(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102925
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】入浴管理システム、入浴管理プログラム、及び浴室システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/281 20220101AFI20240725BHJP
F24H 15/176 20220101ALI20240725BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20240725BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240725BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20240725BHJP
F24H 15/421 20220101ALI20240725BHJP
F24H 1/54 20220101ALI20240725BHJP
A61H 33/00 20060101ALN20240725BHJP
【FI】
F24H15/281
F24H15/176
F24H15/265
F24H15/395
F24H15/45 101
F24H15/421
F24H1/54 301Z
A61H33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006999
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 慧
(72)【発明者】
【氏名】平良 里菜
(72)【発明者】
【氏名】榎 将剛
(72)【発明者】
【氏名】宇野 涼子
(72)【発明者】
【氏名】石井 悠和
【テーマコード(参考)】
4C094
【Fターム(参考)】
4C094AA01
4C094GG12
(57)【要約】
【課題】本入浴に関して取得した情報を十分に活用することができる入浴管理システムを提供する。
【解決手段】本発明は、入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理システム(1)であって、入浴した入浴者を特定する入浴者特定部(10d)と、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を取得する客観情報取得部(10b)と、この客観情報取得部によって取得された客観情報を、入浴者特定部によって特定された入浴者と紐付けて記録する記録部(10e)と、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定する入浴者推定部(10f)と、を有し、入浴者推定部は、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定することを特徴としている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理システムであって、
入浴した入浴者を特定する入浴者特定部と、
入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を取得する客観情報取得部と、
この客観情報取得部によって取得された客観情報を、上記入浴者特定部によって特定された入浴者と紐付けて記録する記録部と、
上記入浴者特定部により入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定する入浴者推定部と、を有し、
上記入浴者推定部は、上記入浴者特定部により入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、上記記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定することを特徴とする入浴管理システム。
【請求項2】
上記客観情報取得部は、入浴した入浴者の生体情報を取得するように構成され、上記入浴者推定部は、取得された生体情報に基づいて入浴者を推定する請求項1記載の入浴管理システム。
【請求項3】
さらに、入浴者の浴槽への進入、及び入浴者の浴槽からの退出を検知可能な出入検知器を有し、上記入浴者特定部は、上記出入検知器により、入浴者の退出が検知された後、所定時間以内に入浴者の進入が検知された場合には、上記退出した入浴者と上記進入した入浴者を、同一の入浴者として特定する請求項1記載の入浴管理システム。
【請求項4】
さらに、入浴に関する主観的な情報である主観情報を、入浴者に入力させる主観情報入力部と、主観情報の入力を入浴者に促す報知部と、を有し、
上記報知部は、上記入浴者推定部によって推定された入浴者に対し、主観情報の入力を促す請求項1乃至3の何れか1項に記載の入浴管理システム。
【請求項5】
入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理プログラムであって、コンピュータにインストールされることにより、上記コンピュータを、
入浴した入浴者を特定する入浴者特定部、
入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を取得する客観情報取得部、
この客観情報取得部によって取得された客観情報を、上記入浴者特定部によって特定された入浴者と紐付けて記録する記録部、
上記入浴者特定部により入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定する入浴者推定部、として機能させ、
