(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103002
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】サービス提供システム、サービス提供装置、印刷装置、及びサービス提供システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240725BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
G06F3/12 335
B41J29/38 204
G06F3/12 310
G06F3/12 339
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007115
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】平井 康章
(72)【発明者】
【氏名】古田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】児玉 彩菜
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕美
(72)【発明者】
【氏名】浅田 達夫
(72)【発明者】
【氏名】額賀 紀行
(72)【発明者】
【氏名】定別当 聡
(72)【発明者】
【氏名】松崎 史佳
(72)【発明者】
【氏名】茅野 洋子
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、サービスの退会後に行うことできるようにする。
【解決手段】サービス提供システム1000は、サービスの入会前に複合機1に装着されていた非専用インクカートリッジ121Bに代えて装着される専用インクカートリッジ121Aを配送させる提供部と、非専用インクカートリッジ121Bのインク残量を記憶するサーバーメモリー210と、ユーザーがサービスから退会される場合に、サーバーメモリー210が記憶するインク残量に応じて、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可する許可部102と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を配送するサービスを提供するサービス提供システムであって、
前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送させる提供部と、
前記第1収容品の印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部と、
前記サービスから退会される場合に、前記記憶部が記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する許可部と、を備える、
サービス提供システム。
【請求項2】
前記印刷装置は、複数の色の各々について前記収容品を装着可能であり、
前記記憶部は、複数の色の各々について前記残量データを記憶し、
前記許可部は、
前記残量データが示す残量が、前記印刷装置のユーザーが前記サービスを退会する際の前記第2収容品の印刷材の残量より多い第1色については、
前記第2収容品を用いた印刷において、前記ユーザーが前記サービスを退会する際の前記第2収容品の印刷材の残量分、前記第2収容品を使用することを許可し、
前記残量データが示す残量が、前記ユーザーが前記サービスを退会する際の前記第2収容品の印刷材の残量より少ない第2色については、
前記第2収容品を用いた印刷において、加算量分、前記第2収容品を使用すること許可し、
前記加算量分は、前記第1色に対応する前記残量データが示す残量と、前記ユーザーが前記サービスを退会した際の前記第1色に対応する前記第2収容品の印刷材の残量との差分を、前記第2色に対応する前記残量データが示す残量に加算した量である、
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記許可部は、
前記第2色が複数ある場合、前記印刷装置での使用量が最も大きい前記第2色を、前記加算量分の使用を許可する前記第2色として決定する、
請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記許可部は、
前記第2色が複数ある場合、前記第2色間の残量の偏りを最も減少可能な前記第2色を、前記加算量分の使用を許可する前記第2色として決定する、
請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記提供部は、
前記残量データが示す残量が、前記ユーザーが前記サービスを退会した際の前記第2収容品の印刷材の残量より多い場合、新たな前記第2収容品を配送させ、
前記許可部は、
前記提供部が新たな前記第2収容品を配送させた場合、
前記残量データが示す残量と、前記ユーザーが前記サービスから退会される際の前記第2収容品の印刷材の残量と、の差分に対応する量分、新たな前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を前記印刷装置のユーザーに配送するサービスを提供するためのサービス提供装置であって、
前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送させる提供部と、
前記サービスから退会される場合に、前記第1収容品の印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部から前記残量データを取得し、前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する許可部と、を備える、
サービス提供装置。
【請求項7】
印刷材を収容する収容品を用いて印刷する印刷装置であって、
前記印刷装置のユーザーが前記収容品を配送するサービスに入会する際の残量であって、且つ、前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品が収容する印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部と、
前記サービスから退会される場合に、前記記憶部が記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を用いた印刷を許可する許可部と、を備える、
印刷装置。
【請求項8】
印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を配送するサービスを提供するサービス提供システムの制御方法であって、
前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送し、
前記第1収容品が収容する印刷材の残量を示す残量データを記憶し、
前記サービスから退会される場合に、記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する、
サービス提供システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提供システム、サービス提供装置、印刷装置、及びサービス提供システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を印刷装置のユーザーに提供するシステムが知られている。例えば、特許文献1は、特定のインクカートリッジをプリンタのユーザーに配送するシステムを開示する。特許文献1が開示するシステムは、特定のインクカートリッジを配送するサービスの契約解除がなされた場合、印刷装置を特定のインクカートリッジが使用できない状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、サービスに入会した場合、装着されるインクカートリッジが特定のインクカートリッジに交換されるに加え、サービスの契約解除がなされると特定のインクカートリッジが使用不可になる。このように、従来においては、サービス入会前に装着されていた収容品が収容する印刷材の残量分の印刷を、サービス退会後に利用することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を配送するサービスを提供するサービス提供システムであって、前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送させる提供部と、前記第1収容品の印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部と、前記サービスから退会される場合に、前記記憶部が記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する許可部と、を備える、サービス提供システムである。
【0006】
