(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102923
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】加熱調理システム、および、加熱調理方法
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20240725BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20240725BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20240725BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F24C7/02 301J
G06Q10/00
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
H05B6/12 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006997
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】手塚 爽太
【テーマコード(参考)】
3K151
3L086
3L087
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3K151AA01
3K151CA61
3K151CA63
3L086AA01
3L086AA13
3L086CA09
3L086CC02
3L086CC12
3L086DA24
3L087AA03
3L087AA04
3L087BA04
3L087BC02
3L087BC11
3L087DA24
5L010AA22
5L049AA22
(57)【要約】
【課題】 多様な自動調理メニューの夫々について好みの調理条件を使用者が記憶していなくても、自動調理メニュー選択時に好みの調理条件を容易に設定できる、加熱調理システムを提供する。
【解決手段】 選択されたメニューを自動調理する加熱調理システムであって、自動調理開始前に調理条件を入力させ、自動調理終了後に仕上がり評価を入力させる通信端末と、前記仕上がり評価に関連するフィードバック情報を前記通信端末から受信して保存する情報処理装置と、前記通信端末から受信した前記調理条件に基づいて自動調理を実行する加熱調理器と、を備えた加熱調理システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたメニューを自動調理する加熱調理システムであって、
自動調理開始前に調理条件を入力させ、自動調理終了後に仕上がり評価を入力させる通信端末と、
前記仕上がり評価に関連するフィードバック情報を前記通信端末から受信して保存する情報処理装置と、
前記通信端末から受信した前記調理条件に基づいて自動調理を実行する加熱調理器と、を備えたことを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
2回目以降の自動調理開始前には、前記情報処理装置から前記通信端末に、前記フィードバック情報が送信され、
前記通信端末は、前記情報処理装置から受信した前記フィードバック情報に基づく調理条件を使用者に提示することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記仕上がり評価は、前記自動調理による調理物の温度に関する使用者の評価であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記仕上がり評価は、前記自動調理による調理物の見た目に関する使用者の評価であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信端末は、前記仕上り評価として最高点が入力された場合は、以降の自動調理終了後に仕上がり評価の入力を求めないことを特徴とする加熱調理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の加熱調理システムにおいて、
前記情報処理装置から前記通信端末に送信される前記フィードバック情報は、前記仕上り評価として最高点が入力されたときの自動調理で利用された調理条件であることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信端末は、前記仕上り評価として最低点が連続して入力された場合は、メーカへの問い合わせを促すメッセージを表示することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信端末には、使用者のユーザIDが付与されており、
