(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102865
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240725BHJP
B65H 29/62 20060101ALI20240725BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240725BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240725BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G03G21/00 502
B65H29/62
B65H43/04
G03G15/00 460
B65H9/00 A
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006924
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長門 拡
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F048
3F053
3F102
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072CB02
2H270KA04
2H270KA09
2H270KA28
2H270KA32
2H270KA57
2H270KA59
2H270KA65
2H270LA19
2H270LA64
2H270LD03
2H270LD10
2H270MC67
2H270MF01
2H270MF08
2H270NC01
2H270PA42
2H270QA07
2H270QA13
2H270QA23
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA11
3F048BB04
3F048BB05
3F048BD04
3F048DA06
3F048DC11
3F053EA01
3F053EC06
3F053ED12
3F053ED19
3F053LA01
3F053LA15
3F053LB03
3F102AB01
3F102BA03
3F102EA02
3F102EB02
(57)【要約】
【課題】印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することが可能な画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像が形成された枚葉紙の画像面を読み取る読取部(画像読取部22)と、読取部に対して枚葉紙の搬送方向の下流側に配置され、枚葉紙の画像面をラミネート加工するラミネート加工部63と、読取部による読取結果に基づいて、画像の基準位置に対する位置ずれを判定する第1判定部(制御部21)と、読取部による読取結果に基づいて、枚葉紙のカール量及びカール方向を判定する第2判定部(制御部21)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された枚葉紙の画像面を読み取る読取部と、
前記読取部に対して前記枚葉紙の搬送方向の下流側に配置され、前記枚葉紙の画像面をラミネート加工するラミネート加工部と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記読取部による読取結果に基づいて、前記画像の基準位置に対する位置ずれを判定する第1判定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙の位置を変更可能な枚葉紙位置変更部と、
前記第1判定部により判定された位置ずれが第1の閾値を超えていた場合、前記枚葉紙位置変更部により前記枚葉紙の前記搬送方向に直交する方向の位置を変更させる枚葉紙位置制御部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記第1判定部は、さらに、前記枚葉紙に形成された画像の画像不良を検知し、
前記パージ制御部は、前記第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は前記第1判定部により前記画像不良が検知された場合、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記ラミネート加工部に対して前記搬送方向の下流側に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記第1判定部は、さらに、前記枚葉紙に形成された画像の画像不良を検知し、
前記パージ制御部は、前記第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は前記第1判定部により前記画像不良が検知された場合、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記読取部による読取結果に基づいて、前記枚葉紙のカール量及びカール方向を判定する第2判定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙のカールを矯正するデカール部を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記デカール部による前記枚葉紙のカール矯正力を制御する矯正制御部を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記ラミネート加工部のニップ部に前記枚葉紙を導入する可動ガイドと、
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記可動ガイドの前記ニップ部への前記枚葉紙の導入角度を制御するガイド制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記ラミネート加工部のニップ部を構成する搬送ローラー対と、
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記ニップ部のニップ点における接線と前記枚葉紙の先端との相対位置が変位するように前記搬送ローラー対を移動させる移動制御部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項11】
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記パージ制御部は、前記第2判定部により判定されたカール量が第3の閾値を超えていた場合に、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項12】
前記第2判定部により判定されたカール量が第4の閾値を超えていた場合に、前記枚葉紙の搬送を停止させる搬送制御部を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項13】
