特開 2024-102960 電池セル

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024102960

(43)【公開日】2024-08-01

(54)【発明の名称】電池セル

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/105 20210101AFI20240725BHJP

   H01M 50/103 20210101ALI20240725BHJP

   H01M 50/15 20210101ALI20240725BHJP

   H01M 50/169 20210101ALI20240725BHJP

   H01M 50/166 20210101ALI20240725BHJP

【ＦＩ】

H01M50/105

H01M50/103

H01M50/15

H01M50/169

H01M50/166

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023007060

(22)【出願日】2023-01-20

(71)【出願人】

【識別番号】507357232

【氏名又は名称】株式会社ＡＥＳＣジャパン

(74)【代理人】

【識別番号】100110928

【弁理士】

【氏名又は名称】速水 進治

(74)【代理人】

【識別番号】100127236

【弁理士】

【氏名又は名称】天城 聡

(72)【発明者】

【氏名】中井 昌之

【テーマコード（参考）】

5H011

【Ｆターム（参考）】

5H011BB03

5H011CC02

5H011DD06

5H011DD13

(57)【要約】

【課題】電池セルの封止性を向上させる。
【解決手段】電池セル１０は、電池要素１００と、電池要素１００の端部を覆う前方蓋材２１０と、電池要素１００及び前方蓋材２１０に巻き付けられた巻付部分３０２と、巻付部分３０２における前方蓋材２１０の所定部位に位置する部分方引き出された引出部分３０４と、を有する外装フィルム３００と、を備えている。前方蓋材２１０の当該所定部位は、巻付部分３０２から引出部分３０４にかけて先鋭化されている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた巻付部分と、前記巻付部分における前記蓋材の所定部位に位置する部分から引き出された引出部分と、を有する外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材の前記所定部位が、前記巻付部分から前記引出部分にかけて先鋭化されている、電池セル。

【請求項2】

前記蓋材が、前記所定部位の形状を画定する凹部を画定している、請求項１に記載の電池セル。

【請求項3】

前記蓋材の前記所定部位が、前記蓋材の角部に位置している、請求項１又は２に記載の電池セル。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電池セルに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば、特許文献１及び２に記載されている電池セルは、電池要素、２つの蓋材及び外装フィルムを備えている。２つの蓋材は、電池要素の長手方向の両端部を覆っている。外装フィルムは、電池要素の長手方向の周りに巻き付けられている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１１－１０８６２３号公報

【特許文献2】特開２０２２－０４０１１７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

例えば、特許文献１又は２に記載の電池セルでは、電池要素に巻き付けられた外装フィルムの余長部分が蓋材の角部等の所定部位から引出部分として引き出されることがある。引出部分では、外装フィルムにおける蓋材の所定部位から引き出された２枚のフィルム部分が互いに接合されて封止部が形成されている。引出部分の基端部では、外装フィルムの２枚のフィルム部分と、蓋材の所定部位と、が互いに接触することがある。しかしながら、外装フィルムの引出部分が蓋材の所定部位から単に引き出されている場合、引出部分の基端部で外装フィルムの２枚のフィルム部分と蓋材の所定部位との間に隙間が生じやすくなることがある。よって、電池セルの封止性を向上させることが比較的難しくなることがある。

【0005】

本発明の目的の一例は、電池セルの封止性を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様は、以下のとおりである。
［１］
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素及び前記蓋材に巻き付けられた巻付部分と、前記巻付部分における前記蓋材の所定部位に位置する部分から引き出された引出部分と、を有する外装フィルムと、
を備え、
前記蓋材の前記所定部位が、前記巻付部分から前記引出部分にかけて先鋭化されている、電池セル。
［２］
前記蓋材が、前記所定部位の形状を画定する凹部を画定している、［１］に記載の電池セル。
［３］
前記蓋材の前記所定部位が、前記蓋材の角部に位置している、［１］又は［２］に記載の電池セル。

【発明の効果】

【0007】

本発明の上記態様によれば、電池セルの封止性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】実施形態に係る電池セルの右側面図である。

【図2】図１のＡ－Ａ断面模式図である。

【図3】変形例１に係る電池セルの断面模式図である。

【図4】変形例２に係る電池セルの断面模式図である。

【図5】変形例３に係る電池セルの断面模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。

【0010】

図１は、実施形態に係る電池セル１０の右側面図である。図２は、図１のＡ－Ａ断面模式図である。図１では、説明のため、外装フィルム３００を透過させた状態で図示している。

