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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102856
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ガラス繊維梱包体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 63/02 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B65B63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086969
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保田 皓是
(72)【発明者】
【氏名】西堀 真治
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA13
3E056CA01
3E056CA15
3E056DA05
3E056FG01
(57)【要約】
【課題】高品質なガラス繊維の圧縮梱包を実現することができる、ガラス繊維梱包体の製造方法を提供する。
【解決手段】パルプ紙22からなる層と合成繊維クロス24からなる層とを有する基材21によって構成された袋体2にガラス繊維3を詰め込み、ガラス繊維詰込み体4を得る詰込み工程S01と、複数のガラス繊維詰込み体4をパレット5上に載置する載置工程S02と、パレット5上に載置された複数のガラス繊維詰込み体4に対して、上方から圧縮力を加える圧縮工程S03とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ紙からなる層と合成繊維クロスからなる層とを有する基材によって構成された袋体にガラス繊維を詰め込み、ガラス繊維詰込み体を得る詰込み工程と、
複数の前記ガラス繊維詰込み体をパレット上に載置する載置工程と、
前記パレット上に載置された複数の前記ガラス繊維詰込み体に対して、上方から圧縮力を加える圧縮工程と
を備える、
ことを特徴とするガラス繊維梱包体の製造方法。
【請求項2】
前記袋体において、
前記パルプ紙の坪量は、50g/m以上、150g/m以下である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス繊維梱包体の製造方法。
【請求項3】
前記袋体において、
前記合成樹脂クロスの打込み本数は、3×4本/インチ以上、14×14本/インチ以下である、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラス繊維梱包体の製造方法。
【請求項4】
前記袋体において、
JIS P8113(2006)に準拠して測定された前記基材の引張強さは、3.5kN/m以上であり、且つ
JIS P8113(2006)に準拠して測定された前記基材の引張破断伸びは、2.0%以上、40%以下である、
ことを特徴とする、請求項1~請求項3の何れか一項に記載のガラス繊維梱包体の製造方法。
【請求項5】
前記袋体は、矩形状に形成され、
外縁を構成する4辺のうち、少なくとも1辺はミシン縫いによる縫製部によって構成されており、
JIS Z0215(1996)に準拠して測定された前記縫製部の縫い目強さは、0.7kN以上である、
ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか一項に記載のガラス繊維梱包体の製造方法。
【請求項6】
前記ガラス繊維の比重は、0.01g/cm以上、0.6g/cm以下である、
ことを特徴とする、請求項1~請求項5の何れか一項に記載のガラス繊維梱包体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維梱包体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造された製品を圧縮して梱包する、圧縮梱包の形態が知られている(例えば、「特許文献1」を参照)。
例えば、ガラス繊維の製造工場においては、製造されたガラス繊維を袋体に詰め込んで梱包する場合、ガラス繊維を詰め込んだ袋体(以下、「ガラス繊維詰込み体」と記載する)が嵩張ることから、当該ガラス繊維詰込み体を圧縮した後に梱包される。
【0003】
また、製品を詰め込む袋体としては、例えば、ポリエチレン樹脂等の樹脂製部材からなる袋体(以下、「樹脂製袋体」と記載する)や、クラフト紙等のようなパルプ紙からなる袋体(以下、「パルプ製袋体」と記載する)などが、一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-171455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮梱包に用いられる袋体については、以下に示す4項目の特性を有していることが望ましい。
先ず始めに、第1の特性として、ガラス繊維詰込み体の圧縮時、或いは、梱包後の出荷先への輸送時や、出荷先での取扱い時などにおいて、不意な袋体の破損防止を目的として、袋体は、十分な引張強度を有していることが望ましい。
また、第2の特性として、ガラス繊維詰込み体を圧縮する圧縮機にかかる負荷の低減を目的として、ガラス繊維詰込み体を所定の外形サイズにまで圧縮するのに必要な圧縮力が過大になり過ぎないように、袋体は、比較的抵抗なく容易に圧縮可能な程度に、十分な柔軟性を有していることが望ましい。
また、第3の特性として、例えば、梱包後の所定場所での保管時、或いは梱包後の出荷先への輸送時において、段積みされた複数のガラス繊維詰込み体の荷崩れ防止を目的として、袋体は、圧縮後の時間経過に伴う伸びを抑制するために、延性が十分に小さいことが望ましい。
さらに、第4の特性として、ガラス繊維詰込み体の圧縮作業にかかる時間の短縮化を目的として、袋体は、内部に残留する空気が直ちに外部に抜けるように、十分な通気性を有することが望ましい。
