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特開2024-102927CO2回収装置及びその方法、CO2回収システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102927
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】CO2回収装置及びその方法、CO2回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240725BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240725BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20240725BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240725BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240725BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240725BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/81
B01D53/04
B01D53/14 200
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007009
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩之
(72)【発明者】
【氏名】宮島 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】亀田 吉典
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA01
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA11
4D002DA31
4D002DA41
4D002DA45
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CB12
4D012CB16
4D012CD04
4D012CD07
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF01
4D012CF02
4D012CF04
4D012CF05
4D012CF10
4D012CG01
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
4D020CB08
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB01
4D020DB02
4D020DB03
4D020DB20
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC27
(57)【要約】
【課題】CO2排出源からCO2を選択的に回収することができ、ランニングコストと、エネルギー消費量とを抑えることができるCO2回収装置及びその方法、CO2回収システムを提供する。
【解決手段】
CO2回収装置10Aは、CO2排出源からのCO2を含む導入ガスG中のCO2を吸着する少なくとも一つのCO2回収部であるCO2吸着剤充填塔12と、CO2吸着剤充填塔12とに高純度CO2ガスを導入する高純度CO2ガス導入装置30と、を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2排出源からのCO2を含む導入ガス中のCO2を吸着又は吸収する少なくとも一つのCO2回収部と、
前記CO2回収部に前記導入ガスを超えるCO2濃度の高純度CO2ガスを導入する高純度CO2ガス導入装置と、を備えることを特徴とするCO2回収装置。
【請求項2】
前記CO2回収部の少なくとも出口において、
前記CO2ガスの回収状態を確認するCO2ガス確認手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のCO2回収装置。
【請求項3】
前記高純度CO2ガスを圧縮する圧縮装置を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のCO2回収装置。
【請求項4】
前記CO2回収部のCO2回収材料がCO2を吸着するCO2吸着剤又はCO2を吸収するCO2吸収液のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載のCO2回収装置。
【請求項5】
CO2排出源からの低純度CO2の導入ガスを第1のCO2回収部に導入し、CO2を回収する第1工程と、
前記第1回収工程での第1のCO2回収部で破過が確認された際、第2のCO2回収部で回収を行う第2工程と、
第1工程での第1のCO2回収部をガス導入ラインから切り離す第3工程と、
前記切り離した第1のCO2回収部に高純度CO2ガスを導入する第4工程を有することを特徴とするCO2回収方法。
【請求項6】
前記CO2回収部を複数設け、
前記第1工程から第4工程を順次繰り返すことを特徴とする請求項5に記載のCO2回収方法。
【請求項7】
前記第4工程において高純度CO2ガスを導入する際、圧縮することを特徴とする請求項5又は6に記載のCO2回収方法。
