(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102930
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】化学ループ燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23C 10/04 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
F23C10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007012
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】佐山 勝悟
(72)【発明者】
【氏名】青木 正和
(72)【発明者】
【氏名】森 勇稀
【テーマコード(参考)】
3K064
【Fターム(参考)】
3K064AA04
3K064AA10
3K064AB07
3K064AC06
3K064AC07
3K064AD01
3K064AD04
3K064AE02
3K064AE04
(57)【要約】
【課題】空気塔から回収される熱量および燃料塔から回収される二酸化炭素の量を調整することができる技術を提供する。
【解決手段】化学ループ燃焼システムは、金属粒子とガスとを反応させて金属粒子を酸化させる空気塔と、酸化された金属粒子と燃料とを反応させて金属粒子を還元させる燃料塔と、空気塔と燃料塔との間で金属粒子を循環させる循環配管と、化学ループ燃焼システムを制御する制御部と、を備え、制御部は、酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を調整する調整制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学ループ燃焼システムであって、
金属粒子とガスとを反応させて前記金属粒子を酸化させる空気塔と、
酸化された前記金属粒子と燃料とを反応させて前記金属粒子を還元させる燃料塔と、
前記空気塔と前記燃料塔との間で前記金属粒子を循環させる循環配管と、
前記化学ループ燃焼システムを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、酸化される前記金属粒子の量および還元される前記金属粒子の量を調整する調整制御を行う、化学ループ燃焼システム。
【請求項2】
請求項1に記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、
前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、
前記金属粒子を貯留可能な貯留部と、
前記循環配管から分岐して前記貯留部に接続している分岐配管と、を備え、
前記分岐配管には、前記分岐配管内の流路を開閉する流路開閉弁が設けられ、
前記制御部は、前記調整制御として、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記循環配管から前記貯留部に前記金属粒子を貯留させること、もしくは、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記貯留部から前記循環配管に前記金属粒子を放出させること、によって前記化学ループ燃焼システム内を循環する前記金属粒子の循環量を増減させるとともに、前記循環量の増減に応じて前記ガスの量および前記燃料の量を増減させる、化学ループ燃焼システム。
【請求項3】
請求項1に記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
複数の前記空気塔と、
複数の前記燃料塔と、
前記空気塔の各々に供給される前記ガスの量を調整する複数のガス量調整部と、
前記燃料塔の各々に供給される前記燃料の量を調整する複数の燃料量調整部と、
を備え、
前記循環配管は、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第1配管と、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第2配管と、を含み、
前記第1配管には、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第1個別流路の各々を開閉する複数の第1開閉弁が設けられ、
前記第2配管には、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第2個別流路の各々を開閉する複数の第2開閉弁が設けられ、
前記制御部は、前記調整制御として、開弁する前記第1開閉弁の数の調整および開弁する前記第2開閉弁の数の調整を行うとともに、前記第1開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記燃料塔への前記燃料の供給および前記第2開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記空気塔への前記ガスの供給を行わせる、化学ループ燃焼システム。
【請求項4】
請求項1に記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、
前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、
前記空気塔に供給される不活性ガスの量を調整する第1不活性ガス調整部と、
前記燃料塔に供給される不活性ガスの量を調整する第2不活性ガス調整部と、を備え、
