(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102950
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G09B 7/00 20060101AFI20240725BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240725BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20240725BHJP
【FI】
G09B7/00
G09B19/00 H
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007047
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】390024350
【氏名又は名称】株式会社ジャストシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】廣庭 雅一
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 房代
(72)【発明者】
【氏名】和家 伸明
(72)【発明者】
【氏名】河村 奈帆子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 美代
(72)【発明者】
【氏名】伊本 悠
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028BB04
2C028BC01
2C028BC02
2C028BD02
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】学習結果の効果的なレビューを可能にする学習支援装置等を提供する。
【解決手段】学習支援装置100は、学習結果提示部300によって、学習者が学習者端末120を通じて行った学習結果Rを提示すること、を実行する少なくとも一つのプロセッサを備える。学習結果Rは、学習課題Qに対する学習者による解答Aと、当該解答Aを導出する過程で学習者が学習者端末120に入力した過程情報Pと、を含む。学習者端末120は、タッチスクリーン224(タッチパネル224B)を備え、過程情報Pは、解答Aを導出する過程で学習者がタッチスクリーン224(タッチパネル224B)上で手書き入力した情報である。学習結果提示部300は、学習者端末120および/または学習者を補助する補助者が使用する補助者端末150を通じて学習結果Rを提示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習結果提示部によって、学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、を実行する少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記学習結果は、学習課題に対する前記学習者による解答と、当該解答を導出する過程で前記学習者が前記学習者端末に入力した過程情報と、を含む、
学習支援装置。
【請求項2】
前記学習者端末は、タッチスクリーンを備え、
前記過程情報は、前記解答を導出する過程で前記学習者が前記タッチスクリーン上で入力した情報である、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記過程情報は、前記解答を導出する過程で前記学習者が前記学習者端末に手書き入力した情報である、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記過程情報は、前記解答を導出する過程で前記学習者が前記学習者端末に音声入力した情報である、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記学習結果提示部は、前記学習者端末を通じて前記学習結果を提示する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記学習結果提示部は、前記学習者を補助する補助者が使用する補助者端末を通じて前記学習結果を提示する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項7】
前記学習結果提示部は、前記解答および前記過程情報を同じ画面に表示する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項8】
前記学習結果提示部は、前記解答に対する評価を前記同じ画面に表示する、請求項7に記載の学習支援装置。
【請求項9】
前記学習結果提示部は、前記学習課題に対する前記学習者による二回目以降の解答に対しては、前回の評価からの変化を前記同じ画面に表示する、請求項8に記載の学習支援装置。
【請求項10】
前記学習結果提示部は、少なくとも前記解答に誤りが含まれる場合、正しい解答の導出方法を表示する、請求項7に記載の学習支援装置。
【請求項11】
前記学習結果提示部は、所定の学習単位毎に前記学習結果を提示する、請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項12】
前記学習結果提示部は、所定の単位学習期間毎に前記学習結果を提示する、請求項11に記載の学習支援装置。
【請求項13】
学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、を備え、
前記学習結果は、学習課題に対する前記学習者による解答と、当該解答を導出する過程で前記学習者が前記学習者端末に入力した過程情報と、を含む、
学習支援方法。
【請求項14】
学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、をコンピュータに実行させる学習支援プログラムを記憶しており、
前記学習結果は、学習課題に対する前記学習者による解答と、当該解答を導出する過程で前記学習者が前記学習者端末に入力した過程情報と、を含む、