【請求項8】
船舶に請求項1又は請求項2のCO2回収装置を搭載することを特徴とするCO2回収システム。
【請求項9】
前記船舶に搭載したCO2回収装置のCO2回収部に封入された回収CO2を取り出すCO2取出装置を、陸上に備えることを特徴とする請求項8に記載のCO2回収システム。
【請求項10】
前記船舶に搭載した前記CO2回収装置からCO2を封入したCO2回収部を陸上に移動する移動手段を備えることを特徴とする請求項9に記載のCO2回収システム。
【請求項11】
前記CO2取出装置から取り出したCO2を原料として化成品に転換する化成品転換装置を陸上に備えることを特徴とする請求項9に記載のCO2回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2回収装置及びその方法、CO2回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的にカーボンニュートラル対策として、各種二酸化炭素(CO2)排出源からCO2を分離回収し、固定化または有効利用する取り組みが進められている。
このCO2分離方法としては、例えばアミン吸収法や膜分離法、吸着分離法等の各種方法が考えられている。そして、回収したCO2は液化してから、例えばタンクやボンベに貯蔵し、出荷されることが一般的である。いずれの場合も設置スペースや動力が必要なため、設置場所においてそれらの制約があると、これらの設備を設置することができない。
【0003】
1)アミン吸収法は、回収率や回収純度に優れるが、大規模用途向きで、装置サイズも大きくなる、という問題がある。
【0004】
2)膜分離法は、操作性は簡便だが、圧力差で分離するため、CO2含有ガスの圧力がないと、圧縮機や真空ポンプ等が必要である。分離性能も高くないため、高純度・高回収率を達成するためには、複数段で分離するため、回転機器の基数も増加し、多くの動力を消費する、という問題がある。
【0005】
3)吸着分離法は、例えばPSA(圧力スイング吸着:Pressure Swing Adsorption)やVSA(真空再生式圧力スイング吸着:Vacuum Swing Adsorption)等がある。しかしながら、膜分離法に比べて分離性能は良いが、圧力差が必要なため回転機器の動力が大きくなる、という問題がある。
また、CO2の吸着能力に優れるゼオライト系吸着剤の場合は、CO2よりも水分を強く吸着する特性を持つため、ガス中の水分の除去が必要である。
【0006】
ここで、「船上でのCO2回収装置の開発」として、アミン吸収法を用いる提案がある(非特許文献1:「ClassNK 技報 No.5, 2022(I)」参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ClassNK 技報 No.5, 2022(I) https://www.classnk.or.jp/hp/pdf/research/rd/2022/05_j03.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1のアミン吸収法を用いた提案では、アミン溶液を用いる場合には、船上においてCO2を吸収したアミン溶液を再生する必要があり、そのための再生塔が必要となると共に、その再生の熱源が必須となり、エネルギー消費が嵩む、という問題がある。また、アミン溶液はその使用により経時劣化をするため、交換費用等のランニングコストが嵩むという、問題がある。また回収したCO2を輸送する場合は、液化して容積当たりの貯蔵量を増加させる必要があるが、別途液化設備を設置する場合は、新たな設備やエネルギーが必要になる。
【0009】
本発明は従来技術の有するこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、CO2排出源からCO2を選択的に回収することができ、ランニングコストと、エネルギー消費量とを抑えることができるCO2回収装置及びその方法、CO2回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一つの態様のCO2回収装置は、CO2排出源からのCO2を含む導入ガス中のCO2を吸着又は吸収する少なくとも一つのCO2回収部と、前記CO2回収部に前記導入ガスを超えるCO2濃度の高純度CO2ガスを導入する高純度CO2ガス導入装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る一つの態様のCO2回収方法は、CO2排出源からの低純度CO2の導入ガスを第1のCO2回収部に導入し、CO2を回収する第1工程と、前記第1回収工程での第1のCO2回収部で破過が確認された際、第2のCO2回収部で回収を行う第2工程と、第1工程での第1のCO2回収部をガス導入ラインから切り離す第3工程と、前記切り離した第1のCO2回収部に高純度CO2ガスを導入する第4工程を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る一つの態様のCO2回収システムは、船舶に前記CO2回収装置を搭載することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、CO2吸着剤又は吸収液を充填したCO2回収部にCO2を含む導入ガスを流通させて、選択的にCO2を吸着させてから、そのCO2充填済み回収部を別途再生設備へ移送することができる。
【0014】