前記読取部に対して前記搬送方向の上流側に配置され、前記枚葉紙に画像を形成する画像形成部を備え、
前記読取部は、前記画像形成部により画像が形成された枚葉紙を読み取ることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像が形成された用紙(印刷物)に対して透明樹脂フィルムを被覆するラミネート加工を行うラミネート装置が知られている。
上記のラミネート装置によるラミネート加工を行うにあたり、連続紙に対してラミネートしたい部分の画像(ジョブ画像)に加えてラミネートされる範囲を示す目印画像を印字し、この目印画像を読取部で読み取ることで次ジョブにおいて想定位置でラミネートされるか否かを判断し、想定位置でラミネートされないと判断した場合に画像位置を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷後の用紙は、印刷時の条件や環境によりカールすることが知られている。カールした用紙をラミネート加工すると、ラミネート加工部でJAM(紙詰まり)や折れが発生したりラミネート加工された出力物にカールが付いたりするなど、出力物の品質低下が懸念される。一般に、ラミネートフィルムは高価であるため、ラミネート加工は、通常の印刷と比較してもカールに対してより注意が必要である。上記のこの問題に対応するために、専任者が時間を掛けて適正なカール領域に収まるよう、手動で調整を行っているのが現状である。
また、ラミネート加工で加工調整ミスが生じたり汚れの付いた用紙にラミネート加工したりすると、リカバリーや再ラミネートするためのフィルム分の無駄が生じてしまう。ラミネート加工ミスの要因としては、例えば、フィルムと用紙位置の不整合や画像不良のある用紙へのラミネート加工等が考えられる。この問題を未然に防ぐために、専任者による手動調整や目視検査を行っているのが現状である。
上記特許文献1記載の技術では、画像位置を調整することはできるが、目印画像を読取部で読み取る必要があるため、画像形成部との連携が必要である。また、目印画像を印字するため、印字処理に掛かる負荷が増大するうえ、出力物の品質を低下させてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することが可能な画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像処理システムにおいて、
画像が形成された枚葉紙の画像面を読み取る読取部と、
前記読取部に対して前記枚葉紙の搬送方向の下流側に配置され、前記枚葉紙の画像面をラミネート加工するラミネート加工部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部による読取結果に基づいて、前記画像の基準位置に対する位置ずれを判定する第1判定部を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙の位置を変更可能な枚葉紙位置変更部と、
前記第1判定部により判定された位置ずれが第1の閾値を超えていた場合、前記枚葉紙位置変更部により前記枚葉紙の前記搬送方向に直交する方向の位置を変更させる枚葉紙位置制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記第1判定部は、さらに、前記枚葉紙に形成された画像の画像不良を検知し、
前記パージ制御部は、前記第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は前記第1判定部により前記画像不良が検知された場合、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理システムにおいて、
前記ラミネート加工部に対して前記搬送方向の下流側に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記第1判定部は、さらに、前記枚葉紙に形成された画像の画像不良を検知し、
前記パージ制御部は、前記第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は前記第1判定部により前記画像不良が検知された場合、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部による読取結果に基づいて、前記枚葉紙のカール量及びカール方向を判定する第2判定部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙のカールを矯正するデカール部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像処理システムにおいて、
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記デカール部による前記枚葉紙のカール矯正力を制御する矯正制御部を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記ラミネート加工部のニップ部に前記枚葉紙を導入する可動ガイドと、
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記可動ガイドの前記ニップ部への前記枚葉紙の導入角度を制御するガイド制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記ラミネート加工部のニップ部を構成する搬送ローラー対と、
前記第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、前記ニップ部のニップ点における接線と前記枚葉紙の先端との相対位置が変位するように前記搬送ローラー対を移動させる移動制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部と前記ラミネート加工部との間に配置され、前記枚葉紙をパージ収容部にパージするパージ排紙部と、
前記パージ排紙部による前記枚葉紙のパージを制御するパージ制御部と、
を備え、
前記パージ制御部は、前記第2判定部により判定されたカール量が第3の閾値を超えていた場合に、前記パージ排紙部により前記枚葉紙を前記パージ収容部にパージさせることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記第2判定部により判定されたカール量が第4の閾値を超えていた場合に、前記枚葉紙の搬送を停止させる搬送制御部を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、
前記読取部に対して前記搬送方向の上流側に配置され、前記枚葉紙に画像を形成する画像形成部を備え、