上記入浴者推定部は、上記入浴者特定部により入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、上記記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定することを特徴とする入浴管理プログラム。
【請求項6】
入浴者の入浴に関する情報を管理することができる浴室システムであって、
浴槽と、
請求項1記載の入浴管理システムと、
を有することを特徴とする浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴管理システムに関し、特に、入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理システム、入浴管理プログラム、及び浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-200448号公報(特許文献1)には、ウェアラブルデバイス、入浴ナビゲーションシステム、入浴ナビゲーション方法、及びプログラムが記載されている。この入浴ナビゲーションシステムにおいては、ユーザが装着可能なウェアラブルデバイスが、生体情報測定部と、記憶部と、制御部と、情報提示部とを備えている。生体情報測定部は、ユーザの生体情報を測定し、記憶部は、入浴に関する医学的知見と入浴体験者の主観的知見とを含む知見情報に基づいて生成された特徴データを記憶する。制御部は、生体情報測定部によって測定された生体情報と、記憶部に記憶された特徴データに基づいて、そのユーザの入浴に対する危険性や、快適性に関する情報を判定する。判定された情報に基づいて、適切、不適切な入浴条件がユーザに提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の入浴ナビゲーションシステムにおいては、ユーザーがウェアラブルデバイスを装着して入浴することが前提とされているため、入浴しているユーザーが十分にリラックスすることができない、という問題がある。
【0005】
また、入浴に関連して取得された情報は、そのユーザー(入浴者)毎に管理される必要がある。そして、一般的な住宅に設置された浴室は家族全員が利用する可能性があるため、1回の入浴毎に入浴者を特定することが要求される。入浴者を特定するために、浴室を1回利用する毎に、入浴者が誰であるかを入力させることが考えられる。しかしながら、入浴者が、入浴した者を特定するための入力を忘れてしまう場合もあり、このような場合には、入浴に関し、取得した情報を入浴者と紐付けることができず、取得した情報を活用できないという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、入浴に関し、取得した情報を十分に活用することができる入浴管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理システムであって、入浴した入浴者を特定する入浴者特定部と、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を取得する客観情報取得部と、この客観情報取得部によって取得された客観情報を、入浴者特定部によって特定された入浴者と紐付けて記録する記録部と、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定する入浴者推定部と、を有し、入浴者推定部は、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者が推定されるので、入浴者に煩雑な操作を強いることなく、取得された客観情報を入浴者と紐付けし、活用することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、客観情報取得部は、入浴した入浴者の生体情報を取得するように構成され、入浴者推定部は、取得された生体情報に基づいて入浴者を推定する。
【0010】
生体情報には、一般に、入浴者自身が意識していない入浴者の特性が反映される。上記のように構成された本発明によれば、入浴者推定部は、取得された生体情報に基づいて入浴者を推定するので、入浴者を精度良く推定することができ、取得された客観情報を十分に活用することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、入浴者の浴槽への進入、及び入浴者の浴槽からの退出を検知可能な出入検知器を有し、入浴者特定部は、出入検知器により、入浴者の退出が検知された後、所定時間以内に入浴者の進入が検知された場合には、退出した入浴者と進入した入浴者を、同一の入浴者として特定する。
【0012】
このように構成された本発明によれば、浴槽からの退出が検知された後、所定時間以内に入浴者の進入が検知された場合には、退出した入浴者と進入した入浴者を、同一の入浴者として特定するので、1回の入浴を、複数回の入浴と誤認識して、その度に入浴者の特定が行われる不便を回避することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、入浴に関する主観的な情報である主観情報を、入浴者に入力させる主観情報入力部と、主観情報の入力を入浴者に促す報知部と、を有し、報知部は、入浴者推定部によって推定された入浴者に対し、主観情報の入力を促す。
【0014】
このように構成された本発明によれば、主観情報入力部により、入浴に関する主観的な情報である主観情報を入浴者に入力させるので、入浴者の入浴に関する客観的な情報に、入浴者の主観的な情報を紐付けることができ、入浴に関し、より有用な情報を提供することが可能になる。
【0015】
