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特開2024-10293表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010293
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
G01N21/892 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111543
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000238946
【氏名又は名称】株式会社エイチアンドエフ
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】細川 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】張 潮
(72)【発明者】
【氏名】堀田 克哉
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA37
2G051AB01
2G051AB07
2G051BA02
2G051BA20
2G051BB05
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB05
(57)【要約】
【課題】線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することができ、金属ワーク全体に対して高精度で検知することが可能な表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、支持フレームと、該支持フレームに取り付けられた検査ユニット10と、該検査ユニット10に接続された制御部20と、を備え、検査ユニット10が、筐体部1、カメラ2及び光源部3を有し、筐体部1を透過させた上面視で、カメラ2が中心に配置され、且つ、該カメラ2を囲繞するように光源部3が配置されており、制御部20が、画像データに基づいて、金属ワークWの欠点を検知するものである表面検査装置100及びそれを用いた検出処理方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ワークをコンベアで搬送しながら、該金属ワークの欠点を検知するための表面検査装置であって、
前記コンベアの上方に設けられた支持フレームと、
該支持フレームに取り付けられた検査ユニットと、
該検査ユニットに接続された制御部と、
を備え、
前記検査ユニットが、下壁部を有しない筐体部、該筐体部の上壁部に取り付けられたカメラ、及び、該筐体部の側壁部の内面側に取り付けられた光源部、を有し、
前記筐体部を透過させた上面視で、前記カメラが中心に配置され、且つ、該カメラを囲繞するように前記光源部が配置されており、
前記制御部が、前記カメラで撮影された前記金属ワークの画像データを受信し、該画像データに基づいて、前記金属ワークの欠点を検知するものである表面検査装置。
【請求項2】
少なくとも、前記金属ワークの幅方向に複数の前記検査ユニットが直線状に配置された第1検査ユニット群及び第2検査ユニット群が形成されている請求項1記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記第1検査ユニット群及び前記第2検査ユニット群の前記検査ユニットが、上面視で千鳥状となるように配置されており、
前記金属ワークの幅方向における特定の部位が、前記第1検査ユニット群の前記検査ユニット、及び、前記第2検査ユニット群の前記検査ユニット、の少なくとも何れか一方の撮影可能範囲を通過するものである請求項2記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記カメラの前記金属ワークの搬送方向における画角が28~53度であり、前記金属ワークの幅方向における画角が45~61度であり、
前記光源部と前記カメラとの鉛直方向における最短距離が300mm以下であり、
前記金属ワークと前記カメラとの鉛直方向における最短距離が350mm以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の表面検査装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の表面検査装置を用いた検出処理方法であって、
前記制御部が、
それぞれの前記カメラで撮影された連続的な静止画の画像データを受信する受信ステップと、
複数の画像データを組み合わせて統合データとする統合ステップと、
該統合データに対して画像処理を施す処理ステップと、
該画像処理を施した前記統合データを、金属ワークに欠点がない場合の画像処理を施した統合データと比較して、値に差異がある部位を欠点として検出する検出ステップと、
を遂行する検出処理方法。
【請求項6】
