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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102838
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/00 20060101AFI20240724BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240724BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20240724BHJP
【FI】
F04D29/00 B
H02K7/14 B
H02K11/33
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005127
(22)【出願日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】202320155982.6
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3H130AA20
3H130AB22
3H130AB40
3H130AB60
3H130AC30
3H130BA22A
3H130BA22H
3H130CA21
3H130DD01Z
3H130DF02Z
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA01H
3H130EB01A
3H130EC17H
3H130ED02A
3H130ED02G
3H130ED02H
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC05
5H607FF06
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】インバータケースの劣化を抑制することに寄与する電動ポンプを提供する。ハウジングに嵌合した爪が変形してインバータハウジングとモータとが変形するという課題と、ハウジングの結合が緩むという課題を解決する。
【解決手段】本発明の電動ポンプは、モータケースと、インバータケースとを備え、当該インバータケースは、前記モータケースの軸方向の一方側に組み付けられ、軸方向の他方側の端部に周方向で配列される複数の爪を有し、複数の前記爪は、外周側から前記モータケースと係合する。前記電動ポンプは金属製の筒部材をさらに備え、当該筒部材は、外周側から複数の前記爪を囲み、複数の前記爪が前記モータケースから離れる方向へ開くのを制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースと、インバータケースとを備え、当該インバータケースは、前記モータケースの軸方向の一方側に組み付けられ、軸方向の他方側の端部に周方向で配列される複数の爪を有し、複数の前記爪は、外周側から前記モータケースと係合する電動ポンプにおいて、
前記電動ポンプは金属製の筒部材をさらに備え、当該筒部材は、外周側から複数の前記爪を囲み、複数の前記爪が前記モータケースから離れる方向へ開くのを制限することを特徴とする電動ポンプ。
【請求項2】
前記筒部材の軸方向の一方側には、第1保持部が形成され、当該第1保持部は、前記インバータケースが前記筒部材に対して軸方向の一方側へ移動するのを制限し、
前記筒部材の、前記第1保持部よりも軸方向の他方側には、第2保持部が形成され、当該第2保持部は、前記インバータケースが前記筒部材に対して軸方向の他方側へ移動するのを制限することを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記インバータケースは第1筒状部を有し、当該第1筒状部は軸方向の他方側に前記爪を有し、
前記筒部材は筒状本体部を有し、当該筒状本体部は、外周側から前記第1筒状部を囲み、
前記筒状本体部の軸方向の一方側の端部には、前記第1保持部として、内周側へ延伸する延伸部が形成され、当該延伸部は、前記第1筒状部において軸方向の一方側に向ける端面と接触し、
前記筒状本体部の軸方向の途中には、前記第2保持部として、内周側へ突出する突起が設けられ、当該突起は、周方向で隣接する二つの前記爪同士間の隙間に入ることを特徴とする請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
周方向の両側で前記突起と隣接する前記爪は、周方向の両側から前記突起と当接することを特徴とする請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記突起は、周方向で、間隔を置いて複数設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記インバータケースは第2筒状部を有し、当該第2筒状部は、前記第1筒状部よりも軸方向の一方側で前記第1筒状部と隣接し、前記第1筒状部の外径よりも小さい外径を有し、
前記端面、または、前記第2筒状部の外周面において、前記突起と対応する周方向位置には、表示部が設けられ、当該表示部は前記筒部材から露出することを特徴とする請求項3に記載の電動ポンプ。
