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特開2024-10283地下構造物の施工方法および地下構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010283
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】地下構造物の施工方法および地下構造物
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/045 20060101AFI20240117BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20240117BHJP
   E02D 17/04 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
E02D29/045
E02D27/12
E02D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111526
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 紘光
(72)【発明者】
【氏名】仲林 清文
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 敏康
【テーマコード(参考)】
2D046
2D147
【Fターム(参考)】
2D046CA01
2D147AA05
2D147AB04
2D147AB08
(57)【要約】
【課題】工期を短縮できるとともに、周辺のインフラや建物への影響も抑制することができる地下構造物の施工方法および地下構造物を提供する。
【解決手段】地下構造物の構築領域を囲むように地盤に土留壁11を構築する土留壁構築工程と、構築領域内における外周部分3に支持杭5を打設する支持杭打設工程と、外周部分と、該外周部分の内周側に囲まれた内周部分4と、の境界に山留壁22を構築する山留壁構築工程と、外周部分に外周地下構造物7Aを構築する外周地下構造物構築工程と、内周部分に内周地下構造物7Bを構築する内周地下構造物構築工程と、を有し、支持杭の少なくとも一部に高耐力支持杭5Aが用いられ、外周地下構造物構築工程は、逆打工法が用いられ、内周地下構造物構築工程は、順打工法が用いられる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の構築領域を囲むように地盤に土留壁を構築する土留壁構築工程と、
前記構築領域内における外周部分に支持杭を打設する支持杭打設工程と、
前記外周部分と、該外周部分の内周側に囲まれた内周部分と、の境界に山留壁を構築する山留壁構築工程と、
前記外周部分に外周地下構造物を構築する外周地下構造物構築工程と、
前記内周部分に内周地下構造物を構築する内周地下構造物構築工程と、を有し、
前記支持杭の少なくとも一部に高耐力支持杭が用いられ、
前記外周地下構造物構築工程は、逆打工法が用いられ、
前記内周地下構造物構築工程は、順打工法が用いられる地下構造物の施工方法。
【請求項2】
前記高耐力支持杭は、平面視で前記外周地下構造物の略全周に沿って打設する請求項1に記載の地下構造物の施工方法。
【請求項3】
前記山留壁は、アースアンカーを用いて前記地盤内に支持する請求項1または2に記載の地下構造物の施工方法。
【請求項4】
前記土留壁の少なくとも一部にバットレス壁が設けられている請求項1または2に記載の地下構造物の施工方法。
【請求項5】
支持杭が地下躯体の外周部分の下部に配置された地下構造物において、
前記支持杭の少なくとも一部は高耐力支持杭で構成され、
前記高耐力支持杭は、平面視で前記外周部分の略全周に沿って配置されている地下構造物。
【請求項6】
前記支持杭は、平面視で前記外周部分の略全周に沿って少なくとも二重に前記地下躯体を囲むように配置され、
そのうち少なくとも一重は、高耐力支持杭のみで構成されている請求項5に記載の地下構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下構造物の施工方法および地下構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、既存建物を解体して超高層ビルを新築する建設工事が増えている。大深度で床面積が広い大規模地下構造を有する超高層ビルの建設工事では、周辺の鉄道や高速道路などのインフラや周辺の建物などへの影響が出ないように計画をする必要がある。超高層ビルなどの大規模建築物の建設工事の手法にはいくつかの工法があるが、例えば、特許文献1に記載された工法が知られている。特許文献1では、建設する構造体の内側エリアを逆打工法で建設し、外側エリアを順打工法で建設する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-070701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の工法の場合、大規模な地下構造物を構築する際の周辺のインフラや建物などへの安全確保の面で改善の余地があった。