前記制御部は、前記調整制御として、前記空気塔に供給される前記ガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記ガスの割合と不活性ガスの割合とを調整するとともに、前記燃料塔に供給される前記燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記燃料の割合と不活性ガスの割合とを調整する、化学ループ燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学ループ燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学ループ燃焼システムは、金属粒子を酸化する空気塔と金属粒子を還元する燃料塔との間で金属粒子を循環流動させるシステムである。粉体や粒子の流動を伴う他の装置として、特許文献1には、現像剤のような粉体を搬送する粉体搬送装置が開示されている。また、特許文献2には、分割された各室間で粒子を流動する多室型流動層反応装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-156929号公報
【特許文献2】特開昭61-102141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学ループ燃焼システムにおいては、空気塔からは主に熱エネルギーを回収することができ、燃料塔からは主に二酸化炭素を回収することができる。この回収される熱量や二酸化炭素の量は必要に応じて調整できるのが好ましく、そのような調整を可能とする技術が要望されていた。なお、特許文献1,2に開示された装置では、そのような調整については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、空気塔から回収される熱量および燃料塔から回収される二酸化炭素の量を調整することができる化学ループ燃焼システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、化学ループ燃焼システムが提供される。この化学ループ燃焼システムは、金属粒子とガスとを反応させて前記金属粒子を酸化させる空気塔と、酸化された前記金属粒子と燃料とを反応させて前記金属粒子を還元させる燃料塔と、前記空気塔と前記燃料塔との間で前記金属粒子を循環させる循環配管と、前記化学ループ燃焼システムを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、酸化される前記金属粒子の量および還元される前記金属粒子の量を調整する調整制御を行う。
【0008】
この構成によれば、酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を調整することができる。したがって、空気塔から回収される熱量および燃料塔から回収される二酸化炭素の量を調整することができる。
【0009】
(2)上記形態の化学ループ燃焼システムにおいて、さらに、前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、前記金属粒子を貯留可能な貯留部と、前記循環配管から分岐して前記貯留部に接続している分岐配管と、を備え、前記分岐配管には、前記分岐配管内の流路を開閉する流路開閉弁が設けられ、前記制御部は、前記調整制御として、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記循環配管から前記貯留部に前記金属粒子を貯留させること、もしくは、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記貯留部から前記循環配管に前記金属粒子を放出させること、によって前記化学ループ燃焼システム内を循環する前記金属粒子の循環量を増減させるとともに、前記循環量の増減に応じて前記ガスの量および前記燃料の量を増減させてもよい。
この構成によれば、貯留部による金属粒子の貯留および貯留部からの金属粒子の放出によって金属粒子の循環量を増減させつつ、その循環量の増減に応じて空気塔に供給されるガスの量および燃料塔に供給される燃料の量を増減させる。このため、循環量の増減後においても金属粒子の適切な循環を維持しつつ、酸化反応に適切な量のガスおよび還元反応に適切な量の燃料を空気塔および燃料塔に供給することができる。したがって、循環量の増減に比例して酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を増減させることができるため、化学ループ燃焼システムから回収される熱量および二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。
【0010】
(3)上記形態の化学ループ燃焼システムにおいて、さらに、複数の前記空気塔と、複数の前記燃料塔と、前記空気塔の各々に供給される前記ガスの量を調整する複数のガス量調整部と、前記燃料塔の各々に供給される前記燃料の量を調整する複数の燃料量調整部と、を備え、前記循環配管は、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第1配管と、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第2配管と、を含み、前記第1配管には、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第1個別流路の各々を開閉する複数の第1開閉弁が設けられ、前記第2配管には、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第2個別流路の各々を開閉する複数の第2開閉弁が設けられ、前記制御部は、前記調整制御として、開弁する前記第1開閉弁の数の調整および開弁する前記第2開閉弁の数の調整を行うとともに、前記第1開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記燃料塔への前記燃料の供給および前記第2開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記空気塔への前記ガスの供給を行わせてもよい。
