(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102872
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】中空エンコーダ校正装置
(51)【国際特許分類】
G01D 18/00 20060101AFI20240725BHJP
G01D 5/12 20060101ALI20240725BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G01D18/00
G01D5/12 N
G01D5/244 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006935
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】306020818
【氏名又は名称】トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】谷本 諭史
【テーマコード(参考)】
2F076
2F077
【Fターム(参考)】
2F076AA01
2F076AA11
2F077AA20
2F077AA47
2F077CC02
2F077NN04
2F077VV13
2F077VV22
2F077VV28
2F077VV31
2F077VV33
(57)【要約】
【課題】中空型のエンコーダを校正する際のエンコーダの中心位置を特定する作業を正確かつ迅速に行い、エンコーダの校正作業の効率を改善する中空エンコーダ校正装置を提供する。
【解決手段】校正筒部を備えた本体盤部と、本体盤部と締結部材により接続され、締結部材の締緩により本体盤部に対して近接及び離隔の移動をする、本体盤部に向けて先細りとなる逆テーパ部を備えた進退部と、進退部と本体盤部との間に配置され、逆テーパ部と当接する当接内周部と、進退部の移動に連動した逆テーパ部と内周部との接触を受けて校正対象物の円筒部の内面部に対し当接する当接外周部とを備えた当接ブロックを複数有する調整部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
校正筒部を備えた本体盤部と、
前記本体盤部と締結部材により接続され、前記締結部材の締緩により前記本体盤部に対して近接及び離隔の移動をする、前記本体盤部に向けて先細りとなる逆テーパ部を備えた進退部と、
前記進退部と前記本体盤部との間に配置され、前記逆テーパ部と当接する当接内周部と、前記進退部の移動に連動した前記逆テーパ部と前記内周部との接触を受けて校正対象物の円筒部の内面部に対し当接する当接外周部とを備えた当接ブロックを、複数有する調整部と、を備える
ことを特徴とする中空エンコーダ校正装置。
【請求項2】
前記校正筒部は前記本体盤部の上面部に立設され、
前記進退部は前記校正筒部と摺動する嵌合部を備える請求項1に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項3】
前記調整部は前記当接ブロック同士を結束する結束部材を備える請求項1に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項4】
前記結束部材は、樹脂製のリング部材である請求項3に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項5】
前記本体盤部の上面部にガイドピンが備えられ、
前記当接ブロックの底面部に前記ガイドピンと接触するガイド溝部が形成され、
前記当接ブロックが前記校正対象物の前記円筒部の前記内面部に対して当接する際の移動方向が規制される請求項1に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項6】
前記ガイドピンと前記当接ブロックの個数は同数である請求項5に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項7】
前記進退部の前記逆テーパ部は逆円錐台形状である請求項1に記載の中空エンコーダ校正装置。
【請求項8】