また、本発明は、入浴者の入浴に関する情報を管理する入浴管理プログラムであって、コンピュータにインストールされることにより、コンピュータを、入浴した入浴者を特定する入浴者特定部、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を取得する客観情報取得部、この客観情報取得部によって取得された客観情報を、入浴者特定部によって特定された入浴者と紐付けて記録する記録部、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定する入浴者推定部、として機能させ、入浴者推定部は、入浴者特定部により入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部に記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定することを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明は、入浴者の入浴に関する情報を管理することができる浴室システムであって、浴槽と、本発明の入浴管理システムと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の入浴管理システム、入浴管理プログラム、及び浴室システムによれば、入浴に関し、取得した情報を十分に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態による入浴管理システムを適用した浴室全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による入浴管理システムを適用した浴室に備えられた浴槽の上面図である。
【
図3】本発明の実施形態による入浴管理システムを適用した浴室に備えられた浴槽の機能を説明するための模式図である。
【
図4】本発明の実施形態による入浴管理システムにより、客観情報を取得するための信号の処理を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態による入浴管理システムの作用を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態による入浴管理システムにおいて、リモコンのディスプレイ表示の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による入浴管理システムにおいて、スマートフォンのディスプレイに表示された主観情報入力用の画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による入浴管理システムにおいて、スマートフォンのディスプレイに表示された客観情報及び主観情報の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態による入浴管理システムにおいて、入浴者推定部による入浴者の推定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による入浴管理システム、入浴管理プログラム、及び浴室システムを説明する。
図1は、本発明の実施形態による入浴管理システムを適用した浴室システム全体を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態の入浴管理システムを適用した浴室に備えられた浴槽の上面図である。
図3は、本発明の実施形態の入浴管理システムを適用した浴室に備えられた浴槽の機能を説明するための模式図である。
図4は、本発明の実施形態による入浴管理システムにより、客観情報を取得するための信号の処理を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態の入浴管理システム1は、浴槽2と、この浴槽2に取り付けられた負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cと、電極によって取得された信号を処理する信号処理装置6と、浴槽2の上縁に設けられた吐水装置8と、を有する。さらに、入浴管理システム1は、信号処理装置6によって処理された信号の送受信を行う制御装置10と、浴室Rの壁面に取り付けられたリモコン12と、を有する。
【0021】
本実施形態において、入浴管理システム1は、浴槽2を備えた浴室Rに適用されているが、本発明の入浴管理システムを、浴槽2を備えないシャワー室に適用することもできる。なお、本明細書において、「入浴」には、浴槽2を備えた浴室Rを利用することばかりでなく、シャワー室においてシャワーを利用することも含まれるものとする。
【0022】
浴槽2は、平面視において略長方形の箱形に形成され、内部に湯水を貯留するように構成されている。本実施形態においては、浴槽2は、その1つの長辺、及びその両側の2つの短辺全体が、浴室Rの内壁面に接するように配置されている。また、浴槽2の一方の短辺を構成する内壁面は、入浴者が寄りかかるように形成された背もたれ面2aとして構成されている。
【0023】
図2に示すように、吐水装置8は、浴槽2の背もたれ面2aの上方に設けられ、浴槽2の内方に向けて湯水を吐出するように構成されている。本実施形態において、吐水装置8は、背もたれ面2a上縁に沿って延びる扁平で幅広な吐水口8aを備えており、背もたれ面2aに寄りかかった入浴者の肩に向けて湯水を吐出するように構成されている。
【0024】
また、