【請求項7】
前記表示部は前記第2筒状部の外周面に設けられた凸部又は凹部であり、
前記延伸部は周方向の全体に亘って延伸し、
前記延伸部において前記表示部と対応する周方向位置には、外周側へ凹み、前記凸部又は凹部を収容する切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電動ポンプ。
【請求項8】
前記インバータケースは第1筒状部を有し、当該第1筒状部は軸方向の他方側に前記爪を有し、
前記筒部材は筒状本体部を有し、当該筒状本体部は、外周側から、前記第1筒状部を囲み、
前記筒状本体部の軸方向の一方側の端部には、前記第1保持部として、内周側へ延伸する延伸部が形成され、当該延伸部は、前記第1筒状部において軸方向の一方側に向ける端面と接触し、
前記筒状本体部の軸方向の途中には、前記第2保持部として、内周側へ突出し周方向で延伸する突起が設けられ、
前記第1筒状部において、軸方向で前記爪と前記端面との間に位置する箇所には、周方向で延伸し、前記突起が嵌合される溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項9】
前記突起及び前記溝は、それぞれ、周方向の全体に亘って連続して形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電動ポンプ。
【請求項10】
前記インバータケースは第1筒状部を有し、当該第1筒状部は軸方向の他方側に前記爪を有し、
前記筒部材は筒状本体部を有し、当該筒状本体部は外周側から前記第1筒状部を囲み、
前記筒状本体部の軸方向の一方側の端部には、前記第1保持部として、内周側へ延伸する第1延伸部が形成され、当該第1延伸部は、前記第1筒状部において軸方向の一方側に向ける端面と接触し、
前記筒状本体部の軸方向の他方側の端部には、前記第2保持部として、内周側へ延伸する第2延伸部が形成され、当該第2延伸部は、軸方向の他方側から、前記爪の先端と接触することを特徴とする請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項11】
前記インバータケースにおいて周方向の一部の前記爪が欠けることにより形成される切り欠き部は、周方向で均一に分布することを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項12】
前記インバータケースは、樹脂制であることを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータハウジング(モータケース)と、前記モータハウジングの軸方向一方側に組み付けられ、軸方向他方側の端部に周方向に並ぶ複数の爪を有するインバータハウジング(インバータケース)とを備え、複数の前記爪が前記モータハウジングに外周側から嵌合される電動ポンプがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記電動ポンプの実使用においては、インバータハウジングの軸方向他方側の端部の周囲に他の装置が存在する場合があるため、相互干渉を避けるために一部の爪を除去せざるを得ず、その場合には、残りの爪が振動等によってモータハウジングから離れる方向に開きやすくなり、インバータハウジングとモータハウジングとの結合が緩んでしまう。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータハウジングに嵌合されたインバータハウジングの爪の変形によるインバータハウジングとモータハウジングとの結合の緩みを抑制することに寄与する電動ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、モータハウジング(モータケース)と、前記モータハウジングの軸方向一方側に組み付けられ、軸方向他方側の端部に周方向に配列された複数の爪を有するインバータハウジング(インバータケース)とを備え、前記複数の爪が前記モータハウジングに外周側から嵌合される電動ポンプであって、前記複数の爪を外周側から囲み、前記複数の爪が前記モータハウジングから離れる方向に広がることを抑制する金属製の筒部材をさらに備える電動ポンプを提供する。
【0006】
本発明に係る電動ポンプによれば、複数の爪を外周側から包囲して複数の爪のモータハウジングから離れる方向への拡開を抑制する金属製の筒部材をさらに備えるので、小型化や近接する他の部材との干渉回避等のためにインバータハウジングの一部の爪を除去する必要が生じても、残りの爪がモータハウジングから離れる方向へ拡開することを筒部材によって抑制して、インバータハウジングとモータハウジングとの結合強度が低下することを回避することができる。
