(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102878
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 11/14 20060101AFI20240725BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240725BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240725BHJP
B41J 25/308 20060101ALI20240725BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240725BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B41J11/14
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 303
B41J3/407
B41J25/308 Z
B41J11/42
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006945
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】塙 啓太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C064
3F048
【Fターム(参考)】
2C056EB36
2C056EB37
2C056EC11
2C056EC33
2C056FA15
2C056FB03
2C056FB07
2C056JA01
2C058AB04
2C058AB11
2C058AC07
2C058AE02
2C058AE07
2C058AF31
2C058DA01
2C058DA11
2C058DC05
2C058DC09
2C058DC19
2C058GB03
2C058GB11
2C058GB47
2C058GB54
2C064DD07
2C064DD17
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BB02
3F048BD05
3F048CC01
3F048DA08
3F048DC05
3F048DC12
3F048EB39
(57)【要約】
【課題】ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供する。
【解決手段】制御部は、第2方向のうち一方向に干渉検出部を移動させる第1移動制御を行った結果、干渉検出部により干渉が検出された場合、干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御を行い、第2方向のうち一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで干渉検出部を移動させる第2移動制御を行う。制御部は、第2移動制御を行った後に、再度、一方向に干渉検出部を移動させる第3移動制御を行う。制御部は、停止制御から第3移動制御までの間において、ヘッドと支持面との間隔を広げるように位置調整部に調整させる調整制御を行う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面を有する媒体支持部と、
前記支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部と、
前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、
前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部と、
前記支持面と平行な第1方向に前記ヘッドを移動させる第1移動部と、
前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記ヘッドとともに前記干渉検出部を移動させる第2移動部と、
前記支持面と交差する第3方向において、前記ヘッドと前記支持面との間隔を調整する位置調整部と、
前記第1移動部、前記第2移動部及び前記位置調整部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御を行い、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御を行った後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御を行い、前記停止制御から前記第3移動制御までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる調整制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記第2方向における前記干渉検出部の位置を検出する位置検出部を備え、
前記制御部は、前記干渉検出部により干渉が検出されたときの検出位置を前記所定位置として特定する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記第2移動制御を行った後に前記調整制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記停止制御を行った後に前記調整制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記調整制御を行った後に前記第2移動制御を行い、前記干渉検出部を前記所定位置に移動させた結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、前記調整制御を行わない、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記調整制御を行った後に前記第2移動制御を行い、前記干渉検出部を前記所定位置に移動させた結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、再度、前記調整制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記干渉検出部によって干渉が検出されなくなる境界位置よりも、前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる前記調整制御を行い、前記一方向において前記干渉検出部を移動させた結果、前記干渉検出部による干渉の検出が完了したときに、前記ヘッドと前記支持面との間隔が規定間隔となるように前記位置調整部に調整させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記干渉検出部によって干渉が検出されなくなる境界位置から、更に微調整間隔だけ前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる前記調整制御を行い、前記一方向において前記干渉検出部を移動させた結果、前記干渉検出部による干渉の検出が完了したときに、前記規定間隔と前記微調整間隔との差分に基づいて、前記ヘッドと前記支持面との間隔が前記規定間隔となるように前記位置調整部に調整させる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記干渉検出部は、複数系統のセンサーを有し、
前記複数系統のセンサーのそれぞれは、前記ヘッドに対する干渉を検出する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、前記調整制御を行う、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
印刷装置の制御部が、
媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面と平行な第1方向に、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドを移動させる第1方向移動制御処理と、
前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に、前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部を前記ヘッドとともに移動させる第2方向移動制御処理と、
前記第2方向移動制御処理において、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御処理と、
前記第2方向移動制御処理において、前記第1移動制御処理を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御処理と、
前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理の実行後に、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御処理と、
前記第2方向移動制御処理において、前記第2移動制御処理の実行後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御処理と、
前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理から前記第3移動制御処理までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記支持面と交差する第3方向に対して前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように調整させる調整制御処理と、
を実行する、
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、Tシャツなどの媒体に印刷を行う印刷装置が開示されている。このような印刷装置では、筐体の外部において媒体支持部の支持面に媒体が載置された後に、媒体が載置された媒体支持部を水平方向に移動させることによって、筐体の外部から筐体の内部に媒体を移動させることができる。これにより、筐体の外部において支持面に媒体が載置された後に、筐体の外部から筐体の内部に移動した媒体に対して印刷を行うことができる。また、このような印刷装置では、媒体支持部の移動に伴って、ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような印刷装置では、ヘッドに対する干渉が検出された場合に、媒体支持部の移動を停止位置で停止させた後に、媒体支持部を停止位置から初期位置に戻すことにより、再度、ヘッドと支持面との間隔を調整しなくてはいけなかった。このように、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率の向上を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面を有する媒体支持部と、前記支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部と、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部と、前記支持面と平行な第1方向に前記ヘッドを移動させる第1移動部と、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記ヘッドとともに前記干渉検出部を移動させる第2移動部と、前記支持面と交差する第3方向において、前記ヘッドと前記支持面との間隔を調整する位置調整部と、前記第1移動部、前記第2移動部及び前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御を行い、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御を行った後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御を行い、前記停止制御から前記第3移動制御までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる調整制御を行う。