【0011】

各図には、説明のため、Ｘ方向、Ｙ方向及びＺ方向が付されている。Ｘ方向は、電池セル１０の前後方向を示している。Ｙ方向は、Ｘ方向に直交している。Ｙ方向は、電池セル１０の左右方向を示している。Ｚ方向は、Ｘ方向及びＹ方向の双方に直交している。Ｚ方向は、電池セル１０の上下方向を示している。Ｘ方向を示す矢印によって指し示される方向、Ｙ方向を示す矢印によって指し示される方向及びＺ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル１０のＸ方向、Ｙ方向、Ｚ方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。

【0012】

なお、Ｘ方向、Ｙ方向又はＺ方向を示すＸ付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。

【0013】

電池セル１０は、電池要素１００、正極タブ１１０、負極タブ１２０、前方蓋材２１０、後方蓋材２２０及び外装フィルム３００を備えている。図２に示すように、外装フィルム３００は、巻付部分３０２及び引出部分３０４を有している。

【0014】

電池要素１００は、略直方体形状となっている。電池要素１００の長手方向は、Ｘ方向に略平行となっている。電池要素１００のＸ方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、３００ｍｍ以上５００ｍｍ以下、好ましくは４５０ｍｍ以下である。電池要素１００の短手方向は、Ｚ方向に略平行となっている。電池要素１００のＺ方向の幅は、以下に限定されないが、例えば、９０ｍｍ以上１３０ｍｍ以下、好ましくは１２０ｍｍ以下である。電池要素１００の厚み方向は、Ｙ方向に略平行となっている。電池要素１００のＹ方向の厚さは、以下に限定されないが、例えば、２０ｍｍ以上５０ｍｍ以下、好ましくは４５ｍｍ以下である。ただし、電池要素１００の形状は、この例に限定されない。

【0015】

電池要素１００は、不図示の少なくとも１つの正極、不図示の少なくとも１つの負極及び不図示の少なくとも１つのセパレータを有している。例えば、複数の正極及び複数の負極がＹ方向に交互に積層されている。セパレータの少なくとも一部分は、Ｙ方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。例えば、複数枚のシート状のセパレータの各々がＹ方向に隣り合う正極及び負極の間に位置していてもよい。或いは、１枚のシート状のセパレータがＹ方向に隣り合う正極及び負極の間の領域を通過するつづら折り形状になっていてもよい。或いは、正極、負極及びセパレータは、セパレータが正極及び負極の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極及び負極の一方の両面がセパレータによって覆われた状態で正極、負極及びセパレータは巻回されている。他の例において、正極、セパレータ及び負極をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極、負極及びセパレータの巻回構造は、これらの例に限定されない。

【0016】

実施形態において、電池セル１０は、電解液を含む電池セルである。しかしながら、電池セル１０は、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、電池セル１０は電解液を含む電池セルであるとして説明する。

【0017】

正極タブ１１０は、電池要素１００の前方に配置されている。正極タブ１１０の後端部は、正極集電体１０２ａに電気的に接続されている。正極集電体１０２ａは、電池要素１００の正極から前方に向けて引き出されている。よって、正極タブ１１０は、電池要素１００の正極に電気的に接続されている。

【0018】

負極タブ１２０は、電池要素１００の後方に配置されている。負極タブ１２０の前端部は、負極集電体１０４ａに電気的に接続されている。負極集電体１０４ａは、電池要素１００の負極から後方に向けて引き出されている。よって、負極タブ１２０は、電池要素１００の負極に電気的に接続されている。

【0019】

前方蓋材２１０は、電池要素１００の前端部を覆っている。前方蓋材２１０は、例えば、樹脂、金属等からなっている。前方蓋材２１０の前面からは、正極タブ１１０の前端部が突出している。図２には、説明のため、前方蓋材２１０の上面と略面一な第１仮想面Ｓ１と、前方蓋材２１０の右側面と略面一な第２仮想面Ｓ２と、が破線によって図示されている。

【0020】

後方蓋材２２０は、電池要素１００の後端部を覆っている。後方蓋材２２０は、例えば、樹脂、金属等からなっている。後方蓋材２２０の後面からは、負極タブ１２０の後端部が突出している。