前記情報処理装置は、前記フィードバック情報を、前記メニューと前記ユーザIDの組み合わせ毎に保存することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信端末に入力される仕上り評価が複数存在し、各仕上り評価が同等であるとき、
前記通信端末は、各仕上り評価の優劣を入力させることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記通信端末に入力される仕上り評価が複数存在し、各仕上り評価が相違するとき、
前記通信端末は、劣後する仕上り評価の改善に寄与する調理条件を提示することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項11】
選択されたメニューを自動調理する加熱調理方法であって、
自動調理開始前に調理条件を通信端末に入力させる(a)ステップと、
前記通信端末から受信した前記調理条件に基づいて加熱調理器が自動調理を実行する(b)ステップと、
自動調理終了後に仕上がり評価を前記通信端末に入力させる(c)ステップと、
前記仕上がり評価に関連するフィードバック情報を前記通信端末から受信して情報処理装置に保存する(d)ステップと、を備えた加熱調理方法。
【請求項12】
請求項11において、
2回目以降の自動調理開始時には、前記(a)ステップの前に、
前記フィードバック情報を前記情報処理装置から前記通信端末に送信する(e)ステップと、
前記フィードバック情報に基づく調理条件を前記通信端末に表示する(f)ステップと、
が追加されることを特徴とする加熱調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各使用者の好みの調理条件で食材を自動調理することができる、加熱調理システム、および、加熱調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器の中には、使用者が自動調理メニューを選択した場合、使用者の好みの調理条件を設定できるものがある。例えば、特許文献1の段落0058には、「次に、
図1から
図12を用いて赤外線センサ52と重量センサ25の両方を用いて被加熱物60cの自動調理の制御方法について説明する。」と記載されており、段落0066には、「初めに、加熱室28に被加熱物60cであるごはんを入れた容器60をテーブルプレート24に載せてドア3を閉める。入力手段71でごはんメニューを選択する(工程S0)。入力手段71で仕上がり調節から強、やや強、中、やや弱、弱のいずれかを選択(工程S1)。仕上がり調節の中は標準の温度で仕上がり、強は仕上がり温度が標準より約5℃高く設定し、弱は仕上がり温度が標準より約5℃低く設定することが可能である。加熱開始のスタートが入力(工程S2)されると、事前設定されている加熱出力Pが設定される。」と記載されている。このように、特許文献1には、使用者が設定した好みの仕上り温度(調理条件)で、ごはんを自動調理する加熱調理器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1の加熱調理器では、自動調理メニューを選択する毎に、使用者が好みの調理条件を設定する必要があったため、使用者は好みの調理条件を自動調理メニュー毎に記憶しておく必要があった。
【0005】
しかしながら、近年の電子レンジ等の加熱調理器では、多様な自動調理メニューが用意されているため、使用者に対し、全ての自動調理メニューについて好みの調理条件の記憶を求めるのは現実的ではない。また、特許文献1の加熱調理器では、不満ある仕上がりに繋がった調理条件を使用者が再度設定する可能性を排除できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、多様な自動調理メニューの夫々について好みの調理条件を使用者が記憶していなくても、自動調理メニュー選択時に好みの調理条件を容易に設定できる、加熱調理システム、および、加熱調理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みたものであり、その一様態は、選択されたメニューを自動調理する加熱調理システムであって、自動調理開始前に調理条件を入力させ、自動調理終了後に仕上がり評価を入力させる通信端末と、前記仕上がり評価に関連するフィードバック情報を前記通信端末から受信して保存する情報処理装置と、前記通信端末から受信した前記調理条件に基づいて自動調理を実行する加熱調理器と、を備えた加熱調理システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多様な自動調理メニューの夫々について好みの調理条件を使用者が記憶していなくても、自動調理メニュー選択時に好みの調理条件を容易に設定できる、加熱調理システム、および、加熱調理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施例の加熱調理システムの概略構成を示す図。