この構成によれば、開弁する第1開閉弁の数および開弁する第2開閉弁の数を調整して金属粒子が流通可能な空気塔の数および燃料塔の数を調整することによって、金属粒子の循環量を増減させる。また、第1開閉弁の開弁により金属粒子が流通可能になった燃料塔への燃料の供給および第2開閉弁の開弁により金属粒子が流通可能になった空気塔へのガスの供給を行わせる。このため、循環量の増減後においても金属粒子の適切な循環を維持しつつ、酸化反応に適切な量のガスおよび還元反応に適切な量の燃料を空気塔および燃料塔に供給することができる。したがって、循環量の増減に比例して酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を増減させることができるため、空気塔から回収される熱量および燃料塔から回収される二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。
【0011】
(4)上記形態の化学ループ燃焼システムにおいて、さらに、前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、前記空気塔に供給される不活性ガスの量を調整する第1不活性ガス調整部と、前記燃料塔に供給される不活性ガスの量を調整する第2不活性ガス調整部と、を備え、前記制御部は、前記調整制御として、前記空気塔に供給される前記ガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記ガスの割合と不活性ガスの割合とを調整するとともに、前記燃料塔に供給される前記燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記燃料の割合と不活性ガスの割合とを調整させてもよい。
この構成によれば、空気塔に供給される気体(ガスと不活性ガス)の合計量および燃料塔に供給される気体(燃料と不活性ガス)の合計量を変更することなく、酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を増減させることができる。このため、金属粒子の適切な循環を維持しつつ、空気塔から回収される熱量および燃料塔から回収される二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。
【0012】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、化学ループ燃焼システム、化学ループ燃焼プラント、化学ループ燃焼装置、これらを備える装置およびシステム、二酸化炭素の製造方法、二酸化炭素の合成方法、これら装置や方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、およびコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の化学ループ燃焼システムの構成を例示した説明図である。
【
図2】第2実施形態の化学ループ燃焼システムの構成を例示した説明図である。
【
図3】第3実施形態の化学ループ燃焼システムの構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態としての化学ループ燃焼システム1の構成を例示した説明図である。化学ループ燃焼システム1は、同システム内を循環する金属粒子MPを用いた酸化反応および還元反応によって、熱エネルギーおよび二酸化炭素等を回収するシステムである。酸素キャリアである金属粒子MPには、ニッケル、鉄、銅、マンガン等の酸化物が例示される。化学ループ燃焼システム1は、ガス開閉弁10Vと、空気塔10と、サイクロン20と、第1ループシール部30と、燃料開閉弁40Vと、燃料塔40と、第2ループシール部50と、循環配管60と、制御部70と、を備える。
【0015】
ガス開閉弁10Vは、後述する制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。ガス開閉弁10Vは、空気塔10にガスを供給する配管(不図示)に設けられている。ガス開閉弁10Vは、ガス量調整部に相当し、空気塔10に供給されるガスの量を調整する。空気塔10に供給されるガスは、酸素を含んだガスであり、本実施形態では空気である。空気塔10は、金属粒子MPとガスとを反応させて金属粒子MPを酸化させる塔である。空気塔10内では、金属粒子MPの酸化により酸化熱が発生する。
【0016】
サイクロン20は、空気塔10のうち重力方向上側の部分に接続され、空気塔10から送られてくる金属粒子MPと排ガスとを比重の差によって分離する。この排ガスは、金属粒子MPとの酸化反応によってガスから酸素が奪われたものであり、本実施形態のガスは空気であることから高濃度の窒素を含んでいる。この排ガスは、サイクロン20の重力方向上側の部分からサイクロン20の外部へ送り出される。また、この排ガスに含まれる熱エネルギーは、熱交換器(不図示)によって回収される。
【0017】
