、さらに第2の反応容器における増幅試薬を利用して核酸を複製することができる。
【0033】
そのうち、検体管転移部材50は、サンプル添加領域30に位置する第1の作業位置を有する。検体管転移部材50が第1の作業位置に位置する場合、液体移送針311は、検体管転移部材50の上方に移動して検体を吸引することができる。検体管転移部材50を利用して検体管を検体ロード領域10からサンプル添加領域30に移動させ、かつ液体移送針311を利用して検体管転移部材50における検体管内の検体を吸引して、第1の反応容器転移部材60における第1の反応容器に注入する。
【0034】
本実施例では、反応容器転移部材を設置することにより、1つのサンプル添加領域30において検体を検体管から第1の反応容器に注入するサンプル添加機能および抽出された核酸を第1の反応容器から第2の反応容器に注入する核酸転移機能を実現することができ、検体抽出装置の構造の簡略化に有利である。
【0035】
図2に示すように、検体ロード部11は、検体管グリッパー111と、検体管を格納するための検体ビン112とを含み、検体管グリッパー111は、検体ビン112および検体管転移部材50の上方に可動的に設けられ、検体管転移部材50は、検体ロード領域10に位置する第2の作業位置をさらに有し、検体管転移部材50が第2の作業位置に位置する場合、検体管グリッパー111は、検体管を検体ビン112から検体管転移部材50に移動させることができ、検体管グリッパー111を利用して、検体ビン112における検体管を検体管転移部材50に移動させることができ、さらに、検体管転移部材50を利用して検体ロード領域10とサンプル添加領域30との間の検体管の移動を実現する。
【0036】
本実施例では、検体管グリッパー111は、検体管を検体ビン112から検体管転移部材50に移動させるように、枠体において三軸運動を実現することができる。そのうち、枠体には、横方向ガイドレールおよび縦方向ガイドレールが設けられ、検体管グリッパー111は、グリッパーフレームと、グリッパーフレームに縦方向に沿って移動可能に設けられる係止爪とを含み、グリッパーフレームは、横方向ガイドレールおよび縦方向ガイドレールの延伸方向に沿って移動可能であり、水平面内でのグリッパーフレームの運動を実現し、さらに係止爪の三軸運動を実現することができる。
【0037】
なお、検体は、サンプル、品質管理物、キャリブレーション物などを含む。
図1および
図2に示すように、掴み取り部41は、第1の水平方向および縦方向に移動可能に設けられる反応容器グリッパー411を含み、抽出機構転移部材80は、掴み取り領域40に位置する受取位置と、サンプル反応領域20に位置する抽出位置とを有し、反応容器転移部材は、掴み取り領域40に位置する第1の転移位置を有し、反応容器転移部材が第1の転移位置に位置するとともに、抽出機構転移部材80が受取位置に位置する場合、反応容器グリッパー411は、第1の反応容器を掴み取って、反応容器転移部材と抽出機構転移部材80との間で移動させることができる。反応容器グリッパー411を利用して、検体を載置した第1の反応容器を反応容器転移部材から抽出機構転移部材80に移動させ、抽出機構転移部材80によって掴み取り位置から抽出位置に移動させて第1の反応容器を抽出機構内に移動させて、検体から核酸を抽出することができる。そして、核酸抽出後、抽出機構転移部材80を利用して核酸抽出後の第1の反応容器を抽出位置から掴み取り位置に移動させ、反応容器グリッパー411を利用して第1の反応容器を抽出機構転移部材80から反応容器転移部材に移動させることができる。
【0038】
本実施例では、第1の反応容器転移部材60を第1の転移位置に位置させることができ、反応容器グリッパー411は、第1の反応容器を掴み取って、第1の反応容器を第1の反応容器転移部材60と抽出機構転移部材80との間で移動させる。
【0039】
本実施例では、領域間で水平に移動する転移部材と領域内で水平および縦方向に移動可能なグリッパーとの協働によって、各領域の間の消耗品の搬送を実現し、各領域が独立して運転しかつ並行して作業することができ、構造のコンパクト化を実現するとともに作業効率も保証される。
【0040】