【0006】
上記課題を解決する印刷装置の制御方法は、印刷装置の制御部が、媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面と平行な第1方向に、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドを移動させる第1方向移動制御処理と、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に、前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部を前記ヘッドとともに移動させる第2方向移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第1移動制御処理を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理の実行後に、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第2移動制御処理の実行後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理から前記第3移動制御処理までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記支持面と交差する第3方向に対して前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように調整させる調整制御処理と、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】干渉検出部と支持面とを示す模式図である。
【
図11】干渉検出部と支持面とを示す模式図である。
【
図12】干渉検出処理を示すフローチャートである。
【
図13】干渉検出処理を示すフローチャートである。
【
図14】干渉検出部と支持面とを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、印刷装置及び印刷装置の制御方法の一実施形態について説明する。以下の説明では、鉛直方向Zと交差(例えば直交)する方向を幅方向Xとし、鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を前後方向Yとする。幅方向Xのうち一方を第1幅方向X1とし、幅方向Xのうち他方を第2幅方向X2とする。前後方向Yのうち一方を前方Y1とし、前後方向Yのうち他方を後方Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。幅方向Xが第1方向の一例に相当する。前後方向Yが第2方向の一例に相当する。前方Y1が一方向の一例に相当する。後方Y2が他方向の一例に相当する。鉛直方向Zが第3方向の一例に相当する。
【0009】
<印刷装置10>
図1に示すように、印刷装置10は、媒体に印刷を行うように構成される。印刷装置10は、液体の吐出により媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、例えばTシャツなどの可撓性を有する媒体に印刷を行うように構成されてもよい。印刷装置10は、ユーザーにより内部に媒体が載置されるように構成されてもよい。
【0010】
<筐体11>
印刷装置10は、筐体11を備える。筐体11は、矩形状であってもよい。筐体11は、前方Y1に向かう前面12を備える。筐体11は、後方Y2に向かう背面13を備える。筐体11は、第2幅方向X2に向かう左側面14を備える。筐体11は、第1幅方向X1に向かう右側面15を備える。筐体11は、上方Z1に向かう天面16を備える。筐体11は、下方Z2に向かう底面17を備える。
【0011】
図2及び
図3に示すように、筐体11は、印刷装置10に含まれる各種部材を収容するように構成される。特に、筐体11は、後述する媒体支持部28、液体供給部32、印刷部35及びメンテナンス部47を収容する。
【0012】
筐体11は、筐体フレーム18を備える。筐体フレーム18は、筐体11の外装を構成する。筐体フレーム18は、開口部19を備える。つまり、筐体11は、開口部19を備える。開口部19は、筐体11に収容される各種部材を露出するように構成される。特に、開口部19は、後述する媒体支持部28の支持面29を露出するように構成される。
【0013】
開口部19は、第1開口部20と、第2開口部21とを備える。第1開口部20は、天面16に設けられる。第2開口部21は、前面12に設けられる。第1開口部20と第2開口部21とは、連続するように設けられる。つまり、開口部19は、天面16及び前面12に跨って設けられる。
【0014】
図4に示すように、第1開口部20は、平面視で、前後方向Yに対して前面12と第1位置20Aとの間において開口する。第1位置20Aは、前面12から後方Y2に第1距離D1だけ離れた位置である。第1位置20Aは、背面13から第2距離D2だけ離れた位置である。第1距離D1は、第2距離D2よりも長い。つまり、第1位置20Aは、前後方向Yに対して前面12よりも背面13に近い位置である。前後方向Yに対する前面12と背面13との距離をD0とすると、第1距離D1は、距離D0の半分よりも長い。
【0015】
第1開口部20は、平面視で、幅方向Xに対して第2位置20Bと第3位置20Cとの間で開口する。第1開口部20は、平面視で、幅方向Xに対して第1幅W1に亘って開口する。第1幅W1は、支持面29の第2幅W2よりも長い。このように、第1開口部20は、上方Z1からみて、幅方向Xに対して支持面29よりも長い形状である。
【0016】
特に、第2位置20Bは、上方Z1からみて、支持面29の第1側端部29Aよりも第1幅方向X1側に位置する。第1側端部29Aは、支持面29の第1幅方向X1に対する端部である。第3位置20Cは、上方Z1からみて、支持面29の第2側端部29Bよりも第2幅方向X2側に位置する。第2側端部29Bは、支持面29の第2幅方向X2に対する端部である。このように、第1開口部20は、上方Z1からみて、幅方向Xに対して第1側端部29A及び第2側端部29Bの外側の位置まで開口する。
【0017】
図2及び
図3に示すように、筐体11は、開閉カバー22を備える。開閉カバー22は、開口部19を開閉可能である。開閉カバー22は、剛性確保のために板金により構成されてもよい。開閉カバー22は、第1開閉カバー23を備える。第1開閉カバー23は、平板状である。第1開閉カバー23は、第1開口部20を開閉可能である。
【0018】
開閉カバー22は、第2開閉カバー24を備える。第2開閉カバー24は、平板状である。第2開閉カバー24は、第2開口部21を開閉可能である。第2開閉カバー24は、把持部25を備える。把持部25は、ユーザーにより把持可能である。把持部25は、後述する第2開閉カバー24の他端部24Bに設けられる。
【0019】
印刷装置10は、表示部26と、操作部27とを備える。表示部26は、情報を表示するように構成される。操作部27は、ユーザーによって操作可能に構成される。表示部26と操作部27とは、タッチパネルのように一体に構成されてもよいが、別々に構成されてもよい。表示部26と操作部27とは、天面16に設けられるが、これに限らない。
【0020】
<媒体支持部28>
図4及び
図5に示すように、印刷装置10は、媒体支持部28を備える。媒体支持部28は、媒体を支持するように構成される。媒体支持部28は、支持面29を備える。支持面29は、上方Z1に向かう面である。支持面29は、媒体を支持するように構成される。特に、支持面29は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する面である。
【0021】
媒体支持部28は、支持面29と平行な水平方向に移動しないように構成される。つまり、支持面29は、水平方向に移動しないように構成される。媒体支持部28は、支持面29を鉛直方向Zに対する位置を調整可能である。
【0022】
印刷装置10は、媒体収容部30を備える。媒体収容部30は、筐体11に収容される。媒体収容部30は、少なくとも支持面29の幅方向Xに設けられ、前後方向Yにも設けられてもよい。媒体収容部30は、支持面29に媒体の一部の領域が支持されている場合に、支持面29に支持されていない媒体の一部の領域を収容可能である。
【0023】
特に、媒体収容部30は、収容トレイ31を備える。媒体収容部30は、収容トレイ31により区分された領域を備える。収容トレイ31は、少なくとも支持面29の後方Y2側において媒体収容部30を区画してもよい。
【0024】
<液体供給部32>
印刷装置10は、液体供給部32を備える。液体供給部32は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第2幅方向X2に設けられる。液体供給部32は、左側面14に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。液体供給部32は、後述するヘッド36に液体を供給するように構成される。
【0025】
液体供給部32は、液体収容部33と、液体供給駆動部34とを備える。液体収容部33は、ヘッド36に供給する液体を収容するように構成される。液体収容部33は、着脱可能であるカートリッジ方式であってもよく、液体を補充可能であるタンク方式であってもよい。液体収容部33は、天面が平面であってもよい。
【0026】
液体供給駆動部34は、液体収容部33に収容された液体をヘッド36に供給するために駆動する。液体供給駆動部34は、液体供給ポンプを含んでもよい。液体供給駆動部34は、天面が平面であってもよい。
【0027】
<印刷部35>
印刷装置10は、印刷部35を備える。印刷部35は、媒体に印刷を行うように構成される。特に、印刷部35は、支持面29に支持された媒体に印刷を行うように構成される。
【0028】
印刷部35は、ヘッド36を備える。ヘッド36は、支持面29に支持された媒体に液体を吐出可能である。ヘッド36は、複数のノズル37と、ノズル面38とを備える。ノズル面38は、下方Z2に向かう面である。ノズル面38は、複数のノズル37のそれぞれが開口する面である。複数のノズル37のそれぞれは、液体を吐出可能である。
【0029】
印刷部35は、キャリッジ39を備える。キャリッジ39は、ヘッド36を支持するように構成される。ヘッド36は、シリアルタイプとして構成される。シリアルタイプは、ヘッド36が幅方向Xに移動しながら印刷を行う。
【0030】
印刷部35は、移動部40を備える。移動部40は、キャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、移動部40は、ヘッド36を移動させるように構成される。移動部40は、水平方向にヘッド36を移動させるように構成される。詳しくは、移動部40は、幅方向Xと前後方向Yとにヘッド36を移動させるように構成される。
【0031】
移動部40は、第1移動部41を備える。第1移動部41は、幅方向Xにキャリッジ39を移動させるように構成される。つまり、第1移動部41は、幅方向Xにヘッド36を移動させるように構成される。
【0032】
第1移動部41は、第1ガイド部42を備える。第1ガイド部42は、支持面29を跨いで幅方向Xに延びるように構成される。第1ガイド部42は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動可能なようにガイドする。
【0033】
移動部40は、第2移動部43を備える。第2移動部43は、第1移動部41を支持するように構成される。第2移動部43は、前後方向Yに第1移動部41を移動させるように構成される。つまり、第2移動部43は、前後方向Yにヘッド36を移動させるように構成される。
【0034】
