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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102849
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ポリエチレン製造工程
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/02 20060101AFI20240724BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
C08F10/02
C08F2/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006964
(22)【出願日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0008232
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】オ メン スン
(72)【発明者】
【氏名】カン ムン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒェ リン
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011DA04
4J011DB13
4J100AA02P
4J100CA01
4J100FA02
4J100FA09
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100FA47
4J100GD03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チーグラー・ナッタ触媒を用いてエチレンを重合しても、触媒活性の低下を抑制し、生産性の高いポリエチレン重合方法を提供する。また、ポリエチレンの重合時に発生するケトン類などの不純物の発生を抑制および吸収してポリエチレンを重合する方法を提供する。
【解決手段】モノマー、溶媒、およびスカベンジャーを含む第1混合溶液と、非担持チーグラー・ナッタ触媒および溶媒を含む第2混合溶液とを連続式反応器に供給して200℃の高温で重合する製造工程であり、触媒活性に優れるとともに、長期間の運転時に触媒投入量が増加していた現象を解消することができるポリエチレン製造工程を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー、溶媒、およびスカベンジャーを含む第1混合物を第1ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、
非担持チーグラー・ナッタ触媒を含む第2混合物を第2ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、
前記連続撹拌式反応器にてポリエチレン重合体を製造するステップと、
を含み、
前記連続撹拌式反応器の重合温度Tが200℃以上である、ポリエチレン製造工程。
【請求項2】
前記溶媒は、精製されてリサイクルされた溶媒である、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項3】
前記溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、およびイソペンタンから選択されるいずれか1つまたは2つ以上である、請求項2に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項4】
前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは210℃以上である、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項5】
前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは220℃以上である、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項6】
前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは230℃以上である、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項7】
前記スカベンジャーは、下記化学式1で表されるスカベンジャーを含む、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【化1】
化学式1中、R、R、またはRは、独立してC-C10のアルキル、C-C10アリール、または水素であり、Rは、C-C10アルキレン、O、またはNである。
【請求項8】
前記第2混合物は、スカベンジャーをさらに含む、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項9】
第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーは、互いに同一または異なる、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【請求項10】
第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーの含量は、下記式1で表されるものである、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【数1】
【請求項11】