そして、CO2回収部からCO2を回収して、その場でCO2ガスとして使用するか、CO2を液化してから固定先や有効利用先に出荷するシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明に係る第1の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図1B】本発明に係る第1の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図2】本発明に係る第1の実施形態の他のCO2回収装置の概略図である。
図3A】本発明に係る第2の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図3B】本発明に係る第2の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図4A】本発明に係る第3の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図4B】本発明に係る第3の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図4C】本発明に係る第3の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図5】本発明に係る試験結果を示すグラフである。
図6】本発明に係る第4の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図7】本発明に係る第5の実施形態のCO2回収システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0017】
[第1の実施形態]
図1A図1Bは、本発明に係る第1の実施形態のCO2回収装置の概略図である。図1Aに示すように、本実施形態のCO2回収装置10Aは、CO2排出源11からのCO2を含む導入ガス(以下「導入ガス」ともいう)G1を導入するガス導入手段(導入ラインL1及びブロワBからなる)と、導入ガスG1中のCO2を吸着する少なくとも一つのCO2回収部であるCO2吸着剤充填塔12と、を備える。ここで、図中、符号19は除湿装置を図示する。除湿装置は水分量が少ないガスの場合や、CO2吸着剤充填塔12の吸着剤が水分によってCO2回収量に影響を受けない場合には省略することもできる。
また、CO2排出源11のガス圧力が高い場合にはブロワBを省略することもできる。これは、導入ガスとして、吸着剤の圧損に抗して導入できる高圧のガスを導入する場合には、不要であるからである。
【0018】
ここで、CO2排出源11は、例えば陸上又は船舶等の各種エンジン等からの排ガスの他、タービン・ボイラーなどの燃焼排ガス、高炉ガス、バイオガス等を例示することができるが、本発明はこれには限定されるものではない。
【0019】
本実施形態のガス導入手段としては、CO2排出源11とCO2吸着剤充填塔12とを接続し、導入ガスG1を導入する導入ラインL1と、CO2吸着剤充填塔12内に導入ガスG1を押し込むブロワBとからなる。この導入ラインL1には開閉弁(以下「弁」ともいう)V1が設置され、またCO2吸着剤充填塔12の排出ラインL2には弁V2が設置されており、ガス導入・排出の開閉操作を切り替えている。
【0020】
CO2吸着剤充填塔12には、内部にCO2ガスを選択的に吸着する例えばゼオライト等のガス吸着剤が充填されており、導入ガスG1中のCO2を吸着処理している。また、ゼオライトを用いる場合には、除湿装置19を用いて、ガス中の水分を除去することが好ましい。このCO2吸着剤充填塔12でCO2が吸着処理された排出ガスG2は、CO2濃度が大幅に低減されており、排出ラインL2を介して処理ガス13として外部に排出される。
ここで、CO2ガスを選択的に吸着するとして例示したゼオライト以外としては、例えば活性炭、アミンを担持した無機多孔体、無機系金属酸化物等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
また、図2に示すように、CO2吸着剤充填塔12の入り口側に導入ガスG1中のCO2濃度を計測する第1のCO2計測計21Aと、CO2吸着剤充填塔12の出口側に排出ガスG2中のCO2濃度を計測する第2のCO2計測計21Bとを設けるようにしてもよい。これにより、CO2のガス吸着の状態(パージの状態、いわゆる「破過」)を確認するようにしている。
この導入ガスG1及び排出ガスG2中のCO2濃度を計測する代わりに、ガスの流量変化又はガス温度変化、ガス導入時間を計測して、ガス吸着の状態管理するようにしてもよい。このガス吸着の状態を時間で計測する場合には、排ガス組成が想定可能な場合に適用でき、時間のみの管理の場合は安価となる。
【0022】
本実施形態のCO2回収装置10Aを用いてCO2ガスを吸着する操作は、先ずCO2排出源11からの導入ガスG1をブロワBにて、CO2吸着剤充填塔12に送風する。その後、導入ガスG1中のCO2をCO2吸着剤充填塔12にて吸着回収し、CO2除去後の処理ガス13をCO2濃度が大幅に低減されたガスとして排出する。
【0023】
このとき、図2に示すCO2回収装置10Bのように計測計を設置する場合では、入口のCO2濃度は第1のCO2計測計21Aで分析されており、CO2吸着剤充填塔12出口のCO2濃度も第2のCO2計測計21Bにて測定されている。なお、この計測は、オンラインで計測するようにしてもよい。
【0024】
これにより、第2のCO2計測計21Bの計測値が所定の閾値となったときに、CO2吸着剤充填塔12の吸着破過と確認することができる。