記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は学習支援装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、問題に対する学習者による解答の入力を受け付ける学習支援システムが開示されている。誤答が入力された場合には、その回数に応じたメッセージが学習端末に表示されると共に、解答の再入力が促される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の学習支援システムでは、誤答があった旨は分かるものの、その原因は必ずしも明らかではない。このため、学習結果のレビューまたは振返りにおいては、誤答の事実自体や正答率等の数値的な指標に重点が置かれやすくなり、誤答の原因の根本的な解決に繋がらない恐れがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、学習結果の効果的なレビューを可能にする学習支援装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の学習支援装置は、学習結果提示部によって、学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、を実行する少なくとも一つのプロセッサを備える。学習結果は、学習課題に対する学習者による解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末に入力した過程情報と、を含む。
【0007】
この態様では、学習結果のレビューにおいて、学習課題に対する学習者による解答だけでなく、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末に入力した過程情報も提示される。例えば、解答に誤りが含まれる場合の過程情報を参照することで、誤りに至る学習者の思考を効果的に辿れるため、誤りの原因の根本的な解決に繋げられる。
【0008】
本発明の別の態様は、学習支援方法である。この方法は、学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、を備える。学習結果は、学習課題に対する学習者による解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末に入力した過程情報と、を含む。
【0009】
本発明の更に別の態様は、記憶媒体である。この記憶媒体は、学習者が学習者端末を通じて行った学習結果を提示すること、をコンピュータに実行させる学習支援プログラムを記憶している。学習結果は、学習課題に対する学習者による解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末に入力した過程情報と、を含む。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、これらの表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等に変換したものも、本発明に包含される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、学習結果の効果的なレビューを可能にする学習支援装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】学習支援装置の全体的な構成を模式的に示す。
【
図2】サーバのハードウェア構成例を模式的に示す。
【
図3】学習者端末のハードウェア構成例を模式的に示す。
【
図4】学習支援装置において、学習結果のレビューに関与する構成やデータを模式的に示す機能ブロック図である。
【
図5】学習結果のデータ構造の実施例を模式的に示す。
【
図6】学習者の各学習日の学習結果または達成度の一覧画面である。
【
図7】
図5に示される詳細表示ボタンが押下された場合に表示される学習結果の詳細情報を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下では実施形態とも表される)について詳細に説明する。説明および/または図面においては、同一または同等の構成要素、部材、処理等に同一の符号を付して重複する説明を省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明の簡易化のために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも本発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る学習支援装置100の全体的な構成を模式的に示す。学習支援装置100は、例えば、サーバ110と、一または複数の学習者端末120と、ネットワーク140と、一または複数の補助者端末150によって構成される。サーバ110、学習者端末120、補助者端末150は、インターネット等の情報通信ネットワークであるネットワーク140を介して、相互通信可能に接続されている。
【0015】
但し、以下で記述される本実施形態の作用および/または効果の少なくとも一部が実現される限り、サーバ110、学習者端末120、補助者端末150の全てが常にネットワーク140に接続されていなくてもよく、これらの少なくとも一部が少なくとも一時的にネットワーク140に接続しないスタンドアローン状態で動作してもよい。例えば、典型的にはサーバ110から提供される学習コンテンツが、プリインストールやダウンロードによって学習者端末120に予め格納されている場合、当該学習コンテンツの学習者による学習と、必要に応じて学習者の保護者等の補助者を交えた学習結果のレビューを、実質的にスタンドアローン状態の学習者端末120で実施できる。
【0016】
サーバ110は、学習支援装置100を通じたオンライン学習サービスや遠隔学習サービスを提供する学習サービス事業者等の運営者または管理者によって運営または管理される。
図2は、サーバ110のハードウェア構成例を模式的に示す。サーバ110は、バス210を介して相互に接続された、プロセッサ211と、メモリ212と、ネットワークインターフェース(I/F: Interface)213と、データベース214を備える。
【0017】