また、第2移動部43は、前後方向Yに後述する干渉検出部62を移動させるように構成される。つまり、第2移動部43は、前後方向Yにヘッド36とともに、後述する干渉検出部62を移動させるように構成される。
【0035】
第2移動部43は、一対の第2ガイド部44を備える。一対の第2ガイド部44は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の第2ガイド部44のそれぞれは、前後方向Yに延びるように構成される。
【0036】
第2移動部43は、一対の支持部45を備える。一対の支持部45は、媒体支持部28を挟んで媒体支持部28の第1幅方向X1と第2幅方向X2とに設けられる。一対の支持部45のそれぞれは、第1移動部41を支持するように構成される。一対の支持部45は、対応する一対の第2ガイド部44に沿って前後方向Yに移動可能である。このように、移動部40は、ヘッド36を搭載し、かつ、媒体支持部28を跨いで水平方向に移動可能である。移動部40は、正面視において門型に構成される。
【0037】
印刷装置10は、干渉検出部62を備える。干渉検出部62は、ヘッド36のノズル面38よりも僅かに下方Z2において、ヘッド36と干渉する可能性のある干渉物の有無を検出する。つまり、干渉検出部62は、ヘッド36に対する干渉を検出するように構成される。干渉検出部62は、投光部62Aと受光部62Bとを備えてもよい。投光部62Aと受光部62Bとは、それぞれ一対の支持部45に設けられてもよい。
【0038】
干渉検出部62は、ヘッド36よりも前方Y1に位置する。このため、干渉検出部62は、第2移動部43によりヘッド36とともに前方Y1に移動することにより、ヘッド36に対して実際に干渉物が干渉する前に、ヘッド36に対する干渉を検出することができる。
【0039】
移動部40は、移動範囲46内でヘッド36を移動可能である。ヘッド36の移動範囲46は、対向位置と退避位置とを含む。対向位置は、ノズル面38が支持面29と対向する位置である。退避位置は、ノズル面38が支持面29と対向しない位置である。退避位置は、待機位置を含む。待機位置は、印刷が行われていないときにヘッド36が配置される位置である。待機位置は、印刷指示を受け取る前の初期位置である。待機位置は、移動範囲46のうち、第1幅方向X1側であって、後方Y2側に位置してもよい。また、退避位置は、メンテナンス位置を含む。メンテナンス位置は、ノズル面38が、後述するメンテナンス部47と対向する位置である。つまり、ヘッド36の移動範囲46は、メンテナンス位置を含む。
【0040】
<メンテナンス部47>
印刷装置10は、メンテナンス部47を備える。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30よりも第1幅方向X1に設けられる。メンテナンス部47は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。メンテナンス部47は、ヘッド36をメンテナンスするように構成される。
【0041】
図4に示すように、メンテナンス部47は、フラッシング部48を備える。フラッシング部48は、ヘッド36から吐出される液体を受けるように構成される。フラッシング部48は、前後方向Yに延びるように構成されるが、ノズル面38と対向するように前後方向Yに移動可能であってもよい。フラッシング部48は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。
【0042】
メンテナンス部47は、払拭部49を備える。払拭部49は、ノズル面38を払拭可能である。払拭部49は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。
【0043】
メンテナンス部47は、吸引部50を備える。吸引部50は、ヘッド36から液体を吸引するように構成される。吸引部50は、ヘッド36から液体を吸引する吸引ポンプを備えてもよい。吸引部50は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。
【0044】
図5に示すように、メンテナンス部47は、廃液タンク51を備える。廃液タンク51は、フラッシング部48によって受けた液体を貯留するように構成される。廃液タンク51は、吸引部50によって吸引された液体を貯留するように構成される。廃液タンク51は、媒体支持部28及び媒体収容部30に対して鉛直方向Zに重ならない位置に配置される。廃液タンク51は、フラッシング部48と鉛直方向Zに重なる位置に配置される。廃液タンク51は、払拭部49と鉛直方向Zに重なる位置に配置される。廃液タンク51は、吸引部50と鉛直方向Zに重なる位置に配置される。
【0045】
<制御基板52及び電源ユニット54>
図4に示すように、印刷装置10は、制御基板52を備える。制御基板52は、筐体11に収容される。制御基板52は、背面13に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。制御基板52は、印刷装置10を制御するための各種の電子部品が実装される基板である。
【0046】
制御基板52は、制御部53を備える。制御部53は、印刷装置10を制御する。制御部53は、印刷装置10で実行される各種動作を制御する。制御部53は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0047】
印刷装置10は、電源ユニット54を備える。電源ユニット54は、筐体11に収容される。電源ユニット54は、右側面15に対する内壁面に沿うように設けられてもよい。電源ユニット54は、印刷装置10に電源を供給するように構成される。
【0048】
<印刷装置10の電気的構成>
次に、
図6を参照して、印刷装置10の電気的構成について説明する。
図6に示すように、印刷装置10は、第1駆動部55を備える。第1駆動部55は、キャリッジ39を幅方向Xに沿って移動させる駆動源である。第1駆動部55は、第1移動部41に備えられてもよい。
【0049】
印刷装置10は、第2駆動部56を備える。第2駆動部56は、第1移動部41を前後方向Yに沿って移動させる駆動源である。第2駆動部56は、第2移動部43に備えられてもよい。
【0050】
印刷装置10は、待機位置検出部57を備える。待機位置検出部57は、ヘッド36が待機位置に配置されていることを検出可能である。待機位置検出部57は、第1移動部41に備えられてもよい。
【0051】
印刷装置10は、第1移動位置検出部58を備える。第1移動位置検出部58は、幅方向Xに移動するヘッド36が配置されている幅方向Xにおける位置を検出可能である。第1移動位置検出部58は、第1移動部41に備えられてもよい。
【0052】
印刷装置10は、前方位置検出部59を備える。前方位置検出部59は、ヘッド36が最前方位置に配置されていることを検出可能である。前方位置検出部59は、第2移動部43に備えられてもよい。
【0053】
印刷装置10は、後方位置検出部60を備える。後方位置検出部60は、ヘッド36が最後方位置に配置されていることを検出可能である。後方位置検出部60は、第2移動部43に備えられてもよい。
【0054】
印刷装置10は、第2移動位置検出部61を備える。第2移動位置検出部61は、ヘッド36が配置されている前後方向Yにおける位置を検出可能である。第2移動位置検出部61は、第2移動部43に備えられてもよい。つまり、第2移動位置検出部61は、前後方向Yにおけるヘッド36の位置を検出する。また、第2移動位置検出部61は、前後方向Yにおける干渉検出部62の位置を検出するともいえる。第2移動位置検出部61が位置検出部の一例に相当する。
【0055】
印刷装置10は、位置調整部63を備える。位置調整部63は、鉛直方向Zに対して支持面29の位置を調整するように構成される。つまり、位置調整部63は、鉛直方向Zにおいて、ヘッド36と支持面29との間隔を調整するように構成される。位置調整部63は、媒体支持部28に備えられてもよい。位置調整部63は、鉛直方向Zに対して収容トレイ31の位置を調整するように構成されてもよい。
【0056】
印刷装置10は、調整位置検出部64を備える。調整位置検出部64は、支持面29の鉛直方向Zにおける位置を検出可能である。つまり、調整位置検出部64は、支持面29とノズル面38との間隔を検出するように構成される。調整位置検出部64は、媒体支持部28に備えられてもよい。
【0057】
印刷装置10は、開閉検出部65を備える。開閉検出部65は、第1開閉カバー23の開閉状態を検出可能である。つまり、開閉検出部65は、開閉カバー22の開閉状態を検出可能である。開閉検出部65は、天面16に対する内壁面に設けられるが、これに限らない。
【0058】
制御部53は、表示部26、ヘッド36、第1駆動部55、第2駆動部56、位置調整部63、液体供給駆動部34及びメンテナンス部47と接続されている。制御部53は、表示部26に各種画像を表示させる。制御部53は、駆動信号を供給することにより、ヘッド36、第1駆動部55、第2駆動部56、位置調整部63、液体供給駆動部34及びメンテナンス部47を制御する。特に、制御部53は、第1駆動部55を制御することにより、第1移動部41を制御し、第2駆動部56を制御することにより、第2移動部43を制御する。
【0059】
制御部53は、操作部27、待機位置検出部57、第1移動位置検出部58、前方位置検出部59、後方位置検出部60、第2移動位置検出部61、干渉検出部62、調整位置検出部64及び開閉検出部65と接続される。制御部53は、操作部27から操作信号を受信可能である。制御部53は、待機位置検出部57、第1移動位置検出部58、前方位置検出部59、後方位置検出部60、第2移動位置検出部61、干渉検出部62、調整位置検出部64及び開閉検出部65から検出信号を受信可能である。
【0060】
制御部53は、操作信号及び検出信号に基づいて、各種の制御を行う。具体的な一例をあげると、制御部53は、印刷が行われているときに、開閉検出部65によって開閉カバー22が開放されたと検出されたときに、印刷を中止してもよい。
【0061】
<印刷制御処理>
ここで、
図7を参照して印刷制御処理について説明する。印刷制御処理は、所定の周期毎に制御部53によって実行される処理である。ここで、各処理の順序は、各処理の目的から逸脱しない範囲で任意に入れ替え可能である。
【0062】
図7に示すように、ステップS11において、制御部53は、印刷条件が成立したか否かを判定する。この処理において、制御部53は、印刷が行われていない場合においてユーザーからの印刷指示を受け取ることにより、印刷条件が成立したと判定する。制御部53は、印刷条件が成立していないと判定した場合に、印刷制御処理を終了する。一方、制御部53は、印刷条件が成立したと判定した場合に、ステップS12に処理を移行する。
【0063】
ステップS12において、制御部53は、干渉検出処理を実行する。詳しくは後述するが、この処理において、制御部53は、ヘッド36とともに干渉検出部62を前方Y1に移動させるとともに、干渉検出部62による検出結果に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔を調整するように位置調整部63を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS13に処理を移行する。
【0064】
ステップS13において、制御部53は、干渉検出に関するエラーが発生したか否かを判定する。干渉検出に関するエラーは、干渉エラーを含んでもよい。干渉エラーは、干渉検出部62による検出結果に基づいて、ヘッド36に対する干渉を検出したときのエラーである。干渉検出に関するエラーは、未載置エラーを含んでもよい。未載置エラーは、干渉検出部62による検出結果に基づいて、支持面29に媒体が載置されていないと検出したときのエラーである。
【0065】
制御部53は、干渉検出に関するエラーが発生していたと判定した場合、エラー時処理を実行した後に、印刷制御処理を終了する。制御部53は、エラー時処理として、エラーに関するエラー画像を表示部26に表示する。制御部53は、エラー時処理として、ヘッド36を待機位置に移動させるように第1駆動部55及び第2駆動部56を制御してもよいが、これに限らない。一方、制御部53は、干渉検出に関するエラーが発生していないと判定した場合、ステップS14に処理を移行する。
