(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102853
(43)【公開日】2024-07-31
(54)【発明の名称】洋上風力システム
(51)【国際特許分類】
F03D 13/25 20160101AFI20240724BHJP
【FI】
F03D13/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038246
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2023006561の分割
【原出願日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】風野 裕明
(72)【発明者】
【氏名】森下 和帆
(72)【発明者】
【氏名】福田 渚
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178AA51
3H178BB73
3H178BB77
3H178BB90
3H178CC22
3H178DD67X
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】複数の着床式海洋構造体の設計を共通化した洋上風力システムを提供する。
【解決手段】同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車200をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体10、を備える洋上風力システム100であって、複数のジャケット構造体10のそれぞれは、第1グループG1又は第2グループG2に属し、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10である第1グループジャケット構造体10A、のそれぞれの形状の一部である第1グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の洋上風車をそれぞれ支持する複数の着床式海洋構造体、
を備える洋上風力システムであって、
前記複数の着床式海洋構造体は、同一のウインドファーム又は海域に設けられ、
前記複数の着床式海洋構造体は、前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれの形状に基づき、前記複数の着床式海洋構造体を少なくとも1つ以上含む第1グループ、又は、前記複数の着床式海洋構造体を少なくとも1つ以上含む第2グループに分類され、
前記複数の着床式海洋構造体のうち前記第1グループに属する第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれは、互いに共通する前記形状の一部である第1グループ特徴を有する、
ことを特徴とする洋上風力システム。
【請求項2】
前記複数の着床式海洋構造体のうち前記第2グループに属する第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれは、互いに共通する前記形状の一部である第2グループ特徴を有し、
前記第1グループ特徴に係る前記第1グループ着床式海洋構造体の形状の一部における形状と前記第2グループ特徴に係る前記第2グループ着床式海洋構造体の形状の一部における形状とは、異なる形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の洋上風力システム。
【請求項3】
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の前記着床式海洋構造体の上端から海底面までの距離を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項4】
前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれは、高さ方向に延びる長尺状に構成された複数のレグと、前記レグに接続されて隣接する一対の前記レグ同士を連結する筒状のブレースと、を備え、
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の前記一対のレグに対する前記ブレースの配置を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項5】
前記ブレースの配置は、前記レグと前記ブレースとの交差角度を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の洋上風力システム。
【請求項6】
前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれは、高さ方向に延びる長尺状に構成された複数のレグと、前記レグに接続されて隣接する一対の前記レグ同士を連結する筒状のブレースと、を備え、
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の前記レグと前記ブレースとが接続される接続部、の位置を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項7】
前記接続部のうち、LWL(Low Water Level、朔望平均干潮面)から1.0m下側の高さと重なるものの数は、LWLから1.0m下側の高さと重ならないものの数より、小さい、
ことを特徴とする請求項6に記載の洋上風力システム。
【請求項8】
前記接続部がLWLから1.0m下側の高さと重なる前記第1グループ着床式海洋構造体は、前記第1グループに属する前記第1グループ着床式海洋構造体の50%以下である、
ことを特徴とする請求項6に記載の洋上風力システム。
【請求項9】
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の杭の本数を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項10】
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の杭の径を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項11】
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の杭の間の距離を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項12】
前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれは、高さ方向に延びる長尺状に構成されかつその長手方向の一部に屈曲部又は湾曲部を有するレグを備え、
前記第1グループ特徴及び前記第2グループ特徴は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、及び、前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれ、の前記レグの前記屈曲部における屈曲角度又は前記湾曲部における曲率を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の洋上風力システム。
【請求項13】
前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ及び前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれのトランジションピースの形状又は材質は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ及び前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれの間で共通する、
ことを特徴とする請求項2乃至12のいずれか1項に記載の洋上風力システム。
【請求項14】
前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ及び前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれのスカートスリーブの形状又は材質は、前記第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれ及び前記第2グループ着床式海洋構造体のそれぞれの間で共通する、