前記読取部は、前記画像形成部により画像が形成された枚葉紙を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】カールに合わせて搬送ローラー対(ニップ部)を移動させた様子を示す図である。
【
図4】カールに合わせて可動ガイドを回動させた様子を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る画像処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係る画像処理システム1は、
図1に示すように、印刷データに基づいて枚葉紙である用紙に画像を形成する画像形成装置10と、画像形成装置10の後段に接続され、画像形成装置10(画像形成部13)により画像が形成された用紙の画像面を読み取る画像読取装置20と、画像読取装置20の後段に接続され、画像読取装置20により読み取られた用紙のカールを矯正する用紙矯正装置30と、用紙矯正装置30の後段に接続され、画像読取装置20により読み取られた用紙の位置を変更する用紙位置変更装置40と、用紙位置変更装置40の後段に接続され、用紙をパージトレイT2に排出(パージ)するパージ排紙装置50と、パージ排紙装置50の後段に接続され、画像形成装置10(画像形成部13)により画像が形成された用紙の画像面をラミネート加工するラミネート装置60と、を備えて構成されている。
【0023】
画像形成装置10は、
図1及び
図2に示すように、制御部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、記憶部14と、操作パネル15(表示部151、操作部152)と、搬送部16と、給紙部17と、通信部18と、を備えて構成されている。
【0024】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、操作部152から入力される操作信号、通信部18により受信される指示信号に応じて、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、画像形成装置10の動作を統括的に制御する。
【0025】
画像読取部12は、原稿台又は自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)に載置された原稿の画像を走査露光装置の光学系により走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。
【0026】
画像形成部13は、印刷データ(画像読取部12により読み取られた画像データ又は外部装置から受信した画像データ)に基づいて、電子写真方式により、用紙に対して画像形成を行う。つまり、画像形成部13は、用紙上にトナー画像を形成する。画像形成部13は、画像データの各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びKの4色からなる画像を用紙上に形成する。
画像形成部13は、
図1に示すように、4つの書込部131、中間転写ベルト132、2次転写ローラー133、定着部134等を備えて構成されている。
【0027】
4つの書込部131は、中間転写ベルト132のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、C、M、Y及びKの各色の画像を形成する。各書込部131は、形成する画像の色が異なるだけで構成は同じであり、光走査部131a、感光体131b、現像部131c、帯電部131d、クリーニング部131e及び1次転写ローラー131fを備えて構成されている。
【0028】
画像形成時、各書込部131では、帯電部131dにより感光体131bを帯電させた後、画像データに基づいて光走査部131aにより出射した光束で感光体131b上を走査し、静電潜像を形成する。現像部131cによりトナーを供給して現像すると、感光体131b上に画像(単色のトナー画像)が形成される。
4つの書込部131の感光体131b上にそれぞれ形成した画像を、それぞれの1次転写ローラー131fにより、中間転写ベルト132上に順次重ねて転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト132上には各色からなる画像(カラートナー画像)が形成される。中間転写ベルト132は、複数のローラーに巻き回されて回動する像担持体である。1次転写後、クリーニング部131eにより感光体131b上に残留するトナーを除去する。
【0029】
画像形成部13では、回動する中間転写ベルト132上の画像が2次転写ローラー133の位置に至るタイミングに合わせて、給紙トレイT1から用紙を給紙する。2次転写ローラー133は、対をなす一方のローラーが中間転写ベルト132に圧接し、他方が中間転写ベルト132を巻き回す複数のローラーのうちの一つを構成している。2次転写ローラー133の圧接により、中間転写ベルト132から用紙上に画像(カラートナー画像)を転写(2次転写)すると、定着部134に用紙を搬送して定着処理を施す。定着処理は、定着ローラー134aにより用紙を加熱及び加圧して画像を用紙に定着させる処理である。用紙の両面に画像を形成する場合、反転経路135に用紙を搬送して用紙面を反転させた後、2次転写ローラー133の位置へ再度用紙を給紙する。
【0030】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成される不揮発性の記憶手段であり、各種プログラムや各種設定データ等を制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0031】
操作パネル15は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部151と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部152と、を備えて構成されている。
表示部151は、カラー液晶ディスプレイなどで構成され、制御部11から入力される表示制御信号に従って、操作画面等(各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等)を表示する。
操作部152は、表示部151の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部151の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備えて構成されている。操作部152は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、押下された位置の座標を電圧値で検出し、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。また、操作部152は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部11に出力する。
【0032】