上記課題を解決する別の一態様は、印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を前記印刷装置のユーザーに配送するサービスを提供するためのサービス提供装置であって、前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送させる提供部と、前記サービスから退会される場合に、前記第1収容品の印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部から前記残量データを取得し、前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する許可部と、を備える、サービス提供装置である。
【0007】
上記課題を解決する別の一態様は、印刷材を収容する収容品を用いて印刷する印刷装置であって、前記印刷装置のユーザーが前記収容品を配送するサービスに入会する際の残量であって、且つ、前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品が収容する印刷材の残量を示す残量データを記憶する記憶部と、前記サービスから退会される場合に、前記記憶部が記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を用いた印刷を許可する許可部と、を備える、印刷装置である。
【0008】
上記課題を解決するさらに別の一態様は、印刷装置が印刷に用いる印刷材を収容する収容品を配送するサービスを提供するサービス提供システムの制御方法であって、前記サービスの入会前に前記印刷装置に装着されていた前記収容品である第1収容品に代えて装着される前記収容品である第2収容品を配送し、前記第1収容品が収容する印刷材の残量を示す残量データを記憶し、前記サービスから退会される場合に、記憶する前記残量データが示す残量に応じて、前記第2収容品を用いた前記印刷装置による印刷を許可する、サービス提供システムの制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】端末装置、管理サーバー、及び複合機の動作を示すフローチャート。
【
図6】端末装置、管理サーバー、及び複合機の動作を示すフローチャート。
【
図7】許可処理における許可部の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.第1実施形態]
[1-1.サービス提供システムの構成]
図1は、サービス提供システム1000の構成を示す図である。
サービス提供システム1000は、サブスクリプション方式のサービスを提供するシステムである。このサービスは、複合機1のユーザーPがサービスに入会している場合、複合機1による印刷で用いられるインクカートリッジ121のインク残量が少なくなると、ユーザーPにインクカートリッジ121を配送するものである。
複合機1は、「印刷装置」の一例に対応する。インクカートリッジ121は、「収容品」の一例に対応する。インクカートリッジ121に収容されるインクは、「印刷材」の一例に対応する。
【0011】
以下の説明において、サービスにおいて提供されるインクカートリッジ121を、「専用インクカートリッジ」といい「121A」の符号を付す。
また、以下の説明において、サービスにおいて提供されないインクカートリッジ121を、「非専用インクカートリッジ」といい「121B」の符号を付す。非専用インクカートリッジ121Bは、例えば家電量販店などの店舗においてユーザーPに購入されるインクカートリッジ121である。
専用インクカートリッジ121Aは、「第2収容品」の一例に対応する。非専用インクカートリッジ121Bは、「第1収容品」の一例に対応する。
【0012】
サービス提供システム1000は、サービスを管理する管理サーバー2を備える。この管理サーバー2は「サービス提供装置」の一例に対応する。管理サーバー2が管理する事項は、専用インクカートリッジ121Aのインク残量が例に挙げられる。管理サーバー2は、通信ネットワークNWに接続するサーバー装置である。通信ネットワークNWは、インターネットや、専用回路、公衆回路などのネットワークである。
【0013】
管理サーバー2は、通信ネットワークNWを介して配送サーバー3と通信する。配送サーバー3は、配送員に物品の配送を指示するサーバー装置である。配送サーバー3は、例えば、配送業者に所有され、当該配送業者の従業員である配送員に配送指示を行う。
【0014】
なお、各図において管理サーバー2と配送サーバー3との各々を、1つのブロックによって表現するが、これは必ずしも単一のサーバー装置により構成されることを意味しない。例えば、管理サーバー2及び配送サーバー3は、処理内容が異なる複数のサーバー装置を含んで構成されてもよい。また、管理サーバー2及び配送サーバー3は、同一のサーバー装置で構成されてもよい。
【0015】
サービス提供システム1000は、複合機1を備える。
複合機1は、MFP(Multi Function Peripherals)と呼ばれ、印刷やスキャン等の種々の処理を実行可能な装置である。複合機1は、インクカートリッジ121が装着され、装着されたインクカートリッジ121からインクの供給を受けて印刷する。複合機1は、通信装置4が構築するローカルネットワークLNに接続し、通信装置4を介して通信ネットワークNWに接続する機器と通信する。また、複合機1は、ローカルネットワークLNに接続する端末装置5と通信する。
【0016】
通信装置4は、専用インクカートリッジ121Aの配送先KOに設けられる。通信装置4は、通信ネットワークNWに接続し、通信ネットワークNWを介して管理サーバー2と通信する。通信装置4は、複合機1及び端末装置5を通信ネットワークNWに接続するためのインターフェイス装置として機能する。
【0017】
サービス提供システム1000は、端末装置5を備える。
端末装置5は、コンピューターである。端末装置5は、ローカルネットワークLNに接続し、ローカルネットワークLNに接続する複合機1、及び、通信ネットワークNWに接続する管理サーバー2と通信する。なお、
図1に示す端末装置5は、ラップトップ型のコンピューターを例示しているが、デスクトップ型でもタブレット型でもよい。端末装置5がローカルネットワークLNを介さず通信ネットワークNWに接続可能な場合、端末装置5は、ローカルネットワークLNを介さず管理サーバー2と通信してもよい。また、端末装置5は、1対1で通信する通信方式によって複合機1と通信してもよい。この通信方式としては、Wi-Fi Direct等のダイレクト通信方式が一例として挙げられる。Wi-Fiは、登録商標である。
【0018】
次に、複合機1、端末装置5、及び管理サーバー2の構成について説明する。
まず、複合機1の構成について説明する。
図2は、複合機1の構成を示すブロック図である。
【0019】
[1-2.複合機の構成]
複合機1は、複合機制御装置10と、複合機通信部11と、印刷部12とを備える。
複合機制御装置10は、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-processing unit)もしくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される複合機プロセッサー100、及び、複合機メモリー110を備え、複合機1の各部を制御する。
【0020】
複合機メモリー110は、複合機プロセッサー100が実行するプログラムや、複合機プロセッサー100で処理されるデータを記憶する。複合機メモリー110は、複合機プロセッサー100が実行する制御プログラム111、設定データ112、シリアル番号113、その他の各種データを記憶する。複合機メモリー110は、不揮発性の記憶領域を有する。複合機メモリー110は、揮発性の記憶領域を備え、複合機プロセッサー100のワークエリアを構成してもよい。複合機メモリー110は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0021】
設定データ112は、複合機1の設定に係わるデータである。設定データ112は、設定項目ごとに、設定項目と設定値との組み合わせを有する。
シリアル番号113は、複合機1を識別するための識別番号である。
【0022】
複合機通信部11は、コネクターや通信回路などの所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、複合機制御装置10の制御で、ローカルネットワークLN及び通信ネットワークNWと接続する機器と通信する。すなわち、複合機通信部11は、端末装置5及び管理サーバー2と通信する。
【0023】
印刷部12は、印刷媒体にインクを吐出してドットを形成するインクジェットヘッドや、インクジェットヘッドを走査方向に移動させるキャリッジ、キャリッジを駆動させるキャリッジ駆動モーター、印刷媒体を搬送する搬送機構、インクカートリッジ121が装着される機構、インクジェットヘッドをメンテナンスするメンテナンス機構等の印刷に係る構成を備える。印刷部12は、複合機制御装置10の制御に従って印刷を行うことで、画像を印刷媒体に印刷する。
【0024】
インクカートリッジ121は、IC(Integrated Circuit)チップ121Cが設けられる。複合機制御装置10は、印刷が行われるたびに、インクカートリッジ121に対して設けられた残量検出センサーの検出値または印刷に用いられたインク使用量からインクカートリッジ121のインク残量を取得し、装着されているインクカートリッジ121のICチップ121Cに、インク残量を記録する。なお、専用インクカートリッジ121AのICチップ121Cには、専用インクカートリッジ121Aであることを示す情報が記録されている。
