(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103001
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両の盗難防止具
(51)【国際特許分類】
B60R 25/08 20060101AFI20240725BHJP
B60T 7/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B60R25/08
B60T7/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007114
(22)【出願日】2023-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】523023568
【氏名又は名称】宮口 正春
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(72)【発明者】
【氏名】宮口 正春
【テーマコード(参考)】
3D124
【Fターム(参考)】
3D124AA32
3D124BB01
3D124DD61
(57)【要約】
【課題】ブレーキペダルに触れることができないようにして、ブレーキペダルの操作を不可能にし、車両の盗難を防ぐ。
【課題を解決するための手段】ブレーキペダル1を操作できないようにする盗難防止具は、ブレーキペダル1が車室内に露出しないようにブレーキペダル1を隠すカバー体16とされ、カバー体16は、ダッシュパネル3、インパネ4およびフロアパネル5に接触あるいは近接して設置される。ブレーキペダル1にカバー体16を装着すると、車室内にブレーキペダル1が露出しないので、ブレーキペダル1を操作できない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内のダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルで囲まれた空間にブレーキペダルが配置された車両において、ブレーキペダルを操作できないようにする盗難防止具は、ブレーキペダルが車室内に露出しないようにブレーキペダルを隠すカバー体とされ、カバー体は、ダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルに接触あるいは近接して設置されることを特徴とする車両の盗難防止具。
【請求項2】
カバー体は、左右に分かれた左カバーと右カバーと構成され、左カバーおよび右カバーは少なくとも前後左右の各面が塞がれた箱状に形成され、左右のカバーの後面はダッシュパネルの湾曲に応じた湾曲面に形成され、左右のカバーが相対するそれぞれの側面から上面にかけてブレーキペダルが嵌まるスリットが形成され、左右のカバーがロック装置によって一体化されることを特徴とする請求項1記載の車両の盗難防止具。
【請求項3】
インパネの下端に開口が形成され、カバー体から突出するブレーキペダルの上部は、開口を通って、インパネの下端よりも上方に位置し、カバー体が開口を覆い隠すことを特徴とする請求項1または2記載の車両の盗難防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転に必要なブレーキペダルの操作を不可能にして、車両の盗難を防ぐ盗難防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両に設置されたブレーキペダルを踏み込んでスイッチをオンすることにより、エンジンが始動したり、ハイブリッドシステムあるいはEVシステムが始動する。そして、走行中にブレーキペダルを操作すると、減速して、車両を停止させることができる。そこで、ブレーキペダルを操作できないようにすると、車両を始動させることができず、車両の盗難を防ぐことができる。特許文献1では、ブレーキペダルのペダル部分をカバー体で覆って、ブレーキペダルを踏み込めないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカバー体でブレーキペダルを覆うことにより、ブレーキペダルを踏み込めないようにすることができる。しかし、ブレーキペダルの一部はカバー体で覆われておらず、車室内に露出している。そのため、ブレーキペダルの一部に触れることができ、ブレーキペダルを踏み込めなくても、例えば棒状のものを用いてブレーキペダルを押すことができ、ブレーキペダルの操作が可能となり、車両の盗難を防ぐことができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑み、ブレーキペダルに触れることができないようにして、ブレーキペダルの操作を不可能にする車両の盗難防止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車室内のダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルで囲まれた空間にブレーキペダルが配置された車両において、ブレーキペダルを操作できないようにする盗難防止具は、ブレーキペダル1が車室内に露出しないようにブレーキペダルを隠すカバー体とされ、カバー体は、ダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルに接触あるいは近接して設置される。カバー体と各パネルとの間には、ほとんど隙間ができず、車室内から手足や棒状のものでブレーキペダルに触れることができない。