この吸着塔の破過は、第1のCO2計測計21Aの入口CO2濃度と第2のCO2計測計21Bの出口CO2濃度とが濃度計測値において略同一となる場合である。
本実施形態では1塔式のCO2ガス回収設備を説明したが、そのCO2回収量に応じて2塔以上を設置してCO2ガスを回収することができる。この実施形態は後述する。
【0025】
また、図1Aに示すように、本実施形態のCO2回収装置10Aは、導入ラインL1から分岐した分岐ラインL11と、この導入ガスG1のガス濃度を超えるCO2濃度の高純度CO2ガスG11に変換する高純度CO2ガス導入装置30を設けている。
【0026】
この高純度CO2ガス導入装置30は、導入ガスG1中のCO2を濃縮して高純度CO2ガスG11とするものであり、高純度CO2ガス導入装置30に接続された高純度CO2導入ラインL12を介して、高純度CO2ガスG11をCO2吸着剤充填塔12内に導入している。
本発明で低純度CO2ガスG1とは、通常のエンジン等からの排ガスをいい、ガス中のCO2濃度が3~25Vol%のガスである。また、高純度CO2ガスG11とは、高純度CO2ガス導入装置30で変換されるガス中のCO2濃度が50Vol%以上好ましくは80Vol%以上のガスである。
【0027】
本実施形態のCO2回収装置10Aを用いてCO2ガスを吸着する操作は、第1工程と第2工程からなる。
<第1工程>
第1工程では、図1Aに示すように、弁V1、V2を開き、CO2排出源11から低純度CO2ガスである導入ガスG1をブロワBにてCO2吸着剤充填塔12に送風し、導入ガスG1中のCO2を吸着回収し、CO2除去後の処理ガス13を排出する。
【0028】
このとき、図2の変形例に示すように、CO2吸着剤充填塔12の入口のCO2濃度の確認を第1のCO2計測計21Aで、出口のCO2濃度も第2のCO2計測計21Bで計測している。
【0029】
そして、入口のCO2濃度≒出口のCO2濃度となった時点で、CO2吸着剤充填塔12が吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。
【0030】
<第2工程>
第2工程では、図1Bに示すように、高純度CO2ガス導入装置30を起動し、弁V20を開き導入ガスG1から高純度CO2ガス導入装置30で分離した高純度CO2ガスG11を、CO2吸着剤充填塔12に供給する。その後、弁V1を閉じる。高純度CO2ガスG11が供給されたCO2吸着剤充填塔12からの排出ガスG2のガス濃度が、目標のCO2濃度に到達するまで高純度CO2ガスG11を導入する。
【0031】
なお、高純度CO2ガスG11を例えばCO2圧縮機(図示せず)を用いて昇圧させることにより、さらに高純度CO2置換後のCO2吸着剤充填塔12内の吸着容量を増加させることができる。なお、このCO2圧縮機は無くともよい。
ただし、圧縮機を設けた場合には、最終的に高圧化によりCO2を充填塔内に封入することができる(例えば2MPaG等)。
【0032】
高純度CO2ガス導入装置30のCO2吸着方法としては、例えば
CO2VSA(真空再生式圧力スイング吸着:Vacuum Swing Adsorption)、CO2TSA(温度スイング吸着:Thermal Swing Adsorption)、アミン吸収、膜分離等を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
ここで図5において、本発明に係る試験結果を示すグラフを示す。図5は、CO2吸着剤充填塔12の吸着剤に吸着されるCO2量の時間推移の試験結果をグラフに示したものである。試験においては、先ず低純度CO2ガスを流した後に、高純度CO2ガスを流した場合のCO2吸着割合状態の変化を求めた。なお図5中、横軸は時間(分)、縦軸は割合(%)を示している。
【0034】
本試験例では、低純度CO2ガスG1を60分供給し、その後高純度CO2ガスG11を90分供給した際のCO2吸着の割合を示している。
本試験例では、低純度のCO2ガス中のCO2濃度は5Vol%、高純度のCO2ガス中のCO2濃度は100Vol%で試験した。図5に示すように、最初の30分程度で低純度のCO2ガスの吸着が飽和となり、その後高純度CO2ガスG11に切り替えて流すと、ほぼ100%まで吸着されることを確認した。
【0035】
よって、本試験により、低純度CO2ガスG1から高純度CO2ガスG11に切り替えて導入することで、吸着能力が向上することが確認された。
【0036】
このようなCO2回収装置10AをCO2排出源11の近傍に設置することにより、例えば発電所等の燃焼排ガスからのCO2回収等の大型設備や、ボイラの燃焼排ガスやバイオガスからのCO2回収等の小規模設備において、カーボンニュートラル対策に適用できる。
【0037】
また、陸上だけでなく、例えば船舶等の重油やLNG燃料のエンジンからの燃焼排ガスからのCO2回収にも適用できる。
【0038】
本実施形態のCO2回収装置10Aは、排ガス中のCO2を吸着剤により吸着させるだけでよいので、特に船上での排ガスからのCO2ガスの回収に適している。すなわち、前述したような先行文献で開示するアミン吸収液を用いるような「吸収塔」と「再生塔」とを設置する場合のように、CO2が吸収されたアミン吸収液をその後に再生する再生塔が不要となり、各種CO2排出源からCO2を選択的に回収するシステムとすることができる。また、再生塔が不要となるので、エネルギー(動力)消費量を抑えることができる。
また、回収したCO2は、CO2吸着剤充填塔12のまま輸送することができるので、CO2を液化するような場合のように、別途液化設備を設置する必要がなく、新たな設備やエネルギーが不要になる。