プロセッサ211は、サーバ110の全体の制御を司る。メモリ212は、プロセッサ211によって実行可能な各種のプログラムや、プロセッサ211によって読み書き可能な各種のデータを格納している。メモリ212は、例えば、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random Access Memory)によって構成される。
【0018】
データベース214は、学習サービスの提供に必要な各種のデータを格納する。例えば、データベース214は、ネットワーク140(ネットワークインターフェース213)を介して学習者端末120に提供可能な学習コンテンツを格納する学習コンテンツデータベース214Aと、学習者が学習者端末120を通じて行った学習履歴を記録して補助者端末150等に提供可能な学習履歴データベース214Bと、学習者自身や保護者等の学習サービスの加入者に関する情報を保持する加入者データベース214Cを備える。
【0019】
サーバ110は、ネットワークインターフェース213を通じてネットワーク140に接続され、同じくネットワーク140に接続されている学習者端末120や補助者端末150と通信可能である。
【0020】
図1において、学習者端末120は、学習サービスに加入している学習者が学習時に使用するデバイスである。本実施形態ではタブレット状の学習者端末120が例示されるが、学習者による学習に使用可能であれば、学習者端末120の形態は任意である。例えば、学習者端末120は、スマートフォンのようなものでもよいし、パーソナルコンピュータのようなものでもよい。
【0021】
このような形態の違いに関わらず、学習者端末120は、ネットワーク140を通じてサーバ110(学習コンテンツデータベース214A)から学習コンテンツを取得する受信機能(通信機能)、画面表示や音声出力を通じて学習コンテンツを学習者に対して提示する提示機能、提示された学習コンテンツに対する学習者の入力(例えば、問題に対する解答の入力)を受け付ける入力機能、ネットワーク140を通じてサーバ110(学習履歴データベース214B)に対して学習者の学習履歴を提供する送信機能(通信機能)等の基本的な機能を備えるのが好ましい。
【0022】
学習者端末120は、学習サービス用にカスタマイズされた専用デバイスでもよいし、学習サービス以外の用途に使用可能な汎用デバイスでもよい。学習者端末120のカスタマイズは、汎用デバイスにおいて学習サービスに使用されない一部の機能を無効化または制限することによって行われてもよい。特に、学習者の年齢が低い場合、汎用デバイスとしての学習者端末120では、学習以外のことに興味が奪われて学習に集中できない可能性があるため、カスタマイズされた学習者端末120が提供されるのが好ましい。
【0023】
図3は、学習者端末120のハードウェア構成例を模式的に示す。学習者端末120は、バス220を介して相互に接続された、プロセッサ221と、メモリ222と、ネットワークインターフェース223と、タッチスクリーン224と、マイク225と、スピーカ226と、カメラ227と、センサ228を備える。プロセッサ221は、学習者端末120の全体の制御を司る。メモリ222は、プロセッサ221によって実行可能な各種のプログラムや、プロセッサ221によって読み書き可能な各種のデータを格納している。メモリ222は、例えば、ROMやRAMによって構成される。
【0024】
タッチスクリーン224は、表示装置としてのディスプレイ224Aと、位置入力装置としてのタッチパネル224Bによって構成される。学習者端末120における前述の基本的な機能のうち、画面表示を通じて学習コンテンツやメニュー等を学習者に対して提示する提示機能または表示機能はタッチスクリーン224におけるディスプレイ224Aによって実現され、当該ディスプレイ224Aに表示された学習コンテンツやメニュー等に対する学習者のタッチ入力または接触入力を受け付ける入力機能はタッチスクリーン224におけるタッチパネル224Bによって実現される。
【0025】
学習者端末120における提示機能は、ディスプレイ224Aによる画面表示に限らず、学習者端末120に設けられうるスピーカ226を通じた音声出力によって実現されてもよい。また、学習者端末120における入力機能は、タッチパネル224Bによるタッチ入力に限らず、学習者端末120に設けられうるマイク225を通じた音声入力(例えば、言語の発音練習において使用される)や、学習者端末120に設けられうるカメラ227を通じた画像入力や、学習者端末120に設けられうる各種のセンサ228を通じた測定入力によって実現されてもよい。センサ228としては、温度センサ、湿度センサ、電気センサ、磁気センサ、光学センサ、機械センサ、音響センサ、化学センサ、生体センサが例示される。
【0026】
学習者端末120におけるタッチスクリーン224(タッチパネル224B)に対するタッチ入力操作は、例えば、学習者の指によって行われてもよいが、
図1に示されるように、学習者の筆記能力を鍛える上ではスタイラス(またはスタイラスペン)とも呼ばれる、例えば静電容量方式のタッチペン130によって行われるのが好ましい。この場合、学習者端末120におけるタッチスクリーン224はノートとして機能し、タッチペン130は当該ノートに筆記するペンとして機能する。
【0027】
例えば、学習者がタッチペン130でタッチスクリーン224上に文字を書く場合、タッチスクリーン224に接触または近接するタッチペン130の先端位置の動き(すなわち、筆跡)がタッチパネル224Bによって検出される。そして、ディスプレイ224Aは、プロセッサ221による制御の下で、タッチパネル224Bによって検出された筆跡に従った文字を表示する。このように、学習者端末120は、タッチスクリーン224におけるタッチパネル224Bによって学習者(タッチペン130や指)による手書き情報の入力を受け付け、タッチスクリーン224におけるディスプレイ224Aによって当該手書き情報を表示(出力)できる。なお、学習者による手書き情報の入力を受け付けるために、学習者端末120にタッチパネル224Bを設ける(内蔵する)代わりに、学習者端末120に外付けされるタッチパッドが利用されてもよい。
【0028】