第2混合物は、助触媒および/または分子量調節剤を含む、請求項1に記載のポリエチレン製造工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエチレン製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒の存在下でエチレンを重合して製造される。ただし、前記エチレン重合工程中にアルコール、アルデヒド、ケトン類などの不純物が発生し得る。前記不純物により触媒活性が低減され得るため、ポリエチレンの収率が低下するという問題がある。溶媒を再循環して用いる場合、残留不純物を精製しても一部が残り、触媒活性が低下するという問題がある。また、前記エチレン重合工程は、非担持触媒を用いる場合、触媒の不活性化および除去工程などで異物が発生し、触媒活性に影響を与え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、チーグラー・ナッタ触媒を用いてエチレンを重合しても、触媒活性の低下を抑制し、生産性の高いポリエチレン重合方法を提供することを目的とする。
【0004】
また、本開示は、ポリエチレンの重合時に発生するケトン類などの不純物の発生を抑制および吸収してポリエチレンを重合することを目的とする。
【0005】
また、本開示は、連続式工程の特性上、不純物の発生時にポリエチレン生産性を維持するために触媒の含量を漸進的に増加させなければならない問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によると、モノマー、溶媒、およびスカベンジャーを含む第1混合物を第1ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、非担持チーグラー・ナッタ触媒を含む第2混合物を第2ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、前記連続撹拌式反応器にてポリエチレン重合体を製造するステップと、を含み、前記連続撹拌式反応器の重合温度Tが200℃以上である、ポリエチレン製造工程を提供する。
【0007】
一実施形態において、前記溶媒は、精製されてリサイクルされた溶媒を含んでもよい。
一実施形態において、前記溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、およびイソペンタンから選択されるいずれか1つまたは2つ以上であってもよい。
【0008】
一実施形態において、前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは210℃以上であってもよい。
一実施形態において、前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは220℃以上であってもよい。
【0009】
一実施形態において、前記連続撹拌式反応器の重合温度Tは230℃以上であってもよい。
一実施形態において、前記スカベンジャーは、下記化学式1で表されるスカベンジャーを含んでもよい。
【0010】
【化1】
【0011】
(化学式1中、R、R、またはRは、独立してC-C10のアルキル、C-C10アリール、または水素であり、Rは、C-C10アルキレン、O、またはNであってもよい。)
【0012】
一実施形態において、前記第2混合物は、スカベンジャーをさらに含んでもよい。
一実施形態において、前記第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0013】
一実施形態において、第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーの含量は、下記式1で表されるものであってもよい。
【0014】
【数1】
【0015】
一実施形態において、第2混合物は、助触媒および/または分子量調節剤を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示は、前記ポリエチレン重合工程によりポリエチレンを重合することで、高温でも触媒の寿命が維持されるとともに、触媒活性の低下を最小化し、比較的に少ない触媒投入量でポリエチレンを連続的に大量に重合することができる。
【0017】
また、本開示のポリエチレン重合方法は、使用し精製された溶媒を用いても、副反応の発生を最大限に抑制できるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を含む具体例または実施例を挙げて本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本開示を詳細に説明するための1つの参照にすぎず、本開示は、これに限定されず、様々な形態で実現されてもよい。
【0019】
また、特に定義しない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本開示における説明で用いられる用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本開示を限定するためのものではない。
【0020】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図し得る。
また、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0021】
本開示において、「重合」という用語は、単独重合だけでなく、共重合も含む意味で用いられ、「重合体」という用語は、単独重合体だけでなく、共重合体も含む意味で用いられる。
本開示において、モノマーはエチレンモノマーを意味する。
また、本開示において、エチレンは、ガス状のエチレンを意味するものである。したがって、本開示において、エチレンはエチレンガスと同じ意味である。
本開示において、「および/または」は、1つまたは2つ以上を意味する
【0022】
従来のポリエチレン重合方法において、メタロセン触媒は、チーグラー・ナッタ触媒に比べて物性に優れるという利点があるが、チーグラー・ナッタ触媒に比べてPDI値が狭く、ポリエチレン樹脂の加工性が低下するという問題がある。このため、チーグラー・ナッタ触媒を活用し、加工性に優れたポリエチレン樹脂を提供しようとする研究が続けられている。
【0023】
前記チーグラー・ナッタ触媒のうち、非担持触媒の場合、200℃以上で担持チーグラー・ナッタ触媒に比べて基本的に高温安定性が高いが、触媒の不活性化および除去過程などで副反応が発生し、不純物を発生させ得るという問題がある。
【0024】