【
図2】一実施例の加熱調理システムで実行される処理を概説するフローチャート。
【
図3】ルーチンR1の詳細を説明するフローチャート。
【
図4A】ルーチンR3の前半の詳細を説明するフローチャート。
【
図4B】ルーチンR3の後半の詳細を説明するフローチャート。
【
図5】評価入力時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【
図6】評価入力時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【
図7】調理条件登録時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【
図8】調理条件登録時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【
図9】調理結果評価時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【
図10】調理結果評価時の通信端末の画面遷移の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の加熱調理システムの実施例を、図面に従って説明する。
【0011】
<加熱調理システムの概略構成>
まず、
図1を用いて、本発明の一実施例に係る加熱調理システム100の概略構成を説明する。ここに示すように、本実施例の加熱調理システム100は、加熱調理器1と、通信端末2と、情報処理装置3を備えており、加熱調理器1と通信端末2、および、通信端末2と情報処理装置3は、相互に無線通信で接続されている。なお、加熱調理器1と通信端末2の無線通信には、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用し、通信端末2と情報処理装置3の無線通信には、携帯電話通信網等の公衆無線通信を利用する。
【0012】
加熱調理器1は、食材を加熱調理する調理器であり、具体的には、選択された自動調理メニューに応じて食材を自動調理する機能を備えた電子レンジである。なお、本実施例の加熱調理器1は、レンジ加熱機能、オーブン加熱機能、グリル加熱機能、スチーム加熱機能、過熱水蒸気加熱機能などを備えた多機能の電子レンジであり、各加熱機能を適宜利用することで、多様なメニューの自動調理を実現することができる。
【0013】
通信端末2は、使用者が加熱調理器1を操作する際のヒューマンインターフェースの一部を担う携帯端末であり、例えばスマートフォンである。この通信端末2は、使用者に情報を提示する表示部21と、使用者の操作入力を受け付ける操作部22を備えている。以下では、スマートフォンのタッチパネル式ディスプレイが、表示部21と操作部22の双方の機能を担うものとする。また、この通信端末2には、加熱調理器1で実行する自動調理メニューを選択したり、自動調理メニュー毎の調理条件を設定したり、仕上がった調理物を主観で評価したりするためのアプリケーションソフトがインストールされている。なお、この通信端末2は、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の記憶装置、無線通信装置などを内蔵しており、演算装置が所定のプログラムを実行することで前述した、または、後述する各機能を実現するが、以下では、この種の周知技術については詳細説明を省略することとする。 情報処理装置3は、通信端末2から取得した情報を蓄積したり、通信端末2を介して加熱調理器1に情報を提供したりする、クラウド上のサーバである。
図1では、情報処理装置3に1台の通信端末2が無線接続された構成を例示しているが、本実施例の情報処理装置3には複数の通信端末2が接続可能である。その場合、各端末のアプリケーションソフトには加熱調理器1の使用者を識別するためのユーザIDが付与されるため、情報処理装置3は、各端末からのフィードバック情報をユーザIDと関連付けて個別に管理することができる。従って、加熱調理器1や通信端末2を買い替えた場合であっても、ユーザIDを引き継ぎさえすれば、使用者は、情報処理装置3に保存された自己のフィードバック情報を引き続き利用することができる。なお、この情報処理装置3は、CPU等の演算装置、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶装置、通信装置などを内蔵しており、演算装置が所定のプログラムを実行することで前述した、または、後述する各機能を実現するが、以下では、この種の周知技術については詳細説明を省略することとする。
【0014】
<加熱調理システムの処理フローチャート>
図2は、本実施例で実行される処理を概説するフローチャートである。ここに示すように、加熱調理システム100では、調理条件登録処理(ルーチンR1)と、自動調理処理(ルーチンR2)と、調理結果評価処理(ルーチンR3)が順次実行される。以下、各処理を順次説明する。