タッチパネル224Bは、タッチ入力操作を行った物体に応じて異なる態様の検出信号を、プロセッサ221に対して出力可能なものでもよい。例えば、静電容量方式のタッチパネル224Bは、学習者等の人の指が触れた際の静電気量とタッチペン130が触れた際の静電気量の違いに基づいて、大きさ等が異なる検出信号をプロセッサ221に対して出力する。このようにタッチパネル224Bに対するタッチ入力操作を行った物体を認識したプロセッサ221は、例えば、当該物体に応じてディスプレイ224Aに表示させる内容や態様を変えてもよい。また、学習者は、学習者端末120(タッチパネル224B)上の操作によって、手書き情報の入力態様や表示態様(例えば、色、太さ、線種)を変更してもよい。
【0029】
学習者端末120は、ネットワークインターフェース223を通じてネットワーク140に接続され、同じくネットワーク140に接続されているサーバ110や補助者端末150と通信可能である。
【0030】
図1において、補助者端末150は、学習者端末120を使用して学習する学習者を補助する補助者が使用するデバイスである。学習者の補助者としては、親等の保護者、教師、ティーチングアシスタント、上級生、年長者等が例示される。補助者端末150は、学習者が学習者端末120を通じて行った学習履歴を、サーバ110(学習履歴データベース214B)からネットワーク140を介して読み出して、そのディスプレイ(表示装置)上に表示する。このように、補助者は補助者端末150上で学習者の学習の進捗や成績を把握し、必要に応じて学習者に対する適切な助言や指導を行える。
【0031】
後述するように、学習者が学習者端末120を通じて行った学習結果のレビュー等の補助者による学習者の補助は、学習者と同じ場所にいる補助者が学習者端末120および/または補助者端末150を視認および/または操作しながら行ってもよい。また、学習者および補助者が異なる場所にいる場合、学習者端末120および補助者端末150がネットワーク140を介して通信可能な状態で、補助者(すなわち、補助者端末150)は学習者(すなわち、学習者端末120)に対して遠隔から学習補助を行える。
【0032】
なお、各学習者(すなわち、各学習者端末120)と、その補助者(すなわち、補助者端末150)は、サーバ110における加入者データベース214Cにおいて関連付けられている。このため、各補助者(すなわち、各補助者端末150)は、その被補助者として加入者データベース214Cに登録されている学習者(すなわち、学習者端末120)の学習履歴のみにアクセスできる。
【0033】
補助者端末150は、
図3にも示される学習者端末120と同様のものでもよいが、例えば、タッチペン130等の学習用途の構成要素は、補助者にとって必ずしも必要ではないため省略されてもよい。また、ノートとして機能する比較的大画面の学習者端末120に比べて、学習履歴の閲覧を主目的とする補助者端末150の画面サイズは小さくてもよい。例えば、学習者端末120がタブレットであるのに対し、補助者端末150はスマートフォンでもよい。
【0034】
また、典型的には低年齢の学習者(例えば、未就学児、小学生、中学生)が使用する学習者端末120が学習サービス用にカスタマイズ(典型的には、機能制限)されうるのに対し、学習者の保護者等が使用する補助者端末150はカスタマイズの必要性が低い。このため、例えば、学習者の保護者等が使用する汎用デバイス(スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等)が、そのまま補助者端末150として使用されてもよい。
【0035】
続いて、本発明の実施形態に係る学習支援装置100を通じた学習結果のレビューについて説明する。
図4は、学習支援装置100において、学習結果Rのレビューに関与する構成やデータを模式的に示す機能ブロック図である。学習支援装置100は、学習結果提示部300を備える。学習支援装置100が以下で説明する作用および/または効果の少なくとも一部を実現できる限り、学習結果提示部300の一部は省略できる。学習結果提示部300は、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、上記の各機能ブロックは、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。特に本実施形態では、学習結果提示部300の一部または全部は、サーバ110、学習者端末120、補助者端末150に設けられるコンピュータやプロセッサで集中的または分散的に実現してもよい。
【0036】
学習結果提示部300は、学習者が学習者端末120を通じて行った学習結果Rを提示する。学習結果提示部300による学習結果Rの提示は、レビュー端末120/150に対して行われる。レビュー端末120/150は、学習者端末120および/または補助者端末150である。
【0037】
レビュー端末120/150を使用した学習結果Rのレビューは、学習者自身が単独で行ってもよいし、学習者の保護者等の補助者が単独で行ってもよいが、本実施形態では学習者および補助者の両者が一緒に行う場合について説明する。但し、学習者と補助者は必ずしも同じ場所にいなくてもよく、学習者と補助者が異なる場所にいる場合は、ネットワーク140を介して相互に接続された学習者端末120と補助者端末150(両方ともレビュー端末として機能する)を通じて、学習結果Rのレビューがオンラインでインタラクティブに行われる。
【0038】
学習者と補助者が同じ場所にいる場合、学習者端末120および補助者端末150の一方、好ましくは学習者端末120をレビュー端末として使用して、学習結果Rのレビューが行われてもよい。この場合の学習者と補助者は、一つのレビュー端末120/150を視認および/または操作しながら、当該レビュー端末120/150を通じて提示される学習結果Rを一緒にレビューする。
【0039】
なお、学習者と補助者が同じ場所にいる場合であっても、学習者端末120および補助者端末150の両方をレビュー端末として使用して、学習結果Rのレビューが行われてもよい。この場合の学習者端末120および補助者端末150は、同じ内容(学習結果R等)を提示してもよいが、異なる内容を提示してもよい。例えば、学習者端末120は主に学習者向けの内容を提示し、補助者端末150は主に補助者向けの内容を提示してもよい。具体的には、補助者向けの内容として後述する正答導出方法Sその他の指導方法を補助者端末150のみが補助者に対して提示することで、補助者は当該正答導出方法Sその他の指導方法を参照しながら学習者を効果的に指導できる。
【0040】