【0066】
ステップS14において、制御部53は、印刷処理を実行する。この処理において、制御部53は、第1移動部41によりヘッド36を幅方向Xに移動させるように第1駆動部55を制御するとともに、印刷指示に含まれる画像データに基づいて、媒体に印刷を行うようにヘッド36を制御する。これにより、制御部53は、1パス分の印刷を行う。制御部53は、ヘッド36を予め定めた距離だけ後方Y2に移動させるように第2駆動部56を制御する。このように、制御部53は、ヘッド36を幅方向X及び後方Y2に移動させることにより、1パス毎に印刷を行う。そして、制御部53は、ヘッド36が最後方に到達するまで、ヘッド36を後方Y2及び幅方向Xに移動させ、媒体に印刷を行うようにヘッド36を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS15に処理を移行する。
【0067】
ステップS15において、制御部53は、ユーザーからの印刷指示に基づいて、2層目以降の残印刷があるか否かを判定する。2層目以降の印刷としては、例えば、1層目の印刷として白色の下地印刷を媒体に行った後に行われる。1層目の印刷としては、白色の下地印刷ではなく、単色または複数色の図柄等を印刷してもよい。2層目以降の印刷としては、単色または複数色の図柄等を印刷してもよいし、再度、白色の下地印刷を行ってもよい。2層目以降の印刷は、1層目の印刷や他の2層目以降の印刷と重なる位置に行ってもよいし、重ならない位置に行ってもよい。制御部53は、残印刷があると判定した場合、再度、ステップS12に処理を移行する。一方、制御部53は、残印刷がないと判定した場合、ステップS16に処理を移行する。このように、制御部53は、残印刷がないと判定されるまで、ステップS11~S14を実行可能である。
【0068】
ステップS16において、制御部53は、載置位置調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、支持面29を上方Z1に移動させることにより支持面29を載置位置まで移動させるように位置調整部63を制御する。この処理が終了した場合、制御部53は、印刷制御処理を終了する。
【0069】
このように、制御部53は、駆動条件が成立したときに、支持面29が載置位置となるように位置調整部63を駆動させる。駆動条件は、印刷が行われておらず、ヘッド36が退避位置に配置されているときに成立する。これにより、位置調整部63は、印刷が行われていない場合において、ヘッド36が退避位置に配置されているときに、鉛直方向Zに対してノズル面38よりも高い位置に支持面29を移動可能である。つまり、位置調整部63は、印刷が行われていない場合において、ヘッド36が退避位置に配置されているときに、移動範囲外から移動範囲内に支持面29を移動可能である。
【0070】
また、制御部53は、印刷制御処理の実行中において所定の制御期間毎にフラッシングを行うようにヘッド36及びメンテナンス部47を制御する。特に、制御部53は、少なくとも干渉検出処理の実行中において所定の制御期間毎にフラッシングを行うようにヘッド36及びメンテナンス部47を制御する。所定の制御期間は、例えば、数十秒であってもよい。
【0071】
<干渉検出処理>
次に、
図8を参照して干渉検出処理について説明する。干渉検出処理は、ステップS12において制御部53によって呼び出される処理である。
【0072】
図8に示すように、ステップS21において、制御部53は、前方移動制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、ヘッド36を前方Y1に移動させるように第2駆動部56を制御する。この処理に続けて、制御部53は、ステップS22に処理を移行する。
【0073】
ステップS22において、制御部53は、干渉検出部62からの検出信号に基づいて、ヘッド36に対する干渉を検出したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出していないと判定した場合に、ステップS23~S29を実行せずに、ステップS30に処理を移行する。一方、制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出したと判定した場合に、ステップS23に処理を移行する。
【0074】
ステップS23において、制御部53は、現在に実行されている干渉検出処理が初回処理であるか否かを判定する。制御部53は、1層目の印刷を媒体に行う前においては、干渉検出処理が初回処理であると判定し、2層目以降の印刷を媒体に行う前においては、干渉検出処理が初回処理ではないと判定する。制御部53は、現在に実行されている干渉検出処理が初回処理ではないと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。一方、制御部53は、現在に実行されている干渉検出処理が初回処理であると判定した場合、ステップS25に処理を移行する。
【0075】
ステップS24において、制御部53は、干渉エラー処理を実行する。この処理において、制御部53は、干渉エラーであると判定する。詳しくは、制御部53は、2回目以降の干渉検出処理においてヘッド36に対する干渉を検出したときには、支持面29に載置されている媒体ではない干渉物が検出されたとして干渉エラーであると判定する。この処理が終了した場合、制御部53は、干渉検出処理を終了する。これにより、
図7のステップS13において、制御部53は、干渉エラーが発生したと判定する。
【0076】
ステップS25において、制御部53は、停止制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、ヘッド36を前方Y1に移動させている第2駆動部56を停止させるように制御する。第2駆動部56が停止すると、第2移動部43は、制動距離を移動した後に停止する。制動距離は、干渉を検出した検出位置から実際に停止する停止位置までの距離に相当する。制動距離は、ヘッド36及び干渉検出部62の移動速度及び第2駆動部56の特性により変わり、異なる。このように、制御部53は、前後方向Yのうち前方Y1に干渉検出部62を移動させた結果、干渉検出部62によりヘッド36に対する干渉が検出された場合、干渉検出部62を停止位置で停止させる停止制御を行う。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS26に処理を移行する。
【0077】
ステップS26において、制御部53は、検知位置移動制御処理を実行する。この処理において、制御部53は、第2移動部43によりヘッド36を制動距離だけ後方Y2に移動させた後に停止させるように第2駆動部56を制御する。このように、制御部53は、前後方向Yのうち前方Y1に干渉検出部62を移動させた結果、干渉検出部62によりヘッド36に対する干渉が検出された場合、停止制御を行った後に、後方Y2に対して検出位置まで干渉検出部62を移動させる制御を行う。つまり、制御部53は、干渉検出部62により干渉が検出されたときの検出位置を、後方Y2に対して干渉検出部62を戻す位置として特定する。このような検出位置が所定位置の一例に相当する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS27に処理を移行する。
【0078】
ステップS27において、制御部53は、干渉検出部62からの検出信号に基づいて、ヘッド36に対する干渉を検出したか否かを判定する。つまり、制御部53は、ステップS22においてヘッド36に対する干渉を検出したと判定した場合、停止位置から検出位置に戻り、再度、ヘッド36に対する干渉を検出したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出したと判定した場合に、ステップS28に処理を移行する。一方、制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出していないと判定した場合に、ステップS29に処理を移行する。
【0079】
ステップS28において、制御部53は、間隔調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、干渉が検出されなくなる境界位置まで、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部63を制御する。そして、制御部53は、干渉が検出されなくなる境界位置から、微調整間隔だけ支持面29を下方Z2に移動させ、停止させるように位置調整部63を制御する。微調整間隔は、支持面29を移動させているときに、干渉検出部62により干渉が検出されなくなってから、支持面29を実際に停止させるまでに必要な間隔よりも大きい。微調整間隔は、再度、干渉検出部62を前方Y1に移動させた場合に、干渉検出部62により干渉が検出される頻度を高くしないために微調整される間隔であってもよい。このように、制御部53は、干渉が検出されなくなる境界位置から更に微調整間隔だけ余分にヘッド36と支持面29との間隔を広げるように支持面29を下方Z2に移動させる。
【0080】
このように、制御部53は、検出位置において干渉が検出されなくなる境界位置から、更に微調整間隔だけヘッド36と支持面29との間隔を広げるように位置調整部63に調整させる調整制御を行う。つまり、制御部53は、検出位置において干渉が検出されなくなる境界位置よりも、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように位置調整部63に調整させる調整制御を行う。
【0081】
また、制御部53は、微調整間隔をメモリーに記憶する。特に、制御部53は、既に微調整間隔がメモリーに記憶されている状態で、更に干渉検出部62により干渉が検出された結果、ステップS28を実行する場合、微調整間隔を上書きするようにメモリーに記憶する。これにより、制御部53は、ステップS28を実行する場合、最新の微調整間隔を記憶する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS30に処理を移行する。
【0082】
ステップS29において、制御部53は、間隔微調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、微調整間隔だけ支持面29を下方Z2に移動させ、停止させるように位置調整部63を制御する。このように、制御部53は、検出位置において干渉が検出されなかった場合であっても、微調整間隔だけ余分にヘッド36と支持面29との間隔を広げるように、支持面29を下方Z2に移動させる。
【0083】
このように、制御部53は、検出位置において干渉が検出されなかった場合であっても、微調整間隔だけヘッド36と支持面29との間隔を広げるように位置調整部63に調整させる調整制御を行う。
【0084】
また、制御部53は、微調整間隔をメモリーに記憶する。特に、制御部53は、既に微調整間隔がメモリーに記憶されている状態で、更に干渉検出部62により干渉が検出された結果、ステップS29を実行する場合、微調整間隔を更に加算するようにメモリーに記憶する。これにより、制御部53は、ステップS29を実行する場合、累積した微調整間隔を記憶する。この処理が終了した場合、制御部53は、ステップS30に処理を移行する。
【0085】
ステップS30において、制御部53は、前方位置検出部59からの検出信号に基づいて、ヘッド36が最前方に到達したか否かを判定する。つまり、制御部53は、ヘッド36が最後方位置から最前方位置に到達するまで、ヘッド36とともに干渉検出部62を前方Y1に移動させることにより、ヘッド36に対する干渉の検出処理が完了したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36が最前方に到達していないと判定した場合に、再度、ステップS21に処理を移行する。一方、制御部53は、ヘッド36が最前方に到達したと判定した場合に、ステップS31に処理を移行する。