前記本体盤部の外周部に前記校正筒部と直交する向きに突出するフランジ部が備えられる請求項1に記載の中空エンコーダ校正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空エンコーダ校正装置に関し、特に中空エンコーダの中心軸の偏心を校正するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット等の各種の動作機器の駆動箇所に実装されているエンコーダには、機器の使用時間に伴い振動、衝撃の影響から回転軸に歪みが生じることが不可避である。そこで、定期的にエンコーダには点検、校正が必要となる。校正が無ければ、エンコーダの回転軸の歪みが蓄積されて動作量の計測に誤差が生じ、正確な機器の動作制御に支障を来すおそれがある。
【0003】
例えば、中空型のエンコーダ(特許文献1等参照)は、機器の奥まった箇所に設置されていることが多い。そのため、中空型のエンコーダ(中空エンコーダ)を校正する際、当該エンコーダの芯出しと称されるエンコーダの中心位置の特定の作業に工数、手間を必要としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みなされたものであり、中空型のエンコーダ(中空エンコーダ)を校正する際のエンコーダの中心位置を特定する作業を正確かつ迅速に行い、エンコーダの校正作業の効率を改善する中空エンコーダ校正装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、実施形態の中空エンコーダ校正装置は、校正筒部を備えた本体盤部と、本体盤部と締結部材により接続され、締結部材の締緩により本体盤部に対して近接及び離隔の移動をする、本体盤部に向けて先細りとなる逆テーパ部を備えた進退部と、進退部と本体盤部との間に配置され、逆テーパ部と当接する当接内周部と、進退部の移動に連動した逆テーパ部と内周部との接触を受けて校正対象物の円筒部の内面部に対し当接する当接外周部とを備えた当接ブロックを、複数有する調整部とを備えることを特徴とする。
【0007】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、校正筒部は本体盤部の上面部に立設され、進退部は校正筒部と摺動する嵌合部を備えることとしてもよい。
【0008】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、調整部は当接ブロック同士を結束する結束部材を備えることとしてもよい。
【0009】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、結束部材は樹脂製のリング部材であることとしてもよい。
【0010】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、本体盤部の上面部にガイドピンが備えられ、当接ブロックの底面部に前記ガイドピンと接触するガイド溝部が形成され、当接ブロックが校正対象物の円筒部の内面部に対して当接する際の移動方向が規制されることとしてもよい。
【0011】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、ガイドピンと当接ブロックの個数は同数であることとしてもよい。
【0012】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、進退部の逆テーパ部は逆円錐台形状であることとしてもよい。
【0013】
さらに、中空エンコーダ校正装置において、本体盤部の外周部に校正筒部と直交する向きに突出するフランジ部が備えられることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の中空エンコーダ校正装置は、校正筒部を備えた本体盤部と、本体盤部と締結部材により接続され、締結部材の締緩により本体盤部に対して近接及び離隔の移動をする、本体盤部に向けて先細りとなる逆テーパ部を備えた進退部と、進退部と本体盤部との間に配置され、逆テーパ部と当接する当接内周部と、進退部の移動に連動した逆テーパ部と内周部との接触を受けて校正対象物の円筒部の内面部に対し当接する当接外周部とを備えた当接ブロックを、複数有する調整部とを備えるため、中空型のエンコーダ(中空エンコーダ)を校正する際のエンコーダの中心位置を特定する作業を正確かつ迅速に行い、エンコーダの校正作業の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の中空エンコーダ校正装置の分解斜視図である。
【
図2】中空エンコーダ校正装置の進退部の通常状態の断面図である。
【
