(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102846
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】冷却部を備える電気駆動アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006327
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】10 2023 101 253.3
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ティートゲン
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン ブロイヒャー
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ13
5H609RR43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小さな取り付けスペースでも、ステータの高信頼性の冷却を保証し、ひいては高い効率あるいは長い寿命を有する、電気機械と伝動機構ユニットとを備える電気駆動部を提案する。
【解決手段】ハウジングと、ステータ(12)およびロータ(13)を有する電気機械であって、ステータ(12)は、ステータコア(15)およびコイルエンド(17,18)を有している。コイルエンド(17,18)の一方に冷却媒体を供給する少なくとも1つの流体分配要素(24)と、を備え、流体分配要素(24)は、コイルエンド(17,18)の上側の部分に周方向および軸方向で少なくとも部分的に重畳し、周方向で勾配を有する案内構造を有しており、流体分配要素(24)に上から供給される冷却媒体は、周方向で分配され、回転軸線(A3)に関して少なくとも30°の周方向領域にわたる複数の角度位置でコイルエンド(17,18)に向かう。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車を駆動する電気駆動アッセンブリであって、
複数のパーツからなるハウジング(5)と、
ステータ(12)およびロータ(13)を有する電気機械(3)であって、前記ステータ(12)は、相対回動不能に前記ハウジング(5)内に収容されており、ステータコア(15)およびコイル(16)を有しており、前記コイル(16)のコイルエンド(17,18)は、前記ステータコア(15)から両側で軸方向に突出し、前記ロータ(13)は、ロータ軸(14)に結合されており、前記ロータ軸(14)は、前記ハウジング(5)内に回転軸線(A3)回りに回転可能に軸支されている、電気機械(3)と、
伝動機構(4)であって、前記ロータ軸(14)により回転駆動可能であり、前記電気機械(3)から導入される回転運動を高速から低速方向に変換すべく、構成されている伝動機構(4)と、
前記コイルエンド(17,18)の一方に重力を用いて冷却媒体(K)を供給する少なくとも1つの流体分配要素(24,25)と、
を備え、
前記流体分配要素(24,25)は、前記コイルエンド(17,18)の上側の部分に周方向および軸方向で少なくとも部分的に重畳し、周方向で勾配を有する案内構造を有しており、前記流体分配要素(24,25)に上から供給される冷却媒体は、周方向で分配され、前記回転軸線(A3)に関して少なくとも30°の周方向領域にわたる複数の角度位置で前記コイルエンド(17,18)に向かう、
電気駆動アッセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジング(5)内に供給部(22,23)が設けられており、前記供給部(22,23)を介して、前記流体分配要素(24,25)には、運転時、冷却媒体が供給され、前記流体分配要素(24,25)は、鉛直方向で前記供給部(22,23)の下に間隔を置いて配置されており、
前記流体分配要素(24,25)は、前記コイルエンド(17,18)の軸方向の長さの少なくとも半分にわたって延在することを特徴とする、請求項1記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項3】
前記流体分配要素(24,25)は、運転時、前記供給部(22,23)から冷却媒体が提供される集合セクション(26,27)と、前記集合セクション(26,27)に流動接続されており、前記集合セクション(26,27)から流れる冷却媒体を周方向(U)で分配する分配セクション(28,28’;29,29’)とを有することを特徴とする、請求項1または2記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項4】
前記流体分配要素(24,25)は、前記流体分配要素(24,25)の軸方向の長さ(L24,L25)にわたって変化する周方向延在長さ(U24,U25)を有しており、前記分配セクション(28,28’;29,29’)は、軸方向で前記ステータコア(15)に隣接したところに、軸方向で前記ステータコア(15)から離間したところとは異なる周方向延在長さを有することを特徴とする、請求項3記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項5】