第1ループシール部30は、サイクロン20の重力方向下側の部分に接続され、サイクロン20にて排ガスから分離された金属粒子MPを受け入れる。第1ループシール部30内では、シールガスとして水蒸気が適宜送り込まれることによって、空気塔10に供給されるガスと後述する燃料塔40に供給される燃料とが接触しないようにシールされている。また、このシールガスは、第1ループシール部30内の金属粒子MPの流動の補助も行っている。
【0018】
燃料開閉弁40Vは、ガス開閉弁10Vと同様に、後述する制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。燃料開閉弁40Vは、燃料塔40に燃料を供給する配管(不図示)に設けられている。燃料開閉弁40Vは、燃料量調整部に相当し、燃料塔40に供給される燃料の量を調整する。ここでいう燃料とは、メタンなどの炭化水素のことである。燃料塔40は、酸化された金属粒子MPと燃料とを反応させて金属粒子MPを還元させる塔である。燃料塔40内では、金属粒子MPの還元により二酸化炭素や水から構成される排ガスが発生する。この排ガスは、燃料塔40の重力方向上側の部分から燃料塔40の外部へ送り出される。この排ガスに含まれる熱エネルギーは、熱交換器(不図示)によって回収される。また、この排ガスを脱水装置で処理することによって二酸化炭素が回収される。燃料塔40は、燃料塔40内での金属粒子MPの還元を促進するために燃料塔40内を加熱する電気ヒータ40Hを有する。
【0019】
第2ループシール部50は、燃料塔40の重力方向下側の部分に接続され、燃料塔40にて排ガスから分離された金属粒子MPを受け入れる。第2ループシール部50内では、第1ループシール部30と同様に、シールガスが適宜送り込まれることによって、ガスと燃料との接触防止および第2ループシール部50内の金属粒子MPの流動の補助が行われている。
【0020】
循環配管60は、空気塔10と燃料塔40との間で金属粒子MPを循環させる配管である。循環配管60は、第1配管61と、第2配管62と、を含む。第1配管61は、第1ループシール部30と燃料塔40とを接続する配管であり、第1ループシール部30から燃料塔40へ金属粒子MPを流通させる流路を画定している。燃料塔40での還元反応に用いられる金属粒子MPは、第1ループシール部30から第1配管61を介して燃料塔40に送られる。一方、第2配管62は、第2ループシール部50と空気塔10とを接続する配管であり、第2ループシール部50から空気塔10へ金属粒子MPを流通させる流路を画定している。空気塔10での酸化反応に用いられる金属粒子MPは、第2ループシール部50から第2配管62を介して空気塔10に送られる。
【0021】
制御部70は、ECU(Electronic Control Unit)で構成されており、化学ループ燃焼システム1を制御する。本実施形態では、制御部70は、少なくともガス開閉弁10Vおよび燃料開閉弁40Vの開度を制御する。
【0022】
化学ループ燃焼システム1は、さらに、ガス開閉弁80Vと、リザーバタンク80と、分岐配管82と、流路開閉弁82Vと、を備える。ガス開閉弁80Vは、リザーバタンク80にガスを供給する配管(不図示)に設けられ、リザーバタンク80に供給されるガスの量を調整する。リザーバタンク80に供給されるガスは、空気塔10に供給されるガスと同様に、空気である。リザーバタンク80は、貯留部に相当し、金属粒子MPを貯留可能なタンクである。分岐配管82は、循環配管60から分岐してリザーバタンク80に接続している配管であり、循環配管60とリザーバタンク80との間で金属粒子MPを流通可能な流路を画定している。本実施形態では、分岐配管82は、循環配管60のうち第2配管62から分岐してリザーバタンク80に接続しており、第2配管62とリザーバタンク80との間で金属粒子MPを流通可能な流路を画定している。分岐配管82に設けられた流路開閉弁82Vは、分岐配管82内の当該流路を開閉する。本実施形態では、制御部70は、ガス開閉弁10Vおよび燃料開閉弁40Vの開度に加えて、ガス開閉弁80Vおよび流路開閉弁82Vの開度も制御する。
【0023】
化学ループ燃焼システム1では、必要に応じて、空気塔10から回収される熱エネルギーの量(熱量)や燃料塔40から回収される二酸化炭素の量を調整するために、制御部70は、空気塔10にて酸化される金属粒子MPの量および燃料塔40にて還元される金属粒子MPの量を調整する調整制御を行う。本実施形態では、空気塔10にて酸化される金属粒子MPの量および燃料塔40にて還元される金属粒子MPの量を調整するために、化学ループ燃焼システム1内を循環する金属粒子MPの循環量を増減させる。ここでいう循環量とは、空気塔10、サイクロン20、第1ループシール部30、第1配管61、燃料塔40、第2ループシール部50、第2配管62を循環する金属粒子MPの量である。
【0024】
詳細には、制御部70は、調整制御として、流路開閉弁82Vを開弁させた状態で第2配管62からリザーバタンク80に金属粒子MPを貯留させること(貯留制御)、もしくは、流路開閉弁82Vを開弁させた状態でリザーバタンク80から第2配管62に金属粒子MPを放出させること(放出制御)、によって化学ループ燃焼システム1内を循環する金属粒子MPの循環量を増減させる。本実施形態では、リザーバタンク80は、第2配管62よりも重力方向下側に配置されていることから分岐配管82も重力方向下側に向かって伸びている。このため、貯留制御では、制御部70は、流路開閉弁82Vを開弁(開度>0)させることで分岐配管82内を流通可能な状態とし、第2配管62内の流路を流れる金属粒子MPを分岐配管82からリザーバタンク80に落下させることによって、リザーバタンク80に金属粒子MPを貯留させる。なお、貯留制御時には、ガス開閉弁80Vは閉弁しているものとする。一方、放出制御では、制御部70は、ガス開閉弁80Vおよび流路開閉弁82Vをともに開弁(開度>0)させることで分岐配管82内を流通可能な状態としつつリザーバタンク80にガスを供給することによって、リザーバタンク80から第2配管62に金属粒子MPを放出させる。すなわち、本実施形態では、貯留制御と放出制御とは、流路開閉弁82Vを開弁する点は共通するが、ガス開閉弁80Vを開弁するか否かの点では異なる。このような貯留制御および放出制御によって化学ループ燃焼システム1内を循環する金属粒子MPの循環量の増減が行われる。