【0086】
このように、制御部53は、ヘッド36が最前方に到達するまで、ヘッド36とともに干渉検出部62を前方Y1に移動させ、ヘッド36に対する干渉が検出されないように位置調整部63を制御する。
【0087】
ステップS22において干渉検出部62により干渉が検出される前に、ステップS21において前方Y1に干渉検出部62を移動させる制御が第1移動制御の一例に相当する。第1移動制御を行った結果、ステップS22において干渉検出部62により干渉が検出された場合、ステップS25において干渉検出部62を停止位置で停止させる制御が停止制御の一例に相当する。ステップS26において、後方Y2に対して検出位置まで干渉検出部62を移動させる制御が第2移動制御の一例に相当する。ステップS22において干渉検出部62により干渉が検出された場合、ステップS25,S26を実行した後に、再度、ステップS21において前方Y1に干渉検出部62を移動させる制御が第3移動制御の一例に相当する。
【0088】
このように、制御部53は、第1移動制御を行った結果、干渉検出部62により干渉が検出された場合、停止制御を行った後に第2移動制御を行い、第2移動制御を行った後に第3移動制御を行う。そして、制御部53は、停止制御から第3移動制御までの間において、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように位置調整部63に調整させる調整制御を行う。特に、制御部53は、第2移動制御を行った後に調整制御を行い、調整制御を行った後に第3移動制御を行う。
【0089】
ステップS31において、制御部53は、支持面29に媒体が未載置であるか否かを判定する。ヘッド36が最後方に位置するときに、ヘッド36と支持面29との間隔は、僅かな間隔しかない。このため、支持面29に媒体が載置されている場合、ヘッド36が最後方から最前方に移動するまでに、ヘッド36に対する干渉があったと検出される。このように、制御部53は、ヘッド36が最後方から最前方に移動するまでに、ステップS22においてヘッド36に対する干渉があったと検出されなかったときに、支持面29に媒体が未載置であると判定する。
【0090】
制御部53は、支持面29に媒体が未載置ではないと判定した場合、ステップS32に処理を移行する。一方、制御部53は、支持面29に媒体が未載置であると判定した場合、ステップS33に処理を移行する。
【0091】
ステップS32において、制御部53は、印刷位置調整処理を実行する。この処理において、制御部53は、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部63を制御する。特に、制御部53は、規定間隔と、メモリーに記憶した微調整間隔との差分だけ、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部63を制御する。規定間隔は、印刷位置として規定されている間隔である。微調整位置は、ステップS28,S29において下方Z2に余分に微調整された間隔である。つまり、制御部53は、ステップS28,S29において、干渉が検出されなくなる境界位置から微調整間隔だけ調整されている。このため、制御部53は、規定間隔と微調整間隔との差分だけ、支持面29を下方Z2に移動させるように位置調整部63を制御する。
【0092】
このように、制御部53は、干渉検出部62による干渉の検出が完了したときに、規定間隔と微調整間隔との差分に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように位置調整部63に調整させる。つまり、制御部53は、前方Y1において干渉検出部62を移動させた結果、干渉検出部62による干渉の検出が完了したときに、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように位置調整部63に調整させる。この処理が終了した場合、制御部53は、干渉検出処理を終了する。
【0093】
ステップS33において、制御部53は、未載置エラー処理を実行する。この処理において、制御部53は、未載置エラーであると判定する。この処理が終了した場合、制御部53は、干渉検出処理を終了する。これにより、
図7のステップS13において、制御部53は、未載置エラーが発生したと判定する。
【0094】
<第1実施形態の作用>
第1実施形態の作用について説明する。
印刷装置10では、電源が投入されると、ヘッド36が待機位置に配置されている状態で、支持面29が載置位置に配置される。これにより、支持面29は、ヘッド36の移動範囲46内に配置されるように上昇する。
【0095】
開口部19が開放し、かつ、支持面29が載置位置に配置された状態で、ユーザーは、媒体を前方Y1側から支持面29に容易に載置することができる。この場合、媒体の少なくとも印刷領域が支持面29により支持される。また、支持面29により支持されない媒体の一部の領域が媒体収容部30に収容される。
【0096】
開口部19が閉鎖した状態で印刷指示が入力されると、ヘッド36及び干渉検出部62の前方Y1への移動に伴って、位置調整部63は、干渉が検出されなくなる境界位置まで支持面29が下方Z2に移動する。これにより、支持面29が印刷位置に配置される。
【0097】
詳しくは、
図9に示すように、干渉検出部62は、支持面29に載置されている媒体99に凹凸がある状態であるときに、前方Y1への移動に伴ってヘッド36に対する干渉が検出される。このような場合、
図10に示すように、干渉検出部62は、干渉が検出された検出位置よりも前方Y1の停止位置に停止する。停止位置は、検出位置よりも制動距離だけ前方Y1に位置する。
図10において、制動距離は、符号D11により示される。
【0098】
そして、
図11に示すように、干渉検出部62は、後方Y2に対して停止位置から検出位置に移動した後、ヘッド36に対する干渉が検出された場合に、支持面29は、干渉が検出されないように高さH10だけ下方Z2に移動する。特に、支持面29は、干渉が検出されなくなる境界位置まで高さH11だけ下方Z2に移動し、更に、干渉が検出されなくなる境界位置から微調整間隔だけ下方Z2に移動する。
図11において、微調整間隔は、符号H12により示される。
【0099】
一方、停止位置から検出位置に移動した後、ヘッド36に対する干渉が検出されなかった場合に、支持面29は、微調整間隔だけ下方Z2に移動する。その後、ヘッド36及び干渉検出部62は、前方Y1への移動を再開する。
【0100】
これにより、ヘッド36が最前方位置に到着し、ヘッド36に対する干渉の検出が完了した場合に、微調整間隔に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように支持面29が移動する。これにより、支持面29が印刷位置に配置される。
【0101】
次に、ヘッド36の後方Y2への移動に伴って、印刷が行われる。これにより、印刷部35は、ヘッド36が支持面29に衝突することなく、支持面29に載置された媒体に印刷を行うことができる。
【0102】
印刷が終了すると、ヘッド36が待機位置に配置された状態で、位置調整部63は、支持面29が印刷位置から載置位置に移動する。これにより、位置調整部63は、印刷が行われていない場合には、印刷が行われている場合よりも上方Z1に支持面29の位置を調整することができる。
【0103】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御部53は、前方Y1に干渉検出部62を移動させた結果、干渉検出部62により干渉が検出された場合、干渉検出部62を停止位置に停止させる停止制御を行う。そして、制御部53は、停止位置から、後方Y2に対して検出位置まで干渉検出部62を移動させた後に、再度、前方Y1に干渉検出部62を移動させる。制御部53は、停止制御から第3移動制御までの間において、干渉検出部62による検出結果に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整させる調整制御を行う。このため、制御部53は、干渉が検出された場合であっても、干渉検出部62を停止位置に停止させてから、干渉検出部62を後方Y2に戻した後、前方Y1に干渉検出部62を移動させるまでの間に、調整制御を行うことができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0104】
(1-2)制御部53は、干渉検出部62により干渉が検出されたときの検出位置を所定位置として特定する。このため、制御部53は、干渉が検出された場合であっても、干渉検出部62を停止位置に停止させてから、干渉検出部62を検出位置に戻した後、前方Y1に干渉検出部62を移動させるまでの間に調整制御を行うことができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0105】
(1-3)特に、干渉検出部62を待機位置まで戻すことなく、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整することができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0106】
(1-4)制御部53は、干渉検出部62を停止位置から検出位置に戻す第2移動制御を行った後に調整制御を行う。このため、制御部53は、前方Y1に干渉検出部62を移動させた結果、干渉が検出された場合であっても、干渉検出部62を停止位置から後方Y2に戻した後に、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整することができる。これにより、停止位置ではなく、停止位置よりも後方Y2の検出位置において、干渉検出部62による検出結果に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整することができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0107】
(1-5)特に、ヘッド36に対する干渉が検出された場合に、干渉検出部62の移動を即座に停止させることはできない。このため、ヘッド36に対する干渉が検出された検知位置のほうが、干渉検出部62が停止する停止位置よりも、干渉の検出についての確実性が高くなる。したがって、ヘッド36に対する干渉の検出精度を向上させることができる。
【0108】
(1-6)制御部53は、ヘッド36と支持面29との間隔を広げる際に、干渉検出部62により干渉が検出されなくなる境界位置から、更にヘッド36と支持面29との間隔を広げても、干渉が検出されなかった位置まで干渉検出部62を戻さない。制御部53は、ヘッド36とともに干渉検出部62を前方Y1に移動させた結果、ヘッド36が最前方位置に到達した場合に、干渉の検出を完了する。そして、制御部53は、干渉の検出が完了した場合に、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるようにヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整する。このため、ヘッド36と支持面29との間隔については、干渉検出部62の前後方向Yへの移動とは異なり、干渉が検出されなくなった境界位置まで干渉検出部62を戻さない。特に、干渉の検出が完了したときに、干渉検出部62を戻さないことを考慮して、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように、ヘッド36と支持面29との間隔を調整することができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0109】