前記集合セクション(26,27)は、少なくとも1つの半径方向の通流開口(32,33)を有しており、
前記分配セクション(28,28’;29,29’)は、それぞれ、周方向(Ru)で延在するそれぞれ異なる長さの複数の通路(30,31)を有していることを特徴とする、請求項3または4記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項6】
前記流体分配要素(24,25)は、前記ハウジング(5)内に軸方向で装着されており、形状結合式の取り付け手段(36,37,38,39)を有しており、前記取り付け手段(36,37,38,39)により、前記流体分配要素(24,25)は、前記ハウジング(5)内に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項7】
前記ステータ(12)の両コイルエンド(17,18)にそれぞれ1つの流体分配要素(24,25)が配置されており、両流体分配要素(24,25)は、同じ軸方向(Ra)で周方向に拡幅することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項8】
ステータ冷却用の前記流体分配要素(24,25)は、冷却媒体溜め(S5)とポンプとを有する冷却アッセンブリの一部であり、前記冷却アッセンブリは、循環する前記冷却媒体の少なくとも10%が前記流体分配要素(24,25)へ圧送されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジング(5)は、前記伝動機構(4)用の伝動機構ハウジング室(40)と、前記電気機械(3)用のモータハウジング室(50)とを有しており、
前記ステータ(12)と前記ロータ(13)との間には、間隙(11)が形成されており、
前記ハウジング(5)内の動的な冷却媒体レベル(P5)が、前記間隙(11)よりも下に位置し、
前記ハウジング(5)内には、前記モータハウジング室(50)と前記伝動機構ハウジング室(40)とから隔離されたリザーバ(49)が設けられており、前記リザーバ(49)内には、運転時、冷却媒体が圧送され、前記リザーバ(49)内には、前記ポンプ用の吸込口(61)が配置されており、前記リザーバ(49)内の冷却媒体レベル(P49)が、運転時、前記モータハウジング室(50)および/または前記伝動機構ハウジング室(40)内の前記動的な冷却媒体レベル(P5)よりも上に位置することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の電気駆動アッセンブリ。
【請求項10】
前記ハウジング(5)内には流体案内構造(58,59)が設けられており、前記流体案内構造(58,59)は、運転時、電気駆動部の回転する構成部材(55)によってはね飛ばされた冷却媒体を捕集し前記リザーバ(49)内に案内すべく、構成されており、
前記リザーバ(49)はリザーバ蓋(64)によって閉鎖されており、前記リザーバ蓋(64)は、フィルタ要素(65)と接続要素(66)とを有しており、前記接続要素(66)は前記吸込口(61)に接続されており、
前記リザーバ蓋(64)は冷却媒体捕集リブ(67)を有しており、前記冷却媒体捕集リブ(67)は、前記ポンプによってオイル入口を介して前記ハウジング(5)内に圧送された冷却媒体(K)を前記伝動機構(4)の噛み合い領域へ案内すべく、構成されていることを特徴とする、請求項9記載の電気駆動アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を駆動する電気機械と伝動機構とを備える電気駆動アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気駆動部との関連において中心的なテーマは、熱挙動である。電気機械も伝動機構も熱を発生させるが、この熱は、許容できないほど高い温度を回避すべく、ひいては長い寿命を保証すべく、導出されなければならない。その際、電気式の駆動システムは、様々な走行条件に持続的に耐えなければならない。このことは、特別な走行状況、例えばオフロード車両に典型的な運転角度を有する比較的長い坂道、および高速走行状況にも当てはまる。
【0003】
伝動機構の回転するすべての構成部材への潤滑剤の供給は、しばしば課題となる。軸および軸受における良好な潤滑および冷却を保証すべく、十分なオイルレベルが設定されなければならない。同時に、運転時の攪拌損失は、防止されることが望ましい。
【0004】
国際公開第2012/086694号において、電気機械と、インバータと、伝動機構アッセンブリと、冷却システムと、を備える駆動ユニットが公知である。熱的にインバータに連結されている第1のハウジング要素は、熱交換面の第1のセットを有しており、熱的に電気機械に連結されている第2のハウジング要素は、熱交換面の第2のセットを有している。熱交換面の第1および第2のセットは、それぞれ、冷却媒体によって冷却される内部容積内に突入している。伝動機構は、高い位置のオイル溜めを有しており、オイル溜めは、オイルを電気機械内で循環させる同じオイルポンプによって供給され、高い位置のオイル溜めは、伝動機構内の選択された表面に重力によってオイルを供給する。