【0006】
このような4項目の特性を全て併せ持つことは、前述した樹脂製袋体やパルプ製袋体にとっては非常に困難である。
樹脂製袋体は、比較的十分な引張強度を有し、且つ柔軟性にも優れた樹脂製部材からなるため、上記の第1の特性、及び第2の特性は有し得る。
しかしながら、樹脂製部材は一般的に、柔らかく延性が大きいことから、例えば、梱包後の所定場所での保管時、或いは梱包後の出荷先への輸送時において、段積みされた複数のガラス繊維詰込み体の荷姿を、長期間に亘って維持することが難しく、樹脂製袋体が上記の第3の特性を有することは困難である。
また、樹脂製部材は一般的に、通気性に乏しいことから、ガラス繊維詰込み体の圧縮作業を行う際、内部に残留する空気が外部に抜けず、袋体が破れる虞もあり、樹脂製袋体が上記の第4の特性を有することは困難である。
【0007】
一方、パルプ製袋体は、比較的十分な引張強度を有し、且つ延性が小さいうえに、通気性に優れたパルプ紙からなるため、上記の第1の特性、第3の特性、及び第4の特性は有し得る。
しかしながら、パルプ紙は一般的に、剛性が高く柔軟性に乏しいことから、ガラス繊維詰込み体を所定の外形サイズにまで圧縮する際の抵抗が比較的大きく、圧縮機にかかる負荷が過大となり、所望の嵩になるまで圧縮できない虞がある。仮に、パルプ紙の厚みを小さくすることにより、第2の特性を有するようにすることは可能であるものの、その代わりに第1の特性が大きく低下する。
このように、上記の4個の特性を同時に満たす技術は、未だ存在していない。
【0008】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、高品質なガラス繊維の圧縮梱包を実現することができる、ガラス繊維梱包体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法は、パルプ紙からなる層と合成繊維クロスからなる層とを有する基材によって構成された袋体にガラス繊維を詰め込み、ガラス繊維詰込み体を得る詰込み工程と、複数の前記ガラス繊維詰込み体をパレット上に載置する載置工程と、前記パレット上に載置された複数の前記ガラス繊維詰込み体に対して、上方から圧縮力を加える圧縮工程とを備えることを特徴とする。
このように、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法においては、パルプ紙からなる層、及び合成樹脂クロスからなる層の双方を併せ持つ基材からなる袋体を用いて、ガラス繊維の圧縮梱包を行うことから、従来のようなパルプ紙のみからなる袋体に見られる欠点を、樹脂製部材である合成樹脂クロスによって補うことができ、より高品質なガラス繊維の圧縮梱包を実現することができる。
【0011】
また、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法においては、前記袋体において、前記パルプ紙の坪量が、50g/m以上、150g/m以下であることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば圧縮工程において、ガラス繊維詰込み体に圧縮力を加えた際に、袋体が破損することなく、当該ガラス繊維詰込み体を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる。
【0012】
また、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法においては、前記袋体において、前記合成樹脂クロスの打込み本数が、3×4本/インチ以上、14×14本/インチ以下であることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば圧縮工程において、ガラス繊維詰込み体に圧縮力を加えた際、合成樹脂クロス自身が破損することも少なく、上述したようなパルプ紙に見られる欠点を、合成樹脂クロスによって十分に補うことが可能である。
また、合成樹脂クロスを介して、袋体の内部に残留する空気を容易に外部に排出することができることから、当該ガラス繊維詰込み体を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる。
【0013】
また、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法においては、前記袋体において、JIS P8113(2006)に準拠して測定された前記基材の引張強さが、3.5kN/m以上であり、且つJIS P8113(2006)に準拠して測定された前記基材の引張破断伸びが、2.0%以上、40%以下であることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、ガラス繊維詰込み体に圧縮力を加えた際に、袋体が破損することなく十分に圧縮させることができるとともに、圧縮工程の終了後における保管状態、或いは搬送途中の状態にあるガラス繊維梱包体の荷崩れを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法において、前記袋体は、矩形状に形成され、外縁を構成する4辺のうち、少なくとも1辺がミシン縫いによる縫製部によって構成されており、JIS Z0215(1996)に準拠して測定された前記縫製部の縫い目強さが、0.7kN以上であることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、ガラス繊維詰込み体に圧縮力を加えた際に、縫製部を介して、袋体の内部に残留する空気を容易に外部に排出することができ、当該ガラス繊維詰込み体を所望の嵩にまで容易に圧縮させることができる。
また、上記縫製部の縫い目強さが0.7kN以上に設定されることから、ガラス繊維詰込み体に圧縮力を加えた際に、袋体が縫製部から破損することなく、当該ガラス繊維詰込み体を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる。