【0025】
複合機プロセッサー100は、複合機メモリー110の制御プログラム111を読み出して実行することにより、複合機通信制御部101、許可部102、及び印刷制御部103として機能する。
【0026】
複合機通信制御部101は、複合機通信部11を介して、端末装置5及び管理サーバー2と通信する。
【0027】
複合機1に専用インクカートリッジ121Aが装着されている場合、複合機通信制御部101は、複合機1が印刷を行うたびに、複数の専用残量データを含む専用残量データ群を管理サーバー2に送信する。専用残量データとは、専用インクカートリッジ121のインク残量を示すデータである。本実施形態の複合機通信制御部101は、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)の各々について専用残量データを管理サーバー2に送信する。管理サーバー2に送信される専用残量データ群には、複合機メモリー110が記憶するシリアル番号113を付加される。
【0028】
複合機1に非専用インクカートリッジ121Bが装着されている場合、複合機通信制御部101は、管理サーバー2から要求があったことを契機に、複数の非専用残量データを含む非専用残量データ群を、管理サーバー2に送信する。非専用残量データとは、専用インクカートリッジ121のインク残量を示すデータである。本実施形態の複合機通信制御部101は、CMYKの各々の非専用残量データを、管理サーバー2に送信する。管理サーバー2に送信される非専用残量データ群には、複合機メモリー110が記憶するシリアル番号113を付加される。複合機通信制御部101は、CMYKの各々について、非専用インクカートリッジ121BのICチップ121Cからインク残量を読み出し、読み出したインク残量を示す非専用残量データを管理サーバー2に送信する。
【0029】
許可部102は、ユーザーPがサービスを退会した場合において、所定の条件を満たしていると、専用インクカートリッジ121Aを用いた複合機1による印刷を許可する。許可部102の詳細については、後述する。
【0030】
印刷制御部103は、印刷部12による印刷を制御する。
印刷制御部103は、非専用インクカートリッジ121Bが複合機1に装着されている場合、許可部102に関わりなく、印刷部12に印刷を実行させる。
印刷制御部103は、ユーザーPがサービスに入会し、且つ、専用インクカートリッジ121Aが複合機1に装着されている場合、許可部102の制御に関わりなく、印刷部12に印刷を実行させる。
印刷制御部103は、ユーザーPがサービスを退会し、且つ、専用インクカートリッジ121Aが複合機1に装着されている場合、許可部102が許可したインク量の範囲で印刷を利用可能に制御する。
【0031】
また、印刷制御部103は、複合機1にインクカートリッジ121が装着されている場合、印刷部12により印刷を行うたびに、インクカートリッジ121のICチップ121Cに記録されているインク残量を更新する。
【0032】
[1-3.端末装置の構成]
次に、端末装置5の構成について説明する。
図3は、端末装置5の構成を示すブロック図である。
【0033】
端末装置5は、端末制御装置50と、端末通信部51と、端末入力部52と、端末表示部53と、を備える。
【0034】
端末制御装置50は、CPUやMPU等により構成される端末プロセッサー500、及び端末メモリー510を備え、端末装置5の各部を制御する。
端末メモリー510は、端末プロセッサー500が実行するプログラムや、端末プロセッサー500で処理されるデータを記憶する。端末メモリー510は、端末プロセッサー500が実行するアプリ511、ドライバー512、その他の各種データを記憶する。端末メモリー510は、不揮発性の記憶領域を有する。端末メモリー510は、揮発性の記憶領域を備え、端末プロセッサー500のワークエリアを構成してもよい。端末メモリー510は、例えば、ROMやRAM等で構成される。
【0035】
アプリ511は、サービスに係わるアプリケーションプログラムである。アプリ511は、サービスに係わる専用のアプリケーションプログラムでもよいし、ブラウザーでもよい。
ドライバー512は、画像を複合機1に印刷させるプログラムである。
【0036】
端末通信部51は、通信回路などの所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、端末制御装置50の制御により、ローカルネットワークLNに接続する複合機1、及び管理サーバー2と通信する。
【0037】
端末入力部52は、キーボード、マウス、その他の入力手段を備え、入力手段に対するユーザーPの操作を検出し、端末制御装置50に出力する。端末制御装置50は、端末入力部52からの入力に基づいて、入力手段に対するユーザーPの操作に対応する処理を実行する。
【0038】
端末表示部53は、ディスプレイを備え、端末制御装置50の制御でディスプレイに各種情報を表示する。
【0039】
端末プロセッサー500は、アプリ511を読み出して実行することにより、アプリ実行部501として機能する。また、端末プロセッサー500は、ドライバー512を読み出して実行することにより、ドライバー実行部502として機能する。
【0040】
アプリ実行部501は、サービスへの入会に係わる処理、及び、サービスからの退会に係わる処理を実行する。
【0041】
アプリ実行部501は、サービスへの入会を行うためユーザーインターフェイスを端末表示部53に表示させる。このユーザーインターフェイスには、シリアル番号113や、専用インクカートリッジ121Aの配送先KOを示す配送先情報などが入力される。なお、配送先情報は、例えば配送先KOの住所の情報である。アプリ実行部501は、このユーザーインターフェイスに入力された情報を含む入会要求情報を、端末通信部51を介して管理サーバー2に送信する。
【0042】
アプリ実行部501は、サービスに入会済のユーザーPに対しては、サービスからの退会を行うためユーザーインターフェイスを端末表示部53に表示させる。このユーザーインターフェイスには、サービスの会員を識別する会員ID(Identification)などが入力される。アプリ実行部501は、このユーザーインターフェイスに入力された情報を含む退会要求情報を、端末通信部51を介して管理サーバー2に送信する。
【0043】
ドライバー実行部502は、印刷データを生成し、生成した印刷データを端末通信部51を介して複合機1に送信する。印刷データは、印刷対象の画像の画像データや、複合機1のコマンド体系に準拠した印刷コマンドなどを含む。
【0044】
[1-4.管理サーバーの構成]
次に、管理サーバー2の構成について説明する。
図4は、管理サーバー2の構成を示すブロック図である。
【0045】
管理サーバー2は、サーバー制御装置20を備える。サーバー制御装置20は、1又は複数のCPUやMPU等により構成されるサーバープロセッサー200、及び、サーバーメモリー210を備え、管理サーバー2の各部を制御する。
サーバーメモリー210は、「記憶部」の一例に対応する。
【0046】
サーバーメモリー210は、サーバープロセッサー200が実行するプログラムや、サーバープロセッサー200で処理されるデータを記憶する。サーバーメモリー210は、サーバープロセッサー200が実行する制御プログラム211、第1管理DB212、第2管理DB213、その他の各種データを記憶する。サーバーメモリー210は、不揮発性の記憶領域を有する。サーバーメモリー210は、揮発性の記憶領域を備え、サーバープロセッサー200のワークエリアを構成してもよい。サーバーメモリー210は、例えばROMやRAM等で構成される。
【0047】
第1管理DB212は、サービスに係わるデータを管理するデータベースである。第1管理DB212は、サービスに入会している会員ごとに、レコードR1を有する。1件のレコードR1は、会員ID、シリアル番号113、配送先情報、非専用残量データ群、及び専用残量データ群を有する。
【0048】
第2管理DB213は、複合機1に係わるデータを管理するデータベースである。第2管理DB213は、複合機1ごとに、レコードR2を有する。レコードR2には、シリアル番号113と、複合機1と通信するための通信情報とが含まれる。この通信情報としては、所定のアドレスが例に挙げられる。
【0049】
管理サーバー2は、サーバー通信部21を備える。
サーバー通信部21は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアを備え、サーバー制御装置20の制御により、端末装置5及び複合機1と通信する。
【0050】
サーバープロセッサー200は、サーバー通信制御部201、提供部202、及び更新部203として機能する。
【0051】
サーバー通信制御部201は、サーバー通信部21を介して、端末装置5及び複合機1と通信する。
【0052】