【0005】
国際公開第2020/069744号において、自動車を駆動する電気駆動部が公知であり、この電気駆動部は、ハウジングアッセンブリと、電気機械と、遊星ユニットと、出力分岐ユニットと、を備えている。ハウジングアッセンブリは、モータハウジング部分と、伝動機構ハウジング部分と、中間壁を有する中間ハウジング部分と、を有しており、中間壁は、モータ室と伝動機構室とを空間的に互いに隔離している。中間ハウジング部分は、モータハウジング部分内に延在するモータ側のジャケットセクションと、伝動機構ハウジング部分内に延在する伝動機構側のジャケットセクションとを有している。モータ側のジャケットセクションの外面と、モータハウジング部分の内面との間には、貫流する冷却媒体用の、封止された中空室が形成されている。
【0006】
米国特許第11005326号明細書において、自動車の駆動用の電気式の駆動ユニットが公知である。駆動ユニットは、フロアセクションを有するハウジングを備えており、フロアセクションは、ハウジングを上側のチャンバと下側のチャンバとに区分している。フロアセクションは、縦長のドレン開口と、ドレン穴と、オイル供給開口と、を有しており、オイル供給開口はオイルポンプに連通している。下側のチャンバ内には電気ラインを有する電気機械が存在し、電気ラインはドレン開口の直下に配置されている。ハウジングには、上側のチャンバにカバーが取り付けられており、カバーは冷却通路アッセンブリを有しており、冷却通路アッセンブリは、一体にカバープレートに結合されている。冷却通路アッセンブリは一次の冷却媒体通路を形成し、一次の冷却媒体通路はオイル供給開口に連通しており、オイルを電気端子へ案内する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、小さな取り付けスペースでも、ステータの高信頼性の冷却を保証し、ひいては高い効率あるいは長い寿命を有する、電気機械と伝動機構ユニットとを備える電気駆動部を提案することである。
【0008】
解決のために提案するのは、自動車を駆動する電気駆動部であって、複数のパーツからなるハウジングと、ステータおよびロータを有する電気機械であって、ステータは、相対回動不能にハウジング内に収容されており、ステータコアおよびコイルを有しており、コイルのコイルエンドは、ステータコアから両側で軸方向に突出し、ロータは、ロータ軸に結合されており、ロータ軸は、ハウジング内に回転軸線回りに回転可能に軸支されている、電気機械と、ロータ軸により回転駆動可能である伝動機構と、冷却媒体をコイルエンドの一方にわたって分配する少なくとも1つの流体分配要素と、を備え、流体分配要素は、コイルエンドの上側のセクションに周方向および軸方向で少なくとも部分的に重畳し、周方向で勾配を有する案内構造を有する、電気駆動部である。流体分配要素に供給される冷却媒体は、これにより周方向で分配され、回転軸線に関して少なくとも30°の周方向領域にわたる複数の角度位置でコイルエンドへ流れることができる。
【0009】
電気機械および/または伝動機構は、一般に冷却媒体によって冷却あるいは潤滑される。冷却媒体として、好ましくは、流体、特にオイル、またはオイルを含む液体が使用される。本開示の範囲内でオイルなる概念を単独でまたは組み合わせで使用する場合、この概念は、冷却媒体のあらゆる形態を包摂するものとする。
【0010】
この電気駆動部の1つの利点は、電気駆動部が、流体分配要素に基づき、対応するコイルエンドのための高信頼性の注油を保証することである。冷却は、これにより、重力を用いて省スペースかつ効率的に実施される。ノズルまたはスプレヘッドを用いたコイルエンドの能動型の注油は省略可能であり、その結果、必要とされる取り付けスペースは小さい。全体冷却コンセプトに対する特有の要求次第で、コイルエンドの一方または両方に、対応する流体分配要素を設けることができる。これに応じて、以降、一方の流体分配要素について説明するすべての特徴は、他方のコイルエンドの冷却のために設けられていることがある他方の流体分配要素にも、同様に当てはまる。
【0011】
流体分配要素は、ハウジング内に軸方向でステータコアと、対向するハウジング壁との間に配置されていてもよい。運転時、流体分配要素には、ハウジング内に設けられた供給部から冷却媒体が供給される。組み込み状態で、供給部の口は、好ましくは、鉛直方向で分配要素の上方に位置しており、その結果、冷却媒体は、重力に起因して流体分配要素に向かう。流体分配要素は、供給部から流れ込む冷却媒体がコイルエンドの少なくとも30°の角度セグメントにわたって分配され、コイルエンドに向かうように構成されている。
【0012】
流体分配要素は、コイルエンドの軸方向の長さの少なくとも半分にわたって延在しあるいはこれをカバーし、特にコイルエンドの軸方向の長さの少なくとも2/3、またはそれどころか全体をカバーしてもよい。こうして、コイルエンドの相応に大きな軸方向のセクションに冷却オイルが供給され、冷却される。
【0013】