【0015】
また、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法においては、前記ガラス繊維の比重が、0.01g/cm以上、0.6g/cm以下であることが好ましい。
本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法によれば、このような比重のガラス繊維に対して、より高品質なガラス繊維の圧縮梱包を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法によれば、高品質なガラス繊維の圧縮梱包を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法の一実施形態である、梱包体製造工程の手順を経時的に示した工程図である。
図2】梱包体製造工程における各工程の内容を説明するための図であって、(a)は詰込み工程の実行中の状態を示した模式図であり、(b)は載置工程の実行中の状態を示した模式図である。
図3】梱包体製造工程における各工程の内容を説明するための図であって、(a)は圧縮工程の実行直前の状態を示した模式図であり、(b)は圧縮工程の実行中の状態を示した模式図であり、(c)は梱包工程の実行直後の状態を示した模式図である。
図4】本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法に用いられる袋体の一実施形態であって、内容物が詰め込まれた状態の袋体の全体的な構成を示した斜視図である。
図5図4における袋体を構成する基材の層構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、図1乃至図5を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図4中に示した矢印の方向によって、袋体2の上下方向、及び左右方向を規定して記述する。
【0019】
[ガラス繊維梱包体1の製造方法]
先ず、本実施形態によって具現化される、ガラス繊維梱包体1の製造方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0020】
本実施形態におけるガラス繊維梱包体1の製造方法は、袋体2に詰め込まれたガラス繊維3を圧縮梱包するための方法であって、図1に示すように、主に経時的に順に実施される詰込み工程S01、載置工程S02、圧縮工程S03、及び梱包工程S04等を備える。
【0021】
ここで、圧縮梱包の対象物であるガラス繊維3は、例えば本実施形態においては、長尺のガラスストランドを約6mm~25mm程度の長さに切断することによって得られる、ガラスチョップドストランド等のガラス繊維製品であって、袋体2に詰め込まれて充填された状態において、その比重が、0.01g/cm以上、0.6g/cm以下に設定されている。
このような比重のガラス繊維3に対して、本実施形態におけるガラス繊維梱包体1の製造方法によれば、より高品質なガラス繊維3の圧縮梱包を実現することができる。
【0022】
なお、ガラス繊維3の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、0.01g/cm以上、0.6g/cm以下の比重となるように、袋体2に充填することが可能である限りにおいて、例えば、長尺のガラス繊維やガラスウールなど、何れのような構成であってもよい。
【0023】
詰込み工程S01は、所定分量のガラス繊維3を袋体2に詰め込み、ガラス繊維詰込み体4を得る工程である。
具体的には、図2(a)に示すように、例えば、袋体2は、上部を開口させた状態で所定位置に配置されており、製造されたガラス繊維3が、当該袋体2に詰め込まれる。
そして、袋体2に詰め込まれたガラス繊維3の分量が所定分量に到達すると、当該袋体2の開口部2aは封止され、ガラス繊維詰込み体4が形成される。
なお、袋体2の詳細な構成については、後述する。
【0024】
載置工程S02は、詰込み工程S01によって順次形成された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・を、パレット5上に積み重ねて載置する工程である。
具体的には、図2(b)に示すように、圧縮機6の所定位置(後述する圧縮空間部Q)において、平面視矩形状のパレット5が水平状に配置され、その後、当該パレット5上に、複数のガラス詰込み体4・4・・・が、所定の複数列且つ複数段(例えば、本実施形態においては、3列且つ6段)となるまで、順に積上げられて載置される。
【0025】
ここで、圧縮機6は、後述する圧縮工程S03を実行するための装置であって、例えば本実施形態においては、パレット5の周縁に沿って立設する4枚(図2(b)においては、断面図であるため、3枚のみ記載)の規制壁61・61・61・61と、これらの規制壁61・61・61・61によって囲まれた圧縮空間部Qの直上において、上下方向に移動(昇降移動)可能に設けられる圧縮板62とを備える。
【0026】
そして、圧縮空間部Q内において、パレット5が水平状に配置された後、複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・は、規制壁61・61・61・61によって荷姿を規制されつつ、パレット5上に順次載置される。
なお、図3(a)に示すように、パレット5上に載置される複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・の個数については、積上げられた複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・の高さ寸法(以下、「圧縮前高さ寸法H1」と記載する)が、規制壁61の高さ寸法(より具体的には、パレット5の高さ寸法Haを除いた高さ寸法Hb)を超えないように設定されている(H1<Hb)。
【0027】