また、大規模な地下構造物の工期がその上層に施工される建物の工期にも影響があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、工期を短縮できるとともに、周辺のインフラや建物への影響も抑制することができる地下構造物の施工方法および地下構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る地下構造物の施工方法は、地下構造物の構築領域を囲むように地盤に土留壁を構築する土留壁構築工程と、前記構築領域内における外周部分に支持杭を打設する支持杭打設工程と、前記外周部分と、該外周部分の内周側に囲まれた内周部分と、の境界に山留壁を構築する山留壁構築工程と、前記外周部分に外周地下構造物を構築する外周地下構造物構築工程と、前記内周部分に内周地下構造物を構築する内周地下構造物構築工程と、を有し、前記支持杭の少なくとも一部に高耐力支持杭が用いられ、前記外周地下構造物構築工程は、逆打工法が用いられ、前記内周地下構造物構築工程は、順打工法が用いられることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、新たに構築する地下構造物の外周部分に、敷地周辺のインフラや建物への影響が少なく安全を確保しやすい逆打工法を採用し、内周部分に大面積・大物量の地下工事を短工期で実現可能な順打工法を採用した。また、支持杭の少なくとも一部に高耐力支持杭を逆打工法の領域に用いることで、超大重量を支えることが可能となる。結果として、大物量の地下構造物の施工において、工期を短縮できるとともに、周辺のインフラや建物への影響も抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係る地下構造物の施工方法は、前記高耐力支持杭が、平面視で前記外周地下構造物の略全周に沿って打設されてもよい。
【0009】
この発明によれば、高耐力支持杭を地下構造物の略全周に沿って打設することで、確実に超大重量の構造物を支えることができる。
【0010】
また、本発明に係る地下構造物の施工方法は、前記山留壁が、アースアンカーを用いて前記地盤内に支持されてもよい。
【0011】
この発明によれば、山留壁をアースアンカーで支持することにより、順打工法を用いる内周部分に切梁を設ける必要がなくなる。したがって、内周部分の掘削などの工事を効率よく行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る地下構造物の施工方法は、前記土留壁の少なくとも一部にバットレス壁が設けられていてもよい。
【0013】
この発明によれば、土留壁の一部にバットレス壁を設けることで、外周部分の1階先行床施工後の工期短縮を図ることができる。
【0014】
本発明に係る地下構造物は、支持杭が地下躯体の外周部分の下部に配置された地下構造物において、前記支持杭の少なくとも一部は高耐力支持杭で構成され、前記高耐力支持杭は、平面視で前記外周部分の略全周に沿って配置されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、高耐力支持杭を地下躯体の略全周に沿って配置することで、確実に超大重量の構造物を支えることができる。
【0016】
また、本発明に係る地下構造物は、前記支持杭が、平面視で前記外周部分の略全周に沿って少なくとも二重に前記地下躯体を囲むように配置され、そのうち少なくとも一重は、高耐力支持杭のみで構成されていてもよい。
【0017】
この発明によれば、必要な箇所にのみ高耐力支持杭を配置することで、低コスト・短工期で所望の構造物を構築することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、工期を短縮できるとともに、周辺のインフラや建物への影響も抑制することができる地下構造物の施工方法および地下構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る構造物の概略平面図である。
図2】本実施形態に係る構造物の杭の配置を示す平面図である。
図3】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(1)である。
図4】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(2)である。
図5】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(3)である。
図6】本実施形態に係る高耐力支持杭の正面図である。
図7】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(4)である。
図8】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(5)である。
図9】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(6)である。
図10】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(7)である。