【0015】
<<調理条件登録処理(ルーチンR1)>>
調理条件登録処理(ルーチンR1)は、主に、自動調理処理(ルーチンR2)で加熱調理器1が使用する調理条件を、通信端末2から加熱調理器1に送信するためのルーチンであり、具体的には、
図3に挙げる各処理が実行される。
【0016】
まず、ステップS11では、使用者は、通信端末2のアプリケーションソフトを起動し、所望の自動調理メニューを選択する。そして、通信端末2のアプリケーションソフトは、付与されたユーザIDと、選択された自動調理メニューを特定する情報(例えば、メニュー番号)を、情報処理装置3へ送信する。なお、以下では、使用者が自動調理メニュー「鶏の丸焼き」を選択し、通信端末2から情報処理装置3へ「鶏の丸焼き」相当のメニュー番号「001」が送信されたものとして説明する。
【0017】
次に、ステップS12では、情報処理装置3は、ステップS11で通信端末2から受信したユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、調理条件の調整終了条件が成立しているかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS13に進み、要件を満たす場合は、ステップS14に進む。なお、調整終了条件成立の意義については、後述することとする。
【0018】
ステップS13では、情報処理装置3は、ステップS11で通信端末2から受信したユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、今回の調理が初回の調理であるかを判定する。そして、要件を満たす場合は、ステップS18に進み、要件を満たさない場合は、ステップS15に進む。なお、情報処理装置3には、ユーザIDとメニュー番号の組み合わせ毎に調理回数カウンタを用意しており、通信端末2から自動調理終了の通知を受ける毎に該当する調理回数カウンタをインクリメントする。従って、情報処理装置3は、該当する調理回数カウンタの値を確認することで、これまでの調理実績の有無を判定することができる。
【0019】
一方、ステップS14では、情報処理装置3は、ステップS11で通信端末2から受信したユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、メーカへの問合せ条件が成立しているかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS16に進み、要件を満たす場合は、ステップS17に進む。なお、問合せ条件成立の意義については、後述することとする。
【0020】
ステップS15では、情報処理装置3は、過去に通信端末2から受信して保存したフィードバック情報を通信端末2に返信する。そして、通信端末2は、情報処理装置3から受信したフィードバック情報に基づいて、仕上り改善に寄与すると考えられる調理条件を使用者に提案する。なお、本ステップに起因して提案される調理条件の具体的な内容は、
図8を用いて別途説明する。
【0021】
ステップS16では、情報処理装置3は、過去の調整により改善された調理条件を通信端末2に登録する。なお、本ステップで登録される調理条件の具体的な内容は、
図9を用いて別途説明する。
【0022】
ステップS17では、情報処理装置3は、メーカへの問合せを促すメッセージの表示を通信端末2に指令する。なお、本ステップに起因して表示されるメッセージの具体的な内容は、
図10を用いて別途説明する。
【0023】
ステップS18では、通信端末2から加熱調理器1に調理条件を送信し、ルーチンR1を終了する。なお、本ステップの具体的な内容は、何れの径路から本ステップに到達したかに応じて変化するため、本ステップの詳細については別途説明することとする。
【0024】
<<自動調理処理(ルーチンR2)>>
自動調理処理(ルーチンR2)は、通信端末2からメニュー番号と調理条件を受信した加熱調理器1が、自動調理を実行するルーチンである。本処理は、特許文献1等の従来技術での自動調理に対して特段の差異が無いため、本実施例では本ルーチンの詳細な説明を省略する。
【0025】
なお、自動調理処理(ルーチンR2)の終了時には、アプリケーションをインストールしている通信端末2にポップアップなどで通知されるほか、通信端末2を介して、加熱調理器1から情報処理装置3へ自動調理の終了が通知される。これにより、情報処理装置3は、ステップS11で通信端末2から受信したユーザIDとメニュー番号の組み合わせに対応する調理回数カウンタをインクリメントさせ、該当するメニュー番号の調理回数をカウントする。
【0026】
<<調理結果評価処理(ルーチンR3)>>
調理結果評価処理(ルーチンR3)は、主に、自動調理処理(ルーチンR2)で調理された調理物を使用者が評価し、その評価結果を情報処理装置3に保存するためのルーチンであり、具体的には、