(1-7)制御部53は、ヘッド36とともに干渉検出部62を前方Y1に移動させた結果、ヘッド36が最前方位置に到達した場合に、規定間隔と微調整間隔との差分に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように調整する。このため、ヘッド36と支持面29との間隔については、干渉検出部62の前後方向Yへの移動とは異なり、干渉が検出されなくなる境界位置から、更に微調整間隔だけ干渉検出部62を移動させる。特に、ヘッド36に対する干渉の検出が完了したときに、規定間隔と、余分に広がっている微調整間隔との差分に基づいて、ヘッド36と支持面29との間隔が規定間隔となるように、ヘッド36と支持面29との間隔が調整される。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0110】
(1-8)制御部53は、検出位置においてヘッド36に対する干渉を検出した場合に、干渉が検出されなくなる境界位置から更に微調整間隔だけ余分にヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整する。このため、干渉検出部62により干渉が検出される回数を減少させることができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0111】
(1-9)制御部53は、検出位置においてヘッド36に対する干渉を検出しなかった場合に、微調整間隔だけヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整する。このため、干渉検出部62により干渉が検出される回数を減少させることができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0112】
(1-10)媒体支持部28は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面29を有する。媒体収容部30は、支持面29に支持されていない媒体の一部の領域を収容可能である。媒体支持部28は、支持面29と平行な方向に移動しないように構成される。移動部40は、支持面29と平行な方向にヘッド36を移動させる。従来においては、媒体を載置するためにトレイを筐体の外部まで移動させなければならず、トレイを筐体の外部まで安定して移動させるための機構が必要となり、印刷装置の大型化を招いていた。そこで、上記構成とすることで、支持面29と平行な方向に支持面29を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。特に、媒体収容部30を備える構成を前提とした場合であっても、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0113】
(1-11)第1移動部41は、幅方向Xにヘッド36を移動させ、第2移動部43は、前後方向Yにヘッド36を移動させる。このため、ヘッド36を幅方向Xと前後方向Yとに移動させることができ、支持面29と平行な方向に支持面29を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0114】
(1-12)移動部40は、筐体11に収容される。このため、移動部40が筐体11に収容された状態でヘッド36を水平な方向に移動させることができ、水平な方向に対してヘッド36と支持面29との相対的な位置関係を変えることが可能である。これにより、支持面29と平行な方向に支持面29を移動させる構成を備える必要がない。したがって、印刷装置10の小型化を図ることができる。
【0115】
(1-13)開口部19は、鉛直方向Zからみて、幅方向Xに対して支持面29よりも長い形状である。このため、支持面29に媒体を載置する際に、幅方向Xに対する媒体の取り扱いが容易となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0116】
(1-14)筐体11は、媒体支持部28及び印刷部35を収容する。位置調整部63は、印刷が行われていない場合において、ノズル面38が支持面29と対向しない退避位置にヘッド36が配置されているときに、ヘッド36の移動範囲46外から移動範囲46内に支持面29を移動可能である。従来において、媒体を載置するためにトレイを筐体の外部まで移動させなければならなかった。このため、媒体を載置するためのスペースを筐体の外部に確保しなければならなかった。これにより、印刷装置を設置するための設置スペースを十分に取る必要があった。そこで、上記構成とすることで、媒体支持部28及び印刷部35が筐体11に収容されるため、媒体を載置するためのスペースを筐体11の外部に確保する必要がない。したがって、印刷装置10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0117】
(1-15)また、これに加えて、印刷が行われておらず、かつ、ヘッド36が退避位置に配置されているときであれば、支持面29をヘッド36の移動範囲46外から移動範囲46内まで移動させることができる。したがって、支持面29に媒体を載置する際に、媒体の取り扱いが容易となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。また、印刷装置10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0118】
(1-16)筐体11は、支持面29を露出する開口部19を有する。このため、筐体11の外部から開口部19を介して、筐体11に収容されている支持面29に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0119】
(1-17)筐体11は、開口部19を開閉可能である開閉カバー22を有する。このため、開閉カバー22により開口部19が開放されることにより、筐体11の外部から開口部19を介して、筐体11に収容されている支持面29に媒体を載置することができ、ユーザーの操作性を向上させることができる。一方、開閉カバー22により開口部19が閉鎖されることにより、開口部19を介して筐体11の外部から筐体11の内部に異物が入ることを抑制することができる。
【0120】
(1-18)ヘッド36の移動範囲46は、ノズル面38がメンテナンス部47と対向する位置を含む。このため、メンテナンス部47と対向する位置にノズル面38を移動させることにより、ノズル面38のメンテナンスを行うことができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0121】
(1-19)メンテナンス部47は、ヘッド36から吐出される液体を受けるフラッシング部48を有する。このため、フラッシング部48と対向する位置にノズル面38を移動させることにより、ヘッド36から吐出される液体を受け取ることができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0122】
(1-20)メンテナンス部47は、ノズル面38を払拭可能である払拭部49を有する。このため、払拭部49と対向する位置にノズル面38を移動させることにより、ノズル面38を払拭することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0123】
(1-21)位置調整部63は、印刷が行われていない場合において、ヘッド36が退避位置に配置されているときに、鉛直方向Zに対してノズル面38よりも高い位置に支持面29を移動可能である。このため、印刷が行われておらず、かつ、ヘッド36が退避位置に配置されているときであれば、支持面29をノズル面38よりも高い位置に移動させることができる。したがって、支持面29に媒体を載置する際に、ユーザーは筐体11内の第1開口部20により近い位置での作業が可能なため、媒体の取り扱いが容易となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0124】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、制御部53は、停止制御を行った後にヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整させる調整制御を行い、第2移動制御を行ってもよい。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0125】
図12に示すように、第2実施形態において、干渉検出処理では、制御部53は、ステップS25を実行した後に、ステップS27に処理を移行する。これにより、制御部53は、停止制御を行った後に調整制御を行う。
【0126】
また、制御部53は、ステップS28,S29が終了した後に、ステップS26に処理を移行する。制御部53は、ステップS26が終了した後に、ステップS30に処理を移行する。このように、制御部53は、干渉検出部62を検出位置に移動させた結果、ヘッド36に対する干渉の検出自体を行わず、第3移動制御を行う。つまり、制御部53は、干渉検出部62を検出位置に移動させた結果、干渉が検出された場合であっても調整制御を行わない。
【0127】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)制御部53は、停止制御を行った後に調整制御を行う。このため、制御部53は、前方Y1に干渉検出部62を移動させた結果、干渉が検出された場合であっても、干渉検出部62を停止位置に停止させた後に、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整することができる。一般的に、前方Y1に向かって媒体が上り傾斜となるように支持面29に支持されている場合、検出位置よりも停止位置のほうがヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整する必要がある頻度が高い。特に、可撓性を有する媒体の場合、検出位置から連続的に上り傾斜している可能性が高い。このため、干渉検出部62を停止位置に停止させた後に、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整することにより、干渉検出部62により干渉が検出される回数を減少させることができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0128】
(2-2)制御部53は、調整制御を行った後に第2移動制御を行い、干渉検出部62を検出位置に移動させた結果、干渉が検出された場合であっても、調整制御を行わない。このため、停止位置において調整制御が行われた後、検出位置において干渉が検出された場合であっても、調整制御を行わない。これにより、制御部53が調整制御を行う機会自体を減少させることができる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0129】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、制御部53は、停止制御を行った後にヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整させる調整制御を行い、第2移動制御を行った結果、検出位置において干渉が検出された場合、再度、調整制御を行ってもよい。
【0130】
図13に示すように、第3実施形態において、干渉検出処理では、制御部53は、ステップS26が終了した後に、ステップS34に処理を移行する。ステップS34において、制御部53は、ステップS22と同じように、干渉検出部62からの検出信号に基づいて、ヘッド36に対する干渉を検出したか否かを判定する。制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出していないと判定した場合に、ステップS35を実行せずに、ステップS30の処理を移行する。一方、制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出したと判定した場合に、ステップS35に処理を移行する。ステップS35において、制御部53は、ステップS28と同じように、間隔調整処理を実行する。これにより、制御部53は、干渉検出部62を検出位置に移動させた結果、干渉が検出された場合、再度、調整制御を行う。