ことを特徴とする請求項2乃至12のいずれか1項に記載の洋上風力システム。
【請求項15】
前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれは、前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれが設置されるサイトのそれぞれの水深、波の高さ、又は、地盤条件に応じ、前記第1グループ及び前記第2グループのいずれかに属する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の洋上風力システム。
【請求項16】
前記第1グループに属する前記第1グループ着床式海洋構造体の1つが設置されるサイトの水深を基準水深として、前記基準水深との差が±3m以内の水深のサイトに設置される前記着床式海洋構造体は、前記第1グループに属する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の洋上風力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる風車(洋上風車)等を洋上に配置するために、鋼管を組み合わせたジャケット構造体を用いることがある。洋上風車及び洋上風車を支持するジャケット構造体は、洋上風力システムとして、同一のウインドファーム又は海域に複数配置されることがある。
特許文献1では、水上に複数配置された風力発電施設のそれぞれが、水底に敷設されたケーブルによって接続された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風力システムにおいて、複数配置されるジャケット構造体の設計を共通化することが求められることがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、複数の着床式海洋構造体の設計を共通化した洋上風力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る洋上風力システムは、複数の洋上風車をそれぞれ支持する複数の着床式海洋構造体、を備える洋上風力システムであって、前記複数の着床式海洋構造体は、同一のウインドファーム又は海域に設けられ、前記複数の着床式海洋構造体は、前記複数の着床式海洋構造体のそれぞれの形状に基づき、前記複数の着床式海洋構造体を少なくとも1つ以上含む第1グループ、又は、前記複数の着床式海洋構造体を少なくとも1つ以上含む第2グループに分類され、前記複数の着床式海洋構造体のうち前記第1グループに属する第1グループ着床式海洋構造体のそれぞれは、互いに共通する前記形状の一部である第1グループ特徴を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の着床式海洋構造体の設計を共通化した洋上風力システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る洋上風力システム100を説明する。洋上風力システム100は、複数のジャケット構造体10を備える。複数のジャケット構造体10は、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられる。且つ、複数のジャケット構造体10は、洋上風車200をそれぞれ支持する。
【0010】
(ジャケット構造体10の構成)
ジャケット構造体10は、
図2に示すように、トランジションピース11と、レグ12と、ブレース13と、スカートスリーブ14と、杭15と、を含む。
トランジションピース11は、洋上風車200を支持する。トランジションピース11は、上側板11aと、センターパイプ11bと、下側板11cと、補強板11dと、を含む。
【0011】
上側板11aは、トランジションピース11の上側において水平方向に配置される。本実施形態において、水平方向とは、洋上風車200が配置される海面と平行な方向である。
図3に示すように、上側板11aは十字状であり、中央にセンターパイプ11bが配置される。
【0012】
センターパイプ11bは、洋上風車200のタワーTを支持する円筒状部材である。以下において、センターパイプ11bの上端を、トランジションピースの上端と呼称することがある。センターパイプ11bは、
図2及び
図3に示すように、トランジションピース11の中央に配置される。センターパイプ11bは、上側板11a、下側板11c、及び補強板11dによって支持される。本実施形態において、センターパイプ11bには洋上風車200が接続される。これにより、トランジションピース11によって洋上風車200を支持する。 センターパイプ11bは、上側板11a、下側板11c、及び補強板11dに対して、例えば、溶接により固定される。
【0013】
下側板11cは、トランジションピース11の下端において水平方向に配置される。以下において、下側板11cを示す際に、単にトランジションピース11の下端と呼称することがある。なお、後述するレグ12がトランジションピース11の高さ方向の内部に位置する場合において、トランジションピース11の高さ方向の内部に位置するレグ12が屈曲部を含む場合、レグ12の屈曲部がトランジションピース11の下端であるとしてもよく、このレグ12に屈曲部が設けられていない場合は、下側板11cがトランジションピース11の下端であるとしてもよい。
図3に示すように、下側板11cは上側板11aと同様に十字状であり、中央にセンターパイプ11bを備える。これにより、トランジションピース11においてセンターパイプ11bを上下2箇所で支持する。
【0014】
補強板11dは、上側板11aと、下側板11cと、センターパイプ11bと、後述するレグ12と、との間を補強する部材である。
図2に示すように、補強板11dは略四角形状の板である。補強板11dは、前記略四角形状の4辺を、上述の上側板11aと、下側板11cと、センターパイプ11bと、レグ12と、にそれぞれ接続する。これによりトランジションピース11を補強する。
本実施形態において、トランジションピース11は、例えば、少なくとも海面よりも上に配置される。これにより、作業者がトランジションピース11の上に立って作業ができるようにすることが好ましい。
【0015】
レグ12は、トランジションピース11を支持する円筒状部材である。
図2に示すように、レグ12の上端は、トランジションピース11に接続される。レグ12の下端は、スカートスリーブ14を介して杭15に接続される。
レグ12は、ジャケット構造体10において複数設けられる。本実施形態において、レグ12は、例えば、ジャケット構造体10において4つ設けられる。これに限らず、レグは、例えば、ジャケット構造体において3つのみ設けられてもよい。
【0016】
ブレース13は、複数のレグ12を接続する円筒状部材である。具体的には、
図2に示すように、ブレース13は、ジャケット構造体10における上下方向を軸とした周方向において、互いに隣り合うレグ12同士を接続する。これにより、ブレース13は、ジャケット構造体10を補強する機能を有する。ブレース13は、レグ12同士の間に複数設けられる。
【0017】
ブレース13は、第1ブレース13aと、第2ブレース13bと、を含む。ブレース13は、第1ブレース13aと第2ブレース13bとによってX字状を形成する。この時、第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交点は次のような形状となる。すなわち、
図2に示すように、第1ブレース13aの側面に、第2ブレース13bの端部が接する。つまり、第1ブレース13aがいわゆる通し部材であり、第2ブレース13bは、第1ブレース13aによって分断された状態となる。
【0018】
以下、第2ブレース13bが接続される格点部分をブレースキャンBCという。第1ブレース13aに接続された第2ブレース13bの端部をブレーススタブBSという。ブレース13において、要求される疲労強度に対応するため、ブレースキャンBC及びブレーススタブBSの板厚は、例えば、ブレースキャンBC及びブレーススタブBS以外の部位よりも厚いことが好ましい。本実施形態において、ブレースキャンBCの板厚は、ブレーススタブBSの板厚より厚い。
【0019】