図3に示すように、吐水装置8は、浴槽2内に貯留された湯水を取水口8bから吸い込み、吐水口8aから吐出させるポンプ8cを備えている。さらに、ポンプ8cと吐水口8aの間にはチャンバ8dが設けられている。ポンプ8cにより、チャンバ8d内へ湯水を勢いよく噴射することにより、チャンバ8d内の湯水も巻き込まれて、大流量の湯水を吐水口8aから吐出させることができる。このため、浴槽2内の湯水は、ポンプ8cによって取水口8bから吸い込まれ、吐水口8aから吐出されて浴槽2内に流入するように循環する。
【0025】
さらに、浴槽2には、浴槽2内に貯留された湯水の温度を検出するための温度センサ14が設けられている。この温度センサ14によって検出された信号は、制御装置10に入力される。この浴槽2内に貯留された湯水の温度は、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報として検出され、制御装置10に入力される。
【0026】
一方、
図3に示すように、負電極4a、正電極4b及び基準電極4cは、浴槽2の背もたれ面2aに取り付けられている。これらの電極により、浴槽2内に貯留された湯水を介して入浴者の心電信号を、電位差の信号として検出することができる。即ち、負電極4a、正電極4b及び基準電極4cにより、入浴者の入浴に関する客観的な情報である心電信号が、客観情報として検出される。なお、負電極4a、正電極4b及び基準電極4cのうち、基準電極4cを省略することもできる。
【0027】
さらに、負電極4a、正電極4b及び基準電極4cによって、入浴者の心電信号を検出することにより、入浴者が浴槽2の中に居るか否かを検出することもできる。即ち、電極によって心電信号が検出されていれば、入浴者が浴槽2の中に居ると判断することができ、心電信号が検出されていなければ、入浴者は浴槽2の中に居ないと判断することができる。これにより、電極の検出信号に基づいて、入浴者が浴槽2の中に入っていた入浴時間を検出することができる。この入浴者の入浴時間は、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報として検出され、制御装置10に入力される。
【0028】
次に、
図4を参照して、信号処理装置6及び制御装置10の構成を説明する。
信号処理装置6は、負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cが接続される電気回路であり、浴槽2の背もたれ面2aの背面側に配置されている。負電極4a、正電極4b、及び基準電極4cによって取得された信号は、信号処理装置6によって処理され、処理結果が制御装置10に入力される。
【0029】
図4に示すように、信号処理装置6は、差動増幅回路16と、フィルタ回路18と、増幅回路20と、A/Dコンバータ22と、インターフェイス回路24と、を有する。
差動増幅回路16は、負電極4a及び正電極4bから夫々延びる導線が接続される増幅回路であり、負電極4aと正電極4bの間の差電圧を増幅するように構成されている。
【0030】
フィルタ回路18は、差動増幅回路16によって増幅された差電圧が入力され、ハムなどの不要な周波数帯域の成分を除去し、必要な周波数帯域の信号成分を通過させるように構成されている。
増幅回路20は、フィルタ回路18によって、ハムなどの不要な周波数帯域成分が除去された信号が入力され、入力された信号を増幅するように構成されている。また、基準電極4cから延びる導線は、差動増幅回路16、フィルタ回路18、及び増幅回路20のグラウンドに接続される。
【0031】
A/Dコンバータ22は、増幅回路20によって増幅されたアナログ信号を、ディジタル信号に変換するように構成されている。
インターフェイス回路24は、A/Dコンバータ22によってA/D変換されたディジタル信号が入力され、入力されたディジタル信号を制御装置10等に送り出すように構成されている。
【0032】
制御装置10は、浴槽装置制御部10aと、演算部10bと、送受信部10cと、入浴者特定部10dと、記録部10eと、入浴者推定部10fと、を有する。具体的には、制御装置10は、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路、これらを作動させるソフトウェア、アンテナ等(以上、図示せず)から構成され、上記の各機能部として作用する。即ち、本実施形態において、コンピュータである制御装置10は、本発明の実施形態による入浴管理プログラムをインストールすることにより、浴槽装置制御部10a、演算部10b、送受信部10c、入浴者特定部10と、記録部10e、及び入浴者推定部10fとして機能する。
浴槽装置制御部10aは、リモコン12の操作等に基づいて、吐水装置8からの吐水、止水や、浴槽2内の湯水の温度を制御するように構成されている。
【0033】
演算部10bは、信号処理装置6から入力された心電信号に基づいて、客観情報として、入浴者の心拍数を計算するように構成されている。また、演算部10bは、計時装置(図示せず)を内蔵しており、入力された心電信号に基づいて、入浴者が浴槽2に入った時刻、入浴者が浴槽2から出た時刻、入浴者が浴槽2に入っていた時間を計算するように構成されている。
【0034】
送受信部10cは、浴室Rの壁面に取り付けられたリモコン12、及び入浴者が所有している携帯端末であるスマートフォン30と相互に通信可能に構成されている。これにより、リモコン12が操作された場合には、操作信号が受信され、吐水装置8等が制御される。また、演算部10bによって算出された心拍数や、心電信号を、送受信部10cによってリモコン12に送信し、リモコン12の表示部(図示せず)に入浴者の心拍数や、心電信号の波形が表示されるように本発明を構成することもできる。
【0035】
さらに、送受信部10cは、専用のアプリケーションプログラムがインストールされたスマートフォン30と相互に通信可能に構成されている。本実施形態において、送受信部10cとスマートフォン30は、Bluetooth(登録商標)を通信プロトコルとして使用して相互にペアリングされ、情報を送受信可能に構成されている。