【0007】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記筒状部材の軸方向一方側には、前記インバータハウジングが前記筒状部材に対して軸方向一方側に移動することを抑制する第1保持部が形成され、前記筒状部材の前記第1保持部よりも軸方向他方側には、前記インバータハウジングが前記筒状部材に対して軸方向他方側に移動することを抑制する第2保持部が形成されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る電動ポンプによれば、筒状部材の軸方向一方側には、筒状部材に対するインバータケースの軸方向一方側への移動を抑制する第1保持部が形成され、筒状部材の軸方向他方側には、筒状部材に対するインバータケースの軸方向他方側への移動を抑制する第2保持部が形成されているので、筒状部材がインバータケースから軸方向に脱落することを抑制でき、筒状部材の機能を確実に確保できる。
【0009】
また、本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、軸方向他方側に前記爪を有する第1筒状部を有し、前記筒部材は、前記第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、前記筒状本体部の軸方向一方側の端部には、前記第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に当接する前記第1保持部としての内周側に延びる延出部が形成され、前記筒状本体部の軸方向途中には、周方向に隣り合う2つの前記爪の間に形成される隙間に入り込む前記第2保持部としての内周側に突出する突起が設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る電動ポンプによれば、インバータハウジングは、軸方向他方側に爪を有する第1筒状部を有し、筒部材は、第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、筒状本体部の軸方向一方側の端部には、第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に接触する第1保持部としての内周側に延びる延出部が形成され、筒状本体部の軸方向途中には、周方向に隣り合う2つの爪の間に形成される隙間に入り込む第2保持部としての内周側に突出する突起が設けられるので、第1保持部および第2保持部を簡単な構成で形成することができ、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る電動ポンプでは、前記突起の周方向両側に隣接する前記爪は、前記突起に周方向両側から当接することが好ましい。
【0012】
本発明に係る電動ポンプによれば、周方向両側で突起に隣接する爪が周方向両側から爪に当接するので、筒状部材がインバータケースに対して周方向に移動することを抑制でき、筒状部材の機能をより確実に確保できる。
【0013】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記突起は、周方向に間隔をあけて複数設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る電動ポンプによれば、周方向に間隔をあけて複数の突起が設けられているので、インバータケースに作用する周方向の力をバランスさせることができ、筒状部材の機能をより確実に確保することができる。
【0015】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、前記第1筒状部の軸方向一方側に隣接し、前記第1筒状部の外径よりも小さい外径を有する第2筒状部を有し、前記端面及び/又は前記第2筒状部の外周面には、前記突起に対応する周方向位置に、前記筒状部材から露出する突起部が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る電動ポンプによれば、インバータハウジングは、第1筒状部よりも軸方向一方側で第1筒状部に隣接し、第1筒状部の外径よりも小さい外径を有する第2筒状部を有し、第2筒状部の端面および/または外周面には、突起に対応する周方向位置に筒部材から露出する提示部(表示部)が設けられているので、製造時に、筒部材に対する突起の形成位置を提示部(表示部)の位置に応じて周方向に容易に定めることができ、製造効率が向上する。
【0017】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記ガイド部は、前記第2筒状部の外周面に設けられた凸部または凹部であり、前記延出部は、周方向に沿って延出しており、前記延出部には、前記ガイド部に対応する周方向位置に、前記ガイド部を収容するために外周側に凹んだ切り欠きが形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明に係る電動ポンプによれば、報知部は、第2筒状部の外周面に設けられた凸部または凹部であり、延出部は、周方向に沿って延出しており、延出部には、報知部に対応する周方向位置に、報知部を収容するために外周側に凹んだ切欠きが形成されているので、報知部を簡単な構造で形成することができ、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0019】