図4A、
図4Bに挙げる各処理が実行される。
【0027】
まず、ステップS31では、情報処理装置3は、ステップS11で通信端末2から受信したユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、調理条件の調整終了条件が成立しているかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS32に進み、要件を満たす場合は、ルーチンR3を終了する。なお、調整終了条件成立の意義については、後述することとする。
【0028】
次に、ステップS32では、情報処理装置3は、通信端末2に調理結果のフードバックを要求する。
【0029】
ステップS33では、通信端末2は、タッチパネル式ディスプレイ(表示部21、操作部22)に、次回の自動調理の仕上がり改善に寄与すると考えられる第1質問を表示し、第1質問に対する評価(以下、「第1評価」と称する)を使用者に入力させる。
【0030】
同様に、ステップS34では、通信端末2は、タッチパネル式ディスプレイ(表示部21、操作部22)に、次回の自動調理の仕上がり改善に寄与すると考えられる第2質問を表示し、第2質問に対する評価(以下、「第2評価」と称する)を使用者に入力させる。
【0031】
図5は、ステップS33,S34で、使用者が第1評価と第2評価を入力する手順を説明する図である。なお、ここでは、第1質問が、調理物の仕上り温度の良否に関する質問であり、第2質問が、調理物の仕上りの見た目の良否に関する質問であるものとする。また、第1評価と第2評価が、「良い」相当の「★3」釦、「普通」相当の「★2」釦、「悪い」相当の「★1」釦、の3種類の釦を用いて選択可能な3段階評価であるものとする。但し、各質問や各評価の具体的な内容は、選択された自動調理メニューに応じて適宜変更しても良い。
【0032】
図5(a)に示すように、通信端末2の表示部21(タッチパネル式ディスプレイ)には、第1質問として「今回の料理の温度は適温でしたか?」と表示されており、第2質問として「今回の料理の見た目はいかがでしたか?」と表示されているため、使用者は操作部22(タッチパネル式ディスプレイ)を操作して、第1質問に対する第1評価と、第2質問に対する第2評価を入力する。この例では、調理物の温度が適温であったため、第1質問に対し「★3」釦を押下して第1評価「3点」を登録しており、また、調理物の見た目が許容できるものであったため、第2質問に対し「★2」釦を押下して第2評価「2点」を登録している。その後、「次へ」釦を押下すると、
図5(b)の画面に遷移し、使用者の主観的な評価が次回以降の自動調理に利用される旨が通知される。
【0033】
ステップS35では、通信端末2は、使用者により入力された第1評価と第2評価が共に「良い」相当の評価「3点」であるかを判定する。そして、要件を満たす場合は、ステップS3kに進み、要件を満たさない場合は、ステップS36に進む。
【0034】
ステップS36では、通信端末2は、使用者により入力された第1評価と第2評価が共に「普通」相当の評価「2点」であるかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS37に進み、要件を満たす場合は、ステップS38に進む。
【0035】
ステップS37では、通信端末2は、使用者により入力された第1評価と第2評価が共に「悪い」相当の評価「1点」であるかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS3bに進み、要件を満たす場合は、ステップS38に進む。
【0036】
ステップS38では、通信端末2は、使用者が同じ評価点を1次的に与えた第1評価と第2評価のどちらが相対的に高いか、具体的には、第1評価>第2評価であるかを使用者に判定させる。そして、使用者が第1評価>第2評価と判定すれば、ステップS39に進み、第1評価「2点」、第2評価「1点」の組み合わせに修正する。一方、使用者が第1評価<第2評価と判定すれば、ステップS3aに進み、第1評価「1点」、第2評価「2点」の組み合わせに修正する。これにより、第1評価と第2評価の優劣が決定される。
【0037】
図6は、ステップS36の要件を満たしてステップS38に進む場合の、通信端末2の画面遷移の一例である。
図6(a)のように、第1評価と第2評価の双方に「2点」を登録した後に「次へ」釦を押下すると、
図6(b)の画面に遷移する。
図6(b)では、第1質問と第2質問のどちらへの不満がより大きいか入力するように促す画面が表示される。ここで、何れかの釦を押下すれば、使用者は、第1評価と第2評価のどちらが相対的に高いか、というステップS38相当の判定をしたことになる。
【0038】
ステップS3bでは、通信端末2は、相対的に低い評価を受けた回数を質問毎にカウントする。
