IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アール・ビー・コントロールズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-LED照明器具用電源装置 図1
  • 特開-LED照明器具用電源装置 図2
  • 特開-LED照明器具用電源装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010282
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】LED照明器具用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/14 20200101AFI20240117BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20240117BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20240117BHJP
【FI】
H05B45/14
H05B45/382
H05B45/345
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111525
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】北川 厚
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA25
3K273DA08
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA27
3K273FA30
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA15
3K273GA18
(57)【要約】
【課題】制限抵抗として100Ωの抵抗が直列に接続されているLED灯具と50Ωの制限抵抗が接続された2種類のLED灯具を択一的に接続した場合であって、電源からの出力電圧が同じであると、両灯具のLEDのVfが18ボルトであると、50Ωの制限抵抗で浪費される電力が2倍になり、省エネ上望ましくない。
【解決手段】LED灯具に対して所定の第1電圧を出力すると共に、LED灯具に流れる電流値が予め設定された値を超えると上記出力電圧を上記第1電圧から所定の第2電圧に降圧する出力電圧切換手段を設けた。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類のLED灯具が択一的に接続され、その接続されたLED灯具に電力を供給してLED灯具内のLEDを発光させるLED照明器具用電源装置であって、上記LED灯具内にはLEDに対して直列に制限抵抗が接続されているものにおいて、上記LED灯具に対して所定の第1電圧を出力すると共に、LED灯具に流れる電流値が予め設定された値を超えると上記出力電圧を上記第1電圧から所定の第2電圧に降圧する出力電圧切換手段を備えたことを特徴とするLED照明器具用電源装置。
【請求項2】
外部の商用電源から供給される交流電力を整流した直流電力を電源ICによって断続的に変圧トランスの1次側に供給し、この変圧トランスの2次側に誘導される電力を整流して上記第1電圧の直流電力を生成するとともに、2次側における電流値が上記予め設定された値を超えると、フォトカプラを介して上記電源ICのコントロール端子の入力信号を切り替えて、2次側に誘導される電力による直流電圧を上記第2電圧に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の種類のLED灯具が択一的に接続され、その接続されたLED灯具に電力を供給してLED灯具内のLEDを発光させるLED照明器具用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの明るさはLEDに流す電流に比例する。そのため、LEDを点灯させるための電源装置には定電流制御回路が組み込まれ、LEDに流れる電流が一定になるように制御されている。この定電流制御回路は、LEDに流れる電流を常時モニタし、電流値が変動しないように、LEDに印加する電圧を制御するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、定電流制御を行うためには定電圧回路を設け、さらに電流値をモニタし、さらに電流値が一定になるように定電圧回路の出力電圧を制御する必要がある。
【0004】
なお、LEDには順方向に電圧を印加すれば順方向に電流が流れるが、逆方向に電圧を印加してもLEDには電流が流れない。ただし、順方向に電圧を印加しても、その電圧が所定の電圧を超えるまでは順方向にも電流は流れないが、順方向に印加する電圧が所定の電圧である順方向電圧(Vf)を超えると一気に電流が流れる。上述のように、LEDの明るさはこの順方向の電流に比例するので、電流が一気に流れるとLEDの明るさが急速に明るくなり、LEDが破損するおそれがある。そこで、LEDに印加される順方向電圧がVfを超えてLEDに電流が流れ得る状態になっても、その電流を所定の値に制限してLEDの明るさを制限するとともに、LEDが破損することを防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-163562号公報(図3図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、定電流制御を行うためには定電圧制御を行う電源よりも複雑な構成が必要になるため、定電圧回路のみを備えた電源よりも定電流制御を行う電源の方がコストが高くなる。
【0007】
一方、LEDを点灯させるだけでよく、定電流制御までは必要ない場合がある。そのため、定電圧回路のみを備えた電源装置にLEDを接続させてLEDを点灯させるニーズも存在する。
【0008】
ところで、LEDのVfが18ボルトのLEDに対して制限抵抗として100Ωの抵抗が直列に接続されているLED灯具を、出力電圧が24ボルトの電源に接続した場合、Vfが18ボルトであるから制限抵抗には6ボルト(24ボルト-18ボルト)が印加されるので、制限抵抗によって制限される電流値は60mAになる。そのため、100Ωの制限抵抗で消費される電力は360mWである。
【0009】