【0131】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)制御部53は、ヘッド36と支持面29との間隔を広げるように調整させる調整制御を行った後に第2移動制御を行い、干渉検出部62を検出位置に移動させた結果、干渉が検出された場合、再度、調整制御を行う。このため、停止位置において調整制御が行われた後、検出位置において干渉が検出された場合、再度、調整制御を行うことができる。これにより、制御部53が調整制御を行う機会を増やすことができる。したがって、ヘッド36に対する干渉の可能性を低減できる。
【0132】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、干渉検出部62は、複数系統のセンサーを備えてもよい。そして、制御部53は、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、ヘッド36に対する干渉の検出を行ってもよい。制御部53は、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、調整制御を行ってもよい。
【0133】
図14に示すように、干渉検出部62は、複数系統のセンサーを備えてもよい。干渉検出部62は、第1センサー62Cと、第2センサー62Dと、第3センサー62Eとを備えてもよい。
【0134】
詳しくは、第1センサー62Cは、第2センサー62Dよりも上方Z1に位置してもよい。第2センサー62Dは、第3センサー62Eよりも上方Z1に位置してもよい。第1センサー62Cは、第2センサー62Dよりも前方Y1に位置してもよい。第2センサー62Dは、第3センサー62Eよりも前方Y1に位置してもよい。
【0135】
複数系統のセンサーは、それぞれ、鉛直方向Zに対して等間隔に配置されてもよい。複数系統のセンサーの鉛直方向Zに対する間隔は、鉛直方向Zに対して支持面29を移動させる最小間隔よりも広い間隔であることが好ましい。鉛直方向Zに対して支持面29を移動させる最小間隔よりも広い間隔であれば、支持面29をセンサーに対して鉛直方向Zに微調整することが可能である。鉛直方向Zに対して支持面29を移動させる最小間隔は、支持面29を鉛直方向Zに移動させる移動速度及び位置調整部63の特性に基づいて定められてもよい。
【0136】
複数系統のセンサーは、それぞれ、前後方向Yに対して等間隔に配置されてもよい。複数系統のセンサーの前後方向Yに対する間隔は、前後方向Yに対して干渉検出部62を移動させる最小間隔よりも広い間隔、又は、最小間隔と同じであってもよいが、最小間隔よりも狭い間隔であることが好ましい。複数系統のセンサーの前後方向Yに対する間隔が、前後方向Yに対して干渉検出部62を移動させる最小間隔よりも狭い間隔であれば、複数系統のセンサーが前後方向Yに対して同じ位置に配置されているように扱うことができる。前後方向Yに対して干渉検出部62を移動させる最小間隔は、干渉検出部62を前後方向Yに移動させる移動速度及び第2駆動部56の特性に基づいて定められてもよい。
【0137】
そして、干渉検出処理において、制御部53は、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、ヘッド36に対する干渉を検出したか否かを判定してもよい。また、制御部53は、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、間隔調整処理及び間隔微調整処理を実行してもよい。
【0138】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)干渉検出部62は、複数系統のセンサーを有し、複数系統のセンサーのそれぞれは、ヘッド36に対する干渉を検出する。このため、例えば支持面29に載置された媒体の起伏など、支持面29に載置された媒体の状態を検出可能となる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができるとともに、ヘッド36に対する干渉の検出精度を高めることができる。
【0139】
(4-2)制御部53は、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて調整制御を行う。このため、例えば支持面29に載置された媒体の起伏など、支持面29に載置された媒体の状態を検出可能となる。したがって、ヘッド36に対する干渉に伴う作業効率を向上させることができるとともに、ヘッド36に対する干渉の検出精度を高めることができる。
【0140】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0141】
・第3実施形態において、ステップS34で、制御部53は、ヘッド36に対する干渉を検出していないと判定した場合に、間隔微調整処理を実行した後に、ステップS30の処理へ移行してもよい。
【0142】
・制御部53は、干渉検出部62が干渉を検出した後に停止位置から検出位置に移動させた場合に、実際に干渉検出部62が干渉を検出しなかったときに、微調整処理を実行しなくてもよい。この場合、制御部53は、微調整間隔を記憶しなくてもよい。
【0143】
・制御部53は、干渉検出部62が干渉を検出した結果、ヘッド36と支持面29との間隔を調整した場合に、干渉検出部62が干渉を検出しなくなった後に、微調整間隔の調整を行わなくてもよい。この場合、制御部53は、微調整間隔を記憶しなくてもよい。
【0144】
・制御部53は、干渉検出部62が干渉を検出した場合、検出位置から任意の距離だけ前方Y1の位置で干渉検出部62を停止させてもよい。この場合、制御部53は、第2移動位置検出部61からの検出信号に基づいて、検出位置から停止位置までの停止距離を特定してもよい。そして、制御部53は、停止位置から停止距離だけ後方Y2に移動させることにより、干渉検出部62を検出位置に移動させてもよい。
【0145】
・制御部53は、干渉検出部62が干渉を検出した場合、検出位置から制動距離だけ前方Y1の停止位置で干渉検出部62を停止させた後に、停止位置から後方Y2に対する移動であれば、検出位置以外の位置に干渉検出部62を移動させてもよい。つまり、検出位置以外の位置が所定位置であってもよい。また、所定位置は、待機位置を含まずに、待機位置よりも前方Y1の位置であってもよい。
【0146】
・制御部53は、未載置エラーを検出しなくてもよい。制御部53は、ヘッド36と支持面29との間隔が上限となったときに、干渉エラーと判定してもよい。制御部53は、2層目以降の印刷を媒体に行う場合、干渉検出部62が干渉を検出したときに、干渉エラーと判定しなくてもよい。
【0147】
・制御部53は、ヘッド36及び干渉検出部62の鉛直方向Zへの移動により、ヘッド36と支持面29との間隔を調整してもよい。制御部53は、支持面29の鉛直方向Zへの移動と、ヘッド36及び干渉検出部62の鉛直方向Zへの移動との組み合わせにより、ヘッド36と支持面29との間隔を調整してもよい。
【0148】
・第1開口部20は、平面視において、前後方向Yに対して支持面29と同じ長さの形状であってもよく、前後方向Yに対して支持面29よりも長い形状であってもよい。第1開口部20は、平面視において、幅方向Xに対して支持面29と同じ長さの形状であってもよく、幅方向Xに対して支持面29よりも短い形状であってもよい。
【0149】
・第1開口部20と第2開口部21とは、連続するように構成されなくても、別々に設けられてもよい。開口部19は、天面16と前面12とに跨らずに設けられてもよい。
・開口部19は、天面16と前面12とそれ以外との面に跨って設けられてもよい。つまり、開口部19は、少なくとも天面16及び前面12に跨って設けられてもよい。また、開口部19は、天面16に設けられており、前面12に設けられなくてもよい。つまり、開口部19は、少なくとも天面16に設けられていればよい。
【0150】
・支持面29は、水平方向に移動しないように構成されるが、例えば、印刷が行われていないときに限り水平方向に微調整可能であってもよく、少なくとも印刷が行われている場合に水平方向に移動しないように構成されればよい。
【0151】
・第1開口部20は、上方Z1からみて、前後方向Yに対して支持面29よりも長い形状であってもよい。
・位置調整部63は、印刷が行われていない状態でメンテナンスを行う場合に、支持面29を載置位置から印刷位置に移動させてもよい。位置調整部63は、印刷が行われている状態でフラッシングなどのメンテナンスを行う場合に、支持面29を継続して印刷位置に配置させてもよい。
【0152】
・位置調整部63は、開閉カバー22が開口部19を開放した状態となったときに、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を印刷位置から載置位置に調整してもよい。位置調整部63は、開閉カバー22が開口部19を閉鎖した状態となったときに、鉛直方向Zに対する支持面29の位置を載置位置から印刷位置に調整してもよい。
【0153】
・印刷部35は、1回の印刷指示において、前後方向Yに対してヘッド36を複数回に亘って移動するときに印刷を行ってもよく、前後方向Yに対してヘッド36を1回だけ移動するときに印刷を行ってもよい。
【0154】
・印刷部35は、前方Y1と後方Y2とのうち何れか一方にヘッド36が移動するときに印刷を行ってもよく、前方Y1にヘッド36が移動するときと、後方Y2にヘッド36が移動するときとの両方において印刷を行ってもよい。
【0155】
・印刷部35は、第1幅方向X1と第2幅方向X2とのうち何れか一方にヘッド36が移動するときに印刷を行ってもよく、第1幅方向X1にヘッド36が移動するときと、第2幅方向X2にヘッド36が移動するときとの両方において印刷を行ってもよい。
【0156】
・ヘッド36は、水平面に対して平行であるノズル面38を備えても、水平面に対して傾斜するノズル面38を備えてもよい。
・メンテナンス部47は、フラッシング部48、払拭部49、吸引部50及び廃液タンク51のうち少なくとも何れかを備えなくてもよい。
【0157】
・印刷装置10は、ヘッド36が待機位置に配置されていることが第1移動位置検出部58によって検出可能であれば、待機位置検出部57を備えなくてもよい。印刷装置10は、ヘッド36が最前方位置に配置されていることが第2移動位置検出部61によって検出可能であれば、前方位置検出部59を備えなくてもよい。印刷装置10は、ヘッド36が最後方位置に配置されていることが第2移動位置検出部61によって検出可能であれば、後方位置検出部60を備えなくてもよい。
【0158】
・本実施形態における幅方向Xと前後方向Yとの関係が入れ替わってもよい。つまり、本実施形態の幅方向Xが前後方向Yであり、本実施形態の前後方向Yが幅方向Xであってもよい。
【0159】
・媒体としては、例えばTシャツやポロシャツなどに限定されず、例えばトレーナーやパーカーなどであってもよく、被服としての媒体であってもよい。また、媒体としては、可撓性を有する媒体が採用されたが、これに限らず、例えば、UVインクを使用して印刷するスマートフォンケースなど、可撓性を有さない媒体が採用されてもよい。
【0160】
・印刷装置10は、液体の一例としてインクを吐出するように構成されてもよいが、インク以外の液体を吐出するように構成されてもよい。つまり、液体は、媒体に付着することで、媒体に印刷を行うことができるものであれば任意に選択することができる。
【0161】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0162】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0163】