【0039】
ステップS3cでは、通信端末2は、今回の第1評価と第2評価の平均値を算出する。
【0040】
ステップS3dでは、通信端末2は、今回の評価が予定された最終回(例えば、3回目)の評価であるかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS3eに進み、要件を満たす場合は、ステップS3fに進む。なお、ステップS13で説明したように、情報処理装置3は調理回数カウンタを用いて、ユーザIDとメニュー番号の組み合わせ毎の調理回数を管理しているため、通信端末2は情報処理装置3の調理回数カウンタの値を確認することで、今回の評価が予定された最終回の評価であるかを判定することができる。
【0041】
ステップS3eでは、通信端末2は、ステップS3bでのカウント値がより高い質問(すなわち、使用者がより強い不満を持っている質問)に関連する仕上り特性を改善する方法をデータベース等で確認し、次回の調理条件設定時に表示する設定助言メッセージを作成するとともに、その表示を予約する。
【0042】
一方、ステップS3dの要件を満たす場合、ステップS3fでは、通信端末2は、全評価で「悪い」相当の評価「1点」が登録された質問があったかを判定する。そして、要件を満たさない場合は、ステップS3gに進み、要件を満たす場合は、ステップS3iに進む。
【0043】
ステップS3gでは、通信端末2は、ステップS3bでのカウント値がより高い質問(すなわち、使用者がより強い不満を持っている質問)に関連する仕上り特性を改善する方法をデータベース等で確認し、次回の調理条件設定時に表示する設定助言メッセージを作成するとともに、その表示を予約する。
【0044】
ステップS3hでは、通信端末2は、ステップS11で選択された自動調理メニューに関し、調理条件の調整終了条件が成立したと判断する。すなわち、本ステップでの調整終了条件の成立は、使用者好みの調理条件を特定するには至らなかったものの、調理条件の調整後に表示するための、仕上りをある程度改善する調理条件を推定でき、適切な設定助言メッセージを用意できたことを意味する。
【0045】
一方、ステップS3fの要件を満たす場合、ステップS3iでは、通信端末2は、次回調理時にメーカへの問合せを促すメッセージの表示を予約する。これは、予定回数の調理条件調整を繰り返しても、その仕上がりに使用者が満足しなかったことから、加熱調理器1の加熱機能や既定の調理条件に何らかの異常があると推測されるが、メーカに相談すれば、その問題の改善に繋がると期待されるからである。
【0046】
ステップS3jでは、通信端末2は、予定回数の評価を終えたため、調整終了条件が成立したと判定し、また、ステップS3gにてメーカへの問合せ表示を予約したため、問合せ条件が成立したと判定する。すなわち、本ステップでの調整終了条件の成立は、予定した調整回数内で、相応の調理条件を特定できなかったことを意味する。
【0047】
ステップS3kでは、通信端末2は、ステップS11で選択された自動調理メニューに関し、第1質問と第2質問の双方で満足できる調理条件が特定できたと見做し、調理条件の調整終了条件が成立したと判断する。すなわち、本ステップでの調整終了条件の成立は、使用者好みの調理条件を特定できたことを意味する。
【0048】
ステップS3mでは、通信端末2は、情報処理装置3へ各種のフィードバック情報を送信する。ここで送信されるフィードバック情報は、例えば、ステップS18で使用者が通信端末2に登録した調理条件、ステップS33、S34で使用者が登録した第1評価、第2評価、ステップS3cで算出した評価の平均値、ステップS3h、S3j、S3kで調整終了条件が成立したことを示す情報、ステップS3jで問合せ条件が成立したことを示す情報、評価の実施日などである。
【0049】
ステップS3nでは、情報処理装置3は、通信端末2から受信した各種のフィードバック情報を記憶装置に保存する。これにより、次回以降の調理条件登録処理(ルーチンR1)では、通信端末2は、情報処理装置3に保存されたフィードバック情報を参照することができる。また、加熱調理器1を使用者が新品に買い替えた場合であっても、フィードバック情報を記憶した情報処理装置がバックアップ的な機能を担い、通信端末とつなぐことができるようになるため、フィードバック情報の引継が容易になる。情報処理装置3は、加熱調理器1にデフォルトで備わっている調理メニュー以外に、通信端末が外部のレシピサイトから取得した調理メニューに対する調理条件を保存することも可能である。フィードバック情報は、情報処理装置3と加熱調理器1の双方に送信される。加熱調理器1は、そのフィードバック情報を記憶部に記憶しており、次回調理時に使用者が該当の調理メニューを加熱調理器1の操作部から選択すると、表示部を介して調理条件の変更をリコメンドすることも可能である。
【0050】