図3】中空エンコーダ校正装置の進退部の通常状態の概略斜視図である。
【
図4】中空エンコーダ校正装置の進退部の近接状態の断面図である。
【
図5】中空エンコーダ校正装置の進退部の近接状態の概略斜視図である。
【
図6】複数の当接ブロックからなる調整部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
中空エンコーダと称される機器は、産業用ロボット等の機器のサーボモータ等が装着された関節部位に装着され、当該関節部位の動作量(角度)の検出、制御に用いられる。特に、中空エンコーダの場合、機器の関節部位に変角方向を円周方向とする中空状の円筒体が設置され、この円筒体の内部にエンコーダの本体(制御用)の本体が挿入され、逐次の動作量(角度)が検出される。そこで、機器の稼働に伴って生じる振動、衝撃等の影響から、中空状の円筒体にエンコーダの本体を組み合わせる際の位置ずれの校正が必要となる。
【0017】
ここで必要となる校正は、(1)中空状の円筒体の伸長方向となる直交誤差、(2)中空状の円筒体の横断面方向となる平行誤差、そして、(3)中空状の円筒体の円の中心との偏心誤差の3種類ある。実施形態の中空エンコーダ校正装置は、中空状の円筒体とエンコーダの本体との装着に際して生じる前述の3種類の誤差を校正するための装置である。
【0018】
図1は実施形態の中空エンコーダ校正装置1の主要構成を示す全体斜視図である。中空エンコーダ校正装置1は、本体盤部10と、進退部20と、進退部20と本体盤部10との間に配置される調整部30とを備える。
【0019】
本体盤部10は円盤状に形成されている。本体盤部10の上面部15に棒状の校正部材55(直交棒、
図7参照)が挿入される校正筒部11が設けられる。校正筒部11は本体盤部10の円盤の中心に位置する。また、実施形態の本体盤部10では、上面部15の上部に当該上面部15よりも小さい円盤状の段部13が備えられ、段部13に校正筒部11が設けられる。校正筒部11には校正部材55を挿入する(装着する)のための挿入穴12が設けられ、挿入穴12は上下方向に本体盤部10を貫通している。段部13にはガイドピン17が設けられる。本体盤部10には締結穴18が設けられ、本体盤部10の下面部16側から、締結部材となるボルト19が締結穴18に挿入される。本体盤部10の外周部10s(側縁部)にはフランジ部14が備えられる。
【0020】
締結部材であるボルト19には、六角棒レンチ等のための回転穴(図示せず)が形成される。当該回転穴に六角棒レンチ等を挿入してボルト19を回転させることにより中空エンコーダ校正装置1の本体盤部10の外側から当該ボルト19を正回転及び逆回転させる動作が可能である。実施形態では、ボルト19は、本体盤部10に立設された校正筒部11の挿入穴12の中心から均等位置に放射状に4箇所備えられる。
【0021】
進退部20は外面部22に本体盤部10に向けて先細りとなる逆テーパ部26を備え、内面部23に校正筒部11と遊嵌する嵌合部21を備える。逆テーパ部26は横断面において真円に極めて近似した精度として設計されている。そこで、逆テーパ部26は側面視において逆円錐台形状(後出の
図2等参照)である。
【0022】
進退部20は本体盤部10の円盤の中心に立設された校正筒部11と遊嵌状態で摺動する円筒状の嵌合部21を備える。校正筒部11と嵌合部21との組み合わせの関係から、進退部20の上下方向の移動(摺動)は校正筒部11により規制される。そして、進退部20は本体盤部10とボルト19(締結部材)により接続される。
【0023】
進退部20にはボルト19が螺合するための進退穴28が形成され、進退穴28にボルト19と螺合する螺合溝29が刻設されている。進退穴28は円筒状の嵌合部21の中心から均等位置に放射状に備えられる。進退部20の進退穴28は、本体盤部10の締結穴18の直上(延長線上)に形成され、真っ直ぐにボルト19が挿入される。そして、ボルト19が正回転または逆回転することにより、進退穴28の螺合溝29に対してボルト19は締緩する。ボルト19の螺合に伴う締緩により、進退部20は螺合溝29に連動して本体盤部10に対して近接及び離隔の移動をする。
【0024】
調整部30は進退部20と本体盤部10との間に配置され、複数の当接ブロック31を束ねて環状に構成される(後出の
図3、