前記画像処理が、二値化処理である請求項5記載の検出処理方法。







【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ワークの表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法に関し、更に詳しくは、金属ワークをコンベアで搬送しながら、該金属ワークの欠点を検知するための表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属加工の分野においては、製造過程における工業製品の欠点を、光学的手段を用いて検知するため検査装置が広く用いられている。
【0003】
例えば、被検査鋼板表面に投光し、反射光を集光して光電変換および二次元フーリエ変換を行い、その周波数空間でのパワースペクトル分布を考慮して欠陥の特徴を表面疵種類識別用パラメータとして抽出してこれに基づいて欠陥の種類を識別し、識別された欠陥種類に従って欠陥信号に対するスレシュホンドレベルを定めて欠陥有害度の判定を行う鋼板の表面欠陥検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、直線状の光を放出する投光手段と、直線状の光を反射し、金属材料の表面に照射する反射手段と、金属材料表面の直線状の光が照射された部分を撮影する撮影手段と、を備える金属表面欠点検査装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、被検査物に対して第1の光を照射角度θで照射する第1の照明と、第1の光が照射された位置に対して第2の光を照射角度θとは異なる照射角度αで照射する第2の照明と、第1の光の反射光及び第2の光の反射光を受光するライン型カラーセンサと、第1の証明または第2の証明の調光を行う欠点検出部と、を有する欠点検査装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61-42221号公報
【特許文献2】特開2018-17629公報
【特許文献3】特許第6901806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の金属表面欠点検査装置、特許文献2記載の金属表面欠点検査装置、及び、特許文献3記載の欠点検査装置は、何れも、一定方向からの反射光を利用するため、例えば、欠点が線状の疵(以下「線疵」という。)である場合は、線疵の向きによって、検知し難くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することが可能な表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、検査ユニットにおいて、筐体部を透過させた上面視で、カメラを中心に配置し、該カメラを囲繞するように光源部を配置することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、金属ワークをコンベアで搬送しながら、該金属ワークの欠点を検知するための表面検査装置であって、コンベアの上方に設けられた支持フレームと、該支持フレームに取り付けられた検査ユニットと、該検査ユニットに接続された制御部と、を備え、検査ユニットが、下壁部を有しない筐体部、該筐体部の上壁部に取り付けられたカメラ、及び、該筐体部の側壁部の内面側に取り付けられた光源部、を有し、筐体部を透過させた上面視で、カメラが中心に配置され、且つ、該カメラを囲繞するように光源部が配置されており、制御部が、カメラで撮影された金属ワークの画像データを受信し、該画像データに基づいて、金属ワークの欠点を検知するものである表面検査装置である。
【0009】
本発明においては、少なくとも、金属ワークの幅方向に複数の検査ユニットが直線状に配置された第1検査ユニット群及び第2検査ユニット群が形成されていることが好ましい。
このとき、本発明においては、第1検査ユニット群及び第2検査ユニット群の検査ユニットが、上面視で千鳥状となるように配置されており、金属ワークの幅方向における特定の部位が、第1検査ユニット群の検査ユニット、及び、第2検査ユニット群の検査ユニット、の少なくとも何れか一方の撮影可能範囲を通過するものであることが好ましい。
【0010】
本発明においては、カメラの金属ワークの搬送方向における画角が28~53度であり、金属ワークの幅方向における画角が45~61度であり、光源部とカメラとの鉛直方向における最短距離が300mm以下であり、金属ワークとカメラとの鉛直方向における最短距離が350mm以下であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、表面検査装置を用いた検出処理方法であって、制御部が、それぞれのカメラで撮影された静止画の画像データを受信する受信ステップと、複数の画像データを組み合わせて統合データとする統合ステップと、該統合データに対して画像処理を施す処理ステップと、該画像処理を施した統合データを、金属ワークに欠点がない場合の画像処理を施した統合データと比較して、値に差異がある部位を欠点として検出する検出ステップと、を遂行する検出処理方法である。