搬送部16は、複数のローラー対により構成され、給紙部17から供給された用紙を画像形成部13に搬送し、画像形成部13により画像形成が行われた用紙を画像読取装置20に搬送する。
【0033】
給紙部17は、給紙トレイT1を備え、給紙トレイT1から画像形成部13に用紙を供給する。各給紙トレイT1には、給紙トレイT1ごとに、予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0034】
通信部18は、画像形成装置10を通信ネットワークに接続するインターフェースである。通信部18は、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクター等を有し、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークに接続されている外部装置と各種情報の送受信を行う。また、通信部18は、USB(Universal Serial Bus)を介して各種情報の入出力を行うことも可能である。
【0035】
画像読取装置20は、
図1及び
図2に示すように、画像形成装置10の後段に接続され、制御部21と、画像読取部(読取部)22と、搬送部23と、を備えて構成されている。すなわち、画像形成部13は、画像読取部22に対して用紙の搬送方向の上流側に配置されている。
【0036】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、画像読取装置20の動作を統括的に制御する。
【0037】
画像読取部22は、画像形成装置10(画像形成部13)により画像が形成された用紙の画像面を読み取る。
【0038】
搬送部23は、複数のローラー対により構成され、画像形成装置10から搬送された用紙を画像読取部22に搬送し、画像読取部22により読み取られた用紙を用紙矯正装置30に排出する。
【0039】
本実施形態において、制御部21は、画像読取部22による読取結果(画像位置)に基づいて、画像の基準位置に対する位置ずれを判定する本発明の第1判定部として機能する。ここで、画像の基準位置とは、画像読取部22による読取開始位置のことであり、ラミネート加工部63におけるラミネートフィルムFの貼り付け時の基準となる位置のことである。また、制御部21は、第1判定部として、さらに、用紙に形成された画像の画像不良(汚れ、しわ、色変動など)を検知する。なお、画像不良の検知方法としては、予め読み取った正解画像と取得画像との比較や、印刷データ(正解画像)を用いた取得画像との比較等があるが、方法は特に限定しない。
また、制御部21は、画像読取部22による読取結果(カール情報)に基づいて、用紙のカール量及びカール方向を判定する本発明の第2判定部として機能する。
【0040】
用紙矯正装置30は、
図1及び
図2に示すように、画像読取装置20(画像読取部22)とラミネート装置60(ラミネート加工部63)との間に配置され、制御部31と、複数のデカーラー(デカール部)32と、搬送部33と、を備えて構成されている。
【0041】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、用紙矯正装置30の動作を統括的に制御する。
【0042】
デカーラー32は、矯正ローラー対321を備えて構成され、矯正ローラー対321のニップ圧を調整することで、画像読取装置20により読み取られた用紙のカールを矯正する。
【0043】
搬送部33は、複数のローラー対により構成され、画像読取装置20から搬送された用紙をデカーラー32に搬送し、デカーラー32を通過した用紙(デカーラー32によりカールが矯正された用紙又はカールが検知されずにただデカーラー32を通過しただけの用紙)を用紙位置変更装置40に排出する。
【0044】
本実施形態において、画像読取装置20の制御部21は、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、デカーラー32による用紙のカール矯正力を制御する本発明の矯正制御部として機能する。
【0045】
用紙位置変更装置40は、
図1及び
図2に示すように、画像読取装置20(画像読取部22)とラミネート装置60(ラミネート加工部63)との間に配置され、制御部41と、用紙位置変更部(枚葉紙位置変更部)42と、搬送部43と、を備えて構成されている。
【0046】
制御部41は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、用紙位置変更装置40の動作を統括的に制御する。
【0047】
用紙位置変更部42は、揺動ローラー対421を備えて構成され、用紙が通過するタイミングに合わせて揺動ローラー対421を用紙の幅方向(搬送方向に直交する方向)に移動することにより、搬送される用紙の幅方向の位置を変更する。
【0048】
搬送部43は、複数のローラー対により構成され、用紙矯正装置30から搬送された用紙を用紙位置変更部42に搬送し、用紙位置変更部42を通過した用紙(用紙位置変更部42により用紙位置が変更された用紙又は位置ずれが検知されずにただ用紙位置変更部42を通過しただけの用紙)をパージ排紙装置50に排出する。
【0049】
本実施形態において、画像読取装置20の制御部21は、第1判定部により判定された位置ずれが第1の閾値を超えていた場合、用紙位置変更部42により用紙の幅方向の位置を変更させる本発明の枚葉紙位置制御部として機能する。ここで、第1の閾値とは、用紙位置変更部42による用紙位置の変更により位置ずれを矯正(補正)しないと、ラミネート加工部63によるラミネート加工を精度よく行えない程度の位置ずれ量のことである。
【0050】
パージ排紙装置50は、
図1及び
図2に示すように、画像読取装置20(画像読取部22)とラミネート装置60(ラミネート加工部63)との間に配置され、制御部51と、搬送部52と、パージ排紙部53と、を備えて構成されている。
【0051】
制御部51は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、パージ排紙装置50の動作を統括的に制御する。
【0052】
搬送部52は、複数のローラー対により構成され、用紙位置変更装置40から搬送された用紙をラミネート装置60に排出する。
【0053】
パージ排紙部53は、搬送部52から分岐してパージトレイ(パージ収容部)T2へとつながるパージ経路531を含んで構成され、用紙位置変更装置40から搬送された用紙をパージトレイT2に排出(パージ)する。
【0054】
本実施形態において、画像読取装置20の制御部21は、第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は第1判定部により画像不良が検知された場合、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる本発明のパージ制御部として機能する。ここで、第2の閾値とは、用紙位置変更部42による用紙位置の変更により位置ずれを矯正(補正)しきれない程度の位置ずれ量のことである。すなわち、第2の閾値(矯正不可能な位置ずれ量)は、第1の閾値(矯正可能な位置ずれ量)よりも値が大きくなっている。