図6等参照)。実施形態の調整部30は4個の当接ブロック31を有し、各当接ブロック31は分離可能である。複数の当接ブロック31同士を束ねる(結束)とは、個々の当接ブロック31を本体盤部10の円盤の中心に立設された校正筒部11に向けて集約することである。複数の当接ブロック31のそれぞれは同形状であるため、当接ブロック31同士の環状の結束と当接ブロック31が進退部20と当接する際の各当接ブロック31の移動は均等となる。
【0025】
各当接ブロック31は、当接内周部36(スライド面部)と当接外周部32を備える。当接内周部36は逆テーパ部26と当接する。そこで、当接内周部36は逆テーパ部26と同一の傾斜角度であり、かつ円錐台形状に傾斜して構成される。各当接ブロック31の底面部34にガイド溝部37が形成され、ガイド溝部37がガイドピン17と当接する。
【0026】
調整部30において、複数の当接ブロック31同士を束ねて(結束して)環状にする結束部材40は、樹脂製のリング部材であり、Oリング、角リング等が好ましく用いられる。適度な弾性を備えて耐久性、耐歪み性に優れている必要がある。具体的には、結束部材40はニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム等の樹脂素材により形成される。結束部材40のリング部材は、当接ブロック31の当接外周部32に形成された外周凹部33に埋入される。他の実施形態として、結束部材40は、ばね等の弾性体としてもよい。
【0027】
図2は中空エンコーダ校正装置1の進退部20の通常状態の断面図であり、
図3は同状態の概略斜視図である。中空エンコーダ校正装置1は、校正対象物50となる中空エンコーダ円筒部51に装着される。実施形態の開示では、円筒部51の開口部53の開口縁部54に本体盤部10のフランジ部14が密着される。フランジ部14は校正筒部11と直交する向きに突出しており、校正対象物50との平行の位置合わせに用いられる。また、
図3から理解されるように、円筒部51の開口部53に段部13が接触しているものの、当該状態はおおまかに位置合わせされた状態である。
【0028】
調整部30の各当接ブロック31には当接外周部32が備えられ、校正対象物50の円筒部51の内面部52に対し当接可能である。ただし、
図2では中空エンコーダ校正装置1の進退部20は本体盤部10に対して前進位置(離隔状態)にある。そのため、進退部20の逆テーパ部26は、調整部30の各当接ブロック31の当接内周部36に対して、十分に降下(本体盤部10に対して近接)していない。
【0029】
つまり、
図3に示されるように、各当接ブロック31の当接内周部36は、進退部20の逆テーパ部26の降下(本体盤部10に対する近接)の押圧を十分に受けていない。この状態では、依然として各当接ブロック31は結束部材40の樹脂弾性の収縮力により束ねられている状態である。そのため、当接内周部36は校正対象物50の円筒部51の内面部52に対し当接しておらず、中空エンコーダ校正装置1は校正前の状態である。
【0030】
図4は中空エンコーダ校正装置1の進退部20の近接状態の断面図であり、
図5は同状態の概略斜視図である。
図4及び
図5の説明は中空エンコーダ校正装置1の校正時の状態の図示である。図中、説明の便宜上、校正に関係する部材を省略している。進退部20はボルト19と螺合する進退穴28の螺合溝29を備えているため、進退部20は、ボルト19の締まる回動(緊締)を通じて本体盤部10に対して後退位置(近接状態)に移動する。
図4のとおり、ボルト19と螺合溝29との螺合部分が
図2のときよりも多くなっている。
【0031】
さらに
図4とともに
図5から理解されるように、各当接ブロック31の当接内周部36は、進退部20の逆テーパ部26の降下(本体盤部10に対する近接)の押圧を十分に受ける。そこで、進退部20の降下(本体盤部10に対する近接)の押圧力の向きは、逆テーパ部26と当接内周部36との当接により直角に曲げられ、当接内周部36を通じて当接ブロック31は校正筒部11から遠ざかる向き(離隔方向)に始動する。
【0032】
この状態では、進退部20側からの押圧が結束部材40の樹脂弾性の収縮力を上回り、調整部30の環状に束ねられていた当接ブロック31同士が離れ始め、最終的に
図5のように、当接外周部32が校正対象物50の円筒部51の内面部52に対し当接する。特に、進退部20の逆テーパ部26の横断面は精度の高い真円となる円錐台形状であり、かつ、調整部30の各当接ブロック31の当接内周部36も逆テーパ部26と面接触する寸法精度に仕上げられている。
【0033】