具体的には、検体ロード部11は、開蓋部材12をさらに含み、検体管転移部材50は、第3の作業位置をさらに有し、検体管転移部材50が第3の作業位置に位置する場合、検体管転移部材50は、開蓋部材12の下方に位置し、第3の作業位置は、第1の作業位置と第2の作業位置との間に位置する。開蓋部材12を利用して、サンプル添加部31が検体管における検体を吸引可能なように、検体管転移部材50に位置する検体管を開蓋することができる。
【0041】
本実施例では、枠体には、第1の水平方向に沿って延伸する容器グリッパーガイドレールが設けられ、反応容器グリッパー411は、容器グリッパーガイドレールにその延伸方向に沿って移動可能に設けられる容器グリッパーフレームと、容器グリッパーフレームに縦方向に移動可能に設けられるオリフィスプレート係止爪とを含む。上記のような構造を採用すれば、反応容器グリッパー411の二軸移動を実現することが可能となる。
【0042】
具体的には、第1の反応容器転移部材60および抽出機構転移部材80は、いずれも掴み取り領域40に移動することができ、さらに、反応容器グリッパー411を利用して、検体を注入した第1の反応容器を第1の反応容器転移部材60から抽出機構転移部材80に移動することができる。さらに、抽出機構転移部材80によって抽出位置に移動させて、抽出機構を利用して核酸抽出を行うことができる。
【0043】
図2に示すように、サンプル添加部31は、液体移送ヘッドを載置するための消耗品格納ビン312をさらに含み、液体移送針311は、消耗品格納ビン312の上方に移動して液体移送ヘッドをロードすることができる。消耗品格納ビン312を利用して液体移送ヘッドを格納し、さらに液体移送針311を利用して液体移送ヘッドをロードすることができる。
【0044】
具体的には、液体移送針311が検体管内の検体を吸引する前に、液体移送針311を消耗品格納ビン312の上方に移動させて液体移送ヘッドをロードする必要がある。さらに、液体移送ヘッドを利用して検体を吸引する。核酸の吸引過程は、これと類似するので、ここでは説明を省略する。
【0045】
本実施例では、掴み取り領域40には、フィルム封止機構43がさらに設けられ、反応容器転移部材は、掴み取り領域40に位置する第2の転移位置をさらに有し、反応容器転移部材が第2の転移位置に位置する場合、反応容器グリッパー411は、反応容器転移部材の上方に移動して核酸がロードされた第2の反応容器を掴み取るとともに、フィルム封止機構43の上方に移動して第2の反応容器をフィルム封止機構43に放出することができる。反応容器グリッパー411を利用して、核酸がロードされた第2の反応容器をフィルム封止機構43に転移することができ、フィルム封止機構43を利用して核酸がロードされた第2の反応容器を封止することができる。
【0046】
具体的には、第2の反応容器転移部材70を第2の転移位置に位置させることができ、反応容器グリッパー411は、第2の反応容器転移部材70の上方に移動して核酸がロードされた第2の反応容器を掴み取ることができる。
【0047】
図1、
図2および
図4に示すように、フィルム封止機構43は、熱プレス部材431とフィルム封止機構転移部材432とを含み、フィルム封止機構転移部材432は、熱プレス部材431の下方に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、フィルム封止機構転移部材432は、蓋体を載置するための蓋体載置位置433と、第2の反応容器を載置するための第2の反応容器載置位置434とを有する。反応容器グリッパー411は、第2の反応容器を第2の反応容器載置位置434に放出することができる。反応容器グリッパー411は、フィルム封止機構転移部材432の上方に位置する掴み取り位置を有し、反応容器グリッパー411が掴み取り位置に位置する場合、フィルム封止機構転移部材432は、蓋体載置位置433が反応容器グリッパーの下方に移動して反応容器グリッパー411が蓋体を掴み取る分離位置と、第2の反応容器載置位置434が反応容器グリッパー411の下方に移動して反応容器グリッパー411が蓋体を第2の反応容器に放出する放出位置と、第2の反応容器載置位置434が熱プレス部材431の下方に移動する封止位置とを有する。上記のような構造を採用すれば、フィルム封止機構転移部材432の蓋体載置位置433を利用して蓋体を載置し、第2の反応容器載置位置434を利用して第2の容器を載置することができる。