なお、第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていなかった場合かつ第1判定部により画像不良が検知されなかった場合は、搬送部52によりそのまま用紙をラミネート装置60に排出させる。
【0055】
ラミネート装置60は、
図1及び
図2に示すように、画像読取装置20(画像読取部22)に対して用紙の搬送方向の下流側に配置され、制御部61と、記憶部62と、ラミネート加工部63と、切断部64と、搬送部65と、を備えて構成されている。
【0056】
制御部61は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により、ラミネート装置60の動作を統括的に制御する。
【0057】
記憶部62は、HDD、SSD等により構成される不揮発性の記憶手段であり、各種プログラムや各種設定データ等を制御部61から読み書き可能に記憶する。
【0058】
ラミネート加工部63は、搬送される用紙の画像形成装置10により画像が形成された面(画像面)側に、接着層を有するフィルム(ラミネートフィルムF)を重ねてラミネート処理を行う。すなわち、ラミネート加工部63は、画像が形成された用紙の画像面をラミネート加工する。
【0059】
ラミネート加工部63は、フィルムロール631と、ラミネート定着部632と、を備えて構成されている。
【0060】
フィルムロール631は、透明樹脂フィルム層と接着層からなるラミネートフィルムFがロール状になったものである。ラミネートフィルムFは、その片面(用紙と接触する側)に、熱溶融する接着剤が塗布され、接着層が形成されている。
ラミネートフィルムFは、フィルムロール631からラミネート定着部632のニップ部に搬送され、用紙の画像面に接着される。
【0061】
ラミネート定着部632は、ローラー対を備え、当該ローラー対が形成するニップ部において用紙とラミネートフィルムFを挟持し熱又は圧力の少なくとも一方を加えることで、ラミネートフィルムFの接着層を用紙の表面に接着する。これにより、用紙とラミネートフィルムFとが貼り合わされる。
【0062】
本実施形態において、ラミネート定着部632は、加熱ローラー632aと、加圧ローラー632bと、を備え、加熱ローラー632a及び加圧ローラー632bが形成するニップ部において挟持された用紙とラミネートフィルムFに加熱・加圧を施すことで、ラミネートフィルムFを用紙に定着させる。すなわち、加熱ローラー632a及び加圧ローラー632bは、ラミネート加工部63のニップ部を構成する本発明の搬送ローラー対として機能する。
加熱ローラー632aは、ハロゲンヒーター等を内蔵し、ラミネートフィルムFと用紙を重ねた状態で加熱することで、ラミネートフィルムFの接着層を融解する。
加圧ローラー632bは、ばね等の付勢部材(図示せず)によって上方に付勢されることで加熱ローラー632aに押し当てられ、加熱ローラー632aと加圧ローラー632bとが面接触するニップ部を形成する。加圧ローラー632bは、加熱ローラー632aにより接着層が融解されたラミネートフィルムFを用紙に圧接する。
加熱ローラー632a及び加圧ローラー632bは、ラミネートフィルムFの接着層を融解させ、融解した接着層を用紙の表面に接着して、熱圧着する。
【0063】
例えば、用紙がカールして用紙の先端がニップ部を向かなくなった場合、ニップ部におけるニップができないことによるJAMが発生することがある。そこで、本実施形態では、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、ニップ部の方向をカールに合わせて変位させることを目的として、画像読取装置20の制御部21が、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、ニップ部のニップ点Nにおける接線Qと用紙Pの先端Ptとの相対位置が変位する(接線Qから所定距離(用紙Pの先端Ptをニップ部に確実に導入させることが可能な距離)内に用紙Pの先端Ptが収まる)ように搬送ローラー対(加熱ローラー632a及び加圧ローラー632b)を移動させる。これにより、用紙Pの先端Ptをニップ部に確実に導入させることができるので、用紙Pを的確にニップすることが可能となり、JAMの発生を低減させることができる。なお、変位の方向は、上下方向であっても、回動方向であってもよい。
すなわち、画像読取装置20の制御部21は、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、ニップ部のニップ点Nにおける接線Qと用紙Pの先端Ptとの相対位置が変位するように搬送ローラー対を移動させる本発明の移動制御部として機能する。
なお、
図3(A)は用紙Pの先端Ptが上方向に曲がっているカール(下凸カール)に合わせて搬送ローラー対(ニップ部)を移動させた図であり、
図3(B)は用紙Pの先端Ptが下方向に曲がっているカール(上凸カール)に合わせて搬送ローラー対(ニップ部)を移動させた図である。
【0064】
切断部64は、用紙搬送経路においてラミネート加工部63の下流に設けられており、搬送される用紙間のラミネートフィルムFを切断する。
【0065】
搬送部65は、複数のローラー対により構成され、ラミネート装置60内において、画像形成装置10から搬送された用紙を搬送する。用紙にラミネート処理が施される場合には、搬送部65は、用紙を、第1搬送経路651(
図1参照)を経由して、ラミネート加工部63、切断部64に順に搬送し、ラミネート処理が施された用紙を排紙トレイT3に排出する。用紙にラミネート処理が施されない場合には、搬送部65は、ラミネート加工部63、切断部64を通過しない第2搬送経路652(
図1参照)で、用紙を搬送する。
また、第1搬送経路651のラミネート加工部63よりも上流側には、
図1及び
図4に示すように、ラミネート加工部63のニップ部に用紙を導入する可動ガイド653が設けられている。また、可動ガイド653の上流側には、可動ガイド653に用紙を導入する固定ガイド654が設けられている。
可動ガイド653は、通常時(用紙のカールが検知されていない場合)は、ラミネート加工部63のニップ部に向けて水平に固定されている(
図1参照)が、用紙のカールが検知された場合には、カールに合わせて上下に回動可能に構成されている(
図4(A)及び
図4(B)参照)。すなわち、可動ガイド653は、ニップ部への用紙の導入角度を変更可能に構成されている。なお、
図4(A)は用紙Pの先端Ptが上方向に曲がっているカール(下凸カール)に合わせて可動ガイド653を回動させた図であり、
図4(B)は用紙Pの先端Ptが下方向に曲がっているカール(上凸カール)に合わせて可動ガイド653を回動させた図である。
【0066】