以下、第1ブレース13aと第2ブレース13bとを区別しない場合に、ブレース13という。ブレース13が形成する前記X字状は、例えば、ジャケット構造体10において上下方向に2段設けられる。これに限らず、前記X字状は、ジャケット構造体10において上下方向に1段のみ設けられてもよいし、3段以上設けられてもよい。
ジャケット構造体10を横向きに製作又は輸送する場合、製作輸送時のジャケット構造体10の剛性を確保するために、
図2に示すように、斜めに配置される第1ブレース13a及び第2ブレース13bに加えて、前記X字状の下に水平ブレース13cを設けてもよい。
【0020】
スカートスリーブ14は、複数のレグ12と複数の杭15とを接続する。言い換えれば、スカートスリーブ14は、ジャケット構造体10に複数設けられたレグ12の1つと、前記レグ12の1つに対応した複数の杭15と、を接続する。本実施形態において、上述のようにレグ12は4つ設けられる。このため、スカートスリーブ14は、レグ12の数に対応して4つ設けられる。
スカートスリーブ14は、
図2に示すように、上フランジ14aと、下フランジ14bと、ウェブ14cと、スリーブ14dと、を含む。
【0021】
上フランジ14aは、スカートスリーブ14の上側に設けられる板状の部材である。上フランジ14aは、例えば、略水平に設けられる。
下フランジ14bは、スカートスリーブ14の下側に設けられる板状の部材である。下フランジ14bは、例えば、略水平に設けられる。すなわち、下フランジ14bは、水平に設けられてもよいし、水平方向に対して45°以下の角度で傾いて設けられてもよい。 上フランジ14a及び下フランジ14bには、それぞれ、レグ12が挿通されるレグ貫通孔H1と、スリーブ14dが貫通するスリーブ貫通孔H2と、が設けられる。これにより、上フランジ14a及び下フランジ14bによって、レグ12とスリーブ14dとが連結される。なお、下フランジ14bには、レグ貫通孔H1が設けられなくてもよい。この場合は、下フランジ14bの上面にレグ12の下端が溶接されてもよい。
【0022】
ウェブ14cは、上フランジ14aと下フランジ14bとの間に設けられる板状の部材である。ウェブ14cは、例えば、鉛直に設けられる。これにより、上フランジ14aと下フランジ14bとを補強する。ウェブ14cの、水平方向の両端部は、例えば、レグ12又はスリーブ14dに沿うように配置される。
【0023】
スリーブ14dは、上下方向に沿って配置される円筒状部材である。スリーブ14dには、杭15が挿入される。上述のように、レグ12とスリーブ14dとは、上フランジ14a及び下フランジ14bによって連結されている。したがって、スリーブ14dに杭15が挿入されることで、レグ12と杭15とが接続される。本実施形態において、スリーブ14dは、例えば、1つのスカートスリーブ14において2つ設けられる。
【0024】
杭15は、
図2に示すように、洋上風力システム100が設けられるウインドファーム又は海域の地盤に打設される。杭15は、例えば、円筒状である。杭15は、1つのジャケット構造体10において複数設けられる。本実施形態において、杭15は、例えば、1つのレグ12に対して2つ設けられる。杭15は、スカートスリーブ14のスリーブ14dに挿入される。これにより、杭15は、レグ12と接続される。このことで、ジャケット構造体10が洋上に配置される。本実施形態において、杭15の径は、例えば、後述するグルーピングを問わず、洋上風力システム100におけるジャケット構造体10の全てで同じであることが好ましい。本実施形態において、杭15の根入れ長、つまり、地盤の内部への杭15の挿入代は、洋上風力システム100におけるジャケット構造体10のすべてで異なっていてもよい。
【0025】
本実施形態において、ジャケット構造体10のそれぞれには、防食処理が施される。具体的には、ジャケット構造体10のそれぞれには、電気防食若しくは重防食塗装が施される(不図示)。すなわち、まず、LWL(Low Water Level、朔望平均干潮面)から1.0m下側の位置を基準とする。このとき、例えば、前記基準より下方に電気防食を施す。前記基準より上方に重防食塗装を施す。電気防食は、例えば、ジャケット構造体10の各部位に不図示の犠牲陽極を取り付けることによってなされる。重防食塗装には、例えば、エポキシ塗料が用いられる。
【0026】
ここで、同一のウインドファーム又は海域においても、ジャケット構造体10の設置場所(以下、サイトS)毎に水深が異なる。このため、LWLは、後述するグルーピングを問わず、ジャケット構造体10サイトS毎に異なる。このため、電気防食に用いられる犠牲陽極の取り付け位置や、重防食塗装の境界は、後述するグルーピングを問わず、例えば、同一グループであっても、ジャケット構造体10のそれぞれに対して適宜決定されることが好ましい。なお、塗装作業の作業性が低下することを防ぐために、重防食塗装の境界は、構造が複雑となる鋼管格点部(後述する)に位置しないことが好ましい。つまり、鋼管格点部は、重防食塗装範囲と電気防食範囲の境界付近に位置しないことが好ましい。
【0027】
(ジャケット構造体10のグルーピングについて)
本実施形態において、洋上風力システム100が備える複数のジャケット構造体10のそれぞれは、第1グループG1又は第2グループG2に属する。具体的には、複数のジャケット構造体10のそれぞれは、複数のジャケット構造体10のそれぞれが設置されるサイトSのそれぞれの水深、波の高さ、又は、地盤条件に応じ、第1グループG1及び第2グループG2のいずれかに属する。
【0028】
本実施形態において、サイトSの水深によってグルーピングする場合、例えば、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aの1つが設置されるサイトSの水深を基準水深として、基準水深との差が±3m以内の水深のサイトSに設置されるジャケット構造体10は、第1グループG1に属する。つまり、複数のジャケット構造体10をサイトSの水深によってグルーピングする場合、水深が基準から±3m以内のものを共通化する。このように、共通化する水深の範囲を適宜設けることで、ジャケット構造体10のグルーピングを容易にすることが好ましい。
【0029】
第1グループG1及び第2グループG2は、それぞれ複数のジャケット構造体10を備える。以下、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10のそれぞれを、第1グループジャケット構造体10Aという。第2グループG2に属する複数のジャケット構造体10のそれぞれを、第2グループジャケット構造体10Bという。第1グループジャケット構造体10Aと第2グループジャケット構造体10Bとを区別しない場合に、ジャケット構造体10という。
【0030】
本実施形態において、第1グループG1に属する複数の第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの形状の一部である第1グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通する。第2グループG2に属する複数の第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの形状の一部である第2グループ特徴は、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。本実施形態において、第1グループ特徴と第2グループ特徴とは、異なる。
以下、第1グループ特徴及び第2グループ特徴の例について列挙して説明する。
【0031】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の高さを含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの高さは共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの高さは共通する。本実施形態において、ジャケット構造体10の高さとは、ジャケット構造体10のある部分を基準とする、ジャケット構造体10の上端から下端までの距離をいう。本実施形態において、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、における、海面を基準とするジャケット構造体10の上下端の絶対的な位置(標高)は、異なっていてもよい。
【0032】
