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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024102996
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20240725BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240725BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H01L31/10 A
B24B27/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007107
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健人
【テーマコード(参考)】
3C158
5F063
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
3C158AA03
3C158AB04
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA17
5F063AA16
5F063AA36
5F063BA07
5F063BA15
5F063BA34
5F063BA43
5F063BA44
5F063BB01
5F063CA01
5F063CA04
5F063DD69
5F063DF06
5F063DF21
5F063DG23
5F063EE22
5F063EE43
5F063EE44
5F063FF34
5F063FF38
5F149AA04
5F149AB07
5F149BA01
5F149BA28
5F149CB04
5F149CB07
5F149CB14
5F149CB17
5F149CB20
5F149DA02
5F149GA06
5F149GA11
5F149JA12
5F149XB37
5F149XB51
5F849AA04
5F849AB07
5F849BA01
5F849BA28
5F849CB04
5F849CB07
5F849CB14
5F849CB17
5F849CB20
5F849DA02
5F849GA06
5F849GA11
5F849JA12
5F849XB37
5F849XB51
(57)【要約】
【課題】半導体素子の性能低下を抑え、歩留まりを向上させることができる半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体素子の製造方法は、第一面に凹部を有し、前記第一面とは異なる第二面に切断ラインを有する半導体ウェハに対し、紫外線硬化型粘着層を有するテープと前記凹部との間に液体を挟むように、前記第一面に前記テープを貼り付ける工程と、前記切断ラインに沿って、前記半導体ウェハを半導体素子に切断する工程と、前記凹部と前記テープの間に前記液体を挟んだ状態で前記紫外線硬化型粘着層に紫外線を照射して硬化させる工程と、を含む。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面に凹部を有し、前記第一面とは異なる第二面に切断ラインを有する半導体ウェハに対し、紫外線硬化型粘着層を有するテープと前記凹部との間に液体を挟むように、前記第一面に前記テープを貼り付ける工程と、
前記切断ラインに沿って、前記半導体ウェハを半導体素子に切断する工程と、
前記凹部と前記テープの間に前記液体を挟んだ状態で前記紫外線硬化型粘着層に紫外線を照射して硬化させる工程と、
を含む半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記凹部が、集光部を有する請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記集光部が、凸状レンズ又はV字状の溝である請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記紫外線硬化型粘着層の硬化後、前記テープを前記第一面から剥離する工程を含む請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記液体を、前記半導体ウェハに滴下する請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記液体が、水又はアルコールである請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記半導体素子が、光半導体素子である請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子は、半導体ウェハ上に複数配列して形成される。複数の半導体素子が形成された半導体ウェハをテープに貼り、ブレード等で半導体ウェハ及びテープを切断して複数の半導体素子に個別に分離することで、半導体素子が製造される。
【0003】
また、半導体素子として、表面及び裏面の少なくとも一方の面に機能層を有する光半導体素子が知られている。光半導体素子では、例えば、光通信用途等で光ファイバ等の光導波路と受発光素子との光結合効率を向上させるため、光半導体素子の裏面に光学機能層としてレンズ等が形成されている。このような光半導体素子では、レンズ等の頂部よりも高く形成された凹部にレンズ等を設けて、レンズ等の損傷を防いでいる。
【0004】