本実施形態では、用紙の先端の方向をカールに合わせて変位させることを目的として、画像読取装置20の制御部21が、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、可動ガイド653のニップ部への用紙の導入角度を制御する。これにより、用紙の先端をニップ部に向けることができるので、用紙を的確にニップすることが可能となり、JAMの発生を低減させることができる。
すなわち、画像読取装置20の制御部21は、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、可動ガイド653のニップ部への用紙の導入角度を制御する本発明のガイド制御部として機能する。
【0067】
次に、本実施形態に係る画像処理システム1の動作について、
図5のフローチャートを参照して説明する。なお、
図3に示す例では、画像処理システム1を構成する各装置(画像形成装置10、画像読取装置20、ラミネート装置60)の制御部11、21、61が協働して処理を実行するケースを説明するが、これに限定されるものではない。例えば、いずれかの制御部11、21、61(又は各装置とは別個に設けられた制御部(図示略))に中心的な役割(司令塔としての役割)を担わせるようにし、各装置の制御部に対して処理の実行を指示させるようにしてもよい。
【0068】
まず、画像形成装置10の制御部11は、用紙に印刷データに基づく画像(印刷用画像)を形成させる(ステップS101)。画像が形成された用紙は、画像読取装置20に搬送される。
【0069】
次に、画像読取装置20の制御部21は、画像読取部22により、画像形成装置10から搬送された用紙(ステップS101で画像が形成された用紙)の画像面を読み取らせる(ステップS102)。
【0070】
次に、制御部21は、ステップS102における画像読取部22による読取結果(カール情報)に基づいて、用紙のカール量及びカール方向を判定する(ステップS103)。
【0071】
次に、制御部21は、ステップS103で判定された用紙のカール量に基づいて、カールのレベル(例えば0~4)を判定する(ステップS104)。
制御部21は、レベル0(例えばカール量≦1mm)と判定した場合、そのままステップS109へと移行する。
また、制御部21は、レベル1(例えば1mm<カール量≦10mm)と判定した場合、デカーラー32により用紙のカールを矯正させる処理(カール矯正処理)の実施を決定する(ステップS105)。このとき、制御部21は、ステップS103で判定された用紙のカール量及びカール方向に基づいて、デカーラー32による用紙のカール矯正力を制御する。その後、ステップS109へと移行する。
また、制御部21は、レベル2(例えば10mm<カール量≦15mm)と判定した場合、カール矯正処理に加え、可動ガイド653のニップ部への用紙の導入角度を制御する処理(ガイド変更処理)やニップ部のニップ点における接線と用紙の先端との相対位置が変位するように搬送ローラー対(加熱ローラー632a及び加圧ローラー632b)を移動させる処理(ニップ部変位処理)の実施を決定する(ステップS106)。その後、ステップS109へと移行する。
また、制御部21は、レベル3(例えば15mm<カール量≦20mm)と判定した場合、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる処理を実施する(ステップS107)。その後、処理を終了する。すなわち、制御部21は、第2判定部により判定されたカール量が第3の閾値を超えていた場合に、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる。ここで、第3の閾値とは、カール矯正処理やガイド変更処理、ニップ部変位処理を実施したとしても用紙のカールを矯正しきれない程度のカール量のことであり、例えば15mmである。
また、制御部21は、レベル4(例えばカール量>20mm)の場合、システムを即時停止して用紙の搬送を停止させる処理を実施する(ステップS108)。その後、処理を終了する。すなわち、制御部21は、第2判定部により判定されたカール量が第4の閾値を超えていた場合に、用紙の搬送を停止させる本発明の搬送制御部として機能する。ここで、第4の閾値とは、カールが強すぎて用紙搬送中にJAMを引き起こすおそれが高く、システムを止めて点検した方が好ましい程度のカール量のことであり、例えば20mmである。すなわち、第4の閾値は、第3の閾値よりも値が大きくなっている。
【0072】
ステップS109において、制御部21は、画像読取部22による読取結果(画像位置)に基づいて、画像の基準位置に対する位置ずれを判定する。具体的には、制御部21は、画像読取部22による読取結果に基づいて位置ずれ量を算出し、算出した位置ずれ量に基づいて、「矯正不要」、「矯正可能」、「矯正不可」のいずれであるかを判定する。
制御部21は、矯正不要(位置ずれ≦第1の閾値の場合)と判定した場合、そのままステップS111へと移行する。
また、制御部21は、位置ずれが矯正可能(第1の閾値<位置ずれ≦第2の閾値の場合)と判定した場合、用紙位置変更部42により用紙の幅方向の位置を変更させる処理の実施を決定する(ステップS110)。その後、ステップS111へと移行する。
また、制御部21は、位置ずれが矯正不可(位置ずれ>第2の閾値の場合)と判定した場合、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる処理を実施する(ステップS107)。その後、処理を終了する。
【0073】
ステップS111において、制御部21は、用紙を用紙矯正装置30、用紙位置変更装置40、パージ排紙装置50、ラミネート装置60の順に搬送しながら、ステップS105、ステップS106、ステップS110で実施が決定された各処理を各装置において実施させる。なお、ステップS104でカールのレベルが0と判定した場合、かつ、ステップS109で矯正不要と判定した場合は、実施が決定された処理が存在しないので、各装置において各処理を実施させることなく、次のステップS112へと移行する。
【0074】