【0021】

図２に示すように、前方から見て、前方蓋材２１０は、先鋭部２１２を除いて、略長方形形状となっている。前方から見て、前方蓋材２１０の長手方向はＺ方向に略平行となっており、前方蓋材２１０の短手方向はＹ方向に略平行となっている。図２に示すように、前方から見て、先鋭部２１２は、前方蓋材２１０の右上側の角部に位置している。先鋭部２１２からは、引出部分３０４が引き出されている。すなわち、前方から見て、先鋭部２１２は、前方蓋材２１０における引出部分３０４が引き出される角部に位置している。

【0022】

図２に示すように、前方から見て、先鋭部２１２は、前方蓋材２１０の右上側に向かうにつれて先鋭化されている。具体的には、前方蓋材２１０の上面の右端部は、第１凹部２１４を画定している。前方から見て、第１凹部２１４は、略半円形状となっている。前方蓋材２１０の右側面の上端部は、第２凹部２１６を画定している。前方から見て、第２凹部２１６は、略半円形状となっている。先鋭部２１２は、第１凹部２１４及び第２凹部２１６の間に位置している。よって、先鋭部２１２の形状は、第１凹部２１４及び第２凹部２１６によって画定されている。

【0023】

後方から見て、後方蓋材２２０の形状は、前方蓋材２１０について説明した形状と同様にすることができる。すなわち、後方蓋材２２０における引出部分３０４が引き出される角部には、先鋭部２１２と同様の先鋭部を位置させることができる。

【0024】

巻付部分３０２は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。巻付部分３０２は、電池要素１００、前方蓋材２１０及び後方蓋材２２０のＸ方向の周りに１周巻き付けられている。よって、前方蓋材２１０、後方蓋材２２０及び巻付部分３０２は、電池要素１００を収容する収容空間５００を形成している。収容空間５００には、電池要素１００とともに、不図示の電解液が収容されている。

【0025】

巻付部分３０２の前方の開口の内部には、前方蓋材２１０が配置されている。先鋭部２１２を含めて前方蓋材２１０のＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２の前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、電池要素１００の前方に前方封止部５１０が形成されている。

【0026】

巻付部分３０２の後方の開口の内部には、後方蓋材２２０が配置されている。上述の先鋭部を含めて後方蓋材２２０のＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２の後方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、電池要素１００の後方に後方封止部５２０が形成されている。

【0027】

図２に示すように、前方から見て、引出部分３０４は、巻付部分３０２における先鋭部２１２に位置する部分から引き出されている。具体的には、前方から見て、引出部分３０４は、外装フィルム３００の余長部分として先鋭部２１２の右上側の先端から引き出されている。引出部分３０４では、外装フィルム３００における先鋭部２１２から引き出された２枚のフィルム部分が互いに接合されて封止部が形成されている。図２に示す例では、前方から見て、引出部分３０４は、前方蓋材２１０の上面に沿って左方に向けて折り曲げられている。

【0028】

実施形態では、図２に示すように、先鋭部２１２は、巻付部分３０２から引出部分３０４にかけて先鋭化されている。よって、前方から見て、先鋭部２１２が直角形状又は鈍角形状である場合と比較して、先鋭部２１２の右上側の先端及びその周辺と、外装フィルム３００の内周面と、の間に隙間が生じにくくすることができる。したがって、前方から見て、先鋭部２１２が直角形状又は鈍角形状である場合と比較して、電池セル１０の封止性を向上させることができる。

【0029】

実施形態において、先鋭部２１２は、第１凹部２１４及び第２凹部２１６の双方によって画定されている。よって、前方から見て、先鋭部２１２の右上側の先端を、第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２の交差部に位置させることができる。したがって、前方から見て先鋭部２１２の右上側の先端が第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２によって画定される角部の外側に位置する場合と比較して、外装フィルム３００を電池要素１００及び前方蓋材２１０のＸ方向の周りに巻き付けた状態で前方蓋材２１０のＸ方向の周りの外形が電池要素１００のＸ方向の周りの外形より外側に現れにくくすることができる。よって、上述した場合と比較して、Ｙ方向に複数の電池セル１０を積層しやすくすることができる。加えて、上述した場合と比較して、前方蓋材２１０のＸ方向に垂直な面積を小さくすることができ、前方蓋材２１０を経由しての水分、ガス等の異物の透過を抑制することができる。なお、先鋭部２１２は、第１凹部２１４及び第２凹部２１６の一方のみによって画定されていてもよい。この場合においても、前方から見て先鋭部２１２の右上側の先端が第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２によって画定される角部の外側に位置する場合と比較して、前方蓋材２１０のＸ方向の周りの外形が電池要素１００のＸ方向の周りの外形より外側に現れにくくすることができ、前方蓋材２１０を経由しての異物の透過を抑制することができる。