【0025】
また、制御部70は、金属粒子MPの循環量の増減に応じて空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量を増減させる。ここで、空気塔10(もしくは燃料塔40)に供給されるガス(もしくは燃料)の量とは、単位時間あたりに空気塔10(もしくは燃料塔40)に供給されるガス(もしくは燃料)の量のことである。例えば、制御部70は、貯留制御によって金属粒子MPの循環量が減少した場合、ガス開閉弁10Vおよび燃料開閉弁40Vの開度をともに減少させることで、空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量をともに減少させる。一方、制御部70は、放出制御によって金属粒子MPの循環量が増加した場合、ガス開閉弁10Vおよび燃料開閉弁40Vの開度をともに増加させることで、空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量をともに増加させる。なお、金属粒子MPの循環量は、化学ループ燃焼システム1内の2つの位置間における圧力損失に基づいて推定される。本実施形態では、金属粒子MPの循環量は、空気塔10内の位置P1(空気塔10内で重力方向下側に堆積している金属粒子MPに対して、空気塔10に供給されたガスが接触する前の位置)と、位置P2(空気塔10内で金属粒子MPが堆積している位置よりも重力方向上側の位置)と、の間における圧力損失に基づいて推定される。
【0026】
例えば、空気塔10から回収される熱エネルギーの量(熱量)や燃料塔40から回収される二酸化炭素の量を減少させるために、金属粒子MPの循環量は増減させずに空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量のみを減少させると、化学ループ燃焼システム1内を循環する金属粒子MPの各々の循環速度の低下を招くことから、金属粒子MPの滞留が発生しやすくなる。また、空気塔10から回収される熱エネルギーの量(熱量)や燃料塔40から回収される二酸化炭素の量を増加させるために、空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量は変化させずに金属粒子MPの循環量のみを増加させた場合にも同様に、金属粒子MPの滞留が発生しやすくなる。このような滞留は、化学ループ燃焼システム1内の金属粒子MPの循環の妨げとなり、ひいては、空気塔10での酸化反応および燃料塔40での還元反応が成立しなくなる虞がある。すなわち、化学ループ燃焼システム1では、金属粒子MPの循環量と、空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量と、を併せて増減させることによって、金属粒子MPの滞留を抑制するのが好ましい。
【0027】
この点、第1実施形態の化学ループ燃焼システム1では、リザーバタンク80による金属粒子MPの貯留およびリザーバタンク80からの金属粒子MPの放出によって金属粒子MPの循環量を増減させつつ、その循環量の増減に応じて空気塔10に供給されるガスの量および燃料塔40に供給される燃料の量を増減させる。このため、循環量の増減後においても金属粒子MPの適切な循環を維持しつつ、酸化反応に適切な量のガスおよび還元反応に適切な量の燃料を空気塔10および燃料塔40に供給することができる。したがって、循環量の増減に比例して酸化される金属粒子の量および還元される金属粒子の量を増減させることができるため、空気塔10から回収される熱量および燃料塔40から回収される二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。なお、上記の適切な量とは、空気塔10および燃料塔40に順次供給される金属粒子MPの量に対して酸化反応および還元反応を行うのに十分なガスおよび燃料の量のことである。
【0028】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態としての化学ループ燃焼システム1aの構成を例示した説明図である。第2実施形態の化学ループ燃焼システム1aは、第1実施形態の化学ループ燃焼システム1と比べて、主に、ガス開閉弁80V、リザーバタンク80、分岐配管82および流路開閉弁82Vを備えていない点と、複数の空気塔11~13および複数の燃料塔41~43を備える点と、が異なる。
【0029】
空気塔11~13の各々は、第1実施形態の空気塔10と同様に、金属粒子MPとガスとを反応させて金属粒子MPを酸化させる塔である。各々の空気塔11~13の重力方向上側の部分は、サイクロン20に接続されている。ガス開閉弁11V~13Vの各々は、制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。ガス開閉弁11V~13Vの各々は、空気塔11~13の各々にガスを供給する配管(不図示)に設けられ、空気塔11~13に供給されるガスの量を調整する。燃料塔41~43の各々は、第1実施形態の燃料塔40と同様に、酸化された金属粒子MPと燃料とを反応させて金属粒子MPを還元させる塔である。各々の燃料塔41~43の重力方向下側の部分は、第2ループシール部50に接続されている。なお、