【0036】
入浴者特定部10dは、送受信部10cとペアリングされたスマートフォン30の所有者を入浴者として特定するように構成されている。即ち、入浴管理システム1には、このシステムの使用者が予め登録されている。入浴者特定部10dは、送受信部10cとペアリングされたスマートフォン30に基づいて、入浴者が登録された使用者のうちの誰であるかを特定する。また、送受信部10cとスマートフォン30がペアリングされず、入浴者が特定できない場合には、入浴者特定部10dはリモコン12に信号を送り、リモコン12を使用して入浴者を入力するように、リモコン12のディスプレイにメッセージを表示する。
【0037】
記録部10eは、演算部10bによって算出された入浴者の心拍数、入浴者が浴槽2に入った時刻、入浴者が浴槽2から出た時刻、入浴者が浴槽2に入っていた時間を、入浴者の入浴に関する客観情報として記録するように構成されている。また、記録部10eは、温度センサ14(
図3)によって検出された浴槽2内の湯水の温度も、客観情報として記録する。
【0038】
さらに、記録される客観情報は、入浴者特定部10dによって特定された入浴者と紐付けて記録部10eに記録される。これにより、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報を、入浴者毎に管理して記録することができる。また、記録部10eに記録された客観情報は、送受信部10cを介してスマートフォン30に送信され、スマートフォン30に内蔵された記憶装置(図示せず)にも保存される。なお、本明細書において、「入浴者の入浴に関する客観情報」とは、入浴者の入浴に関連してセンサ等で取得された客観的な情報を意味する。
【0039】
入浴者推定部10fは、入浴者特定部10dによって入浴者が特定できなかった場合において、入浴した入浴者を推定するように構成されている。即ち、入浴者推定部10fは、入浴者特定部10dにより入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部10eに記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定する。入浴者推定部10fによる入浴者推定の詳細については後述する。
【0040】
スマートフォン30は、専用のアプリケーションプログラムがインストールされることにより、本発明の実施形態による入浴管理システムの一部として機能する。即ち、スマートフォン30に内蔵されたマイクロプロセッサ、メモリ、及び記憶装置(以上、図示せず)は、主観情報入力部30a、及び報知部30bとして機能する。
【0041】
なお、本実施形態においては、携帯端末としてスマートフォン30が使用されているが、携帯端末として、タブレットやノートパソコン等を使用することもできる。また、本実施形態の入浴管理システムにおいて、制御装置10に備えられている浴槽装置制御部10a、演算部10b、送受信部10c、入浴者特定部10d、記録部10e、及び入浴者推定部10fの全部又は少なくとも一部は、リモコン12又はスマートフォン30の内部に設けられていても良い。
【0042】
主観情報入力部30aは、入浴に関する主観的な情報である主観情報を、入浴者に入力させるように構成されている。具体的には、主観情報入力部30aは、スマートフォン30のディスプレイに、主観情報入力用の画面(
図7)を表示させ、入浴者が、直近の入浴に対する主観的な情報を入力できるようにする。入浴者は、入力用の画面に従って入浴に関する主観的な情報を入力する。
【0043】
また、スマートフォン30に内蔵された記憶装置(図示せず)には、制御装置10から送信された客観情報、及び入浴者が主観情報入力部30aによって入力した主観情報が記憶される。1回の入浴に対する客観情報及び主観情報は紐付けられ、入浴履歴として記憶される。さらに、スマートフォン30のディスプレイには、記憶装置(図示せず)に記録された客観情報及び主観情報を表示することもできる。
【0044】
報知部30bは、直近の入浴に関する主観情報の入力を、入浴者に促すように構成されている。即ち、報知部30bは、入浴者が入浴を終えた後、主観情報入力用の画面を、スマートフォン30のディスプレイに自動的に表示させ、入浴者に、主観情報の入力を促す。また、主観情報入力用の画面を表示させると共に、アラーム音を鳴らすように本発明を構成することもできる。或いは、「主観情報を入力して下さい」という音声を発生させるように本発明を構成することもできる。なお、報知部30bによる報知(主観情報入力用画面の表示)は、入浴時刻から所定の待機時間が経過した後に実行される。
【0045】
次に、本発明の実施形態による入浴管理システムの作用を説明する。
図5は、本発明の実施形態による入浴管理システムの作用を示すフローチャートである。
図6は、リモコン12のディスプレイ表示の一例を示す図である。
図7は、スマートフォン30のディスプレイに表示された主観情報入力用の画面の一例を示す図である。
図8は、スマートフォン30のディスプレイに表示された客観情報及び主観情報の一例を示す図である。
図9は、入浴者推定部10fによる入浴者の推定の一例を示す図である。
【0046】
まず、
図5のステップS1においては、入浴者が浴室Rに入室したか否かが判断される。本実施形態においては、浴室Rのドアに入浴者の入退室を検知する入室センサ(図示せず)が設けられており、入浴者の浴室Rへの入室が検知される。入浴者の入室が検知されるまではステップS1の処理が繰り返し実行され、入室が検知されると、フローチャートにおける処理はステップS2に進む。なお、本実施形態においては、入浴者の浴室Rへの入室を検知しているが、入浴者の浴槽2内への進入、退出を検知するように本発明を構成することもできる。