レンズ等の光学機能層を有する光半導体素子の製造方法として、例えば、半導体チップの凹部の縁面をUV硬化型テープの粘着層に貼り付けてワークをマウントし、ワークを複数の半導体チップに分割した後、UV硬化型テープをワークを中心に拡張及び縮退して、縮退されたUV硬化型テープの粘着層を硬化し、分割した半導体チップをピックアップする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-27079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、少なくとも一方の面に設けた凹部にレンズ等の構造を有する半導体ウェハのダイシングを行う場合、半導体素子にUV硬化型テープの粘着層が残る糊残りが生じる場合がある、という問題があった。
【0007】
例えば、裏面の凹部にレンズを有する光半導体素子を製造する際に、半導体ウェハの裏面にテープを貼り付けてダイシングを行い、光半導体素子のレンズに糊残りが生じると、その糊残りによって光の透過率が低下し、光半導体素子の受発光効率が低下する。一方、半導体ウェハの表面にテープを貼り付けて、光半導体素子の電極に糊残りが生じると、ワイヤーボンディングやフリップチップ等の実装部品が外れて、電気的な接続不良が生じる。
【0008】
本発明の一態様は、半導体素子の性能低下を抑え、歩留まりを向上させることができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、
第一面に凹部を有し、前記第一面とは異なる第二面に切断ラインを有する半導体ウェハに対し、紫外線硬化型粘着層を有するテープと前記凹部との間に液体を挟むように、前記第一面に前記テープを貼り付ける工程と、
前記切断ラインに沿って、前記半導体ウェハを半導体素子に切断する工程と、
前記凹部と前記テープの間に前記液体を挟んだ状態で前記紫外線硬化型粘着層に紫外線を照射して硬化させる工程と、
を含む半導体素子の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半導体素子の製造方法の一態様は、半導体素子の性能低下を抑え、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】半導体素子の全体構成の一例を示す断面図である。
図2】半導体ウェハの一例を示す断面図である。
図3】半導体ウェハをステージに設置した状態を示す斜視図である。
図4】半導体ウェハの凹部に液体を滴下する状態を示す断面図である。
図5】半導体ウェハにダイシングテープを貼り付ける状態を示す斜視図である。
図6】半導体ウェハにダイシングテープを貼り付ける状態を示す断面図である。
図7】半導体ウェハを半導体素子に切断する状態を示す斜視図である。
図8】半導体ウェハを半導体素子に切断する状態を示す断面図である。
図9】ダイシングテープを引き伸ばしている状態を示す図である。
図10】ダイシングテープに紫外線を紫耀している状態を示す図である。
図11】ダイシングテープから半導体ウェハを剥離する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0013】
本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法について説明するに当たり、本実施形態に係る半導体素子の製造方法を用いて製造される半導体素子について説明する。
【0014】
<半導体素子>
半導体素子が、光半導体素子である場合について説明する。図1は、半導体素子の全体構成の一例を示す断面図である。図1に示すように、半導体素子1は、半導体基板11、pinフォトダイオード層12、絶縁膜13、p型電極14及びn型電極15を有する。
【0015】
半導体基板11としては、例えば、インジウムリン(InP)等で形成された、半絶縁性の化合物半導体基板を用いることができる。
【0016】
半導体基板11は、その第一面である裏面1aに、凹部111を有し、裏面1aとは異なる第二面である表面1bに、pinフォトダイオード層12及び絶縁膜13を有する。
【0017】
凹部111は、その底部に、集光部112を有してよい。集光部112は、凸状に形成された凸状レンズであり、半導体素子1の外部から出射された光を集光する。なお、集光部112は、凹状に形成された凹状レンズでもよいし、V字状の溝でもよい。
【0018】
凹部111の縁111aは、集光部112の頂部112aよりも高い位置にあればよく、例えば、集光部112の頂部112aより5μm~10μm程度高い位置であってもよい。
【0019】
pinフォトダイオード層12は、半導体基板11の表面1bに設けられ、例えば、インジウムガリウム砒素(InGaAs)をエピタキシャル成長させたInGaAs薄膜で形成されてよい。InGaAs薄膜は、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)又は分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)等で形成できる。
【0020】
pinフォトダイオード層12は、その一部をエッチングすることで、メサを形成してよい。例えば、エピタキシャル成長させたInGaAs薄膜の上に、窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜のマスクを化学気相成長(CVD)法で形成し、フォトリソグラフィーでパターニングする。マスク及び塩素系ガス等を用いたドライエッチングを行い、InGaAs薄膜に複数のメサを形成してよい。