【0048】
そして、反応容器グリッパー411を利用して核酸が収容・ロードされた第2の反応容器をフィルム封止機構転移部材432に移動させるとともに、蓋体を蓋体載置位置433から第2の反応容器に移動させ、さらに熱プレス部材431を利用して蓋体と第2の反応容器との封止を完了する。
【0049】
図2および
図6に示すように、掴み取り領域40には、反応容器グリッパー411の下方に位置する廃液ステーション42がさらに設けられ、廃液ステーション42は、廃液枠421と、トレイ422と、廃液回収部材423とを含み、廃液回収部材423は、廃液枠421に縦方向および第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、第1の反応容器転移部材60が第2の転移位置に位置する場合、反応容器グリッパー411は、第1の反応容器転移部材60の上方に移動して第1の反応容器を掴み取るとともに、トレイ422の上方に移動して第1の反応容器をトレイ422に放出することができる。廃液回収部材423は、トレイ422の上方に移動して磁気ロッドカバーおよび廃液を回収することができる。反応容器グリッパー411を利用して核酸抽出後の第1の反応容器転移部材60における第1の反応容器をトレイ422に転移し、廃液回収部材423を利用して第1の反応容器における廃液および磁気ロッドカバーを回収することができる。
【0050】
本実施例では、廃液回収部材423の上端に突起部が設けられ、突起部を利用して磁気ロッドカバーを回収することができ、廃液回収部材423の下端に廃液針が設けられ、廃液針を利用して廃液を吸引することができる。
【0051】
図6に示すように、廃液ステーション42は、支持プレート424、押し棒425および回収ボックスをさらに含み、回収ボックスは、廃液枠421の下方に位置し、トレイ422は、廃液枠421に縦方向に移動可能に設けられ、押し棒425は、支持プレート424に第2の水平方向に沿って移動可能に設けられ、支持プレート424は、トレイ422を退避させるための退避開口を有し、トレイ422は、支持プレート424の下方に移動して第1の反応容器を支持プレート424上に留置することができる。押し棒425は、第1の反応容器を押して第1の反応容器を回収ボックスに回収することができる。支持プレート424の退避開口を利用してトレイ422を退避することができ、さらに、トレイ422における第1の反応容器を支持プレート424に留置させることができ、押し棒425を利用して支持プレート424における第1の反応容器を回収ボックスに移動させることができる。
【0052】
具体的には、反応容器グリッパー411を利用して核酸抽出後の第1の反応容器をトレイ422に転移した後、廃液回収部材423を利用して第1の反応容器の上方に移動させることにより、磁気ロッドカバーおよび廃液を回収することができる。磁気ロッドカバーおよび廃液を回収した後、トレイ422を縦方向に移動させて退避開口を通過させることにより、第1の反応容器を支持プレート424に留置させることができ、さらに、押し棒425を利用して支持プレート424における第1の反応容器を回収ボックスに移動させることができる。
【0053】
本実施例では、検体における核酸を抽出する際に、検体管グリッパー111を利用して検体ビン112の上方に移動して検体管を掴み取って第2の作業位置に位置する検体管転移部材50に移動し、検体管を検体管転移部材50による転移によって開蓋部材12の下方に位置する第3の作業位置に移動し、開蓋部材12を利用して開蓋し、開蓋後の検体管を検体管転移部材50においてサンプル添加領域30に位置する第1の作業位置に移動し、液体移送針311を利用して検体管転移部材50の上方に移動して検体を吸引する。さらに、液体移送針311をサンプル添加領域30に移動させるとともに、サンプル添加位置に位置する第1の反応容器転移部材60の上方に移動させて、液体移送針311を利用して検体を第1の反応容器転移部材60の第1の反応容器に放出する。さらに、第1の反応容器転移部材60を掴み取り領域40に位置する第1の転移位置に移動させて、反応容器グリッパー411を利用して第1の反応容器転移部材60における第1の反応容器を掴み取る。