本実施形態において、ジャケット構造体10の高さは、上下方向におけるトランジションピース11の上端からスカートスリーブ14の下端までの距離をいう。したがって、ジャケット構造体10の高さは、トランジションピース11の位置とスカートスリーブ14の位置とによって定まる。
本実施形態において、トランジションピース11の位置は、例えば、洋上風車200のタワーTの下端の位置によって定まる。洋上風車200のタワーTの下端の位置は、例えば、洋上風車200のハブHの高さによって定まる。つまり、ジャケット構造体10の上端の位置は、洋上風車200のハブHの高さによって定まる。
スカートスリーブ14の位置は、例えば、ジャケット構造体10のサイトSにおける水底面の位置、つまりサイトSの水深によって定まる。
本実施形態では、例えば、上述のように定まるジャケット構造体10の高さを第1グループ特徴及び第2グループ特徴に含め、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bの設計を共通化することが好ましい。
【0033】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、のブレース13の配置を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのブレース13の配置は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのブレース13の配置は共通する。
ブレース13の配置は、例えば、ブレース13の角度を含む。ブレース13の角度とは、例えば、第1ブレース13aの軸線と、第1ブレース13aに交わる第2ブレース13bの軸線と、の交差角である。ブレース13の角度とは、例えば、ブレース13の軸線と、ブレース13に交わるレグ12の軸線と、の交差角である。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのブレース13の角度は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのブレース13の角度は共通する。
【0034】
本実施形態において、ブレース13の配置は、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、例えば、ブレース13が形成する前記X字状の上下方向の段数は、可能な限り少ないことが好ましい。レグ12とブレース13とが成す角、及びブレース13同士が成す角は、30°以上であることが好ましい。第1ブレース13aと第2ブレース13bとの交差点(接続部)であるブレースキャンBCが、海面付近(具体的には、LWLから1.0m下側)に位置しないようにすることが好ましい。ブレース13が形成する前記X字状が、上下方向に複数段設けられる場合は、美観向上の観点から、それぞれのブレース13が平行であることが好ましい。
本実施形態では、例えば、上述のように定まるブレース13の配置を第1グループ特徴及び第2グループ特徴に含め、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bの設計を共通化することが好ましい。
【0035】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10BのそれぞれのレグキャンLCの位置を含む。レグキャンLCは、レグ12の部分であってブレース13が接続される部分である。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10AのレグキャンLCの位置は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10BのレグキャンLCの位置は共通する。本実施形態において、レグキャンLCの位置とは、ジャケット構造体10の中におけるレグキャンLCの相対的な位置、つまり、例えば、ジャケット構造体10の下端からレグキャンLCまでの距離をいう。本実施形態において、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、における、海面を基準とするレグキャンLCの絶対的な位置(標高)は、異なっていてもよい。
【0036】
本実施形態において、レグキャンLCの配置は、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、例えば、レグキャンLCのうち、LWLから1.0m下側の高さと重なるものの数は、LWLから1.0m下側の高さと重ならないものの数より小さくなるようにする。つまり、レグキャンLCが、LWLから1.0m下側の高さ付近に位置しないようにすることが好ましい。
本実施形態では、例えば、上述のように定まるレグキャンLCの位置を第1グループ特徴及び第2グループ特徴に含め、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bの設計を共通化することが好ましい。
【0037】
なお、第1グループジャケット構造体10Aそれぞれのキャン全てが海面付近(具体的には、LWLから1.0m下側)に配置されることを避ける必要はない。第1グループジャケット構造体10Aの数が増えるのであれば、それぞれのレグキャンLCの中に海面付近(具体的には、LWLから1.0m下側)に配置されているものが含まれることを許容しても良い。本実施形態において、ジャケット構造体10をグルーピングする際、例えば、レグキャンLCが海面と重なる第1グループジャケット構造体10Aは、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aの50%以下であることが好ましい。このように、一定の基準を設けてレグキャンLCが海面と重なることを容認することで、ジャケット構造体10のグルーピングを容易にすることが好ましい。
【0038】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の本数を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭15の本数は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭15の本数は共通する。
【0039】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の径を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭15の径は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭15の径は共通する。
【0040】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の間の距離、つまり杭間距離15Dを含む。なお、杭間距離15Dは、例えば、
図2に示すように、上下方向を軸としたジャケット構造体10の周方向において、スカートスリーブ14の1つに接続された杭15と、スカートスリーブ14の前記1つの隣に位置するスカートスリーブ14に接続された杭15と、の間の中心間距離をいう。例えば、1つのスカートスリーブ14に杭15が複数設けられている場合、杭間距離15Dは、互いに隣り合うスカートスリーブ14にそれぞれ設けられた杭15同士の距離のうち、最も小さい距離をいう。
つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭間距離15Dは共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭間距離15Dは共通する。
【0041】
本実施形態において、杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dは、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、まず、杭15が打設される地盤の条件(例えば、地層による地盤の硬さ等)によって、杭15の根入れ長が定められる。次に、洋上風車200からジャケット構造体10に付加される転倒モーメントを計算することで、杭15に付加される軸力が求められる。この軸力に対して、杭15が十分に対応可能であることを要件として、杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dが定められる。具体的には、まず、杭15の本数を仮定する。仮定された杭15の本数に基づき、後述する距離計算工程によって杭間距離15Dを計算する。そして、後述する判定工程及び杭径決定工程によって、杭15の径を計算する。そして、杭間距離15Dに基づき決定された杭15の径が基準を超えて大きくなっていないか、また、杭間距離15Dが基準を超えて大きくなっていないかを確認する。杭間距離15D及び杭15の径のいずれかが基準を超えて大きくなっている場合には、杭15の本数を増やして同様の検討を行う。これを繰り返すことで、杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dを決定する。