一実施形態によれば、流体分配要素は、運転時、オイル供給部からオイルが提供される集合セクションと、集合セクションに流動接続されており、集合セクションから流れるオイルを周方向および/または長手方向で分配する1つまたは複数の分配セクションとを有していてもよい。集合セクションは、任意選択的に1つまたは複数の半径方向の通流開口を有していてもよく、通流開口を通して、コイルエンドの、半径方向でその下に位置する周方向セクションは、オイルによって冷却されることができる。
【0014】
さらなる具体例では、集合セクションは中央に配置されていてもよく、中央の集合セクションから両周方向に、それぞれ1つの分配セクションが延在していてもよい。集合セクションと分配セクションとの間には、溢流口が形成されていてもよく、その結果、集合セクション内に存在するオイルは、溢流によって狙い通りに分配セクション内に案内される。分配セクションは、1つまたは複数の通路を有していてもよく、通路は、集合セクションから周方向で延在している。通路の端部で、オイルは、その下あるいは半径方向内側に位置するコイルエンドに向かって流れる。
【0015】
流体分配要素が、流体分配要素の軸方向の長さにわたって変化する周方向延在長さを有しているとき、特に大きな冷却面がカバーされる。相応して、分配セクションは、軸方向でステータコアに隣接したところに、軸方向でステータコアから離間したところとは異なる周方向長さを有している。一実施形態では、分配セクションは、周方向で延在するそれぞれ異なる長さの複数の通路を有していてもよい。こうして、コイルエンドの相応に大きな周方向セグメントに冷却オイルが供給される。両コイルエンドに冷却用のそれぞれのオイル分配要素が設けられている一実施形態では、両要素は、同じ軸方向で拡幅していてもよいし、反対の軸方向で拡幅していてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、流体分配要素は、ハウジング内に軸方向で装着可能であるように取り付け手段を有して構成されていてもよい。このために流体分配要素は、複数の取り付けセクションを有していてもよく、取り付けセクションにより、ハウジング内に対応するように設けられた対称の保持セクションに、力結合式および/または形状結合式に取り付けられている。一具体例では、流体分配要素は、ステータコアの1つの側面と、対向するハウジング壁との間の軸方向の中間室に軸方向で跨設され、かつ/またはステータコアの1つの側面に対して軸方向で支持されていてもよい。冷却媒体分配用のインサートと称呼してもよい流体分配要素は、例えばプラスチックまたは金属薄板から製造することができる。
【0017】
ステータ冷却用のオイル供給部およびオイル分配要素は、電気駆動部の冷却回路あるいは冷却アッセンブリの一部である。冷却アッセンブリは、熱の搬出および潤滑のために、冷却媒体を必要な構成部材に輸送しかつ循環させるべく、オイル溜めと、さらなる冷却通路と、圧送手段とを有していてもよい。電気駆動部内の冷却媒体の冷却および循環は、能動型および/または受動型に構成されていることができる。受動型の冷却の場合、冷却媒体は、電気駆動部の回転する構成部材によって圧送され、重力を用いて循環される。能動型の冷却の場合、冷却媒体は、ポンプによって圧送され、循環される。混合型の冷却は、冷却媒体がポンプによって能動型にも、回転する構成部材によって受動型にも圧送されるように構成されていることができる。
【0018】
一実施形態によれば、冷却アッセンブリは、循環する冷却媒体の少なくとも10%がオイル分配要素へ圧送されるように構成されていてもよい。このことは、能動型および/または受動型の冷却に当てはまり得る。電気駆動部が1つのオイル分配要素しか有しないとき、冷却媒体の少なくとも10%、特に少なくとも15%がオイル分配要素へ圧送される。両コイルエンドがそれぞれのオイル分配要素によって冷却されるとき、合計で冷却体積流量の少なくとも20%、特に少なくとも25%をコイルエンドの冷却のために使用することができる。両コイルエンドのためのこの全体の冷却流を、半分ずつ、それぞれ1つのコイルエンドに分割することができる。
【0019】
電気機械のステータとロータとの間には、間隙が形成されている。冷却アッセンブリは、好ましくは、ハウジング内の静的かつ/または動的なオイルレベルが間隙よりも下に位置するように構成されている。電気機械の作業間隙内のオイルを防止し、伝動機構攪拌損失を最小化すべく、好ましくは、モータハウジング室あるいは伝動機構ハウジング室内のオイルレベルが低くなるように努められる。一実施形態では、ハウジング内には、モータハウジング室と伝動機構ハウジング室とから隔離されたリザーバが設けられていてもよい。タンクと称呼してもよいリザーバは、例えば電気モータの側方に隣接して配置されていてもよい。
【0020】
リザーバを備える一構成は、ポンプを用いた能動型の冷却との相互作用関係において特に好都合である。リザーバは、センタハウジング内に能動型の注油用のタンク容積を形成し、このタンク容積は、電気機械および/または伝動機構室から隔離されており、運転時、独自のオイルレベルを有している。隔離された冷却媒体レベルを、運転時、一定に維持することができるように、液圧式のポンプによりタンク容積から圧送された体積流量は、また再びタンク内に戻し圧送されなければならない。これは、加圧された体積流量をダイレクトにタンク内に好適に再循環させることを介して、かつ/または回転する構成部材の好適な圧送メカニズムを用いた無圧の体積流量を介して、実現することができる。