図11】地下構造物の施工方法を説明する縦断面図(8)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態による地下構造物の施工方法および地下構造物について、図1図11に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、敷地Aに構造物1(地下構造物2)が設けられている。地下構造物2は、平面視で敷地Aの敷地境界よりもわずかに小さい平面積の大きさで構築されている。図2に示すように、地下構造物2は、平面視で外周部分3と内周部分4とで構成されている。内周部分4は図2で示す一点鎖線の内側の領域の部分であり、外周部分3は内周部分4よりも外側の部分である。
【0022】
外周部分3には支持杭5が配され、支持杭5の上部に地下躯体7が構築されている。内周部分4には支持杭5は配されていない。支持杭5は2種類の構造の杭が併用されているが、詳細は後述する。
【0023】
このような地下構造物2を施工する際には、敷地Aの周辺に存在する既存のインフラ(地下鉄や高速道路、共同溝など)や周囲の建物に影響が出ることなく安全に施工する必要がある。
【0024】
以下において、構造物1(地下構造物2)の施工方法について説明する。また、本実施形態においては、既存建物の地下構造物8が残存している状態から、新設の構造物1(地下構造物2)を施工する方法について説明をする。
【0025】
図3に示すように、新設の構造物1(地下構造物2)の周囲を囲むように土留壁11を施工する(土留壁構築工程)。土留壁11の一部にバットレス壁(不図示)を施工してもよい。土留壁11の施工後に、既存建物の地下構造物8の解体工事を開始する。解体工事は、コンクリート破砕機12やバックホー(不図示)などの重機を用いて行う。また、解体工事に伴って出る廃材を搬出するための仮設構台13を設ける。仮設構台13にはクラムシェル14を設置して、廃材や土砂の搬出を行う。
【0026】
図4に示すように、既存の地下構造物8の解体工事が進んだ段階で、支持杭5の施工を開始する(支持杭打設工程)。支持杭5は、高耐力支持杭5Aと一般的な支持杭5Bとを併用して施工する。図4では支持杭5Bを施工している状況を示している。支持杭5Bは、支持杭5Bを設ける箇所の掘削工事を行った後、掘削孔15にクローラークレーン17などを用いて構真柱18を挿入するとともに、掘削孔15内にコンクリート19を打設して構築する。
【0027】
図5に示すように、既存の地下構造物8の解体工事と支持杭5の打設工事とを並行して行う。本実施形態では、図2に示すように、支持杭5として、高耐力支持杭5Aと支持杭5Bとを併用している。外周部分3の外側を囲むように高耐力支持杭5Aが設けられ、外周部分3の内側に支持杭5Bが設けられている。支持杭5の施工が完了した領域には新設の構造物1の1階の先行床21が施工される。また、外周部分3と内周部分4との境界に山留壁22を施工する(山留壁構築工程)。山留壁22はアースアンカー23により地中に支持している。なお、内周部分4の掘削工事が完了した段階で、仮設構台13は撤去する。
【0028】
図6に示すように、高耐力支持杭5Aとしては、例えば、円柱状の軸部31と、該軸部31の先端側を略円錐台状に拡張した拡底部32と、を備えた拡底杭を採用する。
【0029】
高耐力支持杭5Aの施工方法として一例を説明する。
杭用の掘削機を用いて地盤の所定の深度まで軸部31の掘削孔を先行掘削して形成する。次に、軸部31の掘削孔よりも小径の軸部用の拡底用掘削機を軸部31の掘削孔の先端に挿入し、かつ、軸部31の掘削孔の内部に配設した偏心位置決め保持手段によって拡底用掘削機に接続したロッドまたは拡底用掘削機のガイド部を、ロッド及び拡底用掘削機の中心軸を軸部31の中心軸に対して所定量偏心させた状態でロッド及び拡底用掘削機の中心軸周りに回転可能に保持する。先行掘削して形成した軸部31の掘削孔の先端の孔壁を拡底用掘削機で拡底掘削して拡底部32の掘削孔を形成する。そして、軸部31と拡底部32の掘削孔にコンクリートを打設して高耐力支持杭を施工する。
【0030】
その際、拡底用掘削機の先端に、拡底用掘削機の中心軸と同軸で掘削刃よりも下方に突出する位置決め凸部となるスタビライザーを設け、スタビライザーの掘削孔の底面の地盤に突き刺すようにした状態で拡底掘削している。
【0031】
一般的な支持杭の2倍の底面積を有する拡底杭(高耐力支持杭5A)は、2倍の支持力を確保することができる。支持力が大きいため、超高層ビルの大きな荷重や引抜き力を短い杭長で対応することができる。また、このような拡底杭(高耐力支持杭5A)は、従来の拡底掘削機にスタビライザーを装備するだけで、花びらのような拡底形状を容易に構築することができる。そして、このような拡底杭(高耐力支持杭5A)は、杭長が短くてすむため、従来の杭よりも排土量、施工期間とも約半分以下となる。
【0032】
図7に示すように、外周部分3は先行床21の工事が完了した後、逆打工法を用いて外周地下構造物7Aの施工を開始する(外周地下構造物構築工程)。内周部分4は既存の地下構造物8の解体・掘削が完了した後、順打工法にて内周地下構造物7Bの施工を開始する(内周地下構造物構築工程)。内周部分4は、掘削が完了した底部において基礎41を施工する。基礎工事が完了した後、タワークレーン42を基礎41上に設置する。そして、タワークレーン42を用いて鉄骨建方工事を行い、新設の内周地下構造物7Bの施工を行う。
【0033】