【0042】
例えば、杭間距離15Dを大きくすることによって、杭15の1つに生じる軸力は小さくなる。しかしながら、ジャケット構造体10の大きさは、ジャケット構造体10をサイトSまで運搬する台船の大きさによって限定される。また、ジャケット構造体10において、レグ12同士の間隔が広すぎると、支持構造の剛性が大きくなって許容振動数帯の制約を満足しない。このため、杭間距離15Dを大きくすることには限界がある。また、レグ12同士の間隔が狭すぎると、杭15の必要根入れが長くなり、杭15の施工が困難となる。このため、杭間距離15Dを小さくすることにも限界がある。
例えば、杭15の本数を多くする、又は杭15の径を大きくすることによって、杭15の1つに生じる軸力は小さくなる。しかしながら、必要以上に杭15の本数を多くする、又は杭15の径を大きくすることによって、ジャケット構造体10が必要以上に大きくなる。したがって、経済性が低下する。
【0043】
杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dは、例えば、まず、杭間距離15D及び杭15の本数を決定する。これによって杭15の1つに生じる軸力を求める。そして、杭15の1つに生じる軸力に対応可能な杭15の径を選択する。杭15の径が極端に大きくなる場合は、杭15の本数を増やす、杭間距離15Dを大きくする等の対応をする。これにより、杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dのそれぞれが最適なものとなるようにする。
本実施形態では、例えば、上述のように定まる杭15の本数、杭15の径、及び杭間距離15Dを第1グループ特徴及び第2グループ特徴に含め、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bの設計を共通化することが好ましい。
【0044】
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、例えば、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、のレグ12の屈曲又は湾曲の度合いを含む。本実施形態において、レグ12の屈曲又は湾曲の度合いとは、例えば、レグ12において、屈曲部又は湾曲部を挟む直線状の部分の軸線同士の交差角をいう。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのレグ12の屈曲又は湾曲の度合いは共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのレグ12の屈曲又は湾曲の度合いは共通する。
【0045】
本実施形態において、レグ12の屈曲又は湾曲の度合いは、例えば、次の点を考慮して定められる。ここで、一般的に、トランジションピース11の幅は杭間距離15Dより小さく設定される。これに対応するため、レグ12の上端は、レグ12の下端よりも洋上風車200のタワーTに近い側に位置する。このような状態とするため、レグ12は上端と下端との間で傾斜している。これに対し、レグ12の上端及び下端は、例えば、それぞれトランジションピース11の上下方向の内部及びスカートスリーブ14の上下方向の内部において鉛直方向に沿って配置される。したがって、レグ12の屈曲又は湾曲の度合いは、例えば、トランジションピース11の幅と、杭間距離15Dと、上下方向におけるトランジションピース11とスカートスリーブ14との間の距離と、によって決定される。
【0046】
ここで、レグ12の屈曲又は湾曲の度合いに応じて、レグ12において応力集中が発生する。このことによる疲労強度の低下に対応するためには、レグ12の板厚を厚くする必要があるが、板厚が製造限界を下回るよう配慮する必要がある。
このため、レグ12の屈曲又は湾曲の度合いは、トランジションピース11の幅と、杭間距離15Dと、上下方向におけるトランジションピース11とスカートスリーブ14との間の距離と、の要件に加えて、レグ12における応力集中の度合いが許容範囲以下となるように考慮の上定められる。
本実施形態では、例えば、上述のように定まるレグ12の屈曲又は湾曲の度合いを第1グループ特徴及び第2グループ特徴に含め、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bの設計を共通化することが好ましい。
【0047】
第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれのトランジションピース11の形状又は材質は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、トランジションピース11の形状又は材質は、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。
【0048】
本実施形態において、トランジションピース11の形状又は材質は、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、例えば、トランジションピース11の形状又は材質は、洋上風車200のタワーTから付加される転倒モーメントをジャケット構造体10のレグ12に伝達する際、トランジションピース11が十分な強度を有したものとなるように定められる。
経済性を考慮すると、トランジションピース11は可能な限り小さくすることが好ましい。トランジションピース11には、例えば、ジャケット構造体10をサイトSに配置する際、クレーン等によってジャケット構造体10を吊り上げるための吊り金具(不図示)が設けられる。このため、トランジションピース11は、吊り金具を配置可能な程度の余裕を確保することが好ましい。
本実施形態では、上述のように定まるトランジションピース11の形状又は材質を共通にすることで、トランジションピース11の設計及び製造の効率を向上させることが好ましい。
【0049】
第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10BのそれぞれのタワーTの長さは、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、洋上風車200のタワーTの長さは、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。
【0050】
本実施形態において、洋上風車200のタワーTの長さは、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、例えば、洋上風車200のタワーT上端には、洋上風車200のハブH、つまり洋上風車200のブレードの回転中心が位置する。洋上風車200のハブHは、洋上風力システム100において必要な風の強さを得られる高さを選択して配置される。これにより、洋上風車200おいてハブHを介してタワーTに伝達される力(例えば、転倒モーメント)の大きさが計算される。洋上風車200のタワーTの長さは、例えば、設定可能なタワーTの径及び板厚を考慮の上、タワーTに伝達される力に対応可能な程度となるように定められる。
更に、洋上風車200のタワーTの長さは、例えば、洋上風車200のブレードよりも長くすることで、ブレードが海面やジャケット構造体10と接触しないようにすることが好ましい。
本実施形態では、上述のように定まる洋上風車200のタワーTの長さを共通にすることで、洋上風車200のタワーTの設計及び製造の効率を向上させることが好ましい。
【0051】
第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれのスカートスリーブ14の形状又は材質は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、スカートスリーブ14の形状又は材質は、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。