提供部202は、サービスに入会しているユーザーPに、専用インクカートリッジ121Aを提供する。提供部202は、専用インクカートリッジ121Aを配送させる配送依頼を配送サーバー3に送信することで、サービスに入会しているユーザーPに専用インクカートリッジ121Aを提供する。提供部202は、配送依頼において、配送依頼情報を配送サーバー3に送信する。配送依頼情報には、配送先情報が含まれる。
【0053】
更新部203は、第1管理DB212を更新する。
更新部203は、サービスへの入会に係わる更新、及び、サービスからの退会に係わる更新を行う。
【0054】
更新部203は、サービスへの入会に係わる更新として、レコードR1の生成、及び、生成したレコードR1の第1管理DB212への格納を行う。更新部203は、サーバー通信制御部201が端末装置5から入会要求情報を受信した場合、会員IDを生成する。次いで、更新部203は、生成した会員ID、受信された入会要求情報に含まれるシリアル番号113、受信された入会要求情報に含まれる配送先情報、ブランクを示す非専用残量データ群、及び、ブランクを示す専用残量データ群を含むレコードR1を生成する。次いで、更新部203は、生成したレコードR1を第1管理DB212に格納する。
【0055】
なお、サーバー通信制御部201は、更新部203がレコードR1を新規で第1管理DB212に格納した場合、入会要求情報の応答として、新規で格納されたレコードR1に含まれる会員IDを、端末装置5に送信する。
また、提供部202は、更新部203がレコードR1を新規で第1管理DB212に格納した場合、配送サーバー3に配送依頼を行う。具体的に、提供部202は、新規で格納されたレコードR1の配送先情報を含む配送依頼情報を、配送サーバー3に送信する。
【0056】
更新部203は、サービスからの退会に係わる更新として、レコードR1の削除を行う。更新部203は、サーバー通信制御部201が端末装置5から退会要求情報を受信した場合、受信された退会要求情報に含まれる会員IDを有するレコードR1を第1管理DB212から特定する。次いで、更新部203は、特定したレコードR1を第1管理DB212から削除する。
【0057】
更新部203は、レコードR1が有する情報を更新する。
更新部203は、サーバー通信制御部201が複合機1から非専用残量データ群を受信した場合、レコードR1が有する非専用残量データ群を、受信された非専用残量データ群に更新する。上述したように、複合機1から送信される非専用残量データ群には、シリアル番号113が付されている。更新部203は、このシリアル番号113を有するレコードR1を特定し、特定したレコードR1の非専用残量データ群を、受信された非専用残量データ群に更新する。
更新部203は、サーバー通信制御部201が専用残量データ群を複合機1から受信した場合、レコードR1が有する専用残量データ群を、受信された専用残量データ群に更新する。上述したように、複合機1から送信される専用残量データ群には、シリアル番号113が付されている。更新部203は、このシリアル番号113を有するレコードR1を特定し、特定したレコードR1の専用残量データ群を、受信された専用残量データ群に更新する。
【0058】
[1-5.サービス提供システムの各部の動作]
次に、サービス提供システム1000の各部の動作について説明する。
まず、ユーザーPがサービスに入会する場合のサービス提供システム1000の各部の動作について説明する。
【0059】
図5は、端末装置5、管理サーバー2、及び複合機1の動作を示すフローチャートである。
図5において、フローチャートFAは端末装置5の動作を示し、フローチャートFBは管理サーバー2の動作を示し、フローチャートFCは複合機1の動作を示す。
【0060】
フローチャートFAで示すように、アプリ実行部501は、入会要求情報を管理サーバー2に送信する(ステップSA1)。
【0061】
フローチャートFBで示すように、サーバー通信制御部201は、入会要求情報を管理サーバー2から受信する(ステップSB1)。
【0062】
次いで、更新部203は、ステップSB1で受信された入会要求情報に基づいて、サービスへの入会に係わる更新を行う(ステップSB2)。
【0063】
次いで、サーバー通信制御部201は、ステップSB1で受信された入会要求情報に含まれるシリアル番号113を有するレコードR2を、第2管理DB213から特定する(ステップSB3)。
【0064】
次いで、サーバー通信制御部201は、ステップSB3で特定したレコードR2の通信情報を用いて、要求情報を複合機1に送信する(ステップSB4)。要求情報は、非専用残量データ群を要求する情報である。
【0065】
フローチャートFCで示すように、複合機通信制御部101は、管理サーバー2から要求情報を受信する(ステップSC1)。
【0066】
次いで、複合機通信制御部101は、ICチップ121Cと通信することにより、複合機1に装着されている非専用インクカートリッジ121Bの各々からインク残量を読み取る(ステップSC2)。
【0067】
次いで、複合機通信制御部101は、要求情報の応答として、非専用残量データ群を管理サーバー2に送信する(ステップSC3)。ステップSC3で送信される非専用残量データ群が含む非専用残量データは、ステップSC2で読み取ったインク残量を示す。また、ステップSC3で送信される非専用残量データ群には、複合機メモリー110が記憶するシリアル番号113が付加されている。
【0068】
フローチャートFBで示すように、サーバー通信制御部201は、非専用残量データ群を複合機1から受信する(ステップSB5)。
【0069】
次いで、更新部203は、ステップSB5で受信された非専用残量データ群に付加されているシリアル番号113を有するレコードR1を、第1管理DB212から特定する(ステップSB6)。
【0070】
次いで、更新部203は、ステップSB6で特定したレコードR1の非専用残量データ群を、ステップSB5で受信された非専用残量データ群に更新する(ステップSB7)。
【0071】
図5の動作を行うことで、管理サーバー2は、ユーザーPがサービスへ入会する際に装着されている非専用インクカートリッジ121Bのインク残量を記憶できる。
【0072】
次に、ユーザーPがサービスを退会する場合のサービス提供システム1000の各部の動作について説明する。
【0073】
図6は、端末装置5、管理サーバー2、及び複合機1の動作を示すフローチャートである。
図6において、フローチャートFDは端末装置5の動作を示し、フローチャートFEは管理サーバー2の動作を示し、フローチャートFFは複合機1の動作を示す。
【0074】
フローチャートFDで示すように、アプリ実行部501は、退会要求情報を管理サーバー2に送信する(ステップSD1)。
【0075】
フローチャートFEで示すように、サーバー通信制御部201は、退会要求情報を端末装置5から受信する(ステップSE1)。
【0076】
次いで、サーバー通信制御部201は、ステップSE1で受信した退会要求情報に含まれるシリアル番号113を有するレコードR1を、第1管理DB212から特定する(ステップSE2)。
【0077】
次いで、提供部202は、ステップSE2で特定したレコードR1の非専用残量データ群が示すインク残量の総量が、当該レコードR1の専用残量データ群が示すインク残量の総量以下であるか否かを判定する(ステップSE3)。
【0078】
提供部202が、非専用残量データ群が示すインク残量の総量が、専用残量データ群が示すインク残量の総量以下であると判定した場合(ステップSE3:YES)、サーバー通信制御部201は、第1退会情報を複合機1に送信する(ステップSE4)。
【0079】
第1退会情報は、ユーザーPがサービスから退会したことを示す情報であり、ステップSE2で特定されたレコードR1の非専用残量データ群を含む。なお、第1退会情報には、ステップSE2で特定されたレコードR1の専用残量データ群が含まれてもよい。
【0080】
ステップSE4において、サーバー通信制御部201は、ステップSE1で受信した退会要求情報に含まれるシリアル番号113のレコードR2を、第2管理DB213から特定する。そして、サーバー通信制御部201は、第1退会情報を生成し、生成した第1退会情報を、第2管理DB213から特定したレコードR2の通信情報を用いて、複合機1に送信する。
【0081】
ステップSE3の説明に戻り、非専用残量データ群が示すインク残量の総量が、専用残量データ群が示すインク残量の総量以下でないと判定した場合(ステップSE3:NO)、提供部202は、新たな専用インクカートリッジ121AをユーザーPに配送させる(ステップSE5)。
【0082】
ステップSE5において、提供部202は、配送依頼情報を配送サーバー3に送信する。ステップSE5で送信される配送依頼情報には、ステップSE2で特定されたレコードR1に含まれる配送先情報や、CMYKの全色について新たな専用インクカートリッジ121Aを配送することを示す情報などが含まれる。配送サーバー3は、この配送依頼情報を受信すると、配送員に対して、受信した配送依頼情報の配送先情報が示す配送先KOに、全色の専用インクカートリッジ121Aを配送する指示を行う。
【0083】
提供部202が新たな専用インクカートリッジ121Aを提供すると、サーバー通信制御部201は、第2退会情報を複合機1に送信する(ステップSE6)。
【0084】