【0030】

図２に示す例では、前方から見て、先鋭部２１２の左上側の外縁及び先鋭部２１２の右下側の外縁は、それぞれ、第１凹部２１４及び第２凹部２１６に沿って湾曲している。よって、前方から見て先鋭部２１２のこれらの外縁が略直線形状である場合と比較して、先鋭部２１２の外縁及び外装フィルム３００を互いにより強い力で接触させやすくすることができる。ただし、前方から見て、先鋭部２１２のこれらの外縁は、略直線形状であってもよい。

【0031】

次に、実施形態に係る電池セル１０の製造方法の一例について説明する。この例において、電池セル１０は、以下のようにして製造されている。

【0032】

まず、電池要素１００を製造する。電池要素１００は、少なくとも１つの正極、少なくとも１つの負極及び少なくとも１つのセパレータを有している。

【0033】

次いで、正極タブ１１０と、前方蓋材２１０と、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ１２０と、後方蓋材２２０と、を互いに接合させる。次いで、正極タブ１１０と、正極集電体１０２ａと、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ１２０と、負極集電体１０４ａと、を互いに接合させる。ただし、正極タブ１１０と正極集電体１０２ａとを互いに接合させた後、正極タブ１１０と前方蓋材２１０とを互いに接合させてもよい。同様にして、負極タブ１２０と負極集電体１０４ａとを互いに接合させた後、負極タブ１２０と後方蓋材２２０とを互いに接合させてもよい。

【0034】

次いで、外装フィルム３００を電池要素１００のＸ方向の周りに１周巻き付ける。よって、巻付部分３０２が形成される。また、外装フィルム３００の余長部分が引出部分３０４として引き出される。

【0035】

次いで、先鋭部２１２を含めて前方蓋材２１０のＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２の前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、前方封止部５１０が形成される。この場合、引出部分３０４でも、外装フィルム３００における先鋭部２１２から引き出された２枚のフィルム部分が互いに接合されて封止部が形成されている。実施形態では、引出部分３０４が先鋭部２１２に沿って引き出されている。よって、前方から見て先鋭部２１２が直角形状又は鈍角形状である場合と比較して、先鋭部２１２の周辺において前方蓋材２１０の外周面と、巻付部分３０２の内周面と、をより強固に接合することができる。

【0036】

次いで、上述の先鋭部を含めて後方蓋材２２０のＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２の後方の開口のＸ方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、後方封止部５２０が形成される。

【0037】

次いで、収容空間５００に電解液を注入する。例えば、前方蓋材２１０及び後方蓋材２２０の少なくとも一方に設けられた注液孔を介して電解液が注入される。次いで、収容空間５００を真空封止する。例えば、当該注液孔を介して収容空間５００が真空引きされる。この例では、収容空間５００が真空封止された後、当該注液孔が所定の蓋材によって塞がれる。

【0038】

このようにして、電池セル１０が製造される。

【0039】

図３は、変形例１に係る電池セル１０Ａの断面模式図である。変形例１の図３に示す断面は、実施形態の図２に示す断面に相当している。変形例１に係る電池セル１０Ａは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル１０と同様である。

【0040】

前方から見て、変形例１に係る前方蓋材２１０Ａの先鋭部２１２Ａの右上側の先端は、第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２によって画定される角部より外側に位置している。実施形態と同様にして、外装フィルム３００Ａは、巻付部分３０２Ａ及び引出部分３０４Ａを有している。先鋭部２１２Ａを含めて前方蓋材２１０ＡのＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２Ａの前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方封止部５１０Ａが形成されている。変形例１においても、実施形態と同様にして、先鋭部２１２Ａが直角形状又は鈍角形状である場合と比較して、電池セル１０Ａの封止性を向上させることができる。

【0041】

図４は、変形例２に係る電池セル１０Ｂの断面模式図である。変形例２の図４に示す断面は、実施形態の図２に示す断面に相当している。変形例２に係る電池セル１０Ｂは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル１０と同様である。