【0021】
リザーバは、運転時、回転する構成部材によってオイルがリザーバ内に圧送されるように配置あるいは構成されている。ハウジング内には、回転する構成部材によってはね飛ばされたオイルを捕集しリザーバ内に案内すべく、オイル案内構造が設けられていてもよい。リザーバ内には、ポンプ用の吸込口が配置されていてもよい。運転時、リザーバ内のオイルレベルは、モータハウジング室および/または伝動機構ハウジング室内のオイルレベルよりも上に位置する。吸込箇所を越えるこの高い位置のオイルレベルにより、傾斜姿勢および横加速度等の動的な走行状態でも、液圧式の注油システム内への確実な吸込あるいは供給が保証される。リザーバは、側壁と、環囲するフランジ状の内壁とによって形成されていてもよく、蓋によって閉鎖されている。蓋は、オイルをろ過するフィルタ要素と、吸込口に流動接続する下流の接続要素とを有していてもよい。リザーバ蓋は、さらにオイル捕集リブを有していてもよく、オイル捕集リブは、ポンプによりオイル流入部を介してハウジング内に圧送されたオイルを伝動機構の噛み合い領域へ案内すべく、構成されている。
【0022】
リザーバと、リザーバ内の吸込部とを有するこの説明した構成は、特に、取り付けスペースの制限に基づき、能動型の注油の吸込部が、電気機械および/または伝動機構の回転するコンポーネントに対して、特筆すべきほどの高低差を許容しないアッセンブリにおいて好適である。ここでは、リザーバは、一方では、電気機械の作業間隙および所望されない攪拌損失に関する要求と、他方では、注油システム内へのロバストな吸込に関する要求とを、1つの共通のオイル収支によって充足する可能性を提供する。
【0023】
電気機械の制御は、内蔵された電子式のコントロールユニット(ECU)を有するパワーエレクトロニクス、例えばパルスインバータによって実施することができる。インバータと称呼してもよいパワーエレクトロニクスは、電気駆動部の一部であってもよい。このために、ハウジングは、インバータを接続する接続フランジを有していてもよい。全体として、而してモータ-伝動機構-インバータ-ユニットが形成される。電気機械の電流供給は、バッテリによって実施することができる。パワーエレクトロニクスは、機能的にバッテリと電気機械との間に配置されている。インバータは、電気機械を制御し、監視し、かつパワートレーンの必要に応じたトルク供給および回転数コントロールを保証する。電気機械がモータ運転で作業するとき、インバータは、電気モータに電流をバッテリから供給する。電気機械がジェネレータ運転で作業するとき、インバータは、電流をバッテリ内に提供する。回生と称呼されるこのプロセス時、インバータは、電気機械によって発生する交流(AC)を直流(DC)に変換し、而してバッテリを充電する。モータ運転中、インバータは、バッテリの直流電圧を、電気モータのために必要とされる交流電圧に変換する。
【0024】
好ましい一実施例について、以下に図面を基に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】電気機械と伝動機構とを備える本発明に係る電気駆動アッセンブリを、部分的に切断したハウジングとともに示す図である。
【
図2】
図1に示す電気機械の斜視分解立体図である。
【
図3】
図1および
図2に示す電気機械を、部分的に切断したハウジングとともに示す斜視図である。
【
図4】
図1および
図2に示す電気機械を、冷却通路は示し、その他のハウジングは消去した状態で示す図である。
【
図5】
図1および
図2に示す電気機械の詳細を流体分配要素とともに示す半径方向図である。
【
図6】
図1に示す電気駆動部の第1の流体分配要素を斜め前から見た斜視図である。
【
図7】
図1に示す電気駆動部の第2の流体分配要素を斜め後から見た斜視図である。
【
図8A】
図1に示す電気駆動アッセンブリの伝動機構の軸方向図である。
【
図8C】
図8Bに示すアッセンブリの、蓋なしの軸方向図である。
【
図8D】
図8Cに示す伝動機構ハウジングの、切断線C-Cに沿った蓋ありの斜視図である。
【
図9A】
図8Aに示す伝動機構の蓋を斜め前から見た斜視図である。
【
図9B】
図8Aに示す伝動機構の蓋を斜め後から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1ないし
図9Bについて以下にまとめて説明する。図示してあるのは、本発明に係る電気駆動アッセンブリ2であり、電気駆動アッセンブリ2は、略して電気駆動部と称呼してもよい。電気駆動アッセンブリ2は、電気機械3と伝動機構4とを備え、伝動機構4は電気機械3に駆動結合されている。伝動機構4は、電気機械3から導入される回転運動を特に低速方向に変換(減速)し、この回転運動を自動車の下流のサイドシャフト(図示せず)に伝達することができる。電気機械3および伝動機構4はハウジングアッセンブリ5内に収容されており、ハウジングアッセンブリ5は、略してハウジングと称呼してもよい。