【0007】
カバー体は、左右に分かれた左カバーと右カバーと構成され、左カバーおよび右カバーは少なくとも前後左右の各面が塞がれた箱状に形成され、左右のカバーの後面はダッシュパネルの湾曲に応じた湾曲面に形成され、左右のカバーが相対するそれぞれの側面から上面にかけてブレーキペダルが嵌まるスリットが形成され、左右のカバーがロック装置によって一体化される。カバー体を前方に向かって移動させることができないので、カバー体ごとブレーキペダルを操作するといったことができない。
【0008】
インパネの下端に開口が形成され、カバー体から突出するブレーキペダルの上部は、開口を通って、インパネの下端よりも上方に位置し、カバー体が開口を覆い隠す。開口を通じてブレーキペダルの上部に触れることができず、ブレーキペダルの操作を防げる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ブレーキペダルはカバー体に隠されて、触れることができないので、ブレーキペダルの操作が不可能となり、エンジンやシステムの始動ができず、また車両の運転でも停止等ができなくなり、車両を走行させることが困難となり、その結果、車両の盗難を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るブレーキペダルに装着したカバー体の斜視図
【
図5】他の形態のブレーキペダルに装着したカバー体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る車両の盗難防止具を
図1~3に示す。車両の車室内には、運転席の前側にブレーキペダル1およびアクセルペダル2が設けられ、各ペダル1,2は、ダッシュパネル3、インパネ4およびフロアパネル5で囲まれた空間に配置されている。車両の盗難を防ぐためにブレーキペダル1を操作できないようにする盗難防止具が設けられる。なお、図中、6はブレーキブースタ、7はプッシュロッドである。
【0012】
ブレーキペダル1は、ペダル部10と、ペダル部10を保持するアーム部11とからなる。アーム部11の上部は、インパネ4の下端よりも上方に位置し、ダッシュパネル3に取り付けられたブラケット12に、アーム部11の上部が支持ピン13を介して回動可能に支持される。インパネ4の下端に連なるようにアンダーパネル14が設けられ、アンダーパネル14に開口15が形成され、アーム部11が開口15を通って、アーム部11の上部がインパネ4とダッシュパネル3との間の空間に位置する。
【0013】
盗難防止具は、ブレーキペダル1が車室内に露出しないようにブレーキペダル1を隠すカバー体16とされる。
図4に示すように、カバー体16は、左右に分かれた左カバー17と右カバー18と構成される。チタン合金などの金属製の左カバー17および右カバー18は、前後、左右、上下の各面が塞がれた中空の箱状に形成される。左右のカバー17,18の後面は、ダッシュパネル3の湾曲に応じた湾曲面に形成される。他の各面は、平坦な面とされる。相対する左カバー17の右側面および右カバー18の左側面には、中央から上面にかけて、ブレーキペダル1が嵌まるスリット19が形成される。
【0014】
ブレーキペダル1が左右のスリット19に嵌まるように、左右のカバー17,18でブレーキペダル1を挟むと、左右のカバー17,18の側面が密接して、左右のカバー17,18が一体化し、カバー体16が形成され、ブレーキペダル1が隠れる。ただし、アーム部11の上部は、カバー体16から上方に突出している。
【0015】
左右のカバー17,18はロック装置によって離れないようにロックされる。ロック装置は、鎌錠とされ、右カバー18に、鎌形のデッドボルト20が回動可能に設けられ、左カバー17に、デッドボルト18が引っ掛かる穴21が形成される。デッドボルト20は前後一対で上下にそれぞれ設けられる。右カバー18の前面に鍵穴22が上下にそれぞれ形成され、鍵の操作により、デッドボルト20が飛び出して、穴21に引っ掛かり、ロックされる。そして、鍵でロックを解除すれば、左右のカバー17,18を引き離して、ブレーキペダル1からカバー体16を取り外せる。なお、鍵の代わりに電子錠やボタン錠を用いてもよい。
【0016】