第2退会情報は、ユーザーPがサービスから退会したことを示す情報であり、ステップSE2で特定されたレコードR1の非専用残量データ群が含まれる。また、第2退会情報は、新たな専用インクカートリッジ121AをユーザーPに提供したことを示す情報が含まれる。なお、第2退会情報には、第1退会情報と同様、ステップSE2で特定されたレコードR1の専用残量データ群が含まれてもよい。
【0085】
フローチャートFFで示すように、複合機通信制御部101は、第1退会情報、及び第2退会情報のいずれかの退会情報を受信する(ステップSF1)。
【0086】
次いで、許可部102は、ステップSF1で受信された退会情報に基づいて、許可処理を行う(ステップSF2)。
許可処理とは、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷の許可に係わる処理である。
【0087】
図7は、許可処理における許可部102の動作を示すフローチャートFGである。
許可部102は、全色について、ユーザーPがサービスへ入会する際の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量がゼロであるか否かを判定する(ステップSG1)。
【0088】
ステップSG1において、許可部102は、ステップSF1で受信された退会情報に含まれる非専用残量データの各々が、インク残量がゼロであることを示すか否かを判定する。許可部102は、全ての非専用残量データがゼロを示す場合、ステップSG1において肯定判定する。一方、許可部102は、複数の非専用残量データのうちゼロを示さない非専用残量データがある場合、ステップSG1において否定判定する。
【0089】
許可部102は、全色について非専用インクカートリッジ121Bのインク残量がゼロであると判定した場合(ステップSG1:YES)、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を不許可にする(ステップSG2)。
【0090】
ステップSG2において、許可部102は、設定データ112における許可不許可項目に、不許可を示す設定値をセットする。許可不許可項目とは、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可するか否かを設定する項目である。印刷制御部103は、専用インクカートリッジ121Aが装着されている場合、許可不許可項目に不許可の設定値がセットされていると、印刷を実行しない。
【0091】
許可部102は、全色について非専用インクカートリッジ121Bのインク残量がゼロでない、すなわち、いずれかの非専用インクカートリッジ121Bにインク残量があると判定した場合(ステップSG1:NO)、ステップSG3の処理を行う。ここでは、許可部102は、全色について、ユーザーPがサービスへ入会する際の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が、ユーザーPがサービスから退会する際に装着されている専用インクカートリッジ121Aのインク残量以下であるか否かを判定する(ステップSG3)。
【0092】
ステップSG3において、許可部102は、全色について、専用インクカートリッジ121AのICチップ121Cからインク残量を読み出す。次いで、許可部102は、対応する色ごとに、ステップSE1で受信された退会情報の非専用残量データが示すインク残量と、読み出したインク残量とを比較する。許可部102は、全色について、非専用残量データが示すインク残量が、読み出したインク残量以下である場合、ステップSG3において肯定判定する。一方、許可部102は、少なくともいずれかの色について、非専用残量データが示すインク残量が、読み出したインク残量より多い場合、ステップSG3において否定判定する。
【0093】
許可部102は、ステップSG3で肯定判定した場合、第1許可を行う(ステップSG4)。
【0094】
第1許可は、サービス退会後であっても、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可することを示す。
また、第1許可は、CMYKの各々について、サービスへ入会する際の非専用インクカートリッジICBのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
【0095】
具体的には、許可部102は、ステップSG4において、設定データ112における許可不許可項目に、許可を示す設定値をセットする。さらに、許可部102は、CMYKの各々について、使用を許可した専用インクカートリッジ121Aのインク量を複合機メモリー110に記録する。なお、許可部102が印刷を許可している場合、印刷制御部103は、印刷を実行するたびに、印刷で消費したインク量を、許可部102が複合機メモリー110に記録したインク量から減算する。
【0096】
[例1]
例1は、第1許可の一例を示す。
【0097】
例1では、CMYKの各々、サービスへ入会する際の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が、5g(グラム)であったとする。また、例1では、CMYKの各々、サービスから退会する際に装着されている専用インクカートリッジ121Aのインク残量が、10gであるとする。この例の場合、許可部102は、第1許可として、CMYKの各々について、5g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
【0098】
例1において、許可部102は、設定データ112における許可不許可項目に許可を示す設定値にセットすると共に、CMYKの各々、使用を許可する専用インクカートリッジ121Aのインク量が5gであることを複合機メモリー110に記録する。
【0099】
ステップSG3の説明に戻り、許可部102は、ステップSG3で否定判定した場合、ステップSF1で受信された退会情報が、第1退会情報であるか第2退会情報であるかを判定する(ステップSG5)。
【0100】
ステップSF1で受信された退会情報が第1退会情報であると判定した場合(ステップSG5:第1退会情報)、許可部102は、加算量を賄える第2色があるか否かを判定する(ステップSG6)。
【0101】
ここで、加算量について説明する。
加算量の説明に先立ち、第1色、第2色、第1残量、及び第2残量を説明する。
第1色とは、非専用残量データが示すインク残量が、ユーザーPがサービスを退会する際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量より多い色である。
第2色とは、非専用残量データが示すインク残量が、ユーザーPがサービスを退会する際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量より少ない色である。
第1残量とは、サービスへ入会する際の第1色に対応する非専用残量データが示すインク残量である。
第2残量とは、サービスから退会する際の第1色に対応する専用インクカートリッジ121Aのインク残量である。
加算量とは、サービスへ入会する際の第2色に対応する非専用インクカートリッジ121Bのインク残量に、第1残量と第2残量との差分を加算した量である。
【0102】
[例2]
例2は、加算量、第1残量、第2残量、第1色、及び第2色の一例を示す。
【0103】
例2では、サービスへ入会する際、C(シアン)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、M(マゼンタ)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Y(イエロー)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、K(ブラック)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gである。
また、この例では、サービスから退会する際、C(シアン)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、M(マゼンタ)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、Y(イエロー)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、K(ブラック)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が9gである。
【0104】
例2では、第1色がK(ブラック)であり、第2色が、C(シアン)である。
また、例2では、第1残量が10gであり、第2残量が9gである。
また、例2では、加算量が、「5g+(10g-9g)」の6gである。
【0105】
なお、例2の場合では、C(シアン)が加算量を賄える第2色であるため、許可部102は、ステップSG6において、肯定判定する。
【0106】
許可部102は、加算量が賄える第2色があると判定した場合(ステップSG6:YES)、第2許可を行う(ステップSG7)。
【0107】
第2許可は、サービス退会後であっても、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可することを示す。