【0027】
電気機械3は、自動車の駆動車軸を駆動する駆動源として用いられる。電気機械3の制御は、内蔵された電子式のコントロールユニット(ECU)を有するパワーエレクトロニクス、例えばパルスインバータによって実施することができる。パワーエレクトロニクスとの電気的な接続は、電気接続部48を介して実施される。パワーエレクトロニクス(図示せず)は、任意選択的にハウジングアッセンブリ5の結合セクション6に取り付けられてもよい。電流供給のために、電気機械3をバッテリ(図示せず)に接続することができる。
【0028】
ハウジングは特に複数のパーツから構成されていてもよく、モータハウジング部分7と伝動機構ハウジング部分8とを有しており、モータハウジング部分7と伝動機構ハウジング部分8とは、例えばフランジ結合部9を介して互いに結合することができる。
【0029】
電気機械3は、ハウジング8に堅固に結合されているステータ12と、ロータ13とを有しており、ロータ13は、トルク伝達用のロータ軸14に堅固に結合されている。ロータ軸14は、モータハウジング内に回転軸線A3回りに回転可能に軸支されている。電気機械3は、非同期機の形態で構成されていてもよいし、同期機の形態で構成されていてもよい。ステータ12は、ステータコア15とコイル16とを有しており、コイル16のコイルエンド17,18は、ステータコアから両側で軸方向に突出する。ステータコア15は、電気鋼板積層体を有していてもよく、電気鋼板積層体は、任意選択的に周方向で分配される貫通孔19を有しており、締め付けねじ20によってハウジングに軸方向で締め付けられることができる。
【0030】
この電気駆動アッセンブリ2は、電気機械3の冷却に関して特別な構成を有している。このために、各コイルエンド17,18のためのアッセンブリは、ハウジング5内に設けられた冷却媒体供給部22,23と、供給される冷却媒体をより大きな面積に分配する対応する流体分配要素24,25とを有する冷却部を有している。冷却媒体として、流体、好ましくは、オイル、またはオイルを含む液体が使用される。ステータ冷却用の供給部22,23および流体分配要素24,25は、電気駆動部の冷却回路の一部である。
図4には、供給部22,23へ通じるさらなる冷却管路21,21’と、軸受53の冷却部へ通じる冷却管路72とが看取可能である。
【0031】
両流体分配要素24,25は、流体分配要素24,25の構造および機能形式に関して同じに構成されている。両要素を代表して、両要素の一方さえ説明すればよく、説明する特徴は、他方にも同様に当てはまる。流体分配要素24,25は、ハウジング5内でコイルエンド17,18の上方に、あるいは軸方向でステータコア15と、ステータコア15に軸方向で対向するハウジング壁26,27との間に配置されている。流体分配要素24,25の取り付けの形態は、任意に、例えば形状結合式、力結合式および/または素材結合式に実現することができる。
【0032】
流体分配要素24,25は、コイルエンド17,18の上側のセクションあるいはセグメントに周方向および軸方向で少なくとも部分的に重畳するように構成され、配置されている。流体分配要素24,25は、供給部22,23から流れ込む冷却媒体を、回転軸線A3に関して、好ましくは、少なくとも30°の角度セグメントsにわたって、かつ/または対応するコイルエンド17,18の軸方向の長さL17,L18の少なくとも半分の長さL24,L25にわたって分配する。流れ込む冷却媒体の分配は、重力に基づいてのみ実施され、ノズルまたはこれに類するものは不要である。こうして、コイルエンド17,18の比較的大きな周方向領域が、付加的な補助手段なしに効率的に冷却される。
【0033】
特に
図6および
図7から看取可能であるように、流体分配要素24,25は、それぞれ1つの集合セクション26,27と、集合セクション26,27に流動接続される分配セクション28,28’;29,29’とを有していてもよい。このアッセンブリの運転時、冷却媒体は、オイル供給部22,23から対応する集合セクション26,27内に流れ、集合セクション26,27から分配セクションへ向かい、重力に起因してより大きな面積にわたって分配され、その後、コイルエンド17,18に向かう。
【0034】
集合セクション26,27は、任意選択的に半径方向の通流開口32,33を有していてもよく、通流開口32,33を通して、供給される冷却媒体の一部は、直接、コイルエンド17,18の、半径方向でその下に位置するセクションを冷却すべく、流れ通り、このセクションを冷却することができる。集合セクション26,27は、ここでは中央に配置されているが、それに限定するものではない。周方向で、集合セクション26,27の両側に向かって、それぞれ1つの分配セクション28,28’;29,29’が延在している。分配セクションは、それぞれ複数の通路30,31を有しており、通路30,31は、集合セクションから周方向で延在し、それぞれ1つの開いた端部を有しており、開いた端部から、冷却媒体は、半径方向でその下に位置するコイルエンド17,18に向かって流れる。集合セクション26,27と、分配セクション28,28’;29,29’とに間には、任意選択的に溢流口34,35が形成されていてもよい。溢流口は、すべての通路30,31内への狙い通りの冷却媒体供給を容易にし、その結果、その下に位置するコイルエンド17,18にわたる均一な冷却が達成される。