さらに、反応容器グリッパー411を受取位置に位置する抽出機構転移部材80の上方に移動させて、第1の反応容器を抽出機構転移部材80に放出し、かつ抽出機構転移部材80を抽出機構に位置する抽出位置に移動させて、さらに抽出機構を利用して検体における核酸を抽出する。核酸抽出後、抽出機構転移部材80をサンプル反応領域に位置する抽出位置から掴み取り領域40に位置する受取位置に移動させて、反応容器グリッパー411を利用して第1の反応容器を掴み取り、かつ第1の転移位置に位置する第1の反応容器転移部材60に放出する。さらに、第1の反応容器転移部材60をサンプル添加領域30に位置するサンプル添加位置に移動させ、液体移送針311を利用して第1の反応容器内の抽出後の核酸を吸引し、さらに液体移送針311を核酸添加位置に位置する第2の反応容器転移部材70の上方に移動させて、核酸を第2の反応容器に放出する。さらに、第2の反応容器転移部材70を掴み取り領域40に位置する第2の転移位置に移動させ、反応容器グリッパー411を利用して第2の反応容器を掴み取り、反応容器グリッパー411をフィルム封止機構転移部材432の上方に位置する掴み取り位置に移動させ、第2の反応容器を第2の反応容器載置位置434に放出し、かつフィルム封止機構転移部材432を分離位置に移動させ、反応容器グリッパー411を利用して蓋体を掴み取り、さらにフィルム封止機構転移部材432を放出位置に移動させて蓋体を第2の反応容器に放出し、フィルム封止機構転移部材432を封止位置に移動させて、熱プレス部材431を利用して蓋体と第2の反応容器を封止する。
【0054】
そのうち、第1の水平方向とは、
図2におけるX軸方向を指し、第2の水平方向とは、
図2におけるY軸方向を指し、縦方向とは、
図2におけるZ軸方向を指す。
【0055】
本発明の別の実施例は、試薬調製装置、検体抽出装置および増幅装置を含む核酸検出一体機を提供し、試薬調製装置は、抽出試薬および増幅試薬を調製するためのものであり、増幅装置は、測定混合物に対して分析物検出測定を行って検体を分析するためのものであり、検体抽出装置は、以上で提供する検体抽出装置である。当該核酸検出一体機を採用すれば、検体ロード領域10、サンプル添加領域30および掴み取り領域40はいずれもサンプル反応領域20の外側に周設されるため、掴み取り領域40は、検体ロード領域10、サンプル反応領域20およびサンプル添加領域30の同じ側に位置する。従って、検体抽出装置の各モジュールの間の配置がよりコンパクトになり、核酸検出一体機の配置もよりコンパクトになる。
【0056】
本実施例では、試薬調製装置、検体抽出装置および増幅装置は、互いに隔離され、試薬調製装置および増幅装置は、それぞれ検体抽出装置の両側に位置し、試薬調製装置と検体抽出装置との間に第1の通路が設けられ、検体抽出装置と増幅装置との間に第2の通路が設けられ、第1の通路および第2の通路はいずれも遮断状態および導通状態を有する。上記のような構造を採用すれば、第1の通路と第2の通路の遮断を利用して、各装置モジュール間の隔離を実現し、相互汚染を回避することができる。第1の通路と第2の通路の導通を利用して、各装置モジュール間の消耗品の伝達を実現する。
【0057】
そのうち、核酸検出一体機は、試薬調製装置と検体抽出装置との間に設けられる受け渡し機構をさらに含み、受け渡し機構は、第1の通路を通って抽出試薬を調製する第1の反応容器と増幅試薬を調製する第2の反応容器とを検体抽出装置に移動することができ、検体抽出装置の掴み取り部41は、第1の反応容器を検体抽出装置の第1の反応容器配置位置に移動させるとともに、第2の反応容器を検体抽出装置の第2の反応容器配置位置に移動させることができる。受け渡し機構を利用して、試薬調製装置において抽出試薬の調製が完了した第1の反応容器および増幅試薬の調製が完了した第2の反応容器を検体抽出装置に移動して検体の抽出を行うことができる。
【0058】
なお、ここで用いた用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本願に係る例示的な実施形態を制限する意図がない。ここで使用されたように、本明細書において特に明示しない限り、単数の形態には複数の形態も含まれる。また、本明細書において「包含」および/または「含む」の用語を使用する場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、コンポーネントおよび/またはそれらの組み合わせが存在することを明示すると理解すべきである。