【0021】
絶縁膜13は、半導体基板11及びpinフォトダイオード層12の上に形成されている。絶縁膜13は、例えば、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法等により形成できる。絶縁膜30は、例えば、Siを含む無機絶縁膜であり、SiO、SiN又は酸化窒化シリコン(SiON)等で形成してよい。
【0022】
絶縁膜13の厚さは、特に限定されず、適宜任意の厚さとしてよい。
【0023】
絶縁膜13は、半導体基板11の表面1bの一部及びpinフォトダイオード層12の表面に設けられ、pinフォトダイオード層12の側面及び上面を連続的に覆うように設けられてよい。
【0024】
p型電極14は、pinフォトダイオード層12の上に形成されている。p型電極14は、Ti、Pt及びAu等の金属の少なくとも1つ以上を用いて形成してよい。
【0025】
n型電極15は、pinフォトダイオード層12及び絶縁膜13の上に形成されている。n型電極15も、p型電極14と同様、Ti、Pt及びAu等の金属の少なくとも1つ以上を用いて形成してよい。
【0026】
<半導体素子の製造方法>
本発明の実施形態に係る半導体素子の製造方法について説明する。本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、貼り付け工程、切断工程及び硬化工程を含み、剥離工程等の他の工程を含んでもよい。
【0027】
(準備工程)
本実施形態に係る半導体素子の製造方法では、まず、図1に示す半導体素子1を構成する各部材を複数形成した半導体ウェハ100を準備する(準備工程)。
【0028】
図2に示すように、半導体ウェハ100は、その第一面である裏面100aに凹部111を有し、裏面100aとは異なる第二面である表面100bに、pinフォトダイオード層12及び絶縁膜13を有する。また、半導体ウェハ100は、表面100bに半導体素子1を構成する各部材を区分するダイシングストリート101を有する。
【0029】
半導体ウェハ100は、上述の半導体基板11を形成する材料を用いて形成される。pinフォトダイオード層12は、その一部をエッチングすることで、メサを形成してよい。半導体ウェハ100の裏面100aに形成される凹部111と、表面100bに形成されるpinフォトダイオード層12及び絶縁膜13は、上述の半導体基板11と同様であるため、詳細は省略する。
【0030】
次に、図3に示すように、不図示のマウンター(貼付装置)のステージ110の上にダイシングフレーム120を設置し、この設置したダイシングフレーム120内に半導体ウェハ100を、半導体ウェハ100の裏面100aが上向きとなるように設置する(設置工程)。
【0031】
次に、図4に示すように、準備した半導体ウェハ100の裏面100aを上向きにして、半導体ウェハ100の凹部111に液体130を塗布する(塗布工程)。
【0032】
液体130は、凹部111の全体の容量よりも多量に塗布すればよい。
【0033】
液体130の凹部111上への塗布方法は、特に限定されず、一般的な塗布方法を用いることができる。液体130の凹部111上への塗布方法としては、例えば、液体130を凹部111上に滴下する方法、ロールコート、スクリーンコート、グラビアコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディスペンシング等による方法、液体130を凹部111上に垂らしてドクターブレードで伸ばす方法等を用いてよい。これらの塗布方法により、液体130は、凹部111上に均一に塗布される。
【0034】
液体130は、凹部111を覆うように塗布すればよく、凹部111のみに塗布してもよいし、凹部111とその周辺の領域に塗布してもよい。
【0035】
液体130は、凹部111を覆うことができればよく、1回だけ塗布してもよいし、複数回塗布してもよい。
【0036】
液体130は、半導体ウェハ100や後述するダイシングテープ140を溶かさず、乾燥後に残留しないものであればよく、液体130としては、純水等の水又はアルコール等の使用可能な有機溶媒も適宜用いてよい。
【0037】
次に、図5に示すように、凹部111とその周辺に液体130が載っている半導体ウェハ100の裏面100aに、ダイシングテープ140と凹部111との間に液体102を挟むように、ダイシングテープ140を貼り付ける(貼り付け工程)。
【0038】
図6に示すように、ダイシングテープ140は、その一方の表面に、紫外線(UV)硬化型粘着層141を有し、UV硬化型粘着層141が凹部111と向き合うように、ダイシングテープ140を半導体ウェハ100の裏面100aに載せる。これにより、ダイシングテープ140はUV硬化型粘着層141を介して半導体ウェハ100の裏面100aに貼り合わされる。
【0039】
UV硬化型粘着層141は、UVが照射されることで硬化する性質を有する粘着層である。なお、本実施形態では、粘着層として、UV硬化型粘着層141を用いるが、熱硬化型粘着層や感圧型粘着層を用いてもよい。
【0040】
ダイシングテープ140は、ロール150を用いて、半導体ウェハ100の裏面100aに押圧しながら貼り合わせることが好ましい。これにより、凹部111の中に液体130が充填され、凹部111の縁111aにダイシングテープ140が貼り付けられて、凹部111の中に充填された液体130はダイシングテープ140によって封止され、余分な液体130はロール150によって押し出される。このため、ダイシングテープ140と裏面100aとの間には空気が残ることを低減しながら、ダイシングテープ140を裏面100aに貼り合わせることができる。