【0052】
本実施形態において、スカートスリーブ14の形状又は材質は、例えば、次の点を考慮して定められる。すなわち、例えば、スカートスリーブ14の形状又は材質は、ジャケット構造体10のレグ12から付加される力(例えば、転倒モーメント)を杭15に伝達する際、スカートスリーブ14が十分な強度を有したものとなるように定められる。
本実施形態では、上述のように定まるスカートスリーブ14の形状又は材質を共通にすることで、スカートスリーブ14の設計及び製造の効率を向上させることが好ましい。
【0053】
(洋上風力システム100の設計方法)
次に、本実施形態に係る洋上風力システム100の設計方法について説明する。すなわち、同一のウインドファーム又は海域にそれぞれ設けられ且つ洋上風車200をそれぞれ支持する複数のジャケット構造体10を備える洋上風力システム100の設計方法について説明する。
【0054】
本実施形態において、洋上風力システム100の設計方法は、グルーピング工程と、長さ決定工程と、高さ算出工程と、距離計算工程と、判定工程と、杭径決定工程と、特定工程と、指定工程と、出力工程と、送信工程と、を備える。なお、以下の各工程において、第1グループジャケット構造体10Aを例に挙げて説明するが、同様の工程が第2グループジャケット構造体10Bにおいて同時に行われてもよい。
【0055】
グルーピング工程は、複数のジャケット構造体10のそれぞれを、複数のジャケット構造体10のそれぞれが設置されるサイトSのそれぞれの水深又は地盤条件に応じ、第1グループG1及び第2グループG2のいずれかにグルーピングする工程である。
長さ決定工程は、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10である第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通するタワーTの長さ、及び、前記第2グループG2に属する前記複数のジャケット構造体10である第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通するタワーTの長さ、を、所望の風速に基づき、決定する工程である。具体的には、まず、洋上風車200のブレードの回転中心であるハブHの位置を、所望の風速に基づき決定する。次に、ハブHからタワーTへ伝達される力に対して、強度上対応可能なタワーTの長さを決定する。
【0056】
高さ算出工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通する高さであって第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの高さを、長さ決定工程で決定される長さに基づき、算出する工程である。具体的には、まず、長さ決定工程において、洋上風車200のハブHの位置及び洋上風車200のタワーTの長さが決まることで、タワーTの下端の位置が決まる。これにトランジションピース11の位置を合わせることで、第1グループジャケット構造体10Aの上端の位置が決まる。次に、第1グループジャケット構造体10Aの下端であるスカートスリーブ14の位置は、水深によって決まる。これらによって、第1グループジャケット構造体10Aの高さが算出される。
【0057】
距離計算工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通する杭間距離15Dを、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれが設置されるサイトSの地盤条件と第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれが支持する洋上風車200の転倒モーメントとに基づき、計算する工程である。
サイトSの地盤条件とは、具体的には、例えば、地盤の硬さによって定まる杭15の根入れ長である。洋上風車200の転倒モーメントは、例えば、洋上風車200のハブHが配置された高さの風速と、洋上風車200のタワーTの長さと、によって計算される。距離計算工程では、これらを考慮の上、杭間距離15Dを決定する。
【0058】
判定工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループG2に属する複数のジャケット構造体10である第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の径及び杭15の根入れ長を、距離計算工程で計算される杭間距離15Dに基づき、判定する工程である。
杭径決定工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する杭15の径を、杭の支持力及び杭に発生する応力から決定する工程である。
【0059】
特定工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれのトランジションピース11の幅又はレグ12の傾斜角であって、第1グループジャケット構造体10A及び第2グループジャケット構造体10Bのトランジションピース11の幅又はレグ12の傾斜角を、レグ12の屈曲の度合いに基づき、特定する工程である。
レグ12の屈曲の度合いは、上述のように、例えば、トランジションピース11の幅と、杭間距離15Dと、上下方向におけるトランジションピース11とスカートスリーブ14との間の距離と、によって決定される。傾斜角は、上述のように決定されたレグ12の屈曲の度合いによって特定される。
【0060】
指定工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれのブレース13の配置であって、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通するブレース13の配置を、サイトSの海面の位置、ブレース13の段数、及び、ブレース13の角度に基づき、指定する工程である。
【0061】
出力工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれのレグ12の部分であってブレース13が接続される部分であるレグキャンLCの位置であって、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通するレグキャンLCの位置を、サイトSの海面の位置に基づき、出力する工程である。
【0062】
送信工程は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの剛性、減衰、及び、質量を表す行列であって、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの行列を、縮約して外部に送信する工程である。外部に送信された行列の情報は、例えば、洋上風車200のタワーTを設計する際に用いられる。
例えば、洋上風車200の設計で考慮する減衰は複数の要因に分解され、解析上での取り扱いが異なる。空気粘性による減衰は、洋上風車200の回転運動によって生じるものであるため、空力弾性解析(連成解析)の中で考慮される。復元解析の場合は、インターフェースロードの中にその影響が含まれている。海水粘性による減衰は、ジャケット構造体10では影響が小さいため、考慮しないことが多い。構造減衰や地盤減衰は、構造物の質量と剛性比例型の減衰(いわゆるレイリー減衰)として考慮することが多い。なお、地盤減衰を設定する際は、地盤調査を通じて取得した地点地層別の減衰定数に基づき設定することが望ましい。
以上の各工程によって、洋上風力システム100が設計される。
【0063】
なお、ジャケット構造体10を設計する際は、予め洋上風車200の供用期間中に故障が発生する回数などを設定しておくことが好ましい。また、ジャケット構造体10の輸送時及び施工時に発生する疲労損傷度も加算する必要があり、製作施工法を予め設定した上で、その疲労影響を評価することが好ましい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る洋上風力システム100によれば、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aの形状の一部である第1グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの間で共通する。これにより、第1グループG1に属する複数のジャケット構造体10である第1グループジャケット構造体10Aの設計を共通化することができる。よって、設計の効率を向上させることができる。