また、第2許可は、第1色について、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
また、第2許可は、加算量を賄える第2色のうち1つの第2色について、加算量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
また、第2許可は、他の色について、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。ここで、他の色とは、第1色、及び、加算量の使用が許可する第2色以外の色である。
【0108】
具体的には、許可部102は、ステップSG7において、設定データ112における許可不許可項目に、許可を示す設定値をセットする。さらに、許可部102は、CMYKの各々について、許可する使用可能な専用インクカートリッジ121Aのインク量を複合機メモリー110に記録する。
【0109】
[例3]
例3は、第2許可の一例を示す。
【0110】
例3では、サービスへ入会する際、C(シアン)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、M(マゼンタ)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Y(イエロー)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、K(ブラック)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gである。
また、例3では、サービスから退会する際、C(シアン)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、M(マゼンタ)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、Y(イエロー)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、K(ブラック)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が9gである。
また、例3では、Kが第1色であり、C(シアン)が加算量を賄える第2色である。
【0111】
例3では、許可部102は、第2許可として、K(ブラック)については、9g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
また、例3では、許可部102は、第2許可として、C(シアン)については、「5g+(10g-9g)」の6g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
また、例3では、許可部102は、第2許可として、M(マゼンタ)及びY(イエロー)の各々については、5g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
【0112】
なお、許可部102は、第2許可を行うに際し、加算量を賄える第2色が複数ある場合、複合機1での累積使用量が最も大きい第2色を、加算量分の使用を許可する第2色として決定する。許可部102は、全色についてインクの累積使用量を所定の記憶領域から取得し、取得した累積使用量が最も大きい第2色を、加算量分の使用を許可する第2色として決定する。なお、累積使用量は、複合機1が記憶していてもよいし、通信ネットワークNWに接続する所定のサーバー装置が記憶していてもよい。
【0113】
[例4]
例4は、第2許可の一例を示す。
【0114】
例4では、サービスへ入会する際、C(シアン)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、M(マゼンタ)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Y(イエロー)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、K(ブラック)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gである。
また、例4では、サービスから退会する際、C(シアン)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、M(マゼンタ)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、Y(イエロー)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、K(ブラック)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が9gである。
また、例4では、Kが第1色であり、C(シアン)及びM(マゼンタ)が加算量を賄える第2色である。
【0115】
例4において、M(マゼンタ)よりもC(シアン)のほうが、累積使用量が大きい場合、許可部102は、例3と同様の第2許可を行う。
【0116】
一方、例4において、C(シアン)よりもM(マゼンタ)のほうが、累積使用量が大きい場合、許可部102は、第2許可として、K(ブラック)については、9g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。また、この場合、許可部102は、第2許可として、M(マゼンタ)については、「5g+(10g-9g)」の6g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
また、例3では、許可部102は、第2許可として、C(シアン)及びY(イエロー)の各々については、5g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。
なお、以上では、インク量をグラム単位で制御する例について説明したが、制御するインク量の単位はこれに限られるものではない。
【0117】
ステップSG6の説明に戻り、許可部102は、加算量が賄える第2色がないと判定した場合(ステップSG6:YES)、第3許可を行う(ステップSG8)。
【0118】
第3許可は、サービス退会後であっても、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可することを示す。
また、第3許可は、第1色について、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
また、第3許可は、第2色のうち複数の第2色について、第1残量と第2残量との差分を考慮した量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
また、第3許可は、他の色のインクについて、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。ここで、他の色とは、第1色、及び、第1残量と第2残量との差分を考慮する第2色以外の色である。
【0119】
具体的には、許可部102は、ステップSG8において、設定データ112における許可不許可項目に、許可を示す設定値をセットする。さらに、許可部102は、CMYKの各々について、許可する使用可能な専用インクカートリッジ121Aのインク量を複合機メモリー110に記録する。
【0120】
[例5]
例5は、第3許可の一例を示す。
【0121】
例5では、サービスへ入会する際、C(シアン)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、M(マゼンタ)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Y(イエロー)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、K(ブラック)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gである。
また、例3では、サービスから退会する際、C(シアン)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、M(マゼンタ)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、Y(イエロー)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、K(ブラック)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が8gである。
また、例5では、Kが第1色であり、CMYの各々が加算量を賄えない第2色である。
【0122】
例5では、許可部102は、第3許可として、K(ブラック)については、8g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。
また、例5では、許可部102は、第2許可として、CMYのうちの2色については、「5g+1g」の6g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。