図2には図示されていないが、第1実施形態と同様に、燃料塔41~43の各々は、電気ヒータを有する。燃料開閉弁41V~43Vの各々は、制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。燃料開閉弁41V~43Vの各々は、燃料塔41~43の各々にガスを供給する配管(不図示)に設けられ、燃料塔41~43に供給される燃料の量を調整する。
【0030】
第2実施形態の循環配管60aは、第1配管61aと、第2配管62aと、を含む。第2実施形態の第1配管61aは、第1ループシール部30と燃料塔41~43の各々とを接続し、燃料塔41~43の各々へ金属粒子MPを流通可能な配管である。第1配管61aは、第1ループシール部30から燃料塔41~43の各々へ金属粒子MPを流通させる複数の第1個別流路F1~F3を画定している。第1配管61aには、第1個別流路F1~F3の各々を開閉する複数の第1開閉弁V1~V3が設けられている。
【0031】
第2実施形態の第2配管62aは、第2ループシール部50と空気塔11~13の各々とを接続し、空気塔11~13の各々へ金属粒子MPを流通可能な配管である。第2配管62aは、第2ループシール部50から空気塔11~13の各々へ金属粒子MPを流通させる複数の第2個別流路F4~F6を画定している。第2配管62aには、第2個別流路F4~F6の各々を開閉する複数の第2開閉弁V4~V6が設けられている。
【0032】
第2実施形態では、酸化される金属粒子MPの量および還元される金属粒子MPの量を調整するために、制御部70は、調整制御として、開弁する第1開閉弁V1~V3の数の調整および開弁する第2開閉弁V4~V6の数の調整を行うとともに、第1開閉弁V1~V3の開弁により金属粒子MPが流通可能になった燃料塔への燃料の供給および第2開閉弁V4~V6の開弁により金属粒子MPが流通可能になった空気塔へのガスの供給を行わせる。例えば、制御部70は、第1開閉弁V1~V3のうち第1開閉弁V1,V2(2つの第1開閉弁)を開弁するとともに、第2開閉弁V4~V6のうち第2開閉弁V4,V5(2つの第2開閉弁)を開弁した(このとき第1開閉弁V3および第2開閉弁V6は閉弁している)場合、燃料開閉弁41V,42Vを開弁させて燃料塔41,42への燃料を供給させるとともに、ガス開閉弁11V,12Vを開弁させて空気塔11,12へのガスを供給させる。
【0033】
以上説明した第2実施形態の化学ループ燃焼システム1aによれば、開弁する第1開閉弁V1~V3の数および開弁する第2開閉弁V4~V6の数を調整して金属粒子MPが流通可能な空気塔の数および燃料塔の数を調整することによって、金属粒子MPの循環量を増減させる。また、第1開閉弁V1~V3のうち少なくとも一部の開弁により金属粒子MPが流通可能になった燃料塔への燃料の供給および第2開閉弁V4~V6のうち少なくとも一部の開弁により金属粒子MPが流通可能になった空気塔へのガスの供給を行わせる。このため、循環量の増減後においても金属粒子MPの適切な循環を維持しつつ、酸化反応に適切な量のガスおよび還元反応に適切な量の燃料を空気塔11~13および燃料塔41~43に供給することができる。したがって、循環量の増減に比例して酸化される金属粒子MPの量および還元される金属粒子MPの量を増減させることができるため、化学ループ燃焼システム1aから回収される熱量および二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。
【0034】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態としての化学ループ燃焼システム1bの構成を例示した説明図である。第3実施形態の化学ループ燃焼システム1bは、第1実施形態の化学ループ燃焼システム1と比べて、ガス開閉弁80V、リザーバタンク80、分岐配管82および流路開閉弁82Vを備えていない点と、不活性ガス開閉弁10NVおよび不活性ガス開閉弁40NVを備える点が異なる。
【0035】
不活性ガス開閉弁10NVは、制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。不活性ガス開閉弁10NVは、空気塔10に不活性ガスを供給する配管(不図示)に設けられている。不活性ガス開閉弁10NVは、第1不活性ガス調整部に相当し、空気塔10に供給される不活性ガスの量を調整する。空気塔10に供給される不活性ガスには、ヘリウムやネオン、アルゴンが例示される。
【0036】
不活性ガス開閉弁40NVは、不活性ガス開閉弁10NVと同様に、制御部70からの制御信号に従って開度を変更することが可能な電動弁や電磁弁である。不活性ガス開閉弁40NVは、燃料塔40に不活性ガスを供給する配管(不図示)に設けられている。不活性ガス開閉弁40NVは、第2不活性ガス調整部に相当し、燃料塔40に供給される不活性ガスの量を調整する。燃料塔40に供給される不活性ガスには、空気塔10に供給される不活性ガスと同様に、ヘリウムやネオン、アルゴンが例示される。
【0037】