【0065】
ここで、洋上風力システム100が設けられるウインドファーム又は海域において、水深、波の高さ、地盤条件等の条件が変化することがある。
第2グループG2に属する第2グループジャケット構造体10Bの形状の一部である第2グループ特徴は、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。第1グループ特徴と第2グループ特徴とは、異なる。第1グループG1と第2グループG2とにグループ分けし、且つ、第1グループ特徴と第2グループ特徴とが異なるようにすることで、ウインドファーム又は海域における水深、波の高さ、地盤条件等の条件の変化に対応することができる。それぞれのグループにおいてジャケット構造体10の設計を共通化することで、設計の効率を向上させることができる。
【0066】
ここで、ジャケット構造体10の上端の位置は、例えば、洋上風車200のタワーTの下端の位置によって定まる。ジャケット構造体10の下端の位置は、例えば、ジャケット構造体10の下端部が接続される杭15の上端の位置であって、ジャケット構造体10の設置場所(サイトS)における水底面の位置、つまりサイトSの水深に基づく杭15の上端の位置によって定まる。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の高さを含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの高さは共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの高さは共通する。これにより、例えば、洋上風車200のタワーTの下端の位置と、サイトSの水深と、に合わせて、ジャケット構造体10における高さの設計を共通化することができる。なお、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれに対応するサイトSの水深は、厳密に同一である必要はない。複数のジャケット構造体10それぞれのサイトSの水深が多少異なっていても、これらジャケット構造体10を同一グループに所属させることで、グループの数を削減し、設計効率を向上させることができる。
【0067】
ここで、防食上の理由から、ジャケット構造体10において、鋼管格点部、つまり、レグ12とブレース13との交差点であるレグキャンLC及びブレース13同士の交差点であるブレースキャンBCは、海面付近に配置しないことが好ましい。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、のブレース13の配置を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのブレース13の配置は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのブレース13の配置は共通する。これにより、例えば、サイトSにおける海面の位置に合わせて、ジャケット構造体10におけるブレース13の配置の設計を共通化することができる。
【0068】
ここで、溶接作業性及び溶接品質の観点から、例えば、レグ12とブレース13とが成す角、及びブレース13同士が成す角は、30°以上とすることが好ましい。
また、例えば、ジャケット構造体10においてブレース13が上下方向に複数設けられている場合、例えば、各段のブレース13同士はおおよそ平行となるようにすることが好ましい。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴に係るブレース13の配置は、ブレース13の角度を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのブレース13の角度は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのブレース13の角度は共通する。これにより、例えば、レグ12とブレース13とが成す角、及びブレース13同士が成す角を30°以上とすることで、ジャケット構造体10における鋼管格点部の溶接作業性及び溶接品質を確保することができる。更に、例えば、各段のブレース13同士を平行にした場合は、ジャケット構造体10及び洋上風力システム100の美観を向上させることができる。
【0069】
ここで、上述のように、防食上の理由から、ジャケット構造体10において、鋼管格点部、つまり、レグ12とブレース13との交差点であるレグキャンLC及びブレース13同士の交差点であるブレースキャンBCは、海面付近に配置しないことが好ましい。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、レグキャンLCの位置を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10AのレグキャンLCの位置は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10BのレグキャンLCの位置は共通する。これにより、レグキャンLCの位置の要件に合わせて、ジャケット構造体10におけるレグキャンLCの位置の設計を共通化することができる。
【0070】
ここで、レグ12のうち、海面と重なる部位の周辺には、例えば、重防食塗装がされる。レグ12のうち、水中に位置する部位には、例えば、電気防食が施される。このとき、重防食塗装がされる部位と電気防食がされる部位との境目が設けられる海面付近(具体的には、LWLから1.0m下側)にレグキャンLCが位置すると、重防食塗装の境目が複雑な形状となり、塗装の作業性が課題となる。
レグキャンLCのうち、LWL(Low Water Level、朔望平均干潮面)から1.0m下側の高さと重なるものの数は、LWLから1.0m下側の高さと重ならないものの数より、小さい。このように、レグキャンLCのうち、LWLから1.0m下側の高さに重なるものの数を抑えることで、前述した重防食塗装の作業性についての課題が発生することを抑えることができる。したがって、防食処理の作業性を向上させることができる。
【0071】
また、レグキャンLCがLWLから1.0m下側の高さと重なる第1グループジャケット構造体10Aは、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aの50%以下である。このように、一定の基準を設けてレグキャンLCがLWLから1.0m下側の高さと重なることを容認することで、ジャケット構造体10のグルーピングを容易にすることができる。
【0072】
ここで、杭15は、ジャケット構造体10が設置されるサイトSにおいて、海底地盤とジャケット構造体10のレグ12とを接続する部材である。杭15の本数は、例えば、洋上風車200の転倒モーメント等によって杭15に発生する軸力と、地盤の硬さや杭15の根入れ長等をはじめとする地盤条件及び施工条件との関係から決定される。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の本数を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭15の本数は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭15の本数は共通する。これにより、ジャケット構造体10において、杭15に発生する軸力と、地盤条件及び施工条件との関係から求められる要件に合わせて、ジャケット構造体10における杭15の本数の設計を共通化することができる。
【0073】
ここで、杭15の径は、例えば、洋上風車200の転倒モーメント等によって杭15に発生する軸力と、洋上風車200のサイトSにおいて設定可能な杭15の間の距離(杭間距離15D)と、に基づき決定される。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の径を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭15の径は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭15の径は共通する。これにより、ジャケット構造体10において、杭15に発生する軸力と、杭間距離15Dと、から求められる要件に合わせて、ジャケット構造体10における杭15の径の設計を共通化することができる。