【0039】
このように、本発明によれば、CO2吸着剤を充填したCO2吸着剤充填塔12にCO2を含む導入ガスG1を流通させて、選択的にCO2を吸着させてから、そのCO2充填済みCO2吸着剤充填塔12を別途再生設備へ移送することができる。
【0040】
そして、CO2充填済みCO2吸着剤充填塔12からCO2を回収して、その場でCO2ガスとして使用するか、CO2を液化してから固定先や有効利用先に出荷するシステムを構築することができる。なお、このシステムについての実施形態は後述する。
【0041】
本実施形態では、CO2を吸着するCO2吸着剤を用いて説明したが、本発明はCO2吸着剤に限らず、CO2吸収液を使用することもできる。なお、この吸収液を用いる実施形態は後述する。
また、CO2を貯留したCO2吸着剤充填塔12の輸送や積込、荷下ろしが容易となる。
【0042】
[第2の実施形態]
図3A図3Bは、本発明に係る第2の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図3Aに示すように、本実施形態のCO2回収装置10Cは、第1の実施形態において、導入ガス11中のCO2を吸着するCO2回収部であるCO2吸着剤充填塔を2台(第1のCO2吸着剤充填塔12A、第2のCO2吸着剤充填塔12B)設置した場合である。
ここで、第3のCO2回収装置10Cは、第1のCO2吸着剤充填塔12Aと第2のCO2吸着剤充填塔12BとがラインL3で接続されており、このラインL3では弁V3、V4が設置されている。また、第2のCO2吸着剤充填塔12Bの出口側に接続したラインL4には弁V5が設置されている。
また、導入ラインL1からは分岐導入ラインL1-2が分岐され、ラインL3に接続されている。
【0043】
本実施形態のCO2回収装置10Cを用いてCO2ガスを吸着する操作は、第1工程と第2工程とからなる。
<第1工程>
図3Aに示すように、第1工程では、ガス導入初期においては、第1のCO2吸着剤充填塔12Aと第2のCO2吸着剤充填塔12Bと接続するラインL3に設置された弁V3、V4、ラインL4に設置された弁V5は開放している。
【0044】
そして、導入ラインL1の弁V1を開き、第1のCO2吸着剤充填塔12Aに導入ガスG1を導入して、第1のCO2吸着剤充填塔12Aと第2のCO2吸着剤充填塔12Bとに順に導入ガスG1を導入してガス中のCO2を各々の塔の吸着剤で吸着する。
【0045】
このとき、入口のCO2濃度は、第1のCO2計測計21Aで計測されており、各充填塔出口のCO2濃度も第2のCO2計測計21Bにて測定されている。
この際、第1のCO2吸着剤充填塔12Aからの出口ガスのCO2濃度を第1のCO2計測計21Aで計測するために、弁V21開としている。なお弁V22は閉としている。
【0046】
そして、導入ガスG1を導入し続け、第1のCO2吸着剤充填塔12Aの、入口のCO2濃度と出口のCO2濃度が略同一となった時点(入口のCO2濃度≒出口のCO2濃度)で、第1のCO2吸着剤充填塔12Aが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。
導入ガスG1の導入初期においては、第1のCO2吸着剤充填塔12Aの出口CO2ガスの濃度は低いものの、徐々に上昇し、最終的には破過する。
【0047】
<第2工程>
図3Bに示すように、第1のCO2吸着剤充填塔12Aが吸着破過した状態になった時点で、弁V6を開き導入ガスG1を第2のCO2吸着剤充填塔12B内に導入してガス中のCO2を吸着剤で吸着させる。次いで、弁V1、V3を閉じて、第1のCO2吸着剤充填塔12Aを切り離す。なお、V4、V5は開いたままとする。
この際、第2のCO2吸着剤充填塔12Bからの出口ガスのCO2濃度を第2のCO2計測計21Bで計測するために、弁V22を開とし、弁V21を閉としている。
【0048】
CO2吸着剤充填塔12が2塔でCO2吸収量が不足の場合には、適宜CO2吸着剤充填塔12を増設しておくことで、CO2排出源11のCO2の排出量に応じたCO2の回収を行うことができる。
【0049】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明したように、高純度CO2ガス導入装置30を設置して、破過した充填塔内に高純度CO2ガスを導入するようにしてもよい。
【0050】
[第3の実施形態]
図4A図4Cは、本発明に係る第3の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図4Aに示すように、本実施形態のCO2回収装置10Dは、第2の実施形態において、導入ガスG1中のCO2を吸着するCO2回収部であるCO2吸着剤充填塔を3台(第1のCO2吸着剤充填塔12A、第2のCO2吸着剤充填塔12B、第3のCO2吸着剤充填塔12C)設置した場合である。
【0051】
ここで、CO2回収装置10Dにおいては、第1のCO2吸着剤充填塔12Aからの出口ガスG12は、ラインL2-1、L2-2を介して処理ガス13として排出される。第2のCO2吸着剤充填塔12Bからの出口ガスG13は、ラインL4-1、L4-2を介して処理ガス13として排出される。第3のCO2吸着剤充填塔12Cからの出口ガスG14は、ラインL6-1、L6-2を介して処理ガス13として排出される。
【0052】