このとき、画像処理が、二値化処理であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表面検査装置においては、搬送される金属ワークをカメラで撮影し、その画像データに基づいて、制御部が分析することにより、金属ワークの欠点を検知することができる。
このとき、検査ユニットにおいては、筐体部を透過させた上面視で、カメラが中心に配置され、且つ、該カメラを囲繞するように光源部が配置されているので、金属ワークに照射される光には方向性がない。
これにより、線疵等の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することが可能となる。
【0013】
本発明の表面検査装置においては、検査ユニットが支持フレームに取り付けられているので、既存のコンベア等に後付けで設置することができる。
また、検査ユニットの位置調整等も容易に行うことができる。
【0014】
本発明の表面検査装置においては、第1検査ユニット群及び第2検査ユニット群が形成されているので、欠点を検知する精度をより向上させることができる。
このとき、第1検査ユニット群及び第2検査ユニット群の検査ユニットを、上面視で千鳥状となるように配置し、金属ワークの幅方向における特定の部位が、第1検査ユニット群の検査ユニット、及び、第2検査ユニット群の検査ユニット、の少なくとも何れか一方の撮影可能範囲を通過するものとすることにより、検知漏れが生じることを防止することができる。
また、場合によっては、一方の検査ユニット群の検査ユニット同士の間における金属ワークの欠点の検知を、他方の検査ユニット群の検査ユニットでも行うことが可能となる。
すなわち、金属ワーク全体を部分ごとに各カメラの撮影可能範囲の中央付近で撮影することが可能となるので、撮影可能範囲の端部付近における歪みを捨象することができる。その結果、欠点を検知する精度をより向上させることができる。
【0015】
本発明の表面検査装置においては、金属ワークの搬送方向における画角が上記範囲内であるカメラを採用することにより、欠点を検知する精度を低下させることなく、金属ワークの搬送速度を一定の速度とすることが可能となる。
また、これに加え、光源部とカメラとの鉛直方向における最短距離を上記範囲内とし、金属ワークとカメラとの鉛直方向における最短距離を上記範囲内とすることにより、カメラの撮影可能範囲に十分な照度を維持し、欠点を検知する精度をより向上させることができる。
【0016】
本発明の検出処理方法は、上述した表面検査装置を用い、制御部が、受信ステップと、統合ステップと、処理ステップと、検出ステップと、を遂行することにより、線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することが可能となる。
このとき、画像処理が、二値化処理である場合、欠点を検知する精度をより向上させることができ、且つ、欠点の検知速度も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係る表面検査装置を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る表面検査装置の検査ユニットを模式的に示す透過斜視図である。
図3図3の(a)及び(b)は、本実施形態に係る表面検査装置においてカメラ及び光源部と金属ワークとの位置関係を説明するための説明図である。
図4図4は、本実施形態に係る検出処理方法のフローチャートである。
図5図5は、他の実施形態に係る表面検査装置を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る表面検査装置を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る表面検査装置100は、金属ワークWをコンベアCで搬送しながら、当該金属ワークWの欠点を検知するための装置である。
ここで、金属ワークは、平板状の金属製のワークであり、磁性の有無は問わない。
具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、チタン、鋼(ハイテン材、超ハイテン材を含む)等を採用することができる。
また、表面検査装置100が検知する金属ワークWの「欠点」としては、線疵、圧痕、汚染物の付着、擦傷等が挙げられる。
【0020】
表面検査装置100において、コンベアCは、ベルトC1と、該ベルトC1が架設されたロールC2とを有する一般的なものを採用することができる。
また、ロールC2には、金属ワークWの搬送距離を算出するためのエンコーダC3が取り付けられる。
また、コンベアCによる金属ワークWの搬送速度は、表面検査装置100が欠点を樹分に検知することが可能であり、且つ、生産性を損なわない観点から、60~90m/minであることが好ましい。
【0021】