【0041】
次に、図7に示すように、半導体ウェハ100の表面100bに設けたダイシングストリート101に沿って、ダイシングブレード160で半導体ウェハ100を切断(ダイシング)し、複数の半導体素子1を個別に分離する(切断工程)。
【0042】
図8に示すように、ダイシングストリート101は、ダイシングによって液体130が流出しないように、半導体ウェハ100を切断する時に液体130とダイシングブレード160が接しない位置、即ち凹部111の縁111aである裏面100aに相対する位置に配置されている。
【0043】
ダイシングブレード160は、半導体ウェハ100の裏面100aである半導体ウェハ100とダイシングテープ140との界面まで降下させて、半導体ウェハ100のみを切断することが好ましい。ダイシングテープ140は、後述するように、延伸して、半導体素子1同士の距離を広げるため、ダイシングテープ140の延伸時に切れないようにする必要がある。
【0044】
なお、切断工程では、半導体ウェハ100のダイシングはダイシングブレードを用いる方法であるが、それ以外の方法でもよく、例えば、レーザー加工を用いる方法、劈開により分離する方法でもよい。
【0045】
次に、図9に示すように、ダイシングされた半導体ウェハ100が張り合わせられているダイシングテープ140を、テープエキスパンダー等の不図示の拡張装置のステージ170に設置した後、ダイシングテープ140を引き伸ばして、ダイシングテープ140を引張方向に拡張し、ダイシングテープ140が拡張した状態で不図示のグリップシングにより固定することで、ダイシングされた半導体ウェハ100同士を互いに離間させる(引き延ばし工程)。
【0046】
なお、本実施形態では、ダイシングテープ140を引張方向に拡張した後、縮退させ、ダイシングテープ140を縮退した状態で不図示のグリップシングにより固定してもよい。また、ダイシングテープ140の引張方向への拡張及び縮退を複数回繰り返した後、ダイシングテープ140を不図示のグリップシングにより固定してもよい。
【0047】
次に、図10に示すように、凹部111とダイシングテープ140の間に液体130を挟んだ状態で、UV硬化型粘着層141にUVを照射してUV硬化型粘着層141を硬化させる(硬化工程)。
【0048】
ダイシングテープ140のUV硬化型粘着層141側にUVを照射することで、UV硬化型粘着層141の粘着剤が硬化して粘着力が低下するため、ダイシングされた半導体ウェハ100はUV硬化型粘着層141から剥離し易くなる。この場合、ダイシングテープ140にUVを照射する際に、ダイシングされた半導体ウェハ100とダイシングテープ140との間に空気は略無いので、UV硬化型粘着層141の紫外線硬化反応が阻害されることを低減できる。
【0049】
UVは、一般的なUV照射装置を用いてよい。UVの照射条件は特に限定されず、凹部111の形状、大きさ等に応じて適宜設定されてよい。
【0050】
次に、図11に示すように、UV硬化型粘着層141の硬化後、ダイシングテープ140をダイシングテープ140のダイシングされた半導体ウェハ100が設置されている側とは異なる側から不図示のニードルピン等で突き上げることで、ダイシングテープ140からダイシングされた半導体ウェハ100の裏面100aを剥離する(剥離工程)。
【0051】
この時、UV硬化型粘着層141は酸素阻害されることなく硬化して粘着力が低下しているので、半導体素子1の集光部112にUV硬化型粘着層141が接触していても、半導体素子1にダイシングテープ140のUV硬化型粘着層141が残る糊残りの発生は低減されている。
【0052】
分離した半導体素子1は、必要に応じて、洗浄水、アルコール水溶液用で表面の洗浄等を行ってよい。これにより、図1に示す半導体素子1が得られる。
【0053】
このように、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、貼り付け工程、切断工程及び硬化工程を含む。本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、貼り付け工程で、半導体ウェハ100に対してダイシングテープ140の貼り合わせと同時に、半導体ウェハ100の凹部111に液体130を封止しているため、凹部111とダイシングテープ140の間に空気が残留すること、又は空気が残留してもその気泡の大きさを抑えることができる。本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、切断工程でダイシングされた半導体ウェハ100に張り付いているダイシングテープ140のUV硬化型粘着層141に、硬化工程でUVを照射して硬化させる際にUV硬化型粘着層141の硬化が酸素阻害されることを抑制できる。このため、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、ダイシングされた半導体ウェハ100の凹部111の集光部112に糊残りが生じることを低減できる。よって、本実施形態に係る半導体素子の製造方法によれば、糊残りによって生じる半導体素子1の性能低下を抑制し、歩留まりを向上させることができる。
【0054】
また、製造した半導体素子に糊残りが生じ、歩留まりが悪いと、得られた半導体素子を別途後工程として洗浄及び再確認等を行う必要であり、最終的に製品として出荷可能な状態とするまでに、手間、時間、費用等を要する。本実施形態に係る半導体素子の製造方法によれば、糊残りがないか少ない半導体素子1を歩留まり良く製造できるため、剥離工程でダイシングテープ140から分離した半導体素子1を別途後工程として洗浄等を行う際の負担を軽減できる。