また、例5では、許可部102は、第2許可として、CMYのうちの1色については、5g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。
【0123】
ステップSG5の説明に戻り、ステップSF1で受信された退会情報が第2退会情報であると判定した場合(ステップSG5:第2退会情報)、許可部102は、第4許可を行う(ステップSG9)。
【0124】
第4許可は、サービス退会後であっても、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可することを示す。
また、第4許可は、第1色については、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
また、第4許可は、第1色については、第1残量と第2残量との差分分、新たに提供される専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可する。
また、第4許可は、第1色以外の色について、サービスから退会する際に装着されていた専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で使用することを許可することを示す。
【0125】
具体的には、許可部102は、ステップSG9において、設定データ112における許可不許可項目に、許可を示す設定値をセットする。さらに、許可部102は、CMYKの各々について、許可する使用可能な専用インクカートリッジ121Aのインク量を複合機メモリー110に記録する。
【0126】
[例6]
例6は、第4許可の一例を示す。
【0127】
例6では、サービスへ入会する際、C(シアン)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、M(マゼンタ)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Y(イエロー)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、K(ブラック)の非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gであったとする。
また、例6では、サービスから退会する際、C(シアン)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、M(マゼンタ)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、Y(イエロー)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が5g、K(ブラック)の専用インクカートリッジ121Aのインク残量が9gであったとする。
例6では、K(ブラック)は第1色である。
【0128】
例6では、許可部102は、第4許可として、K(ブラック)について、9g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。また、例6では、許可部102は、第4許可として、K(ブラック)について、1g分、新たに配送する専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。また、例6では、許可部102は、第4許可として、CMYの各々について、5g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。
【0129】
次に、許可処理の後、複合機1の動作について説明する。
図8は、複合機1の動作を示すフローチャートFHである。
【0130】
許可部102は、CMYKの各々について、使用を許可した専用インクカートリッジ121Aのインク量が、印刷で消費されたか否かを判定する(ステップSH1)。許可部102は、複合機メモリー110で記録したインク量が、CMYKいずれもゼロである場合、ステップSH1で肯定判定する。
【0131】
許可部102は、専用インクカートリッジ121Aのインク量が印刷で消費されたと判定した場合(ステップSH1:YES)、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を不許可にする(ステップSH2)。
【0132】
[1-6.本実施形態の効果]
以上、説明したように、サービス提供システム1000は、複合機1が印刷に用いるインクを収容するインクカートリッジ121を複合機1のユーザーPに配送するサービスを提供する。サービス提供システム1000は、サービスの入会前に複合機1に装着されていた非専用インクカートリッジ121Bに代えて装着される専用インクカートリッジ121Aを配送させる提供部202を備える。また、サービス提供システム1000は、非専用インクカートリッジ121Bのインク残量を示す非専用残量データを記憶するサーバーメモリー210を備える。また。サービス提供システム1000は、サービスから退会される場合に、サーバーメモリー210が記憶する非専用残量データが示すインク残量に応じて、専用インクカートリッジ121Bを用いた複合機1による印刷を許可する許可部102を備える。
【0133】
これによれば、サービス退会後、サーバーメモリー210が記憶する非専用残量データが示すインク残量に応じて、専用インクカートリッジ121Bを用いた複合機1による印刷を許可する。よって、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、サービスの退会後に行うことできる。
【0134】
複合機1は、複数の色の各々についてインクカートリッジ121を装着可能である。複合機メモリー110は、複数の色の各々について非専用残量データを記憶する。許可部102は、非専用残量データが示す残量が、ユーザーPがサービスを退会する際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量より多い第1色については、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷において、ユーザーPがサービスを退会する際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aを使用することを許可する。また、許可部102は、非専用残量データが示す残量が、ユーザーPがサービスを退会する際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量より少ない第2色については、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷において、加算量分、専用インクカートリッジ121Aを使用すること許可する。加算量分は、第1色に対応する非専用残量データが示す残量と、ユーザーPがサービスを退会した際の第1色に対応する専用インクカートリッジ121Aのインク残量との差分を、第2色に対応する非専用残量データが示す残量に加算した量である。
【0135】
これによれば、第1色について、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量を、サービスから退会する際に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量で賄えない場合、賄えない分を、第2色に対応する専用インクカートリッジ121Aで補える。そのため、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、適切に、サービスの退会後に行うことできる。
【0136】
許可部102は、第2色が複数ある場合、複合機1での使用量が最も大きい第2色を、加算量分の使用を許可する第2色として決定する。
【0137】
これにより、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量を、サービスから退会する際に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量で賄えない場合、賄えない分を、ユーザーPが最も使用する色の専用インクカートリッジ121に補える。そのため、ユーザーPが最も使用する色を考慮しつつ、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、サービスの退会後に行うことできる。
【0138】
提供部202は、非専用残量データが示すインク残量が、ユーザーPがサービスを退会した際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量より多い場合、新たな専用インクカートリッジ121Aを配送させる。許可部102は、提供部202が新たな専用インクカートリッジ121Aを提供した場合、非専用残量データが示すインク残量と、ユーザーPがサービスから退会される際の専用インクカートリッジ121Aのインク残量と、の差分に対応する量分、新たな専用インクカートリッジ121Aを用いた複合機1による印刷を許可する。
【0139】