【0035】
本実施形態では、流体分配要素24,25は、流体分配要素24,25の軸方向の長さL24,L25にわたってそれぞれ変化する周方向延在長さU24,U25を有しているが、同じ周方向延在長さを有する別の構成も可能である。特に
図5には、分配セクション28,28’;29,29’が、軸方向でステータコア12に隣接したところに、軸方向でステータコアから離間したところとは異なる周方向長さを有していることが看取可能である。特に流体分配要素24,25は、半径方向図で見て略V字形に構成されている。V字形の構成により、通路30,31は、それぞれ異なる周方向長さを有している。こうして、それぞれのコイルエンド17,18の相応に大きな周方向セグメントに冷却オイルが供給される。本実施形態では、両流体分配要素24,25は、同じ軸方向Raで拡幅している。流体分配要素24,25の周方向延在長さ(周方向角度s)は、回転軸線A3に関して例えば30°~180°であってもよい。
【0036】
流体分配要素24,25は、それぞれ取り付け手段36,37,38,39を有しており、取り付け手段36,37,38,39により、流体分配要素24,25はハウジング5内に軸方向で取り付けられる。特に流体分配要素24は、周方向で短い側に1つの取り付け要素36を有しており、長い周方向側に複数の取り付け要素37を有しているようになっている。取り付け要素36,37は、ハウジング5内に対応するように設けられた対称の保持セクション41,42内に力結合式および/または形状結合式に係合することができるように構成されている。好ましくは、流体分配要素24は、ステータコア15の側面に対して軸方向で支持されており、ステータコアと、対向するハウジング壁との間の軸方向の中間室に跨設される。第2の流体分配要素25は、短い端部でステータの反対側に支持されていてもよく、取り付け要素38,39によってモータハウジング45と中間壁45との間に軸方向で固定されている。このために、モータハウジング45と中間壁45とは、対称の保持セクション43,44を有しており、保持セクション43,44は、孔の形態で構成されていてもよい。流体分配要素24,25は、プラスチックまたは金属薄板から製造されてもよい。
【0037】
運転中、冷却媒体Kは、コイルエンド14,15上を進み、ハウジング5のオイル溜めS5内に到達する。オイル溜めS5から、冷却媒体Kは再び循環され、このとき、冷却システムは、冷却媒体Kを熱の搬出および潤滑のために、必要な構成部材に輸送しかつ循環させるべく、圧送手段と、さらなる冷却通路とを有している。冷却システムは、好ましくは、循環する冷却媒体Kの少なくとも20%が両流体分配要素24,25へ圧送されるように、つまり、流体分配要素毎に少なくとも10%が圧送されるように構成されている。循環する残余の冷却媒体流は、特に、軸受およびシール、ステータコア15、ロータ13および場合によっては1つまたは複数の歯車対に供給されるように分配される。好ましくは、リターン内に存在する加熱されたオイルを再び冷却すべく、熱交換器が流動経路内でポンプの下流に配置されている。
【0038】
まとめて
図8とも称呼する
図8Aないし
図8Dには、伝動機構4を示してある。複数のパーツからなるハウジング5は、伝動機構4が内部に収容されている伝動機構ハウジング室40と、電気機械3が内部に収容されているモータハウジング室50とを有している。伝動機構ハウジング8は結合フランジ57を有しており、結合フランジ57は、モータハウジング7の対称の結合フランジ56に結合することができる。伝動機構4はギヤボックスとして構成されており、互いに噛み合う複数のギヤペアを有している。伝動機構およびハウジングを、技術的な要求、例えば伝達すべきトルク、回転数、取り付けスペースに合わせて構成することができ、これに応じて、ここに示す構成とは異なる構成を有していてもよいことは、自明である。
【0039】
本実施形態では、伝動機構4は第1のギヤペアを有しており、第1のギヤペアは、ロータ軸14に結合されるピニオンと、ピニオンと噛み合う歯車52とを有している。組み立てられた状態で、ロータ軸14は、ロータ軸14の端部において、中間壁45の軸受座54内に設けられた軸受53により、回転軸線A3回りに回転可能に軸支されている。第2のギヤペアは、歯車52に中間軸を介して相対回動不能に結合される中間ギヤと、歯車55とを有しており、歯車55は、ドリブンギヤと称呼してもよい。中間軸は、中間壁45の軸受座60内に設けられた軸受51により、回転軸線A52回りに回転可能に軸支されている。歯車55は、モータハウジング7の軸受座71内に設けられた軸受70により、回転軸線A55回りに回転可能に軸支されている。好ましくは、ドリブンギヤの回転軸線A55は、電気機械3の回転軸線A3より幾分下に位置し、中間軸の回転軸線A52は、電気機械3の回転軸線A3より幾分上に位置している。
【0040】