また、本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、軸方向他方側に前記爪を有する第1筒状部を有し、前記筒部材は、前記第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、前記筒状本体部の軸方向一方側の端部には、前記第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に接触する、前記第1保持部としての内周側に延びる延出部が形成され、前記筒状本体部の軸方向途中には、前記第2保持部としての内周側に突出し周方向に延びる突起が設けられ、前記第1筒状部には、軸方向において前記爪と前記端面との間に位置する部位に、前記突起が嵌り込む周方向に延びる溝が設けられていることが好ましい。
【0020】
本発明に係る電動ポンプによれば、インバータハウジングは、軸方向他方側に爪を有する第1筒状部を有し、筒部材は、第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、筒状本体部の軸方向一方側の端部には、第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に接触する第1保持部としての内周側に延びる延出部が形成され、筒状本体部の軸方向途中には、第2保持部としての内周側に突出し周方向に延びる突起が設けられ、第1筒状部には、軸方向で爪と端面との間に位置する部位に、突起が嵌り周方向に延びる溝が設けられているので、第1保持部および第2保持部を簡単な構造で形成することができ、製造コストの上昇を抑制することができるとともに、突起を形成する際に、周方向に精確に位置決めする必要がなく、製造効率を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記突起および前記溝は、周方向に連続して形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明に係る電動ポンプによれば、突起および溝が周方向に連続して形成されているので、筒状部材とインバータケースとの接合強度を向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、軸方向他方側に前記爪を有する第1筒状部を有し、前記筒部材は、前記第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、前記筒状本体部の軸方向一方側の端部には、前記第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に当接する前記第1保持部としての内周側に延びる第1延出部が形成され、前記筒状本体部の軸方向他方側の端部には、前記爪の先端に軸方向他方側から当接する前記第2保持部としての内周側に延びる第2延出部が形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明に係る電動ポンプによれば、インバータハウジングは、軸方向他方側に爪を有する第1筒状部を有し、筒部材は、第1筒状部を外周側から囲む筒状本体部を有し、筒状本体部の軸方向一方側の端部には、第1筒状部の軸方向一方側を向く端面に接触する第1保持部としての内周側に延びる第1延出部が形成され、筒状本体部の軸方向他方側の端部には、爪の先端に軸方向他方側から接触する第2保持部としての内周側に延びる第2延出部が形成されているので、第1保持部および第2保持部を簡単な構成で形成することができ、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0025】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、前記爪の周方向の一部が欠落して形成された切欠部を有し、前記切欠部は、周方向に均等に分布していることが好ましい。
【0026】
本発明に係る電動ポンプによれば、インバータハウジングには、周方向の一部に爪が欠落した切欠部が形成されており、この切欠部が周方向に均等に分布しているので、インバータハウジングが周方向に受ける力のバランスが保たれ、筒状部材の機能がより確実に確保される。
【0027】
本発明に係る電動ポンプにおいて、前記インバータハウジングは、樹脂製であることが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数の爪を外周側から包囲してモータハウジングから離れる方向への複数の爪の拡開を抑制する金属製の筒状部材をさらに備えるので、小型化や他の近接部品との干渉回避等のためにインバータハウジングの一部の爪を除去する必要が生じても、残りの爪がモータハウジングから離れる方向へ拡開することを筒状部材によって抑制することができ、インバータハウジングとモータハウジングとの接合強度の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は本発明の実施形態に係る電動ポンプを模式的に示す斜視図である。
図2図2は本発明の実施形態に係る電動ポンプの筒部材を取り外した状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は本発明の実施形態に係る電動ポンプを模式的に示す一部破断斜視図である。