圧縮工程S03は、載置工程S02によってパレット5上に載置された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・に対して、上方から圧縮力を加える工程である。
具体的には、図3(b)に示すように、圧縮機6において、圧縮板62が所定位置まで下降することにより、パレット5上に載置された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・には、複数の規制壁61・61・61・61によって荷姿を規制されつつ、所定の圧縮力が加えられる。
その結果、複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・は、その高さ寸法(以下、「圧縮後高さ寸法H2」と記載する)が、圧縮前高さ寸法H1に比べて低い所定の高さ寸法となるように(H1>H2)、上下方向に圧縮される。
【0028】
梱包工程S04は、圧縮工程S03によって圧縮された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・を、パレット5とともに拘束し、ガラス繊維梱包体1を得る工程である。
具体的には、例えば、圧縮工程S03が終了し、圧縮板62が、上述した圧縮空間部Qの直上の所定位置に復帰した後、圧縮された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・は、パレット5とともに圧縮機6から搬出される。
そして、図3(c)に示すように、複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・の上面に天板7が配置され、その後、これら複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・は、当該天板7とともに、帯状の結束材8によってパレット5に結束された後、シュリンクフィルム等からなる被覆部材9によってパレット5に拘束される。
これにより、圧縮梱包された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・を備える、ガラス繊維梱包体1が構築される。
【0029】
[袋体2の構成]
次に、袋体2の構成について、図4及び図5用いて詳細に説明する。
図4において、本実施形態における袋体2は、例えば、シート状の基材21を円筒状に丸め、互いに重ね合せた端部同士を接合するとともに、上下方向の両端に位置する一対の開口端のうち、何れか一方の開口端(本実施形態においては、下方の開口端)をミシン縫いによって封止して縫製部2bとし、且つ何れか他方の開口端(本実施形態においては、上方の開口端)を開放された開口部2aとして維持した、矩形状の袋体として形成される。
【0030】
そして、前述したように、袋体2は、開口部2aを介して所定分量のガラス繊維3を内部に詰め込まれた後、当該開口部2aが封止され、ガラス繊維詰込み体4を形成する。
【0031】
ここで、開口部2aの封止方法については、縫製部2bと同じく、ミシン縫いによって封止することとしてもよく、或いは、ヒートシール或いは糊付け等によって封止することとしてもよい。
但し、ヒートシール等によって接合する場合においては、圧縮梱包時における袋体2の破損等を防止するために、 JIS Z0238(1998)に準拠して測定されたシール強度が、0.8N/15mm以上であることが好ましい。
【0032】
このように、本実施形態における袋体2は、矩形状に形成され、外縁を構成する4辺のうち、少なくとも1辺(本実施形態においては、下辺)は、ミシン縫いによる縫製部2bによって構成されている。
そして、上記縫製部2bにおける、JIS Z0215(1996)に準拠して測定された縫い目強さは、0.7kN以上となるように設定されている。
【0033】
このような構成を有することにより、本実施形態における袋体2によれば、例えば、前述した圧縮工程S03(図1を参照)において、ガラス繊維詰込み体4(図2(a)を参照)を圧縮させる際、少なくとも縫製部2bを介して、袋体2の内部に残留する空気を容易に外部に排出することができ、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで容易に圧縮させることができる。
また、上記縫製部2bの縫い目強さが0.7kN以上に設定されることから、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、袋体2が縫製部2bから破損することなく、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる。
【0034】
なお、縫製部2bにおけるミシン縫いに用いられる糸の種類については、特に限定されず、何れのものであってもよい。
また、シート状の基材21において、重ね合せた端部同士を接合する際の接合方法についても、特に限定されることはなく、例えば、縫製部2bと同じくミシン縫いによる接合方法や、ヒートシールまたは糊付け等による接合方法など、何れのものであってもよい。
但し、この場合においても、ヒートシール等による接合方法を採用する場合には、JIS Z0238(1998)に準拠して測定されたシール強度が、0.8N/15mm以上であることが好ましい。
【0035】
図5に示すように、基材21は、主に、厚み方向に順に積層される、パルプ紙22、ラミネート樹脂23、及び合成樹脂クロス24等を有する。
また、基材21は、合成樹脂クロス24が内側となるように円筒状に丸められ、矩形状の袋体2に形成される。
【0036】
ここで、例えば、袋体2を構成する基材21の引張強さが3.5kN/m未満である場合、当該基材21は、十分な引張強度を有することができず、所定の剛性を確保することが困難であることから、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、袋体2が破損する可能性が高くなる。
【0037】