ブレーキペダル1に装着されたカバー体16は、ダッシュパネル3、インパネ4およびフロアパネル5で囲まれた空間に設置される。カバー体16の高さは、フロアパネル5からインパネ4までの高さに合わせて設定され、カバー体16の幅は、ブレーキペダル1のペダル部10の幅より少しだけ大きくされる。また、右カバー18の幅は、ブレーキペダル1とアクセルペダル2の間隔よりも小とされる。したがって、カバー体16の後面はダッシュパネルに接触あるいは近接し、下面はフロアパネルに接触し、上面はインパネおよびアンダーパネルに接触あるいは近接し、カバー体16が開口15を覆い隠す。したがって、カバー体16と各パネル3,4,5との間には、ほとんど隙間がない。
【0017】
ブレーキペダル1にカバー体16を装着すると、ブレーキペダル1は車室内に露出せず、ブレーキペダル1を隠すことができる。なお、アーム部11の上部は、カバー体16の上面から突出しているが、インパネ4およびアンダーパネル14とダッシュパネル3とによって囲まれた空間にあり、開口15が覆い隠されているので、ブレーキペダル1の上部は車室内には露出しない。このように、ブレーキペダル1が車室内に露出しないようにすることにより、ブレーキペダル1だけでなくアーム部11にも触れることができない。そのため、ブレーキペダル1を踏み込むことができず、またアーム部11を棒状のもので押すこともできず、ブレーキペダル1を操作することが不可能となる。また、装着されたカバー体16はダッシュパネル3に接触あるいは近接しているので、カバー体16を前方に移動させることができない。カバー体16が前方に向かって移動すると、ブレーキペダル1も動き、踏み込んだことになるが、カバー体16が前方に押してもダッシュパネル3に当接して、前方に移動することはないので、ブレーキペダル1が操作されることを防げる。
【0018】
車両のドアのロックが解除されても、ブレーキペダル1を操作できないので、エンジンの始動、ハイブリッドシステムやEVシステムの始動が行えない。これにより、車両を動かすことができないので、車両の盗難を防ぐことができる。また、CANインベーダーでは、ブレーキペダル1を操作しなくてもエンジンやシステムを始動でき、車両は走行可能となる。しかし、ブレーキペダル1を操作できないので、走行している車両を減速したり停止させることができず、車両の運転ができなくなる。これにより、運転車両を持去ることを諦めさせることができ、車両の盗難を防ぐことができる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。車両のインパネの下端のアンダーパネルがない場合、アーム部11の上部が車室内に露出することになるので、この場合、
図5に示すように、カバー体16の上面にアーム部11を隠す遮蔽壁23を設けるとよい。遮蔽壁23は、平面視コ字状で、アーム部11の上端よりも高くなるように形成される。カバー体16を装着したとき、遮蔽壁23はダッシュパネル3に接触あるいは近接して、アーム部11の上部に触れることができなくなる。
【符号の説明】
【0020】
1 ブレーキペダル
2 アクセルペダル
3 ダッシュパネル
4 インパネ
5 フロアパネル
10 ペダル部
11 アーム部
16 カバー体
17 左カバー
18 右カバー
19 スリット
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内のダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルで囲まれた空間にペダル部とアーム部とからなるブレーキペダルが配置され、アーム部の上部がインパネの下端よりも上方に位置した車両において、ブレーキペダルを操作できないようにする盗難防止具は、ブレーキペダルが車室内に露出しないようにブレーキペダルを隠すカバー体とされ、カバー体は、ダッシュパネル、インパネおよびフロアパネルに接触あるいは近接して、各パネルとの間にほとんど隙間がないように設置され、取り外し可能なカバー体は、左右に分かれた左カバーと右カバーとから構成され、左カバーおよび右カバーは中空の箱状に形成され、左右のカバーでブレーキペダルを挟むと、左右のカバーが密接して一体化され、左右のカバーがロック装置によって離れないようにロックされることを特徴とする車両の盗難防止具。
【請求項2】
左カバーおよび右カバーは前後左右上下の各面が塞がれ、左右のカバーが相対するそれぞれの側面から上面にかけてブレーキペダルが嵌まるスリットが形成され、右カバーの幅は、ブレーキペダルとアクセルペダルの間隔より小とされたことを特徴とする請求項1記載の車両の盗難防止具。
【請求項3】
インパネの下端に開口が形成され、カバー体から突出するアーム部の上部は、開口を通って、インパネとダッシュパネルとの間の空間に位置し、設置されたカバー体が開口を覆い隠すことを特徴とする請求項1または2記載の車両の盗難防止具。