【0059】
特に明記しない限り、これらの実施例に記載された部材およびステップの相対的な配置、数式および数値は、本発明の範囲を限定するものではない。なお、説明の便宜上、図中に示される各部の寸法は、実際の比例関係に従って描かれているものではないことは言うまでもない。当業者にとって既知の技術、方法、およびデバイスについて、詳細的に検討しないことがあるが、適切な場合には、前記の技術、方法、およびデバイスは、明細書の一部と見なされるべきである。ここで例示および検討した全ての例示において、任意の具体的な値はあくまでも例示的なものであって制限的なものではないと解釈されるべきである。よって、例示的な実施例以外の例示では、異なる値を有していてもよい。なお、類似する符号およびアルファベットは、以下の図面において類似するものを示すので、いずれの1つがある図面で定義されると、その後の図面においてそれ以上の検討が不要となる。
【0060】
本発明の説明において、例えば「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」および「頂、底」などの方位用語によって示される方位または位置関係は、通常、図中に示される方位または位置関係に基づくものであって、本発明の説明の便宜上および説明の簡略化のためのものに過ぎず、逆の説明がない場合、これらの方位用語は、指示する装置または要素が特定の方位を有するかまたは特定の方位で構成および操作されなければならないことを指示および暗示するものではないため、本発明の保護範囲を制限するものとして理解されるべきではない。方位用語である「内、外」は、各部材自体の輪郭に対する内外を意味する。
【0061】
説明の便宜上、例えば「・・・の上にある」、「・・・の上方にある」、「・・・の上面にある」、「・・・より上の」などの相対的な空間用語を用いて、図中に示す1つのデバイスまたは特徴と他のデバイスまたは特徴との空間的位置関係を説明することができる。相対的な空間用語とは、デバイスの図示した方位以外の使用または動作中の異なる方位を包含することを意図している。例えば、図中においてデバイスが反転されると、「他のデバイスや構造の上方にある」または「他のデバイスや構造の上にある」と記載されるデバイスは、その後で「他のデバイスや構造の下方にある」や「他のデバイスや構造の下にある」と位置決められる。従って、例示的な用語の「・・・の上方にある」には、「・・・の上方にある」および「・・・の下方にある」の2つの方位が含まれる。当該デバイスは、他の異なる方式(90度回転または他の方位にある)で位置決めされてもよく、かつ、ここで使用される空間に対する説明について対応して解釈する。
【0062】
なお、「第1」、「第2」などの用語を用いて部品を限定することは、対応する部品の区別を容易にするためのものに過ぎず、別途説明しない限り、上記用語は特別な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはいけない。
【0063】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明に対して種々の変更や変化を加えることが可能である。本発明の精神や原則内で行われたいかなる修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0064】
10:検体ロード領域、11:検体ロード部、111:検体管グリッパー、112:検体ビン、12:開蓋部材、
20:サンプル反応領域、21:サンプル反応部、
30:サンプル添加領域、31:サンプル添加部、311:液体移送針、312:消耗品格納ビン、
40:掴み取り領域、41:掴み取り部、411:反応容器グリッパー、42:廃液ステーション、421:廃液枠、422:トレイ、423:廃液回収部材、424:支持プレート、425:押し棒、43:フィルム封止機構、431:熱プレス部材、432:フィルム封止機構転移部材、433:蓋体載置位置、434:第2の反応容器載置位置、
50:検体管転移部材、
60:第1の反応容器転移部材、
70:第2の反応容器転移部材、
80:抽出機構転移部材。