学習者と補助者が異なる場所にいる場合、ネットワーク140を介して相互に接続された学習者端末120および補助者端末150の両方をレビュー端末として使用して、学習結果Rのレビューが行われる。この場合、学習者は学習者端末120を通じて提示される学習結果Rを確認し、補助者は補助者端末150を通じて提示される学習結果Rを確認しながら、当該共通の学習結果Rをオンラインでインタラクティブにレビューする。前述のように、学習者端末120および補助者端末150は、異なる内容を提示してもよい(例えば、正答導出方法Sその他の指導方法を補助者端末150のみが補助者に対して提示する)。
【0041】
学習結果提示部300は、レビュー端末120/150におけるディスプレイ224A、スピーカ226その他の提示手段または出力手段を通じて、学習結果Rを学習者および/または補助者に対して提示する。具体例については後述するが、ディスプレイ224Aは、学習結果Rを学習者および/または補助者に対して画面表示を通じて提示する。スピーカ226は、学習結果Rを学習者および/または補助者に対して音声出力を通じて提示する。
【0042】
学習結果提示部300がレビュー端末120/150に提供する学習結果Rは、学習者が学習者端末120を通じて行った学習履歴に基づく。具体的には、学習者の学習時に学習者端末120の各種の入力手段(タッチパネル224B、マイク225、カメラ227、センサ228等)が入力した各種のデータが学習結果Rを構成する。これらの各種の入力データ(学習履歴または学習結果R)は、サーバ110における学習履歴データベース214Bに記録される。学習結果提示部300は、学習結果Rのレビューの際に、学習履歴データベース214Bから学習結果Rを読み出して、レビュー端末120/150に提供する。
【0043】
具体例については後述するが、学習結果Rは、典型的には学習課題Q毎の学習者による学習の結果または成績である。学習課題Qは、問題、課題、クイズ等と表されてもよく、典型的には、学習者が学習者端末120の各種の入力手段(特に、タッチパネル224B、マイク225)を使用して入力した解答Aに対して、正誤や点数等の評価Eが与えられるものである。本実施形態における学習結果Rには、解答Aおよび評価Eに加えて、学習者が解答Aを導出する過程で、学習者端末120の各種の入力手段(タッチパネル224B、マイク225、カメラ227、センサ228等)が入力した過程情報Pも含まれる。
【0044】
なお、学習結果Rとメタデータの関係にある学習課題Qは、サーバ110における学習コンテンツデータベース214Aに格納されている。学習コンテンツデータベース214Aは、各学習課題Qの正答導出方法Sを併せて格納している。後述するように、正答導出方法Sは、例えば、レビュー端末120/150における学習結果Rのレビュー時に使用される。また、学習支援装置100が、学習課題Qに対する学習者の解答Aに点数等の評価Eを与える際に、当該解答Aや過程情報Pと正答導出方法Sの一致度を考慮してもよい(例えば、一致度が高いほど高い点数が評価Eとして与えられる)。
【0045】
続いて、本発明の実施形態に係る学習支援装置100を通じた学習結果Rのレビューの具体的な実施例について説明する。
図5は、本実施例における学習結果Rのデータ構造を模式的に示す。本データ構造を構成するデータは、サーバ110における学習コンテンツデータベース214Aおよび学習履歴データベース214Bの少なくともいずれかから得られる。具体的には、「学習単位」「教科」「学習トピック」「学習課題」の各データは主に学習コンテンツデータベース214Aから得られ、「解答」「評価」「過程情報」の各データは主に学習履歴データベース214Bから得られる。
【0046】
「学習単位」は、学習者が学習者端末120を通じて行う学習の単位である。一つの学習単位は、例えば、少なくとも一つの「教科」と、少なくとも一つの「学習トピック」と、少なくとも一つの「学習課題」によって構成される。図示の例における「学習単位」は、単位学習期間としての「日」である。例えば、学習単位および単位学習期間としての「Oct 27, 2022」(2022年10月27日)には、「Math (Grade 1)」(算数(1級))および「Word Study (Grade 3)」(国語(3級))を含む複数の教科が含まれている。この学習単位「Oct 27, 2022」は、2022年10月27日に学習者が行った学習の結果を含む。このように、「日」を学習単位および単位学習期間とするデータ構造によれば、学習者の各学習日の学習結果または達成度(Daily Achievement)を効果的に記録できる。
【0047】
なお、学習単位および単位学習期間は、「日」に限らない任意の学習期間でよく、例えば、「学期」「月」「週」「半日」「時間」「分」でもよい。また、学習単位は「日」等の学習期間に限らず、「単元」「教科」「学習トピック」「学習課題」等の、学習コンテンツデータベース214Aに格納されている学習コンテンツの構成要素に基づくものでもよい。
【0048】
前述のように、学習単位および単位学習期間としての「Oct 27, 2022」には、「Math (Grade 1)」および「Word Study (Grade 3)」を含む複数の教科が含まれている。換言すれば、学習者が学習者端末120を通じて当該複数の教科を2022年10月27日に学習したことが記録されている。
【0049】
各「教科」は、少なくとも一つの「学習トピック」を含んでもよい。図示の例では、教科「Math (Grade 1)」に一つの学習トピック「Use Regrouping to Add (Topic 6)」(足し算における組分け(トピック6))が含まれており、教科「Word Study (Grade 3)」に一つの学習トピック「Short Vowel Sounds & Long Vowel Sounds (Topic 1)」(短母音と長母音(トピック1))が含まれている。
【0050】
各「学習トピック」は、少なくとも一つの「学習課題」(
図4における学習課題Qに相当する)を含んでもよい。図示の例では、学習トピック「Use Regrouping to Add (Topic 6)」に10個の学習課題「Q1」~「Q10」が含まれている。
【0051】
「解答」(