一方、圧縮工程S03の終了後、製造されたガラス繊維梱包体1は、所定の保管場所に保管され、或いは所定の搬送先へと搬送されるが、例えば、このような保管状態、或いは搬送途中の状態におけるガラス繊維梱包体1に対して、不意に外部から衝撃が加えられると、袋体2を構成する基材21の引張破断伸びが2.0%未満である場合には、加えられた衝撃によって一部の袋体2が破損し易く、また当該引張破断伸びが40%を超える場合には、加えられた衝撃によって袋体2が変形し易いことから、何れの場合においても、製造されたガラス繊維梱包体1の荷崩れを引き起こす可能性が高い。
【0038】
このようなことから、本実施形態においては、袋体2を構成する基材21の引張強さが、JIS P8113(2006)に準拠した測定にて3.5kN/m以上となり、且つ当該基材21の引張破断伸びが、JIS P8113(2006)に準拠した測定にて2.0%以上、40%以下となるように設定されており、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、袋体2が破損することなく十分に圧縮させることができるとともに、圧縮工程S03の終了後における保管状態、或いは搬送途中の状態にあるガラス繊維梱包体1の荷崩れを防止可能な構成となっている。
【0039】
パルプ紙22は、袋体2の最外層側に位置し、袋体2に対して十分な引張強度や通気性を付与するとともに、当該袋体2の延性を抑制する部材である。
【0040】
ここで、例えば、パルプ紙22の坪量が50g/m未満である場合、当該パルプ紙22は、十分な引張強度を有することができず、所定の剛性を確保することが困難であることから、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、袋体2が破損する可能性が高くなる。
【0041】
一方、例えば、パルプ紙22の坪量が150g/mを超える場合、当該パルプ紙22は、必要以上の引張強度を有することとなり、所定の剛性に比べて過大な剛性を有することから、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えたとしても、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで十分に圧縮させることが困難である。
【0042】
このようなことから、本実施形態においては、パルプ紙22の坪量が50g/m以上、150g/m以下となるように設定されており、上述したような、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、袋体2が破損することなく、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる構成となっている。
【0043】
ラミネート樹脂23は、パルプ紙22と合成樹脂クロス24との間に介在し、これら両部材22・24を接着する部材である。
ラミネート樹脂23としては、例えば、本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が用いられる。
【0044】
直鎖状低密度ポリエチレンについては、エチレンの単独重合体、或いはエチレンと他のα-オレフィンの共重合体が用いられるが、これに限定されることはなく、例えば、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等を用いることとしてもよい。
【0045】
また、直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン系触媒等の所謂シングルサイト触媒で製造されたものであってもよく、或いは、マグネシウム担体等を使用するチーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものであってもよい。
なお、これらの直鎖状低密度ポリエチレンは、市販品として入手することができる。
【0046】
なお、ラミネート樹脂23は、パルプ紙22全体に付着している必要はなく、例えば、パルプ紙22に対して線状または点状に配置されていてもよい。
このように配置することで、袋体2の内部に残留する空気が、容易に外部に抜けるようになる。
【0047】
合成樹脂クロス24は、袋体2の最内層側に位置し、パルプ紙22の欠点を補い、当該袋体2に対して十分な引張強度と柔軟性を付与する部材である。
パルプ紙22の厚みが厚いと、剛性が高く柔軟性に乏しくなる一方、厚みが薄いと引張強度が低く破れやすい。
合成樹脂クロス24は、適度な引張強度を有するとともに、柔軟性に優れるため、合成樹脂クロス24と、適切な厚みのパルプ紙22とを組み合わせて使用することで、柔軟性を有しつつ、十分な引張強度を有する袋体2を得ることができる。
【0048】
合成樹脂クロス24は、図4に示すように、経糸に緯糸を交互に組み合わせる製織工程を経て製造された、複数本の帯状体24a・24a・・・からなる樹脂製の布状部材であり、各帯状体24aには、比較的延伸効果の大きい樹脂、一般的には、結晶性樹脂が使用される。
【0049】
具体的には、各帯状体24aを形成する部材としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、アクリルニトリル、ビニロン等を用いることができる。
中でも、加工性や経済性に優れた高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系重合体が好ましく、高密度ポリエチレンがより好ましい。
【0050】
各帯状体24aは、上記のような樹脂製部材からなるシート状のフィルムを、所定の幅に切断することによって得られる、帯状のフラットヤーンの形態を有することが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、フラットヤーンを開繊することによって得られるスプリットヤーンの形態など、何れの形態であってもよい。
なお、各帯状体24aは、一軸延伸加工されているものが好ましい。
【0051】