表面検査装置100は、コンベアCの上方に設けられた支持フレームFと、該支持フレームFに取り付けられた複数の検査ユニット10と、該検査ユニット10に接続された制御部20と、を備える。
表面検査装置100においては、コンベアCにより搬送される金属ワークWが、検査ユニット10の直下を通過する際に、当該検査ユニット10のカメラ2により撮影される。そして、後述するように、制御部20が、その撮影された画像データに基づいて分析することにより、金属ワークWの欠点を検知するようになっている。
【0022】
支持フレームFは、コンベアCの上方に設けられており、その両側が支持台FDにより支持されている。
したがって、支持フレームF及び支持台FDは、正面視逆U字状となっており、コンベアCを跨ぐように配置される。このため、表面検査装置100は、既存のコンベア等に後付けで設置することが可能となっている。
また、支持フレームFには、複数の検査ユニット10が直接取り付けられている。
すなわち、複数の検査ユニット10は、支持フレームに垂設されている。
また、かかる検査ユニット10は、上下左右に位置調整をすることが可能となっている。
【0023】
図2は、本実施形態に係る表面検査装置の検査ユニットを模式的に示す透過斜視図である。
なお、図2においては、検査ユニットの筐体部を透過させて示している。
図2に示すように、検査ユニット10は、筐体部1と、当該筐体部1に取り付けられたカメラ2及び光源部3とを有する。
【0024】
筺体部1は、板状の上壁部1aと、当該上壁部1aの四辺から垂下するように設けられた側壁部1bとからなる。
すなわち、筐体部1は、下面が開口し(下壁部を有しない)、四方が側壁部1bに囲まれた四角柱状であり、内部が中空となっている。
【0025】
筺体部1においては、上壁部1aの略中央に、撮影方向が鉛直下向きとなるようにカメラ2が取り付けられている。
かかるカメラ2としては、特に限定されないが、いわゆる、ラインセンサカメラ、USBカメラ、WEBカメラ、CMOSカメラ等を採用することができる。
また、カメラ2は、動画を撮影するものであっても、静止画を撮影するものであってもよいが、連続的な静止画の画像データを保存する機能を有するものであることが好ましい。
このとき、カメラ2が撮影する静止画の画像データの解像度は、640×480ピクセル以上であることが好ましい。
なお、カメラ2が撮影した静止画の画像データは、後述する制御部20に送信される。
【0026】
筐体部1において、四方の側壁部1bの内面側の下端には、それぞれ、水平方向に延びる帯状の光源部3が取り付けられている。
すなわち、光源部3は、四方の側壁部1bにそれぞれ取り付けられている。
かかる光源部3としては、特に限定されないが、白熱電灯、蛍光灯、放電灯、LED等を採用することができる。
【0027】
これらのことから、検査ユニット10においては、筐体部1を透過させた上面視で、カメラ2が中心に配置され、且つ、該カメラ2を囲繞するように光源部3が配置されている。
これにより、カメラ2の直下において、金属ワークWに照射される光は方向性を示さないことになる。
その結果、線疵等の欠点であっても、その向きに関わらず、容易に検知することが可能となる。
【0028】
図3の(a)及び(b)は、本実施形態に係る表面検査装置においてカメラ及び光源部と金属ワークとの位置関係を説明するための説明図である。
図3に示すように、カメラ2は、金属ワークWの搬送方向Xにおける画角θ1が28~53度であることが好ましい。
金属ワークWの搬送方向Xにおけるカメラ2の画角θ1が28度未満であると、画角θ1が上記範囲内にある場合と比較して、金属ワークWの搬送速度を遅くする必要があるため、生産性が低下するという欠点がある。
一方、金属ワークWの搬送方向Xにおけるカメラ2の画角θ1が53度を超えると、画角θ1が上記範囲内にある場合と比較して、欠点の位置によっては検知の精度が不十分となる恐れがある。
【0029】
同様に、カメラ2は、金属ワークWの幅方向Yにおける画角θ2が45~61度であることが好ましい。
金属ワークWの幅方向Yにおけるカメラ2の画角θ2が45度未満であると、画角θ2が上記範囲内にある場合と比較して、カメラを多数設置する必要が生じ、コスト高となる欠点がある。
一方、金属ワークWの幅方向Yにおけるカメラ2の画角θ2が61度を超えると、画角θ2が上記範囲内にある場合と比較して、欠点の位置によっては検知の精度が不十分となる恐れがある。
【0030】
光源部3とカメラ2との鉛直方向における最短距離D1は300mm以下であり、金属ワークWとカメラ2との鉛直方向における最短距離D2が350mm以下であることが好ましい。
この場合、カメラ2を極力金属ワークWに近付けた状態で十分な照度を維持することができるため、欠点を検知する精度をより向上させることができる。
【0031】
図1に戻り、表面検査装置100においては、金属ワークWの幅方向Yに複数の検査ユニット10が直線状に配置された検査ユニット群10aを形成している。