従って、進退部20の本体盤部10に対する近接の移動(図示の下方向)に正確に順応して、調整部30の各当接ブロック31は校正筒部11から遠ざかる向き(離隔方向)に放射状に移動する。加えて、結束部材40はOリング等のリング部材であるため結束部材40の部位に偏りは無く均等に収縮するように作用する。そのため、各当接ブロック31が校正筒部11から遠ざかる際に個々の当接ブロック31に当接外周部32側から加わる収縮する力も均等となる。
【0034】
つまり、進退部20の逆円錐台の逆テーパ部26の横断面真円の形状のまま、調整部30の全当接ブロック31に対して均等に押圧することができ、進退部20と連動して押圧を受けて均等に移動する。結果、校正対象物50の円筒部51の内面部52と全当接ブロック31の当接外周部32が当接した位置が、円筒部51の円(横断面)の中心であり、かつ、本体盤部10の校正筒部11の挿入穴12の円(横断面)の中心と重なり、双方の軸の中心は一致する。
【0035】
加えて、
図6の調整部30の底面図から理解されるように、各当接ブロック31の底面部34にガイド溝部37が形成される。ガイド溝部37は調整部30の中央開口38の中心Oから放射状に延伸する。実施形態の中空エンコーダ校正装置1の調整部30は、同形状の当接ブロック31を4個備える。そして、本体盤部10はガイドピン17を4個備え、互いの個数は同数である。
図2ないし
図5に示すとおり、ガイド溝部37は本体盤部10上、実施形態では本体盤部10の上面部15の段部13に固定されたガイドピン17と接触する。そのため、
図6中の両矢印で移動する当接ブロック31(二点鎖線表記参照)は、校正対象物50の円筒部51の内面部52に対して当接する際の移動方向が規制される。ガイドピン17とガイド溝部37の関係から、移動方向のずれは一層低減される。
【0036】
図7の断面図は、実施形態の中空エンコーダ校正装置1を用いて中空エンコーダを校正する際の様子を示す。中空エンコーダ校正装置1の各部材及び動作の説明はこれまでの
図1ないし
図6にて詳述したとおりである。
【0037】
校正対象物50である中空エンコーダから円筒部51の開口部53が露出する。開口部53に中空エンコーダ校正装置1が装着される。そして、開口部53の開口縁部54に本体盤部10のフランジ部14が密着される。
【0038】
次に、4本のボルト19は、それぞれ六角棒レンチにより回転され、進退部20は本体盤部10に近づくように後退(降下)する。そして、進退部20の後退に連動して、調整部30の各当接ブロック31は校正筒部11から離れるように移動し、全ての当接ブロック31の当接外周部32が校正対象物50の円筒部51の内面部52に対し当接する。前述のとおり、この時点において、校正対象物50の円筒部51の中心軸と、中空エンコーダ校正装置1の本体盤部10の校正筒部11の中心軸は一致する。
【0039】
そして、基準角度計56が棒状の校正部材55(直交棒)に装着され、校正部材55(直交棒)のねじ部を通じて本体盤部10の校正筒部11の挿入穴12に螺合により接続される。こうして校正作業が行われる。
【0040】
一連の説明から理解されるように、実施形態の中空エンコーダ校正装置にあっては、本体盤部の校正筒部に接続される校正部材(直交棒)が直線上に位置するため、中空状の円筒体の伸長方向となる直交誤差が低減される。校正対象物の開口部の開口縁部に本体盤部のフランジ部が密着することから、装着時の安定性が良く中空状の円筒体の横断面方向となる平行誤差が低減される。そして、逆円錐台形状のテーパ部を備えた進退部の進退動作に連動して均等に当接ブロックが移動して校正対象物の円筒部の内面部に対し当接することにより、本体盤部の校正筒部の位置が微調整され、校正対象物の円筒部の中心軸と本体盤部の校正筒部の中心軸は一致し円筒体の円の中心との偏心誤差が低減される。比較的単純な機構を持ちながらも高精度の位置合わせが可能となり、エンコーダの校正の効率化が実現される。
【符号の説明】
【0041】
1 中空エンコーダ校正装置
10 本体盤部
11 校正筒部
12 挿入穴
13 段部
14 フランジ部
15 上面部
17 ガイドピン
18 締結穴
19 締結部材(ボルト)
20 進退部
21 嵌合部
22 外面部
23 内面部
26 逆テーパ部
28 進退穴
29 螺合溝
30 調整部
31 当接ブロック
32 当接外周部
33 外周凹部
34 底面部
36 当接内周部
37 ガイド溝部
40 結束部材(リング部材)