上記の樹脂製部材には、無機充填材を添加することができる。
無機充填材としては、熱可塑性樹脂添加材として公知のものを使用することができ、例えば、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ウオラストナイト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を使用することができる。
なお、無機充填材の配合量は、通常、1~40重量%であり、好ましくは3~30重量%である。
【0052】
また、上記の樹脂製部材には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができ、例えば、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤、帯電防止剤、ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤、アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤、アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤、ヒドラジン系、アミンアシド系等の金属不活性剤、含臭素有機系、リン酸系等の難燃剤、有機顔料、無機顔料、金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等を添加することができる。
【0053】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、上記の樹脂製部材の製造工程にて配合される。
添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを調製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0054】
各帯状体24aの形態がフラットヤーンである場合、その幅は、0.3~200mmの範囲内に設定されることが好ましく、1~100mmの範囲内に設定されることがより好ましい。
また、各帯状体24aの厚みは、5~500μmの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0055】
一方、各帯状体24aの形態がスプリットヤーンの形態である場合、その太さについては特に制限されることはなく、目的に応じて任意に設定することが可能であるが、500~10000dtの範囲内に設定されることが好ましく、700~5000dtの範囲内に設定されることがより好ましい。
【0056】
このような構成からなる複数の帯状体21a・21a・・・が、互いに交差しつつ平織にされることにより、合成樹脂クロス24が形成される。
【0057】
なお、これら複数の帯状体21a・21a・・・の形成手法については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、綾織、斜文織、畦織、二重織、模紗織等の手法によって、合成樹脂クロス24が形成されることとしてもよく、或いは、タテ編み、ヨコ編み、ラッセル編み、トリコット編み等の手法によって、合成樹脂クロス24が形成されることとしてもよい。
【0058】
また、上記のような手法を用いることなく、例えば、複数の帯状体21a・21a・・・を並列に配置した後、当該複数の帯状体21a・21a・・・と交差する方向に、他の複数の帯状体21a・21a・・・を並列に重ねて配置し、その後、各々の交点を熱接合することによって、合成樹脂クロス24が形成されることとしてもよい。
【0059】
形成された合成樹脂クロス24において、例えば、その打込み本数が3×4本/インチ未満である場合、合成樹脂クロス24は、十分な引張強度を有することができず、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際に、合成樹脂クロス24自身が破損する可能性が高くなり、パルプ紙の欠点を、合成樹脂クロス24によって十分に補うことが困難である。
【0060】
一方、例えば、合成樹脂クロス24の打込み本数が14×14本/インチを超える場合、当該合成樹脂クロス24は、必要以上の引張強度を有することとなり、柔軟性を失い、過大な剛性を有するとともに、合成樹脂クロス24を介して、袋体2の内部に残留する空気が外部に排出され難くなることから、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えたとしても、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで十分に圧縮させることが困難である。
【0061】
このようなことから、本実施形態においては、袋体2を構成する合成樹脂クロス24の打込み本数が、3×4本/インチ以上、14×14本/インチ以下となるように設定されており、圧縮工程S03において、ガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えた際、合成樹脂クロス24自身が破損することも少なく、パルプ紙の欠点を、合成樹脂クロス24によって十分に補うことが可能であり、また、合成樹脂クロス24を介して、袋体2の内部に残留する空気を容易に外部に排出することができることから、当該ガラス繊維詰込み体4を所望の嵩にまで十分に圧縮させることができる。
【0062】
以上のような構成からなる袋体2を用いて、前述したガラス繊維梱包体1の製造方法が実施される。
即ち、本実施形態におけるガラス繊維梱包体1の製造方法は、少なくとも、パルプ紙22からなる層と、合成繊維クロス24からなる層とを有する基材21によって構成された袋体2にガラス繊維3を詰め込み、ガラス繊維詰込み体4を得る詰込み工程S01と、複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・をパレット5上に載置する載置工程S02と、パレット5上に載置された複数のガラス繊維詰込み体4・4・・・に対して、上方から圧縮力を加える圧縮工程S03とを備える。