【0074】
ここで、例えば、ジャケット構造体10における杭15の間の距離(杭間距離15D)が大きいと、杭15の1つに発生する軸力は小さくなる。杭間距離15Dが小さいと、ジャケット構造体10がコンパクトになることから、経済性が向上する。このため、杭間距離15Dは、ジャケット構造体10が設置されるサイトSの地盤条件や施工条件を勘案して決定される。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、の杭15の間の距離を含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aの杭15の間の距離は共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bの杭15の間の距離は共通する。これにより、ジャケット構造体10が設置されるサイトSの地盤条件や施工条件の要件に合わせて、ジャケット構造体10における杭間距離15Dの設計を共通化することができる。
【0075】
ここで、ジャケット構造体10の上部に配置され、レグ12と洋上風車200のタワーTとを接続するトランジションピース11の幅は、ジャケット構造体10における杭間距離15Dよりも小さいことがある。この場合は、レグ12が屈曲又は湾曲することで、トランジションピース11の幅と杭間距離15Dとの差に対応する。
第1グループ特徴及び第2グループ特徴は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれ、のレグ12の屈曲又は湾曲の度合いを含む。つまり、第1グループG1において、第1グループジャケット構造体10Aのレグ12の屈曲又は湾曲の度合いは共通する。第2グループG2において、第2グループジャケット構造体10Bのレグ12の屈曲又は湾曲の度合いは共通する。これにより、例えば、第1グループG1の第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ、及び、第2グループG2の第2グループジャケット構造体10Bにおいて、共通のトランジションピース11を用いることができる。
【0076】
また、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれのトランジションピース11の形状又は材質は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、トランジションピース11の形状又は材質は、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。これにより、例えば、トランジションピース11の設計及び製造の手間を削減することができる。
【0077】
また、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10BのそれぞれのタワーTの長さは、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、洋上風車200のタワーTの長さは、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。これにより、例えば、洋上風車200のタワーTの設計及び製造の手間を削減することができる。
【0078】
また、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれのスカートスリーブ14の形状又は材質は、第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれ及び第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの間で共通する。つまり、スカートスリーブ14の形状又は材質は、洋上風力システム100の備える全てのジャケット構造体10において共通する。これにより、例えば、スカートスリーブ14の設計及び製造の手間を削減することができる。
【0079】
また、複数のジャケット構造体10のそれぞれは、複数のジャケット構造体10のそれぞれが設置されるサイトSのそれぞれの水深、波の高さ、又は、地盤条件に応じ、第1グループG1及び第2グループG2のいずれかに属する。上述のように、第1グループG1に属する複数の第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれの形状の一部である第1グループ特徴は共通する。第2グループG2に属する複数の第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれの形状の一部である第2グループ特徴は共通する。ジャケット構造体10のそれぞれが設置されるサイトSの水深、波の高さ、又は、地盤条件に応じ、ジャケット構造体10をグループ分けすることで、ジャケット構造体10の設計を効率的に共通化することができる。よって、ジャケット構造体10の設計及び製作時の費用や工程を低減することができる。
【0080】
また、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aの1つが設置されるサイトSの水深を基準水深として、基準水深との差が±3m以内の水深のサイトSに設置されるジャケット構造体10は、第1グループG1に属する。つまり、複数のジャケット構造体10をサイトSの水深によってグルーピングする場合、水深が基準から±3m以内のものを共通化する。このように、共通化する水深の範囲を適宜設けることで、ジャケット構造体10のグルーピングを容易にすることができる。
【0081】
また、複数のジャケット構造体10のそれぞれを、複数のジャケット構造体10のそれぞれが設置されるサイトSのそれぞれの水深又は地盤条件に応じ、第1グループG1及び第2グループG2のいずれかにグルーピングするグルーピング工程を備える。その他の各工程は、例えば、第1グループG1に属する第1グループジャケット構造体10Aのそれぞれについて行われる。例えば、第2グループG2に属する第2グループジャケット構造体10Bのそれぞれについて行われてもよい。このように、予め第1グループG1や第2グループG2にジャケット構造体10をグループ分けしてから設計をすることで、複数のジャケット構造体10の設計を効率的に共通化することができる。よって、例えば、洋上風力システム100の設計の効率を向上させることができる。
【0082】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、グルーピング工程においてグループ分けされたジャケット構造体10について、グルーピング工程以降の工程において属するグループを変更してもよい。
例えば、ジャケット構造体10において、1つのレグ12に対して1つの杭15のみを接続する場合は、スカートスリーブ14を用いなくてもよい。例えば、第1グループジャケット構造体10Aにはスカートスリーブ14を用いて、第2グループジャケット構造体10Bにはスカートスリーブ14を用いなくてもよい。
例えば、第1グループG1、第2グループG2に限らず、第3グループ以上の複数のグループを設けてもよい。
また、杭間距離15Dは、例えば、ジャケット構造体10をサイトSに運搬する台船の大きさに基づいて決定されても良い。
【0083】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 ジャケット構造体
10A 第1グループジャケット構造体
10B 第2グループジャケット構造体
11 トランジションピース
11a 上側板
11b センターパイプ
11c 下側板
11d 補強板
12 レグ
13 ブレース
13a 第1ブレース
13b 第2ブレース
13c 水平ブレース
14 スカートスリーブ
14a 上フランジ
14b 下フランジ
14c ウェブ
14d スリーブ
15 杭
15D 杭間距離
100 洋上風力システム
200 洋上風車
BC ブレースキャン
BS ブレーススタブ
G1 第1グループ
G2 第2グループ
H ハブ
H1 レグ貫通孔
H2 スリーブ貫通孔
LC レグキャン
S サイト
T タワー