図4における解答Aに相当する)は、各「学習課題」に対する学習者(学習者端末120)による解答である。図示の例では、学習課題「Q1」に対して、一回目の解答「A1」と、誤答後のやり直しに係る二回目の解答「A1’」が記録され、学習課題「Q10」に対して、解答「A10」が記録されている。
【0052】
「評価」(
図4における評価Eに相当する)は、「解答」に対して学習支援装置100が与える正誤や点数等の評価である。図示の例では、学習課題「Q1」への一回目の解答「A1」に対して誤答を表す評価「×」が与えられ、二回目の解答「A1’」に対して正答を表す評価「チェックマーク」が与えられ、学習課題「Q10」への解答「A10」に対して正答を表す評価「チェックマーク」が与えられている。
【0053】
「過程情報」(
図4における過程情報Pに相当する)は、「解答」を導出する過程で学習者が学習者端末120に入力した情報である。図示の例では、学習課題「Q1」への一回目の解答「A1」を導出する際の過程情報「P1」が記録され、二回目の解答「A1’」を導出する際の過程情報「P1’」が記録され、学習課題「Q10」への解答「A10」を導出する際の過程情報「P10」が記録されている。
【0054】
続いて、
図5に示される学習結果Rに基づく、レビュー端末120/150のディスプレイ224Aにおける具体的な画面表示例について説明する。なお、以下の画面表示例は、レビュー端末120/150が比較的大画面のタブレット状の学習者端末120である場合を主に想定している。一方、レビュー端末120/150が比較的小画面のスマートフォン状の補助者端末150である場合、以下の画面表示例における各要素(特に、学習結果Rのレビューにおいて必須ではない要素)は簡略化されてもよいし省略されてもよい。換言すれば、学習者端末120がレビュー端末120/150として使用される場合の画面においては、学習結果Rのレビューにおいて役に立ちうる詳細な情報が、視認性や操作性を阻害しない範囲で可能な限り多く表示されるのが好ましい。一方、補助者端末150がレビュー端末120/150として使用される場合の画面では、学習結果Rのレビューにおいて本質的な要素が迅速かつ的確に把握されるように表示が簡素化されるのが好ましい。
【0055】
図6は、学習者の各学習日の学習結果または達成度(Daily Achievement)の一覧画面である。
図5に示される学習単位としての学習日毎の学習結果R、R1、R2、R3、R4、R5、R6が並んで一覧表示されている。このように、
図4における学習結果提示部300は、所定の学習単位毎または単位学習期間毎に学習結果R、R1、R2、R3、R4、R5、R6を提示する。
【0056】
各日の学習結果には、成績等に応じて学習者が獲得したスター等のリワード(ご褒美)数401、学習トピック等のクリア数402、学習時間403等がサマリ表示されている。達成フラグ404は、学習者が各学習日に学習すべき項目を全て学習し終えたこと(すなわち、その日の学習目標を達成したこと)を表す。詳細表示ボタン405をディスプレイ224A上で押下すると、その学習日に学習された教科や学習トピック等の詳細情報が表示または展開される。
図6では、「Oct 24, 2022」(2022年10月24日)の詳細表示ボタン405が押下されており、その学習結果R1の詳細情報が表示されている。
【0057】
図7は、
図5に示される「Oct 27, 2022」(2022年10月27日)の詳細表示ボタン405が押下された場合に表示される、その学習結果Rの詳細情報を示す。
図5に示されるデータ構造に従って、「Math (Grade 1)」および「Word Study (Grade 3)」を含む複数の教科の詳細情報が並んで表示されている。各教科情報表示領域406には、少なくとも一つの学習トピック407が表示されている。例えば、「Math (Grade 1)」の教科情報表示領域406には、
図5に示されるデータ構造に従って、「Use Regrouping to Add (Topic 6)」が学習トピック407として表示されている。
【0058】
図示の例のように、各学習トピック407は、学習(Learn)ステップ408や練習(Practice)ステップ409等の複数のステップまたはフェーズによって構成されていてもよい。この場合、学習者が各ステップを完了するたびに、前述のクリア数402が1ずつ加算される。すなわち、図示の例のように各学習トピック407が二つのステップ408、409によって構成されている場合、学習者が当該各学習トピック407の二つのステップ408、409を完了するとクリア数402には2が加算される。
【0059】
各ステップ408、409の表示領域には、当該各ステップ408、409の成績等に応じて学習者が獲得したリワード数410および学習時間411がサマリ表示されている。全学習トピック407の全ステップ408、409のリワード数410の和は、当該学習日のリワード数401に等しく、全学習トピック407の全ステップ408、409の学習時間411の和は、当該学習日の学習時間403に等しい。
【0060】
また、各ステップ408、409の表示領域には、当該各ステップ408、409の達成度412が表示されている。学習ステップ408における達成度412は、例えば、学習者端末120(ディスプレイ224A)に表示される教材を学習者が読むタイプの学習コンテンツにおいては読み終えた教材の割合としてもよく、学習者端末120で再生される講義映像を学習者が視聴するタイプの学習コンテンツにおいては視聴し終えた講義映像の割合としてもよい。また、練習ステップ409における達成度412は、後述するように、当該練習ステップ409において学習者が解いた一または複数の学習課題Qの正答率や総合点数としてもよい。結果表示ボタン413をディスプレイ224A上で押下すると、達成度412の基となった学習結果Rの一覧画面(
図8)に遷移する。
【0061】
図8は、学習トピック407「Use Regrouping to Add (Topic 6)」の練習ステップ409の結果一覧画面である。結果一覧414は、
図5に示されるデータ構造に従って、当該練習ステップ409において学習者が解いた10個の学習課題「Q1」~「Q10」に対する正誤や点数等を一覧表示している。10個の学習課題「Q1」~「Q10」に対する正誤が一覧表示されている図示の例では、その正答率「90%」が達成度412として表示されている。
【0062】
なお、