【0063】
このように、本実施形態においては、パルプ紙22からなる層、及び合成樹脂クロス24からなる層の双方を併せ持つ基材21からなる袋体2を用いて、ガラス繊維3の圧縮梱包を行うことから、従来のようなパルプ紙22のみからなる袋体に見られる欠点を、樹脂製部材である合成樹脂クロス24によって補うことができ、より高品質なガラス繊維3の圧縮梱包を実現することができる。
【0064】
具体的には、パルプ紙22は一般的に、厚みが厚すぎると、引張強度が高く剛性が高いものの、柔軟性に乏しいため、パルプ紙22のみからなる袋体を用いてガラス繊維3の圧縮梱包を行う場合、パレット5上に積み重ねられたガラス繊維詰込み体4に圧縮力を加えても、所望の嵩にすることが困難であった。また、その一方で、パルプ紙22の厚みが薄すぎると、引張強度が低いために破れやすかった。
これに対して、本実施形態における袋体2は、剛性を有しつつ、柔軟性に優れた樹脂製部材である合成繊維クロス24と、パルプ紙22とにより構成されることから、パレット5上に積み重ねられたガラス繊維詰込み体4に加えられる圧縮力に応じて、合成樹脂クロス24が徐々に延伸することで、パルプ紙22が破断するのを回避でき、当該袋体2が破損するのを防止し、より高品質なガラス繊維3の圧縮梱包を実現することができる。
【0065】
また、合成樹脂クロス24を用いて袋体2に柔軟性を持たせることで、パルプ紙22のみからなる袋体の場合と比べて、ガラス繊維詰込み体4に加えられる圧縮力を低く設定することができる。
【0066】
[実施例]
次に、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法において、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0067】
先ず始めに、本発明の実施形態のサンプルとして、実施例1の袋体を用意し、当該実施例1の比較対象として、比較例1、2、3の袋体を各々用意した。
【0068】
実施例1の袋体については、坪量が75g/mのパルプ紙と、打込み本数が3×4本/インチのポリエチレン(PE)製のクロス紙からなる合成樹脂クロスとを、直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.922g/cm3、MFR11)からなるラミネート樹脂を介して接着して基材を形成し、当該基材を円筒状に丸め、互いに重ね合せた端部同士をヒートシールによって接合した後、一方の開口端をミシン縫いによって封止することにより、縦1m×横0.5mの袋体として作製することとした。
【0069】
一方、比較例1の袋体については、坪量が75g/mのパルプ紙を3層に積層させて基材を形成し、当該基材を円筒状に丸め、互いに重ね合せた端部同士をヒートシールによって接合した後、一方の開口端をミシン縫いによって封止することにより、縦1m×横0.5mの袋体として作製することとした。
【0070】
また、比較例2の袋体については、厚みが130μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる1枚の樹脂製部材を基材とし、当該基材を円筒状に丸め、互いに重ね合せた端部同士をヒートシールによって接合した後、一方の開口端を、同じくヒートシールによって封止することにより、縦1m×横0.5mの袋体として作製することとした。
【0071】
さらに、比較例3の袋体については、上記比較例2の袋体と同様に作製された袋体に対して、複数の貫通孔(孔径1mm)を略5cm間隔にて4列(合計80箇所)穿孔させたものを採用することとした。
【0072】
次に、上述したこれらの袋体に対して、25mmの長さのガラスチョップドストランドからなるガラス繊維を、各々20kg分だけ詰込み、所定個数(36個)のガラス詰込み体を、それぞれ形成した。
【0073】
実施例1の袋体を用いたガラス詰込み体においては、ガラス繊維を充填させた後、ヒートシールによって開口部を封止することとした。
つまり、実施例1の袋体については、ガラス繊維を充填させた状態において、一対の開口端のうち、一方の開口端をミシン縫いによって封止し、且つ他方の開口端をヒートシールによって封止することとした。
【0074】
一方、比較例1の袋体を用いたガラス詰込み体においては、ガラス繊維を充填させた後、ミシン縫いによって開口部を封止することとした。
つまり、比較例1の袋体については、ガラス繊維を充填させた状態において、一対の開口端のうち、両方の開口端をミシン縫いによって封止することとした。
【0075】
また、比較例2、及び比較例3の袋体を用いたガラス詰込み体においては、ガラス繊維を充填させた後、ヒートシールによって開口部を封止することとした。
つまり、比較例2、及び比較例3の袋体については、ガラス繊維を充填させた状態において、一対の開口端のうち、両方の開口端をヒートシールによって封止することとした。
【0076】
そして、形成された複数のガラス詰込み体を、袋体の種類ごとにパレット上に4列且つ9段に載置した後、載置された複数のガラス詰込み体に対して、上方から下方に向かって3tの圧縮力を均等に加えて圧縮し、その後、結束材等を用いてパレットに拘束して、各種類の袋体を用いたガラス梱包体をそれぞれ製造した。
【0077】
こうして製造された各々のガラス梱包体に対して、各袋体における破損の有無の確認、最終高さの評価、及び形状保持性の評価を行った。
【0078】
破損の有無の確認については、目視によって行い、袋体の破損個所が認められない場合には、良好を示す「無し」と判定する一方、例えば、開裂箇所や、詰め込まれたガラス繊維の一部が袋体を突き破って外部に飛び出た箇所などを認めた場合には、不良を示す「有り」と判定することとした。
【0079】