次に、同じくVfが18ボルトのLEDに50Ωの制限抵抗を直列接続した別のLED灯具を、同じ出力電圧の電源に接続すると、制限抵抗に印加される電圧が6ボルトになるため、この50Ωの制限抵抗で浪費される電力は720mWになる。ちなみに、制限抵抗によって制限される電流値は120mAになる。
【0010】
上述のように、制限抵抗が異なるLED灯具を同じ出力電圧の電源に接続すると、制限抵抗で浪費される電力が必要以上に過大となり省エネ上望ましくない状態が生じる。
【0011】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、定電圧回路のみを備えた電源装置に複数種類のLED照明器具を択一的に接続した場合に、制限抵抗で消費される電力が可及的に低減されるLED照明器具用電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明器具用電源装置は、複数の種類のLED灯具が択一的に接続され、その接続されたLED灯具に電力を供給してLED灯具内のLEDを発光させるLED照明器具用電源装置であって、上記LED灯具内にはLEDに対して直列に制限抵抗が接続されているものにおいて、上記LED灯具に対して所定の第1電圧を出力すると共に、LED灯具に流れる電流値が予め設定された値を超えると上記出力電圧を上記第1電圧から所定の第2電圧に降圧する出力電圧切換手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記の電源装置は出力電圧を第1電圧と第2電圧との2種類の電圧に切り替えることのできるマルチ電源であって、LED灯具を接続した際に流れる電流が予め設定された値を超えると出力電圧を第2電圧に下げることによって制限抵抗で消費される電力を抑制するようにした。
【0014】
具体的には、外部の商用電源から供給される交流電力を整流した直流電力を電源ICによって断続的に変圧トランスの1次側に供給し、この変圧トランスの2次側に誘導される電力を整流して上記第1電圧の直流電力を生成するとともに、2次側における電流値が上記予め設定された値を超えると、フォトカプラを介して上記電源ICのコントロール端子の入力信号を切り替えて、2次側に誘導される電力による直流電圧を上記第2電圧に切り替えるように構成することが考えられる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明は、LED灯具内のLEDを点灯させる際に、LED灯具に流れる電流値が所定の値を超えると出力電圧を下げることによって、LED灯具内での制限抵抗での消費電力を可及的に抑制することによって、省エネ効果を奏するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の電源装置の1次側の構成を示す図
図2】本発明の電源装置の2次側の構成を示す図
図3】服種類のLED灯具の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して、本図はLED照明器具用電源装置(以下、単に電源装置という)の1次側の構成を示している。この電源装置は外部の商用電源である交流電源1から供給される交流電力をダイオードブリッジ2で整流して直流電力に変換して変圧トランス3の1次側コイル31に供給している。ただし、直流電力を単に1次側コイル31に供給しただけでは2次側回路6に電力が誘導されないので、FET41によって断続して1次側コイル31に電流が流れるように構成されている。このFET41のオンオフ状態のデューティ比によって2次側回路6に誘導される電圧が変化する。
【0018】
このFET41のオンオフ制御はスイッチング電源用のIC4によって行われる。このIC4の端子4aから出力されるパルス信号によってFET41はオンオフするが、コントロール端子4bに入力される信号がハイからローに切り替わると2次側回路6に誘導される電圧が下がるようにFET41のオンオフ状態が切り替えられる。
【0019】
上記コントロール端子4bにはフォトカプラを構成するフォトダイオード51が接続されており、同じくフォトカプラを構成するFET(後述する)が発光すると、コントロール端子4bの入力信号をハイからローに切り替える。
【0020】
図2を参照して、2次側回路6には出力端子61,62が設けられており、これら出力端子61,62には後述するLED灯具が接続される。LED灯具が接続されると、LED灯具には電流が流れるが、その電流に比例した電圧が抵抗63の両端に発生する。その両端電圧をコンパレータ7で常時監視しており、電流値が予め設定された値を超えると、コンパレータ7はトランジスタ71をオンにしてLED52を発光させる。このLED52は上述のフォロカプラを構成するものであり、このLED52が発光する、すなわちLED灯具に流れる電流値が所定の値を超えると出力端子61,62の出力電圧が第1の電圧から第2の電圧に低下することになる。
【0021】
図3を参照して、本図では2種類のLED灯具A,Bを示した。両LED灯具A,B内には共に複数の直列接続されたLED8a、8bと、同じく直列接続された制限抵抗81a,81bが内蔵されている。そして、上記出力端子61,62に対して端子61a、62aおよび端子61b,62bが択一的に接続される。
【0022】
上記構成で、例えば電源装置の出力電圧として、第1電圧が24ボルトで、第2電圧が21ボルトに設定されており、LED8aのVfとLED8bのVfとが18ボルトで同じであり、制限抵抗81aが100Ωで制限抵抗81bが50Ωとする。
【0023】
この構成で、LED灯具Aを出力端子61,62に接続すると、制限抵抗81aには6ボルト印加されるので60mA流れる。LED灯具Bに取り替えると、制限抵抗81bにも6ボルト印加されて120mA流れてしまうので、電流値が100mAを超えると主力電圧を24ボルトから21ボルトに切り替えるようにした。その結果、LED灯具Bを接続すると、出力電圧が24ボルトから21ボルトに切り替わるので、制限抵抗81bには3ボルトしか印加されず、LED灯具Bには60mAしか流れない状態になる。そのため、制限抵抗81bで浪費される電力が抑制される。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1 交流電源
2 ダイオードブリッジ
3 変圧トランス
4 IC
7 コンパレータ
81a 制限抵抗
81b 制限抵抗
A LED灯具
B LED灯具
図1
図2
図3