(A)印刷装置は、媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面を有する媒体支持部と、前記支持面に支持されていない媒体の領域を収容可能である媒体収容部と、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドと、前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部と、前記支持面と平行な第1方向に前記ヘッドを移動させる第1移動部と、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記ヘッドとともに前記干渉検出部を移動させる第2移動部と、前記支持面と交差する第3方向において、前記ヘッドと前記支持面との間隔を調整する位置調整部と、前記第1移動部、前記第2移動部及び前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御を行い、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御を行った後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御を行い、前記停止制御から前記第3移動制御までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる調整制御を行う。
【0164】
この構成によれば、制御部は、干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、干渉検出部を停止位置に停止させてから、他方向の所定位置に移動させた後に、再度、一方向に干渉検出部を移動させるまでの間に調整制御を行うことができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0165】
(B)上記印刷装置は、前記第2方向における前記干渉検出部の位置を検出する位置検出部を備え、前記制御部は、前記干渉検出部により干渉が検出されたときの検出位置を前記所定位置として特定してもよい。
【0166】
この構成によれば、制御部は、干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、干渉検出部を停止位置に停止させてから、干渉検出部を他方向の検出位置に移動させた後に、再度、一方向に干渉検出部を移動させるまでの間に調整制御を行うことができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0167】
(C)上記印刷装置において、前記制御部は、前記第2移動制御を行った後に前記調整制御を行ってもよい。
この構成によれば、制御部は、一方向に干渉検出部を移動させた結果、干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、干渉検出部を停止位置から他方向の所定位置に移動させた後に、ヘッドと支持面との間隔を広げるように調整することができる。これにより、停止位置ではなく、停止位置よりも他方向の所定位置において、干渉検出部による検出結果に基づいて、ヘッドと支持面との間隔を広げるように調整することができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0168】
(D)上記印刷装置において、前記制御部は、前記停止制御を行った後に前記調整制御を行ってもよい。
この構成によれば、制御部は、一方向に干渉検出部を移動させた結果、干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、干渉検出部を停止位置に停止させた後に、ヘッドと支持面との間隔を広げるように調整することができる。一方向に向かって媒体が上り傾斜となるように支持面に支持されている場合、所定位置よりも停止位置のほうがヘッドと支持面との間隔を広げるように調整する必要がある頻度が高い。このため、干渉検出部を停止位置に停止させた後に、ヘッドと支持面との間隔を広げるように調整することにより、干渉検出部により干渉が検出される回数を減少することができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0169】
(E)上記印刷装置において、前記制御部は、前記調整制御を行った後に前記第2移動制御を行い、前記干渉検出部を前記所定位置に移動させた結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、前記調整制御を行わなくてもよい。
【0170】
この構成によれば、停止位置において調整制御が行われた後、所定位置において干渉検出部により干渉が検出された場合であっても、調整制御を行わない。これにより、干渉検出部によるヘッドに対する干渉を検出する機会自体を減少することができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0171】
(F)上記刷装置において、前記制御部は、前記調整制御を行った後に前記第2移動制御を行い、前記干渉検出部を前記所定位置に移動させた結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、再度、前記調整制御を行ってもよい。
【0172】
この構成によれば、停止位置において調整制御が行われた後、所定位置において干渉検出部により干渉が検出された場合、再度、調整制御を行うことができる。これにより、干渉検出部によるヘッドに対する干渉を検出する機会自体を減少することができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができるとともに、ヘッドに対する干渉の検出精度を高めることができる。
【0173】
(G)上記印刷装置において、前記制御部は、前記干渉検出部によって干渉が検出されなくなる境界位置よりも、前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる前記調整制御を行い、前記一方向において前記干渉検出部を移動させた結果、前記干渉検出部による干渉の検出が完了したときに、前記ヘッドと前記支持面との間隔が規定間隔となるように前記位置調整部に調整させてもよい。
【0174】
この構成によれば、ヘッドと支持面との間隔については、干渉検出部の第2方向への移動とは異なり、干渉が検出されなくなる境界位置まで干渉検出部を戻さない。特に、干渉の検出が完了したときに、干渉検出部を戻さないことを考慮して、ヘッドと支持面との間隔が規定間隔となるように、ヘッドと支持面との間隔を調整することができる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0175】
(H)上記印刷装置において、前記制御部は、前記干渉検出部によって干渉が検出されなくなる境界位置から、更に微調整間隔だけ前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように前記位置調整部に調整させる前記調整制御を行い、前記一方向において前記干渉検出部を移動させた結果、前記干渉検出部による干渉の検出が完了したときに、前記規定間隔と前記微調整間隔との差分に基づいて、前記ヘッドと前記支持面との間隔が前記規定間隔となるように前記位置調整部に調整させてもよい。
【0176】
この構成によれば、ヘッドと支持面との間隔については、干渉検出部の第2方向への移動とは異なり、干渉が検出されなくなる境界位置から、更に微調整間隔だけ干渉検出部を移動させる。特に、ヘッドに対する干渉の検出が完了したときに、ヘッドと支持面との間隔を微調整間隔だけ余分に広がっていることを考慮して、ヘッドと支持面との間隔が規定間隔となるように、規定間隔と微調整間隔との差分だけ、ヘッドと支持面との間隔が調整される。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができる。
【0177】
(I)上記印刷装置において、前記干渉検出部は、複数系統のセンサーを有し、前記複数系統のセンサーのそれぞれは、前記ヘッドに対する干渉を検出してもよい。
この構成によれば、複数系統のセンサーを用いてヘッドに対する干渉を検出することができる。これにより、例えば支持面に載置された媒体の起伏など、支持面に載置された媒体の状態を検出可能となる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができるとともに、ヘッドに対する干渉の検出精度を高めることができる。
【0178】
(J)上記印刷装置において、前記制御部は、前記複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、前記調整制御を行ってもよい。
この構成によれば、複数系統のセンサーのそれぞれによって検出された結果に基づいて、調整制御が行われる。これにより、例えば支持面に載置された媒体の起伏など、支持面に載置された媒体の状態を検出可能となる。したがって、ヘッドに対する干渉に伴う作業効率を向上させることができるとともに、ヘッドに対する干渉の検出精度を高めることができる。
【0179】
(K)印刷装置の制御方法は、印刷装置の制御部が、媒体の少なくとも印刷領域を支持する支持面と平行な第1方向に、前記支持面に支持された媒体に液体を吐出可能であるヘッドを移動させる第1方向移動制御処理と、前記支持面と平行であり、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に、前記ヘッドに対する干渉を検出する干渉検出部を前記ヘッドとともに移動させる第2方向移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第2方向のうち一方向に前記干渉検出部を移動させる第1移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第1移動制御処理を行った結果、前記干渉検出部により干渉が検出された場合、前記干渉検出部を停止位置で停止させる停止制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理の実行後に、前記第2方向のうち前記一方向とは反対の他方向に対して所定位置まで前記干渉検出部を移動させる第2移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記第2移動制御処理の実行後に、再度、前記一方向に前記干渉検出部を移動させる第3移動制御処理と、前記第2方向移動制御処理において、前記停止制御処理から前記第3移動制御処理までの間において、前記干渉検出部による検出結果に基づいて、前記支持面と交差する第3方向に対して前記ヘッドと前記支持面との間隔を広げるように調整させる調整制御処理と、を実行する。この構成によれば、(A)と同じような効果を奏する。
【符号の説明】
【0180】
X…幅方向、X1…第1幅方向、X2…第2幅方向、Y…前後方向、Y1…前方、Y2…後方、Z…鉛直方向、Z1…上方、Z2…下方、10…印刷装置、11…筐体、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…天面、17…底面、18…筐体フレーム、19…開口部、20…第1開口部、20A…第1位置、20B…第2位置、20C…第3位置、21…第2開口部、22…開閉カバー、23…第1開閉カバー、24…第2開閉カバー、24B…他端部、25…把持部、26…表示部、27…操作部、28…媒体支持部、29…支持面、29A…第1側端部、29B…第2側端部、30…媒体収容部、31…収容トレイ、32…液体供給部、33…液体収容部、34…液体供給駆動部、35…印刷部、36…ヘッド、37…ノズル、38…ノズル面、39…キャリッジ、40…移動部、41…第1移動部、42…第1ガイド部、43…第2移動部、44…第2ガイド部、45…支持部、46…移動範囲、47…メンテナンス部、48…フラッシング部、49…払拭部、50…吸引部、51…廃液タンク、52…制御基板、53…制御部、54…電源ユニット、55…第1駆動部、56…第2駆動部、57…待機位置検出部、58…第1移動位置検出部、59…前方位置検出部、60…後方位置検出部、61…第2移動位置検出部、62…干渉検出部、62A…投光部、62B…受光部、62C…第1センサー、62D…第2センサー、62E…第3センサー、63…位置調整部、64…調整位置検出部、65…開閉検出部、99…媒体。