また、最終高さの評価については、パレット上に載置された圧縮前の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(図3(a)における圧縮前高さ寸法H1)が、袋体の種類に限らず155cmであるのを基準として、圧縮後の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(図3(b)における圧縮後高さ寸法H2)を測定し、その測定値が90cm未満の場合には、良好を示す「低い」と判定する一方、90cm以上の場合には、不良を示す「低い」と判定することとした。
【0080】
さらに、形状保持性の評価については、製造されたガラス梱包体を所定時間(168hr)放置して、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の荷姿を目視によって確認し、当該荷姿が保持されている場合には、良好を示す「〇」と判定する一方、少なくとも一部のガラス詰込み体がパレットの周囲に飛び出し、荷姿が崩れている場合には、不良を示す「×」と判定することとした。
【0081】
こうして得られた、実施例1、及び比較例1~3の各袋体を用いた、それぞれのガラス梱包体についての評価結果を、[表1]に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
[表1]に示すように、実施例1の袋体を用いたガラス梱包体において、各袋体における破損の有無の確認については、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の何れにも、袋体の破損が見られず、評価結果は良好を示す「無し」であった。
また、最終高さの評価については、圧縮後の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(圧縮後高さ寸法H2)の測定値が88cmであり、90cm未満であることから、評価結果は良好を示す「低い」であった。
さらに、形状保持性の評価については、所定時間(168hr)の経過後においても、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の荷姿は、安定して保持されており、評価結果は良好を示す「〇」であった。
【0084】
一方、比較例1の袋体を用いたガラス梱包体において、各袋体における破損の有無の確認については、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の何れにも、袋体の破損が見られず、評価結果は良好を示す「無し」であった。
【0085】
しかしながら、比較例1の袋体を用いたガラス梱包体において、最終高さの評価については、柔軟性に乏しいパルプ紙を基材とする袋体を用いているため、パレット上のガラス梱包体を十分に圧縮することができず、圧縮後の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(圧縮後高さ寸法H2)の測定値は96cmとなり、90cm以上であることから、評価結果は不良を示す「高い」であった。
なお、形状保持性の評価については、所定時間(168hr)の経過後においても、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の荷姿は、安定して保持されており、評価結果は良好を示す「〇」であった。
【0086】
比較例2の袋体を用いたガラス梱包体において、各袋体における破損の有無の確認については、既に、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体を圧縮する際に、樹脂製部材を基材とする袋体に破損が見られたため、評価結果は不良を示す「有り」となった。
なお、上記の通り、本比較例においては、袋体が破損したため、その他の最終高さの評価、及び形状保持性の評価を行うことが不可能であった。
【0087】
比較例3の袋体を用いたガラス梱包体において、各袋体における破損の有無の確認については、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体の何れにも、袋体の破損が見られず、評価結果は良好を示す「無し」であった。
比較例3の袋体が、比較例2と同じく樹脂製部材を基材とする袋体であるにも関わらず、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体を圧縮する際に、破損が見られないのは、袋体に設けられた複数の貫通孔を介して、内部に残留する空気を容易に外部に排出可能な構成によるものと思われる。
【0088】
また、比較例3の袋体を用いたガラス梱包体において、最終高さの評価については、圧縮後の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(圧縮後高さ寸法H2)の測定値が88cmであり、90cm未満であることから、評価結果は良好を示す「低い」であった。
【0089】
しかしながら、比較例3の袋体を用いたガラス梱包体において、形状保持性の評価については、柔軟性の高い樹脂製部材を基材とする袋体を用いているため、時間の経過に従い徐々に袋体が延伸され、パレット上に載置された複数のガラス詰込み体が当該パレットの側面(周囲)に飛び出し、所定時間(168hr)の経過後において、これら複数のガラス詰込み体の荷姿が崩れることから、評価結果は不良を示す「×」であった。
【0090】
以上の検証結果により、実施例1の袋体を用いて圧縮梱包されたガラス繊維梱包体によれば、各袋体における破損は見られず、また圧縮後の複数のガラス詰込み体の高さ寸法(圧縮後高さ寸法H2)も十分に確保することができ、さらに、長期間に亘ってパレット上に載置された複数のガラス詰込み体の荷姿の形状を保持可能であり、本発明に係るガラス繊維梱包体の製造方法の有効性を確認することができた。
【符号の説明】
【0091】
1 ガラス繊維梱包体
2 袋体
2b 縫製部
3 ガラス繊維
4 ガラス繊維詰込み体
5 パレット
21 基材
22 パルプ紙
24 合成繊維クロス
S01 詰込み工程
S02 載置工程
S03 圧縮工程
図1
図2
図3
図4
図5