この電気駆動アッセンブリ2のさらなる特徴は、電気駆動アッセンブリ2が能動型の冷却媒体圧送も受動型の冷却媒体圧送も有することにあるが、それに限定するものではない。受動型の冷却媒体圧送は、回転する構成部材、特に伝動機構ギヤによりなされており、回転する構成部材は、冷却媒体をオイル溜めS5から独立したリザーバ49内に圧送する。さらに液圧式のポンプ(図示せず)が設けられており、液圧式のポンプの吸込側はリザーバ49内に位置し、リザーバ49から、ポンプは冷却媒体を再び循環させる。伝動機構ハウジング8には、ポンプへの吸込側の液圧接続部46と、冷却システム内へ戻る吐出側の液圧接続部47とが存在している。
【0041】
電気機械3のステータ12とロータ13との間には、間隙11が形成されている。冷却アッセンブリは、特に、モータハウジング7および/または伝動機構ハウジング8内のオイルレベルP5が、運転時、電気機械の間隙11よりも下に位置するように構成されている。ハウジング5内には、モータハウジング室50と伝動機構ハウジング室40とから隔離されたリザーバ49が設けられている。リザーバ49は、軸方向で伝動機構ハウジングとモータハウジングとの間の結合領域内に配置され、特に軸方向で電気機械3に隣接して配置されている。
【0042】
リザーバ49は、ハウジング5内に能動型の注油用の独立したタンク容積を形成する。リザーバは、モータ室および伝動機構室から隔離されており、運転時、独自のオイルレベルP49を有している。隔離された冷却媒体レベルP5,P49を、運転時、一定に維持することができるように、液圧式のポンプによってタンク容積から圧送された体積流量は、また再びタンク内に戻し圧送されなければならない。これは、加圧された体積流量をダイレクトにタンク内に好適に再循環させることを介して、かつ/または回転する構成部材の好適な圧送メカニズムを用いた無圧の体積流量を介して、実施することができる。
【0043】
特に
図8Cには、運転時、冷却媒体Kが、回動する歯車55によってリザーバ49内に圧送されるように、リザーバ49が配置あるいは構成されていることが看取可能である。ハウジング5内には、歯車55によってはね飛ばされたオイルを捕集しリザーバ内に案内すべく、オイル案内構造58,59が設けられている。歯車55の回転運動は、R55で示してあり、冷却媒体Kの流れ方向は、Fで示してある。リザーバ49内には、ポンプ用の吸込口61が配置されている。運転時、リザーバ内のオイルレベルP49は、モータハウジング室および/または伝動機構ハウジング室内のオイルレベルP5よりも上に位置している。吸込箇所よりも上に位置するオイルレベルP49によって、動的な走行状態であっても、液圧式の注油システム内への冷却媒体の確実な吸込および供給が保証される。
【0044】
リザーバ49は、伝動機構ハウジング8の側壁62と、環囲するフランジ状の内壁63と、蓋64とにより形成されており、蓋64は、詳細図として
図9Aおよび
図9Bに示してある。蓋64は、リターン前にオイルをろ過するフィルタ要素65と、吸込口61に流動接続する下流の接続要素66とを有している。蓋は、さらにオイル捕集リブ67を有しており、オイル捕集リブ67は、ポンプによりオイル流入通路68,68’を介してハウジング5内に圧送されたオイルを、歯車52の、駆動ピニオンとの噛み合い領域へ案内すべく、構成されている。
【0045】
電気機械3の制御は、パワーエレクトロニクスによって実施することができる(図示せず)。パワーエレクトロニクスは、接続フランジ69を介してハウジング5に結合されていてもよい。電気機械3の電流供給は、バッテリによって実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 電気駆動アッセンブリ
3 電気機械
4 伝動機構
5 ハウジング
6 結合セクション
7 モータハウジング部分
8 伝動機構ハウジング部分
9 フランジ結合部
12 ステータ
13 ロータ
14 ロータ軸
15 ステータコア
16 コイル
17 コイルエンド
18 コイルエンド
19 貫通孔
21,21’ 管路
22 供給部
23 供給部
24 流体分配要素
25 流体分配要素
26 集合セクション
27 集合セクション
28,28’ 分配セクション
29,29’ 分配セクション
30 通路
31 通路
32 通流開口
33 通流開口
34,34’ 溢流口
35,35’ 溢流口
36,37 取り付け手段
38,39 取り付け手段
40 伝動機構ハウジング室
41 保持セクション
42 保持セクション
43 保持セクション
44 保持セクション
45 中間壁
46 液圧接続部
47 液圧接続部
48 電気接続部
49 リザーバ
50 モータハウジング室
51 軸受
52 歯車
53 軸受
54 軸受座
55 歯車
56 結合フランジ
57 結合フランジ
58 オイル案内構造
59 オイル案内構造
60 軸受座
61 吸込口
62 側壁
63 内壁
64 蓋
65 フィルタ要素
66 接続要素
67 オイル捕集リブ
68,68’ オイル流入通路
69 接続フランジ
70 軸受
71 軸受座
72 冷却管路
A 回転軸線
F 流れ方向
K 冷却媒体
L 長さ
P 動的な冷却媒体液位
R 方向
S 冷却媒体溜め
s 角度範囲
U 周方向延在長さ
【外国語明細書】