なお、通信端末で入力された変更後の調理条件は加熱調理器1に送信されると、加熱調理器1に備えた記憶部に保存される。もし変更後の調理条件が使用者にとって最適であれば、その調理条件は、加熱調理器1の記憶部にて保存されているので、以降の調理を加熱調理器1のみのローカルで実行できる。
【0051】
<ステップS18の詳細>
続いて、
図7から
図10を用いて、ステップS18で実行される処理の詳細を、同ステップに到達した来歴別に説明する。なお、各図の共通点は重複説明を省略することとする。
【0052】
<<ステップS13の要件を満たしてステップS18に到達した場合>>
この場合、当該のユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、今回の調理が初回の調理であるため、情報処理装置3には当該組み合わせに関し、過去のフィードバック情報が保存されていない。従って、使用者は、自己判断のみに依拠して調理条件を決定し、通信端末2から加熱調理器1に調理条件を送信する必要がある。
【0053】
図7は、使用者が自己判断で設定した調理条件を、通信端末2から加熱調理器1に送信する際の画面遷移の一例を示す図である。
【0054】
図7(a)は、表示部21と操作部22を兼用する、通信端末2のタッチパネル式ディスプレイの画面の一例であり、画面上部には、ステップS11で選択した自動調理メニュー「鶏の丸焼き」のメニュー番号と写真等が表示されている。また、画面下部には、調理条件の初期値である「仕上がり調整:中」が表示されている。なお、この例では、過去の評価実績が無いため、画面中央の「前回評価日」と「★3獲得日」の欄は共に空欄となっている。この画面で、使用者が「仕上がり調整:中」と表示された枠内をタップすると、
図7(b)の画面に遷移する。
【0055】
図7(b)の画面では、調理条件の一種である「仕上り調整」を、「弱」、「やや弱」、「中」、「やや強」、「強」の5段階から選択するためのウィンドウが表示される。使用者がウィンドウ内の候補の中から所望のものを選択すると、
図7(a)に戻り(但し、「仕上がり調整」欄の表示は使用者が選択した調理条件に応じたものとなる)、そこで「本体に送信」釦を押下すると、
図7(c)の画面に遷移する。なお、
図7(b)のウィンドウ内においては、現在選択されている調理条件が強調表示されている。
【0056】
図7(c)の画面では、通信端末2から加熱調理器1への調理条件の送信を示唆する、紙飛行機が飛ぶ等のアニメーションが表示される。なお、
図7(c)の画面の下部には「キャンセル」釦が用意されており、この「キャンセル」釦を押下した場合は、調理条件の送信が取り消され、
図7(c)から
図7(a)の画面に戻ることができる。
【0057】
そして、調理条件の送信が完了すると、
図7(d)の画面に遷移し、「送信しました。」等のメッセージにて、使用者に送信完了を報知するととともに、「ここからは本体で操作してください。」等のメッセージにて、加熱調理器1のスタート釦などを手動操作して自動調理を開始するよう、使用者に促す。
【0058】
<<ステップS15経由でステップS18に到達した場合>>
この場合、当該のユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、過去の調理実績があるため、情報処理装置3には当該組み合わせに関し、過去のフィードバック情報が保存されている。従って、使用者は、過去のフィードバック情報を利用して、通信端末2から加熱調理器1に調理条件を送信することができる。
【0059】
図8は、過去のフィードバック情報を参照して、使用者が手動操作で設定した調理条件を、通信端末2から加熱調理器1に送信する際の画面遷移の一例を示す図である。なお、
図8の例では、過去の評価実績があるため、画面中央の「前回評価日」欄に該当する日付が表示されている。
【0060】
図8(a)の画面では、「仕上がり調整」の枠内に「!」マークが表示されている。これは、情報処理装置3から受信した過去のフィードバック情報を参照可能であることを示すマークである。使用者が、「仕上がり調整:中 !」と表示された枠内をタップすると、
図8(b)の画面に遷移する。
【0061】
図8(b)の画面では、前回評価時のステップ3eで表示予約された、不満の強い仕上り特性を改善するための設定助言メッセージが画面上部に表示される。この設定助言メッセージには、ステップS3cで算出した評価平均値(この例では「★2.5」)も含まれる。また、
図8(b)の画面では、
図7(b)の画面と同様に、「仕上り調整」を5段階から選択するウィンドウが表示されるが、そのウィンドウ内では、画面上部の設定助言メッセージに則って推薦する調理条件が強調表示される。このような強調表示により、仕上り改善に寄与すると考えられる調理条件(この例では、「やや強」)の選択を使用者に促す。使用者が所望の調理条件を選択すると、
図8(a)に戻り、そこで「本体に送信」釦を押下すると、