【0042】

前方から見て、変形例２に係る前方蓋材２１０Ｂの先鋭部２１２Ｂの右上側の先端は、第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２によって画定される角部より内側に位置している。実施形態と同様にして、外装フィルム３００Ｂは、巻付部分３０２Ｂ及び引出部分３０４Ｂを有している。先鋭部２１２Ｂを含めて前方蓋材２１０ＢのＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２Ｂの前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方封止部５１０Ｂが形成されている。変形例２においても、実施形態と同様にして、先鋭部２１２Ｂが単なる直角形状又は鈍角形状である場合と比較して、電池セル１０Ｂの封止性を向上させることができる。加えて、前方から見て先鋭部２１２Ｂの右上側の先端が第１仮想面Ｓ１及び第２仮想面Ｓ２によって画定される角部の外側に位置する場合と比較して、前方蓋材２１０ＢのＸ方向の周りの外形が電池要素のＸ方向の周りの外形より外側に現れにくくすることができ、前方蓋材２１０Ｂを経由しての異物の透過を抑制することができる。

【0043】

図５は、変形例３に係る電池セル１０Ｃの断面模式図である。変形例３の図５に示す断面は、実施形態の図２に示す断面に相当している。変形例３に係る電池セル１０Ｃは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル１０と同様である。図５には、説明のため、前方蓋材２１０Ｃの右側面と略面一な第３仮想面Ｓ３が破線によって図示されている。

【0044】

図５に示すように、前方蓋材２１０Ｃの先鋭部２１２Ｃは、前方蓋材２１０Ｃの側面に設けられていてもよい。図５に示す例において、先鋭部２１２Ｃは、前方蓋材２１０Ｃの右側面に設けられている。しかしながら、先鋭部２１２Ｃは、前方蓋材２１０Ｃの上側面、下側面、左側面等、右側面と異なる側面に設けられていてもよい。図５に示す例では、前方蓋材２１０Ｃの右側面に設けられた第１凹部２１４Ｃ及び第２凹部２１６Ｃによって先鋭部２１２Ｃが画定されている。第１凹部２１４Ｃ及び第２凹部２１６Ｃは、第３仮想面Ｓ３より左方に向けて凹んでいる。

【0045】

実施形態と同様にして、外装フィルム３００Ｃは、巻付部分３０２Ｃ及び引出部分３０４Ｃを有している。先鋭部２１２Ｃを含めて前方蓋材２１０ＣのＸ方向の周りの外周面と、巻付部分３０２Ｃの前方の開口のＸ方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方封止部５１０Ｃが形成されている。変形例３においても、前方蓋材２１０Ｃの右側面が第１凹部２１４Ｃ及び第２凹部２１６Ｃを画定せずに単に平坦である場合と比較して、電池セル１０Ｃの封止性を向上させることができる。加えて、前方から見て先鋭部２１２Ｃの右側の先端が第３仮想面Ｓ３より外側に位置する場合と比較して、前方蓋材２１０ＣのＸ方向の周りの外形が電池要素のＸ方向の周りの外形より外側に現れにくくすることができ、前方蓋材２１０Ｃを経由しての異物の透過を抑制することができる。

【0046】

以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

【0047】

例えば、実施形態では、正極タブ１１０及び負極タブ１２０が電池要素１００のＸ方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極タブ１１０及び負極タブ１２０の双方が電池要素１００のＸ方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素１００の前端部及び後端部は、例えば、２つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素１００の正極タブ１１０及び負極タブ１２０が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素１００の蓋材の反対側において、外装フィルム３００が封止されて電池要素１００に沿って折りたたまれていてもよい。

【符号の説明】

【0048】

１０，１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ 電池セル
１００ 電池要素
１０２ａ 正極集電体
１０４ａ 負極集電体
１１０ 正極タブ
１２０ 負極タブ
２１０，２１０Ａ，２１０Ｂ，２１０Ｃ 前方蓋材
２１２，２１２Ａ，２１２Ｂ，２１２Ｃ 先鋭部
２１４，２１４Ｃ 第１凹部
２１６，２１６Ｃ 第２凹部
２２０ 後方蓋材
３００，３００Ａ，３００Ｂ，３００Ｃ 外装フィルム
３０２，３０２Ａ，３０２Ｂ，３０２Ｃ 巻付部分
３０４，３０４Ａ，３０４Ｂ，３０４Ｃ 引出部分
５００ 収容空間
５１０，５１０Ａ，５１０Ｂ，５１０Ｃ 前方封止部
５２０ 後方封止部
Ｓ１ 第１仮想面
Ｓ２ 第２仮想面
Ｓ３ 第３仮想面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】