図4図4は本発明の変形例に係る電動ポンプを模式的に示す一部破断斜視図である。
図5図5は本発明の他の変形例に係る電動ポンプを模式的に示す一部破断斜視図である。
図6図6は本発明のさらに他の変形例に係る電動ポンプを模式的に示す一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、図1から図3を参照しながら本発明の実施形態の電動ポンプを説明し、ここで、図1は本発明の実施形態の電動ポンプを模式的に示す斜視図であり、図2は本発明の実施形態の電動ポンプの筒部材を取り外した状態を模式的に示す斜視図であり、図3は本発明の実施形態の電動ポンプを模式的に示す部分断面斜視図である。
【0031】
ここでは、説明の便宜上、電動ポンプに含まれるモータの回転軸線の延在方向である軸方向の一方側をL1とし、軸方向の他方側をL2とする。
【0032】
(電動ポンプの全体構成)
図1から図3に示すように、電動ポンプ1は以下を含む。すなわち、電動ポンプ1は、モータハウジング(モータケース)10と、インバータハウジング(インバータケース)20と、を含む。該インバータハウジング20はモータハウジング10の軸方向における片側L1に組み立てられ、且つ軸方向における他側L2の端部に周方向に沿って配列される複数の爪211を有し、複数の爪211は外周側からモータハウジング10に嵌合される。電動ポンプ1はさらに、金属製の筒部材30を含み、該筒部材30は外周側から複数の爪211を囲み、且つ複数の爪211がモータハウジング10から離れる方向に広がることを制限する。
【0033】
ここで、図1に示すように、電動ポンプ1はさらにポンプハウジング40を含み、該ポンプハウジング40はモータハウジング10の軸方向における他側L2に一体に形成される。
【0034】
また、図3に示すように、モータハウジング10とインバータハウジング20との結合部の内周側に筒状部材50が設置され、該筒状部材50は軸方向に沿って延伸し、該筒状部材50の軸方向における途中に環状突起51が形成され、該環状突起51は軸方向にモータハウジング10とインバータハウジング20とに挟まれる。
【0035】
(モータハウジング及びその内部の構造)
図1及び図2に示すように、モータハウジング10はモータハウジング10に収容されるモータの回転軸線を中心とする略筒状を呈し、例えば樹脂で製造される。
【0036】
また、図1及び図2に示すように、モータハウジング10の軸方向における途中に外周側に突出する取り付け部11が形成され、電動ポンプ1は取り付け部11によって外部の装置等に固定される。
【0037】
また、図3に示すように、モータハウジング10の取り付け部11より軸方向における片側L1に位置する位置に環状溝12が形成され、該環状溝12にインバータハウジング20の複数の爪211の先端が嵌め込まれる。
【0038】
また、モータハウジング10内に回転子及び外周側から回転子を囲む固定子が収容される。
【0039】
(インバータケース及びその内部の構造)
図1及び図2に示すように、インバータハウジング20はモータハウジング10に収容されるモータの回転軸線を中心とする略有底筒状を呈し、例えば樹脂で製造される。また、インバータケース20は、周方向の一部の爪211が欠落して切欠部212が形成されており、この切欠部212は周方向に均一に分布している。
【0040】
具体的には、インバータハウジング20は第一筒状部21を有し、該第一筒状部21は軸方向における他側L2に爪211を有し、第一筒状部21は周方向における一部の爪211が欠落することによって切欠部212を形成する。
また、インバータケース20は、第1筒状部21よりも軸方向一方側L1で第1筒状部21に隣接し、第1筒状部21よりも外径が小さい第2筒状部22を有している。
また、インバータケース20は、第2筒状部22の軸方向一方側L1の開口を閉塞する底部23を有している。
【0041】
また、図2に示すように、第二筒状部22の外周面に、筒部材30の下記突起311(図3に示す)に対応する周方向位置に提示部(表示部)221が設置される。
また、提示部(表示部)221は、第2筒状部22の外周面に設けられた凸部(図示の例では軸方向に延びているが、これに限定されない)である。
【0042】
また、インバータハウジング20内に回路基板が収容され、該回路基板はモータハウジング10に収容された固定子のコイルに電気的に接続され、且つスイッチング素子等の電気部品が設置される。
【0043】
(筒状部材の構成)
図1に示すように、筒部材30はほぼモータハウジング10に収容されたモータの回転軸線を中心とする筒状を呈する。
【0044】
また、図3に示すように、筒部材30の軸方向一方側L1には、筒部材30に対するインバータケース20の軸方向一方側L1への移動を抑制する第1保持部HD1が形成されており、筒部材30の第1保持部よりも軸方向他方側L2には、筒部材30に対するインバータケース20の軸方向他方側L2への移動を抑制する第2保持部HD2が形成されている。
【0045】