図8(c)の画面に遷移する。以後は、
図7と同等である。
【0062】
<<ステップS16経由でステップS18に到達した場合>>
この場合、当該のユーザIDとメニュー番号の組み合わせに関し、相応の評価を獲得した自動調理時のフィードバック情報が保存されている。従って、使用者は、相応の評価を獲得した時と同じ調理条件を参照して、通信端末2から加熱調理器1に調理条件を送信することができる。
【0063】
例えば、過去の最善の評価が、第1評価「3点」、第2評価「2点」であっても、ステップS3hに進んで調整終了条件が成立した状態であれば、使用者好みの調理条件を特定できたとまでは言えないにせよ、使用者から相応の評価を受ける調理条件を特定できたと言える。そこで、調整終了条件の成立がステップS3hに起因するものであれば、ステップS18では、上記した
図8と同様の手順で、通信端末2から加熱調理器1に調理条件を送信する。
【0064】
一方、両評価で最高点を獲得でき、ステップS3kに進んで調整終了条件が成立した状態であれば、情報処理装置3には使用者好みの調理条件が保存されていることになる。そこで、調整終了条件の成立がステップS3kに起因するものであれば、ステップS18では、使用者好みの調理条件を使用者に提示して、その調理条件の採用を使用者に促すことができる。
【0065】
図9は、情報処理装置3から取得した、両評価で最高点を獲得した時の調理条件をそのまま、通信端末2から加熱調理器1に送信することを想定した画面遷移の一例を示す図である。なお、
図9の例では、両評価で最高点を取得した実績があるため「★3獲得日」に該当する日付が表示されている。
【0066】
図9(a)の画面では、「仕上がり調整:やや強」と表示された枠内に「!」マークが表示されている。これは、情報処理装置3から取得した過去のフィードバック情報が仮登録されていることを示すマークである。仮登録された調理条件「やや強」は、過去に評価「3点」を獲得した際に利用された調理条件であるため、これをそのまま加熱調理器1に送信して自動調理を開始すれば、今回の自動調理でも使用者が満足できる仕上がりになると期待できる。
【0067】
しかしながら、仮設定された調理条件を変更したい場合も考えられるため、使用者が「仕上がり調整:やや強」の枠内をタップすれば、
図7や
図8の例と同様に、ウィンドウ内の選択肢から任意の調理条件を選択することもできる。ただし、
図9(b)の画面上部のコメントに示すように、仮設定された調理条件が妥当と考えられることは、使用者に明確に通知されるため、仮設定の調理条件は変更されることなく利用されることが期待される。
図9(c)以後は、
図7、
図8と同等である。
【0068】
<<ステップS17経由でステップS18に到達した場合>>
この場合、調理条件の調整を予定回数(例えば、3回)繰り返しても、評価「1点」の仕上りしか得られなかったため、情報処理装置3には当該組み合わせに関し妥当な調理条件が用意されていなかったり、加熱調理器1の加熱機能に何らかの異常があったりする可能性が高い。従って、通信端末2は、加熱調理器1のメーカへ問合せを促すようなメッセージを使用者に提示する。
【0069】
図10は、情報処理装置3からの指令に応じて、メーカへの問合せを促すようなメッセージを使用者に提示する際の画面遷移の一例を示す図である。
【0070】
図10(a)の画面では、「仕上がり調整:強」と表示された枠内に「!!」マークが表示されている。これは、予定された回数内で調理条件調整を繰り返したにも拘わらず、何れの調理条件でも仕上りを十分に改善できなかったことを示すマークである。
【0071】
この場合も、「仕上がり調整:強 !!」の枠内をタップすれば、
図7~
図9と同様に、
図10(b)の画面に遷移し、調理条件を選択するウィンドウが表示されるが、ウィンドウ内に用意された選択肢の何れを選択しても不満ある仕上がりになると予測できるため、その画面上部には、加熱調理器1のメーカへの問合せを促すメッセージが表示される。そして、そのメッセージをタップすると、
図10(c)の画面に遷移する。
【0072】
図10(c)の画面にて、表示された「お問い合わせ」釦を押下すると、通信端末2のWebブラウザが起動し、メーカの問い合わせフォームや連絡先などが表示される。この手順に従い使用者が不満をメーカに連絡すると、メーカは、その問題を解決できるファームウェアを作成したり、加熱調理器1の修理のために技術者を派遣したりするなど、使用者の不満解消に必要な措置を採ることができる。
【0073】
<本実施例の効果>
以上で説明したように、本実施例の加熱調理システムによれば、多様な自動調理メニューの夫々について好みの調理条件を使用者が記憶していなくても、自動調理メニュー選択時に好みの調理条件を容易に設定することができる。
【符号の説明】
【0074】
100 加熱調理システム
1 加熱調理器
2 通信端末
21 表示部
22 操作部
3 情報処理装置