【0047】
次に、ステップS2においては、入浴者のスマートフォン30と制御装置10がペアリングされたか否かが判断される。即ち、入浴者がスマートフォン30を持って浴室Rに隣接する脱衣室(図示せず)に入ると、スマートフォン30と制御装置10の送受信部10cと間で通信が行われる。これにより、スマートフォン30に専用のアプリケーションプログラムがインストールされているか否かが、制御装置10によって認識される。スマートフォン30に専用のアプリケーションプログラムがインストールされている場合には、制御装置10とスマートフォン30の間でペアリングが行われ、入浴者が誰であるかが、入浴者特定部10dによって特定される。
【0048】
制御装置10とスマートフォン30の間でペアリングが行われた場合には、フローチャートにおける処理はステップS4に進み、ペアリングが行われていない場合には、ステップS3に進む。
ステップS3において、制御装置10の入浴者特定部10dは、リモコン12に制御信号を送り、リモコン12により利用者を特定させる。即ち、
図6に示すように、リモコン12のディスプレイ上には、「入浴者を入力して下さい」というメッセージが表示される。或いは、この表示と共に、又はこの表示に代えて、音声により「入浴者を入力して下さい」というメッセージが流れるように本発明を構成することもできる。
【0049】
この表示を受けて、使用者は、リモコン12のディスプレイの下に設けられた「A」、「B」、「C」の何れかの入浴者入力ボタンを押して、入浴管理システム1に入浴者を認識させる。例えば、入浴管理システム1が住宅の浴室Rに適用されている場合には、浴室Rを利用する家人を入浴管理システム1に予め登録しておき、登録した家人をリモコン12の入浴者入力ボタン「A」、「B」、「C」に夫々割り当てておく。入浴者がリモコン12の何れかのボタンを押すことにより、入浴管理システム1は入浴者を特定することができる。
【0050】
次いで、ステップS2又はステップS3(入浴者入力ボタンが押されない状態であっても)の後、ステップS4が実行される。ステップS4においては、入浴者の入浴に関する客観的な情報である客観情報が取得される。さらに、ステップS5においては、入浴者が浴室Rから退室したか否かが判断され、入浴者が退室するまでステップS4、S5の処理が繰り返し実行される。これにより、客観情報の取得が経時的に実行される。
【0051】
具体的には、本実施形態においては、客観情報として、負電極4a、正電極4b、基準電極4cにより、浴槽2の湯水に浸かっている入浴者の心電信号が検出され、制御装置10の演算部10bにおいて、入浴者の心拍数が算出される。また、各電極により心電信号が検出されていた時間に基づいて、入浴者が浴槽2の湯水に浸かっていた時間(入浴時間)も算出される。従って、本実施形態において、制御装置10の演算部10bは、客観情報を取得する客観情報取得部として機能する。このように、客観情報取得部は、入浴した入浴者の生体情報として、入浴者の心拍数を取得するように構成されている。取得される生体情報として、入浴者の心拍数や、呼吸、血圧、体温等のバイタル情報を取得可能に客観情報取得部を構成することもできる。さらに、浴槽2内の湯水の温度も、温度センサ14(
図3)により客観情報として検出される。このため、本実施形態において、温度センサ14は、客観情報を取得する客観情報取得部として機能する。
【0052】
また、浴槽2の湯水に浸かっている入浴者が浴槽2から退出したことが検出され、その後、再び、浴槽2内への進入が検出された場合において、退出の後、所定時間以内に進入が検出された場合には、入浴者特定部10dは、退出した入浴者と、進入した入浴者が同一の入浴者であると特定する。この場合には、入浴者特定部10dは、新たな入浴者の特定は実行しない。一方、入浴者の退出の後、所定時間よりも長い時間が経過して、進入が検出された場合には、入浴者特定部10dは、退出した入浴者と、進入した入浴者は別の入浴者であると特定して、入浴者を新たに特定する。
【0053】
本実施形態においては、入浴者が退出した後、15分以内に進入が検出された場合には、入浴者特定部10dは、退出した入浴者と、進入した入浴者が同一の入浴者であると特定する。また、上述したように、本実施形態においては、負電極4a、正電極4b、基準電極4cにより、浴槽2の湯水に浸かっている入浴者の心電信号が検出された場合には、入浴者が浴槽2の中に居ると判断され、心電信号が検出されない場合には、入浴者は居ないと判断される。従って、本実施形態において、負電極4a、正電極4b、基準電極4cは、浴者の浴槽2への進入、及び入浴者の浴槽2からの退出を検知可能な出入検知器として機能する。
【0054】
次いで、入浴者が浴室Rから退室したことが検知されると、フローチャートにおける処理は、ステップS5からS6へ進む。ステップS6においては、入浴者が、入浴者推定部10fにより特定されたか否かが判断される。即ち、制御装置10の送受信部10cとスマートフォン30がペアリングされた場合、及び入浴者がリモコン12の入浴者入力ボタンを操作した場合にはステップS7に進み、ペアリングも、ボタン操作もない場合にはステップS8に進む。
【0055】
ステップS7においては、ステップS4において取得された客観情報が、入浴者推定部10fにより特定された入浴者と紐付けて制御装置10の記録部10eに記録される。また、送受信部10cとスマートフォン30がペアリングされている場合には、取得された客観情報をスマートフォン30に送信するように、本発明を構成することもできる。
【0056】