また、第1のCO2吸着剤充填塔12Aと第2のCO2吸着剤充填塔12Bとは、ラインL2-1、ラインL3で接続されており、ラインL2-1には弁V2が設置され、ラインL3には弁V3、V4が設置されている。第2のCO2吸着剤充填塔12Bと第3のCO2吸着剤充填塔12CとはラインL4-1、ラインL5で接続されており、ラインL4-1には弁V5が設置され、ラインL5には弁V6、V7が設置されている。導入ラインL1からは分岐導入ラインL1-2が分岐され、ラインL3に接続されている。ラインL3からは分岐ラインL1-3が分岐され、ラインL5に接続されている。ラインL1-2には弁V9が、ラインL1-3には弁V10が設置されている。
【0053】
また、高純度CO2ガス導入装置30からの高純度CO2ガスG11を導入する導入ラインL12-1、L12-2、L12-3が、第1のCO2吸着剤充填塔12A、第2のCO2吸着剤充填塔12B、第3のCO2吸着剤充填塔12Cに各々接続されている。この導入ラインL12-1、L12-2、L12-3には、弁V11、V12、V13が各々設置されている。なお、符号33は圧縮装置、19は除湿装置である。
第2のCO2計測計21Bには弁V21、V22、V23が、第3のCO2計測計21Cには弁V31、V32、V33が設置されている。
【0054】
<第1工程:第1のCO2吸着剤充填塔12Aでの低純度CO2吸着>
第1工程では、弁V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V16、V21が開いており、弁V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V20、V22、V23、V31、~V33が閉じている。
先ず、第1のCO2吸着剤充填塔12AにCO2排出源11からの導入ガスG1を導入し、次いで第2のCO2吸着剤充填塔12Bと第3のCO2吸着剤充填塔12Cとに順に導入ガスG1を導入し、低純度CO2ガスG1中のCO2を各々の塔の吸着剤で吸着させる。
【0055】
このとき、入口のCO2濃度は、第1のCO2計測計21Aで分析されており、第1のCO2吸着剤充填塔12Aの出口CO2濃度も第2のCO2計測計21Bにて計測されている。
【0056】
<第2工程:第1のCO2吸着剤充填塔12Aでの低純度CO2破過>
そして、導入ガスG1を導入し続け、入口のCO2濃度と第1のCO2吸着剤充填塔12Aの出口CO2濃度とが略同一(入口CO2濃度≒出口CO2濃度)となった時点で、第1のCO2吸着剤充填塔12Aが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。
【0057】
<第3工程:第2のCO2吸着剤充填塔12Bでの低純度CO2吸着、第1のCO2吸着剤充填塔12Aは切り離す>
図4Bに示すように、第1のCO2吸着剤充填塔12Aが吸着破過した状態になった時点にて、弁V9を開き、V4~V8は開いたままとして、導入ガスG1を第2のCO2吸着剤充填塔12B、第3のCO2吸着剤充填塔12Cに順次導入してガス中の低純度CO2を吸着剤で吸着させる。その後、弁V1、V3を閉じ、第1のCO2吸着剤充填塔12Aは切り離す工程に移行する。
【0058】
<第4工程:第1のCO2吸着剤充填塔12Aでの高純度CO2吸着>
これと共に、図4Bに示すように、弁V11、弁V20、弁V14を開き、高純度CO2ガス導入装置30を起動し、導入ガスG1を濃縮して高純度CO2ガスG11とし、この高純度CO2ガスG11を第1のCO2吸着剤充填塔12Aに供給する。
この高純度CO2ガスG11を第1のCO2吸着剤充填塔12Aに導入し、第1のCO2吸着剤充填塔12AのCO2濃度を上げることで吸着量を増加させることができると共に、吸着剤の空隙中の不純物をパージすることができる。
【0059】
<第5工程:第2のCO2吸着剤充填塔12Bでの低純度CO2破過>
図4Bに示すように、第2のCO2吸着剤充填塔12Bに導入ガスG1を導入し、第2のCO2吸着剤充填塔12B出口CO2濃度と入口のCO2濃度とが略同一(第2のCO2吸着剤充填塔12Bの出口CO2濃度≒ 入口のCO2濃度)となった時点で、第2のCO2吸着剤充填塔12Bが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。なお、この工程の際には、弁V21を閉、弁V22を開としている。
【0060】
<第6工程:第1のCO2吸着剤充填塔12Aでの高純度CO2破過>
一方、高純度CO2ガスG11が供給された第1のCO2吸着剤充填塔12Aからの出口ガスが、第3のCO2計測計21Cにおいて、目標のCO2濃度に到達したと確認した時点(第1のCO2吸着剤充填塔12A出口CO2濃度≒ 目標CO2濃度(例えば90%)となった時点)で、第1のCO2吸着剤充填塔12Aが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。これにより、第1のCO2吸着剤充填塔12AはCO2吸着量が飽和状態となる。その後、高純度CO2ガス導入装置30を停止し、第1のCO2吸着剤充填塔12Aの前後の弁V11、V2、V20を閉じて、ラインから第1のCO2吸着剤充填塔12Aを切り離す。なお、この工程の際には、弁V31を開としている。
【0061】
<第7工程:第3のCO2吸着剤充填塔12Cでの導入ガス中のCO2吸着>
図4Cに示すように、第2のCO2吸着剤充填塔12Bが吸着破過した状態になった時点にて、弁V10を開き、弁V7、V8、V16は開いたままとして、導入ガスG1を第3のCO2吸着剤充填塔12Cに導入してガス中のCO2を吸着剤で吸着させる。その後、弁V4、V6を閉じ、第2のCO2吸着剤充填塔12Bを切り離す工程に移行する。
【0062】