次に、ラミネート装置60の制御部61は、パージ排紙装置50から搬送された用紙を、第1搬送経路651経由でラミネート加工部63に搬送させ、ラミネート加工を実施させる(ステップS112)。ラミネート加工が実施された用紙は、排紙トレイT3に排出される。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る画像処理システム1は、画像が形成された枚葉紙の画像面を読み取る読取部(画像読取部22)と、読取部に対して枚葉紙の搬送方向の下流側に配置され、枚葉紙の画像面をラミネート加工するラミネート加工部63と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、ラミネート加工を実施する前に枚葉紙を検査することができるので、枚葉紙のカールや画像の位置ずれ、画像不良等を検出することが可能となり、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部による読取結果に基づいて、画像の基準位置に対する位置ずれを判定する第1判定部(制御部21)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、画像の位置ずれを検出することができるので、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部とラミネート加工部63との間に配置され、枚葉紙の位置を変更可能な枚葉紙位置変更部(用紙位置変更部42)と、第1判定部により判定された位置ずれが第1の閾値を超えていた場合、枚葉紙位置変更部により枚葉紙の搬送方向に直交する方向の位置を変更させる枚葉紙位置制御部(制御部21)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、フィルム位置に対して意図しない位置に画像が載っていた場合に枚葉紙の位置を変更することができるので、枚葉紙の位置を意図した位置に変更することが可能となり、適切なラミネート加工を実施することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部とラミネート加工部63との間に配置され、枚葉紙をパージ収容部(パージトレイT2)にパージするパージ排紙部53と、パージ排紙部53による枚葉紙のパージを制御するパージ制御部(制御部21)と、を備え、第1判定部は、さらに、枚葉紙に形成された画像の画像不良を検知し、パージ制御部は、第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は第1判定部により画像不良が検知された場合、パージ排紙部53により枚葉紙をパージ収容部にパージさせる。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、汚れなどが付着している画像不良紙やフィルム位置に対して意図しない位置に画像が載っている用紙を、ラミネート加工の前にパージさせることができるので、高価なラミネートフィルムの無駄を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部による読取結果に基づいて、枚葉紙のカール量及びカール方向を判定する第2判定部(制御部21)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、枚葉紙のカールを検出することができるので、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部とラミネート加工部63との間に配置され、枚葉紙のカールを矯正するデカール部(デカーラー32)と、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、デカール部による枚葉紙のカール矯正力を制御する矯正制御部(制御部21)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、ラミネート加工を行う前に枚葉紙のカールをリアルタイムで自動補正することができるので、JAMや角折れ、出力物のカールを抑制することが可能となり、印刷物の品質の向上や高価なラミネートフィルムの無駄の抑制を実現することができる。
【0081】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、ラミネート加工部63のニップ部に枚葉紙を導入する可動ガイド653と、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、可動ガイド653のニップ部への枚葉紙の導入角度を制御するガイド制御部(制御部21)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、枚葉紙の先端の方向をカールに合わせて変更することができるので、理想的な形で枚葉紙をニップすることが可能となり、枚葉紙がカールして先端がニップ部を向かなくなった場合に発生するラミネートフィルムへの接着やJAMを低減させることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、ラミネート加工部63のニップ部を構成する搬送ローラー対(加熱ローラー632a、加圧ローラー632b)と、第2判定部により判定されたカール量及びカール方向に基づいて、ニップ部のニップ点における接線と枚葉紙の先端との相対位置が変位するように搬送ローラー対を移動させる移動制御部(制御部21)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、ニップ部の方向をカールに合わせて変更することができるので、理想的な形で枚葉紙をニップすることが可能となり、枚葉紙がカールして先端がニップ部を向かなくなった場合に発生するラミネートフィルムへの接着やJAMを低減させることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、読取部とラミネート加工部63との間に配置され、枚葉紙をパージ収容部(パージトレイT2)にパージするパージ排紙部53と、パージ排紙部53による枚葉紙のパージを制御するパージ制御部(制御部21)と、を備え、パージ制御部は、第2判定部により判定されたカール量が第3の閾値を超えていた場合に、パージ排紙部53により枚葉紙をパージ収容部にパージさせる。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、カールが矯正不可能な場合はパージ収容部にラミネート加工の前にパージさせることができるので、高価なラミネートフィルムの無駄を抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、第2判定部により判定されたカール量が第4の閾値を超えていた場合に、枚葉紙の搬送を停止させる搬送制御部(制御部21)を備える。
したがって、本実施形態に係る画像処理システム1によれば、カールが強すぎて用紙搬送中にJAMを引き起こすおそれが高く、システムとして対応しきれないカールの場合は枚葉紙の搬送を停止させることができるので、高価なラミネートフィルムの無駄を抑制することができる。
【0085】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、パージ排紙装置50を、ラミネート加工部63に対して搬送方向の上流側に配置する構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図6に示すように、パージ排紙装置50を、ラミネート加工部63に対して搬送方向の下流側に配置する構成を採用するようにしてもよい。この場合も、パージ排紙装置50をラミネート加工部63に対して搬送方向の上流側に配置する構成と同様、画像読取装置20の制御部21が、第1判定部により判定された位置ずれが第2の閾値を超えていた場合又は第1判定部により画像不良が検知された場合、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる。