図8に示すように、外周部分3は逆打工法にて地下の掘削および外周地下構造物7Aの施工を地下1階から基礎41に向かって行う。図8ではバックホー43を用いて地下2階レベルの掘削を行っている。内周部分4は、順打工法にて地下の鉄骨建方工事が終了した後、順次地上の鉄骨建方工事を進めていく。また、内周部分4の内周地下構造物7Bは、下方から順次柱や床のコンクリート打設工事などの躯体工事を行っていく。図8では地下4階の立ち上がりおよび地下3階の床の工事を行っている。地上の工事は、外周部分3および内周部分4を同時に行う。また、タワークレーン42は適宜ジャッキアップして上方へ移動させる。
【0034】
図9に示すように、外周部分3は逆打工法にて地下3階・地下4階レベルの掘削工事を行っている。内周部分4は順打工法にて地下3階の立ち上がりおよび地下2階の床の工事を行っている。地上部分は、順次地上の鉄骨建方工事を進めている。
【0035】
図10に示すように、外周部分3は逆打工法にて基礎レベルの掘削を行っている。所定の深さまで掘削すると、外周部分3に設けた支持杭5の先端部分に打設したコンクリート19の部分が見えてくる。支持杭5のコンクリート19が見えるレベルまで掘削したところで掘削工事が完了する。内周部分4は順打工法にて地下2階の立ち上がりおよび地下1階の床の工事を行っている。地上部分は、順次地上の鉄骨建方工事や外壁工事を進めている。
【0036】
図11に示すように、外周部分3の掘削工事が完了した後、内周部分4に施工した基礎41と連結するように基礎41を施工する。その際、外周部分3の基礎41は、支持杭5とも構造的に連結するように施工する。また、山留壁22を撤去する。山留壁22を撤去し、外周地下構造物7Aと内周地下構造物7Bとを構造的に一体化することで、地下躯体7(地下構造物2)が構築される。基礎工事および地下構造物構築工事が完了すると、地下構造物2の仕上工事などを除く基本的な工事が完了となる。地上部分は、順次地上の鉄骨建方工事や外壁工事を進めている。このように、地下構造物2の基本的な工事が完了した時点で、地上部分の工事も相当に進んでおり、工期短縮を図ることができる。
【0037】
本実施形態によれば、地下構造物2の構築領域を囲むように地盤に土留壁11を構築する土留壁構築工程と、構築領域内における外周部分3に支持杭5を打設する支持杭打設工程と、外周部分3と、該外周部分3の内周側に囲まれた内周部分4と、の境界に山留壁22を構築する山留壁構築工程と、外周部分3に外周地下構造物を構築する外周地下構造物構築工程と、内周部分4に内周地下構造物を構築する内周地下構造物構築工程と、を有し、支持杭5の少なくとも一部に高耐力支持杭5Aが用いられ、外周地下構造物構築工程は、逆打工法が用いられ、内周地下構造物構築工程は、順打工法が用いられている。
【0038】
つまり、新たに構築する地下構造物2の外周部分3に、敷地周辺のインフラや建物への影響が少なく安全を確保しやすい逆打工法を採用し、内周部分4に大面積・大物量の地下工事を短工期で実現可能な順打工法を採用した。また、支持杭5の少なくとも一部に高耐力支持杭5Aを逆打工法の領域に用いることで、超大重量を支えることが可能となる。結果として、大物量の地下構造物2の施工において、工期を短縮できるとともに、周辺のインフラや建物への影響も抑制することができる。
【0039】
また、高耐力支持杭5Aが、平面視で外周地下構造物の略全周に沿って打設したため、確実に超大重量の構造物1を支えることができる。
【0040】
また、山留壁22が、アースアンカー23を用いて地盤内に支持されているため、順打工法を用いる内周部分4に切梁を設ける必要がなくなる。したがって、内周部分4の掘削などの工事を効率よく行うことができる。
【0041】
また、土留壁11の少なくとも一部にバットレス壁を設けることにより、外周部分3の1階先行床施工後の工期短縮を図ることができる。
【0042】
また、支持杭5が地下躯体7の外周部分3の下部に配置された地下構造物2において、支持杭5が平面視で外周部分3の略全周に沿って少なくとも二重に地下躯体7を囲むように配置され、そのうち少なくとも一重は、高耐力支持杭5Aのみで構成した。つまり、必要な箇所にのみ高耐力支持杭5Aを配置することで、低コスト・短工期で所望の構造物1を構築することができる。
【0043】
以上、本発明に係る地下構造物の施工方法および地下構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では、高耐力支持杭5Aを平面視で外周地下構造物7Aの略全周に沿って打設したが、高耐力支持杭5Aの配置は任意に設定できる。
【0045】
また、本実施形態では、山留壁22にアースアンカー23を用いて地盤内に支持したが、アースアンカー23を用いずに切梁を用いて支持してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、土留壁11の一部にバットレス壁を設けたが、バットレス壁は設けなくてもよい。
【0047】
また、本実施形態の支持杭5は高耐力支持杭5Aと支持杭5Bとを併用したが、あくまで一例であり、例えば支持杭5の全てを高耐力支持杭5Aで構成してもよい。また、高耐力支持杭5Aと支持杭5Bとの配置も適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0048】
2…地下構造物
3…外周部分
4…内周部分
5…支持杭
5A…高耐力支持杭
7…地下躯体
7A…外周地下構造物
7B…内周地下構造物
11…土留壁
22…山留壁
23…アースアンカー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11