<第8工程:第2のCO2吸着剤充填塔12Bでの高純度CO2吸着>
これと共に、図4Cに示すように、弁V12、V20を開き、高純度CO2ガス導入装置30を起動し、導入ガスG1を濃縮して高純度CO2ガスG11とし、この高純度CO2ガスG11を第2のCO2吸着剤充填塔12Bに供給する。この高純度CO2ガスG11を第2のCO2吸着剤充填塔12Bに導入することで、吸着剤充填塔のCO2濃度を上げることで吸着量を増加させることができると共に、吸着剤の空隙中の不純物をパージすることができる。
【0063】
<第9工程:第3のCO2吸着剤充填塔12Cでの低純度CO2吸着>
図4Cに示すように、第3のCO2吸着剤充填塔12Cに導入ガスG1を導入し、第3のCO2吸着剤充填塔12C出口CO2濃度と入口のCO2濃度とが略同一(出口CO2濃度≒ 入口のCO2濃度)となった時点で、第3のCO2吸着剤充填塔12Cが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。なお、この工程の際には、弁V22を閉、弁V23を開としている。
【0064】
<第10工程:第2のCO2吸着剤充填塔12Aでの高純度CO2破過>
一方、高純度CO2ガスG11が供給された第2のCO2吸着剤充填塔12Bからの出口ガスG13が、第3のCO2計測計21Cにおいて、目標のCO2濃度に到達したと確認した時点(出口CO2濃度≒ 目標CO2濃度(例えば90%)となった時点)で、第2のCO2吸着剤充填塔12Bが吸着破過されたと見做し、次ステップに移行する。これにより、第2のCO2吸着剤充填塔12BはCO2吸着量が飽和状態となる。その後、高純度CO2ガス導入装置30を停止し、第2のCO2吸着剤充填塔12Bの前後の弁V12、V5を閉じて、ラインから切り離す。なお、この工程の際には、弁V31を閉、弁V32を開としている。
なお、本工程においても、前述した<第8工程:第2のCO2吸着剤充填塔12Bでの高純度CO2吸着>と同様に高純度CO2を導入して飽和させる。
また、CO2吸着剤充填塔12を3塔以上設置した場合には、上述した操作を繰り返すようにすればよい。
【0065】
次に、本発明に係るCO2回収方法を説明する。
本発明に係るCO2回収方法は、CO2排出源11からの低純度CO2の導入ガスG1を第1のCO2回収部12Aに導入し、CO2を回収する第1回収工程(S-1)と、第1回収工程(S-1)での第1の回収部12Aで破過が確認された際、第2のCO2回収部12Bで回収を行う第2回収工程(S-2)と、第1の回収工程での第1のCO2回収部12Aをガス導入ラインから切り離す第3工程と、を有する。
【0066】
また、上記CO2回収方法において、切り離した第1のCO2回収部12Aに高純度CO2ガスG11をパージする第4工程を有する。
【0067】
さらに、上記CO2回収方法において、高純度CO2ガスG11をパージする際、圧縮してCO2を封入する。
【0068】
[第4の実施形態]
図6は、本発明に係る第4の実施形態のCO2回収装置の概略図である。
図6に示すように、本実施形態の第4のCO2回収装置10Eは、第1の実施形態において、導入ガスG1中のCO2を吸収するCO2回収部である吸収液42を充填したCO2吸収液充填塔を2台(第1のCO2吸収液充填塔41A、第2のCO2吸収液充填塔41B)設置した場合である。
【0069】
ここで、第4のCO2回収装置10Eは、第1のCO2吸収液充填塔41Aと第2のCO2吸収液充填塔41BとがラインL2で接続されており、このラインL2には弁V3、V4が設置されている。また、第2のCO2吸収液充填塔41Bの出口側に接続したラインL4には弁V5が設置されている。
【0070】
本実施形態のCO2回収装置10Eを用いてCO2ガスを吸収する操作は、第1工程と第2工程とからなる。
【0071】
<第1工程>
第1工程では、ガス導入初期においては、第1のCO2吸収液充填塔41Aと第2のCO2吸収液充填塔41Bと接続するラインL2に設置された弁V3、V4、ラインL4に設置された弁V5は開放している。
【0072】
そして、導入ラインL1の弁V1を開き、第1のCO2吸収液充填塔41Aに導入ガスG1を導入して、第1のCO2吸収液充填塔41Aと第2のCO2吸収液充填塔41Bとに順に導入ガスG1を導入してガス中のCO2を各々の塔の吸収液42で吸収する。
ここで、CO2吸収液としては、例えばアミン吸収液等の公知の吸収液を用いる。なお、ガスの導入は散気管などのガス導入手段による。
【0073】
このとき、CO2濃度は、前述した実施形態と同様に図示しないCO2計測計で分析されている。
【0074】
なお、吸収液を冷却する冷却手段を備えて、吸収効率を向上させるようにしてもよい。
【0075】
そして、導入ガスG1を導入し続け、入口のCO2濃度と第1のCO2吸収液充填塔41A出口のCO2濃度が略同一となった時点で、第1のCO2吸収液充填塔41Aの吸収液42が飽和状態と見做し、次ステップに移行する。
【0076】
<第2工程>
第1のCO2吸収液充填塔41Aが飽和状態になった時点で、弁V6を開き導入ガスG1を第2のCO2吸収液充填塔41B内に導入してガス中のCO2を吸収液42で吸収させる。次いで、弁V1、V3を閉じて、第1のCO2吸収液充填塔41Aを切り離す。なお、V4、V5は開いたままとする。
【0077】
なお、CO2吸収液充填塔が2塔でCO2吸収量が不足の場合には、適宜CO2吸収液充填塔を増設しておくことで、CO2排出源11のCO2の排出量に応じたCO2の回収を行うことができる。
【0078】