図5に関して前述したように、学習課題「Q1」に対しては、一回目の解答が誤答「×」であったものの、二回目の解答が正答「チェックマーク」であったため、最終的には正答として「90%」の正答率に換算されている。但し、学習結果Rのレビューを効果的に行う等の観点から、結果一覧414においては、一回目の解答に対する評価(誤答)から二回目の解答に対する評価(正答)への変化「×→チェックマーク」が表示されている。
【0063】
詳細結果表示ボタン415をディスプレイ224A上で押下すると、結果一覧414における各学習課題「Q1」~「Q10」に関する詳細な学習結果Rの表示画面(
図9~
図12)に遷移する。
【0064】
図9は、学習課題「Q1」「Q2」に関する詳細な学習結果Rの表示画面である。学習課題「Q1」は、足し算「59+8」を解くものであり正答は「67」である。学習者は学習者端末120(特に、タッチパネル224B)を通じて「67」との正答「A1 (A1’)」を入力しているため、正答であるとの評価「チェックマーク」が評価「E1 (E1’)」として学習支援装置100によって与えられている。このように、
図4における学習結果提示部300は、Q1等の学習課題に対する学習者によるA1等の解答と、当該解答に対するE1等の評価を同じ画面(ディスプレイ224A)に表示する。
【0065】
また、学習結果提示部300は、Q1等の学習課題に対する学習者によるA1等の解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末120に入力したP1等の過程情報を同じ画面(ディスプレイ224A)に表示する。図示の例における過程情報「P1 (P1’)」は、「67」との解答「A1 (A1’)」を導出する過程で学習者がタッチスクリーン224(タッチパネル224B)上で手書き入力した情報である。具体的には、「67」との解答を導出する計算過程が手書き情報「P1 (P1’)」として、学習課題「Q1」、解答「A1 (A1’)」、評価「E1 (E1’)」と同じ画面に表示される。
【0066】
例えば、学習者の保護者等の補助者は、レビュー端末120/150(ディスプレイ224A)に表示された手書き情報「P1 (P1’)」を参照することで、解答「A1 (A1’)」の単純な正誤だけでなく計算過程の適否も把握できるため、学習者の理解度等に応じた適切な助言や指導を行える。補助者は、本学習結果Rのレビューの際に、レビュー端末120/150(タッチパネル224B)にアドバイス「T1」を記入して、学習者に適切な計算過程や思考過程を教示してもよい。例えば、補助者がレビュー端末としての補助者端末150(タッチパネル224B)にアドバイス「T1」を記入すると、同じくレビュー端末としての学習者端末120(ディスプレイ224A)に当該アドバイス「T1」が表示される。
【0067】
なお、
図5や
図8に関して前述したように、学習課題「Q1」に対しては、一回目の解答が誤答「×」(「67」と異なる解答)であったものの(図示省略)、二回目の解答が正答「チェックマーク」であったため、一回目の解答に対する評価(誤答)から二回目の解答に対する評価(正答)への変化「×→チェックマーク」が評価「E1 (E1’)」として表示されている。このように、
図4における学習結果提示部300は、学習課題(Q1等)に対する学習者による二回目以降の解答(A1’等)に対しては、前回の評価からの変化(E1→E1’)を、学習課題(Q1等)、解答(A1 (A1’)等)、過程情報(P1 (P1’))と同じ画面に表示する。
【0068】
学習課題「Q2」は、足し算「76+6」を解くものであり正答は「82」である。学習者は学習者端末120(特に、タッチパネル224B)を通じて「82」との正答「A2」を入力しているため、正答であるとの評価「チェックマーク」が評価「E2」として学習支援装置100によって与えられている。また、
図4における学習結果提示部300は、Q2等の学習課題に対する学習者によるA2等の解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末120に入力したP2等の過程情報を同じ画面(ディスプレイ224A)に表示する。図示の例における過程情報「P2」は、「82」との解答「A2」を導出する過程で学習者がタッチスクリーン224(タッチパネル224B)上で手書き入力した情報である。具体的には、「82」との解答を導出する計算過程が手書き情報「P2」として、学習課題「Q2」、解答「A2」、評価「E2」と同じ画面に表示される。
【0069】
図10は、学習課題「Q3」に関する詳細な学習結果Rの表示画面である。学習課題「Q3」は、足し算「17+4」を解くものであり正答は「21」である。学習者は学習者端末120(特に、タッチパネル224B)を通じて「22」との誤答「A3」を入力しているため、誤答であるとの評価「×」が評価「E3」として学習支援装置100によって与えられている。このように、
図4における学習結果提示部300は、Q3等の学習課題に対する学習者によるA3等の解答と、当該解答に対するE3等の評価を同じ画面(ディスプレイ224A)に表示する。
【0070】
また、学習結果提示部300は、Q3等の学習課題に対する学習者によるA3等の解答と、当該解答を導出する過程で学習者が学習者端末120に入力したP3等の過程情報を同じ画面(ディスプレイ224A)に表示する。図示の例における過程情報「P3」は、「22」との解答「A3」を導出する過程で学習者がタッチスクリーン224(タッチパネル224B)上で手書き入力した情報である。具体的には、「22」との解答を導出する計算過程が手書き情報「P3」として、学習課題「Q3」、解答「A3」、評価「E3」と同じ画面に表示される。
【0071】
例えば、学習者の保護者等の補助者は、レビュー端末120/150(ディスプレイ224A)に表示された手書き情報「P3」を参照することで、解答「A3」の単純な正誤だけでなく計算過程の適否も把握できるため、学習者の理解度等に応じた適切な助言や指導を行える。補助者は、本学習結果Rのレビューの際に、レビュー端末120/150(タッチパネル224B)にアドバイス「T3」を記入して、学習者に適切な計算過程や思考過程を教示してもよい。例えば、補助者がレビュー端末としての補助者端末150(タッチパネル224B)にアドバイス「T3」を記入すると、同じくレビュー端末としての学習者端末120(ディスプレイ224A)に当該アドバイス「T3」が表示される。