具体的には、図3に示すように、筒部材30は筒状本体部31を有し、該筒状本体部31は外周側から第一筒状部21を囲み、筒状本体部31の軸方向における片側の端部に第一保持部HD1として内周側へ延伸する延伸部32が形成され、該延伸部32は第一筒状部21の軸方向における片側L1に向く端面に接触し、筒状本体部31の軸方向における途中に第二保持部HD2として内周側へ突出する突起311が設けられ、該突起311は周方向に隣接する二つの爪211の間に形成される隙間に入る。
また、突起311は、例えば、筒状本体部31を外周側から内周側に向けてプレスすることにより形成される。
また、延出部32は、図1に示すように、周方向に亘って延出しており、提示部(表示部)221に対応する周方向位置には、提示部(表示部)221が露出するように、外周側に凹む切欠き321が形成されている。
【0046】
また、周方向の両側に突起311と隣接する爪211は周方向の両側から突起311と接触する。
また、突起311は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
突起311は、周方向に等間隔に複数設けられていてもよい。
【0047】
(ポンプハウジング及びその内部構造)
図1に示すように、ポンプハウジング40はモータハウジング10に収容されるモータの回転軸線を中心とする略筒状を呈し、例えば樹脂で製造される。
【0048】
また、ポンプハウジング40内にモータハウジング10に収容されたロータによって駆動されるポンプ部材が設置される。
【0049】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態の電動ポンプ1によれば、金属製の筒部材30を含み、該筒部材30は外周側から複数の爪211を囲み、且つ複数の爪211がモータハウジング10から離れる方向に広がることを制限するため、小型化又は近接する他の部材との干渉を回避する等のためにインバータハウジング20の一部の爪211を除去する必要がある場合でも、筒部材30を利用して残りの爪211がモータハウジング10から離れる方向に広がることを抑制し、それによりインバータハウジング20とモータハウジング10との結合強度の低下を回避することができる。
【0050】
上記では、本発明を例示的に説明するために図面を参照したが、本発明の特定の実装形態は、上記の実施形態に限定されないことは明らかである。
【0051】
例えば、上記実施形態において、図4に示すように、筒状本体部31の軸方向における途中に第二保持部として内周側に突出し且つ周方向に沿って延伸する突起312(例えば外周側から内周側に向けて筒状本体部31をプレスすることによって形成される)を設置し、第一筒状部21において、軸方向において爪211と軸方向における一方側L1に向く端面との間に位置する部位に突起312が嵌め込まれ且つ周方向に沿って延伸する溝213を設置してもよい。
この場合、突起312と溝213とは、それぞれ周方向に亘って連続して形成されていることが好ましい。
【0052】
また、上記実施形態において、図5に示すように、筒状本体部31の軸方向における他方側L2の端部に第二保持部とする内周側へ延伸する第二延伸部33を形成してもよく、該第二延伸部33は軸方向における他方側L2から爪211の先端に接触する。
【0053】
また、上記実施形態において、図6に示すように、筒状本体部31の軸方向他方側L2の端部を爪211よりも軸方向他方側L2に延出させ、その端部に内周側に延出する延出部を形成し、この延出部をモータハウジング10の外周面に形成された溝に嵌合させてもよい。これにより、インバータケース20がモータケース10に対して軸方向に移動することをより抑制することができる。
【0054】
また、上記実施形態において、第二筒状部22の外周面において、筒部材30の突起311に対応する周方向位置に提示部(表示部)221が設置されるが、これに限定されず、第一筒状部21の軸方向の一方側L1に向く端面において提示部(表示部)221を第二筒状部22の外周面に形成しなくてもよく、又は第一筒状部21の軸方向の一方側L1に向く端面及び第二筒状部22の外周面において提示部(表示部)221を同時に形成してもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、提示部(表示部)221は凸部であるが、これに限定されず、提示部(表示部)221は凹部であってもよく、さらに他のマークであってもよい。
【0056】
本発明の範囲内において、実施形態の各要素を自由に組み合わせたり、実施形態の各要素を適宜変形、省略したりすることが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 電動ポンプ
10 モータハウジング
11 取付部
12 環状溝
20 インバータハウジング
21 第1円筒部
211 爪
212 切欠部
213 溝
22 第2円筒部
221 提示部
23 底部
30 筒部材
31 筒状本体部
311 突起
312 突起
32 延長部
321 ノッチ
33 第2の延長部
40 ポンプハウジング
50 筒状部材
51 環状突起
HD1 第1保持部
HD2 第2保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6