このため、従来のポリエチレン重合方法では、高温で非担持触媒によりポリエチレンを重合する場合、前記触媒活性の低下現象が急激に増加し、これにより、ポリエチレンを量産することが難しいという問題がある。
【0025】
そこで、本開示は、モノマー、溶媒、およびスカベンジャーを含む第1混合物を第1ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、チーグラー・ナッタ触媒を含む第2混合物を第2ラインを介して連続撹拌式反応器に供給するステップと、前記連続撹拌式反応器にてポリエチレン重合体を製造するステップと、を含み、前記連続撹拌式反応器の重合温度Tが200℃以上である、ポリエチレン製造工程を提供することで、200℃以上でリサイクル溶媒を用いても、生産量に優れたポリエチレン重合方法を提供することができる。
前記チーグラー・ナッタ触媒は、非担持チーグラー・ナッタ触媒を含んでもよい。
【0026】
前記ポリエチレン重合方法は、コモノマーをさらに含んでもよい。前記コモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンから選択されるいずれか1つ以上のコモノマーであってもよく、例えば、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンから選択されるいずれか1つ以上のコモノマーであってもよいが、通常のポリエチレン重合に用いられるコモノマーであれば、これに限定されない。
前記エチレンおよびコモノマーの割合はモル比で1:0.001~1.5であってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
高温でポリエチレン重合を行うために純粋な溶媒を用いてもよいが、これは溶媒の取り替え費用が多く発生し得るため、溶媒をリサイクルして用いることが効率的である。しかし、リサイクル溶媒の場合、ポリエチレン製造工程で発生した不純物を含み得るため、触媒活性を低下させる可能性が高いという欠点がある。
【0028】
そこで、本開示は、前記ポリエチレン重合方法を導入することで、200℃以上でも非担持チーグラー・ナッタ触媒活性の低下を最小化してポリエチレンを重合することができるため、経済的かつ生産性に優れるという利点がある。
【0029】
一実施形態において、前記溶媒は、精製されてリサイクルされた溶媒であってもよく、前記溶媒の精製方法は、限定されるものではないが、一例として、精製ステップと、精製ステップの後に吸着ステップを用いて精製されてもよい。一例として、蒸留塔(Distillation column)を介して溶媒中の物質が分離され、その後、シリカゲルまたはゼオライト系などの吸着剤を用いて、溶媒中の異物を吸着精製したリサイクル溶媒であってもよいが、これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0030】
一実施形態において、前記溶媒の種類としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、およびイソペンタンから選択されるいずれか1つまたは2つ以上を含んでもよいが、これに限定されない。
前記溶媒の含量は、エチレンガス100重量部に対して300~1000重量部であってもよいが、これに限定されない。
【0031】
前記精製された溶媒、スカベンジャー、およびモノマーを混合した混合物を第1ラインを介して連続式反応器に投入し、第2ラインに非担持チーグラー・ナッタ触媒を投入した後、200℃以上の重合温度でポリエチレン重合を行ってもよい。
【0032】
前記重合温度は200℃以上であってもよく、例えば、下限として210℃以上、220℃以上、230℃以上、上限として400℃以下、300℃以下、例えば200~400℃であってもよく、例えば220~300℃であってもよい。
【0033】
前記非担持チーグラー・ナッタ触媒の成分である遷移金属化合物および有機金属化合物について説明する。
一実施形態において、遷移金属化合物は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、およびタンタル(Ta)から選択されるいずれか1つの金属のハライド、アルコキシド、およびフェノキシドのうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態において、遷移金属化合物は、チタン(Ti)ハライドまたはチタン(Ti)エトキシレートを含んでもよいが、これに限定されない。一実施形態において、遷移金属化合物は、チタン(Ti)塩化物を含んでもよいが、これに限定されない。
遷移金属化合物の含量は、エチレン重量あたり0.1~100ppmあってもよいが、これらに限定されない。
【0034】
一実施形態において、有機金属化合物は、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、および亜鉛(Zn)から選択されるいずれか1つの金属のアルキル化合物、アルキルハライド、およびアリール化合物のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態において、有機金属化合物は、有機アルミニウム(Al)化合物を含んでもよいが、これに限定されない。
有機金属化合物の含量は、エチレン重量あたり1~200ppmであってもよいが、これに限定されない
【0035】
非限定的な例として、前記有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ-n-プロピルアルミニウムクロライド、ジ-n-ブチルアルミニウムクロライド、ジ-i-ブチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムエトキシド、i-ブチルアルミニウムジクロライド、およびn-オクチルアルミニウムのいずれか1つまたは2つ以上を含んでもよく、例えば、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ-n-プロピルアルミニウムクロライド、ジ-n-ブチルアルミニウムクロライド、ジ-i-ブチルアルミニウムクロライド、およびジエチルアルミニウムエトキシドのいずれか1つまたは2つ以上を含んでもよい。