これによれば、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量が、サービスから退会する際に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量より多い場合でも、サービスへ入会する際に装着されていた非専用インクカートリッジ121Bのインク残量分、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷が可能となる。よって、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、確実に、サービスの退会後に行うことできる。
【0140】
サービス提供システム1000の制御方法は、専用インクカートリッジ121Aを配送し、非専用インクカートリッジ121Bのインク残量を示す非専用残量データを記憶し、ユーザーPがサービスから退会される場合に、記憶する非専用残量データが示す残量に応じて、専用インクカートリッジ121Aを用いた複合機1による印刷を許可する。
【0141】
これによれば、上述したサービス提供システム1000の効果と同様の効果を奏する。
【0142】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態と比較して、加算量分の使用を許可する第2色の決定方法が異なる。
第2実施形態の許可部102は、第2色間でインク残量の偏りを最も減少可能な第2色を、加算量分の使用を許可する第2色として決定する。
【0143】
例えば、サービスへ入会する際、Cの非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が6g、Mの非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が5g、Yの非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が6g、Kの非専用インクカートリッジ121Bのインク残量が10gであったとする。
また、この例の場合、サービスから退会する際、Cの専用インクカートリッジ121Aのインク残量が6g、Mの専用インクカートリッジ121Aのインク残量が7g、Yの専用インクカートリッジ121Aのインク残量が8g、Kの専用インクカートリッジ121Aのインク残量が9gであったとする。
この例の場合では、Kが第1色に相当し、C、M、Yの各々が第2色に相当する。
この例の場合、第1残量は10gであり、第2残量は9gである。
この例の場合、C、M、Yにおいてインク残量の偏りを最も減少させる色は、インク残量が最も少ないMである。そのため、この例の場合、許可部102は、第2色であるC、M、YのうちMについて、6g分、専用インクカートリッジ121Aのインクを印刷で用いることを許可する。これにより、C、M、Y、Kについて順に、6g、6g、6g、9gの利用が退会時に許可されることとなり、CMY間のインク残量の偏りがサービス入会時より低減される。
【0144】
以上、説明したように、許可部102は、第2色が複数ある場合、第2色間の残量の偏りを最も減少可能な第2色を、加算量分の使用を許可する第2色として決定する。
【0145】
これによれば、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量を、サービスから退会する際に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量で賄えない場合、賄えない分を、第2色間のインク残量の偏りを最も減少可能な色の専用インクカートリッジ121Aで補う。そのため、効率のよいインクの消費を図りつつ、サービスの入会前に装着されていたインクカートリッジ121のインク残量分の印刷を、サービスの退会後に行うことできる。
【0146】
[3.第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態、及び第2実施形態と比較して、複合機メモリー110が、CMYKの各々について非専用残量データを記憶する。第3実施形態において、印刷制御部103は、複合機1に非専用インクカートリッジ121Bが装着されている場合、印刷部12により印刷を行うたびに、非専用インクカートリッジ121BのICチップ121Cに記録されているインク残量を更新する。また、第3実施形態において、印刷制御部103は、複合機1に非専用インクカートリッジ121Bが装着されている場合、複合機メモリー110が記憶する非専用残量データが示すインク残量を更新する。
第3実施形態においては、複合機メモリー110は、「記憶部」の一例に対応する。
【0147】
第3実施形態では、複合機メモリー110に非専用残量データが記憶されるので、サーバーメモリー210には非専用残量データが記憶されない。よって、管理サーバー2が送信する退会情報には、非専用残量データ群が含まれない。第3実施形態の許可部102は、管理サーバー2から退会情報が送信された場合、複合機メモリー110が記憶する非専用残量データを読み出して、
図7の動作を実行する。
【0148】
以上、説明したように、インクカートリッジ121を用いて印刷する複合機1は、サービスの入会前に複合機1に装着されていた非専用インクカートリッジ121Bのインク残量を示す非専用残量データを記憶する複合機メモリー110と、ユーザーPがサービスから退会される場合に、複合機メモリー110が記憶する非専用残量データが示すインク残量に応じて、専用インクカートリッジ121Aを用いた印刷を許可する許可部102と、を備える。
【0149】
これによれば、第1実施形態のサービス提供システム1000と同様の効果を奏する。
【0150】
[4.他の実施形態]
上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0151】
上述した各実施形態では、複合機1がシリアル型のインクジェットヘッドを備える構成であるが、複合機1が備えるインクジェットヘッドは、シリアル型に限定されない。
【0152】
上述した各実施形態では、印刷装置として複合機1を例示したが、印刷装置は複合機1に限定されない。印刷装置は、スキャン機能を有さない装置でもよいし、ファクシミリ機能などの他の機能をさらに有する装置でもよい。
【0153】
上述した各実施形態では、複合機1の印刷方式としてインクジェット方式を例示したが、複合機1の印刷方式は、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式など他の印刷方式でもよい。なお、複合機1の印刷方式が電子写真方式である場合、複合機1に装着されるトナーカートリッジは「収容品」の一例に対応し、当該トナーカートリッジが収容するトナーは「印刷材」の一例に対応する。
【0154】
上述した各実施形態では、許可部102が複合機プロセッサー100の機能部であるとして説明した。しかしながら、サーバープロセッサー200が、許可部102として機能してもよい。この構成の場合、管理サーバー2は、許可部102が許可した内容を複合機1に送信し、複合機1が許可された内容の範囲で、専用インクカートリッジ121Aを用いて印刷を実行する。
この実施形態では、管理サーバー2は、専用インクカートリッジ121Aを配送させる提供部202と、サービスから退会される場合に、非専用残量データを記憶するサーバーメモリー210から非専用残量データを取得し、非専用残量データが示すインク残量に応じて、専用インクカートリッジ121を用いた複合機1による印刷を許可する許可部と102と、を備える。
これによれば、第1実施形態のサービス提供システム1000と同様の効果を奏する。
【0155】
複合機プロセッサー100、サーバープロセッサー200、及び端末プロセッサー500の機能は、複数のプロセッサー、又は半導体チップにより実現してもよい。
【0156】
図2、
図3、及び
図4に示した各部は一例であって、特に限定されない。必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。ソフトウェアで実現される機能の一部はハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部はソフトウェアで実現してもよい。その他、複合機1、管理サーバー2、及び端末装置5について他の各部の具体的な細部構成について、任意に変更可能である。
【0157】
図5、
図6、
図7、及び
図8に示す動作のステップ単位は、サービス提供システム1000の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、適宜に入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0158】
1…複合機(印刷装置)、2…管理サーバー(サービス提供装置)、3…配送サーバー、5…端末装置、10…複合機制御装置、11…複合機通信部、12…印刷部、100…複合機プロセッサー、101…複合機通信制御部、102…許可部、103…印刷制御部、110…複合機メモリー、111…制御プログラム、112…設定データ、113…シリアル番号、121…インクカートリッジ(収容品)、121A…専用インクカートリッジ(第2収容品)、121B…非専用インクカートリッジ(第1収容品)、202…提供部、1000…サービス提供システム、NW…通信ネットワーク、P…ユーザー。