また、これに加え、金属ワークWの搬送方向Xに検査ユニット群10aが複数配置されている。
具体的には、金属ワークWの幅方向Yに沿って7個の検査ユニット10が直線状に配置された下流側の検査ユニット群(以下「第1検査ユニット群」という。)10a1と、金属ワークWの幅方向Yに沿って6個の検査ユニット10が直線状に配置された上流側の検査ユニット群(以下「第2検査ユニット群」という。)10a2とを有しており、第1検査ユニット群10a1と、第2検査ユニット群10a2とが、金属ワークWの搬送方向Xに沿って並んで配置されている。
このとき、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10の列と、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10の列とは、互いに平行となっている。
これにより、金属ワークWの特定の部位においては、繰り返し検査することが可能となるので、欠点を検知する精度をより向上させることができる。
【0032】
表面検査装置100においては、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10と、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10とが、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10同士の間の上流側に、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10が位置するように、上面視で千鳥状となるように配置されている。
これにより、金属ワークWの幅方向における特定の部位は、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10、及び、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10、の少なくとも何れか一方の撮影可能範囲を通過するようになる。なお、撮影可能範囲Rとは、撮影が可能な範囲であり、具体的には、カメラ2の画角に含まれる範囲のうち、筐体部に阻害されず、且つ、カメラ2から金属ワークWまでの間の領域である(図3参照)。
【0033】
これにより、金属ワークWの全幅における特定の部位は、少なくとも、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10、又は、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10により検査されるので、検知漏れが生じることを防止することができる。
また、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10、及び、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10により検査された場合は、例えば、第1検査ユニット群10a1の検査ユニット10では、撮影可能範囲Rの端部付近での撮影であっても、第2検査ユニット群10a2の検査ユニット10では、撮影可能範囲Rの中央付近で撮影することが可能となるので、撮影可能範囲Rの端部付近における歪みを捨象することができる。
その結果、金属ワークWの欠点を検知する精度をより向上させることができる。
【0034】
制御部20は、検査ユニット10のカメラ2と有線又は無線で接続されており、カメラ2で撮影された金属ワーク2の画像データを受信することが可能となっている。
そして、制御部20においては、受信した画像データに画像処理として、二値化処理を施した後、金属ワーク2の欠点を検知する。
これにより、表面検査装置100においては、欠点を検知する精度をより向上させることができ、且つ、欠点の検知速度も向上させることができる。
なお、かかる制御部20は、一般的な中央処理部(CPU)、演算処理部、記録部、画像処理部、入出力部(キーボード、ディスプレイ)等を備える汎用のコンピュータである。
【0035】
次に、本実施形態に係る表面検査装置100を用いた検出処理方法について説明する。
図4は、本実施形態に係る検出処理方法のフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態に係る検出処理方法は、表面検査装置100の制御部20が、少なくとも、受信ステップS1と、統合ステップS3と、処理ステップS4と、検出ステップS5と、を遂行する。
これにより、線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することが可能となる。
【0036】
まず、受信ステップS1として、各カメラ2が撮影した連続的な静止画の画像データをそれぞれ受信する。
ここで、連続的な静止画の画像データは、同一のカメラ2が、搬送中の金属ワークWを連続的に複数枚撮影したものであり、特定の部位に対し、光の当たり方が異なるものである。