なお、第4の実施形態において、第1の実施形態で説明したように、高純度CO2ガス導入装置30を必要に応じて設置して、破過した充填塔内に高純度CO2ガスを導入するようにしてもよい。
【0079】
このCO2回収装置10A~10Eを用いて、CO2排出源11からの情報(排出源の排ガスの種類、CO2濃度情報)、回収装置における情報(CO2純度に応じた回収割合の情報、破過(飽和)情報、充填塔の切替情報、各種センサ情報(ガス温度、ガス濃度等))をオンライン計測で求め、船舶又は陸上において、装置をオンラインで自動制御するようにしてもよい。
【0080】
例えば、導入ガスG1において、その種類やガス中の低純度CO2の情報を求め、所定の時間流した情報、センサによる濃度計測情報等から充填塔の吸着剤が破過することを事前に確認しておき、それらの情報に基づいて、自動で弁を切替制御する。
【0081】
一例として、船舶のエンジンを駆動する燃料の種類の情報、その燃料に応じた排ガス中のCO2濃度情報、船舶航行時の負荷(海域、天候など)による運転モード情報、充填塔での吸着剤又は吸収液の飽和に至るまでの情報を把握でき、破過に至るまでの時間を推定できる。これと共に、破過の状況をCO2計測計でオンラインにより逐次把握できる。この管理情報の蓄積データによるAI判定も可能となる。
【0082】
これにより、船舶または洋上用CO2回収の実用化に向けたCO2回収システムを構築することができる。この際、船舶側の作業スタッフに対しての過分な負荷が軽減される。また、陸上側において、集中管理ができるので、作業スタッフのレベル差を必要としない。CO2回収装置の適切な運転により、消費動力やCO2回収量の最適化(CO2の船外排出量削減)を図ることが可能になる。また、タイムラグがない管理が可能となる。さらに、複数の船舶のCO2回収管理の一元化を図ることができる。これにより、船舶環境規制対応機器の技術確立により、環境負荷低減を達成するようにしている。
なお、以上は船舶または洋上のCO2回収に限定されるものではなく、広く陸上におけるCO2回収においても適用することができる。
【0083】
[第5の実施形態]
図7は、本発明に係る第5の実施形態のCO2回収システムの概略図である。
図7(a)に示すように、本実施形態では、船舶50に前述したCO2回収装置10A~10Eを格納庫52内に搭載している。
【0084】
そして、第5の実施形態のCO2回収システムは、船舶50に搭載したCO2回収装置のCO2回収部12に封入された回収CO2を取り出すCO2取出装置62を、陸上に備えている。CO2回収部を、例えば40ftコンテナ型にモジュール化すれば、輸送性を向上させることができる。
【0085】
そして、図7(b)に示すように、航海が終わり、港湾内の岸壁61に船舶50が接岸した際、CO2を封入した回収CO2回収部12を陸上に例えばクレーン53などでCO2取出装置62に移動させる。
その後、このCO2取出装置62からCO2を取り出している。また取り出したCO2は、化成品転換装置63に移動し、このCO2を原料として化成品(メタノール(MeOH)、メタン(CH4)等に転換するようにしている。なお、メタノール(MeOH)、メタン(CH4)以外の化成品としては、例えばオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン等)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0086】
このように、船舶適用の場合は、港湾にCO2液化回収設備を統合することで、プラントコストの削減が可能となる。また、回収したCO2と別途調達した水素から、合成メタンを製造すれば、都市ガスやLNG燃料船に利用することができる。
【0087】
なお、岸壁に設置したクレーンの代わりに、パイプランを船舶内のCO2回収部12に直接接続して、CO2を取り出すようにしてもよい。
【0088】
このように、本発明によれば、各種二酸化炭素(CO2)排出源からCO2を分離回収し、固定化または有効利用する取り組みを行うことができ、カーボンニュートラル対策に寄与することができる。また、船舶に本装置を設置した場合には、陸上と連携したCO2回収システムを構築することができる。すなわち、本装置を船舶に搭載しておき、船舶航行中の排ガスからのCO2を吸着又は吸収しそのまま保管する。そして、各寄港地において、CO2を吸着又は吸収した充填塔をクレーン等で陸上に移動し、またはパイプランでCO2を取り出し、陸上において、CO2を取り出し、CO2ガスとしてそのまま、またはCO2ガスを各種化成品に変換することで、有効利用することができる。なお、CO2を取り出した充填塔は、再度船舶に搭載して、次の航海において、CO2の回収に再利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、CO2回収装置全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
10A~10E CO2回収装置
11 CO2排出源11
12、12A~12C 第1~第3のCO2吸着剤充填塔(CO2回収部)
21A 第1のCO2計測計
21B 第2のCO2計測計
21C 第3のCO2計測計
30 高純度CO2ガス導入装置
33 圧縮装置
41A 第1のCO2吸収液充填塔
41B 第2のCO2吸収液充填塔
42 吸収液
50 船舶
52 格納庫
53 クレーン
63 化成品転換装置
1 低純度CO2ガス(導入ガス)
11 高純度CO2ガス
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7