【0036】
前記非担持チーグラー・ナッタ触媒を用いる場合、高温、すなわち200℃以上では基本活性に優れるが、ポリエチレン製造工程で発生する不純物による活性の低下があり得る。
【0037】
そこで、第1ラインから連続式反応器に投入される第1混合物にスカベンジャーを含むことで、前記連続式反応器にて200℃以上で重合しても、触媒活性に優れるとともに、長期間の運転時に触媒投入量が増加していた現象を解消することができる。
【0038】
前記重合時間は、下限として1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、5分以上、上限として10分以下、9分以下、8分以下、7分以下であってもよく、例えば、1~10分、1~7分、1~6分、または1~5分であってもよいが、これに限定されない。
【0039】
一実施形態において、前記スカベンジャーは、下記化学式1で表されるスカベンジャーを含んでもよく、例えば、トリエチルアルミニウムであってもよいが、これに限定されない。
【0040】
【化2】
【0041】
化学式1中、R、R、またはRは、独立してC-C10のアルキル、C-C10アリール、または水素であり、Rは、C-C10アルキレン、O、またはNであってもよい。
【0042】
例えば、前記化学式1中、R、R、またはRは、独立してC-Cのアルキルまたは水素であり、Rは、C-C10アルキレンであってもよい。
【0043】
前記第1混合物に前記スカベンジャーを含むことで、リサイクル溶媒または新規溶媒中に存在する不純物と強力に反応するとともにポリエチレン重合の際に助触媒の役割をすることもでき、前記第1混合物と第2混合物が混合されることで、200℃以上でも触媒活性を長期間維持することができる。
【0044】
一実施形態において、前記第2混合物は、スカベンジャーをさらに含んでもよい。前記第2混合物にスカベンジャーをさらに含むことで、触媒の活性度および寿命にさらに優れるという利点がある。
第1混合物に含まれるスカベンジャーは第1スカベンジャーであり、第2混合物に含まれるスカベンジャーは第2スカベンジャーで表される。
【0045】
一実施形態において、前記第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーは、互いに同一でも異なっていてもよいが、これに限定されない。
一実施形態において、第1スカベンジャーおよび第2スカベンジャーの含量は、下記式1で表されるものであってもよいが、これに限定されない。
【0046】
【数2】
【0047】
一実施形態において、第2混合物は、助触媒および/または分子量調節剤を含んでもよい。
前記助触媒は、このような目的のために公知の任意の助触媒、例えば、アルミニウム-含有助触媒、ホウ素-含有助触媒、またはフッ素化触媒であってもよい。アルミニウム-含有助触媒は、アルモキサン、アルキルアルミニウム、ルイス酸、および/またはフッ素化触媒担体を含んでもよいが、ポリエチレン重合に通常用いられる助触媒であれば、これに限定されない。
チーグラー・ナッタ触媒は、溶媒の重量に対して0.5~30ppm、溶媒の重量に対して1~30ppm、および溶媒の重量に対して1~20ppmであってもよいが、これらに限定されない。
さらに、前記共触媒はチーグラー・ナッタ触媒のモル比より1~10倍のモル比を有してもよいが、これらに限定されない。
【0048】
前記分子量調節剤は、水素、アセトン、プロピオンアルデヒド、メチルエチルケトン、プロパン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどのオレフィン系炭化水素類であってもよいが、ポリエチレン重合時に用いられる通常の分子量調節剤であれは、これに限定されない。
前記分子量調節剤の含量は、溶媒重量あたり0.1~100ppmであってもよいが、これらに限定されない。
【0049】
以下、実施例および比較例に基づいて本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための1つの例示にすぎず、本開示は、下記の実施例および比較例により限定されるものではない。
【0050】
[実施例1]
3Lのバッチ反応器にシクロヘキサン1kg、1-オクテン200ml、および水素600mlを投入し、エチレンを30barの圧力で供給した。その後、第1ラインから10mgの不純物(2-ヘプタノン)およびスカベンジャーとしてトリエチルアルミニウムが6mg含まれた30mlのシクロヘキサンを供給し、第2ラインからテトラチタンクロライド(3mg)、バナジウムオキシクロライド(3mg)、ジエチルアルミニウムクロライド(8mg)、およびジエチルアルミニウムエトキシド(12mg)を供給して重合反応を行った。前記重合反応条件は230℃で3分間行い、反応終了後、重合したポリマー溶液をドレイン(Drain)した後に乾燥してポリマーを得た。
【0051】
[実施例2]
実施例1において、トリエチルアルミニウムを6mgの代わりに12mgを投入したことを除いては同様に行った。
【0052】
[実施例3]
実施例1において、トリエチルアルミニウムを6mgの代わりに18mgを投入したことを除いては同様に行った。
【0053】
[実施例4]
実施例1において、トリエチルアルミニウムを6mgの代わりに24mgを投入したことを除いては同様に行った。
【0054】
[比較例1]
実施例1において、スカベンジャー(トリエチルアルミニウム)を投入していないことを除いては同様に行った。
【0055】
【表1】
【0056】
以上、特定の事項と限定された実施例および図面により本開示を説明したが、これは本開示のより全般的な理解のために提供されたものにすぎず、本開示は上記の実施例に限定されない。本開示が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0057】
したがって、本開示の思想は、説明された実施例に限定されて決まってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等または等価的変形を有するものは、いずれも本開示の思想の範囲に属するといえる。