次に、ステップS9においては、スマートフォン30の報知部30bにより、入浴者に主観情報を入力するよう報知が行われ、
図5に示すフローチャートの1回の処理が終了する。ここで、本実施形態においては、入浴者が浴室Rから退室した後、所定の待機時間が経過すると、報知部30bによる報知が実行される。
【0057】
具体的には、「冷え性改善」について、入浴の効果を入力するように入浴者に促す場合には、入浴の後、2時間経過すると、報知部30bはスマートフォン30のアラームを鳴らすと共に、ディスプレイに主観情報の入力画面を表示させ、入浴者に主観情報の入力を促す。即ち、直近の入浴により「冷え性改善」の効果が得られたか否かは、入浴者が浴槽2から出た直後には正確に認識することができず、ある程度時間が経過した後、入浴による効果が入浴者によって自覚されると考えられる。
【0058】
図7は、スマートフォン30のディスプレイに表示される主観情報の入力画面の一例である。
図7に示すように、主観情報の入力画面には、スマートフォン30の記憶装置(図示せず)に蓄積されている入浴履歴が一覧表として表示される。各回の入浴に対して、入浴した日付、入浴した湯水の温度(℃)、入浴していた時間(分)、及び入浴者の心拍数(回/分)の客観情報が表示され、この入浴に対して入浴者が入力した主観情報が、左端に表示されている。
【0059】
入浴履歴の一覧表の最上段には、直近の入浴において取得された客観情報が表示され、最上段の左端に、入浴者の主観情報として、この入浴により得られた温まり感が入力できるようになっている。入浴者は、自覚している温まり感を、5段階の中から選択して入力する。
【0060】
一方、「疲労回復」について、入浴の効果の入力を入浴者に促す場合には、入浴時刻から30分経過すると、報知部30bにより、報知が行われる。即ち、直近の入浴により「疲労回復」の効果が得られたか否かは、入浴者が浴槽2から出た後、比較的短時間で入浴者が認識することができると考えられ、待機時間は短く設定されている。また、「睡眠向上」について、入浴の効果の入力を入浴者に促す場合には、入浴時刻から10時間経過すると、報知部30bにより、報知が行われる。即ち、直近の入浴により「睡眠向上」の効果が得られたか否かは、入浴者が入浴した後、睡眠を取らなければ自覚することができないため、長時間経過した後で報知が行われる。
【0061】
なお、入浴の複数の効果について、主観情報の入力を促す場合には、1回の入浴に対して、複数回報知が行われ、複数種類の主観情報を入力することができる。例えば、入浴の目的として、「疲労回復」及び「睡眠向上」が設定されている場合には、まず、入浴時刻から30分経過後に、疲労が回復した程度に関する主観情報の入力が促される。さらに、入浴時刻から10時間経過後に、睡眠の質に関する主観情報の入力が促される。
【0062】
また、
図8は、スマートフォン30のディスプレイに表示された入浴履歴のグラフ表示の一例であり、客観情報及び主観情報が表示されている。
図8においては、横軸を入浴時間、縦軸を入浴した湯水の温度としたグラフ上に、入浴履歴が示されている。即ち、或る入浴時間、或る温度で行われた1回の入浴に対し、1つのプロット点がグラフ上に表示される。また、その入浴に対して、入浴者が入力した主観情報が、プロット点の種類により表されている。
図8の例では、非常に良い温まり感が得られたときは◎、普通の温まり感が得られたときは○、温まり感があまり良くなかったときは△のプロット点が表示されている。また、直近の入浴に対するプロット点は大きく表示されている。
【0063】
このグラフ表示により、入浴者は、自身が過去に行った入浴の傾向や、どのような条件(入浴時間、温度)で入浴を行ったときに、良い温まり感を感じているかを容易に把握することができる。また、
図8に示すグラフ上には、冷え性を改善するために推奨される入浴の領域(入浴時間、温度の範囲)が破線で示されている。入浴者は、入浴の効果に満足できない場合には、グラフ上で推奨された条件で入浴を行うことにより、入浴の効果の改善を期待することができる。
【0064】
一方、
図5に示すフローチャートのステップS6において、入浴者が、入浴者特定部10dにより特定されていないと判断された場合には、ステップS8に進む。
ステップS8においては、入浴者特定部10dにより特定できなかった入浴者が、入浴者推定部10fにより推定可能であるか否かが判断される。推定可能であると判断された場合にはステップS10に進み、推定できないと判断された場合にはステップS11に進む。
【0065】
具体的には、入浴者推定部10fは、入浴者特定部10dにより入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部10eに記録されている客観情報に基づいて、入浴者を推定する。
【0066】
図9は、入浴者推定部10fによる入浴者の推定の一例を示す図である。
図9の左欄には、入浴者特定部10dにより入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報の一例が示されている。
図9に示すように、入浴者が特定できなかった入浴において、入浴者の入浴時間(入浴者が浴槽2の中に入っていた時間)は14分であり、浴槽2内に貯留されていた湯水の温度は38℃である。また、入浴による心拍数の変動(入浴者が浴槽2の中に入った時と、浴槽2から出た時の心拍数の差)は+11(11回/分の増加)である。
【0067】
一方、