なお、制御部20は、この画像データをカメラ2の個数分受信することになる。そして、制御部20は、受信した画像データを記録部に記録する。
次に、制御部20においては、プレ処理ステップS2として、複数の画像データに対して第1次二値化処理を施す。これにより、画像データのデータ容量を削減でき、後続の処理を高速化することが可能となる。
【0037】
次に、制御部20においては、統合ステップS3として、二値化された複数の画像データを組み合わせるいわゆる画像合成を行い、統合データとする。
かかる画像合成は、金属ワークWの搬送速度、エンコーダC3により算出される金属ワークWの搬送位置、及び、カメラの撮影速度、から、カメラ2が撮影した金属ワークWの部位が特定され、同一の部位を撮影した画像データが重ね合わされるようにして行われる。
これにより、画像データの端部付近における歪みを捨象することが可能となる。
また、光の当たり方が異なる画像を重ねることで、ある当たり方ではカメラで撮影できなかった疵が見えるようになり検出精度が向上する
【0038】
次に、制御部20においては、処理ステップS4として、画像データが統合された統合データに対して第2次二値化処理を施す。
次に、検出ステップS5として、再度、二値化された統合データを、欠点が無い金属ワークWの二値化データと比較して、値に差異がある部位を欠点として検出する検出処理が行われる。
これにより、線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知されることになる。
なお、検知された欠点は、必要に応じて、その旨と、欠点が検知された位置とがディスプレイ等に表示される。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0040】
本実施形態に係る表面検査装置100においては、検査ユニット10の筐体部1が、下面が開口した四角柱状となっているが、下面が開口しており、内部が中空となっていれば、四角柱状に限定されず、四角柱以外の多角柱状、多角錘台状、円柱状、円錐台状等であってもよい。
【0041】
本実施形態に係る表面検査装置100においては、金属ワークWの幅方向Yに沿って5個の検査ユニット10が直線状に配置された下流側1と、金属ワークWの幅方向Yに沿って4個の検査ユニット10が直線状に配置された第2検査ユニット群10a2とを有しているが、検査ユニット10の個数は特に限定されない。
また、第1検査ユニット群10a1と、第2検査ユニット群10a2とが金属ワークWの搬送方向Xに沿って並んで配置されているが、更に別の検査ユニット群10aが配置されていてもよい。
【0042】
図5は、他の実施形態に係る表面検査装置を模式的に示す上面図である。
図5に示すように、他の実施形態に係る表面検査装置101においては、4列の検査ユニット群10aが金属ワークWの搬送方向Xに沿って並んで配置されている。
なお、これらの検査ユニット10の配置は、上面視で千鳥状となっている。
かかる表面検査装置101においては、上流側の2列の検査ユニット群10aと、下流側の2列の検査ユニット群10aとに分かれており、上流側の2列の検査ユニット群10aにおいては、主に、線疵の欠点を検知するようになっており、下流側の2列の検査ユニット群10aにおいては、主に、圧痕の欠点を検知するようになっている。
これにより、検知の精度をより一層向上させることができる。
また、金属ワークWの搬送速度を向上させることも可能となる。
【0043】
本実施形態に係る検出処理方法においては、制御部が、受信ステップS1と、プレ処理ステップS2、統合ステップS3と、処理ステップS4と、検出ステップS5と、を遂行しているが、プレ処理ステップS2は必須ではない。
また、画像処理として、二値化処理を行っているが、これに限定されず、画像の重ね合わせ及び重みマップの作成等を行ってもよい。
【0044】
本実施形態に係る検出処理方法においては、制御部が、画像データに第1二値化処理を施す前に、画像の歪みを修正するための画像補正を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法は、金属加工の分野において、金属ワークをコンベアで搬送しながら、該金属ワークの欠点を検知するための装置として用いることができる。
本発明の表面検査装置及びそれを用いた検出処理方法によれば、線疵の欠点であっても、その向きに関わらず、検知することができ、金属ワーク全体に対して高精度で検知することができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・筐体部
1a・・・上壁部
1b・・・側壁部
10・・・検査ユニット
10a・・・検査ユニット群
10a1・・・第1検査ユニット群
10a2・・・第2検査ユニット群
100,101・・・表面検査装置
2・・・カメラ
20・・・制御部
3・・・光源部
C・・・コンベア
C1・・・ベルト
C2・・・ロール
C3・・・エンコーダ
R・・・撮影可能範囲
W・・・金属ワーク
図1
図2
図3
図4
図5