第3実施形態では、空気塔10にて酸化される金属粒子MPの量および燃料塔40にて還元される金属粒子MPの量を調整するために、制御部70は、調整制御として、空気塔10に供給されるガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占めるガスの割合と不活性ガスの割合とを調整する。また、制御部70は、燃料塔40に供給される燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める燃料の割合と不活性ガスの割合とを調整する。前述したように、空気塔10(もしくは燃料塔40)に供給されるガス(もしくは燃料、不活性ガス)の量とは、単位時間あたりに空気塔10(もしくは燃料塔40)に供給されるガス(もしくは燃料、不活性ガス)の量のことである。また、ガスの割合、燃料ガスの割合および不活性ガスの割合の調整は、ガス開閉弁10V、燃料開閉弁40V、不活性ガス開閉弁10NVおよび不活性ガス開閉弁40NVの開度調整によって行われる。
【0038】
例えば、制御部70は、空気塔10にて酸化される金属粒子MPの量および燃料塔40にて還元される金属粒子MPの量を増加させる場合には、空気塔10に供給されるガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占めるガスの割合を増加させるとともに不活性ガスの割合を減少させる。それと同時に、制御部70は、燃料塔40に供給される燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める燃料の割合を増加させるとともに不活性ガスの割合を減少させる。また、制御部70は、空気塔10にて酸化される金属粒子MPの量および燃料塔40にて還元される金属粒子MPの量を減少させる場合には、空気塔10に供給されるガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占めるガスの割合を減少させるとともに不活性ガスの割合を増加させる。それと同時に、制御部70は、燃料塔40に供給される燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める燃料の割合を減少させるとともに不活性ガスの割合を増加させる。
【0039】
以上説明した第3実施形態の化学ループ燃焼システム1bによれば、単位時間あたりに空気塔10に供給される気体(ガスと不活性ガス)の合計量および単位時間あたりに燃料塔40に供給される気体(燃料と不活性ガス)の合計量を変更することなく、酸化される金属粒子MPの量および還元される金属粒子MPの量を増減させることができる。このため、金属粒子MPの適切な循環を維持しつつ、空気塔10から回収される熱量および燃料塔40から回収される二酸化炭素の量を精度良く調整することができる。
【0040】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0041】
第1実施形態では、分岐配管82は、循環配管60のうち第2配管62から分岐してリザーバタンク80に接続していたが、これに限られない。分岐配管82は、循環配管60のうち第1配管61から分岐してリザーバタンク80に接続していてもよい。また、第1実施形態では、リザーバタンク80は、第2配管62より重力方向下側に配置されていたが、これに限られない。リザーバタンク80は、第2配管62(もしくは第1配管61)より重力方向上側に配置されていてもよい。この場合、制御部70は、貯留制御において、流路開閉弁82Vを開弁させつつ真空ポンプ等でリザーバタンク80内を陰圧にし、第2配管62(もしくは第1配管61)内の流路を流れる金属粒子MPを分岐配管82からリザーバタンク80に吸引することによって、リザーバタンク80に金属粒子MPを貯留させてもよい。また、制御部70は、放出制御において、流路開閉弁82Vを開弁させて、リザーバタンク80に貯留された金属粒子MPを第2配管62(もしくは第1配管61)に落下させることによって、リザーバタンク80から第2配管62に金属粒子MPを放出させてもよい。
【0042】
第2実施形態の説明に用いた
図2では、空気塔11~13の各々および燃料塔41~43の各々は、互いに同じサイズの空気塔および燃料塔として図示されていたが、これに限られない。化学ループ燃焼システムが備える複数の空気塔および複数の燃料塔は、互いに異なるサイズの空気塔および燃料塔であってもよい。なお、サイズが大きいほど、その空気塔内および燃料塔内に堆積する金属粒子MPの量は多くなる傾向にあり、サイズが小さいほど、その空気塔内および燃料塔内に堆積する金属粒子MPの量は少なくなる傾向にある。このため、異なるサイズの空気塔の数および燃料塔の数を多くするほど、酸化される金属粒子MPの量および還元される金属粒子MPの量を調整する際に、いずれの空気塔および燃料塔を金属粒子MPの流通が可能な空気塔および燃料塔とするかによって、細やかな調整が可能となる。
【0043】
第2実施形態では、第1個別流路F1~F3は、1本の第1配管61aによって画定されるとともに、第2個別流路F4~F6は、1本の第2配管62aによって画定されていたが、これに限られない。例えば、第1個別流路F1~F3は、3本の第1配管61aの各々によって画定されるとともに、第2個別流路F4~F6は、3本の第2配管62aの各々によって画定されていてもよい。この場合、第1配管61aの各々が、第1ループシール部30と燃料塔41~43とを接続するとともに、第2配管62aの各々が、第2ループシール部50と空気塔11~13とを接続する。
【0044】
第2実施形態では、金属粒子MPが流通可能になった燃料塔への燃料供給および金属粒子MPが流通可能になった空気塔へのガス供給によって、金属粒子MPの適切な循環を維持していたが、これに限られない。例えば、金属粒子MPの適切な循環を維持するために、燃料塔への燃料供給および空気塔へのガス供給に加えて、第1ループシール部30および第2ループシール部50に送り込まれるシールガスの量を増加させてもよい。このシールガスの量は、金属粒子MPが流通可能になった燃料塔の数および空気塔の数が多いほど増加させるものとする。