【0072】
図10の例のように、A3等の解答に誤りが含まれる場合、
図4における学習結果提示部300は、正しい解答の導出方法(
図4における正答導出方法Sに相当する)をレビュー端末120/150のディスプレイ224A上に表示してもよい。具体的には、レビュー端末120/150のうち、少なくとも補助者端末150のディスプレイ224A上に表示されている正答導出方法表示ボタン416をディスプレイ224A上で押下すると、対応する学習課題「Q3」の正答導出方法「S3」がディスプレイ224A上に表示される。
【0073】
図11および
図12は、正答導出方法表示ボタン416を押下することでディスプレイ224A上に表示される正答導出方法「S3」を示す。図示の例では、ディスプレイ224Aの下部に学習課題「Q3」、解答「A3」、評価「E3」、過程情報「P3」等が表示された状態で、ディスプレイ224Aの上部に正答導出方法「S3」が同じ画面に表示される。正答導出方法「S3」の表示領域はスクロール操作が可能であり、
図11に示されるような解説情報および
図12に示されるような正答情報を補助者および/または学習者がレビュー端末120/150上で確認できる。例えば、正答導出方法「S3」における解説情報(
図11)は過程情報「P3」に対応し、正答導出方法「S3」における正答情報(
図12)は解答「A3」に対応するため、それぞれを一つの画面上で対比しながら乖離をなくすように補助者は学習者に対して適切な助言や指導を行える。
【0074】
また、正答導出方法「S3」の表示領域に表示されている音声再生ボタン417をディスプレイ224A上で押下すると、レビュー端末120/150のスピーカ226が正答導出方法「S3」を読み上げる音声を再生してもよい。なお、学習者端末120および補助者端末150の両方がレビュー端末として使用される場合、S3等の正答導出方法および/または正答導出方法表示ボタン416は、補助者端末150のみに表示されるようにしてもよい。補助者は、S3等の正答導出方法を補助者端末150(ディスプレイ224A)上で参照しながら、学習者(学習者端末120)に対して適切な助言や指導を行える。
【0075】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。例示としての実施形態における各構成要素や各処理の組合せには様々な変形例が可能であり、そのような変形例が本発明の範囲に含まれることは当業者にとって自明である。
【0076】
図9~
図12の実施例では、過程情報P(
図4)として、解答Aを導出する過程で学習者がタッチパネル224Bに手書き入力した情報を例示したが、学習者端末120のタッチパネル224B以外の任意の入力手段(マイク225、カメラ227、センサ228等)が入力した任意の情報が過程情報Pとして利用されてもよい。これらの過程情報Pは、必ずしも解答Aと直接的に関係しなくてもよい。例えば、マイク225、カメラ227、センサ228等によって、学習者が学習課題Qに取り組む際の様子を過程情報Pとして記録できる。仮に特段の手書き情報が過程情報Pとして記録されていなかった学習課題Qであっても、マイク225、カメラ227、センサ228等によって取得された過程情報Pによって学習者が悩んでいることが認識された場合、学習者の保護者等の補助者は当該学習課題Qについて手厚く指導を行える。
【0077】
図9~
図12の実施例では、過程情報Pが主に手書き情報として残される算数の学習課題Qを例示したが、過程情報Pが主に手書き情報以外の情報、例えば、マイク225によって取得される音声情報や、カメラ227によって取得されるジェスチャー情報として残される学習課題Qにも本発明は適用できる。例えば、文字や文章を読み上げる学習課題Qにおいては、解答Aを導出する過程で学習者が学習者端末120(マイク225)に音声入力した情報が過程情報Pとして利用されうる。また、ディスプレイ224A上で一または複数の物の並び替え、移動、変形、組合せ等を行う学習課題Qにおいては、解答Aを導出する過程で学習者が当該一または複数の物に対して学習者端末120(タッチパネル224B)上で行った操作情報が過程情報Pとして利用されうる。
【0078】
図9~
図12の実施例では、練習ステップ409における過程情報Pを例示したが、学習ステップ408においても同様の過程情報Pを利用できる。例えば、学習ステップ408において、学習者端末120に表示される教材を読む際や、学習者端末120で再生される講義映像を視聴する際に、学習者が学習者端末120(タッチパネル224B)を通じて記入したメモやノート等の手書き情報等が過程情報Pとして記録されて、学習結果Rのレビューの際に参照されてもよい。
【0079】
図9~
図12の実施例では、過程情報Pが人(学習者および/または補助者)による学習結果Rのレビューに使用されたが、過程情報Pはサーバ110等に実装されうる人工知能に提供されてもよい。例えば機械学習機能を備える人工知能は、各学習課題Qに対する解答Aや評価Eと併せて過程情報Pを参照することによって、学習者の理解度や弱点(課題)を精緻に把握できる。このような知見は、学習者毎に学習コンテンツをカスタマイズまたはパーソナライズする上で極めて重要である。
【0080】
なお、実施形態で説明した各装置や各方法の構成、作用、機能は、ハードウェア資源またはソフトウェア資源によって、あるいは、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働によって実現できる。ハードウェア資源としては、例えば、プロセッサ、ROM、RAM、各種の集積回路を利用できる。ソフトウェア資源としては、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0081】
100 学習支援装置、110 サーバ、120 学習者端末、130 タッチペン、140 ネットワーク、150 補助者端末、214A 学習コンテンツデータベース、214B 学習履歴データベース、214C 加入者データベース、224 タッチスクリーン、224A ディスプレイ、224B タッチパネル、225 マイク、226 スピーカ、227 カメラ、228 センサ、300 学習結果提示部。