【0055】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、凹部111に集光部112を有することができる。本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、凹部111に集光部112を有している場合でも、裏面100aにダイシングテープ140を貼り合わせる際に半導体ウェハ100の凹部111に液体130を封止できるため、硬化工程でダイシングテープ140の硬化が酸素阻害されることを抑制できる。よって、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、凹部111に集光部112を有している場合であっても、半導体素子1の凹部111の集光部112に糊残りが生じることを低減できる。
【0056】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、集光部112として凸状レンズを用いることができる。本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、集光部112を凸状レンズとしても、裏面100aにダイシングテープ140を貼り合わせる際に半導体ウェハ100の凹部111に液体130を封止できるため、硬化工程でダイシングテープ140の硬化が酸素阻害されることを抑制し、凸状レンズの頂部等に糊残りが生じることを低減できる。
【0057】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、剥離工程を含むことができる。これにより、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、ダイシングテープ140から、複数の半導体素子1を簡易に得ることができる。
【0058】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、貼り付け工程で、液体130を半導体ウェハ100に滴下することができる。これにより、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、凹部111の大きさ等に応じて適切な量の液体130を簡易に凹部111に供給できるため、凹部111の中に液体130を充填してダイシングテープ140で封止しながら貼り合わせる作業を適切な液体130の量で簡易に行うことができる。
【0059】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、液体として、水又はアルコールを用いることができる。これにより、本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、凹部111に液体130を充填してダイシングテープ140で封止しながら貼り合わせる作業を容易に行うことができる。
【0060】
本実施形態に係る半導体素子の製造方法は、裏面100a及び表面100bの少なくとも一方の面に設けた凹部111に集光部112を形成した半導体ウェハ100から半導体素子1を歩留まり良く製造できることから、例えば、少なくとも一方の表面の凹部111に集光部112を形成した光半導体素子等の製造に有効に用いることができる。
【0061】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0062】
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 第一面に凹部を有し、前記第一面とは異なる第二面に切断ラインを有する半導体ウェハに対し、紫外線硬化型粘着層を有するテープと前記凹部との間に液体を挟むように、前記第一面に前記テープを貼り付ける工程と、
前記切断ラインに沿って、前記半導体ウェハを半導体素子に切断する工程と、
前記凹部と前記テープの間に前記液体を挟んだ状態で前記紫外線硬化型粘着層に紫外線を照射して硬化させる工程と、
を含む半導体素子の製造方法。
<2> 前記凹部が、集光部を有する<1>に記載の半導体素子の製造方法。
<3> 前記集光部が、凸状レンズである<2>に記載の半導体素子の製造方法。
<4> 前記紫外線硬化型粘着層の硬化後、前記テープを前記第一面から剥離する工程を含む<1>~<3>の何れか一つに記載の半導体素子の製造方法。
<5> 前記液体を、前記半導体ウェハに滴下する<1>~<4>の何れか一つに記載の半導体素子の製造方法。
<6> 前記液体が、水又はアルコールである<1>~<5>の何れか一つに記載の半導体素子の製造方法。
<7> 前記半導体素子が、光半導体素子である<1>~<6>の何れか一つに記載の半導体素子の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体素子
1a、100a 裏面(第一面)
1b、100b 表面(第二面)
11 半導体基板
111 凹部
112 集光部
112a 頂部
100 半導体ウェハ
101 ダイシングストリート
110、170 ステージ
120 ダイシングフレーム
130 液体
140 ダイシングテープ
141 紫外線(UV)硬化型粘着層
150 ロール
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