図9の右欄には、過去の入浴で取得された、記録部10eに記録されている客観情報が示されている。記録部10eに記録されている1組の客観情報は、入浴時間14分、浴槽2内の湯水温度42℃、心拍数の変動+20である。この客観情報は、入浴管理システム1に登録されている3人の登録者のうちの入浴者Aに紐付けられている。さらに、記録されているもう1組の客観情報は、入浴時間15分、湯水温度37℃、心拍数の変動+10で入浴者Bに紐付けられ、更なる1組の客観情報は、入浴時間10分、湯水温度40℃、心拍数の変動+15で入浴者Cに紐付けられている。
【0068】
図9の左欄の客観情報と右欄の客観情報を比較すると、入浴者が特定できていない左欄の客観情報は、記録部10eに記録されている右欄の中段に示す客観情報と類似している。入浴者推定部10fは、入浴者が特定できなかった入浴に係る客観情報と、記録部10eに記録されている客観情報を比較することにより、入浴者が特定できなかった入浴は、入浴者Bによる入浴であると推定する。
【0069】
また、上記の例においては、客観情報として、入浴による入浴者の心拍数の変動が使用されていたが、入浴中における心拍数の平均値を客観情報として取得し、これを使用して入浴者を推定することもできる。さらに、上記の例では、浴槽2に浸かっていた時間を客観情報として取得していたが、入浴を行った時刻を客観情報として取得し、これを使用して入浴者を推定しても良い。また、浴室Rに備えられている機器の利用状況を客観情報として取得し、これを使用して入浴者を推定することもできる。例えば、浴槽2に備えられている吐水装置8の利用の仕方(吐水装置8から吐出させる湯水の温度、吐水の強さ等)や、浴室温風乾燥機又は換気扇(図示せず)の利用の有無を客観情報として取得することもできる。或いは、浴室Rに、照明による演出、テレビ、ラジオ等の機器が備えられている場合には、それらの利用状況を客観情報として取得することもできる。
【0070】
このように、
図5のステップS8において、入浴者が特定できなかった入浴の入浴者が、入浴者推定部10fにより推定できる場合には、ステップS10に進む。ステップS10においては、入浴者が特定できなかって入浴において取得された客観情報と、入浴者推定部10fにより推定された入浴者を、仮に紐付けし、ステップS9に進む。
【0071】
ステップS9においては、ステップS10において仮に紐付けられた入浴者(
図9の例では入浴者B)の所有するスマートフォン30において、入浴者に報知が行われる。ただし、入浴者推定部10fにより推定された入浴者に報知を行う場合には、まず、スマートフォン30のディスプレイに、「○○さん、本日○時○分頃入浴しましたか?」という確認メッセージが表示される。
【0072】
このメッセージに対して、スマートフォン30の所有者が「はい」と入力した場合には、
図7により説明した主観情報の入力画面が表示され、スマートフォン30の所有者(入浴者)に主観情報の入力が促される。また、推定された入浴者と仮に紐付けられていた客観情報は、その入浴者の客観情報として正式に紐付けられ、
図5に示すフローチャートの1回の処理が終了する。一方、メッセージに対して、スマートフォン30の所有者が「いいえ」と入力した場合には、仮に紐付けられていた客観情報と入浴者の紐付けが解除される。また、制御装置10により取得された客観情報は、「入浴者不明」として、記録部10e保存される。
【0073】
一方、
図5のステップS8において、入浴者の推定不可と判断された場合には、ステップS11に進む。ステップS11においては、ステップS4において取得された客観情報が、入浴者不明の客観情報として記録部10eに記録され、入浴者に報知が行われることなく、
図5に示すフローチャートの1回の処理を終了する。
【0074】
本発明の実施形態の入浴管理システム1によれば、入浴者が特定できなかった入浴において取得された客観情報と、過去の入浴で取得された、記録部10eに記録されている客観情報に基づいて、入浴者が推定される(
図9)ので、入浴者に煩雑な操作を強いることなく、取得された客観情報を入浴者と紐付けし、活用することができる。
【0075】
また、本実施形態の入浴管理システム1によれば、入浴者推定部10fは、取得された生体情報である心拍数に基づいて入浴者を推定するので、入浴者を精度良く推定することができ、取得された客観情報を十分に活用することができる。
【0076】
さらに、本実施形態の入浴管理システム1によれば、浴槽2からの退出が検知された後、所定時間以内に入浴者の進入が検知された場合には、退出した入浴者と進入した入浴者を、同一の入浴者として特定するので、1回の入浴を、複数回の入浴と誤認識して、その度に入浴者の特定が行われる不便を回避することができる。
【0077】
また、本実施形態の入浴管理システム1によれば、主観情報入力部30aにより、入浴に関する主観的な情報である主観情報を入浴者に入力させるので、入浴者の入浴に関する客観的な情報に、入浴者の主観的な情報を紐付けることができ、入浴に関し、より有用な情報を提供することが可能になる。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、入浴管理システムを、浴槽を備えた浴室に適用していたが、浴槽を備えないシャワー室に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1 入浴管理システム
2 浴槽
2a 背もたれ面
4a 負電極
4b 正電極
4c 基準電極
6 信号処理装置
8 吐水装置
8a 吐水口
8b 取水口
8c ポンプ
8d チャンバ
10 制御装置
10a 浴槽装置制御部
10b 演算部(客観情報取得部)
10c 送受信部
10d 入浴者特定部
10e 記録部
10f 入浴者推定部
12 リモコン
14 温度センサ
16 差動増幅回路
18 フィルタ回路
20 増幅回路
22 A/Dコンバータ
24 インターフェイス回路
30 スマートフォン(携帯端末)
30a 主観情報入力部
30b 報知部