上記のように、ラミネート加工部63に対して搬送方向の下流側に配置され、枚葉紙をパージ収容部(パージトレイT2)にパージするパージ排紙部53を備えることで、ラミネート加工後であってもヤレ紙をパージさせることができるので、成果物にヤレ紙を混入させないようにすることができる。
【0087】
例えば、上記実施形態では、カールのレベルがレベル3と判定した場合に、パージ排紙部53により用紙をパージトレイT2にパージさせる処理を実施する(
図5のステップS107参照)ようにしているが、カールをそのままにしてパージさせようとすると、途中で搬送不良(JAM)を起こすことがある。
特に、パージ処理を実施する際に、パージ経路531の屈曲に沿う方向のカールの場合(例えばパージ経路531が水平方向から上方向に屈曲している場合(
図1参照)において用紙の先端が上方向に曲がっているカール(下凸カール)の場合)はそのままパージしても搬送不良は生じないが、パージ経路531の屈曲に反する方向のカールの場合(例えばパージ経路531が水平方向から上方向に屈曲している場合(
図1参照)において用紙の先端が下方向に曲がっているカール(上凸カール)の場合)はカールの方向が経路の屈曲に沿っていないために搬送不良が生じやすいという課題がある。そこで、パージ経路531の屈曲に反する方向のカールの場合は、まず、カール矯正処理を実施した後、パージ処理を実施するようにしてもよい。これにより、搬送不良を起こすことなく、より確実にパージ処理を実施することができる。
【0088】
また、上記実施形態では、画像形成装置10とラミネート装置60との間に、用紙矯正装置30、用紙位置変更装置40、パージ排紙装置50の順で配置する構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、用紙矯正装置30、用紙位置変更装置40、パージ排紙装置50の配置を順不同で並べ替えるようにしてもよい。ただし、用紙矯正装置30、用紙位置変更装置40の配置に関しては、用紙矯正装置30によるカールの矯正を実施した後に用紙位置変更装置40を通紙する形の方が、用紙位置変更装置40における処理を行い易くなったり用紙位置変更装置40におけるJAMの発生を抑制したりすることができるため、より好ましい。
【0089】
また、上記実施形態では、本発明の画像処理システムの構成として、画像形成装置10(画像形成部13)と、画像読取装置20(画像読取部22)と、ラミネート装置60(ラミネート加工部63)と、を含む構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。少なくとも画像読取装置20(画像読取部22)と、ラミネート装置60(ラミネート加工部63)と、を含む構成であればよく、画像形成装置10(画像形成部13)を含まない構成であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、本発明を実施するための構成として、画像読取部22を備える画像読取装置20と、ラミネート加工部63を備えるラミネート装置60と、が別体として構成された画像処理システム1を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像読取部22と、ラミネート加工部63と、が一体の装置(画像処理装置)として構成されていてもよい。また、画像読取部22がラミネート加工部63よりも搬送方向の上流側に配置されている限りにおいて、画像読取部22がラミネート装置60に内蔵される(すなわち、画像読取装置20を別体の装置として設けない)構成であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、画像読取装置20の制御部21が、矯正制御部、枚葉紙位置制御部、パージ制御部、移動制御部、ガイド制御部として機能する構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、制御部21の代わりに、画像形成装置10の制御部11、ラミネート装置60の制御部61やその他の装置(用紙矯正装置30、用紙位置変更装置40、パージ排紙装置50)の制御部31、41、51又は各装置とは別個に設けられた制御部(図示略)に上記複数の機能を割り当てるようにしてもよい。また、各装置の制御部11、21、31、41、51、61や各装置とは別個に設けられた制御部(図示略)に、上記複数の機能を分散して割り当てるようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、ノズルから記録媒体に対してインクを吐出して所望のパターンで着弾させていくことで記録媒体に画像を記録するインクジェット方式の画像形成装置(例えば、所定のエネルギー線により硬化するインクをノズルから吐出し、吐出された記録媒体上のインクに対して上記所定のエネルギー線を照射して硬化させることでインクを記録媒体上に定着させるもの)に本発明を適用することも可能である。
ただし、電子写真方式の画像形成装置を採用する場合、定着部で用紙に付与される熱により用紙にカールが生じるため、本発明のシステム構成、配置順を採用することによるメリットが大きい。
【0093】
その他、画像処理システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 画像処理システム
10 画像形成装置
11 制御部
12 画像読取部
13 画像形成部
131 書込部
131a 光走査部
131b 感光体
131c 現像部
131d 帯電部
131e クリーニング部
131f 1次転写ローラー
132 中間転写ベルト
133 2次転写ローラー
134 定着部
14 記憶部
15 操作パネル
151 表示部
152 操作部
16 搬送部
17 給紙部
18 通信部
20 画像読取装置
21 制御部(第1判定部、第2判定部、矯正制御部、枚葉紙位置制御部、パージ制御部、移動制御部、ガイド制御部、搬送制御部)
22 画像読取部(読取部)
23 搬送部
30 用紙矯正装置
31 制御部
32 デカーラー(デカール部)
321 矯正ローラー対
33 搬送部
40 用紙位置変更装置
41 制御部
42 用紙位置変更部(枚葉紙位置変更部)
43 搬送部
50 パージ排紙装置
51 制御部
52 搬送部
53 パージ排紙部
531 パージ経路
60 ラミネート装置
61 制御部
62 記憶部
63 ラミネート加工部
631 フィルムロール
632 ラミネート定着部
632a 加熱ローラー(搬送ローラー対)
632b 加圧ローラー(搬送ローラー対)
64 切断部
65 搬送部
651 第1搬送経路
652 第2搬送経路
653 可動ガイド
654 固定ガイド
F ラミネートフィルム
T1 給紙トレイ
T2 パージトレイ(パージ収容部)
T3 排紙トレイ