【0045】
上記第1~3実施形態の化学ループ燃焼システム1,1a、1bの構成、及び上記変形例の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態の化学ループ燃焼システム1では、さらに、第2実施形態で説明したように、複数の空気塔および複数の燃料塔を備えていてもよいし、第3実施形態で説明したように、空気塔や燃料塔に対して不活性ガス開閉弁が備えられていてもよい。また、第2実施形態の化学ループ燃焼システム1aでは、さらに、第3実施形態で説明したように、空気塔の各々や燃料塔の各々に対して不活性ガス開閉弁が備えられていてもよい。
【0046】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0047】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
化学ループ燃焼システムであって、
金属粒子とガスとを反応させて前記金属粒子を酸化させる空気塔と、
酸化された前記金属粒子と燃料とを反応させて前記金属粒子を還元させる燃料塔と、
前記空気塔と前記燃料塔との間で前記金属粒子を循環させる循環配管と、
前記化学ループ燃焼システムを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、酸化される前記金属粒子の量および還元される前記金属粒子の量を調整する調整制御を行う、化学ループ燃焼システム。
[適用例2]
適用例1に記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、
前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、
前記金属粒子を貯留可能な貯留部と、
前記循環配管から分岐して前記貯留部に接続している分岐配管と、を備え、
前記分岐配管には、前記分岐配管内の流路を開閉する流路開閉弁が設けられ、
前記制御部は、前記調整制御として、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記循環配管から前記貯留部に前記金属粒子を貯留させること、もしくは、前記流路開閉弁を開弁させた状態で前記貯留部から前記循環配管に前記金属粒子を放出させること、によって前記化学ループ燃焼システム内を循環する前記金属粒子の循環量を増減させるとともに、前記循環量の増減に応じて前記ガスの量および前記燃料の量を増減させる、化学ループ燃焼システム。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
複数の前記空気塔と、
複数の前記燃料塔と、
前記空気塔の各々に供給される前記ガスの量を調整する複数のガス量調整部と、
前記燃料塔の各々に供給される前記燃料の量を調整する複数の燃料量調整部と、
を備え、
前記循環配管は、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第1配管と、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通可能な第2配管と、を含み、
前記第1配管には、前記燃料塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第1個別流路の各々を開閉する複数の第1開閉弁が設けられ、
前記第2配管には、前記空気塔の各々へ前記金属粒子を流通させる第2個別流路の各々を開閉する複数の第2開閉弁が設けられ、
前記制御部は、前記調整制御として、開弁する前記第1開閉弁の数の調整および開弁する前記第2開閉弁の数の調整を行うとともに、前記第1開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記燃料塔への前記燃料の供給および前記第2開閉弁の開弁により前記金属粒子が流通可能になった前記空気塔への前記ガスの供給を行わせる、化学ループ燃焼システム。
[適用例4]
適用例1から適用例3までのいずれかに記載の化学ループ燃焼システムであって、さらに、
前記空気塔に供給される前記ガスの量を調整するガス量調整部と、
前記燃料塔に供給される前記燃料の量を調整する燃料量調整部と、
前記空気塔に供給される不活性ガスの量を調整する第1不活性ガス調整部と、
前記燃料塔に供給される不活性ガスの量を調整する第2不活性ガス調整部と、を備え、
前記制御部は、前記調整制御として、前記空気塔に供給される前記ガスの量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記ガスの割合と不活性ガスの割合とを調整するとともに、前記燃料塔に供給される前記燃料の量と不活性ガスの量との合計量を変えることなく当該合計量に占める前記燃料の割合と不活性ガスの割合とを調整する、化学ループ燃焼システム。
【符号の説明】
【0048】
1,1a,1b…化学ループ燃焼システム
10,11~13…空気塔
10NV…不活性ガス開閉弁
10V,11V~13V…ガス開閉弁
20…サイクロン
30…第1ループシール部
40,41~43…燃料塔
40H…電気ヒータ
40NV…不活性ガス開閉弁
40V,41V~43V…燃料開閉弁
50…第2ループシール部
60,60a…循環配管
61,61a…第1配管
62,62a…第2配管
70…制御部
80…リザーバタンク
80V…ガス開閉弁
82…分岐配管
82V…流路開閉弁
F1~F3…第1個別流路
F4~F6…第2個別流路
V1~V3…第1開閉弁
V4~V6…第2開閉弁